千歌「今日からここが我が城かぁ」善子「私もいるんだけど」
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・1
善子「いいからとっとと荷解きするわよ」
千歌「はぁ〜ちかれたぁ」
善子「ちょっと、寝転がらないで」
千歌「善子ちゃん後よろしくぅ」
善子「ちょっとってば!千歌!」
千歌「そんなに慌てなくても大丈夫だよ。時間はこれからだーっぷりあるんだし、ゆっくりやってこ」
善子「こんなダンボールだらけの部屋に住めるか!いいから早く起き上がりなさい!」
千歌「おやすみー」
善子「……」パーン!
千歌「いたい!」 千歌「ぶった……善子ちゃんがぶった……」
善子「ふん」
千歌「どうするの……これでほっぺの内側が擦り切れてそこからバイ菌が言ってバイキンマンになったら……」
善子「バイキンマンそんな悲しい人間の成れの果てみたいなのじゃないから」
千歌「私が現代のバイキンマンになる……」
善子「勝手になってなさい。いいから手を動かして」 千歌「バイキンクロスチョップ!」ドカーン!
善子「いった!!なにすんのよ!!」
千歌「やり返し〜」
善子「こんの!!」パーン!
千歌「いったぁい!!くっそー!!」グイーッ
善子「いたたたた!シニヨン引っ張んないで!!」ドン! 千歌「おっとっと……わぁ!!」ドサッ
バキン!!
善子「え、何今の音」
千歌「いたた……ん?」
善子「ちょ、そのダンボールって何入れてたっけ」
千歌「えっと、これは……」ガサガサ
千歌「……うわぁ」
善子「なになに?」 千歌「……私たちはもう炊きたてのご飯を食べることはできません」
善子「は?まさか……あーー!!!」
千歌「炊飯器は粉々になりました……」
善子「ちょ、あんた……ってお互い様か……」
千歌「そうだね……善子ちゃんがちょっと強めに押したからこうなったんだよ……」
善子「何責任押し付けてくれてんのよ」
千歌「善子ちゃん今貯金いくらあるんだっけ」
善子「何私のお金で買わせようとしてんのよ!!お互いののせいでしょ!!」
千歌「叫ばないでよ隣の人に迷惑でしょ」
善子「こんの……どの口が……」 千歌「どうしようか、これ」
善子「捨てるしかないでしょ……あーあ……せっかくちょっといいの買ったのに……」
千歌「新しいの買いに行く?」
善子「引越し諸々で今そんなお金ないでしょ。暫くはパックのご飯で我慢ね」
千歌「ぶぅ……」
善子「むくれてもしょうがないでしょうが。さっさと片付けるわよ」
千歌「……」グゥ
善子「……あんたねぇ」 千歌「お腹すいたぁ」
善子「……ま、確かに。ご飯にしましょうか」
千歌「買いに行く?」
善子「そうね。散策がてら行きましょう」 ーー
千歌「静かな町だね」
善子「まぁ、住宅街だし。夜も遅いしね」
千歌「お、セブンだ」
善子「歩いて五分。近くて最高」
千歌「揚げ鶏買おうっと」
善子「久々に蒙古タンメン買おうかしら」
千歌「またあの辛いの食べるの?おしり大変なことになっちゃうよ」
善子「大丈夫よあれしき」
千歌「ただでさえ善子ちゃん便秘気味なのに」
善子「うっさい。ほっといてよ」 ピッピッピッ
「3280円です」
善子「たっか!なんで?そんなに買ってない……なにこの大量のハーゲンダッツ!」
善子「ちょっと千歌……いない……」
善子「あんの蜜柑頭……八割払わせてやる……!」
「あの、お客様……」
善子「あ、ご、ごめんなさい!QUICPayで……」
善子「もう〜!」 アリガトウゴザイマシター
善子「千歌ー!!」
千歌「しー!善子ちゃんしー!」
善子「あんたねぇ!」
千歌「善子ちゃん静かにってば!」
善子「はぁ?なに……あ」 千歌「チッチッチッ。おいで」
善子「綺麗な黒猫ね」
千歌「チッチッ」
善子「来ないでしょ」
ンニャア
善子「あ」
千歌「おお」
ニャア
善子「へぇ……人懐っこいわね」
千歌「わぁ、可愛い……!」 善子「首輪は……ついてない」
千歌「この辺に住んでるの?」
善子「そりゃそうでしょ」
千歌「善子ちゃんに聞いてないよ」
善子「猫が答えるわけ」
ニャアン
千歌「答えてくれた!ほら!」
善子「はいはいわかったから……」 千歌「かーわいー!飼いたいなぁ」
善子「ダメよ。マンションはペット禁止」
千歌「分かってるよぉ」
善子「ほら、帰るわよ。アイス溶ける」
千歌「善子ちゃんアイス買ったの?太るよ〜」
善子「あんたでしょうが!!!」
千歌「クロちゃん、またねー」
ニャアン
善子「その名前はやめなさい」
千歌「なんで?」
善子「いいから」 ーー
千歌「ただいまー」
善子「はぁー疲れた。ほんとに疲れた」
千歌「よし、ご飯食べて寝よう!」
善子「だから片付け……」
千歌「そんな気力ある?」
善子「……無いけど」 千歌「じゃーやっぱり明日だ!ね、今日は休んじゃお!お酒も買ったしさ!」
善子「もー……」
千歌「飲まないと冷蔵庫もないからぬるくなっちゃうよ」
善子「わーかったわよ!飲みゃいいんでしょ!」
千歌「さっすが、堕天使ヨハネ!」
善子「その名前で呼ぶのやめなさい!!」
千歌「おっし、じゃあかんぱーい!」
善子「かんぱーい!」
・1 終わり ・2
千歌「片付けも一段落したしー」
善子「したし?」
千歌「お隣さんに挨拶にいきまーす!」
善子「えー……」
千歌「えーって何さ、えーって」
善子「別に行かなくてもいいでしょ。今どき隣人挨拶なんてするの田舎くらいよ」
千歌「田舎出身がなにいってんの。ほら行くよ」
善子「行くならあんた一人で行きなさいよ」
千歌「こんなところでもコミュ症発揮してんじゃない!ほら行くよ!」
善子「ちょ、引っ張らないで!」 ピーンポーン
千歌「……出てこないね」
善子「そりゃ急に知らないやつ来たらね」
ピーンポーン
千歌「こーんにちーはー!」
善子「ちょ、叫ばないの!」 ガチャ
千歌「お、出てきた」
「はい……?」
千歌「こんにちはー!」
善子「こんにちは、突然すみません」
梨子「こ、こんにちは……」
千歌「今度隣に引っ越してきた高海千歌と申します!」
善子「津島善子です」
梨子「はぁ……」 千歌「これ、つまならないものですがよければ!」
梨子「あ、ありがとうございます」
千歌「故郷のみかんです!美味しいので!」
梨子「みかん……」
善子「すみません、騒がしくなりますが何卒よろしくお願いします」ペコリ
梨子「ご丁寧にどうも。こちらこそよろしくお願いします。桜内梨子です」
善子「ほら、あんたも頭下げる!」
千歌「よろしくお願いしまくります!桜内さん!」
善子「ちゃんとしなさい!」
梨子「……」 千歌「綺麗な人だったねー」
善子「そうね。美人OLって感じ」
千歌「歳上かな?」
善子「見た目的にはね。あんたと比べたら尚更」
千歌「むっ、どういう意味?」
善子「鏡見てきなさい」
千歌「むむー!」 善子「あんたそういえば仕事はいつからなの?」
千歌「来週からだよ。善子ちゃんは?」
善子「私明日から」
千歌「そっかぁ。いよいよだね」
善子「そうね。頑張っていきましょ」
千歌「うん!」
善子「新しいところはちゃんとした職場なことを祈るわ」
千歌「だいじょーぶだよ。前に比べたらマシだって絶対」
善子「まぁ、そうね。あんなクソ会社そうそうあってたまるもんか」 千歌「そういえば鞠莉ちゃんから連絡は……」
善子「無いわよ」
千歌「そっかぁ」
善子「なくていいわよ。面倒だし」
千歌「んー……ま、そうだね」
善子「そんなことより、足りたいもの買い足しに行くわよ」
千歌「おっけー!どこ行くの?」
善子「昨日言ったコンビニの先に百均あるみたいだからそこ行きましょ」
千歌「あいあいさー!」 千歌「昨日の黒猫ちゃんいるかなー?」
善子「いないんじゃない?まだ昼間だし」
千歌「なんで?」
善子「猫って夜行性でしょ」
千歌「ああ、昔の善子ちゃんみたいな」
善子「昔の話持ち出すのやめてってば」
千歌「えーいいじゃん。面白話しよーよ」
善子「バカにする気満々じゃない」
千歌「面白いのにぃ」
善子「面白くないってば」
千歌「ギラン!」
善子「やめなさいって!」 ☆ダイ〇ー☆
千歌「便所たわしとー便所洗剤とー」
善子「便所便所言うんじゃないの」
千歌「あとお煎餅」
善子「いやなんでよ」 千歌「あと何がいるんだっけ」
善子「洗濯バサミとハンガー」
千歌「この際100個くらい買っとこう」
善子「いらないわよ」
千歌「見て見て善子ちゃん。クラッカーとか鼻眼鏡とかあるよ」
善子「買わないわよ」
千歌「何かあった時のためにさ」
善子「何があった時に使うのよ。いーから必要なものだけ買ってさっさと帰るわよ」
千歌「もうちょい見ていこうよ」
善子「もーいいから。早く帰りたいの!」
千歌「相変わらず引きこもり体質なんだからぁ」
善子「うっさい」 ーー
千歌「ねー善子ちゃん」
善子「んー」
千歌「これからどうなるかな」
善子「どうなるって?」
千歌「んーと、まぁなんか色々……」
善子「なによそれ。抽象的ね」 千歌「そう思わない?」
善子「……まぁ、あんまり先のこと考えても仕方ないでしょ。なるようにしかならないわよ」
千歌「……知らない町だなぁ」
善子「当たり前でしょ。知らないところに出てきたんだから」
千歌「……今度は上手くやっていこう」
善子「……」
千歌「ね」
善子「ま、あんまり気張らずにね。のんびりやっていきましょ」
千歌「うん!」 千歌「よし、手つなごう」
善子「はぁ?嫌よ恥ずかしい」
千歌「いーじゃん!たまには、ね?」
善子「たまにもなにも、そんなことしたことないでしょ!」
千歌「ほらほら!」ギュッ
善子「ちょ、やめてってば!」
千歌「かーえーろー!おててをつないでかーえーろ!」
善子「離しなさいってばー!」
・2 終わり これはいいちかよし
楽しみがひとつ増えてしまった… スレタイ流し見したらお城ようなホテルに千歌ちゃんが調味持ったように見えた ・3
善子「ただいまー」
千歌「おかえりー!」
善子「はぁ〜疲れたぁ」
千歌「お疲れ様!どうだった?新しいところは」
善子「悪くないわね。まだ分かんないけど」
千歌「そっかそっか。それはよかった」ニコッ 善子「お腹空いた」
千歌「夕飯準備できてるよ!食べよう」
善子「メニューは?」
千歌「お鍋!お酒もあるよ!」
善子「やった、最高ね」 グツグツグツ
善子「ちょ、これ……あんた入れすぎじゃない?」
千歌「久しぶりの労働で善子ちゃんお腹すいてるかなーって思って沢山買ってきました」
善子「蓋閉まりきってないじゃない……」
千歌「たーんとお食べ!」
善子「さすがにこんなに……わっ、吹き出る!」
千歌「わわっ、大変!……あつっ!」 善子「ちょ、大丈夫?」
千歌「あちち……大丈夫大丈夫」
善子「もうほら、水で流してきなさい」
千歌「平気だよこれくらい」
善子「だーめ!水膨れになるわよ。ほら行ってきなさい。鍋は見とくから」
千歌「全部食べちゃダメだよ!」
善子「だから食べきれないって」 千歌「善子ちゃんは心配性だなぁ」ジャー
千歌「……」ジャー
千歌「……うーん、もう大丈夫でしょ」
千歌「……ん?」
千歌「あ!」 千歌「よしこちゃんよしこちゃん!」
善子「わっ、何よ」
千歌「大変!私やっちゃった!」
善子「な、なに?なにを?また下着裏表反対だったとか?」
千歌「違うよ!今日は大丈夫だもん!」
善子「見せんでいい!」
千歌「これ!これ入れるの忘れちゃった!」
善子「これ?……キムチ鍋の素?」
千歌「うん」 善子「ああ……でもあんた辛いの苦手じゃないの」
千歌「今日は善子ちゃんを労うために善子ちゃんの好きな物にしようと思って……」
善子「はぁ……別に無理しなくていいのに」
千歌「無理じゃないよ!私がしたかったの!」
善子「あっそ……まぁ……別にいいけど……」 千歌「うう〜ん……上手くいかないなぁ……」
善子「……気持ちだけで充分よ」
千歌「……でもぉ……」
善子「いいの。分かってるから、無理しなくても」
千歌「善子ちゃぁん……」
善子「何情けない顔してんのよ。ほら、鼻水吹いて」
千歌「……」チーン! 善子「ありがとう、千歌」
千歌「善子ちゃんがデレた……」
善子「う、うっさいわね」
千歌「はい、代わりに鼻水ティッシュあげる……」
善子「いらないわよ!」
千歌「じゃ鍋にいれるね……」
善子「だあああ何してんのよバカチカ!!」 ーー
千歌「んー……おなかいっぱい……」
善子「わたしも……」
千歌「……余ったね……」
善子「ほら、だから言ったじゃない……」
千歌「どうしようこれ……」
善子「雑炊とか作るにしても具が余りすぎてる……」
千歌「……お酒のアテにする?」
善子「いやもう食べれないってば……」 千歌「えー……」
善子「えーって言ってもねぇ……」
千歌「んー……どうしよう……」
善子「……げぷっ」
千歌「……あ、そうだ」
善子「何、今度は」
千歌「ちょっと呼んでくるね」スクッ
善子「え、誰を?」
千歌「いってきまーす!」
善子「ちょ、どこ行くの。千歌ー?」
ガチャ バタン
善子「……もー、何するつもりよ……」 ガチャガチャ
善子「帰ってきた」
千歌「ただいまー!連れてきたよ!」
梨子「お、お邪魔します……」
善子「え」
千歌「さー入って入って!」
梨子「ほ、ホントにいいんですか?」
千歌「うん!善子ちゃんもいいって言ってるし!」
善子「いや、え?」
梨子「そんな風には見えないけど……」
千歌「いーからいーから!遠慮しないで!」
梨子「はぁ……」 善子「ちょ、何してんのよあんた」
千歌「二人で食べきれないなら三人で食べればいいんだよ」
善子「いや理論は分かるけど……」
千歌「それにご飯は人数多い方が楽しいしね!」
善子「ちょ、まっ……はぁ〜」
梨子「あの……」
千歌「あ、座ってください!」
梨子「ご、ごめんなさい。急に……」 善子「いえ。こちらこそすみません。うちの馬鹿が」
梨子「あの、ホントに大丈夫ですか?」
善子「ええ。桜内さんが良ければ是非。食べきれなくて困ってたのは本当なんで」
千歌「桜内さんお酒飲みますか?」
梨子「あ、いえ、私は」
善子「お酒苦手ですか?」
梨子「い、いえ……」
善子「でしたら遠慮なく」 梨子「……じゃあ少しだけ」
千歌「やったー!何飲みます?ビールと酎ハイと日本酒とありますよ」
善子「あんた日本酒まで買ってきたの?」
千歌「うん。今日はたくさん飲むかなって思って」
善子「明日も仕事なのにそんなに飲まないわよ」
千歌「で、何飲みます?」
梨子「じゃあ、酎ハイで」
千歌「はい喜んでー!」
善子「居酒屋か」 千歌「あ、じゃあ桜内さん私達と同い年なんだ」
善子「へぇ、意外。大人っぽいからもっと年上かと思ってた」
梨子「そんなことないですよ」
善子「どっかの誰かさんとは大違いね」
千歌「あ!なんでこっち見るの善子ちゃん!」
善子「自分の胸に手を当てて聞いてみなさい」
千歌「……千歌ってばまるで天海祐希さんみたいな人だねって言ってる」
善子「深刻な精神疾患を患ってるみたいね。可哀想に」
千歌「なんだとこの肉団子頭!」
善子「誰が肉団子よ!アホ毛星人!脳みそアホ毛に吸われてるわよ!」
千歌「なにをーー!!」 梨子「……ふふっ」
千歌「あー!梨子ちゃん笑った!」
善子「ふん、あんたがバカだから」
千歌「善子ちゃんもでしょ!」
善子「シリマセーン」
千歌「むむー!善子ちゃんもバカだよね!ね、梨子ちゃん!」
梨子「梨子、ちゃん?」
千歌「うん!せっかく同い年だからさ、仲良くしようよ!」
善子「あんたはまたそんな……」 梨子「……いいの?」
千歌「いいもなにも、私が仲良くしたいから」
梨子「……!」
千歌「ね、友達になろうよ。せっかくお隣さんなんだし」
梨子「……高海さん」
千歌「高海さん、なんてよそよそしい!」 梨子「千歌、ちゃん?」
千歌「うん!」
梨子「……善子、ちゃん?」
善子「……!え、えと」
千歌「あー何照れてんのー?」
善子「う、うっさい!」 梨子「……あははっ、面白いわね二人とも」
千歌「え?そうかなー」
善子「うるさいだけだと思うけど……」
梨子「ううん、面白いわ。私でよければ是非仲良くしてください」
千歌「やったー!」ダキッ
善子「わぷっ!いきなり飛びつくな!ってかなんで私!」
千歌「いきなり抱きつくのは失礼だから」
善子「どこ常識人ぶってんのよ!」 千歌「じゃー改めてよろしくね、梨子ちゃん!」
善子「よろしく、梨子」
梨子「ええ、よろしく。千歌ちゃん、善子ちゃん」
千歌「よっしゃ、今日は朝まで飲むぞー!」
善子「いやだから私明日仕事!」
千歌「寝ないでいけば大丈夫だよ!」
善子「死ぬわ!」
千歌「日本酒持ってくる!」
善子「ちょ、千歌ー!!」
梨子「千歌ちゃん、私も明日仕事……」
善子「梨子もあいつ止めるの手伝って!」
梨子「ええー!?」
・3 終わり スレタイ見たら、千歌がどこかの城主に任命されて善子が寄騎に付けられたかと思った。 ・4
善子「おはようございます」
オハヨー
善子「さてさて……今日も一日お仕事頑張りましょう」
「善子ちゃーん!おはよー!」
善子(げっ)
善子「お、おはようございます。渡辺さん」
曜「元気ー?」
善子「はい」 曜「今日も一日無理しない程度にがんばろうね!」
善子「はい、よろしくお願いします渡辺さん」
曜「もー曜でいいっていってるのにー!」
善子「い、いえ、そういうわけには……」
曜「お団子乗せてるのにちゃんと真面目なんだね」
善子「はは……」
善子(関係ある?) カタカタカタカタ
善子「えーと……これ、は……」
善子(……分かんない……)
善子(聞くしかないか……)
善子「……あの、渡辺さん」
曜「……」
善子「……?渡辺さん……?」
曜「……すぴー……」グゥグゥ
善子「えー……うそでしょ……」 曜「むにゃむにゃ……ハンバーグは飲み物だよ……」
善子「どうしよう……起こした方が……」
「渡辺ー」
曜「!!」ガバッ!!
ゴッチーン!
善子「へぶっ!!」
曜「あてっ!」
善子「くおぉぉぉぉぉ……」プルプルプル
曜「わっ!ごめん善子ちゃん!大丈夫?」
善子「……だ、大丈夫でっしゅ……」
曜「大丈夫じゃないよね!?」 「ったく、居眠りこくからだ。津島さんの無事が確認できたら頼みたいことがあるから来てくれ」
曜「は、はーい課長」
善子「ぉぉおおお……」サスサス ーー
曜「はい、コーヒー」
善子「ありがとうございます」
曜「ごめんねー私石頭でさ」
善子「あ、いえ……大丈夫です」
曜「いやー今日は眠くてたまんないし、居眠りしちゃってもしょうがないよね」
善子「はぁ……」 曜「善子ちゃんもそう思わない?」ズイッ
善子「わっ」
曜「……」ジーッ
善子「……あ、あの」
曜「……やっぱ善子ちゃん美人さんだね」
善子「へ?」
曜「鼻筋が綺麗で……つり目で、肌白くて、スタイルもいいし。モデルとかやってたりした?」
善子「い、いえ、してません」
曜「そっかー絶対トップモデルになれると思うけどなー」
善子「はは……」
善子(うぅん……やっぱりこの先輩私の苦手タイプね……距離感掴めない……)
善子(まぁ、話しかけてくれるから周りの人達よりは話しやすいけど……) 曜「えいっ」ムギュ
善子「へ、ひやっ!?」
曜「おぉー善子ちゃんのお団子私の手の平サイズぴったり!」ムギュムギュムギュ
善子「やっ、ちょ!」
曜「これって取って野球したり出来ないの?」
善子「できません!!」
曜「食べちゃったりは?」
善子「できるをわけないでしょう!!」 曜「あははっ、そっかー」パッ
善子「はぁはぁ……あ、すみません、つい……」
曜「ううん、いいの。むしろそのくらいの感じで話してくれると私は嬉しいかな」
善子「はぁ……」
曜「仕事は少しでもやりやすく!ね、善子ちゃん」
善子「……善処します」
曜「あはっ、よろしく頼むよ!そろそろもどろっか」
善子「はいっ」 ーー
曜「よし、この件について確認するためにお客さんのところ行くよー!善子ちゃん着いてきて!」
善子「は、はい!」
ーー
善子「え、えと、そちらについては……」アタフタ
曜「善子代わるよ!」
曜「お電話代わりました、渡辺です。はいらはい、そちらの件は……」
ーー
善子「んと、えと……」
曜「善子ちゃん大丈夫ー?何かわからない?」
善子「あ、その、これが……」
曜「ああ、それはね……」
ーー ピンポーン
善子「おわった……」
善子(渡辺さんめちゃくちゃ仕事出来る……すごい……)
曜「よーしーこーちゃーん!」ピトッ
善子「つめたっ!!」
曜「あははっ、どう?運動部のマネージャーみたいでしょ」
善子「……コーヒーを持ってくるマネージャーはいないと思います」
曜「細かいことは気にしないの!はい、お疲れ様のコーヒー」
善子「ありがとうございます……」 曜「あとやっとくから、あがっちゃいなよ」
善子「はい、ではお先に……」
曜「うん!」
善子「……」
曜「?どしたの?」
善子「……もし、よろしければ」
曜「んー?」 善子「……曜さんがよろしけれは、週末ご飯ご一緒にどうですか」
曜「!!」パァァ
善子「うっ」
曜「おー!誘ってくれるの!?」
善子「は、はい、お時間があれば……」
曜「もちろん空いてるよ!バッチグー!」
善子「はは……」
善子(古……)
曜「やったー!今週の楽しみができた!お仕事頑張れるよー!」
善子「……ふふ」
曜「楽しみにしてるね!」
善子「はい!」 ーー
善子「……ふぅ」
善子「……」
善子(……少しは前に、進めてるのかしら)
善子「……」グゥ~
善子「……お腹空いた」 善子「ただいまー」
千歌「おかえりー!」
善子「お腹空いた」
千歌「ご飯の準備できてるよ!」
善子「今日は何?」
千歌「焼きそば坦々麺味!」
善子「はぁ?」
千歌「焼きそばの麺に豆板醤とラー油とまぜてー……」
善子「それただの台湾まぜそばじゃない……」
千歌「ビールもあるよ!」
善子「それは最高」
・4 終わり なんとようよしも網羅しているとは
ありがてえ
更新乙 ・5
千歌「ふんふ〜ん♪」
千歌「お、善子ちゃんまた新しい下着買ってる」
千歌「うわースケベな下着だなー」
千歌「……彼氏でも出来たのかな」
千歌「……今日帰ってきたら問いただしてみよ」
千歌「んしょっと……よし洗濯終わりー!」 ピンポーン
千歌「お、誰か来た。はーい!」
ガチャ
「やっ」
千歌「わー果南ちゃん!」
果南「久しぶり、千歌」
千歌「どしたのー?急に。遊びに来てくれたの?」
果南「そうそう、千歌に会いたくて会いたくてたまらくてさ〜」 千歌「うへへへ、果南ちゃんは可愛いのぉ。どれ、ハグしてやろう」バッ
果南「まぁ、というのは冗談で」
千歌「あてっ!」ドテン!
果南「ちょっと人と会う用事があってね。ついでに来た」
千歌「なんだぁ……ついでかぁ……」
果南「そ、ついで」
千歌「可愛くない……」
果南「誰に向かって言ってんのさ。100年早いよ」
千歌「3つしか歳変わんないでしょ!」
果南「はいはい。おっじゃまー」
千歌「もう!果南ちゃん!」 果南「善子は?」
千歌「仕事ー」
果南「あ、そうか。もう新しい仕事始まってるの」
千歌「うん。ちなみに私は週明けから」
果南「ふーん。ま、頑張んなよ。これお土産」
千歌「やった!果南ちゃん美人!!さすが毎日ワカメパックしてるだけあるね!」
果南「したことないけど」 千歌「んーと……お、これは」
果南「お酒。日本酒がたくさん飲めるお店に行ってきたんだ」
千歌「え、飲んでるの?」
果南「昨日だよ。一泊して今日帰るの」
千歌「そっかー。何時に帰るの?」
果南「決めてないけど、夕方には出るかな」
千歌「ありゃ、じゃあ善子ちゃんには会えないね」
果南「かな。久しぶりに会いたいけど」
千歌「善子ちゃん、果南ちゃんに会いたがってるよ。口ではあんなこと言ってるけど」
果南「素直じゃない可愛いヤツめ」 果南「ここで2人住んでるのかー」
千歌「そだよー。まだ家具とかあんまりないけど」
果南「ふーん……お、これは?」ガサガサ
千歌「あ、それは」
果南「わっ、なにこれ炊飯器?」
千歌「いや〜それはその〜」
果南「あっはっはっは!じゃあそのおっきなお尻で新品の炊飯器砕いたんだ!」
千歌「おっきくないもん!」
果南「いやー千歌は大きい方だよ。ほら」モミモミ
千歌「やめて!セクハラ!」ベシッ 果南「じゃあご飯は?」
千歌「レンジでチンするやつ食べてる」
果南「ふーん、そっかそっか。あははっ」
千歌「笑わないでよぉ」
果南「いやだっておかしい……ん?」
千歌「今度は何?」
果南「炊飯器の下になにか……お?」
千歌「えー?なに……あ」 ーー
善子「ただいまー」
千歌「おかえりー」
果南「おかえり」
善子「げっ」
果南「げっ、とは失礼な。善子が大好き果南ちゃんだぞ」
善子「海に入りすぎて記憶バグったようね……」 果南「んー?聞こえないなー?」ダキッ
善子「むぐっ!」
果南「もういっぺん言ってみ?」
善子「むぐむぐふがふが!」
千歌「あ、善子ちゃん喜んでるー!」
善子「ぶはっ!喜んでないわよ!放して!」
果南「『果南さんのこと大好き!きゅるん!』って言ったら放したげる」
善子「ぶっとばすわよ!」
果南「ぶっ飛ばされるのはどっちかなん?」モチアゲ
善子「わー!ごめんなさい!」ジタバタ 果南「いやー善子相変わらずで安心したよ」
善子「……なんでいるのよ」
果南「野暮用でね。善子が帰ってくる前に帰るつもりだったんだけど、ちょっと予定変わって」
善子「はぁ?」
果南「明日の朝帰ることにした」
善子「え、じゃあもしかして」
果南「うん、泊まっていく」
善子「えーー!!」
果南「お、そんなに喜ばなくても。嬉しいなぁ」ギュゥゥ
善子「ぐるじぃぃぃぃ……」 千歌「善子ちゃーん、お酒飲むでしょ?」
善子「はぁ……はぁ……うん……」
果南「私も私も」
千歌「じゃあ、ビールと果南ちゃんが買ってきてくれた日本酒開けよう」
善子「へぇ、日本酒あるの」
果南「1番美味しかったやつ買ってきた」
善子「果南しては気が利くじゃない」
果南「そんなに私にハグされるのが好きなの?」ギュゥゥ
善子「ごべんなざいぃぃ……」ジタバタ 果南「よし、じゃあ今日はこれを肴にしながら飲もう」ドサッ
善子「ん?」
千歌「さんせー!」
善子「うぎゃーーーーーーー!!」
果南「おおぅ、魂の雄叫び」
千歌「善子ちゃん、近所迷惑だよ」
善子「ななな、なんでこれ……!捨てようと思って炊飯器の……って開いてる!!」 果南「いやー善子の黒ノートは沢山見てきたけど、これは初めて見るよ」
千歌「私もー!これはヨハネちゃんが何千歳の時の話なの?」
善子「うわあああ!!やめなさい!!その名を呼ぶな!!」
果南「だって善子っていうのは仮の名でヨハネが真の名って自分で言って」
善子「うるさああああい!!やっぱりあんたら嫌いよ!!!」
千歌「あ、善子ちゃんそういえばスケベな下着買ってたよね」
善子「はぁ!?」
果南「おぉー見せて見せて」
善子「やめなさいってー!!」
梨子「……」
梨子「善子ちゃんの声かしら」
梨子「……楽しそうね、千歌ちゃん達」
梨子「……お酒飲も」
・5 終わり ・6
千歌「いい天気だねー」
善子「そうねー」
千歌「善子ちゃんの下着も気持ちよさそうにはためいてるよ」
善子「ちょ、ちゃんと飛ばされないようにしなさいよ!」
千歌「遠くへ遠くへ飛んでいけ〜♪」
善子「アホな歌歌うな!」 千歌「お散歩でも行く?」
千歌「えー?せっかくの休みなのになんで外に出ないといけないのよ」
善子「一人で何してんの?」
千歌「善子ちゃんの返事先取りしてみた。合ってるでしょ?」
善子「まぁ、一言一句合ってるわね」
千歌「じゃあれっつごー!」
善子「何でよどういうことよ!」
千歌「ほれほれ」グイグイ
善子「いたたた!シニヨン引っ張らないで!」 千歌「さーどこ行こう」
善子「決めてないの?」
千歌「どこに行くか決めないのもお散歩の醍醐味だよ」
善子「あ、そう」
千歌「なんかテキトーにあっちの方行ってみよう」
善子「はいはい……」 千歌「はいは5000万回」
善子「はい×5000万」
千歌「ずるしないの!!」グイグイ
善子「いたたた!!だから引っ張んないでって!禿げちゃう!」
千歌「なんかこうさ、あれじゃない?」
善子「どれよ」
千歌「あれだよあれ、あれ」
善子「だからどれよ」
千歌「あれだってば!」
善子「何キレてんのよ!」 千歌「アホ!」
善子「はぁ!?」
千歌「えっとねー、なんかこうさ」
善子「早く言いなさいよ……」
千歌「高校生の頃思い出すなぁって」
善子「あぁ……」
千歌「いつも一緒に帰ってて。寄り道したり買い食いしたり」
善子「海に行ったりね」 千歌「そーそー。善子ちゃんが急に裸になって海に飛び込んだりね」
善子「してないし、飛び込んだのはあんた。しかも制服のまま」
千歌「そーだっけ?」
善子「そーよ。私を道連れにしてね」
千歌「善子ちゃんのお団子が飛び込みたいって言ったから」
善子「言ってないし」 千歌「イッタヨー。ボクイッタヨー」
善子「何変な声出して」
千歌「よしこだんごの声」
善子「バッカじゃないの」
千歌「バカなのは善子ちゃんのお団子とお顔」
善子「誰の顔がバカだって?」ムニィ
千歌「いひゃいいひゃい」 千歌「お、こんなところに本屋」
善子「へぇ、大きいわね」
千歌「魔導書でも買ってく?」
善子「買わない。魔導書売ってる本屋ってどこの世界線よ」
千歌「あ、そうか。善子ちゃんは自分で書くもんね」
善子「一々一言余計よ」 「いっぱい買ったずら〜」
千歌「ん、美少女発見!」
善子「ちょ、やめなさいよ変質者」
千歌「そうです、私が変なお姉さんです」
善子「やめなさいって」
千歌「あの子すごいね。風呂敷パンパン」 善子「っていうか今どき風呂敷って……あっ」
千歌「あっ」
ズテン!
「いたっ!」
千歌「だ、大丈夫ですか?」
善子「派手にコケたわね……」
「いたた……ああ、本が……」
千歌「よいしょ、はいっ」
善子「傷は……ついていなわね。これで全部?」 「あ、ありがとうございますずら」
千歌「ずら?」
「あ、いや、その……」
千歌「怪我は無いですか?」
「は、はい。本当にありがとうございます」
千歌「いえいえ〜お礼はうちの善子ちゃんの一発芸見てくれれば」
善子「何言ってんのよ!」 「これ……」
千歌「ん?」
「お礼に。ささやかですけど……」
善子「これは……?」
「べっこう飴です。ばあちゃんが作った」
千歌「べっこう飴!へぇー!」
善子「懐かしいわね」
「あの、本当にありがとうございました」
千歌「いえいえー!」
善子「お気を付けて!」
「はい、失礼します」 千歌「美少女だったねー」
善子「まぁ、確かに」
千歌「文学少女かな?」
善子「かもね。絵に描いたような感じの」
千歌「古い図書館の端っことかにいそう」
善子「千歌とは真逆ね」
千歌「え?スポーティ美少女って?照れるなぁ〜」
善子「そのおめでたい耳と頭、本でも読んでどうにかしてきなさい」
千歌「お団子頭に言われくはない」
善子「お団子になんの恨みがあるのよさっきから」 千歌「べっこう飴たーべよ」
善子「あ、私も」
千歌「昔おばあちゃんの家で食べたなぁ。懐かしい」
善子「そうね。まぁでも、あの子ならなんかしっくりくるというか」
千歌「うん、うん。なんかおばあちゃん家の匂いしたし」
善子「え、変態」
千歌「それは不本意だよ津島くん」 善子「近づかないで」
千歌「誤解だってば!」
善子「さよなら」スタスタスタ
千歌「ちょ、待ってって!善子ちゃん!」パクッ
千歌「あ、甘い」
千歌「よしこちゃーん!!ちょっとー!!」
・6 終わり ・7
「花丸」
花丸「なんずらー?ばあちゃん」
「夕飯の買い物に行ってきてちょうだい」
花丸「うん、わかった」
「この紙のものをお願いね」
花丸「はーい。行ってきます」 「あ、これを持っていきなさい」
花丸「またべっこう飴?」
「あんたはすぐに腹が減るから、その時はこれでも食べなさい」
花丸「おら、そんな食いしん坊じゃないずら」
「はらぺこのあんたに食べ尽くされたら困るからねぇ」
花丸「ばあちゃんひどいずらー!」
「ほら、行ってきなさい」
花丸「はーい……」 花丸「もう、ばあちゃんはおらのことなんだと思ってるずら……」
花丸「さすがのおらだってそこまで食いしん坊じゃ……」
グゥ~
花丸「……」グゥ~
花丸「……べっこう飴食べよ」
花丸「あーむ」
花丸「……うん、やっぱり美味しいずら。ばあちゃんのべっこう飴」
花丸「〜♪」 ☆スーパー☆
花丸「えーと、じゃがいもとひき肉と白滝と……今日は肉じゃかな?ばあちゃんの肉じゃかは最高に美味しいずら」
花丸「んーとこれと……えっと……」
「あら、あなたは……」
花丸「ずら?」
善子「やっぱり。この前の」
花丸「あーこの前の……!」 善子「お買い物?」
花丸「は、はい」
善子「ま、そりゃそうか。スーパーにいるんだし」
花丸「えっと、あの……」
善子「ああ、ごめんね。私は津島善子。あなたは?」
花丸「……国木田花丸です」 善子「へぇ、珍しい名前ね。羨ましい」
花丸「羨ましい?」
善子「ほら、私平凡な名前だから。善子なんて昭和みたい」
花丸「そうかな?そんなことないと思うずら」
善子「ずら?」
花丸「あ、いや。そんなことないと思います。素敵な名前です」
善子「ああ、ごめんね。そんなつもりじゃなかったの」 花丸「津島さんもお買い物ですか?」
善子「ええ。同居人がが新しい会社での初出勤だったから今日は私が作ろうと思って」
花丸「それって、この前一緒にいた……」
善子「そうそう、蜜柑色頭の。高海千歌っていうの」
花丸「勝手に名前教えていいんですか?」
善子「いいでしょ、別に。千歌だし」
花丸「どういうこと……?」 アリガトウゴザイマシター
善子「へぇ、いいわね華の大学生」
花丸「はい、毎日楽しいです」
善子「学生羨ましいー!社会人はほんとに……」
花丸「社会人の人達は大変そうですね」
善子「まぁ……ね。全員がそうとは限らないけど」
花丸「ふぅん……」 善子「ま、今を存分に楽しむ事ね。学生にしか出来ないことが沢山あるから」
花丸「学生にしかできないこと……」
善子「ええ。沢山勉強して沢山遊んで……やりたいと思えばなんでも出来るわ」
善子「夢を見ることも、後悔することも」
花丸「……」 善子「精進したまえ、学生諸君」
花丸「津島さんって、変わってるずら」
善子「変わっ……!?」
花丸「変人ってよく言われません?」
善子「な、ちょ、あなた大人しそうな見た目のくせに意外と言うじゃない……」
花丸「思ったことは口に出す主義ずら」 善子「言ってくれるわね……このずら丸」
花丸「ずら丸〜!?」
善子「必死に言い直してるけど隠しきれてないわよ」
花丸「うぐっ、おら、また……あ」
善子「あっはっは!あなた面白いわね〜!」
花丸「むむ……なんかちょっと……笑われるのは納得いかないずら……」 善子「あ、私こっちだから。またね、ずら丸」
花丸「ずら……」
善子「笑っちゃって悪かったわ。そんな顔しないでよ」
花丸「……」
善子「ふふ、今度ご飯でも行きましょうか。お詫びと、この前のべっこう飴のお礼に奢ってあげる」
花丸「……ほんとずら?」
善子「ええ。LINE教えてちょうだい、連絡するから」 花丸「え、あ、らいんずらね。えと、えと……」モタモタ
善子「なになに、スマホ初心者?大学生で?」
花丸「さ、最近買ってもらったから……LINEは……」
善子「ちょっと貸して。ここを……」
花丸「おおー早いずら!」 善子「じゃ、また連絡するわねー」フリフリ
花丸「……行っちゃった」
花丸「……」ガサガサ
花丸「あむっ」
花丸「……美味しいずら」
・7 終わり 曜は善子におごられる
マルは善子におごられる
つまり挟み撃ちの形になるな ・8
善子「ふぅ……終わった……」
曜「よしこちゃーん!お疲れ様ー!」
善子「曜さん。お疲れ様です」
曜「今日空いてるー?」
善子「あ……えっと」
善子(千歌のやつ、確か歓迎会って言ってたわね)
善子「はい、空いてます」 曜「おっけー!よし、じゃあご飯行こう!」
善子「はい!」
曜「何食べたい?」
善子「んーと……」
曜「あ、善子ちゃんお酒飲める?」
善子「ええ」
曜「じゃあ私の行きつけの居酒屋行こうか。だし巻きがめちゃくちゃ美味しいんだ」
善子「いいですね。だし巻き」
曜「よしれっつごー!」 善子「――ん?」
梨子「あれ」
善子「梨子」
梨子「善子ちゃん」
曜「え、なになに?知り合い?」
善子「アパートのお隣さんです」
曜「へー!美人さんだね!」
梨子「び、美人?」
曜「はい!お姉さん美人ですね!」
梨子「……い、いやぁ〜そんなこと……」
善子(この子意外と顔に出るタイプなのね……) 善子「仕事帰り?」
梨子「うん。善子ちゃんも?」
善子「ええ。職場近かったのね……あ、こちらは」
曜「善子ちゃんの先輩の、渡辺曜でーす!」
梨子「桜内梨子です。善子ちゃんの……お隣さんです」
曜「桜内さん!名前も美人だね!」
梨子「ちょ……あの……ありがとうございます」
善子(天然タラシ……) 曜「そーだ。桜内さんこれから暇ですか?」
梨子「え?えと……予定はないです」
善子「えっ」
曜「じゃー桜内さんも一緒に飲みに行きません?」
善子「えっ」
梨子「えっ」 ーー
曜「かんぱーい!」
よしりこ「「か、かんぱーい」」
曜「んぐんぐ……ぷはっ!美味ーい!」
善子「……」ゴクゴク
梨子「んっんっ……ぷはっ」
曜「おいしーね!」
善子「は、はい……」
曜「沢山飲んでね!」
梨子「は、はい……」 曜「いやーいい金曜日だー!後輩と美人さんと飲めるなんて!」
梨子「あの……ほんとに私まで良かったんですか?お邪魔では……」
曜「だいじょぶ!後輩のお隣さんは後輩も同然だよ!」
善子(どういうこと……?)
曜「善子ちゃんはお酒好きなの?」
善子「はい。家でもよく飲みます」 曜「桜内さんは?」
梨子「好きです」
曜「ありゃ、告白されちゃったよ善子ちゃん!」
梨子「えっ」
善子「違いますよ……もう酔ってるんですか?」 曜「――へぇー善子ちゃんは友達と同居してるんだ」
善子「はい」
曜「どんな子?」
善子「えっと……有り余るほど元気でなやつです。ちょっとうるさいくらい」
梨子「いつも賑やかよね」
善子「うるさいわよね……ごめんなさい」
梨子「ううん、楽しそうだなーって」 曜「へぇーいいなぁ。仲良いんだね、同居するなんて」
善子「まぁ……腐れ縁というか」
梨子「いつからの友達なの?」
善子「中学よ」
梨子「へぇ……長いのね」
善子「まぁ、ね」 曜「梨子ちゃんは一人?」
善子(梨子ちゃん……)
梨子「ええ、まぁ……」
曜「恋人とかは?」
梨子「いないです」
曜「へぇ、美人なのにね」
梨子「あ、ありがとうございます」 曜「善子ちゃんも美人なのに恋人いないよね。世の中どうなってんだー!」
善子「曜さん、酔ってます?」
曜「酔ってないよー!あはは!」
善子「うーん……」
梨子「酔ってるね……」 曜「あービールが美味しい季節になってきたし泳ぎたいなー」
善子「海ですか?」
曜「うん!海もいいしプールもいいし」
梨子「まだちょっと早い気がしますけど……」
曜「沖縄とかは海開きしてるよ。ひと泳ぎ行きたい」
善子「ひと泳ぎの距離じゃない……」 曜「いやー最近泳げてなくてね。水が恋しくてたまらんのだよ」
善子「水泳とかやってたんですか?」
曜「うん、大学までずっと。結構頑張ってたんだよ」
梨子(……あれ?)
善子「へぇ……確かに筋肉が」ムニッ
曜「わっ、善子ちゃんのえっちー!」
善子「わ、す、すみません」
曜「いいよ……善子ちゃんなら……」
善子「え、ちょ、まってまって!」
梨子「……」ゴクゴク 曜「本格的に夏になったら善子ちゃんも一緒に海に行こう!」
善子「私あんまり泳ぎは……」
曜「だいじょーぶ!私が優しく丁寧にエロティックに教えてあげるから」
善子「エロティックって……」
曜「梨子ちゃんも一緒に行こうよ!」
梨子「わ、私もですか?」
曜「うん!際どい水着着てさ!」
梨子「着ません」
曜「あはは!手厳しー!」 曜「善子ちゃんのお友達も!一緒に!」
善子「まぁ……はい、伝えときます」
曜「絶対だよ!」
善子「は、はい。分かりましたから」
曜「私楽しみにしてるからね!」ズイッ
善子「分かりました分かりました!」
曜「よーし!じゃあかんぱーい!」
善子「かんぱーい……」
曜「梨子ちゃんも!」
梨子「は、はい。かんぱーい」 ーー
曜「じゃーねー!気をつけてねー!」フリフリ
善子「お疲れさまでした。曜さんもお気をつけて」
梨子「ありがとうございます。私の分まで出してもらって……」
曜「いーのいーの!また飲みに行こう!」
梨子「はい、是非」
善子「……大丈夫かしら」
梨子「まぁ、足取りはしっかりしてたから」 善子「飲んだらさらにテンション上がるとは……」
梨子「ふふ、善子ちゃんの周りは賑やかな人が多いわね」
善子「なんでかしら……」
梨子「渡辺さん、千歌ちゃんと気が合いそう」
善子「……確かに。似たタイプだし」
梨子「善子ちゃんは人集めの才能があるのかしら」
善子「そんなことないわ。たまたまよ」 梨子「私はずっと一人だから……賑やかなのがちょっぴり羨ましいかも」
善子「……ものは見方ね。私は一人の方が羨ましいわ」
梨子「……?」
善子「はぁー久々に結構飲んだけど、まだ少し飲みたいかも」
梨子「私も」
善子「千歌のやつ、もう帰ってるのかしら」
梨子「千歌ちゃんが良ければ、うちでもう少し三人で飲まない?」
善子「いいわね」
梨子「じゃあお酒買っていきましょ」
善子「おっけー」
・8 終わり 曜ちゃんみたいな体育会系テンションに鳥肌立つけど、なんか羨ましい ・9
ダイヤ「高海さん」
千歌「はいはい!」
ダイヤ「返事は一回でよろしい。この間頼んだ仕事ですが」
千歌「はい!」
ダイヤ「少しミスが目立ちますわね。確認をしっかりなさい」
千歌「すみませーん……」 ダイヤ「明日までにやり直してくるように」
千歌「はーい……」
ダイヤ「……」
千歌「うーん……」
ダイヤ「……その他はよく出来ています。ミスも段々減ってきてますし。肩を落とす必要はありません」
千歌「!ありがとうございます」
ダイヤ「切り替えて、頑張りなさい」
千歌「はい!」 ダイヤ「……」
「黒澤主任」
ダイヤ「なんでしょう」
「この間の商談の件なんですが、先方が急に……」
ダイヤ「……分かりました。わたくしが問い合せます」 ダイヤ「――でして、明後日先方に直接伺うアポを取りました」
「分かった、頼むよ黒澤君。うちのこれからを左右する大事な案件だ」
ダイヤ「はい」
「それと、新人の子はどうだね」
ダイヤ「少し雑さが目立ちますが、一生懸命頑張ってくれています。成長の見込みはあるかと」
「人手不足だ。なんとか使えるようにしてくれ」
ダイヤ「承知しました」 ダイヤ「……ふぅ」
ダイヤ「ちょっと疲れましたわね……」
千歌「くろさわしゅにーん!」
ダイヤ「高海さん」
千歌「お疲れ様です!はいこれ!」
ダイヤ「コーヒー……」 千歌「お疲れのようだったので」
ダイヤ「……ありがとうございます」
千歌「あ、あの、コーヒー苦手だったりします?」
ダイヤ「いえ、大丈夫よ」
千歌「良かったぁ。怒られるかと……あっ」
ダイヤ「ふふっ、気を使ってくれた部下に叱責するほど、私も頭固くは無いですわ」
千歌「すみません……」 すまん、残り半分は明日投下する
とりあえずここまで ダイヤ「どうですか、仕事の方は」
千歌「んと、まだまだ慣れないけど……頑張れる気がします!」
ダイヤ「そうですか、それは良かった。無理しない程度に頑張ってください」
千歌「はい!」
ダイヤ「何かありましたらわたくしに遠慮なく聞いて。聞きづらいかもしれないけど」
千歌「そうですか?そんなことないと思いますけど」
ダイヤ「!」 千歌「黒澤主任、凄く丁寧にわかりやすく教えてくれるので私すっごく助かってます!」
ダイヤ「……ありがとうございます。初めて言われましたわ」
千歌「ホントですか?黒澤主任の初めてもらっちゃった……///」
ダイヤ「妙な言い方をしない。時間ですし、行きますわよ」
千歌「はいはーい!」
ダイヤ「……ふむ」 ーーー
ダイヤ「ただいま」
ルビィ「お姉ちゃん、おかえりなさい」
ダイヤ「今日は大学は無かったの?」
ルビィ「うん。お風呂湧いてるよ」
ダイヤ「ありがとう」
ルビィ「ご飯ぱぱっと作っちゃうね」 ダイヤ「今日は何かしら」
ルビィ「青椒肉絲だよ。テレビでやってたから食べたくなっちゃった」
ダイヤ「いいわね。じゃあ早めにお風呂済まさないと」
ルビィ「……お姉ちゃん今日なにかいい事あった?」
ダイヤ「え?何故です?」
ルビィ「なんだか機嫌がいいから」
ダイヤ「……そうね、お風呂から上がったらゆっくり話すわ」
ルビィ「うん!」 ーー
千歌「ただいまー!」
善子「おかえり」
千歌「およっ、善子ちゃん今日は早いんだね」
善子「ええ。お風呂湧いてるわよ」
千歌「さっすがー!できるお団子は違うねー!」
善子「人をだんご呼ばわりするな。ほら、ちゃっちゃっと入ってきなさい」 千歌「ほいほいほーい!」ヌギヌギ
善子「だー!脱衣所で脱ぎなさいよ!玄関で脱ぐな!」
千歌「おっふろー!」
善子「せめて服は片付けていきなさいよ!」 ーー
曜「今日も働いたー!」
曜「うーん、今日はお酒買って帰っちゃおうかなぁ」
曜「ふんふ〜ん♪」
「Excuse me…」
曜「え?」
「ちょっといいですか?」 曜「外人さん?あ、あいむきゃんとすぴーくいんぐりっしゅ!」
「落ち着いて。日本語よ」
曜「あ……えへへ」
「渡辺曜、さんね?」
曜「は、はい。え、なんで名前……」
「善子の先輩で教育担当……株式会社マリングループの若きエース」
曜「え、なに、え?善子ちゃんの知り合いですか……?」 「ああ、申し遅れたわ。妹がいつもお世話になってます」
曜「妹?」
「ええ。津島善子の実姉」
鞠莉「小原鞠莉と申します」
・9 終わり 既婚マリーエッッッッッッ!?!??
両親の離婚とかもあるけど 善子がダイヤの妹じゃなくて鞠莉の妹なの新鮮
てかみんないくつくらいの設定なんだろ ・10
イヤアアアアア!!
千歌「お、なんだなんだ」
善子「隣……梨子かしら」
千歌「ムンクもびっくりの叫びだね」
善子「馬鹿なコメントね」 ピンポンピンポン
千歌「はぁーい」
ガチャ
梨子「助けてぇぇぇぇ!!」ガバッ
善子「わっぷ」
梨子「助けて助けて助けて!!!」グググ
善子「ちょ、しまってるぅぅ」
千歌「どしたのー?便秘?」
梨子「便秘でそんな声出さないわよ!!既に便秘だし!!」
千歌「そ、そうなんだ」
善子「いいからはなしてってば!!」 ちかよし「「ゴキブリ?」」
梨子「名前を出さないで!!」パシーン!!
千歌「へぶっ!!」
善子「理不尽!!あんたが言ったんじゃない!!」 梨子「お願い何とかして!奴を滅さなければ私の今後の人生がおじゃんに……」
善子「大袈裟すぎでしょ。たかがゴキブリで」
梨子「名前出さないでってば!!」パシーン!!
善子「ぶへっ!!」
千歌「……いたい……」 ー梨子の部屋ー
千歌「ゴキジェットー!!」ブシュー!
善子「ちょ、かかるかかる!まだ見つけてないでしょ!」
千歌「どこにいたの?」
梨子「れ、冷蔵庫の裏……」
千歌「どれどれ……大根とお魚……ブリ?それとビール!ぶり大根で優勝する気だな!」ガチャ
梨子「裏って言ってるでしょ!勝手に開けないで!」 カサカサカサカサ
G「ヤァ!」
梨子「出たあぁああああ!!」ブンブンブン
千歌「あばばばばばばば」ガクガクガク
善子「ちょ!何してんの千歌死ぬって!」
梨子「いやああああああ!!」ブンブンブン
千歌「ばばばばばばば」ガクガクガク 善子「くっ、こうなったら!貸して!私がやる!」バッ
善子「喰らえ!死の濃霧(デス・ミスト)!!」ブシュー!
G「ギャア!」
シーン……
善子「や、やった……?」
梨子「ど、どうなったの?」
千歌「」チーン G「……」
カサカサカサカサ
G「マダヤデ!」
カサカサカサカサ
善子「ぎゃああああ動いたあああ!!」
梨子「いやああああああ!!」ブンブンブン
千歌「」ガクガクガク
善子「ちょ、ゴキの前に千歌が死んでる!!」
梨子「何奴の前に死んでるのよ!」パーン!
千歌「へぶっ!」
善子「限りなく理不尽!」 梨子「もうやだああああ!!」バッ
善子「あっ!どこいくのよ!」
千歌「」チーン
善子「くっ、外に逃げるわよ千歌!」ズルズルズル 梨子「はぁ……はぁ……」
善子「はぁ……はぁ……」
千歌「」チーン
梨子「どうしよう……もうあの家に戻れない……」
善子「いやゴキ一匹で大袈裟なのよ……殺せば大丈夫だって」
梨子「無責任なこと言わないで!善子ちゃんだって騒いでたくせに!」
善子「あんたが必要以上に喚くからでしょうが!見なさいよコレ!」
千歌「」チーン
梨子「……かわいそうに……ゴキブリの恐ろしさに耐えられなかったのね……」
善子「ゴキブリよりあんたの方が恐ろしいわよ」 梨子「善子ちゃんはゴキブリの恐ろしさをわかってないのよ!一匹見たら五百万匹居るって言うし!」
善子「三十匹よ!!そんなに居たら地球ゴキブリだらけだわ!!」
梨子「そうよこの星はもう人間より進化したゴキブリに支配されてる!!」
善子「落ち着きなさいって!テラフォーマー〇か!!」
千歌「」チーン 千歌「」チーン
「あらあら、楽しそうね〜」
梨子「誰が楽し……?」
善子「ん?」
千歌「……んぁ?」
「久しぶり〜善子、千歌っち」
梨子「……金髪美人……?」
善子「なっ……」
千歌「ま、ま、ま……」 鞠莉「相変わらずねぇ。そんなに騒いだらご近所迷惑でしょ?」
千歌「鞠莉ちゃん!」
善子「……姉さん……!」
梨子「姉さん……?え?」
鞠莉「元気にしてた?」
・10 終わり ・11
善子「……どうしてここに……」
鞠莉「やぁん、会いたかったわ〜♡」ガバッ
善子「うぷっ」
鞠莉「千歌っちも〜元気だった〜?」ダキッ
千歌「わぷっ」
梨子「な、なになに?」
善子「んむむ……ぷはっ!放して!」グイッ
鞠莉「なーによ、連れないわね〜マリー寂しい。ね、千歌っち?」
善子「千歌からも離れて!」グイグイッ 鞠莉「善子反抗期?」
善子「うるさい!なんであんたがここにいんのよ!」
鞠莉「あら、これまた美人ちゃんが」
梨子「へ?」
鞠莉「えいっ!」ダキッ
梨子「わわっ」
梨子(な、なにこれすごくいい匂い……)
善子「人の話聞きなさいよ!触らないでってば!」グイッ
鞠莉「やぁ〜ん」
梨子「……」ドキドキ 善子「ここに来たワケを話しなさいっつってんのよ」
鞠莉「善子と千歌っちの新生活を応援しに来たの」
善子「バレバレな嘘ついてんじゃないわよ」
鞠莉「ほんとよほんと。マリーが嘘ついたことある?」
善子「嘘しかついたことないくせにどの口が」
鞠莉「酷いわね〜ね、美人ちゃん」
梨子「へ?あ、えっと……」 善子「私と話してんのに余所見するんじゃないわよ」
鞠莉「あら、嫉妬?お姉ちゃん嬉しいわぁ」
善子「姉さん!」
鞠莉「何しに来たかって、そんな愚問に答える必要ある?」
善子「!」
鞠莉「分かってるでしょう?」 善子「……あの家には帰らないわよ」
鞠莉「あなたの意見は聞いてないわ。こんなところで無駄な時間過ごしてる暇なんであなたにはないのよ、善子」
善子「なっ……何が無駄だって?」
鞠莉「問答するつもりはないわ。来なさい」ガシッ
善子「ちょっ」 鞠莉「……千歌っち、放しなさい」
千歌「やだよ」
鞠莉「私の言うことが聞けないの?」
千歌「聞けないね。鞠莉ちゃんこそ放してよ」
鞠莉「へぇ、随分と偉くなったわね千歌っち」
千歌「まぁね。何せ立派に社会人してるからね」 鞠莉「……家がどうなってもいいの?」
千歌「知らない。あの家とはもう私は関係ない」
鞠莉「……」パッ
善子「!」
鞠莉「時間と労力の無駄だわ。今日は帰るわね」
善子「……」 鞠莉「善子」
善子「……!」
鞠莉「もう逃げても無駄よ。私がどんな女か分かってるでしょう?」
善子「知らないわよ、あんたがどんな女なんて。知りたくもない」
鞠莉「酷いわねぇ。もう少し姉を想ってくれてもいいじゃない」
善子「さっさっと消えて」
鞠莉「はいはい。じゃね〜」フリフリ
コツコツコツ…… 善子「……」
千歌「善子ちゃん……」
梨子「……えと……」
梨子(ど、どうしたら……)
善子「……あ」
千歌「なに?」 善子「今日ずら丸とご飯の約束だった。そろそろ行かなくちゃ」
千歌「ずら丸って?誰?」
善子「ほら、この前スーパーにいたべっこう飴の」
千歌「あー!あの美少女ちゃん!え、いつの間に仲良くなったの!?ずるい!!」
善子「たまたま再会してね」
千歌「うわー善子ちゃんのタラシ……」
善子「人聞き悪いわね!」 千歌「私も行きたい、行ってもいい?行く!」
善子「ちょ、落ち着きなさいって。誘うつもりだったから」
千歌「よっしゃー美少女と飯だー!!」
善子「変なこと大声で叫ぶな!!ほら行くわよ」
千歌「いえーい!」
梨子「……」ポツン
梨子「……えぇー……」 千歌ちゃんが鞠莉邸にメイドとして転がりこむ話と雰囲気似てるような
無関係だったらすまん 曜「今日のご飯はどうしようかな……んー」
鞠莉「ハロー♪」
曜「!……小原さん」
鞠莉「気軽にマリーって呼んでって言ったじゃな〜い」 曜「また善子ちゃんのことですか?」
鞠莉「話が早くて助かるわ」
曜「私から話せることはありません」
鞠莉「困ったわねぇ。なんで教えてくれないの?」 曜「……目」
鞠莉「目?」
曜「あなたの目は嘘つきの目をしています。信用出来ない」
鞠莉「あら、随分な言ってくれるわね」
曜「その目、嫌いなんです」 鞠莉「ふ〜ん、さすが元トップ飛び込み選手は違うわね。人気者は人を見る目が肥えてる」
曜「!」
鞠莉「渡辺曜。飛び込み全日本高校選手権三連覇。大学では世界大会二連覇の偉業。オリンピック候補だったけど、大学卒業と同時に引退」
曜「何で……」
鞠莉「善子の身の回りは調べてるに決まってるじゃない。まぁ、あなたは有名人だったから楽だったけど」 曜「……昔のこと調べたくらいではなんの脅しにも」
鞠莉「もう精神科には行ってないの?」
曜「!!」
鞠莉「表向きは実力の限界となってるけど、記者に追い回されるストレスから軽度の対人恐怖症になっちゃったのが引退の本当の理由ね」
曜「なっ……どこで」 鞠莉「私の情報網を舐めないで。さ、ここに一千万の小切手があるわ」
曜「一千万……?」
鞠莉「今後善子の動向について私に全て教えてくれるなら、このお金をあなたにあげるわ」
鞠莉「それに、うちの会社でもう一度飛び込み選手として活躍できる場を用意する」
鞠莉「もちろん、対人恐怖症のケアもしっかりしてあげるわ」
鞠莉「どうする?」
曜「……!」 ーー内浦ーー
果南「おじいー」
「なんだ」
果南「最近小原家のヘリコプター見た?」
「そういや、見てねぇな」
果南「んー……鞠莉のやつ、どっか行ったのかな」
果南「……あーもしかして」 果南「……よし」
「どっか行くのか?」
果南「ちょっと千歌たちのところ行ってくる」
「そうか。くれぐれも十千万にバレないようにな」
果南「わかってる。行ってくんねー」 「果南、ちょっと待て」
果南「なに?」
「これ、もってけ。千歌ちゃんと善子ちゃんに」
果南「干物かぁ」
「なんだ、文句あるのか」
果南「ううん、ありがと。行ってきます」
「おう。気をつけてな」
・11 終わり すまん、今日明日はちょっと出来ないかも
日曜までには必ず更新する ・12
千歌「花丸ちゃんはお酒飲む?」
花丸「えと、じゃあ少しだけ」
千歌「おっけ、何飲む?」
花丸「んーと……レモンサワーで」
善子「へぇ、案外可愛いの飲むのね」
花丸「どういう意味ですか」
善子「いやなんか、雰囲気的に日本酒とか好きそうと思って」 花丸「人を見た目で判断するのは良くないずら」
千歌「そーだよ!善子ちゃんサイテー!」
善子「見た目じゃないわ。雰囲気よ雰囲気」
花丸「屁理屈ずら!」
千歌「そーだそーだ!屁だ!」
善子「誰が屁よ!」 千歌「かんぱいぱーい!」
花丸「かんぱいぱーい!」
善子「真似しなくていいのよ」
花丸「今どきの社会人のトレンドかなと……」
善子「いやコイツだけだから」 千歌「違うよ、じょーしきだよ!」
善子「いいからあんたはもう少し声抑えて。恥ずかしい」
千歌「誰が奥ゆかしい和風美人だ!その通りだけど!」
善子「言ってないし静かにしてって。耳腐ってんの?」
花丸「ずら……」 千歌「花丸ちゃんは今何年生なの?」
花丸「三年です」
千歌「へぇー、じゃああれだね。今が一番楽しいね」
花丸「そう……かな?」
善子「大学生はいつでも楽しいでしょ。何せ人生の夏休みなんだし」
千歌「んー、そうだね。そうだそうだ」 花丸「お二人は楽しかったんですか?」
善子「そう……ね。まぁ、楽しかったって言ってもいいのかしら」
千歌「だね。結果的には楽しかったよ」
花丸「結果的に?」
善子「ま、そうね。結果的には」 花丸「どういうことですか?」
善子「まぁ、なんていうか……今の状況が出来上がったのが大学の時だったの」
千歌「そうそう。私たちね、二人で大学中退して逃げ出してきたの」
花丸「え……逃げ出した?」
善子「ちょっと、千歌」
千歌「いーじゃん。お酒の席だし、鞠莉ちゃんにバレちゃったし」
善子「何がいいのよ。ずら丸困っちゃうでしょ」 花丸「……聞きたい、です」
千歌「でしょ?」
善子「えー……」
千歌「どうせまた喧嘩しなきゃいけないんだし、多分鞠莉ちゃんは花丸ちゃんの所にも来ちゃうと思うし。今のうちに全部話して鞠莉ちゃんに取り入られないようにしよう」
善子「まぁ……一理あるわね」 花丸「ど、どういうことずら」
千歌「ん、今から話すね。えっとねー、あれは三年になったばっかりの頃だからー……7年前くらい?」
善子「その前に、私たちの関係話した方がいいんじゃない?」
千歌「そっか」
花丸「いつからの友達なんですか?」
善子「高校。三年間ずっと同じクラスだったの」
千歌「まぁ、二クラスしか無かったし……懐かしい」
善子「……ええ」
千歌「出席番号順で私の後ろが善子ちゃんだった。私が7番で善子ちゃんが8番」
☆ー☆ー☆
千歌「……ねぇ」
善子「……」
千歌「ねぇってば」
善子「……ん?私?」
千歌「うん」
善子「何?」 千歌「なんでいつも休み時間イヤホンしてるの?」
善子「あなたみたいな人に話しかけられないように」
千歌「そんなことしてたら、友達出来なくて三年間無駄になっちゃうよ」
善子「別にいいわよ。どうせ先が決まったクソつまんない人生なんだし」
千歌「……へぇ……」
善子「もういい?前向いてくれる?」 千歌「……クソつまんないよね」
善子「え?」
千歌「人の人生、なんだと思ってるんだろうね」
善子「……!」 千歌「ねぇ、友達にならない?」
善子「なっ……どうしてそうなるのよ」
千歌「私、高海千歌。あなたは?」
善子「ちょっ……」
千歌「……」ジーッ
善子「……!」
千歌「……」ジーッ
善子「……小原善子」
千歌「うん!よろしくね、善子ちゃん!」
善子「はぁ……」
善子(なんでこんなことに……) >>254
千歌「出席番号順で私の前が善子ちゃんだった。私が7番で善子ちゃんが6番」
ごめん、思いっきり直すの忘れてた
また明日更新する 最低で7人だとしてもお〜たの間の名字のやつが誰もいないとか変じゃね? >>262
ヨハネは会社の人から津島呼びされてたよ ーー
千歌「ねー小原さん」
善子「……」スタスタスタ
千歌「ねー小原さんってば!」
善子「付いてこないで!」
千歌「どして?移動教室だし同じところ行くんだからいいじゃん。一緒に行こうよ」
善子「一人で行きなさいよ」
千歌「むー……小原さん冷たい」 善子「呼ばないで。苗字嫌いなの」
千歌「え、じゃあ善子……ちゃん?」
善子「あ……」
善子(しまった……口が滑った……)
千歌「善子ちゃん、一緒に行こう!」
善子「……」スタスタスタ
千歌「あー!待ってってばー!」 ーー
千歌「ねー善子ちゃん」
善子「……」
千歌「ねーってば」
善子「……」
千歌「ねーねー」
善子「うるさいわね!付いてこないでってなんか言えば分かるのよ!」 千歌「小原ってさ、もしかして鞠莉ちゃんと関係ある?」
善子「なっ……なに、あんた姉さんのこと知ってんの?」
千歌「うん。果南ちゃん……私の幼馴染の友達」
善子「果南って……ああ、あのダイビングショップの」
千歌「そうそう。そんでもって私の家は十千万」
善子「……マジ?」
千歌「マジマジ」 善子「……はぁー、なによ。全部うちのシマなのね……」
千歌「まーね」
善子「……じゃあ尚更私に関わらない方がいいんじゃ」
千歌「んーん。善子ちゃんは鞠莉ちゃんと違うみたいだし」
千歌「そんで私と同じみたいだし」
善子「あなたと……?」
千歌「家から逃げ出したいんでしょ?」
善子「!」
千歌「私もなんだ。一緒に逃げ出さない?」 ー☆ー☆ー☆ー
花丸「シマって……えっと、善子さんの家は怖い人がたくさん……?」
善子「いやいや、違うわ。言い方悪かったわね」
千歌「小原家はオハラグループを経営する財閥なんだよ」
花丸「オハラグループ……聞いたことあるずら」 善子「私たちの故郷……沼津内浦にオハラグループが進出した時、あの地一体は観光客の激減で深刻な経営難に陥ってる旅館やレジャー施設が多かったの」
千歌「それを多大な出資で丸ごと救ったのが小原家って訳」
善子「私と姉さんは腹違いの姉妹。だから似てないの」
花丸「へぇ……なんか小説みたいな話ずら」
善子「そう、ね。でも現実は小説みたいに綺麗な話じゃないわ」 ー☆ー☆ー☆ー
千歌「ね、ね、だからさ。私と一緒に逃げ出しちゃおうよ」
善子「はぁ?何言ってんのよ。そんなの無理に決まってるでしょ」
千歌「そんなのやってみなくちゃわかんないよ。初めから決めつけるのは良くない」
善子「無理よ無理。寝言は寝て言いなさい」
千歌「じゃあこのまま家を継ぐの?そんなに嫌そうなのに?」 善子「関係ないでしょ。ほっといて」
千歌「関係あるよ。友達だもん」
善子「私はなった覚えない」
千歌「じゃあなってよ。今すぐ」
善子「……なんなのよあんた!なんでそこまで私に……!」
千歌「……目」
善子「目?」
千歌「おんなじ色の、目してるから」
善子「はっ……?なにそれ……」 千歌「それじゃ、ダメかな」
善子「いや……わけわかんないわね、あんた……」
千歌「えへへ」
善子「……何笑ってんのよ」
千歌「えへへ、いやぁなんか可笑しくて……」
善子「……可笑しいのは私の方よ」 ーー
千歌「みかんパフェくださーい」
善子「いちごパフェで」
千歌「善子ちゃんイチゴ好きなんだ」
善子「悪い?」
千歌「可愛いなーって」 善子「なんであんたと二人でカフェに来なきゃいけないのよ」
千歌「善子ちゃんが行きたいって行ったから」
善子「無理矢理連れてこられたんだけど、あんたに!」
千歌「それほどでもー」テレテレ
善子「どこまでもふざけたやつね……」 千歌「でさ、いつ逃げ出す?」
善子「話題の振り雑すぎでしょ。そもそも私は逃げ出すつもりないし」
千歌「この前誓ったじゃん!千歌だけに!」
善子「何言ってんの?」
千歌「私はさーもうちょっと機を見てからの方がいいと思うんだよねー」
善子「勝手に進めるなし……」 千歌「大学は行くの?」
善子「まぁ……そのつもりだけど」
千歌「私も!じゃあおんなじ大学受けようよ!」
善子「えー……いやそれは無理」
千歌「なんでー!!」
善子「なんでって……」 千歌「あ、どの大学受けろとか決められてる?」
善子「いや決められてないけど……」
千歌「じゃー受けようよ!ね!」
善子「いやだって、あんた成績悪いでしょ……」
千歌「え!なんで知ってるの!?もしかして私の事好き!?」
善子「なんでそーなるのよ!入学時の学力テストの結果出てたでしょ!」
千歌「見たの!?変態!!」
善子「あんた机の上に置きっぱなしにしてたでしょーが!!見えるわよ前の席なんだから!!」
千歌「津島さんサイテー」
善子「言われなき非難!!もう帰るわよ!!」 千歌「待って!!せめてパフェをスプーンで一杯分ひと舐めしたら!!」
善子「どんな止め方よ!!」
千歌「先っぽにクリームつけるだけ!!」
善子「やかましい!!」
千歌「先っちょだけ!!先っちょだけ!!」
善子「こらぁ!!!」 鞠莉「な〜にしてるの、善子」
千歌「!」
善子「……姉さん」
鞠莉「そろそろ家族会議の時間よ?帰ってきなさい……あら、千歌っちじゃない」
千歌「あはは……こんにちは、鞠莉ちゃん」 鞠莉「善子と遊んでくれてるの?」
千歌「う、うん。女子高生らしくパフェでも」
鞠莉「へぇ〜いいわね。楽しそう」
千歌「……良かったら鞠莉ちゃんも一緒にどう?」
鞠莉「んー素敵なお誘い!ぜひご一緒したいところだけど……残念ながら予定入っちゃってるの」
善子「……」
千歌「そ、そうなんだ」 >>283
千歌「あ、どの大学受けろとか決められてる?」
善子「いや決められてないけど……」
千歌「じゃー受けようよ!ね!」
善子「いやだって、あんた成績悪いでしょ……」
千歌「え!なんで知ってるの!?もしかして私の事好き!?」
善子「なんでそーなるのよ!入学時の学力テストの結果出てたでしょ!」
千歌「見たの!?変態!!」
善子「あんた机の上に置きっぱなしにしてたでしょーが!!見えるわよ前の席なんだから!!」
千歌「小原さんサイテー」
善子「言われなき非難!!もう帰るわよ!!」 鞠莉「ってことで善子。帰るわよ〜」
善子「……パフェが来るから」
鞠莉「ん?」
善子「食べてから、帰る」
鞠莉「へぇ……」ジッ
千歌「うっ……?」
鞠莉「……残念ながらそんな時間はないわ。行きましょう、車を待たせてあるから」
善子「……ごめん、千歌」
千歌「あ、え、いや、大丈夫だよ」 鞠莉「Sorry、千歌っち。また遊んであげてね。お代、ここに置いておくから」
千歌「ありがとうございます……」
鞠莉「じゃーねー♪」フリフリ
善子「また、明日ね」
千歌「うん」
千歌「……」
千歌「……ふたつも食べきれないや」
千歌「……果南ちゃん呼ぼうかな」
千歌「……」
・12 終わり 肝心なところミスってすまん、何とか読んでくれ
また明日更新する 設定ガバガバだし上から目線で偉そうだしもう要らないんじゃね 少しくらいの設定ガバ無視しても面白いから、外野無視して続けてください 最初は津島善子のまま行くつもりだったんだろうね
たかみちか
つしまよしこ
なら自然に前後っぽいし最初前後逆で書いてたし
でも姉妹だから小原かぁってなって設定がこんがらがったんだろうな ほら余計な文句言う奴がいるから>>1が来なくなったじゃないか文句言った奴は全員土下座して謝れよ ・13
果南「へー、鞠莉に妹いたんだ」
千歌「知らなかったの?」
果南「うん。鞠莉、家の事話さないし」
千歌「お金は出すのにね」
果南「あはは、違いないや。……あむっ、甘い」
千歌「……」 果南「で、家出するってホントなの」
千歌「うん……今すぐじゃないけど」
果南「どこ行くの?」
千歌「それは……まだ決めてない」
果南「ふーん。ま、東京とか無難じゃないの?人たくさんで紛れられるし」
千歌「まぁ……っていうか、止めないの?」
果南「え、止めて欲しいの?」
千歌「いや……なんか、何となく果南ちゃんはお母さんたち寄りだと思ってたから」 果南「仲はいいけど、そうでもないよ。千歌がやりたいならやればいいと思うし……あむっ」
千歌「それに……その、鞠莉ちゃんと友達だし」
果南「別に関係ないでしょ、それは」
千歌「う、うん……」
果南「……何か言いたいことあるの?」
千歌「え、いや……」
果南「あむっ……」 千歌「……果南ちゃんは、嫌じゃないのかなって」
果南「何が?」
千歌「その……この、小原家に頼ってしか生きられてないこの街が」
果南「あぁ……」
千歌「わたしは、嫌だ。小原家がここに……内浦に来た時から、お母さんたちは変わった」
千歌「小原家のために……小原家のために……ってことある事に。もう、あの旅館は街のために、来てくれた観光客のためには無いんだよ」
千歌「ぜんぶぜーんぶ小原家の為にあるんだ」
果南「……あむっ」 千歌「果南ちゃんは嫌じゃないの?ドルフィンハウスもさ……」
果南「別に」
千歌「……そっか」
果南「私もおじぃも鞠莉達が来る前となんにも変わんないからね。援助が助かったのは本当だし」
千歌「……私の事、子供っぽいって思ってる?」
果南「そうだなー童顔なのがねー」
千歌「見た目じゃなくて!今言ったこと!」 果南「別に。千歌なりに考えてるんでしょ?」
千歌「……変わるかもしれないよ」
果南「変わるの?」
千歌「分かんないけど……」
果南「ま、それもいいんじゃない?今すぐじゃないんなら、ゆっくり考えてから行動しなよ」
千歌「……うん」
果南「で、その時はその善子ちゃんと駆け落ち?」
千歌「違うよ!」
果南「あっそー、つまんないの……あむっ、ごちそうさま。ありがと」
千歌「お礼なら鞠莉ちゃんに言って」
果南「おっけー。じゃ、またね」
千歌「うん」 ーー
鞠莉「千歌っちと何話してたの〜?」
善子「別に」
鞠莉「ふ〜ん」ジロジロ
善子「……」
鞠莉「……ま、逃げ出しても無駄だけどね」
善子「……!」
鞠莉「善子はその顔にすぐ出るくせ、直した方がいいわよ〜」 善子「あんたは、このオハラグループを継ぐつもりなの?」
鞠莉「What?どうしたの、そんなこと聞いてきて」
善子「どうなのよ」
鞠莉「愚問よ。ちょっと考えれば分かるでしょ」
善子「私は、この家にこのままいるつもりはない。こんな、掃き溜めみたいな家」
鞠莉「随分言うようになったわねぇ、善子。自分が何言ってるか分かってるの?あなたの家なのに」
善子「……必ず、抜け出してやる」
鞠莉「ふふ、そういうのはこっそりしなさい。せめて私にバレないようにね」
善子「……」 ☆ー☆ー☆
千歌「それから沢山勉強して、なんかかんやあって同じ大学に入れたんだ」
善子「なんやかんやって……」
千歌「だって特にめぼしいこと無かったし……」
善子「まぁ……」
花丸「どこの大学に行ったずら?」
千歌「沼津市内の大学。いやー結構楽しかったよね」
善子「まぁ、ね。何だかんだ大学生らしくしてたわ」 千歌「でね、アルバイトをしてこっそりこっそりお金を貯めてったんだ」
善子「二つくらいかけ持ちしてたわよね」
花丸「軍資金を貯めるために?」
千歌「そうそう。コツコツ〜コツコツ〜っとね」
善子「何その言い方」 単発で文句いってるやつ滑稽やな
面白いしいつまでも待ってる ☆ー☆ー☆
千歌「働きすぎて死にそう」
善子「まぁ、週6バイトしてたらね……はぁ……」
千歌「単位も死にそう」
善子「そりゃあね」
千歌「このままじゃ卒業できない……」
善子「する気ない癖に」
千歌「まぁ……」 善子「で、いくら貯まった?」
千歌「んーと……60万くらい」
善子「私もそれくらいね」
千歌「……そろそろかなぁ」
善子「まぁ、動くには十分じゃない?」
千歌「……うん」 善子「どうする?」
千歌「……どうしたらいいと思う?」
善子「まぁ……やるなら、早めにやった方がいいと思うけど……」
千歌「……生きていけるかなぁ」
善子「……確約はできないわね」
千歌「……」 善子「……やめる?」
千歌「……いや……」
善子「千歌……」
千歌「……やろう」
善子「……分かった」
千歌「離れよう、この腐った臭いがする街から」
善子「うん」
千歌「人生を、変えよう。自分の手で」 ー淡島・夜ー
善子「……」キョロキョロ
善子(誰も……いないわね)
善子(今のうち……)
善子「……」タタッ 善子「えっと……あれ……」
善子(果南が……いるはず……)
善子「……いない……」
鞠莉「どーこ行くの?」
善子「!!」
鞠莉「お散歩?日が沈んでるのに出歩いたらダメよ〜危ないじゃない」
善子「なんで……」 鞠莉「ちゃーんと言ったじゃない。抜け出すなら私にバレないよーにって」
善子「くそ……」
鞠莉「口悪いわよ〜?悪い子ねぇ」
善子「……どいて」
鞠莉「んー?聞こえないわ」
善子「どいてって!」
鞠莉「やーだ」 善子「だったら……!」タッ!
鞠莉「ムダよ」ガシッ
善子「は、離して!」
鞠莉「運動からっきしのくせに、無理しないの」
善子「……!!私は!」バタバタ
鞠莉「暴れないの〜」 善子「私は!私の人生を自分で選ぶ!あんた達みたいにはならない!」
鞠莉「別に私たちみたいにならなくてもいいのよ。善子なりに家に尽くしてくれれば」
善子「そんなクソみたいな人生ごめんよ!私は――」
果南「よっと」グイッ
鞠莉「え?」
果南「ほいほいっと」グルグル
鞠莉「ちょ、かな、むぐっ!?」
果南「ごめんね、後でちゃんと解くから。そこでちょっと大人しくしてて」
鞠莉「……!!」 善子「果南!」
果南「遅くなってごめんね。向こうにも小原家の奴らが来ててさ」グイッ
善子「わっ」
果南「行くよ!そこにジェットスキー停めてるから!」
善子「ちょ、早い!」
果南「着替えの服はちゃんと持ってきてる?」
善子「う、うん!」
果南「じゃあレッツゴー!」 ーー
千歌「……」
千歌「……あ」
果南「おぉーい」
千歌「来た!かなんちゃーん!よしこちゃーん!」
果南「ごめん、お待たせ」
善子「はぁ……はぁ……怖かった」 千歌「よし、着替えて駅に行こう!早くしないとバレちゃう!」
善子「ちょ、千歌声抑えてっ」
千歌「善子ちゃん早く着替えて」グイグイ
善子「え、ここで?ちょっと待っ」
果南「早く脱ぎなよ」グイーッ
善子「やめ、いやーー!!」 ーー
善子「とんでもない目にあったわ……」
千歌「大丈夫?」
果南「旅立ちの前だからちょっとナイーブ?」
善子「あんたらのせいよ!」
千歌「しんがーい!」
果南「しんがーい!」
善子「うるさい!」 千歌「……じゃあ、行くね」
果南「うん」
善子「ありがとう、果南」
果南「お、善子が素直だ」
善子「まぁ、こんな時くらいね。っていうか……」
果南「ん?」
善子「この後は大丈夫なの?あなた」
果南「鞠莉のことは気にしないで。何とかしとくから」 善子「ほんとに?」
果南「善子は優しいね」
善子「いや……」
果南「大丈夫だよ!気にしないで行ってきな!」
千歌「……果南ちゃん」
果南「千歌、大丈夫」
千歌「……うん……」
果南「身体だけは大事に。また連絡して、いつでもなにか力になるから」
善子「……ありがとう、本当に」
千歌「ありがとう果南ちゃん……!」
果南「うん、行ってらっしゃい二人とも」 千歌「おぉー早い早い」
善子「新幹線だからね。お弁当食べる?」
千歌「食べる」
善子「ん」
千歌「いただきまーす」
善子「……いただきます」
千歌「あむっ……美味しい」
善子「うん……」 千歌「……あー」
善子「なによ」
千歌「……これからどうなるんだろうね……」
善子「さぁ……」
千歌「……どうにかするしかないんだよね」
善子「……そうね」
千歌「頑張ろうね」
善子「……ええ」
千歌「……あむっ」
善子「……」パクッ
・13 終わり 120万で東京で一からスタートか
2ヶ月くらいが限界かな?
レオパレスならもう少し行けそう ☆ー☆ー☆
千歌「そんなこんなで、こっちに来たってわけ」
花丸「なるほど……えっと、その。こっち来てからは直ぐに住むところとか仕事とか見つかったんですか?」
善子「住むところは割とすぐ見つかったのよ。でも仕事がね……最初に入ったところがとんでもないブラック企業で」
千歌「酷かったねーあれは。あの頃ほとんど家に帰ってなかった」
花丸「二人ともですか?」
善子「そう、二人とも。見事なまでに」 千歌「まぁ、それでも何とか頑張ってたんだけど。後に下がれないし、他に行くあてもなかった。でもね、そんなんで体が持つわけないんだよ」
花丸「まさか……」
善子「私が倒れたのよ、過労でね。まぁ、それだけなら良かったんだけども」
千歌「バレたんだ、鞠莉ちゃんに」
善子「ある日病室に見舞い客として突然姉さんが来た」
花丸「……連れ戻されたんですか?」
善子「いや、それがそんなことはなかった。様子を見に来て一通り嫌味を言って帰ったわ」
千歌「もう終わったと思ったけど……見逃してくれたというかなんというか」
花丸「へぇ……」 善子「何考えてるか本当に分からない……何しに来たのかも」
千歌「うん……」
善子「で、今回……姉さんは連れ戻す気で私たちの前に現れた」
花丸「なるほど……前の会社は辞めたずら?」
善子「えぇ。転職して今に至るってわけ」
千歌「うん、そんな感じ」
花丸「ずら……」 善子「悪いわね、こんな話。お酒不味くなっちゃったでしょ」
花丸「いえ、聞けてよかったです。その、それで鞠莉さんって人はおらのところにも来るんですか?」
善子「まぁ、ほぼ確実にね。こればっかりは防げないわ」
千歌「さっき味方に引き入れるって言ったけど、もし来たらありのままのことを言っちゃっていいからね」
善子「自分のことを一番に考えて。ああ、それと安心して。身の危険を感じることは絶対にないから」
花丸「ずら……分かりました」
千歌「ごめんね、巻き込んじゃって」
善子「私たちと関わっちゃったばかりに」
花丸「……いえ……」 ーー
ダイヤ「ふぅ……ただいま」
ダイヤ「……?ああ、そういえばルビィはバイトでしたわね」
ダイヤ「んーご飯どうしようかしら……」
ブーブー
ダイヤ「電話……ん?」 ダイヤ「……もしもし」
鞠莉『はぁい、ダイヤ。久しぶり〜!』
ダイヤ「……鞠莉さん」
鞠莉『元気にしてるぅ?仕事は順調?』
ダイヤ「何の用ですか」
鞠莉『相変わらず世間話にも付き合ってくれないのね〜冷たいわぁ。大学の頃からちっとも変わってない』
ダイヤ「いいから用件を言いなさい」 鞠莉『じゃあ、言うわね。最近あなたの所に入社した新人……ダイヤの新しい部下、高海千歌に関して知ってることを教えて欲しいの』
ダイヤ「はぁ?なぜ知って……ってそれは愚問ですわね」
鞠莉『そうね、さすがダイヤ』
ダイヤ「何が目的なんです」
鞠莉『それはダイヤは知る必要はないわ。いいから千歌っちのことに関してと、今後の動向を全て私に教えて』
ダイヤ「さらっと頼み事を増やさないでくれる?」 ガチャ
ダイヤ「! なっ」
鞠莉「グッドイブニング♪」
ダイヤ「何故……」
鞠莉「これは全然関係ない話なんだけど」
ダイヤ「はぁ?」
鞠莉「ダイヤの妹……ルビィちゃん?だっけ」
ダイヤ「……それが何か?」
鞠莉「ルビィちゃんのバイト先って、駅前のファーストフード店よね?」
ダイヤ「……まさかあなた……!」
鞠莉「まぁ、ただの雑談よ雑談〜気にしないで〜」
ダイヤ「……!」 ーー
ルビィ「お疲れ様でした」
「はーい、お疲れさん。気をつけてね」
ルビィ「はい!」
「ルビィちゃーん!」
ルビィ「ん?」
花丸「やっぱり、ルビィちゃんずら!」
ルビィ「花丸ちゃん。こんな時間にどうしたの?」 花丸「えっとね……」
千歌「わー!かわい子ちゃん!」
善子「静かにしなさい」
ルビィ「……?そちらの方たちは……?」
花丸「あのね……」 ルビィ「へぇ……べっこう飴で……」
善子「そそ、決して怪しいものじゃないわ」
千歌「犯罪者はみんなそういうんだよ」
善子「静かにしてって」
花丸「えっと、それで、この子は」
ルビィ「く、黒澤ルビィです。花丸ちゃんの大学の同級生です」ペコリ 善子「誰かさんと違って礼儀正しい……」
千歌「こっち見ないで!ちゅーするよ!」チュー
善子「わ!やめなさい!」
ルビィ「えっと……」
花丸「あはは、ちょっとお酒飲んでたから……」 ルビィ「礼儀はその、お姉ちゃんに叩き込まれたので……」
花丸「ダイヤさん、厳しいもんね」
ルビィ「うん。でも優しいよ」
千歌「ダイヤ?」
善子「どうしたの」 千歌「ダイヤ……もしかして、ってさっき黒澤って言ったよね」
ルビィ「は、はい」
千歌「黒澤ダイヤって……もしかして、黒澤主任?」
ルビィ「えっ、お姉ちゃんを知ってるんですか?」
千歌「知ってるって言うか、私の上司だよ!へぇー妹いたんだ!」
ルビィ「もしかして最近お姉ちゃんの会社に入社下っていう……」
千歌「うん!高海千歌でーす!いえい!」 生放送中に上げて投下とかラブライブアンチだろコイツ 善子「へぇー……世間って狭いのねぇ」
花丸「ずら……こんな偶然あるんだ……」
千歌「黒澤主任、こんなに可愛妹いたのかー……」ナデナデ
ルビィ「わっ……」
善子「やめなさいって」
千歌「よろしくね、ルビィちゃん!」
ルビィ「は、はい……えへへ」 千歌「黒澤主任、とっても厳しいけどとっても優しくて、いつも頼りになります!って伝えておいて!」
ルビィ「……!」
善子「自分で言いなさいよ」
千歌「もちろん!でも人伝いに聞く方がマジっぽくて嬉しくない?」
善子「……一理あるわね」
ルビィ「……必ず、伝えておきます」 花丸「ルビィちゃん、そろそろ……」
ルビィ「あ、もうこんな時間。早く帰らないとお姉ちゃん心配しちゃう」
善子「気をつけて帰り……ん?」
千歌「どしたの、善子ちゃん」
善子(千歌、後ろにいるやつら……)
千歌(ん?……もしかして) 善子「……二人とも、家まで送るわ」
花丸「え?そんな、悪いずら」
千歌「いーから。ここはおねーさん達に任せなさい!」
ルビィ「でも……」
善子「ほら、行くわよ」
千歌「れっつごー!」
「……善子お嬢様に気づかれたか……」
「鞠莉お嬢様に報告だ」 ーー
ルビィ「えっと、じゃあルビ……じゃなくて私はここで」
千歌「大丈夫?玄関まで行くよ」
ルビィ「いえ、大丈夫です。ありがとうございました」
善子「気をつけてね。あなたも今度ご飯に行きましょ」
ルビィ「はい!」
花丸「またね、ルビィちゃん」
ルビィ「うん、また明日」 善子「よし、じゃあずら丸の家に行きましょう」
花丸「はい、えっと……あの」
千歌「どしたの?」
花丸「いや、なんで急に……」
果南「お、いた」
善子「え゛っ」
千歌「あれー?果南ちゃん!」
花丸「……?」 果南「やっほ。美少女侍らせて何してんの?」
善子「あなたこそ何してるのよ。なんでまたここに」
果南「いやーちょっと野暮用でね。そこのスーパーで酒買ってきたから泊めて」
花丸「あ、あの……」
千歌「ああ、ごめんね。このポニテのお姉さんは松浦果南ちゃん。地元の幼なじみ」
花丸「幼なじみ……」
善子「私は違うけど」 千歌「泊まるのはいいけど……何か用なの?この前も来たじゃん」
果南「鞠莉が来てるんでしょ?」
千歌「!」
善子「……知ってたの?」
果南「向こうに居ないからさ。ま、手助けに来たって感じ」
千歌「……分かった。家に行こう、花丸ちゃん送ったら」
果南「おっけー。よっと」
花丸「わっ、えっ?」
果南「ドルフィン号しゅっぱーつ!」
花丸「ずらーー!!」
千歌「わっ、果南ちゃん待ってーー!!」
善子「……」 よろしく頼む
で、ドルフィン号ってバイク?車?マシンドルフィン? ーー
千歌「すー……すー……」
善子「寝ちゃったけど」
果南「飲ませすぎたかな」
善子「まぁ、元から飲んでたし。ってか何も話してないけど」
果南「別に特段話すことはないからね」
善子「はぁ?何しに来たのよ」
果南「あ、おじぃからの土産渡してなかった。はい、干物」
善子「話を聞きなさい」 果南「あるとしたら、鞠莉が来てからだね」
善子「どういうことよ」
果南「ここで待ってたらそのうち来るでしょ?」
善子「まぁ、多分……」
果南「じゃ、それまで厄介になるから」
善子「はぁー?」
果南「よしもう一本開けるかー!」
善子「ちょ、待ちなさ……もー!」 ーー
曜「じゃ、お先に」
善子「はい、お疲れ様です」
曜「また明日ねー!気をつけて帰ってね」
善子「ありがとうございます。曜さんもお気をつけて」
曜「うん!」 曜「ふぅ……疲れた……」
「こんばんは」
曜「へ?……あ!梨子ちゃん!」
梨子「お疲れ様です。今お帰りですか?」
曜「うん!梨子ちゃんも?」
梨子「ええ。今日は早めに上がれたので」
曜「そっかそっか。早く帰れるっていい事だよね〜」
梨子「そうですね。健康的な気分になります」 曜「ね、ね、梨子ちゃん。この後もし時間あるなら――」
鞠莉「はぁい♪」
曜「……ま、鞠莉さん」
鞠莉「元気ぃ?曜」
梨子「善子ちゃんのお姉さん……?」
鞠莉「あらあら、善子と千歌っちのお隣さんの美人ちゃんじゃな〜い」
梨子「……桜内梨子です」
鞠莉「これは失礼♪梨子ね、覚えたわ」 梨子「知り合い、なんですか?」
曜「ちょっとね……」
鞠莉「ちょっとじゃないでしょ?私と曜はそれはそれはイケナイ関係でー」
曜「無駄話に付き合ってる時間はありません」
鞠莉「あら、それはごめんなさい。今からデートだもんね」
梨子「デ、デー……!?」 曜「この前の答えを聞きに来たんでしょう?言いましたよね、ノーって」
鞠莉「ふーん、どうしてもダメなの?」
曜「はい」
鞠莉「Why?あなたにとっては願ってもない話だと思うけど」
曜「気に入らないからです。あなたのそのやり方が」
鞠莉「……へぇ」
曜「お姉ちゃんなら、妹に対してもっと面と向かって話すべきだ。こんな回りくどくて悪質なやり方、絶対に間違ってる。それに……」
曜「善子ちゃんは、私の大切な部下です。例え実の姉でも、あなたみたいにな人には絶対に売らない」 鞠莉「ふーん……好き勝手言ってくれるじゃない。部外者のくせに」ギロッ
梨子「……!」ビクッ
鞠莉「だったらやり方を変えるわ。桜内梨子さん」
梨子「……は、はい……?」
鞠莉「もしもう一度、ピアニストへの道が開けるとしたらどうする?」
梨子「なっ……!?」
曜「え……?」
鞠莉「あなたのそのトラウマを、人前で弾けなくなってしまったその大きな原因を、私なら解決出来る」
梨子「……!……!」
鞠莉「もう一度夢に挑戦できるのよ」
梨子「……な……」 鞠莉「だから、私と――むぐっ!?」
ダイヤ「こんな大衆の面前で何をしていますの」
梨子「え?」
曜「誰?」
ダイヤ「申し訳ありません、この人の言うことは何も聞かなくてよろしいので」
曜「は、はぁ……」 鞠莉「むががっ!むむー!」
ダイヤ「では失礼します」ズルズル
鞠莉「むむぅーーー!!」
曜「……行っちゃった……」
梨子「……今のは……?」
・14 終わり ・15
鞠莉「何するのよ!」
ダイヤ「あなたが何をしているのです」
鞠莉「私にこんなことしていいの?妹が……」
ダイヤ「家の者をこちらに呼びました。無駄です」 鞠莉「縁切ったんじゃないの?」
ダイヤ「そんなこと一言も言ってません。ただ、帰らないと言っただけで」
鞠莉「屁理屈を……」
ダイヤ「鞠莉さん。あなた自分が何をしているか分かってるのですか?」
鞠莉「……何が言いたいの?」
ダイヤ「あなたがやってるのは、子供の駄々こねと一緒です」 鞠莉「なんですって……?」
ダイヤ「鞠莉さん、あなたは」
鞠莉「黙って!!」
ダイヤ「……まぁ、そんなにムキになるってことは図星なんですね」
鞠莉「Shit!」
スタスタスタスタ……
ダイヤ「……まぁ、わたくしも人のこと言えませんが」
ダイヤ「さぁて……」 ーーー
曜「へぇ……梨子ちゃんピアニスト目指してたんだ」
梨子「はい。音大に行くくらいは本気でした」
曜「そっかぁ。今はもうやってないの?」
梨子「たまに……ふとした時にたまーに弾きます」
曜「あ、分かるな。私もたまーに泳ぎに行っちゃう」 梨子「あの、渡辺さんは……」
曜「飛び込みしてたんだ。一応、オリンピックに狙ってたくらいには頑張ってた」
梨子「やっぱり……初めて会った時から何だか見たことあると思ってたんです。飛び込みの渡辺選手だったんですね」
曜「あはは、知ってくれてたんだ。なんだか照れくさいな……」
曜「……まぁ、もう引退して以来ほぼ飛び込みはしてないけどね」
梨子「……引退した理由を、聞いても?」 梨子「当時報道されてた実力の限界……っていうのは本当の理由では無いんですよね?」
曜「あはは……分かっちゃうか。うん、本当の理由は別」
梨子「……もしかして、人前に出るのが怖くなった、とか」
曜「おお……ほぼ正解だよ。どうして分かったの?」
梨子「私も、そうだったからです」
曜「……なるほど……」 梨子「とある大きなコンクールで……弾けなかったんです。なんかもう、全部頭から消えちゃって」
梨子「あんまり記憶が無いんですけど……とても、とても怖かったのを覚えてます」
梨子「どうしようもないくらい指が、身体が震えて……気がついたら舞台袖で先生に呼ばれてました」
梨子「それ以来、1人でしか弾けなくなっ……もう、ピアニストは無理だって諦めたんです」
曜「……そっか……」 梨子「ごめんなさい、こんなこと話して……」
曜「ううん。ありがとう」
梨子「……あ。渡辺さんに聞いたのに私ったら……」
曜「ふふ、そうだね。私も……私はね、たくさんの人に見られることが怖くなっちゃった」
曜「世界大会優勝して……一気に注目されるようになって、たくさんの人が私に話しかけてきた。マスコミとか、話したことない同じ学科のことか、道端ですれ違った人とか……家にまで来られたこともあるんだ」
曜「人に会うのが本当に怖くなって……ちょっとね、外に出ることが出来なくなった時期もあった」 曜「何とか今は大丈夫になった。仕事もできるようになった。でもちょっと、まだ怖い時がある」
梨子「……小原さんからは……」
曜「うん。もう一度飛び込み選手をしないかって、お金付きで」
梨子「お金?」
曜「一千万」
梨子「一千万!?なんで……」
曜「さぁ……あの人が考えてる事はよくわかんないや。でも……」 曜「それより、もう一度飛び込みが出来るかもしれないって言われた時に動揺した自分にちょっとね……吹っ切れたつもりだけど、こんなに未練が残ってたんだって」
梨子「それは……渡辺さんは辞めたくてやめたわけじゃないから……そうに決まってます」
梨子「でも、私は……」
曜「もう、弾きたくないの?」
梨子「……分かりません。私もものすごく心が揺れたから……不意打ちだったってことを抜きにしても……」 曜「……あはは、私たち似てるかもね」
梨子「……ふふ、そうかもしれません……」
曜「……善子ちゃん、大丈夫かな……」
梨子「……」
梨子「……多分、大丈夫です」
曜「どうして?」
梨子「彼女は、一人じゃないから……小原さんは一人だったけど、善子ちゃんは一人じゃない」
曜「一人じゃない……」
梨子「私たちとも違って」
曜「……なるほど……そっか……」 ーー
果南「お酒お酒お酒〜♪」
果南「お酒〜……ん?」
ザリッ
鞠莉「……」
果南「お、来た来た。待ってたよ」
鞠莉「待ってた……?」 果南「うん。ってかどうしたの、そんな怖い顔して」
鞠莉「別に。あなたには関係ないわ」
果南「ふーん、だってさ、ダイヤ」
ダイヤ「あら、そうですか。残念、私も聞きたかったのに」
鞠莉「なっ……」
果南「いやー懐かしいね。こうやって三人揃うのは大学卒業して以来じゃない?」
ダイヤ「ですわね。丁度よくお酒もありますし、昔話にでも花を咲かせましょうか」 鞠莉「邪魔しないで!!あなた達に構ってる時間はないの!!」
果南「連れないなぁ。私たちとことは嫌いになっちゃった?」
ダイヤ「悲しいですわね……」
鞠莉「っ!ふざけてな」
果南「ふざけてるのはどっち?」
ダイヤ「そうよ。あなたにだけは言われたくないわ」
鞠莉「……!!」 果南「善子」
ダイヤ「千歌さん」
鞠莉「!」
善子「……姉さん……」
千歌「……」
鞠莉「……あなた達……」 果南「さ、腹割って話す時間だ。家に行こうか」
ダイヤ「お酒もありますし、ね?」
鞠莉「この……!」
果南「さ、れんこーれんこー」ズルズル
鞠莉「離して!!果南!!ダイヤ!!」
ダイヤ「静かになさい。近所迷惑です」
鞠莉「むぐっ!?」
ズルズル
千歌「……善子ちゃん」
善子「……行きましょ」
・14 終わり ようりこは千歌と幼なじみじゃない&出会わなかったifかぁ ・15
善子「……」
千歌「……」
鞠莉「……」
果南「ほらほら、皆飲んで」
ダイヤ「おつまみもありますわよ」
善子「いやそんな気分じゃ……」
果南「えー?美味しいのに」
千歌「そういう問題じゃないでしょ」 果南「千歌にそんなこと言われるなんて、私も歳とったなぁ」
千歌「どういう意味?……ってか黒澤主任って二人とどういう関係なんですか?なんで……」
ダイヤ「大学の同期です」
千歌「えっ、そうなの……知らなかった……」
果南「まぁそりゃそうでしょ。私だって千歌がダイヤの部下だなんて知らなかったし」
善子「世間ってほんと狭いのね」 鞠莉「……ねぇ」
果南「で、本題だけど。小原さんやい」
鞠莉「本題もクソも、私は善子と千歌っちにしか話はないんだけど」
ダイヤ「話し合いというのは当事者だけでは成り立ちません。第三者の目線が必要不可欠です」
鞠莉「あなたたちには関係ないでしょ!」 ダイヤ「あなたはもっと自分の行動を顧みて発言しなさい。果南さんはともかく、わたくしは巻き込まれた側です」
果南「関係大ありだよ。千歌と善子は私の可愛い妹分だから」
善子「私も?」
果南「うん。私はそう思ってるけど、ダメ?」
善子「いや……そう……」 鞠莉「違う!善子は私の妹よ!」
果南「あ、それそれ」
鞠莉「は?」
ダイヤ「鞠莉さん、善子さんはあなたにとって何ですか?」
鞠莉「だから妹だって……」
果南「どんな?」
鞠莉「……何が言いたいのよ」 ダイヤ「あなたにとって『どんな』妹ですか?」
鞠莉「な、なに……なにを……」
善子「ちょ、ちょっと何言ってんのよ」
千歌「……善子ちゃんは実は本当の妹じゃないとか……?」
善子「いやまぁ、戸籍上はそうだけど……」
果南「そういうことじゃなくて。まぁ、なんていうか、気持ちの問題?」
鞠莉「……!」 果南「鞠莉、黙ってちゃダメだよ。こういうのは自分で」
ダイヤ「この人ただのシスコンなんです」
鞠莉「!!」
果南「うわぁ、言っちゃった……」
ダイヤ「善子さん、あなたの事が好きで好きでたまらないからこんなにしつこく追い回してたんです」 善子「えっ……」
千歌「……マジ?」
果南「マジマジ」
ダイヤ「そうでしょう?鞠莉さん。好きでたまらないんですよわよね?」
鞠莉「な、何、言って……」プルプル
ダイヤ「震えてますわね。図星をつかれた時のあなたのくせです」
鞠莉「……Shut Up!!」
ダイヤ「黙るのはあなたです。近所迷惑」
鞠莉「むぐっ!?」
果南「ダイヤえげつな……」 ダイヤ「だからいい加減にするのはあなたです、鞠莉さん」
鞠莉「シスコンって自分だって!」
ダイヤ「ええ、自覚していますわ」
果南「『自分だって』って、今認めたね」
鞠莉「ちがっ……これは!」 善子「……そうなの?」
鞠莉「!いや……違うわよ善子」
善子「私のことが好きなの?」
鞠莉「〜〜!!」
千歌「わぁ……顔真っ赤……」
果南「今ここに鞠莉一人なのがその証拠だよ。今すぐ本気で連れ戻すつもりならあのおっきい家にいる怖い顔した人達連れてくればいいし」
千歌「確かに……」 ダイヤ「それをせずにこんな回りくどいことをしているのは、善子さんあなたの口から帰ると言って欲しいからです」
果南「過労で善子倒れた時も来たでしょ?心配で心配でたまらなかったんだよ」
ダイヤ「こうして家にまで来るのも、あなた方の身の回りを調べるのも、全部全部善子さんが可愛くて好きでたまらないからです」
果南「ね、鞠莉」 鞠莉「……う」
ダイヤ「なんです?」
鞠莉「違う!ちがうちがうちがう!!そんなのデタラメよ!!私は小原家の、家の存続のために……あの土地を私たちのものにするために!」
ダイヤ「鞠莉さん!あなた」
パァン!
鞠莉「……!」
千歌「……いい加減にしなよ……」
果南「千歌……!」
善子「……!」 鞠莉「……なにするのよ……」
千歌「こっちのセリフだよ。ねぇ、どの面下げて今ここにいるの?」
鞠莉「……なんですって?」
千歌「そうでしょ?善子ちゃんにこんな思いさせて、ヘラヘラ笑ってやってきてさ」
鞠莉「誰がヘラヘラしてるって!?誰に向かってそんな口聞いてんのよ!」
千歌「そうでしょ!!何も間違ってないでしょ!!鞠莉ちゃんがどんな気持ちかなんて分かるわけないじゃん!!なにも言わないで、追い詰めるようなことして、笑って……言ってくれなきゃ分かんないよ!!」
善子「千歌……」 千歌「言ってくれなきゃわかんない!声に出さなきゃ伝わらない!!そんなことも分かんないの!?」
千歌「私は……私は少なくとも鞠莉ちゃんよりは善子ちゃんの気持ちを分かってる。だって私は鞠莉ちゃんより善子ちゃんとたくさんお話したから」
鞠莉「……!……」
千歌「ねぇ、言ってくれなきゃ伝わらないんだよ。気持ちはお金じゃ、力じゃどうにも出来ないんだよ。今言わなきゃいつ言うの?時間は待ってくれない。過去はもう変えられない。大事なのはいつだって今この瞬間でしかないんだよ」
鞠莉「……っ」 ダイヤ「……鞠莉さん」
果南「鞠莉」
鞠莉「……わたし、は……」
ポン
鞠莉「!」
善子「……姉さん」
鞠莉「……善子……!」
善子「あなたの話なんて今まで聞こうと思ったこと無いけど……今日は、なんでも聞く」
鞠莉「……っ!」
善子「……話して、くれる?」
鞠莉「……私は……!」
善子「……姉さん……!」 果南「あ!逃げた!」
ダイヤ「この期に及んでまだ……!」
善子「姉さん!!」ダッ
千歌「善子ちゃん!」ダッ
果南「千歌まで行っちゃった」
ダイヤ「全く……あの強情さには本当呆れますわね」
果南「まぁでも、もう限界でしょ。ほとんど壊れかかってるし」
ダイヤ「そうね」 >>455
鞠莉「……!!」ダッ
果南「あ!逃げた!」
ダイヤ「この期に及んでまだ……!」
善子「姉さん!!」ダッ
千歌「善子ちゃん!」ダッ
果南「千歌まで行っちゃった」
ダイヤ「全く……あの強情さには本当呆れますわね」
果南「まぁでも、もう限界でしょ。ほとんど壊れかかってるし」
ダイヤ「そうね」 ーー
鞠莉「はぁ……はぁ……」タッタッタッ
善子「はぁ……はぁ……待ってってば……」
鞠莉「付いてこないで!!はぁ……」
善子「そういうわけには……いかないでしょ……!」 鞠莉「はぁ……はぁ……」
善子「そらっ!」ダキッ
鞠莉「っ!は、はなして」
善子「歳とったわねあんた……こんな簡単に捕えられるなんて」
鞠莉「この……はぁ……はぁ……」
善子「観念しなさい。本当のこと全部話すまでこのまま逃がさないから」 鞠莉「……やだ」
善子「やだってあんた……」
鞠莉「やだ。話さない」
善子「子供か。話してくれないと、私の人生変わってくるんだけど」
鞠莉「勝手に変わればいいじゃない」
善子「どの口が……まぁでもその口ぶりだと、あの二人が言ってたことは本当みたいね」
鞠莉「……」 善子「いきなりそんな手のひら返しもいいこと言われても……簡単に信じられないけど」
善子「まぁ……でも、あんたは家のことしか考えてないと思ってたからちょっと安心したわ」
善子「あのバカ親みたいにね」
鞠莉「……善子は家が嫌い?」
善子「分かりきってる事ね」 鞠莉「パパもママも?」
善子「『ママ』って私とあんたじゃ違うけど、私のママでいい?ちなみにあのクソ親父は論外よ」
鞠莉「……じゃあ」
善子「うん?」
鞠莉「……じゃあ、内浦は?」
善子「あの家がなかったら好きね」 鞠莉「〜〜!」
善子「なに、何もごもご言ってんの」
鞠莉「……えっと……その……」
善子「……」
鞠莉「……あの、わたし……のこと、は……」
善子「嫌い」
鞠莉「っ!」
善子「当たり前でしょう。っていうか分かってんじゃないの」 鞠莉「……その、まぁ……」
善子「嫌いよ嫌い。まぁ、今まで何回も言ってきてるけどね」
鞠莉「……そうよね……でも……」
千歌「はぁ……はぁ……追いついた……」
千歌「……善子ちゃん」 善子「でも?」
鞠莉「……でも……私は……」
善子「……」
鞠莉「……私は……私は、あなたのことがこの世で一番大事だと思ってる……」
善子「……そう……」
鞠莉「ホントよ。信じてもらえないと思うけど思うけど……本当に、私はあなたのことだけを考えて生きてきた」
善子「とてもそうとは思えないけど?」 鞠莉「そう……ね。だってそういう風にしてきたから……」
善子「どうして?最初から言ってくれれば、私は家を出なかったし籍を抜くことなんてしなかったかもしれない」
鞠莉「だって、その」
善子「なによ」
鞠莉「恥ずかしいじゃない……妹が大好きなんて」
善子「はっ……なにそれ……呆れた……」 鞠莉「しかも好きなのが私だけって言うのがさらに……だから……」
善子「だから縛りつけようと?すごいわ……面倒くささと回りくどさの世界一取れるんじゃないのあんた」
善子「はぁ……まさかこんなオチなんて……」
鞠莉「……ごめんなさい……」
善子「謝らないでよ。調子狂うから」
善子「まぁ、でも……そうね。悪くはない気分よ」
鞠莉「……!」 善子「好きって言われて嫌な気分になる人はいないでしょ」
鞠莉「……そう……ありがとう」
善子「お礼を言われることでもないわよ。ただ、まぁ……」チラッ
千歌「!」
善子「私があの家に帰ることは無いわ。絶対に」
鞠莉「……うん……」
千歌「……善子ちゃん……」
善子「残念ながらもう私は私の人生を歩いてるの。私の、私たちの家は今ここよ」
鞠莉「うん……分かったわ」 善子「私のことを想ってくれてるなら、そっと見守ってて。時々顔見せてくれるくらいでね。もう来ないでって言わないから」
鞠莉「ええ……じゃあ、一つだけわがまま聞いてくれる?」
善子「なに?」
鞠莉「なにか一つだけ欲しいものを言って」
善子「ええ?別にないけど……というかまたお金で……」
鞠莉「お願い!一つだけなにか買わせて!」
善子「ちょ、頭上げてよ」 千歌「あ、じゃあさ」
善子「千歌?」
千歌「ねぇ、鞠莉ちゃん。私欲しいものがあるんだけど――」
鞠莉「……それでいいの?」
千歌「うん!ね、善子ちゃん」
善子「そういえばまだ買い直して無かったわね」 千歌「いいかな、鞠莉ちゃん」
鞠莉「おやすい御用よ!とびっきりのを送ってあげる!」
善子「そんなにむちゃくちゃ高いのいらないからね?」
千歌「いーじゃん!この際高いやつ買ってもらおうよ!」
善子「千歌あんたねぇ……」
鞠莉「待ってて、今から手配するから」
善子「もーこれだから金持ちは……」 果南「良かった良かった」
ダイヤ「ですわね」
果南「いやーダイヤのえげつない精神攻撃で鞠莉をバキバキにした結果だね」
ダイヤ「人聞きの悪い。事実を言ったまでです」
果南「んー、そうなんだけど……ま、いいか。終わりよければすべてよし」
ダイヤ「さて、飲み直しますか」
果南「だね」 ーー
千歌「お先に失礼します!お疲れ様でしたー!」
ダイヤ「お疲れ様。気をつけておかえりなさい」
千歌「はーい!」 千歌「〜♪」
千歌「……お?」
花丸「ずら、牛乳買い忘れちゃった」
ルビィ「戻る?」
花丸「うーん……」
千歌「ルビィちゃーん!花丸ちゃーん!」
花丸「千歌さんだ」
ルビィ「こんにちは」 千歌「こんにちは!お買い物?」
花丸「はい。千歌さんもですか?」
千歌「うん!お米買いに来たの!」
ルビィ「ふふ、なんだか嬉しそうですね」
千歌「そりゃそーだよ!今日はね、おいし〜い白飯が食べられるからね!」
花丸「いい炊飯器買ったとか?」
千歌「えっとねー」
善子「なーにしてんの」
千歌「お!善子ちゃん!」 善子「うるさい……ごめんね、この蜜柑バカが」
ルビィ「いえ、千歌さん元気で楽しいです」
花丸「ずら!」
千歌「誰がみかん馬鹿だ!今日はお米馬鹿だよ!」
善子「どうでもいいから静かにして。ほら、さっさと買って帰るわよ」 千歌「ほいほーい!……あれ?」
梨子「あ」
曜「おー!」
千歌「梨子ちゃん……と?」
善子「曜さん」
千歌「曜さん?」
善子「会社の先輩」 千歌「あ!これはこれは、いつも善子ちゃんがお世話になってます」
曜「おーキミが善子ちゃんの同居人!こちらこそ、いつもお世話になってます」
善子「二人で、どうしたんですか?」
曜「えっへへ、今から梨子ちゃんとデートなのだ!」
梨子「そんなんじゃないです。普通に飲みに行くだけ」
曜「もー照れちゃって」
梨子「照れてません!」 善子「……いつの間にか仲良くなってる……」
千歌「なになに?デート?」
曜「んじゃ、善子ちゃんまたね!周りのかわい子ちゃんたちも!」
梨子「じゃあ、また」
千歌「……行っちゃった」
善子「へぇー……」
花丸「かわいこ……ちゃん?」
ルビィ「すごいはつらつとした人ですね……」 千歌「……はっ!早くお米買わないと!」
善子「そうよ。行きましょう」
千歌「じゃね、二人とも!」
善子「帰り道気をつけてね」
花丸「はい!」
ルビィ「失礼します」
千歌「おっこめーおっこめー♪」
善子「歌うな。恥ずかしい」
花丸「……ふふ、あの二人見てると何だかこっちまで楽しくなっちゃう」
ルビィ「だね。いいなぁ」
花丸「帰ろうか、ルビィちゃん」
ルビィ「うん!」 ーー
千歌「開けるよー」
善子「ええ」
千歌「とりゃ!……お?」ガサガサッ
善子「……黒い……」
千歌「黒いね……」
善子「これ本当に炊飯器?」
千歌「炊飯器……って書いてあるよ」
善子「値段ググってみよ」
千歌「うわ、彼氏出来ない奴だ」
善子「うるさい」 善子「……え」
千歌「なになに?いくらだった?」
善子「15万……」
千歌「じゅご……!?マジ?」
善子「マジマジ」
千歌「はぇ……さすが金持ち……」
善子「はぁ……全く……」 千歌「よっしゃーー!!うまい飯食うぞーーー!!」
善子「いきなり叫ぶな!」
千歌「高い飯食って新生活仕切り直しじゃ!!!」
善子「だから叫ばないでって!!もう!!」
千歌「善子ちゃん米洗って!私お風呂入ってくるから!!」
善子「なんでよ!!手伝いなさい!!」
千歌「善子ちゃんうるさい!!」
善子「あんたが言うな!!」 ーー
果南「おじぃー」
「なんだ」
果南「最近小原家のヘリコプター飛んでなくない?」
「ああ、そうだな」
果南「ふむ……」
「なんだ、また善子ちゃん達のところに行くのか?」
果南「いや、鞠莉の所行ってくる」
「そうか、気をつけてな」 果南「うん。あ、それと十千万にも」
「ほぉ……珍しいな」
果南「ま、たまにはね。私が顔出さないと」
「そうか。よろしく言っといてくれ」
果南「おっけー。じゃ、行ってくるね」
「気をつけてな」
果南「はいはーい」
タタッ
果南「……うん、今日もいい天気だ。富士山がよく見える」
果南「……よし!」
・15 終わり 終わり
1ヶ月ありがとう
久びさに書けて楽しかった
ではでは 乙んぽ
サイドストーリーとかあれば読んでみたいってくらい面白かった!
妹愛激重小原鞠莉ちゃんかわいい おつおつ
ちかよし物はあんま見たこと無いから新鮮だったわ なんか鞠莉がかわいそうだな
設定そのまま、かなまりでもう一本 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています