ルビィ「片割れのジュエル」 3スレ目
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千歌「……つ、つまりね鞠莉ちゃん」
千歌「そんな毎日だったから気が付かなかったってだけでさ」
千歌「本当は梨子ちゃんも、曜ちゃんと気持ちは一緒なんじゃないかなって思うんだよね」
千歌「多分意識してるかしてないか、それだけの違いな気がする」
千歌「それでもし、梨子ちゃんが意識し始めたら、あとは曜ちゃん次第」
千歌「だからきっと大丈夫だよ、だって───」 ガチャ
梨子「……」
鞠莉「梨子、帰ってきたのね」
千歌「おかえりー」
梨子「うん」
千歌・鞠莉「……」メアワセ
鞠莉「何かあったの? 元気ないっていうか、顔赤いけど」
梨子「別に……なにも、ないですけど」
鞠莉「ふーん」 梨子「あの、鞠莉さん……私、今日はもう寝ますね」
鞠莉「オッケー」
梨子「……」スタスタ
千歌「曜ちゃん」
梨子「〜〜っ!!」
タタタ バタン!!
千歌「ね、言ったでしょ?」
鞠莉「……それにしたってあんなに変わる?」
千歌「変わるよ、だって……」
千歌「梨子ちゃんって私が今まで出会ってきた人の中で一番、女の子だからね」 翌日、12月24日
クリスマスライブ1日目
空港前
果南「うっわ凄い雪、足埋まってるじゃんほら」ザッザッ
ダイヤ「東京とはまるで別世界のように感じますわね」
果南「私たち北海道に行くのは初めてだしね、新体験って感じ」
聖良「二人ともおはようございます。ようこそ函館へ」
ダイヤ「おはようございます。すみませんわざわざ」
聖良「いえ、迷ってしまうといけませんから」
果南「今の聖良、ツアーガイドの人みたい」
聖良「ええ、時間があるなら色々案内しますよ」
聖良「その前に施設に行って荷物を置くのが先ですけど」
ダイヤ「はい、お願いしますわ」 スタスタ……
ダイヤ「ここは……広場ですか」
果南「……あ! 見てダイヤ! 雪像! 雪像がある!」
果南「なんか凄いやつ! 凄いやつがある!」
ダイヤ「語彙力どうしました」
果南「いやー私生で見るの初めてだよ! こんなにおっきいんだね雪像って!」
ダイヤ「しかし、雪像って2月あたりに雪まつりで展示されるものだと思っていたのですが」
聖良「ああ、これは多分趣味で作ったものだと思いますよ。今年は12月の段階で結構積もっていましたし」
果南「ねえほら見てあっちにも!」
ダイヤ「果南さん! そちらは施設とは逆の方向ですわ!!」 果南「おー、雪だるまもおっきいねー!!」
聖良「……」
ダイヤ「すみません、その……果南さんは、たまにああいう好奇心が芽生えることがありまして」
聖良「可愛いですね」
ダイヤ「え?」
聖良「いえっあの……雪像が! このフクロウとか! あとこっちのウサギとか!」
聖良「これは子供が作ったんですかね!? いいですよね!好きって気持ちが伝わってきて!」
ダイヤ「聖良さんも急にどうしましたか」 果南「そうだ! ねえ写真撮ろうよ記念に!」
果南「私雪だるまの隣に立つからさ! ダイヤはちょっと荷物持ってて!」
ダイヤ「いえその前にまず皆さんと合流を……」
聖良「もう少し寄ってもらっていいですか」スッ
果南「こう?」
聖良「あと何かポーズお願いします」
ダイヤ「聖良さん!?」 果南「おー! いい感じに撮れたね」
聖良「果南さん、次は私と一緒に撮りませんか」
果南「いいよー」
ダイヤ「あの、二人ともそんなことをしている場合では」
聖良「ダイヤさんお願いします」
ダイヤ「あ、はい」
カシャッ
果南「前々から思ってたけど聖良って写真写りいいよね」
聖良「フフッ、ありがとうございます」
聖良(あとで待ち受けにしよう)
果南「ほらダイヤも! 次は全員で撮ろう!」 ダイヤ「いえ私は」
聖良「すみません、カメラお願いしてもいいですか」
「大丈夫ですよ!」
聖良「ありがとうございます、さあダイヤさん」
果南「ほら早く早く!」
ダイヤ(深夜テンションならぬ雪国テンション……けどこういうのも)
ダイヤ「……仕方ありませんわね」クスッ ─
理亞「姉様、少し遅い気がする」
ルビィ「うん、そろそろ来てもいいと思うんだけど」
ピロン
ルビィ・理亞「?」
曜「えっ何この写真、すごい満喫してるように見えるんですけど」
千歌「か、果南ちゃんがグループラインにわざわざ写真上げて私たちに見せびらかしに来てるー!」
理亞「姉様も……ふーーん」
ルビィ「お姉ちゃんまで……私たちここで待ってるの知ってるよね?」
鞠莉「へえ、私だけハブられですかそうですか。随分仲が宜しいことで」 ダイヤ・果南・聖良「───!!」ゾワッ
果南「な、なんか急に寒くなったような」
聖良「た、多分気のせいだと思いますけど」
ピロン
理亞:早く来て
ルビィ:何してるの
鞠莉:ジェラシー
「「「…………」」」
ダイヤ「到着したらまず謝りましょうか」
果南・聖良「はい」 それから……
─会場
果南「ごめんって本当に、悪気はなかったんだって」
鞠莉「知ってるけど」
ダイヤ「別に鞠莉さんを無視しようとしていたわけではなくて……」
鞠莉「分かってますけど?」
聖良「あ、あの鞠莉さんそこまでにしておいた方が、もうすぐライブも始まりますし」
鞠莉「……」ムス 果南「そ、そうだ! 終わったら屋台に行こうよ4人でさ!ね!」
聖良「ああアレですね! あの……大門横丁!」
果南「そうそうそれ! そこで何か食べにいこう!」
ダイヤ「え、ええそうですわね! 食費は私たちが持ちますので!」
鞠莉「本当!? 私奢られる側に回っていいの!?」パッ
果南・ダイヤ「どうぞどうぞ!」 鞠莉「しょうがないわねー!! そういうことなら大目に見てあげマース!!」
聖良(……ちょろくないですかこの人)ヒソヒソ
果南(一度やってみたかったんでしょ友達と屋台巡りとか、基本忙しくてそんな暇ないし)
ダイヤ(千歌さん達との食事も、立場や金銭面的に鞠莉さんがいつも支払う側ですからね)
鞠莉「そこ! また私抜きできゃいきゃいしてる!! 言ったそばからこれ!? ねえ煽ってるの!!?」
ダイヤ・果南・聖良「すみません!!」
ワーーー!
鞠莉「はあ、まあいいわもう時間っぽいし」
果南「ほっ……」
鞠莉「果南だけおごりの負担額2倍ね」
果南「ちょ」
ダイヤ(わざとらしく安堵なんてするから……) 聖良「あ、あー最初のグループはAqoursの皆さんでしたかー」
聖良「そういえば彼女たちがトップバッターを務めているのはあまり見かけないですよねー」
ダイヤ(棒読み…)
鞠莉「言われてみればそうね、でも今のAqoursの人気は相当なものだから、初めからドカンと盛り上げたいならこれ以上ないグループだと思うのよね」
鞠莉「開幕一発目って大事だし、ルビィたちもきっとそれを狙ったんじゃないかしら」
鞠莉「締めは理亞たちSaint Snowがいるから安心でしょうしね」
聖良「! そうですね」
キャーキャー!!
果南「それにしても本当すごい人気だよねー、ある程度は分かってたことだけど」
果南「実際会場で目の当たりにすると熱気が違うっていうか」
果南「なんか……本当に去年のあのスクールアイドルと同じなの? って思っちゃうよ」
鞠莉「まるで他人事みたいに言うわね」
ダイヤ「果南さんの気持ちは分かりますけどね、私もまるで別物のように感じますし」
果南「だよね」
鞠莉「……ふーん、そう」 果南「え、なに」
鞠莉「別に、あなた達がそんな風に考えてるんだったら他の人達は余計そう思ってるんでしょうねって話」
果南・ダイヤ「?」
聖良「……」
鞠莉「しかしここまでどんぴしゃりだと、流石に私もルビィが怖くなってくるわ」
聖良「でもそれは、鞠莉さんも勘付いていたことじゃないんですか?」
鞠莉「それはそうなんだけど」
ダイヤ「あの、二人とも一体何のことを言っているのですか?」
果南「私たちにはさっぱり分からないんだけど」 鞠莉「二人のほうこそ少し卒業ボケしすぎなんじゃないの? 新しいカレッジライフに無我夢中ってやつかしら?」
ダイヤ・果南「」ムッ
鞠莉「果南、ダイヤ、あなた達ここに来た意味ちゃんと分かってる? 思い出作りのためとかじゃないのよ」
ダイヤ「ですからそれは」
果南「ルビィちゃんや理亞ちゃんがダイヤや聖良ともう一度大舞台でライブしたいからとかじゃないの?」
鞠莉「だったら果南いらないでしょ」
果南「すごいハッキリ言うね!!?」 鞠莉「確かに果南の言う通り、ルビィたちも最初はそのつもりだったのかもしれないけど」
鞠莉「少なくとも今は違う、じゃあ一体何が理由なのかって聞かれればそれは」
鞠莉「Aqoursは6人じゃなくて9人で1つのスクールアイドルなんだってことを皆に知ってもらいたいからよ」
ダイヤ・果南「!!」
鞠莉「そうじゃなかったら、わざわざここまで呼んだりしないわ」 果南「ど……」
鞠莉「どういうことも何もないわよ、さっき自分たちで言ってたでしょ別物だって」
鞠莉「要は今そういう風に思ったり、思われてることが問題なの」
鞠莉「ミーハー層はともかく、深くハマっているファンはもうとっくに気付いてるはず」
鞠莉「今のAqoursは去年の3年生が抜けてからずっと調子を上げていて、言うなればそこからが彼女たちの転換期になっているんだっていうことに」
鞠莉「それと私たちが前に3人で活動していて、その後休止していた事実もね」
ダイヤ・果南「……」
鞠莉「だから……ここは敢えて口汚く罵らせてもらうけど」
鞠莉「それはつまり旧3年生が厄介で、邪魔者で、ただ足を引っ張ってただけの存在だったって主張してるようなものでしょ」 鞠莉「そしてそのイメージは、これからどんどん広まっていくかもしれない」
鞠莉「Aqoursの経歴に興味を持ったファンが、そういう解釈をしないとも限らない」
鞠莉「だって私たちは何もやってないし、出来てもいなかったんだから当たり前よね」
鞠莉「他所から見ていい先輩だなと思われる要素が、あまりにも少なすぎる」
ダイヤ「でもそれは「仕方ないとか言わないでよ」
ダイヤ「!」
鞠莉「ルビィは、千歌っちたちは、そのイメージを覆したくてここに来てるんだから」 鞠莉「それを分かっていても私たちのことを悪く言われたくないから頑張ってるのよ」
鞠莉「だからこの企画を立ち上げたときに私たち全員でライブをやろうってあの子は決めた、理亞がそれを承諾したのも」
鞠莉「私たちと一緒なら絶対最高のライブに出来るはずだって信じてくれてるからよ」
鞠莉「そんなの他人事なわけがない」
果南「……」
鞠莉「そしてもし、後輩や妹にここまで尽くしてもらっても尚」
鞠莉「それでも仕方ないと言って甘んじてその評価を受け入れるあなた達なら、私は絶交する」
鞠莉「物分かりの良さと諦めの悪さは別物でしょ」
鞠莉「自分たちだけで完結して済ませようとしないで」
ダイヤ「……」 聖良「鞠莉さんそろそろ」
鞠莉「そうね」
鞠莉「…………」フゥーッ
鞠莉「ごめんなさい説教するつもりはなかったの、つい感情的になりすぎたわ」
鞠莉「あの子たちを見てるとどうしてもね、言わずにはいられなくて」 果南「……いや、寧ろ言われなくちゃ駄目だったと思う。ごめん」
ダイヤ「ええ、おかげで気を引き締められましたわ。ありがとうございます」
鞠莉「……そう」クスッ
鞠莉「私たちは何もやってない、でもそれは過去の話!」
鞠莉「やるわよ! 明日!」
果南「うん!」
ダイヤ「はい!」
「「「ありがとうございました!!」」」
パチパチパチパチ!!!
果南「あっ! ていうか話しているうちにもうAqoursのライブ終わちゃったじゃん! もったいない!」
ダイヤ「せめて皆さんに労いにでも行きますか?」
果南「そうしよっか……はあ、見たかったなー」
ダイヤ「帰ったらアーカイブですわね」
スタスタ……
果南「……なんかさ」
ダイヤ「はい」
果南「鞠莉って私たちが思ってる以上に千歌たちのこと好きだよね」
ダイヤ「ええ、でも鞠莉さんは恐らくそうは思っていないでしょうけど」
果南「あははっ、そうかもね」
「「「ありがとうございました!!」」」
パチパチパチパチ!!!
果南「あっ! ていうか話しているうちにもうAqoursのライブ終わっちゃったじゃん! もったいない!」
ダイヤ「せめて皆さんに労いにでも行きますか?」
果南「そうしよっか……はあ、見たかったなー」
ダイヤ「帰ったらアーカイブですわね」
スタスタ……
果南「……なんかさ」
ダイヤ「はい」
果南「鞠莉って私たちが思ってる以上に千歌たちのこと好きだよね」
ダイヤ「ええ、でも鞠莉さんは恐らくそうは思っていないでしょうけど」
果南「あははっ、そうかもね」 聖良「……」
鞠莉「どうしたの聖良」
聖良「いえ、やっぱりそちらのほうが付き合いは長いんだなって」
鞠莉「もしかしてジェラった?」
聖良「ジェラってますね」
鞠莉「なら私の勝ちね!」
聖良「勝敗あったんですか」
鞠莉「張り合いがあるもの」 聖良「私は、鞠莉さんとは張り合うよりも仲良くなりたいですね」
鞠莉「……っ……不意打ち」
聖良「鞠莉さん?」
鞠莉「聖良、あなた今回は奢り免除でいいわよ。二人で思いっきり贅沢しましょ」
聖良「それは、いいんでしょうか?」
鞠莉「たまにはいいのよ、その代わりといってはなんだけど聖良には聞きたいこと山ほどあるから♪」スッ
聖良「なっ……! それいつの間に……!」
「鞠莉ー聖良ー、早く来なよーっ」
鞠莉「じゃあまた後でね、待ち受け乙女さん」ポン
タッタッタ……
聖良「……もう、あなたの一人勝ちでいいです……」 ─
その夜
善子「お待たせ」
ルビィ「うん、遅かったね」
善子「あのねえ……はいココア。寒いとか言いそうだから」
ルビィ「ありがとう。作曲のほうはもういいの?」
善子「今日は早めに切り上げた、みんなも色々やりたいことあるだろうし」
ルビィ「そっか」 ホォーッ
ルビィ「息、白いねぇ」エヘヘ
善子「それはまあ、そうでしょ」
ルビィ「知ってる? 今の時期の函館って冬フェスティバルっていうのやってるんだって。理亞ちゃんから聞いた」
善子「ああ、だから色んなところでイベントやってるのね」
ルビィ「今年は私たちのクリスマスライブもそのうちの一つに入ってるんだよ」
ルビィ「なんか特別って感じがするよね」 善子「特別……ねえ」ホォ
善子「まあそうなんだろうけど」
ルビィ「なに?」
善子「いや、別に。私にとってはこっちの時間のほうが特別だってだけ」
善子「こうして二人だけになるの、久々な気がするし」
ルビィ「だねぇ。最近は花丸ちゃんと三人ずっと一緒だったし引き継ぎのこともあったから」
善子「だからといってルビィがそう思ってるかは知らないけど」フイ
ルビィ「あーまたそういうこと言う」
ルビィ「私だってちゃんと思ってるのに」
善子「本当に?」 ルビィ「本当だよ」
善子「その割には前より引っ付いてこなくなったじゃない」
善子「最近は理亞の話ばっかりだし」
ルビィ「え、善子ちゃんもしかしてヤキモチ?」
善子「いや違うけど、全然そんなことないけど」
善子「気にする意味ないし? ただ普通になんか増えたなくらいにしか思ってないけど」
善子「でもそのなに、私がいる前でその子の名前出すのどうなのとかは……まああるってだけで」 ルビィ「ふーん、ねえ善子ちゃん」
善子「なによ」
ルビィ「面倒くさい女の子になったねぇ」アハハ
善子「あんたにだけは言われたくないわよ!」
ルビィ「じゃあ面倒くさい者どうしだ、お揃い」
善子「性格だけ揃ってもね」
ルビィ「じゃあ見た目も揃えようよ、赤レンガ倉庫って外から見てもこんなに綺麗なのに中でお買い物も出来るんだって」
ルビィ「善子ちゃんも寒くなってきたでしょ、入って温まろう?」 善子「……どうせだったら他と被らないものがいいわね、あとお土産にも寄りたい」
ルビィ「善子ちゃんわがままだね」
善子「うっさい、早く行くわよほら手出して、温めてあげるから」
ルビィ「はーい」
善子「ニヤニヤしない」
ルビィ「はーい」 花丸「わあ、本当に色々あるんだねえ……」
理亞「……ねえ花丸」
花丸「なに理亞ちゃん?」
理亞「あっちにいるのって多分ルビィたちだと思うんだけど、行かなくていいの」
花丸「ああうん、無視していいよ」
理亞「無視!?」
花丸「邪魔しちゃ悪いからね」
理亞「あなたがそう言うなら、いいけど」 花丸「こういうとき独り身は辛いよねえ」
理亞「私は違う! あなたの買い物に付き合ってるだけ!」
花丸「そうだね、ありがとう理亞ちゃん」
理亞「……ずいぶん熱心に見てるけど、それ誰かにでも贈るの」
花丸「うん、ちょっとね。好きな人がいるんだ」
理亞「……あっそ」
花丸「どうかしたの?」
理亞「クリスマスのこういう雰囲気、あまり慣れないから」
理亞「その、恋人とか、好きな人がどうとか」
花丸「そっか、やっぱり独り身は辛いよねえ」
理亞「だから違うって言ってる!」 花丸「あはは、ごめんなさいずら」
理亞「次それ言ったら本気で怒るから」
花丸「肝に銘じておくずら」
花丸「でも、いたらいたで結構困ることもあるんだよね」
理亞「はあ?」
花丸「何を渡したらいいんだろうとか、どんなものなら喜んでくれるのかなとか」カサッ
花丸「考えすぎてこんがらがっちゃうこともあるから」 花丸「特に、誰かを好きになって間もないころは」
理亞「そういうものなの?」
花丸「いやマルは違うけど」
理亞「何なのあなた」
花丸「他はそうかもってだけずら」
花丸(曜ちゃんと梨子ちゃん、今頃どうしてるかなあ) 乙です
メインが11人だから全員くっついたとしても一人余るのが悲しい…… ─
五稜郭タワー展望2階
曜「うわーギリギリ間に合った!」
曜「梨子ちゃんほら早く、こっちこっち」テマネキ
梨子「ちょ、ちょっと待って。もう少し……」
曜「ほら、あそこ」
梨子「! ……すごい……きれい」
曜「五稜星の夢っていって毎年冬の時期になるとこうしてライトアップされるんだって」
曜「まあ人から聞いた受け売りの知識なんだけどさ」アハハ 梨子「これを……私と一緒に?」
曜「うん。綺麗な場所なら他にも函館山とかたくさんあるけどさ」
曜「私はこの景色を、どうしても梨子ちゃんと一緒に見たかったんだ」ピトッ
梨子「っ」
曜「星の輝きっていうのが、なんか……いいなあって」
梨子「そう、だね」
曜「それに五稜郭ってさ……」
「間もなく閉館のお時間となります、館内にいるお客様は……」
曜「あれ、もうそんな時間? もっと早く来れば良かったなあ」
曜「もう少しいたかったんだけどしょうがないか、行こう梨子ちゃん」スッ
曜「次は間近で見ようよ」
梨子「……うん」ギュッ
五稜郭公園
曜「へえ〜下に降りるとこんな感じなんだ、正面から見ても綺麗だね」
梨子「うん」
梨子「……」ホォ
曜「私、夜の公園でこんなに明るい道を歩くのって初めてかもしれないなあ」ザッザッ
梨子「……」
曜「でもちゃんと夜って感じがしてさ、自然となんかこう、入り込めるみたいな」
曜「そんな雰囲気があるよね、私は好きだなーこの場所」
梨子「……」
曜「え、えーっと……梨子ちゃん?」 梨子「……なに?」
曜「いや、あの……返事がないからどうしたのかなと」
曜「もしかして、嫌……だったとか?」
梨子「ううんそうじゃないよ、そうじゃないけど」
曜「けど?」
梨子「……曜ちゃんは何でそんな平気でいられるの」
曜「え?」 梨子「クリスマスの夜に、二人っきりで誘われたら……流石に私でも、分かるよ」
梨子「それが、どういう意味かってことくらいは」
曜「!」
梨子「昨日曜ちゃんに言われた時からね、私ずっとそのことで緊張してるんだよ?」
梨子「だから、今日だって……どう話したらいいのかなとかどんな顔すればいいんだろうとかたくさん考えたけど」
梨子「それも、だんだん分からなくなってくるし」
梨子「心臓の音だって、さっき手を繋いでから今でも、曜ちゃんに聞かれるんじゃないのかなってくらいうるさいのに」
梨子「なんで曜ちゃんは、そんなに普通にしていられるの」
曜「……」
梨子「それとも、私が勝手に思い上がっているだけ……なのかな」 曜「……違うよ、そうじゃない」
曜「思い上がりなんかじゃないよ私だって……えっと、そのつもりで……」
梨子「じゃあ、どうして?」
曜「その、なんて言えばいいんだろう……私はただ」
曜「いつもと同じような感じでこの時間を過ごしたいなって、思っただけなんだ」
曜「特別なんだけどそうじゃないっていうか……でも普通とも違うって、あーもう何言ってるんだ私!」
曜(駄目だ、梨子ちゃんに言われた途端急に恥ずかしくなってきた……!)
曜「だから、つまり……それは……あの、あれなんだよ」
梨子「……」
曜「ああ……なんでこういうときに限ってすらすら出てこないかなあ……っ」 梨子「……ふふっ」
曜「り、梨子ちゃん?」
梨子「ごめんね、でもいきなりあたふたし始めたから面白くって……」クスクス
曜「なっ……い、一応こっちは真剣なんですけど!?」
梨子「ふふっそうだよねごめんなさい、でも……ちょっと安心したかも」
梨子「緊張してるのは私だけじゃなかったんだなって」
曜「……いや寧ろ、私のほうが緊張してるんだけどね」
梨子「さっきまでは全然そんな感じしなかったけど?」
曜「ま、まあ……はい」
梨子「焦らなくてもいいよ、ゆっくり考えて」
梨子「ちゃんと待つから」
曜「うん」 曜「…………」ハァーッ
曜「私ね」
曜「たった一つの特別な思い出みたいな、そんな感じになってほしくなかったんだ」
曜「今梨子ちゃんと一緒にいるこの時間を、これっきりで終わらせたくなくて」
曜「これからも、こんな風に梨子ちゃんと過ごす一日をずっと続けていきたいなって、そう思ったの」
曜「卒業しても、大人になっても」
曜「私たちが変わらないまま繰り返している"いつも"みたいな感じで」
曜「梨子ちゃんの傍に、私はいたいから」
梨子「!」
曜「そして、そうやって積み重ねていった時間全部ひっくるめて、私の特別なものにしたい、大切な思い出にしたいって」
曜「そう、思ったんだ」 梨子「そっか」
曜「それは、たとえばアルバムと額縁に飾る写真の違いみたいな…………いや、もうそういうのいいか」
曜「大事なのはそこじゃないもんね」
曜「長くなってごめん、今からはっきり言うよ」
曜「だから、聞いてくれる?」
梨子「はい」
曜「…………」スゥーハァー
曜「梨子ちゃん、私は……あなたのことが好きです」
曜「私と、ずっと一緒にいてください!」
曜「ずっと! 私の傍に私の隣に! いてください!」
梨子「…………」
曜「……はぁ……はぁ……」 梨子「…………絶対」
曜「……え?」
梨子「絶対、幸せにしてくれる?」
曜「─!」
それでね、もし梨子ちゃんがこの先も上手くいかなくて、幸せになれなかったら
そのときは私が梨子ちゃんを幸せにする。約束するよ
梨子「あのときの約束、忘れてないよね」
曜「忘れたことなんてないよ」
曜「今でもずっと、覚えてる」
梨子「フフッ、そっか」
梨子「ありがとう曜ちゃん、すごく嬉しい」
ギュッ
曜「梨子、ちゃん?」
梨子「……」ハァ
梨子「私、曜ちゃんに会えて本当に良かったなあ」
梨子「だって今、こんなに幸せなんだから」
曜「!! それって」
梨子「……うん」
梨子「喜んで」ニコ 曜「は……はは」ペタリ
梨子「ちょっと曜ちゃん!? 大丈夫!?」
曜「ご、ごめん、なんか返事聞けたら気が抜けちゃって……」
梨子「もう……立てる? 寒くない?」スッ
曜「うん、平気……くしゅんっ!」
梨子「ほら強がらないの」
曜「強がってないってば、たまたま鼻が……くしゅんっ!」
梨子「待っててマフラーあるから」ゴソゴソ 曜「マフラー?」
梨子「先に買っておいたの、曜ちゃん意外と寒がりだから」
曜「あ、ありがとう、でもこれ少し長くないかな?」
梨子「そんなことないよ、だって」フワッ
梨子「二人で巻けば、丁度いいでしょ……?」
曜「え、ええっ!?」
梨子「どう、暖かい?」 曜「あ、暖かいけどえっと、ていうか元々二人巻き用なの? え、だってさっき梨子ちゃんこれ先に買っておいたって……え?」
曜「それってつまり、あの「曜ちゃん」
梨子「曜ちゃんが寒がりだから買った、今はそれでいいの」フイッ
曜「! は、はい……」
梨子(ど、どうしよう……今ので絶対バレちゃったよね……?)
曜(ま、まずい…嬉しいけど、恥ずかしすぎて顔見れない……というか梨子ちゃんってこんなに積極的だったっけ?)
曜・梨子「…………」 曜・梨子「あ、あの」
梨子「……いいよ、先に言って」
曜「いや梨子ちゃんから」
梨子「そういえば、あのとき曜ちゃん何を言おうとしてたんだろうって」
曜「あのときって?」
梨子「五稜郭の話をしてたとき」
曜「ああ、あれはね……」
曜「五稜郭って桜が咲いてるときも綺麗なんだ、だからなんていうか」
曜「春もまた一緒に見に行けたらなって」
梨子「そっか……そうだね」 曜「あとは、その……」チラッ
梨子「?」
曜「こっちの方が梨子ちゃんをより身近に感じられるかなと思いまして……ほら桜内だし」
梨子「……」
曜「さ、桜内さん?」
梨子「…………ばか」
曜「ちがっ、違うんだって! いや何がって話だけど!」
梨子「……」 曜「あぅ……そ、そうだ梨子ちゃん! 梨子ちゃんはさっき何て言おうとしてたの!?」
梨子「私!?」
曜「梨子ちゃんも言わなきゃフェアじゃないでしょ!」
梨子「わ、私はっこんなに曜ちゃんを身近に感じたのは初めてかもって」
曜「え?」
梨子「その、物理的な意味で」
曜「梨子ちゃんそれ……私とあまり変わらないと思うんだけど」
梨子「だ、だからお揃いみたいなこと言わないでよって……恥ずかしいから」
曜「あ、ああ、ばかってそういう……」
梨子「……うん」
曜・梨子「…………」
「ねえ見てあの二人! 一緒にマフラー使ってるのにさっきからどっちも顔合わせようとしないの!」
「初々しいねぇ〜!」
曜・梨子「!?」ビクッ
曜(ん……あれ!? い、いつの間にか)
梨子(周りに人だかりが……)
「学生さん?」
「っぽい、いやーすげえ青春してるっつーか」
「アオハル?」
「それな」
曜・梨子(カップル的な人たちが来てる!!?) 曜(いや、それより……顔合わせてないって)チラッ
梨子(今そんなこと言われても……)チラッ
曜・梨子「っ!!」バッ
「あっまた逸らした! 何あの子たちー!」
「ウブすぎでしょ! 可愛いかよー!!」
「つーかアレAqoursの曜ちゃんと梨子ちゃんじゃないの?」
「それマジ!?」
エーナニナニー? キャッキャ
曜・梨子(…………ああ、もうやだ)
曜・梨子(熱すぎて死にそう……)
─
大門横丁
鞠莉「おや、おやおや?」
果南「どうしたのさスマホ見るなりにやついて」
鞠莉「今SNSで拡散されてる写真にこーんなものが」
果南「ん? これって梨子ちゃんと……」
ダイヤ「曜さんですわね」
鞠莉「向こうはそれで今大盛り上がりみたいよ、いいわねえー」
聖良(マフラーで密着……アリね)チラッ
果南「なに?」
聖良「いえなんでも」 千歌「ひいわぇはいひゃん! ほぇっへほえはらははひほふいてぅたいでいゃんくっへこほでほ!」ハフハフ
ダイヤ「すみません何語ですか」
聖良「千歌さん、ちゃんと飲み込んでから喋ってください」
ゴクン
千歌「いいわけないじゃん! それってこれから私を抜いて二人でいちゃつくってことでしょ!」
ダイヤ「あの二人に限って千歌さんを完璧に無視するとは思えませんけど、まあ頻度は上がるかもしれませんわね」
千歌「でしょ!? あーあまた私だけ除け者だよ! もういいよおめでとう!」パクパク
果南「千歌ー、とりあえず自分から首突っ込んで後から文句垂れ流すのいい加減やめよっか」
千歌「それはそれ! これはこれだよ!」
果南「うわ面倒くさっ」 千歌「まったくさー! ホントにさー!」パクパク
果南「やけ食いは太るよ」
鞠莉「果南、デリカシー」
千歌「太らないもん!」
千歌「大体さーそんなこと言ってるけど、みんなも自分の立場に置き換えてみなよ! そしたら分かるはずだよ私の気持ちが!」 ダイヤ「え? ええまあ、はい」※花丸とサファイアのやり取りをずっと見てきてる
果南「そこまで」※ダイヤと花丸のやり取りをずっと見てきてる
聖良「特別気にすることでもないかと、そのうち慣れますよ」※果南とダイヤのやり取りをずっと見てきてる
千歌「えっ反応薄い……」
鞠莉「…………まあその、あの三人は耐性ついてるだけだから」※それらの事情を全て知ってる人
鞠莉「私は千歌っちの気持ち分かるわよ」
千歌「鞠莉ちゃん……私のこと分かってくれてるの鞠莉ちゃんだけだよー……」ギュッ
鞠莉「よしよし」 果南「ねえ千歌、前に私にも似たようなこと言ってなかったっけ」
千歌「それはそれ、これはこれ」
果南「うんよし分かった、もうほっとこう」ガタッ
千歌「どこ行くの?」
果南「曜たちのとこ、祝ってくる」
千歌「じゃあ私も行くよ!」 果南「どうせお祝いしたあとまた愚痴るんでしょ」
千歌「多分ね! でもやっと二人とも上手くいったんだよ! おめでとうって言ってあげたいじゃん!」
千歌「それに果南ちゃんたちが最後まで聞いてくれるから全然心配ないし!」
千歌「だよね!?」ニコッ
ダイヤ・聖良「……千歌さん」
鞠莉「末っ子って恐ろしいわね」
果南「本当にね、こういうところは昔から変わってないよ」
千歌「はいはいそうと決まればレッツゴー!」 最近なかなか進められず申し訳ありません
明日には更新出来ると思います ─宿泊施設
ピロン
理亞「なに、また来たの?」
花丸「うん、曜ちゃんたちのところに皆で集まってるみたい」スッ
花丸「あはは、なんか凄い盛り上がっているね」
理亞「……ねえ、Aqoursって大人しくしている日とかないの」
花丸「あまりないかもね」
黒髪「理亞ちゃん、帰ってきてたんだ」
茶髪「おかえりー」
理亞「ただいま。そっちはどう? 明日の準備」 黒髪「バッチリ、リハーサルも完璧です」フフン
理亞「ごめん、あなた達だけ除け者にしたみたいで」
黒髪「気にしないで、それにこんな時くらいは好きにやってもいいと思うよ?」
茶髪「私たちも理亞ちゃんばかりに頼ってもいられないしね」
黒髪「久々に聖良さんとやるライブでしょ? 楽しんできてよ!」
茶髪「それまでに前座として会場は盛り上げておくんで!」
理亞「……ありがとう」 黒髪「じゃあ私たちそろそろ寝るから」
茶髪「おやすみー」
理亞「うん、おやすみ」
花丸「良い人たちだね」
理亞「ええ、そうね」
理亞「……」
理亞「少し前までは、姉様と私の二人でSaint Snowだと思っていた」
理亞「でも、今はもうあの子たちが抜けたSaint Snowなんて考えられない」
理亞「それくらい、私の中では大切な仲間だから」 理亞「だからこそ、明日は二人のためにも悔いの残らない最高のライブにしたい」
理亞「姉様たちと一緒に、私が今まで培ってきたもので」
花丸「そっか」
理亞「でもライブの出来自体は特に心配していないけどね」
花丸「え、どうして?」
理亞「私とルビィがいるから、だから失敗なんてあり得ない」
理亞「それだけ」
花丸「!」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています