ルビィは激怒した。
必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。
ルビィには政治がわからぬ。ルビィは、漁村の漁師である。網を張り、船上で昼寝をして暮して来た。
けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
きょう未明ルビィは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此この沼津の市にやって来た。
ルビィには父も、母も無い。旦那も無い。十八の、勝ち気な姉と二人暮しだ。