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【SS】ことり(18)「今日からあなたの専属メイドになることりです。まりちゃんよろしくね♡」鞠莉(11)「ふんっ…」
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0001名無しで叶える物語(しうまい)
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2020/05/22(金) 00:31:44.58ID:BmqmB1Yv
代行
0171>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 01:12:56.95ID:krBraYn6
大人達の夜、その二 3/4


<まりちゃんがとびっきり可愛くしたいなって思ったときに選べるように、デザインしてみたんです

<横につけてた飾り

<私が昔作った服につけたもので、一番可愛くできたなって思うやつで。ほ………友達も、すっごく誉めてくれたやつで

<まりちゃんのお洋服の好みに合わせて少し変えてみたんですけど、気に入ってくれたみたいで、よかった

<ほんとは、毎日学校に着ていくお洋服も、お休みの日にはくスカートも、パーティに着ていくドレスも、みんな作ってあげたいです

<今度はしっかりまりちゃんとお話ししながら、こんなデザインがいいなって教えてほしい

<そうやって少しずつ可愛いお洋服を増やしていって、まりちゃんが明日を楽しみにしながら毎日過ごせるような、そんな………風に………

<………………
0172>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 01:13:25.50ID:krBraYn6
大人達の夜、その二 4/4


家野 (なるほど、こういうことでしたか)

家野 (奥様と眠ったことなど、もう何年前になるのやら)

家野 (少し──羨ましいですね) スタスタ…


ことり スー

鞠莉ママ ポン…ポン…

鞠莉ママ「あら、もうこんな時間デスか。イエノが寝る前に顔を出さないとは」

鞠莉ママ (また一緒にどこかへ旅行にでも行きたいものね…)


こうして夜は更けていく──
0173>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 01:44:49.04ID:krBraYn6
適材適所、明確な不適 1/3


八日目


ことり「ただいま戻りました」

家野「お帰りなさい、ことりさん。いつもありがとうございます」

ことり「普段は、家野さんが向こうまで送ったりするんですか?」

家野「そうですね、朝から用があって本土へ渡る日なんかは、少し時間が早くてもお嬢様のお見送りもかねて同じ船に乗ることが多いです」

家野「ただお嬢様ももうお年頃ですから、あまり構われてもイヤかと思って、そう毎日はご一緒しないようにしています。本当は学校まで送り届けたいくらいなのですけどね」

ことり「なるほどなるほど、そうですよね。あんまり構われたらイヤですよね。愛情だってわかってても『ほっといて!』ってなっちゃいそうですし」ウンウン

ことり「あ、お洗濯物干してきますね!」タタタ

家野「お願いします」

家野 (頭で理解しているからといって行動が伴うとは限らない、という見本みたいですね) クス
0174>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 01:45:14.96ID:krBraYn6
適材適所、明確な不適 2/3


サンルーム


ことり「♪ふんふふ〜ん」パタパタ

ことり「…むむっ!」っしわくちゃの布きれ

ことり「もうっ小原さんってば!こういう生地のお洋服はネットに入れるか手洗いしなくちゃって言ってるのに!」チュンチュン!

ことり「こんな雑に洗濯してたら、すぐぼろぼろになっちゃって着られなくなっちゃう。乾いたら傷んでるところ見とこうっと」サッサッ

ことり「……………!!」チュピーンッ

ことり っブラ プルプル…

ことり (お、大きい…!ことりの<秘>カップのブラとは迫力が違う…!)

ことり (これは小原さん…?ううん、もしかして家野さん…!普段のお洋服は生地も厚くて装飾も多いから見た目じゃわからないけど、あのメイド服の下に広がるエデンの園には──もしかして、極上の果実が………!?) ゴクリ

ことり (くっ、耐えて。耐えるのよことり。裏地を触ってみたり縫製を確認したりするのはお洋服の勉強として見逃されても、他の好みから誰のものかを想像したりましてや匂いを嗅いじゃったりするなんてっ…そんな、ヘンタイさんみたいなこと…!)

──母親の手料理──幼女向けのテレビアニメ──一面のお花畑──友近姉さんの物真似芸──淡島の緑と内浦の海──YAZAWAの絶壁──

ことり スン

ことり (無心で干そう) サッサッ…
0175>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 01:45:42.20ID:krBraYn6
適材適所、明確な不適 3/3


ことり「〜♪」パタパタ

ことり「────」

ことり「ぁ………ぁあ………っ」カタカタ

ことり「ぁぁぁぁぁぁああああああ……!!」


ことり っ小学生の女の子の服 ババーーーン


ことり (こっこここここことりが干してるのは、ホテルに住んでる中でもごく一部の人達の洗濯物のみ…!)

ことり (小原さん、家野さん、ことり自身、そして──そしオフッw そして、まっまま…まりちゃんのもの…!!)

ことり (まりちゃんの──まりちゃんのまだあどけない、それでいてちょっぴり背伸びしたい気持ちも見え隠れする、揺れ動く思春期の心を体現したかのような可愛いお洋服…)

ことり (背中のデザインがちょっぴり主張強いな、肩から肘にかけて伸びるラインの色はすごく好き、合ってる。確かこれと合わせてたスカートはっと) ゴソゴソ

ことり (こっこれだあ…) エヘヘ…

ことり (それぞれで見ると悪くないけど、まりちゃんの身長と髪の毛、靴とランドセル。みんな含めて考えると上をもう少し落ち着いたトーンの柄モノにするか、スカートを思い切ってパンツスタイルに変えてみるとか──デュフw まりちゃんのパンツスタイルもいいなあ)

ことり デヘヘヘヘ……


家野 (ことりさんはお仕事が早いですが、洗濯物を干す時間だけは日に日に長くなっていきますね) ヤレヤレ…
0176>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 01:46:09.36ID:krBraYn6
Cleaning of Memories 1/3


『まりの部屋』


キィ…

ことり「失礼しまぁす」

ことり「本人がいないときにお部屋に入るのって、なんだかとっても緊張するよね…」


──家野「お嬢様のお部屋の掃除をお願いできますか?」

──家野「ただ、お嬢様もお年頃ですので、できればお部屋に入ったことは気づかれない方がベターです」


ことり「ふっふっふ…」

ことり っハタキ スチャ

ことり「この南ことりをなめてもらっちゃ困りますよ、家野さん」

ことり「適度に散らかっているこのお部屋を、物を動かすことなくお掃除するのは困難です。困難ですが──それは普通のお母さん達のお話!」

ことり「ことりには長年培ってきたスキルがあるのです!」


※ 独り言です。
0177>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 01:46:40.00ID:krBraYn6
Cleaning of Memories 2/3


──ことり「──ちゃあん、こんにちは〜」

──母親「あらことりちゃん、いらっしゃい。あの子ってばお菓子買ってくるって出かけちゃったのよ。ことりちゃんが来るなら言っておけばいいのに」

──ことり「そうなんですかあ」

──母親「どうせ近所の駄菓子屋さんだと思うから、よかったら上がって待ってて。すぐお茶持っていくからね」

──ことり「ありがとうございます!」


──ことり「失礼しまぁす」キィ…

──ことり「──ちゃんってば、またこんなに散らかしてる」

──ことり「片付けておいてあげたいけど、勝手にさわられたらいやかなあ。それなら、ものを動かさないようにすき間だけお掃除しておこうっと」ヨイショヨイショ


──「お母さんたっだいまー!」

──母親「あっ、あんた!ことりちゃん遊びにきてるわよ!」

──「あーっ、忘れてた!いっけない!」タタタタタ

──「ことりちゃん!待たせてごめーん!」

──ことり「お帰りなさい。全然まってないよ〜」

──「お菓子買ってきたから一緒に食べよう!」

──ことり「うんっ!」
0178>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 01:47:10.62ID:krBraYn6
Cleaning of Memories 3/3


ことり「約束して遊びにいくのに、いっつも出かけちゃってたよね」

ことり「お部屋だって、読みかけのマンガとか使い終わったおもちゃとか、いつもそこそこ散らかってたもんね」

ことり「遊びにいくたびに、気づかれないようにお掃除してたから──いつの間にか、変なスキルが身に付いちゃったよ」クス

ことり サッサッ…サッサッ…

ことり「──ねえ。今はきちんと片付いてるかな。ことりなんかがいなくても、ちゃんとお部屋はきれいにしておかないとだめだよ」

ことり サッサッ……サッサッ……


ことり「ふうっ、こんなものかな!」

ことり「うん。見た目には人が入ったなんて全然わからないはずだけど、拭き掃除も磨き掃除もできた。完璧!」フフン

ことり「それじゃ家野さんに報告して次のお仕事をっと〜…」


──ことり サッサッ…サッサッ…

──ことり「…あれ?なんだろう、これ…」カサ


ことり「…………」


ことり「家野さん、お掃除終わりましたよ」

家野「ありがとうございました。それでは次ですが…」

ことり (帰ってきたら秘密のお話があるけど、うーん…どうしよっかなあ。これ…) っ小テスト カサ…
0179>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 01:47:53.46ID:krBraYn6
おおらか・オア・無頓着 1/4


家野「…」

ことり「…」

小テスト『30点』 ドン

家野「なるほど、なかなかのものを見つけてしまいましたね」

ことり「まりちゃんに言うのも小原さんに言うのも気が引けちゃって、巻き込んじゃってすみません」

家野「いえ。元々私がお掃除をお願いしたことで見つかったわけですからね」

ことり「ちなみに、小原さんって成績とかに厳しいんですか?」

家野「そうですね…」

家野「ほぼ全くの無関心ですね」

ことり「そうですか……………えっそうなんですか?」

家野「はい。通知表すらわざわざお見せしなければ見ようともなさいません」

ことり「え、あ、それは…珍しいですね…」

家野「テストの点数や成績が原因で怒っていらっしゃったことは、私の記憶にある限りは一度もないですね」

ことり「い、一度も」
0180>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 01:48:31.91ID:krBraYn6
おおらか・オア・無頓着 2/4


ことり「でもだったらどうしてまりちゃんはテストを隠したんでしょう」

家野「…奥様がそんな風ですから、必ずテストのたびに答案用紙を見せるという習慣は、確かにお嬢様にもないのですが」

家野「これくらいの点数でもあえてベッドの下に押し込んでいらしたことなど、それはそれで一度もなかったと思います」

家野「奥様が長く不在の時期もあるので、そういうときは私に預けてくださるのですが…」

家野「…」

ことり「…?」

家野「これ、つい最近のものですね」

ことり「え?」

家野「先生の性格なのでしょうか。テストの作成日の記載があります」トン

ことり「あ、ほんとですね。先週の金曜日…ってことは、返ってきたのは昨日か一昨日ですかね」

家野「この規模の小テストならば当日に採点が済んだ可能性もありますが、いずれにせよ直近であるのは間違いなさそうですね」
0181>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 01:49:00.07ID:krBraYn6
おおらか・オア・無頓着 3/4


ことり「明日の準備をしてるときに、たまたまベッドの下に紛れ込んじゃったとかでしょうか」

家野「それも有り得なくはないですね。結局、テストに無関心なのはお嬢様にも引き継がれてしまった特徴だと言えるので…」

ことり「もしそうなら、わざわざ見つけたことを話す必要もないですよね」

家野「反対に、あえて見て見ぬふりをする必要もないということではあります」

ことり「そっかあ。まりちゃんの認識がわからないと、どうしたらいいのかもよくわからないですね…」

家野「そうですね。ただこれまでお嬢様を傍で見てきた私の感覚としては、ことさら取り沙汰することではないように思います。たまたまベッドの下に紛れ込んでしまいお嬢様自身がそれに気づいていない、という可能性が濃厚でしょう」

ことり「…だったら、ベッドの下に戻してきますね!」

家野「それもおかしな行為ではあるのですが、お部屋に入ったことを悟られないことを優先していいでしょうからね。お願いします」

ことり「はぁーい♪」タタタ
0182>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 01:49:26.59ID:krBraYn6
おおらか・オア・無頓着 4/4


再び『まりの部屋』


ことり「ぎりぎりまりちゃんが気づくか気づかないかってレベルで、端だけ覗くように…」ゴソゴソ

ことり「こう」

ことり「…ちょっと不自然に出すぎかな。えっとー…こう」

ことり「…隠れすぎかな。なにか物を置いたら見えなくなっちゃうかも…」

ことり「うーん…うーん…」ゴソゴソ…


ことり「…うん!このくらいならいいかな」フゥ

ことり「そういえば小学校って単元ごとに小テストあったもんね。中学校に入ってテストの形式が変わったのは驚いたな〜」

ことり「こんな可愛いテストばっかりだったらやる気も出るのにね」


──「あれがデネブ、アルタイル、ベガ。俗に言う夏の大三角ね」


ことり「…みんなで星を見にいったりもしたなあ。あの子が先生だったら、まりちゃんにも楽しくわかりやすく教えてくれたかもな」

ことり「なんてね」


キィ… バタン
0183>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 01:50:02.97ID:krBraYn6
長女の微笑み 1/1


まり「ただいま!いえの!」

家野「お帰りなさいませ、お嬢様。ことりさんも」

ことり「今日はまりちゃんがお膝に乗ってくれませんでしたぁ」シュン

まり「なんで乗るのが前提なのよ」

ことり「昨日は乗ってくれたもん!」

まり「そっ!れ、は…そんなの気にする余裕なかったからっていうか……」ゴニョ

まり「いいから、早くおやつの用意してて!ママ呼んでくるわ!」スタスタ

ことり「うう………あ、家野さん。紅茶とコーヒー淹れましょうか」

家野「はい。では紅茶をお願いします。お嬢様とも随分打ち解けてきましたね」カチャ

ことり「えへへ…そうですか?」テレ

家野「目標の髪を撫でるのはそろそろできそうですか?」

ことり「それは、まだ…っぽい、ですね…」ム

家野「では引き続き精進ですね」フフ

ことり「あっでも昨日お話はしてくれなかったけどお風呂は一緒に入ってくれましたよ!」ルン

家野「それは素晴らしい」

ことり「それから、それから──」

家野 (お嬢様とことりさんと。姉妹のようで、お二人の仲はずっと見ていても飽きませんね)
0185>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 08:59:26.94ID:krBraYn6
凶兆不安注意報 1/3


九日目


スッ…

家野「! ことりさん、おはようございます──」

ことり「お、おはようございますっ家野さん!!」

家野「!?」キーン

家野「えっと、はい、今日もお元気そうで…なによりです…?」

ことり「はいっ!南ことり、元気です!朝ごはんの用意しますね!」

家野「では、いつも通りお嬢様のご朝食をお願いできますか」

ことり「お任せくださいっ!!」

家野 (う、うるさい…)

鞠莉ママ「なんだか大きな声が聞こえマスが、どうかしまシタか?」ヒョコ

家野「奥様、おはようございます。特になにがあったというわけではないのですが…」

ことり「おはようございますっ小原さん!!」

鞠莉ママ「!? ぉ、オハヨウ…」キーン

家野 (これです、これ)
0186>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 08:59:52.74ID:krBraYn6
凶兆不安注意報 2/3


船頭「おはようございます、まりお嬢さん。メイドのお姉さんも」

まり「おはよう。よろしくね」

ことり「ぉ、おはようございます…」

まり (え。さっきまであんなにうるさかったのに)

船頭「…?乗らないんですか?」

ことり「えっと…」

まり「早くしてよ、学校行くの遅くなっちゃうでしょ」

ことり「…今日は、お見送りここまでにしよっかな、なんて…」

まり「は?」

まり「…どうして?」

ことり「その……今日はちょっと、船に乗るの、は…」

まり「………」


──まり「ママ、また──────の?」


まり「…ことり、あなたも…私のこと…」
0187>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:00:23.33ID:krBraYn6
凶兆不安注意報 3/3


ことり ハグッ

まり「!」

ことり「本当は向こうまで送っていきたいんだけど、今日は…ちょっとね。ごめんね」

ことり「今日、おやつなに食べたい?」

まり「ぇ、ぁ…」

まり「なんか、フルーツの…やつ…」

ことり「わかった。美味しいおやつ作って、まりちゃんが元気で帰ってくるの待ってるからね」

ことり「いってらっしゃい」ギュッ

まり「………うん。いってきます」ギュ…

まり「…!」

まり (汗のにおい?こんな朝から…?)


船頭「出しますよ」

ブ…

ブゥゥゥゥン…


ことり 手フリフリ

まり「…」
0188名無しで叶える物語(庭)
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2020/05/23(土) 09:00:50.03ID:XLSp48ok
前スレで設定踏襲したスクスタ時空っぽい話があったけどあれは作者別だったのか
あれもすげえ面白そうな感じだったからまた読みたい
0189>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:01:24.25ID:krBraYn6
あらかじめ、あったもの。 1/7


ことり「私、温泉見てきますね!」タタタ

家野「あ、はい。お願いします」

鞠莉ママ「イエノ」ヌッ

家野「奥様」

鞠莉ママ「なんだか、今日のコトリは随分と…張り切っている?ように見えマスが、ワタシの気のせいデスか?」

家野「ええ、私にもそう見えますが…」

家野「張り切っている、のとは少し違うようにも見えます。挨拶を含め全体的な声量が大きく、動きも普段より明らかにきびきびしている」

家野「ことりさんもバイタルの波があるでしょうし、その一環なのかもしれませんが…」

鞠莉ママ「…笑顔が、強いデスね」

家野「強い…?」

鞠莉ママ「なんと言うのでショウ。一生懸命笑顔を作っているように見える、というか」

家野「表情が堅い、と?」

鞠莉ママ「ああ、そう言うのかしら。なんだか無理をして笑っているように──…」ハッ

鞠莉ママ「イエノ。コトリを連れてきなサイ」

家野「? は、はい」タタタ
0190>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:02:10.11ID:krBraYn6
あらかじめ、あったもの。 2/7


ことりの部屋


家野「なるほど、こういうことでしたか」

『37.8度』

家野「ことりさん、平熱はどのくらいですか?」

ことり「…36度前半です」

家野「朝から体調が悪いのは自覚していらっしゃいましたね?」

ことり「はい…」

家野「いけませんね」

家野「お仕事をきちんとこなそうとするのは大事ですが、体調不良を隠すのは責任感不足です」

家野「ことりさんはお客様達のいるフロアにも顔を出しますし、まだ免疫力の低いお嬢様とも密接な距離にいる。風邪など伝染るものであった場合、接した相手に影響を与えることも充分に考えられます」

家野「一人で動いていただいているときにもし体調が悪くなって倒れたりしても、それを把握していなければ気付くのが遅くなるかもしれません」

家野「ことりさんご自身のためにも、周りの方々のためにも、決してよい選択とは──」

鞠莉ママ「イエノ」ポン

鞠莉ママ「あなたは現場に戻りなサイ。イエノの手がなくては、現場の業務の進行が間に合わなくなってしまいマス」

鞠莉ママ「コトリにはワタシからよく言って聞かせておくから」

家野「…はい」
0191>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:02:41.31ID:krBraYn6
あらかじめ、あったもの。 3/7


家野「それでは後ほど」


キィ…バタン


ことり「……ごめんなさい」

鞠莉ママ「ノンノン。イエノはマジメなのであんな言い方をしまシタが、コトリを心配していただけデス。言わなければいけない立場というのもありマスから」

鞠莉ママ「…朝からオオゲサに元気がよかったのはわざとデスか?」

ことり「はい…昔からの癖で」

ことり「お母さんがあんまりお仕事を休める人じゃなかったから、風邪を引いたりしたときも気付かれないように隠す癖ができて。いつもより元気に振る舞うようになってました」

鞠莉ママ「シカシああも普段と違えば、余計に変だと思いマスけどね」

ことり「あはは…その通りです。お母さんにも友達にも、すぐにばれてました」

鞠莉ママ「そこはまだまだ子どもということね。オトナはいつもより元気に振る舞うのではなく、いつもと同じように振る舞うものなのデース」

ことり「そっか、そうなんですね…」エヘヘ…
0192>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:03:23.71ID:krBraYn6
あらかじめ、あったもの。 4/7


鞠莉ママ「…」ギシ

鞠莉ママ「いけまセンね。体調不良を隠すのは」

ことり「はい…」

鞠莉ママ「あなたは『それ』を、ずっと後悔しているのでショウ」

ことり「……ぇ…?」

鞠莉ママ「ホノカ、でシタか」

ことり「……………!!」バッ

鞠莉ママ「体調不良を隠して無理をして、倒れて。気付いてやれなかったことをずっと後悔している。自分が気付いていれば、ホノカは倒れなかった。あんなことにはならなかった」

鞠莉ママ「そう、全てを後悔しているのではないのデスか?」

ことり「どう、して……」

ことり「小原さんが、そんな…こと…」
0193>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 09:03:50.05ID:krBraYn6
あらかじめ、あったもの。 5/7


鞠莉ママ「ミナミ」

鞠莉ママ「あなたの母とは、何度か話をしたことがありマス」

ことり「えっ!?」ガタ

ことり「小原さん、お母さんと──っ」フラ

鞠莉ママ「おっと。急に体勢を変えてはいけまセン」ガシ

ことり「なん、なんで、いつ、お母さん、」

鞠莉ママ「落ち着きなサイ」

鞠莉ママ「ワタシの夫が、いくつか学校の理事としての権利を持っているのデス。細かいことはショウリャクしマスが、その仕事の中で話す機会があった──といったところデスね」

ことり「そう、だったん…ですか…」

ことり「…あれ?ってことはもしかして、私がここに連れてこられたのって偶然じゃないんですか…?」

鞠莉ママ「HA-HAHAHAHA!!」カンラカンラ

ことり ビクッ

鞠莉ママ「どこの馬ともanemoneとも知らない輩に大切な娘を任せるほど、愚かではありまセーン」

ことり「え、ええ…」ポカン
0194>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:04:16.98ID:krBraYn6
あらかじめ、あったもの。 6/7


ことり (あ、でも、そっか。だから──)


──鞠莉ママ「今は服作りをしているようデスが、メイドもキライではないのでショウ。いい勉強だと思って頑張りなサイ」

──ことり「そ、そんな勝手なあ…」

──ことり (あれ?服飾の学校にいるって言ったんだっけ…)


ことり (初めから、知ってたんだ…ことりのこと)

ことり (だったらそう言ってくれたらいいのに、待ち合わせの日とっても怖かったんだから…) ムゥ

鞠莉ママ「ミナミはあなたのことをとても心配していまシタよ」

鞠莉ママ「連絡をくれる回数が減った、元気がないのではないか、まだ──気になっていることが残っているのではないか、とね」

ことり「!」

鞠莉ママ「聞けばちょうど学校も休みの時期だというので、いいvacationになればと思ってワタシの帰国に合わせてコトリにも来てもらったというわけデス」

ことり (そんな田舎のおばあちゃんの家に帰るのについていったみたいなノリじゃなかったけど…)
0195>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 09:05:03.33ID:krBraYn6
あらかじめ、あったもの。 7/7


ことり (でも、そうなんだ。お母さんに心配かけて、小原さんまで巻き込んで──私…)

鞠莉ママ「だから、一日だって無駄にしているヒマなどないのデスよ。せっかくのsummer vacationを布団の中で過ごすなんて、ダメ、ダメ、デース」

鞠莉ママ「あなたが体調不良で倒れただなんて知れたら、ミナミからオオメダマを喰らってしまいマスから」テヘペロ

ことり「小原さんってば…」クス

鞠莉ママ「ゆっくり休んで、早く治して。作っていない、本当の笑顔をまた見せなサイ」ポン

ことり「ぁ……」

ことり「はい…」///

鞠莉ママ「ではワタシは行きマス。オネボウなコトリに代わってマリのおやつを用意しておかなければ」スク

鞠莉ママ「また後で顔を見にきマスから。お休みなサイ、コトリ」

ことり「──お休みなさい、小原さん」


キィ… バタン──
0196>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:11:27.85ID:krBraYn6
他人本位な嘘同士 1/8


家野「…」

『まりお嬢様:ちょっとおそくなります』

『まりお嬢様:船は自分で呼ぶからお迎えはこなくて大丈夫です』

家野 (先ほど船が向こうへ行ったのはお嬢様ですかね。間もなく戻ってくるはずですし、一応表で様子を見ておくとしましょうか) スタスタ…


ブゥゥゥ…


船頭「お嬢ちゃん一丁!」

家野「やはりお嬢様でしたか、お帰りなさいませ」

まり「ただいま」ヨット

家野「お嬢様、一つお話ししておくことがあります。ことりさんのことなのですが、」

まり「気分悪いんでしょ」

家野「! ご存知でしたか」

まり「朝、ちょっとね。気になったの」

まり「だからね、いえのに教えてほしいことがあるんだけど」ガサ

家野「それは──」
0197>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:11:57.61ID:krBraYn6
他人本位な嘘同士 2/8


ニュル…

鞠莉ママ「………っ、…フゥ」

鞠莉ママ「…できまシタ!」

料理長「奥様、これは…」

鞠莉ママ「今日のマリのおやつデーース!」


デコレーションケーキ ドドーーーン


料理長「お誕生日はもう過ぎましたが…」

鞠莉ママ「育ち盛りの女の子にはこれくらいの甘いものが必要なのデス!」

料理長「ええ…」

鞠莉ママ「おや?いつもなら帰ってきている時間だけど、まだマリは帰らないのかしら」

家野「奥様、お嬢様がお帰りになりました」ヒョコ

まり「ただいま」ヒョコ

鞠莉ママ「oh, 待っていまシタ!さっそく手を洗ってきなサイ、このspecial cakeを一緒に──」

まり「ママ、今日はおやついらないから!」

鞠莉ママ「!?」ガーンッ…

家野 (またこんなものをお作りになって…)

料理長 (どうするんですかこれ…)
0198>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:12:32.93ID:krBraYn6
他人本位な嘘同士 3/8


ことりの部屋


コンコン

ことり「!」

「起きてる?」

ことり「はい、起きてます。どうぞ」

キィ…

まり ヒョコ

ことり「あっまりちゃん、お帰りなさい。えっとね、これはね」アセ

まり「わかってる。気分悪いんでしょ。いいから寝ててよ」

ことり「…うん」
0199>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:12:59.65ID:krBraYn6
他人本位な嘘同士 4/8


まり モジ…

ことり「? うつったりするやつじゃないから大丈夫だよ」

まり「うん、そう、ならいいんだけど」

まり「…ごはんは?」

ことり「お昼前から寝てたから、食べてないんだぁ」

まり トコトコ…

まり「だったら、ほら、これ、あげる」コト


すりおろしりんごのハチミツがけ


ことり「わあ…!えっ、まりちゃんが?」

まり「べ、別に。たまたまりんごが余ってたから、い、いえのが作ってくれたの。持っていってあげなさいって、まりがって」ゴニョ

ことり「そっか」

ことり「ありがとう」エヘヘ

まり「い、いいから早く食べたら?」プイッ

ことり「うん。いただきますっ」
0200>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:13:47.88ID:krBraYn6
他人本位な嘘同士 5/8


ことり シャムシャム…

まり ジー

ことり「食べやすいし、とっても美味しい」

まり「!」パァ

まり ハッ

まり「そ、そう。後でいえのに言っといてあげる」

まり「まりが言うから、ことりは余計なこと言わなくていいからね」

ことり「はぁい」シャム…
0201>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:14:16.81ID:krBraYn6
他人本位な嘘同士 6/8


まり「…どうしたの?風邪?」

ことり「ううん、風邪じゃないんだよ。ほら、咳は出てないでしょ?」

まり「うん」

ことり「えっとね、たまに…なるんだ。私は普段軽い方なんだけど、何ヶ月かに一回だけ、熱が出ちゃうことがあるの」

ことり「だいたい一日で引くし、付き合い方にも慣れてるから。心配しなくても明日には元気になるよ。ありがとう」

まり「そ、そう。それならいいけど」

ことり「でも、怒られちゃった。小原さんにも家野さんにも。体調が悪いのを隠しておくのはよくない、って」

まり「………言っとくけど、わたしも怒ってるからね」

ことり「えっ!?……ごめんなさい」

まり「うん、許してあげる」

ことり ホッ…
0202>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:14:49.67ID:krBraYn6
他人本位な嘘同士 7/8


ことり「ごちそうさまでした」カラン

まり「晩ごはんの準備はいえのがするからって、ことりは休んでなさいってママが言ってた」

ことり「小原さんはしないんだ…」

ことり「うん、わかった。お言葉に甘えようかな」

まり「寝る?」

ことり「少しだけ」

まり「やっぱりきついんじゃないの」

ことり「…少しだけ」

まり「ねえ、ことり」

ことり「なに?まりちゃん」

まり「わたしには、隠しごとしないで」

ことり「──────」

ことり「…うん。ごめんね」ナデ…

まり「うん…」ギュッ
0203>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:15:32.08ID:krBraYn6
他人本位な嘘同士 8/8


コンコン


家野「ことりさん、体調はいかがですか。食事ができたので、食べられそうなら──」キィ…


ことまり スゥ…スゥ…


家野「お姿を見かけないとは思っていたけれど、やはりここにいらしたのですね」

家野 (奥様から伝染るものではないだろうと言われているし…) スタスタ

空の器

家野 (お腹もまるっきりの空っぽというわけでもないようですし) スッ

家野「また、後で参りますね」ヒソ


キィ… バタン──
0204>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:32:22.86ID:krBraYn6
仁義なき覇権争い 1/2


十日目


ことり「おはようございます、小原さん。家野さん」

鞠莉ママ「オハヨウ。もう良さそうデスね」

ことり「はい、無理もしてません」

家野「おはようございます。それならばよかった」

ことり「ご心配おかけしました」ペコ

まり「おはよう、ママ。いえの。ことりも」

鞠莉ママ「オハヨウ、マリ」

家野「おはようございます、お嬢様」

ことり「まりちゃんおはよう。昨日はありがとう」

まり「な。んの、こと?元気になったんならちゃんとフルーツのおやつ作ってよね。昨日は約束守ってくれなかったんだから」プイ

鞠莉ママ「マリ。おやつならばspecial cakeがありマス」

ことり「あ、ごめんねまりちゃん。今日はおやつ作れないんだぁ」

まり「え、なんで?」

ことり「だって今日は…ねえ」ニコッ

まり「………………まさか…!?」ハッ
0205>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:33:27.67ID:krBraYn6
仁義なき覇権争い 2/2


お昼過ぎ


ことり「やーーでーーすーー!ことりも絶対まりちゃんの応援に行きますー!」

鞠莉ママ「Noooo!! マリのハレスガタを見るのはワタシデース!コトリはおとなしくマリのおやつを作っていなサイ!」

ことり「小学校の場所だってかなんちゃんに教えてもらったし道も調べましたもん!」

鞠莉ママ「ハグゥの言うことなど信じてはいけまセン!海に引きずりこまれマスよ!ワタシがどれだけ頑張ってこの時期にvacationを取ったと思っているのデスか!!」

家野「お二人で行けばよいのでは」


ことり「こんな格好でいいのかなぁ」ソワ

鞠莉ママ「こんなのはどうデスか?」っ喪服

ことり「黒あんまり好きじゃないからイヤです!」

家野「色の問題でしょうか」


ことり「それじゃあ行ってきます」

鞠莉ママ「このコは大瀬崎までヨロシク」

船頭「えっ」

ことり「小原さん!!」チュン!

家野「仲良くなさってください」


ブ…

ブゥゥゥゥン…


家野 (いいな、私も行きたいな) チェー


十日目:今日はまりちゃんの授業参観です!
0206>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:39:02.57ID:krBraYn6
二人行く道 1/4


鞠莉ママ「歩いて行きまショウか」

ことり「はい!」

テクテク…

ことり「小原さんって歩くんですね」

鞠莉ママ「どういう意味デスか?」

ことり「運転手さんがいて車で運んでもらったりするものなのかなーと思ってました」

鞠莉ママ「頼めばクルマを出してくれる者くらいはいマスが、ワタシを運ぶために貴重な人材を使うのはムダというものデス」

鞠莉ママ「歩けば済むし、busだってtrainだってあるのだから。人材は大切に使わなくてはね」

ことり「へ〜、素敵な考え方ですね」

鞠莉ママ「そ、そうデスか?普通のことでショウ、これくらい」ゴニョ
0207>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 09:39:29.11ID:krBraYn6
二人行く道 2/4


鞠莉ママ「淡島の居心地はどうデスか?」

ことり「はいっ、もう最高です!自然がいっぱいで気持ちいいし、ホテルのお仕事も楽しいです。なによりもまりちゃんがいるので♡」ウットリ

鞠莉ママ「よほどマリを好いたようね」

ことり「このまままりちゃんの専属メイドになっちゃいたいくらいですもん」

鞠莉ママ「ハハハ、それはマリも喜ぶでショウ。イエノはイヤかもしれまセンけどね」

ことり「あー、うう…まりちゃんの専属メイドは家野さんのお役目ですもんね…」シュン

鞠莉ママ「第二のマザーとも言うべき存在デスからね」


家野「くしゅんっ」
※ 専属メイドではありません。
0208>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:39:57.21ID:krBraYn6
二人行く道 3/4


ことり「ここを曲がった先だってかなんちゃんが言ってましたよ」

鞠莉ママ「ホントなのデスかね」

ことり「嘘をつく理由がないような…」

鞠莉ママ「前に行ったときはそうでシタが、今も同じとは限りまセンからね」

ことり「どうして小原さんはそんなにかなんちゃんを信じてないんですかぁ」

鞠莉ママ「ハグゥと遊ぶようになってから、マリがイタズラっ子になってきたのデス。夜に部屋を抜け出したこともあるのデスよ」

ことり「へ、そうなんですか?全然そんな風に見えないし、私が来てからは一度もそんな素振りなかったけど…」

鞠莉ママ「ワタシが帰ってきているからでショウね。ハグゥとデスワもそれをわかっているので夜に来ないのでショウ」ヤレヤレ

鞠莉ママ「それに、今はコトリもいマスから」

ことり「私ですか?」

鞠莉ママ「いいコでいたいのだと思いマスよ。マリだけでなく、ハグゥもデスワも」

ことり「夜にお部屋に来たって、抜け出したって、悪い子だなんて思わないですけどね」ボソ

鞠莉ママ「!? コトリまでそんなことを言い出すのデスか!?」

ことり「あっやっ冗談です嘘ですごめんなさい!ちゃんと叱りますっ!」アワワ
0209>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 09:40:23.45ID:krBraYn6
二人行く道 4/4


鞠莉ママ「やっと着きまシタね」フー

ことり「ぽつぽつ他の保護者さん達も入っていってますね」

チラ…チラ…

鞠莉ママ「なんだか見られていマスね?」

ことり「小原さん目立ちますからね」

鞠莉ママ「メイド服のコトリも目立っていると思いマスけどね」

ことり「メイド服で来てる保護者さんはいませんね」キョロ

鞠莉ママ「いるはずがないでショウ」

鞠莉ママ「…コトリ、飲み物を買っておきまショウか」

ことり「校門の傍に自販機あるのっていいですね。私買いますよ」スス

鞠莉ママ「お金は出しマス。ワタシはcocoaで」

ことり「はーい。私はミルクティーかなぁ」ポチ

鞠莉ママ ソロ…

ことり「自販機の冷たいココアって美味しいですよね。私は結局いつもミルクティーにしちゃうんですけど、ココアも好きで──…って、あれ?小原さん…?」

鞠莉ママ「マリの一番乗りはワタシデーーース!!」ダッシュ!

ことり「あーっ!あーっ!?ちょっ、やだ、嘘ずるい小原さん!待って!小原さんが言うから買ったのにひどい!私が先です〜〜っ!!」タタタ…
0210>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 09:41:16.06ID:krBraYn6
的なね。

やっとここまで戻ってくることができました…
前スレのスクスタ時空というのも、恐らくですが私が書いたものだと思います
0215>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 13:02:52.06ID:krBraYn6
内浦限界バトル 1/11


五時間目──


先生「はい、今日は前から話していた通り、みんなの授業をご家族が見にきてくださっていますね」

児童達「「「………」」」

先生「先生は色々と考えました。みんなのどんな様子を見てもらおうかなって」

保護者達「「「………」」」

先生「国語で作文を書いてご家族の前で読んでみようか、算数で一つ難しい問題に挑戦してみようか。音楽で綺麗な合唱を聴いてもらうのもいいかもしれないな」

先生「たくさん考えて、決めました。今日の授業参観は、」

児童達 ゴクリ…

先生「ご家族の皆さんも交じってのドッジボールをやります!!」

児童達(体操着)「「「いぇーーーーーーーっ!!!」」」フウーッ

保護者達「「「!!!??」」」ドヨッ


──体育!
0216>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 13:03:24.69ID:krBraYn6
内浦限界バトル 2/11


体育館


先生「それではみんなは出席番号でAチームとBチーム、Cチームに分かれて、ご家族の皆さんはそれぞれのチームに入ってもらいましょう。試合の順番は…」


ことり「ドッジボール、ですって」

鞠莉ママ「dodge ball... デスか…」

ことり「何年ぶりくらいですか?」

鞠莉ママ「そうね、に──……」

鞠莉ママ「…五年ぶりくらいデース」

ことり「高校生の年齢ですよ、それ!」チュン!

鞠莉ママ「マ、こんなこともあるかもしれないと」ヌギ

鞠莉ママ「準備は万端デーーース!!」バァァァン

ことり「あーーっ!お母さんがランニングとかするときによくしてる格好ーー!」

ことり「ずるい!なんで運動向きのお洋服なんか仕込んできてるんですか!」

鞠莉ママ「アリトアラユル状況を想定できなくては、経営などママなりまセーン。ママだけに!」チッ、チッ、チッ

ことり「私こんな服なのに〜!」


児童達 (((あの人やばそう…))) ザワ…
0217>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 13:03:50.79ID:krBraYn6
内浦限界バトル 3/11


まり「ママ!」

鞠莉ママ「マリはA-teamなのデスね」

まり「うん、ダイヤも一緒よ」

ダイヤ「ごきげんよう、まりさんのお母様」ペコ

鞠莉ママ「…ゴキゲンヨウ」

鞠莉ママ (デスワは大きな家の子だし礼儀は正しいのよね。ハグゥと一緒でなければおとなしいのだけど──)

ダイヤ「こっここここここ、ここここっここここ、ことっ、ことりさんっ、も!ご、ごきげんょ…こんにち、ご…」

ことり「こんにちは、ダイヤちゃん。おんなじチームだね。頑張ろうね!」

ダイヤ「ひゃ、ひゃいっ!」フニャ

鞠莉ママ (あっるぇーーーーー???)
0218>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 13:04:20.89ID:krBraYn6
内浦限界バトル 4/11


男子「えいっ」三○ ヒュン

まり「ことり!ボール来るわよ!」

ことり「きゃあ!」サッ

まり「え?」

Σ まr○三 ビシッ

まり「ぎゃふんっ」

鞠莉ママ「マリ!!」

ことり「うわあごめんねまりちゃん!そんなところにいるなんて思わなくて!」

先生「顔はノーカン!小原さん平気ですか?」

まり「ギャグパートだったから平気です…」フラ

先生「よし、続行!」

ダイヤ「あら?ボールはどこでしょう、まりさんにあたって跳ねかえって…」

鞠莉ママ「hey, boy. カクゴはできていマスね──?」ユラァ

ダイヤ「スポーティな格好のおばさまが復讐に燃えていますわ!」ンマー!

鞠莉ママ「必殺!ギルティ☆ダイナマイト!」≡≡○ ビュンッ

Σ 男s○≡≡ ゴッ

男子「ふぐぅっ!」

先生「胴体(トルソー)!有効!!」ピッ

鞠莉ママ「URYYYYYYYYYYYY!!!」


児童達 (((あの人やば…))) ザワ…
0219>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 13:04:46.80ID:krBraYn6
内浦限界バトル 5/11


鞠莉ママ「なんとか勝ちまシタね」フゥ

ことり「結局外野から戻れませんでしたぁ」

まり「あなたボール見失うの早すぎたわよ」

鞠莉ママ「真後ろから両手の下投げであてられていたものね」

ことり「だってえ…」

ダイヤ「くっ、ことりさんをお守りすることができず悔しい限りですわ…」

ことり「そんな、ことりが弱かっただけだよダイヤちゃん!気にしないで!」

まり (弱かったわね)

鞠莉ママ (弱かったわね)

まり「少し休憩したら、BチームとCチームの試合を見ておかなくちゃね」

ダイヤ「かなんさんはCチームでしたね。味方のときは心強いですが、戦う相手となると気が重い──」


先生「試合終了!Cチームの勝ち!」


ダイまり「「──え…?」」
0220>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 13:05:12.46ID:krBraYn6
内浦限界バトル 6/11


ザワザワ…


まり「え、あれ…?二試合目って始まったばっかりじゃ…」

ダイヤ「五分と経っていないはずですが…」

ダイヤ「あ、あの、今の試合はどうなったのですか?」

男子「見てなかったのかよ黒澤〜」

男子「またあれが発動したんだよ!」

ダイヤ「あれ?…というと、まさか…『あれ』ですか!?」

男子「うわー、あいつとやりたくねー」

まり「ダイヤ?どうしたの?」

ダイヤ「…まりさん。あれを…」スッ

まり「…?」


かなん ダムダム…


まり「かなん…?」

ダイヤ「ドッヂボールをあんな風にダムダムできる人など、そうそういるものではありません。今日の試合──荒れるかもしれませんわね…」ザワ…
0221>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 13:05:48.36ID:krBraYn6
内浦限界バトル 7/11


先生「AチームとCチームの試合を始めます。礼」ピッ

「「「お願いしまーす」」」

先生「ではボールじゃんけんをしましょう」

男子「勝てよ!絶対勝てよ!」

ダイヤ「ここでじゃんけんに負けることは、そのままチームが試合に負けることにもつながりますわ!」

男子「そんなこと言っても…じゃんけんって運じゃんか…」


鞠莉ママ「すごいデスね。全員とても真剣…」

ことり「それだけ、小学生にとってのドッヂボールって大きなことなんですよ。それに今日は──」

保護者達 ザワザワ… ソワソワ…

ことり「絶対に負けたくない闘い、なんだと思います」


「「ボールじゃんけん、じゃーんけーん………」」
0222>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 13:06:13.27ID:krBraYn6
内浦限界バトル 8/11


先生「市原くん、矢上くん、アウト!」ピッ

一同「「「……………!!」」」

かなん ダムダム…

男子「お、おい…またボール松浦に戻っちゃったぞ…」

男子「早く奪わないと、このまま全滅するって…」

男子「だったらおまえキャッチしろよ」

男子「むちゃ言うなよ…」

かなん スッ

男子「! ま、また来るぞ!」

男子「絶対ボール奪え!もう松浦に戻すな!」

かなん ブンッ


ゴオオオオオッ ≡≡≡≡≡≡○


男子「ひっ…!」


──バシッ バシッ


先生「棚元くん、榊くん、アウト!」ピッ
0223>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 13:06:52.82ID:krBraYn6
内浦限界バトル 9/11


ことり「ぁ…また、ボールかなんちゃんに…」

まり「もう三回連続で、一度に二人あててかなんにボールが戻ってるわよ…」

ことり「じゃんけんでボール取られちゃってから、一回もこっちから投げてないね…」

まり「あんなのずるじゃないの…」

ダイヤ「あれこそが、かなんさんの必殺技ですわ」スッ

ことり「ダイヤちゃん!」

まり「まだ生きてたのね」

ダイヤ「ええ、なんとか。というか、おそらくかなんさんがあえてわたくし達はあてないようにしているのだと思います。わたくし達というか、女子ですかね」

まり「そういえば、さっきからあたってるのは男子だけね」

ことり「あんな速さのボール、女の子だったら痛くて泣いちゃうかもしれないよね…」

まり「ってか、なに、必殺技って」

ダイヤ「…」


ダイヤ「──『夏の大三角(トライアングル・シューティングスター)』」
0224>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 13:07:22.44ID:krBraYn6
内浦限界バトル 10/11


ダイヤ「かなんさんがゾーンに入ったときだけ使えるという、ドッヂボール中の必殺技」

ダイヤ「みとれるほどの美しいフォームから放たれるボールは、一人を討って軌道を変えて、さらに一人を討ってからかなんさんの手元に戻る」

ダイヤ「一瞬のうちにえがかれる三角形は夏の夜空に輝く三つの星座のごとく。あまりの勢いにボールを受けた男子が吹っ飛んで尻もちをついてしまうその姿は流れ星のごとく」

ダイヤ「わたくし達の中では知らない子はいないその必殺技は、いつからかそんな風に呼ばれていましたわ」

ダイヤ「あの状態のかなんさんにボールが渡れば最後、こちらの男子が全滅してしまうまで──流星群がやむことはありません」
0225>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 13:07:59.18ID:krBraYn6
内浦限界バトル 11/11


まり「そんな…ってことは、もう…」

ダイヤ「試合の途中でこうなったのならばまだ取り返しようがある場合もあるのですが、相手のチームは誰一人アウトになっていない。最初からこれでは、勝ち目は…」

鞠莉ママ「気弱なことを言うのではありまセン」ザッ

ことり「ここは私達の出番みたいですね」ザッ

ダイヤ「!」

まり「ま、ママ…?ことりも…」

鞠莉ママ「dodge ballをあんな速さで投げる人間など見たことがない。小学生ならば怖くて当然デス」

ことり「男の子でも太刀打ちできないんじゃ、女の子にはどうしても荷が重いですもんね。でも、それなら──『女性』がどうにかすればいいんです!」

鞠莉ママ「………ワタシは女の子なのでやめておきマース」ススス

ことり「あっ!わ、私だって女の子ですもん!小原さんずるいっ!」チュン!

鞠莉ママ「HAHAHA, 冗談デース!」

ことり「もうっ…」

ダイヤ (おばさまが…女の子………??)

鞠莉ママ「さて、それでは──反撃といきまショウ」コキコキ

ことり「はいっ!」
0226>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 13:22:51.74ID:krBraYn6
放課後好々爺 1/10


ダムダム… ダムダム…


かなん (相手のチーム、残ってる男子は四人)

かなん (高橋くんの右肩、浦川くんの左脚、それでコースは見えた)

かなん (悪いね、ダイヤ。まり。ことちゃん)

かなん (あと二球で──終わりにするから!)

かなん ブンッ


ゴオオオオオッ ≡≡≡≡≡≡○


かなん「──────」

高橋「うわっ!」バシッ

かなん「………!!」


ダイヤ「!」

まり「!」


ことり バッ…!!


一同「「「!!?」」」ザワ
0227>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 13:23:19.07ID:krBraYn6
放課後好々爺 2/10


────バシィィッッ

ダイヤ「こ、ことりさん!」

まり「ことり!」

ことり「あ痛ったぁい…!」ヨロ…

かなん「こ……っ、ことちゃん…!!」

ことり「…小原さんっ!」ハァ

鞠莉ママ「イエス!」ダッシュ!

かなん「!?」ハッ…

「ま、松浦の『夏の大三角』が…止まった…」

「ボールが…」

鞠莉ママ ズザザザ…

………パシッ

「こっちに来た…!」


鞠莉ママ「ここからはour turnデース」ニッ っボールと
0228>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 13:23:48.11ID:krBraYn6
放課後好々爺 3/10


鞠莉ママ「高橋ボーイ!ボールから目を離さない!」

鞠莉ママ「浦川ボーイ!out zoneに近づき過ぎデス!」

鞠莉ママ「womenは二人、girlsは三人で固まって!ボールを全体で受け止めて確保するのデース!」


 三○

○====

 ≡≡≡≡≡≡○

 ○)))……


ことり「す、すごい…」

ダイヤ「コート全体を見渡す広い視野、的確な作戦と指示。先ほどまでの一方的な差がどんどん縮まっていますわ…」

まり「ママが本気になったらこんなものなんだから!」ヘヘン

ダイヤ「さすがの手腕には感服ですわ。でも、やっぱり一番の原因は…」


かなん シュン… ←外野


ダイヤ「ことりさんにあててしまったことで、かなんさんがすっかり落ちてしまったことでしょうね」

まり「そうね…」

鞠莉ママ「コラ、そこ!ボールと敵に集中していなサイ!」

ことり「ぴっ!ご、ごめんなさぁい!」

まり「とにかく今は勝つことだけ考えましょ!」

ダイヤ「は、はい…!」
0229>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 13:24:14.06ID:krBraYn6
放課後好々爺 4/10


鞠莉ママ「ハァ……ハァ………」

坂井(敵)「はぁはぁ……ふぅ…」

鞠莉ママ「ギルティ☆ダイナマイト……っ!」==○ ビュッ

坂井(敵)「…っ、ああ!」パシッ


まり「キャッチされたわ…」

ダイヤ「さすがに速度が落ちていますからね…」

まり「内野に残ってるのはママと坂井くん、それぞれ一人ずつ。ボールもお互いにキャッチし合うから、外野からも手出しできない…」

ダイヤ「っ、もどかしい…!外野でボールを回して翻弄すればよいのに!どうしてこちらへボールを下さいませんの?」

まり「それは坂井くんも同じね。なんでお互いにボールを投げ合うだけなのかしら、体力も残ってないはずなのに…」

ことり「それが、誇りなんだよ」

ダイヤ「!」

まり「誇り…?」
0230>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 13:24:40.33ID:krBraYn6
放課後好々爺 5/10


ことり「そう。ここまで戦い抜いて、そして内野に一人きりになった自分の誇り。そして、同じようにたった一人になるまで残ってた相手に対する誇り」

ことり「小原さんも坂井くんも、自分自身の手で決着をつけたいんだよ。誰の手も借りずに、自分だけの手で──!」

ダイヤ「ことりさん…」

まり (よく、わからないんだけど…) ドーン

ことり「! 坂井くんが投げるよ!」

まり「ま、ママ!頑張って!」

ダイヤ「最後までお気を確かに!」

「がんばれ坂井!」

「ママさんがんばって!」


鞠莉ママ「来なサイ…!」

坂井「て、やぁあ…っ!」≡○ ヒュンッ

………

……

0231>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 13:25:27.70ID:krBraYn6
放課後好々爺 6/10


先生「せいれーつ!」

児童達 ゾロゾロ…

先生「みんな、お疲れさま。ご家族の皆さんもお疲れ様でした」

先生「どのチームもとても頑張っていましたね。入学してきたばかりの頃はあんなに小さくて頼りなかったあなた達が、こんなに…たくましく、動き回っている姿に…先生はっ…」ウッ

まり「先生泣いてない?」

ダイヤ「先生は、昨年度赴任してきたはずですが…」

ことり ウルウル…

まり「って、ええ!?なんで貰い泣きしてるの!?」ギョッ

先生「すみません」ズビ

先生「どのチームも頑張ったけど、勝負事なので結果はつきましたね。見事二勝して──Cチームの優勝でした!拍手!」

パチパチパチパチ……

「やったなー坂井!」

「すごかったよ、坂井くん」

坂井「えへへ…」

先生「特に最後の試合はすごかったですね。頑張ったチームメイトと、素敵な試合をしてくれた相手チームのみんなにも向けて、全員でもう一度大きな拍手!」

パチパチパチパチ!

先生「それでは五時間目の体育はこれで終わります。ホームルームをするので教室に戻りましょう」

児童達「「「はーーい」」」
0232>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 13:25:53.90ID:krBraYn6
放課後好々爺 7/10


帰り道…


鞠莉ママ「ハァ…」トボトボ

ことり「まだ落ち込んでるんですか?」

鞠莉ママ「だって!ワタシがもっと踏ん張っていれば、マリをwinnerにすることができたのデスよ!」

まり「わたしは楽しかったし、ママがカッコよかったから満足よ」

鞠莉ママ「そう言ってくれるのは嬉しいデース」ニコ…

まり「ママ…」

ことり「なかなか深刻だね…」

ことり (この日のためにお仕事を調整してお休み取ったんだって言ってたもん。すごく惜しかっただけに、悔しい気持ちもきっとすごく大きいよね…)

ことり (これが国語や算数だったなら、小原さんがこんな気持ちになっちゃうこともなかったのにな…)

まり「ママ、今日はママが作ってくれたごはんが食べたいわ──」


「まりのお母さん!」
0233>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 13:26:26.69ID:krBraYn6
放課後好々爺 8/10


ゴオオオオオッ ≡≡≡≡≡≡○

鞠莉ママ「!?」

ことり「お、小原さんっ!」

鞠莉ママ「クッ、ナンノコレシキ…!」

鞠莉ママ バシッ

ことり「な、ナイスキャッチ」ホッ…

まり「ちょ…ちょっと、危ないじゃない!なにするのよ──かなん!」


かなん ニッ


かなん「とうっ!」シュタッ

かなん「カモン、おばさん」クイクイ

鞠莉ママ「…ホウ、いい度胸デスね」

ことり「え?え??小原さん、ここ校門の前ですよ」アセ

かなん「運動場ならいいでしょ!」タタタタタタ

鞠莉ママ「受けて立ちマース!」ダッシュ!

ことり「えっ、あっちょっと小原さん!かなんちゃん!」

まり「二人とも待ってー!」タタタ…
0234>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 13:26:55.46ID:krBraYn6
放課後好々爺 9/10


「すみませんな、うちのじゃじゃ馬が」ヌッ

ことり「あ、あなたは…?」

松浦爺「これは失礼、松浦と申します。果南の祖父をやっとりますわ」

ことり「かなんちゃんのおじいさんですか!初めまして、えっと…」

松浦爺「ことさんですかな。果南がうちでよく話しとる」

ことり「は、はい。小原さんのところでメイド…使用人のお手伝いをさせてもらってます、南ことりです」

松浦爺「小原さんは相変わらず元気だな」

ことり「そうですね」

松浦爺「もう何年前になるか、ホテルオハラを建てるっちゅうて挨拶に見えたとき。その頃からパワフルなお嬢さんではあったがな、果南に付き合ってやれるのは凄いことだ」

ことり (お、お嬢さん…そうだよね、松浦さんからしたら小原さんなんてまだまだひよっこだよね)

松浦爺「わしも若くないんでな、ドッヂボールは見学させてもらうだけだったが、終わってから果南を叱りつけてやったんですわ」

ことり「叱った、ですか?」

松浦爺「おう!試合の途中でやる気をなくすなんてバカタレのすることだっちゅうてな。果南が最後までやっとけば、小原さんなんか目じゃなかったろう、ってゲンコツくれてやったわ。かっかっかっ!」

ことり「げげげゲンコツ!!?」
0235>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 13:27:22.01ID:krBraYn6
放課後好々爺 10/10


松浦爺「そしたら先生の話が終わるやボールを借りてきよってな、『リベンジするから見てろ』と抜かす」

松浦爺「小原さんに勝てなかったら晩メシは食わせんと言うとるからな、しばらくはああやっとるはずですわ。ま、わしはジャングルジムでもやって気長に待つとしますか」グッグッ

ことり「ジャングルジムはなさるんですか!?」

松浦爺「ことさんも?」クイクイ

ことり「や、私は、その、大丈夫です。かなんちゃん達の応援でもしてます」

松浦爺「そうか。残念」

松浦爺「勤めは小原さんのところだろうが、果南とも仲良くしてやっとくれな。あれも相当あなたを好いとるようだ」

ことり「はい、私もかなんちゃん大好きですから!」

松浦爺「かっかっかっ!」ヒョイヒョイヒョイ

ことり (するする登ってくー!!)


<ことちゃーん、こっちおいでよー!

<コトリ、ジャッジをしなサイ!ジャッジを!

<ねえ、いつまでやるの?


松浦爺 ニカッ

ことり フフッ

ことり「はぁーい!」タタタ…
0236>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 17:25:45.45ID:krBraYn6
まごころクッキング 1/11


十一日目、土曜日




鞠莉ママ「おっと電話デス。Hi, this is Ohara...」

ことり ジッ

まり「どうしたの?」

ことり「ううん、やっぱりお仕事の電話は英語なんだなーと思って」

まり「当たり前じゃない…っていうわけでもないか」

ことり「そうなの?」

まり「うん」

まり「だってママ、イタリアでもお仕事するし、お仕事の相手はドイツの人だったり中国の人だったりするもの。だからいつも英語なわけじゃないわよ」

ことり「そ、そっちかあ…」

まり「今電話をくれたのがたまたま英語圏の相手だったんでしょうね」

ことり「ことりなんか、まだまだイタリア語もうまく喋れないのに…」

まり「ママってばすごいでしょ!」ドヤッ
0237>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 17:26:11.98ID:krBraYn6
まごころクッキング 2/11


鞠莉ママ「Sorry, 出かける用事ができてしまっタわ」

家野「あら」

まり「えーー!ママ、今日土曜日よ!?」ブー!

鞠莉ママ「スミマセン、なかなか会えない人なのデスが、たまたま日本に来ているのだと…」

鞠莉ママ「マリ。イエノの言うことをキチンと聞いて、いいコにお留守番を──」

家野「! 奥様、」

ことり「?」

まり「大丈夫」

まり「わたし、もう五年生よ。ママがお仕事で忙しいことくらいわかってるから」

まり「このお休みだって頑張って取ってくれたのよね。一日くらい我慢するわ」

鞠莉ママ「マリ…」ホッ

鞠莉ママ「一日なんて言いまセン、afternoon-teaには戻りマス!」バッ

家野「運転手は待機させておきます、奥様もご支度を」ササッ
0238>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 17:26:37.46ID:krBraYn6
まごころクッキング 3/11


ブ…

ブゥゥゥゥン…


まり「行っちゃった」

ことり「行っちゃったねえ」

まり「あーあ、せっかくの土曜日くらいママと遊んであげようと思ったのに。やることなくなっちゃったわ」プー

ことり「ね、まりちゃん」

まり「なに?」

ことり「ことり、いいこと思いついたんだけど」

まり「そうなの。よかったわね、頑張ってね」

ことり「違うの!まりちゃんも一緒に!」チュン!

まり「え〜」

ことり「小原さん、午後には帰ってくるって言ったでしょ」

まり「言ったわね」

ことり「だからさ、ことりと一緒に──おやつ作って待ってない?」ニコッ

まり「…!」

まり「や、やる!」

ことり「それじゃ、美味しいおやつ作って小原さんビックリさせちゃおう!」

まり「うんっ!」
0239>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 17:27:03.83ID:krBraYn6
まごころクッキング 4/11


まり「なに作るの?」ソワソワ

ことり「ふっふっふ…ことりはね、こんな日が来るんじゃないかと思って用意してたんだよ」ゴソゴソ

ことり「じゃじゃーん!」っメモ サッ

『まりちゃんと作る!おやつレシピ』デーン

まり「ええ…」

ことり「さーさーまりちゃん、お菓子作りはやること多いんだよ。てきぱき動かないと小原さんが帰ってくるまでに間に合わなくなっちゃうんだから!」

まり「わ、わかったわよ。…でもまりお菓子作るなんて初めてだからなにから始めたらいいかわかんないけど…」

ことり「はい」っメモ

『作業手順(まりちゃん)』

まり「…………ことりは?」

ことり「こっちだよ」っメモ

『作業手順(ことり)』

まり (用意よすぎ…きもちわる…)

ことり「さー、がんばろー!」

まり「お、お〜!」
0240>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 17:27:31.67ID:krBraYn6
まごころクッキング 5/11


ことり「まりちゃんはニガテなお菓子とかある?」

まり「ニガテなお菓子?考えたこともないけど…ことりはあるの?」

ことり「私はねえ、辛いのがダメなんだぁ」

まり「辛いの?」

ことり「唐辛子とかハバネロとか、そういうのあるでしょ。ちょっと食べただけできゃあってなっちゃう」

まり「ああ、そういうお菓子もありなのね。てっきりケーキとかシュークリームとかのことかと思ったわ」

まり「んー………あ、一つあるかも」

ことり「なになに?」

まり「なんていうお菓子か知らないんだけど、なんか…お仏壇に飾ってあるやつ」

ことり「お仏壇?」

まり「うん。かなんと辻宗さんに行ったときにおばあちゃんがくれたんだけど、すっごく甘くて、っていうかたぶんあれただの砂糖だと思うのよね」

ことり「…らくがんかあ」

ことり「らくがんは、そうだね。ことりもあんまり好きじゃないかなあ」

まり「ねー。仏様にあげたものなんだからまり達が食べるべきじゃないと思うわ」プンスコ

ことり「そーだそーだ!」プンスコ
0241>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 17:27:59.12ID:krBraYn6
まごころクッキング 6/11


ことり「よーし」キュ

まり「なに、そんなに気合い入れて」

ことり「ここがね、ことりの作業の中で一番大事な部分なの。慣れてても気を抜いちゃいけないから頑張ろうって思って」

まり「ふうん。…見ててもいい?」

ことり「うん!でも飛んで顔についちゃうかもしれないから少し離れててね」

まり「わかった」ススス

ことり パラ

まり「…ことり!?それ塩よ!?砂糖はこっち!」

ことり「あっううん、お塩でいいんだよ。こうやってほんのちょっとだけ入れておいたら卵白が固まりやすくて、泡立つのが早くなるんだ。お砂糖は後から入れるの」

まり「へ、へえ…そうなの…」

ことり「まぜるよ〜」カチ ウィィィィィィン

まり「………………へ〜…」ジー

ことり「う〜ん、このくらいでいいかな。そしたらまりちゃんがふるってくれたお砂糖を入れます」サラサラサラ

ことり「いっぺんにバンって入れたらせっかく立てた泡が潰れちゃうから、こうやって優しく全体にね」

まり「うん」

ことり「それじゃまたまぜま〜す」カチ ウィィィィィィン

まり ジー

ことり (興味津々。可愛いなあ♡)
0242>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 17:28:26.11ID:krBraYn6
まごころクッキング 7/11


ことり「まりちゃんがかなんちゃんとダイヤちゃんと仲良くなったときのこと、聞きたいな」

まり「えっ」

まり「別に、面白くないわよ。普通だし…」

ことり「それでもいいの。ね、聞かせて?」

まり「………」ムゥ

まり「特別なことなんてなにもなかったわよ、転校したばっかりのわたしにかなんがすぐ話しかけてくれたの。『髪の毛きれいだね』って、なでてくれたの」

まり「わたし、それがびっくりしちゃって。日本に来る前は、お金持ちばっかりのスクールにいたから、そんな風に気軽にしてくるコなんかいなかったもの」

まり「でも、そういうの慣れてなかったから、ちょっと怖い、なに考えてるのかわかんない、ってさけてたの」

まり「でもかなんってば、休み時間のたびにわたしの席まで来て一人で色んなこと楽しそうに話すの。ダイヤはうんとかそうですわねって言うだけだったけど、必ず一緒に来たわ」

まり「かなんのことちょっと怖かったけど、他にお話しする友達もいないし、いつも声かけてくれるから…嬉しかった」

まり「それでね、わたしの誕生日にね、二人がヘアゴムを二つくれたのよ。これ」

まり「誕生日なんか教えてないのになんで、しかもなんで二つ、って思ったら、かなんが『先生に教えてってお願いしたんだ』って。ダイヤが『お母さまとおそろいにしてください』って」

まり「髪の毛なでられたとき、びっくりしてとっさに『ママと同じ自慢の髪』って言ったのを覚えててくれたみたいでね」

まり「ああ、この人達と仲良くなりたい、って思ったの」

まり「…それだけ!面白くないでしょ!」プイッ

ことり「ううん、そんなことないよ。とっても素敵な想い出だなって思う。二人のこと、大切にしてあげてね」

まり「ことりに言われなくってもそうするもの!ほら、手が止まってるわよ!」

ことり「はーい」
0243>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 17:28:57.04ID:krBraYn6
まごころクッキング 8/11


ことり「それじゃ焼こっか」ピピ

まり「そんな短くていいの?」

ことり「うん、まずはね。この後、何回かに分けて焼くんだよ。その間にもすることあるから頑張ろうね」

まり「…お菓子作るのって、大変なのね」

ことり「そうだね。慣れてなかったら段取りもわかんないし、途中でいっぱいいっぱいになっちゃうかも」

まり「ことりは随分慣れてるのね」

ことり「あはは。昔からたくさん作ってたからね」

まり「うちに来る前もどこかでメイドやってたの?」

ことり「えっ!メイドさん…やってなかったことはないんだけど………ううん、ただ普通に、友達にあげたり部活に持っていったりしてたんだよ」

まり「げ、こんな面倒くさいこと好きでやってたの!?」

ことり「めんどくさくないよぉ!手順は多いし時間もかかるけど、食べてくれる人のことを考えながら作ってる間って、すっごく楽しいから」

ことり「まりちゃんも。やること多くて大変だったと思うけど、イヤじゃなかったでしょ?」

まり「……」


──まり『ことり、これどうするの?』

──ことり『下にクッキングペーパーを敷いて、このくらいの高さで…トントントン、って』

──まり『あ、ありがと』


──『いただきマス。………so delicious!! さすがマリ!』


まり「…うん、楽しかった」

ことり「えへへ、よかったぁ」

ことり「もうひと頑張り、しようね!」

まり「うん!」
0244>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 17:29:23.77ID:krBraYn6
まごころクッキング 9/11


ことり ペロ

ことり「うん、いいと思う」

まり「ほんと?」

ことり「ガナッシュが冷めたら生地に絞り出して、冷蔵庫に入れておいたら完成。小原さんが帰ってきたら食べられるくらいになってるはずだよ」

まり「わぁ…!」パァ

ことり「疲れちゃったね、冷めるまで休もっか」

まり「すごいわ、ことりもいえのも。毎日こんなことやってるなんて」

ことり「あはは、普段はもう少し簡単なものが多いよ。でも今日はまりちゃんとの初めてのお菓子作りだったから、やった、頑張った、って思えるものがいいなと思って」

まり「ママに食べてもらうのが楽しみだわ」ワクワク

まり「〜♪」フンフン

ことり「…」

ことり「まりちゃんって、お星さま、好き?」

まり「え?星?なんで?」

ことり「あっううん、たいした理由はないんだけど…」
0245>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 17:29:50.69ID:krBraYn6
まごころクッキング 10/11


まり「好きかキライかだったら好きよ。キラキラしてきれいだもの」

まり「でも、理科で習うのはニガテ。よくわかんないわ」

ことり「そっかぁ。ことりのお友達…に、ね、お星さまに詳しい子がいるんだよ。なんでも知ってて、科学館の職員さんみたいに色んなことを教えてくれるから、その子がなぞる人差し指を追ってお話を聞いてるだけでどんどん引き込まれていっちゃうの」

ことり「ことりもお星さまのことなんかよくわかんなかったけど、その子と星空を見るのは好きだったなぁ」

ことり「いつか、まりちゃんも会ってみてほしいな。そしたらきっとお星さまのこと、好きになれると思うよ」

まり「…色んなお友達がいるのね、ことりには」

まり「わたし、流れ星を見てみたいわ。知ってる?流れ星を見つけてお祈りしたら、お願い事が叶うんだって」

ことり「へえ、そうなんだ。ことり、流れ星は見つけたことないな。まりちゃんだったら流れ星にどんなお願い事をするの?」

まり「そうねー、やっぱり大好きな人達とずっと一緒にいられますように、ってことかなぁ」

ことり「…うん。すごくいいね。私も、そう願いたいな」

まり「ところで、なんで突然星の話?」

ことり「えっ!?」

まり「……………!まさかあなた、まりの部屋に入ったりした?」

ことり「えっっっ!!?し、してないよ!なんで!?」ギクゥッ

まり「ほんとに!?なんでそんなに動揺してるの!?」

ことり「ど、動揺なんてしてないよ。あ!ガナッシュ冷めたかな、様子見なくちゃ!」ガタ

まり「あっちょっとことり!!」ガタ
0246>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 17:30:17.57ID:krBraYn6
まごころクッキング 11/11


パタン…

ことり「冷えたら出来上がり!」

まり「やったーっ!」

ことり「小原さんが帰ってくるのが待ち遠しいね」

まり「うん。いっぱい食べてもらうわ!」

ことり「四人でも食べきれないくらい作っちゃったし、明日かなんちゃん達に持っていってあげたらどうかな?」

まり「わ、それいいわね。きっと喜ぶわ」

ことり「う〜ん、それじゃことりは小原さんが帰ってくるまで少しホテルのお仕事を手伝ってくるね」

まり「あー、そうよね。じゃあまりは宿題やってるわ」

ことり「えらいっ!…あ。ところで、かなんちゃん達がくれたヘアゴムって、小原さんはどうしてるのかなあ?」

まり「つけたことは一回もないわよ」

ことり「そうなんだ…」

まり「でも、机の一番上の引き出しに入ってる。ちっちゃな箱に入れて、大切にしてるわ」

ことり「…うふふ。そうだよね」
0247>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 17:30:46.25ID:krBraYn6
ブレイク ブレイク スタイル 1/6


鞠莉ママ「オォ………ォ…」

まり「じゃーんっ、どうママ!?ことりと一緒に作ったのよ!」

マカロン テテーン

まり「どう?どう??」

鞠莉ママ「──────」カタカタ

ことり (あ、これ感動のあまり大宇宙感じてるやつだ)
※ ことりも大宇宙の経験者だよ!

鞠莉ママ ──ハッ

鞠莉ママ「イエノォ!!スグに coffee を!!」

家野「ご用意できています」カチャ

鞠莉ママ「マリ、コトリ、座りなサイ。スグに頂きまショウ!」

まり「うん!」

ことり「はい!」
0248>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 17:31:12.38ID:krBraYn6
ブレイク ブレイク スタイル 2/6


まり「こっちのがココア味で、こっちが抹茶。これはね、えへへ…コーヒー味よ」

鞠莉ママ「こんなにたくさん、大変だったでショウ」

まり「それがことりったらすごいんだから!レシピほとんど見てないのに、次から次に色んなことやっちゃうの。まりが聞いたこともすぐ教えてくれるのよ!」ニコニコ

鞠莉ママ「ホウ…」

鞠莉ママ「アリガトウ、コトリ」

ことり「いえいえ。まりちゃんとお菓子作りできてとっても楽しかったですから」

鞠莉ママ「…おや、マリはなにを飲んでいるの?」

まり「ホットミルクよ」

鞠莉ママ「ホットミルク…!?」

家野「奥様はこちらを」カチャ

鞠莉ママ「アラ?紅茶?」

家野「召し上がるとおわかりになるかと思いますが、やや濃い目の味になっています。ハイマウンテンの浅煎りでもいいのですが、私はウバの方が合うと感じましたので」

鞠莉ママ「そう、イエノがそう言うのなら文句はありまセン。マリはホットミルク、ワタシは紅茶。なんだか不思議な光景ね」
0249>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 17:31:38.29ID:krBraYn6
ブレイク ブレイク スタイル 3/6


四人「「「「いただきます」」」」

パク…

鞠莉ママ「...Fine Del Mondo...!!」

まり パァ

鞠莉ママ ス…

鞠莉ママ「…なるほど。ウバの渋味と非常に match しマス」

ことり「アフタヌーンティーって言うからには、お菓子によっては紅茶を合わせるのもいいですよね」

鞠莉ママ「そうね」

まり ソワソワ

鞠莉ママ「? どうしたのデスか、マリ」

まり「ねえママ、一緒にコーヒー味の食べましょ」

鞠莉ママ「言われなくても、ぜひ」ヒョイ

まり「せーので食べるわよ。せーのっ」

まり パク

鞠莉ママ パク

モシャ…モシャ…モシャ…

鞠莉ママ「これもとても美味しいわね。coffee がかなり濃いけれど、マリは平気なの?」

まり「うん、ミルクと合わせたらちょうどいいわ」ゴク
0250>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/23(土) 17:32:10.01ID:krBraYn6
ブレイク ブレイク スタイル 4/6


鞠莉ママ「そう、ミルクと合わせるために濃くしてあるのデスね」

鞠莉ママ「ワタシも coffee を飲まなくても満足なほど濃いけれど、マリも食べられるならば──」

ことり ニコニコ

鞠莉ママ「……なんデスか、ニヤニヤして」

ことり「に、にやにやしてないですもん!」

まり「きもちわるい」

ことり「まりちゃんまでぇっ!!」

まり「…あのね、ママ。コーヒー味をこんなに濃くしたのはことりが考えてくれたことなのよ」

鞠莉ママ「ハイ?レシピがコトリのものだというのなら、当然のことでショウが…」

まり「そうじゃないの」

まり「まりが、ママとコーヒーブレイクを楽しめるようにって。考えてくれたのよ」

鞠莉ママ「エ──…?」

ことり「まりちゃんは、まだコーヒーを飲むのは難しいかなって思うんですけど。お菓子ならこれくらい濃くても食べられるみたいだから」

ことり「一緒にコーヒーを飲めないのなら、一緒にコーヒーを『食べる』コーヒーブレイクにしちゃえばいいんじゃないかなって、思ったんです」

鞠莉ママ「────………!!」
0251>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 17:32:37.85ID:krBraYn6
ブレイク ブレイク スタイル 5/6


──鞠莉ママ「まずは好き嫌いデスか。マリは coffee がニガテなようで…」

──ことり「小学生ですよね!?飲めなくて普通だと思いますっ」

──鞠莉ママ「でもワタシはマリと coffee break を楽しみたいのデース!」イヤイヤ

──ことり「ふええ……小原さんの願望じゃないですかあ…」


鞠莉ママ (私が言ったほんの些細なことを、ずっと気にしてくれていて)


──鞠莉ママ「ワタシの tiramisu は coffee の風味が強く感じマスね」

──家野「奥様の分とまりお嬢様の分とで、分量を変えて作っていらしたようですよ」


鞠莉ママ (そう、この子は…マリと実際に会うよりもずっと前から、私達のことを一生懸命に考えてくれていて。ここにいる間も、きっとずっと考えてくれていたのね)


──鞠莉ママ「コトリは kitchen でなにをしているのデスか?」

──家野「お嬢様のおやつを作っているのだと思っていましたけど、どうかしましたか?」

──鞠莉ママ「umm...ワタシが覗いたら、とても慌てた様子で追い出されてしまったのデス」

──家野「あら」


鞠莉ママ「…………」
0252>>1(しうまい)
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2020/05/23(土) 17:33:04.25ID:krBraYn6
ブレイク ブレイク スタイル 6/6


まり「ごちそーさまでしたっ」

家野「どの味も、とても美味しかったですね」

鞠莉ママ「エエ」

家野「日持ちはそんなにしませんよね。残った分はどうしましょうか」

まり「あ、それ明日かなん達に持っていくの」

家野「そうでしたか。では簡単にラッピングをしてから冷やしておきますね」

まり「ありがとう!」

ことり「私、洗い物してきますね」ガタ

まり「あー、お菓子作り楽しかったわ。ちょっと面倒くさかったけど、ことりがちゃんと教えてくれるならたまにやってみてもいいわね。ねえママ、なにか作ってほしいお菓子ある?よくわかんないけど、ことりなら作り方知ってると思うから一緒に作って……… …ママ?」

鞠莉ママ「コトリ、イエノ!こちらへ来なサイ!」

鞠莉ママ「…マリ、話しておくことがありマス」

まり「…?」
0256名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2020/05/23(土) 21:41:58.24ID:rDm3Ld+e
離れて欲しくない…
ことりちゃん鞠莉ちゃんの専属メイドになって欲しい🥺
0261名無しで叶える物語(えびふりゃー)
垢版 |
2020/05/24(日) 08:51:41.18ID:7jncnDKj
面白い
0262名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2020/05/24(日) 09:54:43.74ID:bQXKLy+6
あああああー、癒されんるんじゃーーー
0264>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/24(日) 10:14:40.10ID:qLct1x7D
残酷な通達 1/8


十二日目、日曜日


ことり「……」

家野「保冷剤は入れていますが、黒澤さんのお家に着いたら、おやつの時間までは冷蔵庫に入れさせてもらうんですよ」

まり「わかってる、ありがと!」

鞠莉ママ「わざわざハグゥとデスワァに分けなくても、ワタシがみんな一人で食べるのに」ムスー

まり「ママってば、そんなこと言わないの!」

家野「果南さんを呼びにいかれている間に、船の準備をしておきますからね」

まり「うん、ちょっと呼んでくるわ!」

ことり「まりちゃん、

まり「あ。そうだいえの、今日、四時くらいにお迎えにきてもらってもいい?」

家野「わかりました」

ことり「あ、わ、私お迎え行こうか!?」

まり「………ことりは運転できないでしょ?運転ができる人に来てもらうから、大丈夫よ」ニコッ

ことり「そ、そっか…そうだね…」

家野「……」

鞠莉ママ「……」

まり「じゃあ呼んでくる!」タタタ
0265>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/24(日) 10:15:07.56ID:qLct1x7D
残酷な通達 2/8


かなん「いってきま〜す!」ノシシシ

まり「いってきます」

ブ…

ブゥゥゥゥン…

ことり「………」

家野「ことりさん」

ことり「あ、いえ、大丈夫です。昨日、覚悟はしてたので」

家野「…そうですか」

鞠莉ママ「コトリ、」

ことり「はい」

鞠莉ママ「…イエ、なんでもありまセン」

家野「ホテルのことは時間があれば、で構いません。ことりさんは先にご自身の整理をされてください」

ことり「ありがとうございます、そうしますね」スタスタ…

家野「寂しくなりますね。あっという間の二週間でした」

鞠莉ママ「そうね」


──鞠莉ママ「コトリがウチを出るとき、少しでも別れをイヤがってくれたら、それで成功デス」


鞠莉ママ (「これで成功デスよ」なんて、とてもじゃないけど言えないわね……)
0266>>1(しうまい)
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2020/05/24(日) 10:15:37.42ID:qLct1x7D
残酷な通達 3/8


──鞠莉ママ「…マリ、話しておくことがありマス」

──まり「…」

──家野「…」

──ことり「…」

──鞠莉ママ「ワタシは、明後日出発しマス」

──ことり「!」

──まり「あ…そうよね、もうそんなにたっちゃったんだ」

──鞠莉ママ「それに伴って、コトリも…明後日でウチを出ることになるわ」

──まり「ぇ………」

──家野「あっ、そう…でしたね…!」ハッ

──鞠莉ママ「毎日とても真剣に頑張ってくれて、ホントウに感謝していマス。明後日の昼前にはウチを出ることになるので、明日いっぱい楽しく過ごしなサイ」

──家野「すっかり馴染んでしまっていました。まるで昔からご一緒しているようで、それでいてこれからもご一緒していくかのような気持ちでいましたね。寂しいことですが、あと一日、よろしくお願いします」

──ことり「はい。私も、なんだか変な気持ちです」
0267>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/24(日) 10:16:08.21ID:qLct1x7D
残酷な通達 4/8


──鞠莉ママ「それで明日デスが、せっかくならば四人でどこか出かけて──」

──まり ガタ…

──家野「お嬢様?」

──まり クルッ

──まり スタスタスタ…

──鞠莉ママ「マリ?どうしたの?」

──まり「お部屋に戻るわ。ちょっと寝る」

──家野「え、っと…」

──鞠莉ママ「今スグでなくてもいいでショウ。明日どうするかだけ決めたら、dinner までは自由に…」

──ことり「まりちゃん、明日…」ソッ

──まり「さわらないで!!」パシッ

──ことり「…っ!?」

──鞠莉ママ「マリ!なにをするのデスか!」ガタッ

──家野「お嬢様、どうかなさいましたか──」


──まり ポロポロ……ボロ…ボロ……


──鞠莉ママ「マ、リ…」

──家野「お嬢様…」

──ことり「まり、ちゃん…」
0268>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/24(日) 10:16:36.15ID:qLct1x7D
残酷な通達 5/8


──鞠莉ママ「マリ、どう…したの……」

──まり「………っぱり……」

──まり「…やっぱり、いなくなっちゃうんだ……」グシグシ…

──鞠莉ママ「…………!!」

──まり「ことりも、まりを置いて……行っちゃうんだ…」グズ

──ことり「まりちゃん、わたし…」

──まり「わかってたことだもん、いいわ。平気。そういう約束だったもんね」

──まり「大丈夫だから。ちょっと、疲れたから寝るだけ」

──まり「おやすみなさい」

──まり スタスタスタ…

──家野「……お嬢様、お部屋までご一緒します」タタッ

──ことり「わたし…」ヨロ…

──鞠莉ママ「…スミマセン、コトリ」
0269>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/24(日) 10:17:07.19ID:qLct1x7D
残酷な通達 6/8


──ことり「小原さん…」

──ことり「まりちゃん、『やっぱり』って…『ことりも』って…」

──鞠莉ママ「…ワタシのせいなのデス。イエ、ワタシ達のせい…デスか」

──鞠莉ママ「ワタシも夫も家を離れがちだった、とは話したわね。今はこれでも昔よりずっと長くマリと一緒にいられている方なのだけど、今よりもっとずっと幼いマリをイエノに任せて仕事仕事と飛び回っていた弊害が、……ああいう形でマリの心に傷を残してしまったのデス」

──鞠莉ママ「一人、家に置いていかれること。親しい相手が離れていくこと。それを強く怖がるようになりまシタ」

──ことり「……ぁ、だから…あのとき…!」


──ことり「その……今日はちょっと、船に乗るの、は…」

──まり「………」

──まり「…ことり、あなたも…私のこと…」


──ことり (咄嗟に抱き締められて、よかった)

──ことり (…でも結局、寂しい思いをさせちゃうんだ)

──ことり グ…
0270>>1(しうまい)
垢版 |
2020/05/24(日) 10:18:07.68ID:qLct1x7D
残酷な通達 7/8


──鞠莉ママ「ホントウのことを言うと、コトリ、マリがここまであなたに懐くとは思っていなかったのデス」

──鞠莉ママ「家族以外に心を開く、そのきっかけになる。その程度の変化があればいいと、思っていたの」

──鞠莉ママ「それが、まさか…」

──鞠莉ママ「ごめんなサイ。マリにも、コトリにも、つらい気持ちを味わわせることになってしまいまシタね…」ハァ

──ことり「…ううん、私は。まりちゃんの気持ちに比べたら、なんてことないです」フルフル

──鞠莉ママ「…」

──ことり「…」

──鞠莉ママ「コトリ」

──鞠莉ママ「アツカマシイお願いだとはわかっていマス。でも、どうか…明後日までは、マリのことを…」

──ことり「当たり前です」

──ことり「私、まりちゃんのこと大好きだから。明後日までなんて言いません。これからずっと、もし二度と会うことがなかったとしても、ずっとまりちゃんのことは愛し続けます」

──鞠莉ママ「アリガトウ…コトリ、アリガトウ……」

──ことり「それに、私もう自信あるんです。まりちゃんに好きになってもらえた自信」

──ことり「一度好きになった相手を本当にキライになっちゃうなんてこと、ないって知ってるから。大丈夫です──私も、まりちゃんも…!」
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