千歌「風になった日」
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淡島
ちか(6)「かーなーんーちゃーん!あーそーぼー!!」
かなん(7)「あっ!ちか!!いいよ!あそぼ!!」
ちか「ねえねえ!きょうはどこいく?……ってあれ?かなんちゃん?それ……」
かなん「あ!きづいた?ふっふーん!!わたしほじょりんなしでのれるようになったんだよー!すごいでしょー!!」
ちか「ふ、ふーん……」
ちか「ねえ!よーちゃんは?」
よう(7)「わ、わたし!!?わ、わたしは、その……こ!このまえね!!パパとれんしゅーして!そ、それで……」
ちか「……ふーん、よーちゃんものれるんだ」 わたしのォ〜おはかぁのォ〜むぁぁえでェ〜
ぬぁかぬぁうぃでぇくぁどぅぁすぁいぃ〜♪ よう「……ちかちゃん?」
かなん「へへーん!すごいでしょ!わたしだってちかのおねえちゃんなんだからね!!」
ちか「……むぅ」
ちか「そんなことより!きょうどこいくか!だよ!!」
かなん「そーだねー……あ!あそこのおやま!いってみない?」
よう「ええっ!?あ、あぶないんじゃ……」
かなん「だいじょうぶ!おねえちゃんにまかせてよ!!ほら!ようもちかも、いっくよー!!ついてきて!!」テテテッ!
よう「あ!かなんちゃん!まってー……!!!ちかちゃんも、いこっ!」
ちか「……」
よう「……ちかちゃん?」
ちか「あ……うん!いまいく!」トテトテ その日の夜
ちか「ねえー、しまねえ?」
志満「ん〜、どうしたの、千歌ちゃん?」
ちか「チカ、じてんしゃにのりたい」
志満「自転車……?千歌ちゃん、去年お母さんにお願いして買ってもらってなかった?」
ちか「ちがう。ほぞりんないやつ」
志満「……?……ああ!補助輪ね、外したいの?」
ちか「うん!かなんちゃんとよーちゃんはもうのれるって!」
志満「あらあら、あの娘たちももうそんなに大きくなったのね……」
ちか「ねー?いいでしょー?チカもチカも〜!!」ピョンピョン!
志満「そうね……」 美渡「へっ!バカチカにはまだ早いんじゃないかー?まだ自分の名前すら平がなで書けないらしいじゃん!」
ちか「むっ……」
志満「こら!美渡!バカとか言わない!!」
美渡「だいたいお前はいっつもちょーし乗りすぎなんだよっ!!そうやっていつもいつも大人ぶろうとして!まだ小学一年生のくせに!!」
ちか「むっ……」
ポカッ
美渡「いてっ!」
ちか「……」
ポカッ!
美渡「ちょっ!なにすんだよ!!このバカチカ!!」 ちか「……」
ポカポカッ!
美渡「いてっ!!……このっ!いいかげんに、しろっ!!」
ドカッ!!
ちか「!!?」
ちか「……」
ちか「………」ウルウル
ちか「………ぐすっ」
ちか「ぐすっ……ひぐっ……!!」
美渡「!!?」
ちか「うぇーん!!びぇーん!!!」
ちか「みとねえが!!!ぶっだぁ!!!うぇーん!!!じまねぇー!!!!」 美渡「ちょっ!?ひきょうだぞ!!千歌!!」
志満「あらあら、よしよーし、いい子いい子……」ナデナデ
ちか「うぇーん!!!!うぇーん!!!!」
志満「……美渡ちゃん?」
美渡「げっ!?あたしが悪いっていうの!?」
志満「……美渡?お姉ちゃんでしょ?」ゴゴゴゴゴ
美渡「そ、それとこれとは関係ないっていうか……ってかバカチカの方から先たたいてきたんじゃん!!あたし悪くないし!!」
ちか「うぇーん!!びぇーん!!!!」
志満「みーとー……?」
志満「謝らなくちゃ、よね……?」ゴゴゴゴゴ
美渡「……」
美渡「わ、わかったよ……」 美渡「……ご、ごめん」ボソッ
志満「ね?ほら、千歌ちゃんも。美渡ちゃんも謝ってるから、許してあげて?」
美渡「ちょっ!?なんでこいつの方が上からなんだし!!」
ちか「ぐすっ……ひぐっ……」
ちか「……」
ちか「……う、うん」コクッ
志満「よしよし、えらいえらい」ナデナデ
美渡「ちっ……くそっ!」プイッ! 次の週末
志満「じゃあ、補助輪外そうね〜」
ちか「うん!」
クキクキ…
志満「……ふぅ、出来たわよ、千歌ちゃん」
ちか「わーい!ありがとしまねえ!!」
志満「ええ、どういたしまして……って千歌ちゃん!?」
ちか「ふふふ〜ん♪」
志満「い、いきなりは、あぶな……」
ステン!
ちか「!?」 志満「だ、大丈夫!?千歌ちゃん」
ちか「……」ウルウル
志満「……もう、これくらいで泣かないの。ほら」パンパン
ちか「……」ウルウル
志満「千歌ちゃん?補助輪外したらまずは練習しないと、乗れるようにならないわよ?」
ちか「……」
ちか「れんしゅー……?」
志満「うん。一緒にお外で乗れるように、まずは練習するの。出来る?」
ちか「……うん!やる!チカれんしゅーする!!」 公園
志満「行くよ、千歌ちゃん」
ちか「う、うん……」
キコキコ
ちか「……!!」キコキコ
志満「ほら千歌ちゃん!頑張って!足動かすの!!」
ちか「……」キコキコ
ちか「……!?」
パタン
志満「……」
志満「……千歌ちゃん、大丈夫?」 ちか「……」ウルウル
ちか「……」コクッ
志満「……うん、じゃあもう一回やってみよ?」
ちか「……」コクリ
タタタッ
ちか「……」
キコキコ
志満「そう!ペダル漕いで!前みるのよ!!」
ちか「……!!」キコキコ
志満「うん!もうちょっと!」
ちか「……」キコキコ
ちか「……!?」
カッシャーン!!
志満「千歌ちゃん!?大丈夫!?」 ちか「……」
ちか「……」ウルウル
ちか「……ぐすっ」
志満「千歌ちゃん……」
ちか「……ひぐっ」
志満「ねえ、千歌ちゃん……?」
ちか「……」ウルウル
志満「……」
志満「……ねえ千歌ちゃん、やめる?」
ちか「ぐすっ……」
ちか「……」
ちか「……」フルフル
志満「……そう」
志満「じゃあもう一回、やってみる……?」 ちか「……」ウルウル
ちか「……かなんちゃんみたいに、なる」
ちか「ぐすっ……」
ちか「……みとねえに、かつ」
ちか「だから、れんしゅー、する」
志満「……そう」
スタッ
志満「あっ……」
チャリチャリ
志満「千歌ちゃん……」 ちか「……」キコキコ
志満「……」
ちか「はぁ……はぁ……」キコキコ
ちか「……わっ!?」
ガッシャーン!!!
志満「!?」
ちか「……」
ちか「う、うっ……」ウルウル
ちか「ぐすっ……」
ちか「……」
ちか「……」フルフル
ムクッ
ちか「ぐすっ……ぐすっ……」キコキコ
志満「……」
志満「千歌ちゃん……」
志満(それから千歌ちゃんは練習を繰り返したんだけど……)
志満(私は、止めた方がいいのか、それともいい教え方があるのかもわからずに)
志満(……ただ千歌ちゃんが転ぶ様子を、見守ることしか出来ませんでした) 志満(そして、もう何回目かもわかんない失敗の後……)
ちか「……」キコキコ
ちか「……!?」
カッツシャーン!!
ちか「……」
志満「……」
ちか「……」
ポイッ!
スタスタ
志満「……?千歌ちゃん?」
ちか「……かえる」
志満「……うん、今日はもうおしまいにしよっか」 志満「でも……自転車はいいの?持って帰らなくて」
ちか「……」
ちか「……うん、もういらない」
ちか「だって、のれないもん」
志満「でも……また今度練習したら、乗れるようになるかもよ?」
ちか「……」
ちか「……むり、むりだもん」
ちか「チカにはじてんしゃ、むりだもん。だからやめる」
志満「そ、そう……」
志満「……」
志満「……ねえ千歌ちゃん、ちょっとジュース飲んでいこっか」 チャリーン
ピッ!
ガッチャーン!
志満「はい千歌ちゃん、どうぞ」
ちか「……ん」
パキッ
ゴクゴク
志満「……」
ちか「……」ゴクゴク
志満「……ねえ千歌ちゃん、本当に自転車、いいの?やめちゃって」 ちか「……」ゴクゴク
ちか「……」コクリ
志満「そう……」
志満「……」
志満「……あのね千歌ちゃん、千歌ちゃんから見たら考えられないかもしれないけど、美渡ちゃんだって最初は出来なかったのよ?」
ちか「……?」
志満「あの子実は二年生になるまで補助輪外れなかったの」
ちか「……!!」 ちか「ふ、ふーん……」
志満「もちろん私だって最初は乗れなかったわよ、でもお母さんと一緒にここでたっくさん練習して……」
志満「そうして乗れるようになったの、私も」
ちか「……」
志満「……あのね千歌ちゃん、千歌ちゃんの周りのお友達には……美渡ちゃんや私もそうだけど……お姉さんがいっぱいじゃない?」
ちか「……」コクリ
志満「うん。でもね、だからと言って千歌ちゃんが遠慮しちゃう必要はないのよ?」
ちか「……?」 志満「だって千歌ちゃんには千歌ちゃんだけのいいところがあって……千歌ちゃんにしかできないことだって、きっとどこかにちゃんとあるのよ?」ポンポン
ちか「……」
志満「……さて、そろそろ暗くなっちゃうころだし、帰ろっか」
ちか「……」
ちか「……まだ」
ちか「……まだもうちょっと、れんしゅー、やる」
志満「……」
志満「……そうね!もうちょっとだけ頑張ってみよっか!」 ちか「……」キコキコ
志満「千歌ちゃん!頑張って!走るの!そう!」
ちか「はぁ……はぁ……」キコキコ
ちか「……!?」
ガッシャーン!!
志満「千歌ちゃん!?」
ちか「……」ウルウル
志満「……」
志満「……!!」 ちか「しまねえ……?」
志満「ねえ千歌ちゃん!一回私に後ろから支えられながら走ってみない?」
ちか「う、うん……」コクリ
志満「じゃあ……」
ニギッ
志満「ほら、私、千歌ちゃんの自転車後ろから抑えとくから!こうすれば転ばないし、怖くないでしょ?」
ちか「う、うん……」
志満「うん!じゃあいくわよ!!」 キコキコ
ちか「……」キコキコ
ちか「……?」クルッ
志満「!!?」
ちか「わわっ!?」
カッシャーン!!
志満「……もう!千歌ちゃん、どうして振り向いちゃったの?」
ちか「だ、だって、しまねえちゃんといるか、しんぱいで……」
志満「心配しなくても私はちゃんとここにいるわよ。ほら、ね?」
ちか「……」
ちか「……」コクリ
志満「うん!じゃあもう一回やってみましょ!」 志満「行くよ!千歌ちゃん!」
ちか「う、うん……」
キコキコ
ちか「はぁ……はぁ……」キコキコ
ちか「……しまねえ、ちゃんといる?」
志満「ええ、いるわよ」タタタッ!
ちか「うん……はぁ……」キコキコ
志満「……」タタタッ!
志満(うん!これなら、手、放しても……) フワッ
ちか「はぁ……はぁ……」キコキコ
ちか「しま、ねえ……?」
志満「大丈夫!前見て走ってみて!」
ちか「うん……!!」
キコキコ
志満(そうして、千歌ちゃんはただ前を向いて走っていきます)
志満(よろめきながら、スピード出して、自分の力で)
ちか「はぁ……はぁ……!!」キコキコ
志満「千歌ちゃん!頑張って!」
ちか「う、うん……!!」キコキコ
志満「……」
志満(……千歌ちゃんもきっと、いつかは私くらいに大きくなって)
志満(姉離れ……とかしちゃうのかしらね?)
志満「……」
志満(でもきっと、誰よりも強い千歌ちゃんなら)
志満(負けない勇気を持っている、千歌ちゃんになら……)
志満(……誰にも叶えられないような大きな夢、叶えちゃったりしちゃうのかな?)
志満(まだまだ小さな妹の背中に、この日の私はそんな夢を託してみました)
……
… ———
千歌(16)「志満姉〜!!志満姉いる〜?」
志満「どうしたの、千歌ちゃん?」
千歌「あ!あのね!これからちょっと長岡の方行ってくるから!自転車で!」
志満「そう……何しに行くの?」
千歌「PVの撮影!部活で作ってるやつ!!じゃあ行ってくるねー!!」
タタタッ!
美渡「おわあっ!?ちょっ!?バカチカ!家の中走るな!!」
千歌「ごめっ!急いでるから!!」
美渡「急いでても家の中は走るな!!だいたいお前はいっつもそうやって屁理屈ばっか……」
千歌「頑張ってても一生平社員の美渡姉よりはましだと思う!」
美渡「なっ!?こ、このっ!言っていいことと悪いことがあるんだよ!!」
千歌「チカまだ子供だからわかんない!じゃあね志満姉!晩御飯までには帰るから!!」
美渡「あ!まて!バカチカ!!」 タタタッ!!
美渡「……ったく、千歌のやつ」
志満「いいんじゃない?やっとやりたいこと見つかったみたいだし」
美渡「で、でも……」
美渡「……なあ志満姉、あいつこのままで大丈夫なのか?」
志満「大丈夫って?」
美渡「そ、それは……あいつめっちゃガサツだしズボラだしおっちょこちょいだし……じょ、女子力だって欠片もないし……このままじゃ割とマジで一生彼氏とかできないんじゃないかって……」
志満「そうね……」
志満「……美渡はまず自分の心配をした方がいいんじゃない?」
美渡「わ、わたしのことはいいんだよ!!別に!!//」 ちか「ちがう。ほぞりんないやつ」
ここが可愛すぎるし凄く子供っぽくて良い
途中で投げ出した時自転車まで置いてこうとする感じとか凄いリアルで子供ってこんな感じだよなーって思った おお!自転車の練習、懐かしい。自分の小さかった頃を思い出しました。乙!
補助輪は、自分の場合は片方ずつ外したけど、千歌はいきなり両方とも外したのかな?
両方いっぺんに外した人、いますか? 高校生千歌「ほぞりんなしでものれるもん!行くぞ!次のライブ!」 ただ申し訳ないんだけどタイトル見た瞬間、一瞬秋川雅史を思い出した 志満姉のちょっと不器用だけど健気な応援が新鮮だった
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