ルビィ「さ、着いたよ、千歌ちゃん」

千歌「白き竜の祠……ここまで登ったの、久しぶりかも」

ルビィ「お祈りしよっか」

千歌「……うん」












よく手入れされた祠は、昔と変わることなくそこに有った

手を合わせ、二人は頭を垂れる。願うは、再びの安寧。それと、仲間の無事。


ポツ……ポツ……ポツ……


ルビィ「ひゃっ!……水…?」


二人が下山しようとした時、空を黒雲が覆った。上を見上げると、額の上に大粒の滴が勢いよく降りて来る。



千歌「…………雨だ」


濁った色になった天から、雨が降り注いだ

降り注ぐ雨の勢いは次第に大きくなり、吹き下ろす様な勢いの風も鳴り始める






それが天運を齎す慈雨となるか、厄災を運ぶ荒嵐となるか

この時はまだ、誰にも分かっていなかったのだった