こころ「花丸まんじゅうください」
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穂むら
穂乃果「え?花丸まんじゅう?」
こころ「はい、クラスの友達から聞いたんです」
こころ「とてもおいしいおまんじゅうのようで」
こころ「それはまさに夢のような味がするそうです」
穂乃果「花丸まんじゅう……初めて聞いた」
こころ「もしかして、穂乃果さんのお店にはないんですか?」
穂乃果「そうだね、うちにはそのおまんじゅうは置いてないなぁ。ごめんね」
こころ「そうですか……ないのかぁ」シュン
こころ「ぜひお姉様やここあ達に食べさせたかったんですが」
こころ「しょうがない、ほむまん5個ください」
穂乃果「―はい、どうぞ」スッ
こころ「ありがとうございます、それではさようなら」
穂乃果「毎度ありがとうございました〜」
穂乃果「……」
穂乃果「花丸まんじゅう、かぁ」
穂乃果「どんなおまんじゅうなんだろう……?」 穂乃果「お母さん、花丸まんじゅうって知ってる?」
穂乃果ママ「花丸まんじゅう?なにかしら、初めて聞いたわね」
穂乃果ママ「お父さんは知ってる?」
穂乃果パパ「……?」フリフリ
穂乃果「お母さんもお父さんも知らないなんて」
雪穂「そんなおまんじゅう本当にあるの?どんなお菓子なのそれ?」
穂乃果「こころちゃんは夢のような味がするって言ってたけど」
雪穂「夢のような味……またぼんやりしてるね」
穂乃果「だよねぇ、もっとよく聞いておけばよかったよ」
穂乃果「花丸まんじゅう……気になるなぁ」
穂乃果(こころちゃんもがっかりしてたし、なんとか食べさせてあげたいな)
穂乃果「花丸……花丸……花丸?」
穂乃果「―あ、そうだ‼」ピコーンッ しょうがない、ほむまん5個ください
海未ちゃん「は?しょうがない?」 次の日 学校
穂乃果「あ、いたいた。おーい花丸ちゃん」
花丸「穂乃果さん、どうしたの?」
穂乃果「花丸ちゃんはおまんじゅう好き?」
花丸「おまんじゅう?うん、よくばあちゃんと一緒に食べるよ」
穂乃果「よかった、ちょっとお願いがあるんだけど」
穂乃果「私と一緒におまんじゅう作ってみない?」
花丸「え?」
放課後 穂むら
花丸「へぇ〜穂乃果さんの家って和菓子屋さんだったんだぁ」
花丸「おいしそうなおまんじゅうがいっぱい、毎日おまんじゅう食べられるね。羨ましいな」
穂乃果「穂乃果はもう食べ飽きたけどね……」
穂乃果「あ、そうだ。今お茶をいれるね」トポトポ
穂乃果「お近づきのしるしに、うちの名物ほむまんをどうぞ」
花丸「わぁ、ありがとう。いただきま〜す」パクッ ズズズッ……
花丸「う〜ん!!お茶によく合う〜おいしい〜!!」 花丸「はぁ……ごちそうさまでした」
花丸「それで、おまんじゅうを作るって言ってたけどどんな物を作るの?」
穂乃果「実はね、昨日あるお客さんから『花丸まんじゅうください』って言われてさ」
穂乃果「あいにくうちにはそのおまんじゅう置いてなくて親も知らないって言うんだ」
花丸「花丸まんじゅう?マルと同じ名前だ」
花丸「親も知らない?どこにも売ってないの?」
穂乃果「調べてみたんだけどどこのお店にも売ってないみたいで」
穂乃果「こころちゃんのお友達はどこで買ったのか……」
穂乃果「とにかく、こころちゃんの為に花丸まんじゅうを作ってあげようかと思って」
穂乃果「その時花丸ちゃんの顔がパッと浮かんでね」
穂乃果「花丸ちゃんにも作ってもらえば名前の通りになるかなって考えたの」
花丸「ふぅん、まぁ確かに嘘にはならないね」
穂乃果「花丸ちゃんをイメージして作ってみようよ」
花丸「なんか照れくさいけど、面白そうだね」 穂乃果「まずはどんなおまんじゅうにするか考えよう」
穂乃果「う〜ん……」ジーッ
花丸「なに?急に見つめられると照れるよ……」モジモジ
穂乃果「色は……黄色、かな」
穂乃果「ちょっと失礼」スッ
花丸「ひゃっ!?ふぉのかふぁん!?」ムニムニ
穂乃果「うんうんなるほど。花丸ちゃんもち肌だね、この感触覚えておかないと」
花丸「びっくりしたぁ……触るなら言ってよもう」
穂乃果「あはは、ごめんね。もう少し付き合って」
穂乃果「花丸ちゃんの好きな食べ物はなに?」
花丸「ん〜マルはのっぽパンとみかんが好きだな」
穂乃果「のっぽパン!?なにそれ気になる!!」
花丸「食べる?カバンにあるけど」スッ
穂乃果「食べる食べる‼」
穂乃果「―あ〜むっ!!ん〜これがのっぽパン、やっぱりパンはうまい‼」
花丸「おいしいでしょ〜」 穂乃果「あ〜おいしかったなぁ」
花丸「このあとはなにするの?」
穂乃果「あ、そうだった。のっぽパンがおいしくてつい忘れてた」
穂乃果「花丸ちゃんの見た目、感触、好きな食べ物」
穂乃果「これのイメージをうまく合わせて花丸まんじゅうを作ろう」
穂乃果「花丸ちゃんは黄色い服装だからおまんじゅうの色は黄色で」
穂乃果「みかん風味の特製の餡を中に詰めて」
穂乃果「生地はおまんじゅうとパン生地の二層構造にしよう」
花丸「ふむふむ……それはおいしそうだね」カキカキ
花丸「こんな感じかな?」
穂乃果「おぉ〜そうそうそんな感じ!!花丸ちゃん絵描くのうまいねぇ」
花丸「まぁね〜こう見えて絵心はある方なんだ」
穂乃果「断面まで描いてくれたから具体的なイメージが付きやすくなったね」
穂乃果「よし、次は台所で試作しよう‼」 穂乃果「花丸ちゃん、みかんの皮を剥いて」
花丸「わかった」ムキムキ
花丸「……」ジーッ
花丸「……はむっ」
穂乃果「ちょ、つまみ食いしちゃダメ‼」
花丸「えへ、ばれちゃったか」
穂乃果「食いしん坊なんだからまったく」
花丸「穂乃果さん、あ〜ん」スッ
穂乃果「ん?あ〜ん」パクッ
穂乃果「―甘ぁ〜い」
花丸「これで穂乃果さんも共犯だね」ニヤニヤ
穂乃果「はっ!?しまった、つい食べちゃった……」
花丸「穂乃果さん、みかんの皮剥けたよ」
穂乃果「うん、いいね。そのみかんを細かくほぐしてお鍋に入れて」
花丸「ほい」
穂乃果「あんことよく混ぜ合わせれば」マゼマゼ
穂乃果「特製みかんあんこの出来上りだよ‼」
花丸「わぁ、あえてみかんの果肉を残す事で見た目にもみかんが入ってるってわかるのがいいね〜」
穂乃果「でしょでしょ?うまくいってよかった」 穂乃果「さぁ、次はおまんじゅうの生地に餡を詰めるよ。よく見ててね」
穂乃果「餡を丸めて、生地で包み込む」ギュッギュッ
花丸「穂乃果さん上手だねぇ、流石和菓子屋さんの娘」
穂乃果「小さい頃からよくお父さんの手伝いをしてきたからね」
穂乃果「感心してないで花丸ちゃんもやってごらん」
花丸「えっと……こうかなぁ」ギュッギュッ
花丸「なんだかいびつな形に……穂乃果さんみたいに丸く出来ないや」
穂乃果「いや、そっちの方がいいよ。その調子でもっと作ろう」
花丸「こんな不格好なおまんじゅうでいいのかな」
穂乃果「いいのいいの、これも手作りの醍醐味だよ」
穂乃果「皆同じ形よりも違う形ばかりの方が楽しいでしょ」
花丸「そうなの、かな……」ギュッギュッ
花丸「でも、お菓子作りって楽しいね」 花丸「結局皆形バラバラになっちゃった」
穂乃果「これを花丸まんじゅうのウリにしようか、『世界にただひとつのおまんじゅう』みたいな」
花丸「ものは言いよう、だね」
穂乃果「あとはこれを蒸して」ガタッ
穂乃果「蒸し上がるまでちょっと休憩しようか」
数分後
穂乃果「蒸し上がったよ〜」ホカホカ
花丸「ん〜いい匂〜い!!これだけでも十分おいしそうだね〜」
穂乃果「まだ終わりじゃないんだなぁ、これを更にパン生地で包む‼」
花丸「絶対おいしい!!間違いないよ!!」
穂乃果「おまんじゅうアツアツだから少し冷ましてから包もうね」
花丸「あっつ‼」
穂乃果「なにやってるのもう……気が早いなぁ」
穂乃果「大丈夫?ふーふー」
花丸「うぅ……ごめん穂乃果さん」 穂乃果「そろそろいいかな?」サワサワ
穂乃果「これくらいなら大丈夫そう、さっきと同じ要領でおまんじゅうを包んでいくよ」
花丸「いつの間にパン生地を作ったの?」
穂乃果「お母さんにお願いしてたんだ」
穂乃果「形がバラバラだからちょっと難しいかもね」ギュッギュッ
花丸「パン生地で包んでも丸くならないね」ギュッギュッ
穂乃果「おまんじゅうに合わせるとどうしてもね〜」
穂乃果「なんとかそれらしい形になったね」
穂乃果「ここでもう1度花丸ちゃんの絵心を発揮してもらうよ」
穂乃果「生地にみかんの葉っぱの切り込みを入れて」ギュッ
穂乃果「食紅で色を付けよう」ペタペタ
花丸「ふ〜ん、本格的だね」ギュッ…ペタペタ
花丸「見て見て!!本物のみかんみたい‼」
穂乃果「いいね〜芸術家になれるよ花丸ちゃん」
花丸「これは焼き上がりが楽しみだね〜」
穂乃果「ラストスパートをかけていこう。あともう少し、ファイトだよ‼」
花丸「おーっ‼」 穂乃果「いよいよこれが最後の工程、花丸まんじゅうを焼くよ」
花丸「とうとう完成するんだね、わくわく」
穂乃果「焼き上がるまでちょっと出かけてくる、花丸ちゃんはおまんじゅうの様子見てて」
花丸「どこに行くの?」
穂乃果「花丸まんじゅうを探してた小さなお客さんの所だよ」
矢澤家
ピンポーン
こころ「はーい、どちら様でしょうか」
穂乃果「こんにちは、穂乃果だよ」
ガチャ
こころ「穂乃果さん、どうしたんですか?」
穂乃果「こころちゃんに新商品の試食をお願いしたくて」
穂乃果「一緒に私のお店まで来てくれないかなぁ」
こころ「新商品?試食?」
こころ「ちょっと待ってくださいね、お姉様に話してきます」タタタッ
こころ「お待たせしました、行ってきていいと言われたのでよろしくお願いします」
穂乃果「ありがとう!!あとでにこちゃんにお礼しないとね」
穂乃果「それじゃ行こう」 穂乃果「ただいま〜」
こころ「お邪魔します」
花丸「おかえり、ちょうど焼き上がったと思うんだけど」
穂乃果「どれどれ……」ガタッ
穂乃果「おぉ、タイミングバッチリ‼完成だよ‼」
花丸「あはっ、やったね‼」
こころ「あの、これは?」
こころ「それとあなたは……」
花丸「あ、はじめまして。マルは国木田花丸」
こころ「矢澤こころです」
こころ「花丸さんと言うのですか?あのおまんじゅうと同じ名前……」
こころ「―もしかしてこれって」
穂乃果「そう、これが花丸ちゃんと一緒に作ったその名も『花丸まんじゅう』だよ‼」
花丸「その名もなにもまんまだよ穂乃果さん」
穂乃果「あはは……つい大げさに言いたくなって」
こころ「これが、花丸まんじゅう……」
こころ「私が食べたおまんじゅうとは違いますね」
花丸「えっ?食べた?」
穂乃果「ち、違うって。えっ?どういう事?」 こころ「実は今日友達に花丸まんじゅうをもらって食べたんです」
こころ「これとは違う形で、小判の形をしたおまんじゅうでした」
穂乃果「そんな……花丸まんじゅうって本当にあったんだ」
こころ「どこで売ってるかはわかりませんが、ひとつ500円するそうです」
花丸「ご、500円……高級品なんだそのおまんじゅう」
こころ「言葉では言い表せない、夢のような味でした」ウットリ
穂乃果「具体的な味はやっぱりわからないんだね」
穂乃果「なぁんだ残念、お店の新商品になると思ったのに」
花丸「せっかくこころちゃんの為に作ったのに本物を食べちゃったんではね」
こころ「え?私の為に?」
こころ「……そうだったんですか」
こころ「このおまんじゅう、名前は一緒ですがあのおまんじゅうとは全然違います」
こころ「よかったら食べてもいいですか?」
穂乃果「こころちゃん……」
穂乃果「もちろん‼食べてみて‼私達も食べよう花丸ちゃん」
花丸「わ〜い、待ってました‼」 こころ「このおまんじゅう、みかんの形をしてる。面白〜い」
こころ「それにおまんじゅうというよりはまるでパンのような」マジマジ
こころ「本当におまんじゅうなんですかこれ?」
穂乃果「ふふ、つかみはバッチリ。食べてみればわかるよ」
こころ「なんだかドキドキしてきた……いただきます」パクッ
こころ「!!」
こころ「これ、パンじゃない。パンの中におまんじゅうが入ってる‼」モグモグ
こころ「―あっ、あんこの中にあるこのつぶつぶは……みかんだ‼」
こころ「だからみかんの形をしているんですね‼あむあむ……んぐっ」
こころ「はぁ〜これは友達にもらった花丸まんじゅうよりもおいしいです、これを食べたら幸せな夢が見られそうですね」
穂乃果「本物を越えた‼やったぁ‼」パクッ
穂乃果「いや〜我ながらうまい‼これを今度からお店で売り出そう」
花丸「マルの大好きな物が全部詰まってる〜花丸まんじゅう最高だね〜」モグモグ
こころ「わぁ、穂乃果さんのお店に行けばこのおまんじゅうがまた食べられるんですね。嬉しい!!」
こころ「もうひとつください!!」
花丸「マルもおかわり!!」
穂乃果「どんどん食べちゃおう‼」
3人「「「う〜ん、おいっしい〜!!」」」 こころ「はぁ……ごちそうさまでした」
花丸「これは病みつきになるおいしさ、大ヒット間違いなしだよ」
穂乃果「2人のお墨付きをもらったから自信を持ってお父さんに薦められるよ」
こころ「穂乃果さん、花丸さん、私の為におまんじゅうを作ってくれてありがとうございました」
こころ「花丸まんじゅうがお店に並んだ時は1番に買いに行きます」
穂乃果「更においしく改良して待ってるよ、楽しみにしてて」
穂乃果「これ、余り物で悪いけど家族で食べて」スッ
こころ「お土産まで……ありがとうございます」
こころ「それでは失礼します、お邪魔しました」
花丸「またね〜」
穂乃果「にこちゃんにもよろしくね〜」
花丸「そろそろマルも帰るよ」
穂乃果「花丸ちゃん、今日はありがとう。花丸ちゃんのおかげでこころちゃんにあんなに喜んでもらえたよ」
花丸「ううん、お礼を言うのはこっちの方だよ」
花丸「穂乃果さんとおまんじゅう作りが出来て楽しかった」
花丸「花丸まんじゅうもおいしかったし、また新商品作る時は声かけてね」
穂乃果「うん、その時はよろしくね‼」 花丸まんじゅう発売当日
こころ「はぁっ、はぁっ、はぁっ」タタタッ
こころ「こんにちは‼」ガラッ
花丸「いらっしゃいませ〜」
こころ「あ、花丸さん。花丸さんも『あれ』を買いに?」
花丸「そのつもりだったんだけど穂乃果ちゃんに捕まって売り子をやって欲しいって言われてね」
花丸「穂乃果ちゃんなら台所にいるよ、今呼んで来るね」
穂乃果「あ、こころちゃん。いらっしゃい!!」
こころ「穂乃果さん、忙しそうですね」
穂乃果「今日はあの新商品が発売する日だからね、家族総出で作ってるんだ」
穂乃果「いっぱい作ったからいっぱい買って行ってね」
こころ「はい‼それじゃさっそく」
こころ「花丸まんじゅうください」ニコッ 終わりです。わかってた人もいましたが元ネタは昨日のあるアニメです。支援、最後まで読んでいただきありがとうございました。 穂乃果がお姉ちゃんしてるとなんか他のお姉ちゃん組とは違った安心感がある
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