あなた「0日後に死ぬ私」
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夕方 横断歩道
あなた「…………」スタスタ
ブーン!
あなた「えっ――」
ドンッ!!
ドサッ
あなた「」グタッ
………………
…………
…… あなた「うぅん……あれ? ここはいったい……」
??「やっと目が覚めたのね」
あなた「だ、誰?」
??「私は天使よ」
あなた「天使って……もしかして私死んじゃった!?」
天使「ええ、飲み込みが早くて助かるわ」
あなた「そっか……じゃあここが天国なんだ」
天使「いいえ、ここは南沼津市。天国とあなたが元いた世界との中間地点ね」
あなた「中間地点? それってどういう――」
天使「そんなことより、あなたは生きたくない?」
あなた「……まあどちらかというと生きたい、かな?」
天使「そうよね、そう言うと思ったわ。だからチャンスをあげる」
あなた「はあ……」 天使「今からあなたには今日をやり直してもらうわ」
天使「そしてあなたが死んだ夕方までに恋人を作りなさい」
あなた「えっ、なにそれ……」
天使「あ、ちなみに恋人は女の子に限るから注意してね」
あなた「で、でもそんな急に恋人なんて――」
天使「大丈夫よ、あなたのそばにはあなたのことが大好きな女の子がいるじゃない」
あなた「いやあの、そうは言っても……」
天使「じゃ、頑張ってね」
あなた「ちょっと待って、もう少し話を――」
パッ!
メノ^ノ。^リ「……これで、いいのよね?」
??「…………」コクッ 朝 あなたの部屋
あなた「んん……? 朝……?」
あなた(なんだか変な夢を見てた気がするけど……まあいっか)
ガチャッ
あなた「ん?」
歩夢「あれっ、もう起きてたの? いつもならまだ寝てる時間なのに……」
あなた「あー……ちょっと怖い夢を見ちゃって」
歩夢「そっか。大丈夫?」
あなた「うん。着替えるからちょっと待ってて」
歩夢「わかった」
あなた「……あの」
歩夢「どうしたの?」
あなた「部屋の外で待っててほしいな……」
夕方 横断歩道
あなた「ん〜……今日も充実した一日だったなぁ」スタスタ
あなた「でもなにか忘れてるような……なんだっけ?」
あなた「う〜ん……思い出せな――」
ドンッ!
………………
…………
…… あなた「うぅん……あれ? ここ前にも来たことある気が……」
天使「ちょっと」
あなた「あっ、えっとたしか……天使!」
天使「あなた今日一日なにしてたの?」
あなた「いつも通りみんなと楽しく――」
天使「恋人を作れって言ったでしょ!?」
あなた「あ〜……ごめん、忘れてたよ」
天使「ねえ、あなた本当に生きたいと思ってる?」
あなた「思ってるよ、スクールアイドルフェスティバルも成功させなきゃだし」
天使「だったらちゃんと恋人を作るの! わかった!?」
あなた「でも私もう失敗しちゃったし……」
天使「もう一度チャンスをあげるから! やり直して!」
あなた「はーい……」 朝 あなたの部屋
あなた「んん……? あ、ほんとに戻ってる……」
ガチャッ
歩夢「あっ、また起きてる。私が起こしてあげたかったのに……」
あなた「ごめんね。着替えるから部屋の外で待っててくれる?」
歩夢「わかった……え? 部屋の外?」
あなた「うん、部屋の外」
歩夢「……じゃあ、待ってるね」
あなた「すぐ支度するから」 部室
あなた(それにしても恋人かぁ……言うのは簡単だけど、今日中っていうのはさすがになぁ)
かすみ「せーんぱいっ! ぼーっとしてどうしちゃったんですか?」
あなた「あ、かすみちゃん」
かすみ「もしかして、かすみんが可愛すぎて見とれちゃってました?」
天使『あなたのそばにはあなたのことが大好きな女の子がいるじゃない』
あなた(もしかしてあの天使が言ってたのって、かすみちゃんのこと? なら……)
あなた「かすみちゃん、このあとちょっといいかな?」
かすみ「はいっ! 先輩の頼みなら、かすみんなんでも聞いちゃいますよっ!」 空き教室
あなた「かすみちゃん……私の恋人になってください!」
かすみ「へ……? い、今なんて言いました?」
あなた「私の恋人になってって……」
かすみ「…………」ポロッ
あなた「わわっ! ごめん変なこと言って……嫌だったよね?」
かすみ「違うんです! 嬉しいんです!」
あなた「えっ?」
かすみ「私てっきり先輩は他の人のことが好きなんだと思ってたから……」
あなた「かすみちゃん……」
かすみ「かすみんのこと、これからずっとずーっと大事にしてくださいね?」
あなた「も、モチのロンだよ……」
あなた(勢いで告白したはいいけど、騙してるみたいでさすがに胸が痛むなぁ……)
あなた(でもこうして恋人同士になったからには、もう後戻りはできない)
あなた(私、きっと立派な恋人になってみせるから……待っててね、かすみちゃん) 夕方 横断歩道
あなた「これでもう私が死ぬことはないんだよね」
あなた「ううん、かすみちゃんのためにも死ぬわけにはいかないよ」
あなた「帰ったらこれからのことしっかり考えないと――」
ドンッ!
………………
…………
……
あなた「うぅん……あれ? 私また死んでる!? なんで!?」
天使「ひとつ言い忘れてたことがあるわ」
あなた「えっ、これどういう――」
天使「あなたが恋人になるのは運命の相手じゃないとダメなの」
あなた「なにそれ……かすみちゃんは私の運命の相手じゃないってこと?」
天使「だからあなたはまた死んだのよ」
あなた「そんなぁ〜……」
天使「これは私のミスだから、特別にもう一回チャンスをあげるわ」
あなた「チャンスって、また朝に戻るの!?」
天使「今度こそ失敗しないでね。いってらっしゃーい」 朝 あなたの部屋
あなた「んん……この朝ももう4回目か……」
ガチャッ
歩夢「あっ、やっぱり起きてた」
あなた「おはよう歩夢ちゃん。えっと――」
歩夢「私は部屋の外で待ってるから、ゆっくり支度してね」
あなた「あ、うん」
部室
あなた(運命の相手って言われてもなぁ……そう簡単に見つかるものなのかな?)
あなた(同好会の中にいたら探すのも楽なんだけど……)ジー
しずく「?」
あなた(あ、しずくちゃんと目が合った。なら今回は……) 放課後 踊り場
しずく「えっ!? それはつまり、私と先輩がこ、恋人同士になるということですか……?」
あなた「うん。嫌なら断ってくれて大丈夫だから」
しずく「嫌だなんてとんでもないです! 私でよければ、ぜひ」
あなた「よかった〜、これで一安心だよ」
しずく「一安心?」
あなた「いや、こっちの話。しずくちゃん、これからよろしくね」
しずく「はい! こちらこそよろしくお願いします!」
あなた「じゃあ私もう帰らないとだから。また明日」タッタッタッ
しずく「……私、先輩の理想のヒロインになれてたんだ」
夕方 横断歩道
あなた「やり直しはこれで3回目だし、3度目の正直ってことでうまくいくんじゃないかな?」
あなた「さすがにこう何度も同じ日を繰り返すってのは――」
ドンッ!
………………
…………
…… あなた「うぅん……あれ? ここは……ああそっか、これは夢なんだ。早く起きないとなー」
天使「夢じゃないわよ、現実逃避はやめて」
あなた「もう勘弁してよ……なんで私死んだの?」
天使「あなたが運命の相手と結ばれなかったからよ」
あなた「というかさぁ、誰かもわからない運命の相手を探すなんて無理でしょ」
天使「でも見つけないとあなたまた死ぬわよ」
あなた「ならヒントくらい教えてよ天使さん」
天使「ヒント? そうね……たとえば同級生なんてどうかしら?」
あなた「同級生か……わかった、じゃあ早く戻してよ」
天使「はいはい……」
朝 あなたの部屋
あなた「んん……今度こそ今日を終わらせなきゃ」
ガチャッ
歩夢「おはよう。ふふっ、今日も早起きだね」 部室
あなた(天使が言ってたヒントは同級生……ってことは)
あなた「ねえ、あとで話があるんだけど……」
校舎裏
あなた「あのね愛ちゃん。その、私と付き合ってほしいんだけど……」
愛「オッケー、りょーかい」
あなた「即答!? えっと……付き合うっていうのはつまり恋人になるってことで――」
愛「いやいや、それくらいわかってるって」
あなた「そ、そっか……でもそんな簡単に決めちゃっていいの?」
愛「君に告白されたら断る理由なんてないっしょ。急に呼び出されて何事かとは思ったけど」
あなた「ごめんね、いきなり告白なんかしちゃって。びっくりしたよね?」
愛「まあびっくりはしたよ? けどそれ以上に愛さん嬉しかったからさ」
あなた「そうなんだ。よかったぁ……」
愛「そんじゃ君の気持ちに応えるためにも、気合を入れてお付き合いしないとね!」
あなた「ぶふっ!」 夕方 中庭
あなた(よく考えてみたら私いっつも横断歩道で轢かれて死んでるんだよね)
あなた(ってことはここみたいに車が来ない安全な場所でじっとしてれば……)
ヒュー……ガシャンッ!
あなた「うっ……!」
バタッ
………………
…………
……
あなた「うぅん……あれ? 私死んじゃった?」
天使「ええ、死んだわ」
あなた「おかしいな……横断歩道には行かなかったのに」
天使「どこにいたって運命の相手と結ばれなければあなたは死ぬの」
あなた「むぅ……なかなかうまくいかないなぁ」
天使「じゃあ早速やり直しましょうか」 あなた「それなんだけど、私あと何回やり直せるの?」
天使「えっ?」
あなた「こんなこと成功するまで何度もやり直してたらきりがないでしょ?」
あなた「だから回数制限とかあるんじゃないかなって」
天使「あー……そうね、そのつもりだったけどあなたはなんというか……例外ってことで」
あなた「はあ……そうだ、もう一つ聞きたいことがあるんだけど」
天使「なにかしら?」
あなた「名前、教えてくれないかな。天使さんって呼ぶのもなんかどうも……」
天使「えっと、名前ね……私の名前は、その……り、リリエルよ」
あなた「リリエルさんかぁ……じゃあこれからはそう呼ぶね」
天使「そんなことより早く戻りましょうよ、運命の相手を探さないと」
あなた「えー? 死に疲れてるからもう少しゆっくりしたい……」
天使「ダメよ。さ、早く行って」
あなた「はーい……」 朝 あなたの部屋
あなた「んん……もう何回目か数えるのも面倒くさい……」
ガチャッ
歩夢「おはよう。疲れてるみたいだけど、大丈夫?」
あなた「大丈夫……疲れてるってよくわかったね」
歩夢「ふふっ、あなたのことならなんでもわかるよ。着替え手伝ってあげよっか?」
あなた「いやいいよ、一人でできるから」
歩夢「そう……」
部室
あなた(あー、なんかもう面倒くさくなってきたなぁ……そうだ!)
あなた「エマさんエマさん、ちょっといい?」 歩夢さん、何で途中から部屋の外で待つのを分かってるんですかね… 空き教室
あなた「私と付き合って!」
エマ「いいよ、なにに付き合えばいいのかな?」
あなた「あ、そういうボケはいいから」
エマ「ボケ?」
あなた「私の彼女になってって言ってるの!」
エマ「か、彼女!?」
あなた「時間がないから早く答えて! 3、2、1、はい!」
エマ「えっ? あっ、うん。よろしくね」
あなた「よろしくってことはオッケーってこと?」
エマ「そうだよ。私こういうのよくわからないから、いろいろ迷惑かけちゃうかもしれないけど――」
あなた「じゃあ私はこれで!」タッタッタッ
エマ「あれ?……行っちゃった」 自分の知ってる日本語の意味が間違ってたかなってなってそう 空き教室2
ガラッ!
あなた「おまたせ果林さん!」
果林「どうしたの? こんなところに呼び出して」
あなた「手短に言うね。私と付き合ってほしいの」
果林「えっ?……あ〜、その手には引っかからないわよ?」
あなた「いやからかってるんじゃなくて、本気なんだってば」
果林「本気って……まさか、冗談よね?」
あなた「これが冗談に見える?」
果林「で、でも……」
あなた「果林さんを抱いていいの? Yes? No?」
果林「い、イエス……」
あなた「よしっ!」
果林「その、私初めてだから優しく――」
あなた「今日は忙しいからそれはまた今度!」タッタッタッ
果林「……オフコ――」 空き教室3
ガラッ!
あなた「璃奈ちゃん付き合って!」
璃奈「わわ、待って、まだボードの準備が……」
あなた「そんなのいいから! ね、お願い!」
璃奈「付き合うって、なにに?」
あなた「だからそのボケはもういいんだって!」
璃奈「??」
あなた「付き合うっていうのは、恋人になるって意味!」
璃奈「…………」
あなた「な、なにか言ってよ」
璃奈「えっと、びっくりして……璃奈ちゃんボード『こういうときどんな顔すればいいかわからない』」
あなた「顔とかどうでもいいよ! とにかく返事を聞かせて!」
璃奈「そんなこと言われてもすぐには……」
あなた「今じゃないとダメなの! お願いだから答えて!」
璃奈「……わかった。付き合う」
あなた「ありがとう! じゃあまたね!」タッタッタッ
璃奈「あ……璃奈ちゃんボード『アジャパー』」 数撃ちゃ当たる戦法で上手く行ってもその後が困るだろw 夕方 保健室
ガラガラ……
あなた「はぁ……はぁ……やっと見つけた」
彼方「あれ〜? あなたもお昼寝?」
あなた「昼寝ってもう夕方だよ……」
彼方「夕方……ちょっと寝すぎたかも〜」
あなた「あのね彼方さん、私と付き合ってくれないかな?」
彼方「いいよ〜。でも今日はもう帰らないといけないから、お昼寝はまた明日〜」
あなた「お昼寝じゃなくって! なんで今回はみんな一発でわかってくれないの!?」
彼方「もしかして彼方ちゃん、怒られてる……?」
あなた「いや怒ってないよ……そんなことより、私の彼女になってくれない?」
彼方「う〜ん、彼女か〜……もし私があなたの彼女になったらどんなことする〜?」
あなた「一緒にお昼寝でもなんでもしてあげるよ! だからさ、付き合ってくれるでしょ!?」
彼方「あ〜、うん。でも寝起きに告白されるなんて、彼方ちゃんびっくり――」
あなた「じゃまた!」タッタッタッ
彼方「……?」 夕方 階段
あなた(4人と付き合えばさすがに当たりがいてもいいよね)
あなた(これでやっと死のループから抜け出せるんだ……)フラッ
あなた「あっ……」
ゴロゴロ……ドサッ!
………………
…………
……
あなた「うぅん……また失敗……」
天使「なにやってるのよ」
あなた「え? 運命の相手探しだけど」
天使「そうじゃなくて、なんで一度に4人と付き合ってるの?」
あなた「だって1回に1人ずつじゃ効率悪いし……」 天使「だからっておかしいでしょ! あなたおかしいと思わないの!?」
あなた「えー、おかしいかな?」
天使「もしあの中に運命の相手がいたら確実に修羅場よ!? それはそれで面白そうだけど!」
あなた「修羅場でいいよ死ぬよりはマシだし」
天使「あなたねぇ……」
あなた「あ、そうだ。ひとつ気になることがあるんだけど」
天使「なによ」
あなた「リリエルさんって誰かに似てない?」
天使「に、似てないわよ誰にも……」
あなた「いやっ、絶対どこかで会ってる気がする……」
天使「あっ! そろそろ戻る時間よ! 次はちゃんと一人に絞ってよ?」
あなた「ちょっと待ってよ今思い出せそう――」 朝 あなたの部屋
あなた「んん……いい加減この朝飽きたよ……」
ガチャッ
歩夢「おはよ――」
部室
あなた(やっぱり当てずっぽうじゃダメなのかな……といっても手がかりが少なすぎるよ)
あなた(リリエルさんが言ってたヒントっぽいものは――)
天使『あなたのことが大好きな女の子が――』
天使『――同級生なんてどうかしら?』
あなた(大好き……同級生……あっ!)
………………
…………
…… あなた「ごめんね、居残りなんてさせちゃって」
せつ菜「いえ、気にしないでください。それより話というのはなんでしょう?」
あなた「……せつ菜ちゃん」
せつ菜「はいっ!」
あなた「私と……付き合ってください!」
せつ菜「…………」
あなた「あの、せつ菜ちゃん……?」
せつ菜「……ひとつ確認させてください」
あなた「な、なんでござんしょう?」
せつ菜「今のはつまり、あなたが私のことを好きだということでいいんでしょうか……?」
あなた「まあ……うん、そういうことになるのかな?」
せつ菜「そうですか……なら、私の答えはこれですっ!」
チュッ
あなた「んむっ!?」
せつ菜「ん……」 あなた「あ、あの、えっと……」
せつ菜「私の大好きな気持ち、ちゃんと伝わりましたか……?」
あなた「う、うん……すごく伝わった」
せつ菜「……っ! で、ではまた明日! さようならっ!」タッタッタッ
あなた「…………」ボー
あなた(えっ、なにこれ!? 私なんかめちゃくちゃドキドキしてる!?)
夕方 横断歩道
あなた(せつ菜ちゃんの唇、柔らかかったなぁ……)
あなた(これはもう間違いなく運命の相手に巡り合っちゃったんじゃないかな? というわけで……)
あなた「これにて一件落――」
ドンッ!
………………
…………
…… あなた「うぅん……え?」
メノ^ノ。^リ「あなた、100点」
あなた「なにが100点なの、私死んでるんだけど!」
天使「まあまあ落ち着いて」
あなた「っていうかまたあの車に轢かれたよ! 黒のクラウンで、長野ナンバーの“・・・4”とかいうふざけた番号!」
天使「よく覚えてるわね、そんなの」
あなた「そりゃ何回もやられたら嫌でも覚えるでしょ!」
天使「じゃ、またやり直しってことで――」
あなた「あのさ、リリエルさんって私の運命の相手が誰か知ってるの?」
天使「し、知らない……でもたとえば――」
あなた「知らないならアドバイス聞いても意味ないよ。とっとと朝に戻して」
天使「あ、はい……」 朝 あなたの部屋
あなた「んん……今度こそ終わらせてやる!」スクッ
ガチャッ
歩夢「おは――」
生徒会室
あなた「栞子ちゃん、大事な話があるの」
栞子「なんですか? 生徒会に入りたいと言うなら私は歓迎しますが」
あなた「生徒会には入らないんだけど、私を栞子ちゃんの隣にいさせてほしいなって」
栞子「……よくわかりませんが、今は仕事も立て込んでいませんから、あなたは同好会に――」
あなた「私を栞子ちゃんの彼女にしてほしいの」
栞子「は……?」
あなた「だからね、私を栞子ちゃんの――」
栞子「言い直さなくても大丈夫です、聞こえてますから」 あなた「そ、そっか。それじゃ返事を聞かせてほしいんだけど……」
栞子「なぜ私なのですか?」
あなた「え?」
栞子「はっきり言って、あなたにそのような好意を向けられる心当たりがないのですが」
あなた「それはぁ……なんというか……」
栞子「まさかイタズラだなんて言いませんよね? もしそうなら――」
あなた「それは絶対ないから! 私は本気だよ!」
栞子「……そうですか。では明日の朝またここに来てください。それまでに――」
あなた「それじゃダメなの! 今、返事を聞かせてくれないかな……」
栞子「む、無理です」
あなた「お願い栞子ちゃん! どうしても今じゃないと……」
栞子「…………」
あなた「…………」 栞子「……本当に、私でいいのですか?」
あなた「うん。栞子ちゃんがいい……」
栞子「はぁ……仕方ありませんね。わかりましたよ」
あなた「……それって、オッケーってことでいいんだよね?」
栞子「断ったように聞こえましたか?」
あなた「ううん、そんなことは」
栞子「ですが勘違いしないでください。私は別にあなたのことが気になっていたとかそんなことは一切――」
あなた「うぐっ!?」ドクンッ
栞子「えっ……」
あなた「あがっ、くるし……がはっ!」
栞子「し、しっかりしてください! すぐに救急車を……」
あなた「」グタッ
栞子「嘘……嫌です、逝かないでください! ねえっ!!」 あなた「げっほ! ごっほ! なに!? なにが起きたの!?」
天使「大丈夫、ただの心臓発作よ」
あなた「大丈夫だったら死んでないと思うんだけど! しかもまだ夕方じゃなかったのに――」
天使「そんなことよりどうしてよりによって三船栞子なの?」
天使「最近ちょーっと打ち解けたからって、その選択肢はないでしょ。あなた病んでるんじゃない?」
あなた「そりゃこう何度も死んでたら病むのもぷっ……やむ、なし……くっ、あはは!」
天使「自分のダジャレでなんでそんなに笑えるの……しかもあんまり上手くないし」
あなた「なんかもう疲れちゃったんだよね。そろそろ死なせてくれない?」
天使「そういうわけにはいかないの。私が殺されちゃうじゃない」
あなた「殺されちゃうって誰に?」
天使「あっ、いや……ただの言い間違いだから気にしないで」
あなた「ふーん……」
天使「じゃあまたやり直しましょ。今度こそ成功してよ?」
あなた「は〜あ……」 朝 あなたの部屋
あなた「んん……あー、しんどい……」
ガチャッ
歩夢「お――」
屋上
プルルルル……プルルッ
鞠莉〈チャオ〜、マリーよ〉
あなた「鞠莉さん……ごめんね、急に電話して」
鞠莉〈あら? なんだか元気がないわね。どうかしたの?〉
あなた「ちょっと困り事があって……気付いたら鞠莉さんに電話しちゃってたんだ」
鞠莉〈そうなの……私で良かったら相談にのるわよ?〉
あなた「ありがとう。でも相談というよりはお願いになっちゃうかな」
鞠莉〈お願いでもなんでもいいわ。あなたの力になれるならね〉 あなた「……鞠莉さん、私の彼女になってください」
鞠莉〈えっ……?〉
あなた「あはは……ダメだよね。いきなりこんなこと言われても迷惑だよね」
鞠莉〈そんなことないけど……あなたはいいの?〉
あなた「ん? どういう意味?」
鞠莉〈だってあなたには……いえ、これを言うのは野暮よね〉
鞠莉〈じゃあ今から私たちは恋人同士よ。今いる場所は離れているけど、私たちの心はひとつだからね〉
あなた「うん」
鞠莉〈大好きよ、マイダーリン〉
あなた「だ、ダーリン!?」
ドンッ
あなた「えっ……」
ヒュウウゥゥ……グシャッ! あなた「うわぁっ!!」
天使「おかえりなさい」
あなた「ちょっとなに今の!? 私突き落とされなかった!?」
天使「知らないわよ。別にどう死のうが関係ないでしょ?」
あなた「いやだってさぁ……」
天使「まだ見つからないの? 運命の相手は」
あなた「見つかんないよ、もう探したくもないよ」
天使「それじゃ私が困るのよ。またやり直してね」
あなた「やだ!」
天使「わがまま言わないでよ……」
あなた「だってもう誰と付き合おうが死ぬじゃん!」
天使「そんなことないわよ、ちゃんと運命の相手はいるんだから」
あなた「絶対いないよそんなの! もう無理だよ!」
天使「だったら朝起きて最初に会った子に告白するとかでいいじゃない」
あなた「チッ……」
天使「舌打ちしないで。じゃあ戻すからね?」
あなた「ふんっ!」 実は歩夢の方は死んでて幽霊で、あなたちゃんに見えてない説 適当な告白を含めて成功率100%とか、全員彼女にしても修羅場にならずに上手くやっていけそう 朝 あなたの部屋
あなた「んん……はぁ……」
ガチャッ
歩夢「おはよう」
あなた「おはよう……ねえ歩夢ちゃん」
歩夢「よろしくお願いします!」
あなた「まだなにも言ってないんだけど……」
歩夢「あっ、えっと、なにかな?」
あなた「あのね、私と付き合ってほしいの」
歩夢「……やっと言ってくれた。私ずっと待ってたんだよ?」
歩夢「私もね、あなたのことが大好き。今までもこれからも、あなたしか好きにならないからね」
あなた「うん……嬉しいよ」
あなた(でも私どうせ夕方には死ぬんだろうなぁ……) 夕方 横断歩道
歩夢「ねえ、覚えてる? 幼稚園の頃……」
あなた(そろそろ私が死ぬ時間だなぁ……歩夢ちゃんが巻き込まれないように気をつけないと)
あなた(って、いろいろ考えてるといきなり死んじゃうんだよね。ほんと心臓に悪いよ……)
あなた(あー、早く轢いてくれないかな。いつもの時間過ぎちゃう――)
トントン
あなた「え?」
歩夢「もう、どうしたの? さっきから様子が変だよ?」
あなた「あ……ううん、なんでもないよ」
歩夢「大丈夫? 具合が悪いなら、私が一晩中寝ずに看病してあげるよ?」
あなた「ありがとう。でも私はなんともないから」
歩夢「ならいいけど……」 翌朝 あなたの部屋
ガチャッ
スタスタ……
歩夢「起きて。もう朝だよ?」
あなた「んぅ……歩夢ちゃん? ふわぁ……おはよう」
歩夢「うん、おはよう」
あなた(結局あれから死んだりしないまま今日の朝を迎えちゃった)
あなた(ということは私の運命の相手は歩夢ちゃんだったってことなのかな)
歩夢「あの……そんなに見つめられると恥ずかしいよ……」
あなた「あっ、ごめん」
歩夢「でもこんなこと恥ずかしがってちゃダメだよね。私はあなたの彼女なんだし……」
あなた「歩夢ちゃん……」 一ヶ月後
歩夢「今日がなんの日か覚えてる?」
あなた「えっ? なんだっけ?」
歩夢「やっぱり覚えてない……今日は私たちが恋人同士になって一ヶ月の記念日だよ?」
あなた「そっか、もう一ヶ月なんだ……」
歩夢「そうだよ。だからあなたからプレゼントを貰いたいな」
あなた「と言われてもなんにも用意できてないよ……」
歩夢「大丈夫。私がほしいのは物じゃないから」
あなた「じゃあなにがほしいの?」
歩夢「……キス、してほしいな」
あなた「き、キス!?」
歩夢「ダメ……かな?」
あなた「ううん、ダメじゃないよ。えっと、どこにしたらいいのかな?」
歩夢「……あなたなら私がどこにしてほしいか、わかるよね?」
あなた「うん……」スッ
歩夢「…………」
あなた「…………」 歩夢「……まだ、かな?」
あなた「……歩夢ちゃんは、運命って信じる?」
歩夢「信じるよ。だってあなたは私の運命の相手だもん」
あなた「私はそうは思えないんだ」
歩夢「えっ……」
あなた「私の運命の相手は、本当に歩夢ちゃんなのかな?」
歩夢「そうに決まってるよ! ねえ、どうしたの? なんだか様子が……」
あなた「ごめん、今日はもう帰って」
歩夢「な、なんで? 私、あなたになにかしちゃったかな? だったら謝るから、ね?」
あなた「そういうことじゃないの」
歩夢「ならどういうことなの!?」
あなた「わかんない、わかんないけど……」
歩夢「そっか……私とは、キスしてくれないんだ」
あなた「……ごめんね」
歩夢「せつ菜ちゃんとはしたくせに」
あなた「ど、どうしてそれを――」
歩夢「ゲームオーバー」
――――――
――――
―― 梨子「ねえ、そろそろ元の場所に帰してよ。あなたの目的は果たせたでしょ?」
歩夢「ダメ。これじゃ全然ダメ。あの子の心は私のものになってない……」
梨子「じゃあまたやり直すの?」
歩夢「もちろん。今度こそ成功させなきゃ……」
梨子「また私に手伝わせるつもり?」
歩夢「ううん、梨子ちゃんはもういいよ」
梨子「そう。なら早く戻してくれる?」
歩夢「どうして?」
梨子「言ってたじゃない、目的を果たしたら帰れるって」
歩夢「やだなぁ、梨子ちゃん。今言ったでしょ? 目的は果たせてないって」
梨子「そんな……じゃ、じゃあ私はどうなるの……?」
歩夢「役に立たない子はもういらない。バスにでも乗って消えちゃえばいいよ」
梨子「えっ、待ってよ私は――」
歩夢「リセット」
――――――
――――
―― ――
――――
――――――
朝 あなたの部屋
ガチャッ
あなた「すぅ……んぅ……」
歩夢「……ふふっ」
おしまい 乙
先にキスをしたのが歩夢だったら上手く行ってたのか果たして なんか世界がクソゲーの中で歩夢が設定自由に弄れてみたいなss前あったよね 乙
トゥルーエンド迎えるにはせつ菜が鍵になりそうだな ぽむのSSホラーもの多すぎて草
でも面白かったよ乙でした 梨子ちゃんがあまりに不憫すぎる……
あと南沼津市で熱海の捜査官思い出した ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています