【短編】桜坂しずくの夏休み
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少しあなしずです。
変なところがあったらすみません。 こんにちは桜坂しずくです。
桜坂家は夏休みになると一週間だけ涼しいところへ避暑に行くんです。
今年もいつものように山あいにある別荘へやってきました。
テレビに出てくるような立派な豪邸ではないですが静かで落ち着いていて大好きな場所なんです。 到着して家族と一息ついてから、私は二階に上がって窓際にある椅子に腰かけました。
鞄から取り出したのは一冊の文庫本。中身はもちろん大好きな戯曲です。
私は早速ページをめくり、ゆっくりと読み始めました
ここに来るときはこうやって本を読むのが私の決まり。
都会の騒がしさから離れたここは戯曲の世界に入り込むにはうってつけなんです。
集中するあまり夕ご飯に呼ぶ声にも気がつかなくて叱られてしまったこともあるんですよ。 でも今年はいつもとはちょっと違っていました。
本の中盤、ちょっとした山場にさしかかったところでなんだか居ても立っても居られなくなった私はそのまま庭に出て同じ場面を演じ始めました。
まるで物語の世界に飛び込むような高揚感。登場人物の心情をトレースしていく面白さ。
こうなってしまったらもう止められません。私はどんどんお芝居の世界にのめりこんでいきました。 どれくらい経ったのでしょうか。
家族に呼ばれて気が付くと日はすでに傾いていて冷えた空気が汗ばむ体にしみていきました。
夕方はやっぱり冷えるなぁ、なんて考えながら家に戻ると夕食の準備が始まっていました。
キッチンでは母が慣れた手つきで何やら調理しています。父は不在の間しまわれていた食器や机などを用意しているようでした。
私も父を手伝って食器を運んだり机を拭いたりしていました。 ちょうど私たちの準備が終わるころ、夕ご飯も出来上がったようでした。
今度は母を手伝って全員分の配膳を終え、食事をとりはじめました。
食卓で話題にのぼるのは父の仕事や私の学校生活のこと、勉強や演劇部での活動、そしてスクールアイドルについて。
久しぶりに家族みんなでゆっくりとお話しができた気がします。 何気ない家族のだんらん
静かに流れていく時間
穏やかで幸せなひと時
―だけど、少しだけ寂しい そんなこと、いつもなら思うはずなんてないのに。
これはきっと同好会で過ごす賑やかな時間になれてしまったからなのかも、なんて風にみんなの顔を思い浮かべていました。 食事を終えてふとスマホを見てみるといつの間にか溜まっている通知に気がつきました。
何か大事な連絡があったのかもと少し焦りながらチャットを開くと何やら楽しそうな会話が。 どうやら何人かのメンバーで遊びに行っていたようで、
先輩の撮ったみんなの写真がアップされていました。 私も、
「すごく楽しそうです。お写真も素敵ですね。」
とコメントしました。すると、
「ありがとう!しずくちゃんが戻ってきたらまたみんなで行こうね!」
とうれしいお返事が。 そうです、寂しいなんて言ってはいられません。
だって夏休みはまだまだこれから。
みんなとの思い出も。
もちろん家族との思い出も。
そして… なんて考えているとつい表情に出ていたようで、
隣にいた母に楽しそうね、なんて言われてしまいました。
これでは私の演技力もまだまだこれからのようです。
学校に戻ったらまた先輩に見てもらわないといけないですね。
よろしくお願いしますね、先輩。
終わり お付き合いありがとうございました。
短いですが楽しんでくれた方がいれば幸いです。 日記形式みたいでいいね
ちょっとSidを思い出す感じ >>25
ありがとうございます。
SIDが好きでちょっと意識していたので嬉しいです。 あなしずいいぞ
步夢の影に隠れてるけどしずくちゃんもあなたスキスキアピールしてるからな >>26
おぉそうだったんだ、自分もSID好きなので嬉しいです
虹ヶ咲でこういう文章はとてもいいのでまたよろしくお願いします ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています