「希、聞いて。今まで私は廃校を何とか無くす事に精一杯で貴女の支えがなければ立っていられないくらい不安定だったと思う」

「それでもにこに出会って、あの子が笑顔を褒めてくれた時から私は今までのように意地を張るのはやめようって…そう思えたの」

「貴女がずっと長い間にこの事を気にしてたのは知ってる。私が頼りなかったせいで希がにこの力になってあげられなかったことも」


「そ、そんなこと……」


「でも、私はもう大丈夫。廃校問題だってきっと何とかしてみせる。都合のいい考えだって笑われちゃうかもしれないけど、貴女とにこがいれば何とかなるって思ってるの」

「前に希にはバレエの事を言ったことがあったわよね?やっぱり私は踊る事が好きみたい。にこの居場所を守ろうだなんて立派な理由じゃなく、私がやってみたいから。………希はどうしたい?」


「もし希に少しでもやりたい気持ちがあるんなら、やってみればいいじゃない。特に理由なんて必要ない。やりたいからやってみる。本当にやりたいことって、そんな感じに始まるんじゃない?」



「…っ!」


どう言葉にしていいのか戸惑っている様子の希。大丈夫、私はどれだけでも待つわ…貴女を支えるのは、今度は私の番だから。



「うちも……うちもやってみたい。誰かと何か新しい事がしたかった、うちの夢やったんよ」

「希…!」

「あはは、今想像してみたん。えりちと、にこっちと…それにもしかしたらまだ増えるのかもしれない仲間達と…一つの目標に向かって頑張る姿を」

「きっと、楽しい事ばかりじゃない。練習はうちもヒィヒィ言いながら着いていく事になるかも知れない。それでも想像の中のうちは、いつでも笑顔だったんよ」

「今まで一年うち一人じゃ言えなかった。でも、えりちと一緒なら言える。うちもにこっちの力になりたい!」

「ううん、うちもにこっちのような…見てて思わず笑顔になれるアイドルになりたい!」

「決まり、みたいね?」

「うん!」

「後は、にこしだいね」ボソッ

「?」

「ううん、こっちの話よ」


私も意地を張るのをやめて、希も勇気を出してくれた。
……あとは、貴女次第よ?