にこ「ほんの少しのきっかけで」
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昔書いてて完結させられなかったssを改めて
ラ板でのスレ立ては初なので至らぬ点あれば教えて下さい 「少し、時間を下さい」
「その子達の言い分は、一人しかいない部活がある必要が無いっていう事なんですよね?何とかします、私が……」
「絢瀬さん……。貴女、まさか……」
「貴女は生徒会長として充分過ぎるほどやってくれているわ、それがこれまで以上に大変になるのよ?」
にこの居場所を守る為に…いや、本当は私自身もそう望んでいたのかもしれないわね。
希に頼めばきっと形だけでも入部してくれる、だけどそれだけだとにこをよく思っていない連中に対しての抑止力にはならない。だとしたら……
「私が、アイドル研究部に入部します」
____________
______ 「えぇ!えりちがアイドル研究部に入る?!」
「しー!静かにして希!まったく、誰が聞いてるか分からないんだからね…」
「ごめんごめん、でもホントにびっくりしたんよ?どうしてまた急に?」
「実は……」
翌日、真っ先に希に報告。かなり驚いてたみたいだけど私が経緯を説明すると、納得してくれた様だった。……というか、私よりも頬を真赤に膨らませ怒っていた。
「なんでにこっちがこんな目に遭わないといけないん?……自分勝手な人達…許せんよ…」
「そうね、私も同じ気持ちだわ。それで、希はどうする?」
「へ…?」
「一緒にアイドル研究部に入りましょう?」
「う、うちが?!ダメダメ、うちなんて向いてないよ…」
「どうして?運動神経だっていいし、きっと希ならやっていけるはずよ」
そう伝えると、希は暗い顔を覗かせる。
意外と希ってこういう所あるのよね……自分の事になると積極性が無くなるというか…多分だけど今までもずっと、希はもっとにこの力になりたかったんだと思う。
それでも一歩踏み出すことが出来なかったのは自信が足り無かった事と…それときっと私のせいよね。
それなら今私が希の背中を押すわ。 「希、聞いて。今まで私は廃校を何とか無くす事に精一杯で貴女の支えがなければ立っていられないくらい不安定だったと思う」
「それでもにこに出会って、あの子が笑顔を褒めてくれた時から私は今までのように意地を張るのはやめようって…そう思えたの」
「貴女がずっと長い間にこの事を気にしてたのは知ってる。私が頼りなかったせいで希がにこの力になってあげられなかったことも」
「そ、そんなこと……」
「でも、私はもう大丈夫。廃校問題だってきっと何とかしてみせる。都合のいい考えだって笑われちゃうかもしれないけど、貴女とにこがいれば何とかなるって思ってるの」
「前に希にはバレエの事を言ったことがあったわよね?やっぱり私は踊る事が好きみたい。にこの居場所を守ろうだなんて立派な理由じゃなく、私がやってみたいから。………希はどうしたい?」
「もし希に少しでもやりたい気持ちがあるんなら、やってみればいいじゃない。特に理由なんて必要ない。やりたいからやってみる。本当にやりたいことって、そんな感じに始まるんじゃない?」
「…っ!」
どう言葉にしていいのか戸惑っている様子の希。大丈夫、私はどれだけでも待つわ…貴女を支えるのは、今度は私の番だから。
「うちも……うちもやってみたい。誰かと何か新しい事がしたかった、うちの夢やったんよ」
「希…!」
「あはは、今想像してみたん。えりちと、にこっちと…それにもしかしたらまだ増えるのかもしれない仲間達と…一つの目標に向かって頑張る姿を」
「きっと、楽しい事ばかりじゃない。練習はうちもヒィヒィ言いながら着いていく事になるかも知れない。それでも想像の中のうちは、いつでも笑顔だったんよ」
「今まで一年うち一人じゃ言えなかった。でも、えりちと一緒なら言える。うちもにこっちの力になりたい!」
「ううん、うちもにこっちのような…見てて思わず笑顔になれるアイドルになりたい!」
「決まり、みたいね?」
「うん!」
「後は、にこしだいね」ボソッ
「?」
「ううん、こっちの話よ」
私も意地を張るのをやめて、希も勇気を出してくれた。
……あとは、貴女次第よ? ______
____________
「覚悟はいいですか?穂乃果、ことり」
「うん、これまで数日間、しっかり準備してきたんだもん」
「ことりも、あの時から覚悟は変わってないよ」
「では、行きましょうか。にこのいる部室へ」
大丈夫、私だって覚悟はしてきたでしょう。あの日から…
______
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『二人とも、ちょっと相談なのですが……』
『なぁに?海未ちゃん』
『穂乃果、ことり。私はアイドル研究部に入ろうと思っています』
『『えぇ〜?!』』
『それで、貴女達にも一緒に入って欲しいと思っています』
『私はにこに出会って、にこに笑顔にして貰った時から今まで興味の無かったアイドルというものに興味を持ちました。』
『正直人前に出るというのは恥ずかしいです。しかし、二人と一緒なら出来ると思うんです』
『海未ちゃん……。穂乃果も、にこちゃんに自信を貰ったあの時からずっとそう思ってたよ』
『ことりも、衣装を考える時についつい二人に着てもらうならこういう衣装かなって想像してみたり…実は自分の分も……』
『穂乃果…ことり……!!』
『やろう!海未ちゃん!』 ______
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「いざ行こうとなると、緊張するものですね。後は扉を開けるだけなのに…」
「うん…断られたらって思うと怖いよ……」
「もしにこちゃんの事を怒らせちゃったらどうしよう…」
にこの元に入部させて欲しいと伝えに来たはいいものの、あと一歩の所で怖気付いてしまいます。
にこの過去を考えると簡単には伝えられません。どうしても最悪の事ばかり頭に浮かんで来てしまいます。それでも、言い出した私が弱音ばかり吐いているわけにはいけません。
「大丈夫です。やれる事はやって来ました、そうでしょう?」
「うん、大丈夫。海未ちゃん、お願い」
「はい、では開けますよ……」
「あら?貴女達は……」
アイドル研究部の扉に手をかけると、誰かから声をかけられます。誰かと思い振り向くとそこには…… 「絵里先輩?」
あれは……生徒会長と、副会長?穂乃果は知っている様でしたが、知り合いだったのでしょうか。
それより、二人はここになんの用で…?
「あら、穂乃果さん。それに理事長の……」
「そっちは弓道部の園田さんやね?皆もにこっちに何か用事?」
「そう、貴女が園田さん……」
「ご存知でしたか、私は園田海未と申します」
「南ことりです。生徒会長と副会長…ですよね?」
「えぇ、絢瀬絵里よ、よろしくね」
「うちは東條希。初めましてやね」
「副会長さんは初めまして、高坂穂乃果です!絵里先輩はお久しぶりです」
「久しぶりね、貴女達はにこにどんな用事で?」
「あ、実は私達は……」
ひとしきり自己紹介が済んだところでここに来た理由を生徒会長に伝えようとすると、
ガチャ
「部室の前で何やってるの……って何この大人数?!」
扉を開けて、今日私達がここに来た理由でもあるにこが登場しました。 ______
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「びっくりしたわ、何か騒がしいと思って扉開けたら勢揃いでいるんだから」
「うちらだってびっくりしたよ、も〜急に開けないでよねにこっち」
「そうだよ〜、穂乃果びっくりして心臓飛び出ちゃうかと思ったんだよ?」
「にこが悪いの!?」
「あはは……にこが悪いとは思ってないけれど、びっくりしたのは確かね?」
「海未ちゃんなんて扉に手をかけてたから腰抜かしちゃうんじゃないかってくらい驚いてたもんね?」
「そこまで驚いてません!大体一番に声を上げたのはことりじゃないですか!」
ここまで私の友達が揃うなんて事初めてじゃないかしら。絵里達と海未達が初対面っぽい所をみると、別の要件なんじゃないかと思うけどこんなタイミングで一体なんの用事なのかしら?
「それで?あんた達なんの用?わざわざ部室まで来るなんてよっぽどの事なんじゃないの?」
にこがそう言うと、今まで和やかに談笑してた皆の口元が急に強ばる。
「えっと……絵里先輩たちの用事からで!穂乃果たちはその後でいいから…」 「……そうね。にこ、これから言う話は少し貴女にとって嫌な話かも知れないわ。穂乃果さん達も同席で大丈夫かしら?」
嫌な話……。そう言われて思い浮かぶ事が無いわけではない。正直一人で聞くのは怖いし海未や穂乃果、ことりにも一緒にいて欲しいと思った。
「いいわ、貴女達はそれでいい?…一緒に聞いていてくれる?」
「はい、にこがいいと言うのでしたら一緒に聞かせて頂きます。二人もそれでいいですか?」
「「うん、もちろんだよ」」
「決まりやね、それじゃあえりちよろしくね」
「それじゃあ早速本題に入らせて貰うわね?……にこ、単刀直入に言うわ。そう遠くない未来、アイドル研究部は…廃部になる」
「「「「っ……!!?」」」」
覚悟はしていた。だけど、それが現実になると知って…それも、大事な友達である絵里から伝えられた事もあって私は自分が立っている感覚すら無くなってしまった。
怖い…怖い。私の唯一の居場所でいて、私の夢の最後の砦、それがここだったの。
「ちょっと待ってください絵里先輩!私達は…」
「海未!!」
「っ!」ビクッ
「絵里、続けて」
海未達にいてもらってよかった、後輩にかっこ悪い所を見せる訳にはいかない。そんな思いがなければ私は今確実に立っていられなかった。 「……きっと、今まで通りなら貴女はこのアイドル研究部で卒業まで過ごす事が出来たの」
「……どういう事?」
「実際貴女に対する嫌がらせは最近増えているはず、なにか思い当たる事はないかしら?」
「…!?ま、まさか…!?」ガタッ
「海未ちゃん?!どうしたの急に…?!」
「園田さん、貴女は気づいたみたいね。そう、このアイドル研究部を廃部にしようとしている大きな原因は…私と、貴女よ」
「そ、そんな……私が、私がにこの大切な居場所を…………」
そうなのね、そういうこと………
つまり、前の海未への嫌がらせの手紙を送ってきたやつらが…… 「落ちこぼれの私が人気者の海未や絵里と仲良くしてる事が気に食わないやつらが、ここを潰そうとしてるって……そういう事なのね?」
「そうよ。……ごめんなさい、にこ。貴女にそんな顔をさせたかった訳じゃないの」
「ご、ごめんなさい……ごめんなさいにこ!私が…私さえいなければ…」
「やめて!海未、私は貴女に助けられた事を後悔した事なんて無いし、これからもする事はないわ」
海未に偶然助けられてから、私は本当に楽しかったの。今までとは比べ物にならないくらいに。意地を張るのをやめて、大切な友達と呼べる人が増えていって……今までの人生でこんなに楽しかった時間はないわ。
「そんな顔しないで海未。この場所が無くなったって私には貴女達がいる。それだけで十分よ」
「…嘘ですよ、にこ。貴女の言う通りならば何故……」
「何故、そんな泣きそうな顔をしているのですか……?」
「……っ!?」
そんな……笑顔を作るのは得意なはずでしょ?
大丈夫だって笑いなさい……笑え、にこ。
「…き…め…くない」
ダメ、これ以上を求めるなんて欲張りが過ぎる。
ダメ、後輩の前で情けない姿なんて見せられない。
ダメよにこ、笑わなきゃ……
「夢を…諦めたくないの……!」ポロポロ ______
____________
『夢を…諦めたくないの……!』
ここが私のせいで潰されてしまうという事に動揺してしまいましたが、にこの表情に、涙に、言葉に。私は覚悟を新たに決めました。
絶対に潰させません、例え私が入部した事によってさらに嫌がらせが増えたとしても、絶対に私がにこを護ります。
「……生徒会長。いや、絵里先輩。話の途中になってしまいますが、私達のここに来た理由を聞いて下さい」
「私はあの日にこと知り合い、笑顔が増えたと思っています。それは穂乃果やことりも一緒で、私達三人毎日が以前よりも楽しかったんです。そしてアイドルというものをにこを通して知りました。」
「そして憧れたんです、にこの姿に。穂乃果やことりも同じ気持ちでした。だから私は…私達は」
ふ、と視線を二人に移します。まるで心の中まで通じあっているようで、妙な高揚感さえ感じます。
「「「アイドル研究部に入部します!!!」」」 「いいの?部長は貴女よ、にこ」
「…………。」
にこは何も答えません。俯いたその表情さえ確認出来ず不安が募ります。
「私から言ってあげる。園田さん、もし貴女が入部したとしたら逆効果になるかもしれないわ。貴女はいいかもしれないけど、穂乃果さんや南さんにまで嫌がらせは及ぶかもしれない」
「覚悟は出来ています。私がさせません。それにもしそういう事があったとしても穂乃果やことりは弱くありません」
「そんなのには絶対負けません!」
「海未ちゃんに守ってもらうんじゃなくて、私達も海未ちゃんを守ります!」
「「「もちろんにこ(ちゃん)も」」」
「あ、あんた達…………」
「んふふ、負けちゃったねえりち?」
「……へ?」
「はぁ……分かりました、私の負けよ。…全く、貴女達もいいタイミングで来るのね?」
「にこっちもつくづく後輩に…いや、仲間に恵まれたみたいやね?」 「ど、どういう事ですか?」
「本当だったら私達が先に言うつもりだったのに…損な役回りよね、希?」
「まったくやね、にこっちに憧れたのは三人だけじゃないんよ?」
「にこ、ごめんなさい。本当ならすぐに言おうとしてたんだけどこの子達の覚悟を試すような真似をしてしまって、貴女には辛い思いをさせてしまった」
「だけど改めて言わせて?私がいるからには貴女に嫌がらせなんて絶対させない。生徒会長として、仲間として。私達は…」
「「アイドル研究部に入部します」」 「言っておくけど、貴女についてこれなかった子達と同じ風に辞めるなんて思わないでね?……貴女に拒否権はありません」
「にこっちがダメって言っても入るつもりやからね」
「皆……!」ポロポロ
「ごめんなさい、今まで誘いたくてもまた失ってしまうのが怖くて誘えなかった。きっと入りたいって言ってくれても突っぱねてたかもしれない」
「それでも言わせて。海未、穂乃果、ことり、絵里、希。貴女達に出会えてよかった。アイドル研究部部長として、皆の入部を歓迎するわ……!」
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「はぁ…緊張するね」
「も〜、そんな事言ってたってしかたないにゃ!入部するって言ったのはかよちんだよ〜?」
「でも〜……ってあれ?」
「何だ、先約がいたのね。貴女達は確か同じクラスの…小泉さんと、星空さん?」
「あ、西木野さん?もしかして、西木野さんもこの部活に?」
「まぁちょっと、およそ先輩とは思えない人との約束があってね」
「なんか凛達と一緒の匂いがするにゃ…」
「あはは……それじゃあ一緒に……」
コンコンッ
ガチャッ
「いらっしゃい、待ってたわよ。……ようこそ、アイドル研究部へ!」 これで一旦終わりです。
設定上一年生組があんまり活躍出来なかったので一年生の活躍を期待してくれていた人がいたらすみません。にこちゃんが何かのきっかけで素直になれていたらというもしものお話でした。 ラブライブ!のss好きなのでこれからも書いていきたいと思ってます。
今後の為にアドバイスや感想等頂けたら嬉しいです。 最後ちょっと駆け足だったけど面白かったよ
乙でした ちなみになんですけど、次書くとしたらどんなカプのssが見たいとかありますか? ことえりとかえりりんみたいな学年違いのカプを見てみたい こういうifストーリー大好き
友達に囲まれて優しくなっていくにこちゃんいい……
一旦終わりということは続きを期待しても? >>135
もし需要があるのであれば少し時間はかかるかもしれませんがこの設定引き継ぎで日常話を書こうと思います >>138
この雰囲気めっちゃ好きです…ご自身で描かれたんですか?? ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています