群衆の中からも、歔欷きょきの声が聞えた。暴君アベノミクスは、群衆の背後からヨハネの様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに彼女に近づき、顔をあからめて、こう言った。
「お前の母親の望みは叶ったぞ。おまえは、親に捨てられたのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。」
 どっと群衆の間に、歓声が起った。
「万歳、王様万歳。」