千歌「モンスターハンター!」
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海に面したその村は、一夜にして炎に包まれた
原因はただ一つ、一匹の火竜だった。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
「吠えた……炎が来るぞ!!」
「下がれ!全員火竜から距離を取るんだ!!」
「おい!ハンター以外と子供は白き竜の祠のある島まで避難させろ!!」
人里に迷い込んだ竜は、その場を破壊し、灰塵と化す“災害”となった
「お父さん、お母さん……どこ……?」
呻くように呟く少女の周りでは業火が立ち上っていた。
海風で湿った木造の建物は白い煙を上げて燃え盛り、戦火は逃げ遅れた齢そこそこの少女を容赦なく包み込む。
「ぜんぶ、ぜんぶ…燃えちゃった」
「うぅ、みんな……どこへ行ったの…?」
「おねえちゃん……」 「ルビィ!!」
「おねえちゃん……うわあああああん!怖かったよ!!」
「よしよし……怖かったですわね、もう大丈夫ですわ」
「ダイヤ、悪いけど早く逃げないと……アレはいつこっちに飛んでくるか分からないって大人たちが言ってる」
「善子ちゃんと鞠莉さんは大人たちの応援にいってるみたいだけど……それももう逃げた方がいいかもしれないって……」
「二人はほら、ガンナーだし腕もいいから遠巻きに狙うって言ってたけど」
「とにかく、船着き場まで逃げよう!向こうの島まで行けば安全なはずだよ!」
「殿は私と果南さんで努めます、みなさん落ち着いて、絶対にはぐれない様に!」
「ゴアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
「チッ!アイツ、飛び回ってると翼で頭が狙えない!鞠莉、そっちは!?」
「……ダメね、悟られない程度に何発か撃ってるけど、空中での移動速度が速すぎるわ」
「バレたら終わりよ、吠える度に鼓膜割れそうになるし、あの火炎弾を人に向かって飛ばされたら一発で丸焦げよ」
「……逃げましょう、善子」
「鞠莉、ホンキ?」
「こんなに村をめちゃめちゃにされて、ハンターとして勝てずに逃げるのが悔しいのは痛いほどわかるわ」ギリッ
「でも、あそこに倒れてるのは果南のお父さん、向こうは花丸のお母さん……大人はみんな、殆どやられたわ……ここで隠れて撃ってる事も、多分薄々感づいてる」
「…………」
「もう、なにもかもがお終いなのかもしれないわね」
「鞠莉……」
「アレはきっと……私達の適う相手じゃないのよ」
「ねえ、アイツ……こっち見てない?」
「……走るわよ!善子!!」 「曜、千歌、ダイヤ、ルビィ、花丸、全員乗ってる?」
「えっと…千歌ちゃんがまだ外に」
「……千歌呼んでくる」
6人の少女達は孤島で大人達の帰りを待った
誰かが帰ってくるだろう、きっとまたやり直せるだろう。そう信じて待ち続けた。
1日待って島へと戻って来たのは、髪が焼け焦げ、傷つき、ボロボロになった2人の少女だけだった
鞠莉「……ダメね、生き残ったのは私達だけ」
善子「…………」
千歌「そんな……」
花丸「ううっ……ひぐっ……」
ルビィ「…………おかあさん…おとうさん…」
曜「私達だけしか…もういないんだよね」
ダイヤ「……生きていくしかありませんわ」
鞠莉「ダイヤの言う通りよ、今日は小屋で寝ましょう……火竜も、わざわざ海を渡ってこっちまで来ることはきっと無いわ」
曜「……うん」 曜「んむ……むにゃ……」
ダイヤ「……zzz」
ルビィ「……えぐっ……くすん……」
果南「……ぅん…?」
果南「あれ、千歌……?……いない……?」 果南「あ、いた……千歌、寝ないの?」
千歌「もっと……」
果南「……千歌?」
千歌「もっと、私達が強ければ、こうはならなかったのかな」
千歌「もっと早く生まれてて、大きかったら……あんな化け物も退治できたのかな」
果南「千歌……」
千歌「果南ちゃん、一番強いしもうボルボロスも一人で狩れるって…だからもうちょっと強くなればあの火竜だって……」
果南「千歌、それを言っていてもどうしようもないよ……今日は寝よう」
千歌「……うん、わかった。果南ちゃん」
それぞれの想いを胸に、夜を過ごした
少女達は、こうして外の世界へと放り出された
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─ 【五年後】
千歌「(ジャギィの気配が草むらの中……左に二体、右に一体……)」
千歌「(果南ちゃんが言ってた、ソロなら囲まれる事だけは避けないといけない。複数体のモンスターに遭遇したら、危険な敵を見極めてそれ以外を倒す)」
千歌「(ここは……右に突っ込んで倒して、後ろを素早くカバーする…かな)」
千歌「てりゃああ!!!」
岩陰から飛び出した千歌が真っ直ぐ突っ込んでいく
得物は片手剣、剣と盾を備えた攻防一体の装備。鞣した革が張られた盾とよく鍛えられた刃は作り手の熟練度が伺える。
敵の反撃を受けない間合いから剣の切っ先で斬りつけ、相手が隙を晒した瞬間盾で頭を殴りつける!!!
「グギャア!!」
首先を斬りつけ、怯んだ所を頭を殴りつける。流れる様な連撃に小型鳥竜種、ジャギィは昏倒した しかし、それに呼応して脇に居た二体のジャギィは興奮を露わにした
野生動物の本能、“怒り”を剝き出しにして千歌に飛び掛かろうとする
「フーーッ!!!」
「ガァッ!!!!!」
正面からの突撃。単純な飛び掛かりも複数体から繰り出されることにより対処困難な物になる。
獲物を切り裂く鋭い牙を突き立て、真っ直ぐに千歌に襲い掛かる!!!
千歌「(ジャギィは放っておくと仲間を呼びつけるから、手早く全滅させる……だっけ)」
剣と盾を構え直した千歌は再度、二匹のジャギィへ向かい合う
深呼吸を一回。落ち着いて、隙を晒さない事に神経を尖らせる。
手に握った剣を逆手に持ち替え、突撃しながら弱点である頭部へと鋭く斬撃を加える!!! 「ギァッ!!!」
その隙をついた横からの攻撃を盾で弾く、怒りと共に立てられた牙が丸みを帯びた盾で流される。
体重を乗せた一撃に腕が痺れそうになる,
が、力を振り絞って衝撃ごと横へと受け流す!残る獲物は一匹、数の優位さえ潰してしまえば怖い相手ではない。
千歌「くっ……重い……でも!!はぁっ!!!!」
盾によって攻撃をいなされ、ジャギィの下がった頭をそのまま盾で殴りつける。頭部への衝撃は当然隙を晒す事となり……
千歌「てやああああああ!!!!!」
「ガァッ!!!」
よろめいたところをそのまま、斬りつける。目の前へ晒した無防備な弱点へと、全力の刃が襲い掛かる!!!!
剣撃によって出来る隙を盾で打ち消す、基本に忠実ながら流れるような連撃だった
千歌「ふう……今回はうまく出来たかな!」 【同時刻 森の外れ】
「ガァッ!!!ゴガァッ!!!!」
青熊獣・アオアシラの爪撃が辺り一帯を薙ぎ払う。
通り過ぎた先の草木は刈り取られ、掠った生木には深く、痛々しい傷跡が刻まれた
闇雲な攻撃と言えど、大きな図体を活かしここまで広範囲に及ぶと脅威となる。ただ当たっただけでも、人間なら致命傷は免れない。
果南「おっと!当たらないよ!」
しかし、その攻撃を果南は大剣を盾にして難なく防いで見せる
武器ごと体を弾き飛ばされ、大きく仰け反るが肝心の本人には傷一つ付いていない そして、大きく腕を薙ぎ払うことで出来た隙を、彼女は見逃さなかった
体の前に構えていた剣を持ち上げ、後ろ手で捻り、力を込める
果南「(持ち上げるところまでは緩やかに、繊細に……振り下ろす時は力強く、豪快に!)」
自らの体を軸にした回転で大剣を持ち上げ、アオアシラの体目掛けて渾身の力で振り下ろす!!!
果南「だラァァァッ!!!!!!!」
「!!!」
森に、肉と骨を砕く重く、鈍い音が響き渡った 果南「ふう、割と手こずったなあ……ちょっと腕鈍ったかも」
果南は得物を背中に仕舞い、一息つく
果南「(怪我してから数日振り、久々の狩りとはいえこれじゃあ……もっと腕磨かないと」
果南「……」チラッ
アオアシラ「……ァ……ァ…」
今一度、仕留めた獲物を果南は一瞥する。まだ少し息があるものの、傷は浅くない。じきに息絶えるだろう。
果南「(ちょっと大物かな、一週間は困らなさそう)」
果南「さて、と……このサイズの解体は自分じゃ無理かな……さっさと帰って傷む前に花丸にやってもらおっと」 【更に同時刻 森の外れ】
「ブルル……」
ダイヤ「……」
森の中でダイヤが相対していたのは猪突猛進を地で行く大猪・ドスファンゴだった
人の背を優に超える巨体、生半可な弾丸を通さない厚い脂肪、顔以上の大きさを持つ剛牙、かなりの大物だ
普段は茸を掘り出すために使われるこの牙も、戦闘時においては人を貫かんとする恐ろしい武器となる
「ブモオオオオオオ!!!!!」
怒り狂った咆哮を上げ、ドスファンゴが地を駆ける
ファンゴの攻撃方法は、主に突進だ。速度の早い体当たりを、真っ直ぐに行ってくる。
加えて、彼らは無尽蔵のスタミナを持つ。当たるまで、延々とタックルを繰り返してくる。かつて判断を誤りスタミナが切れたハンターが回避も逃走も出来なくなり命を落とす事も多々あると言う。
ダイヤ「来る……!」
ファンゴの攻撃は直線的な物が多い。しかし、その迫力に気圧され、判断が遅れればあっという間に吹き飛ばされる
狙いは真っ直ぐ、ダイヤへ。その体を叩き潰さんと全質量を乗せたタックルを繰り出す!!! 「グガアッ!」
ダイヤ「くっ……!!」
しかし、大猪の突進をダイヤは正面から大盾で受け止める
ダイヤの装備は、金属槍と盾の組み合わせ……正式名称をランスと言う物だった
ドスファンゴの全力の突進を一歩も動くことなく、正面から勢いを殺して見せた
「!」
ダイヤ「……ふふっ、上手く行きましたわね」
ドスファンゴが全てに気付いた時、ダイヤは不敵に笑った
ダイヤを突き飛ばすべく、ドスファンゴが踏み入れたその足は浅く掘られた落とし穴に埋まり。その先には蔦のロープが絡まっていた 「グギャアアア!!!!!」
ドスファンゴはその場で暴れた。筋肉の塊である体を必死に振り、罠から抜け出そうとした
しかし、再度突進で脱出を試みても、その縄の伸縮性がドスファンゴの足を捕えて逃さない。ただ悪戯にスタミナを消費していくだけだった
ダイヤ「今です!」
梨子「了解!!」
善子「まかせなさい!!!」
ダイヤは号令を掛けると同時に、守りを解き、後ろに下がった
バックステップと前転を駆使し、二人の射線上から軽やかに外れる!
そしてその場には、突進で力を使い果たし蔦で縛られ隙を晒したドスファンゴが残される
梨子「ハァッ!!」
善子「食らいなさい、デカブツ!!!!」
「!」
矢と銃弾の雨が、その場に貼り付けにされ動けないドスファンゴの元へと降り注ぐ
三本束ねた矢による連撃、鋭い鉛玉による銃撃、それぞれが大猪の頭部に、脚に、躰に容赦なく突き刺さる!!
「ゴオァァァァァァァァ!!!!!」
断末魔のみを残して、大猪はその場に崩れる様に倒れた 「ブ……ァ………」
ダイヤ「ふう……何とかなりましたわね」
善子「この程度の相手に三人掛かりで来てるんだから、当然でしょ…こんなに必要だった?」
ダイヤ「果南さんが暫く狩猟で出られなかった分、蓄えが不足しているんです。私達だけでも戦果を持ち帰らないとまずいですから」
善子「それは分かっているけど……」
梨子「まあまあ、成功したからなんでもいいじゃない、ね?」
ダイヤ「そうですね、さあ…早い所解体してしまいましょう、三人でやれば早く終わるはずです」
善子「ええ、そうね」
梨子「……千歌ちゃん、上手く出来てるかなあ」
ダイヤ「……きっと大丈夫ですよ、彼女は筋がいいですから」 【同日 夕方】
千歌「ただいま!帰ったよ!」
曜「あ、千歌ちゃん! よかった、ちゃんと帰って来た……」
善子「だから言ったであるしょ曜、ジャギィ数匹狩るくらいで大げさなのよ」
曜「でも……うちは防具だって満足に揃えられて無いし」
千歌「もー!それはみんな同じでしょ? それに、曜ちゃんがいつもピカピカに武器を仕上げてくれるから私達は戦えるんだよ」
曜「千歌ちゃん…!」
善子「ちょっと前まで小型のモンスターも狩れなかったのに、千歌ったら良い事言うじゃない」
千歌「うへえ……善子ちゃん厳しい」 千歌「あれ、果南ちゃんは? 確か今日久々に狩りに行ったはずだよね?」
ルビィ「果南ちゃんは先に帰って来たんだけど、モンスターの解体する為花丸ちゃんを連れてまた出て行ったよ」
千歌「そっか、花丸ちゃんそういうの上手だもんね……モンスターについて一番詳しいし」
ダイヤ「そろそろ戻ってくる頃ですから、先に夕食の準備をしてしまいましょう、今日の当番は……」
梨子「……その、花丸ちゃんね」
善子「アイツ、自分の番だって完全に忘れてるわね……」 ルビィ「じ、じゃあ、ルビィが代わりにやるね! みんなは狩りに行って疲れてるだろうし」
ダイヤ「ルビィ、しかし……」
ルビィ「今度花丸ちゃんに当番代わって貰うから、ね?」
曜「私も今日は体力有り余ってるから手伝うよー!」
ダイヤ「まあ、夕食が遅くなってしまいそうですし……そうしましょうか」
梨子「ルビィちゃん、今日の成果はもう炊事場に置いてあるから、おいしいご飯お願いね?」
ルビィ「うん、任せて下さい!」 【同日夜 島の集会所】
花丸「誠に申し訳ありませんでした……」
千歌「まあまあ、花丸ちゃんも遊んでた訳じゃないし」
果南「そうそう、なんなら連れまわした私が悪いわけだし」
梨子「なんで果南さんはちょっと得意気なの……」
ルビィ「まあまあ花丸ちゃん……今度やってくれればそれでいいから」
花丸「でもオラ、ルビィちゃんと曜ちゃんに迷惑を……」
善子「もー!いいじゃない、元はと言えば果南が持ち帰れないくらいの獲物を仕留めたのが原因だし、私達にとって良い事なんだからそれでいいじゃない」
ダイヤ「そうですよ花丸さん、私達は九人で生きてきたのですから、助け合うのが当然でしょう?」
曜「ねえねえ、早く食べよう! 料理番ってご飯が目の前で行き来するからもうお腹空いて限界で……」
千歌「私ももうお腹ペコペコ……いただきます!!」 梨子「このハム、おいしい……」
ルビィ「ホント?前に塩漬けにしておいたお肉を出してみたんだけど、よかった」
果南「うんうん、特に私だけ大盛りな所が気が利いてていいね」
曜「えへへ……」
善子「それは単に自分の分が多くて嬉しいだけでしょ! はむっ……あ、おいしい…!」
ダイヤ「もうちょっと静かに食べなさいな……」
ルビィ「あはは……」
千歌「あ、そういえば、鞠莉ちゃんっていつ帰ってくるの?」
ダイヤ「そうですね……向こうまでの道のりを考えたらそろそろ帰って来てもおかしくない頃ですが」
善子「どうせ鞠莉のことだから道草でもしてるんでしょ『都には楽しそうな物が有ってついエキサイティングしちゃったわ!』なんて言って」
曜「絶望的にモノマネ似て無いね、善子ちゃん」
善子「う、うるさい!」
梨子「何にせよ、無事に帰って来てくれるのが一番だけど……」
果南「……どうせ鞠莉のことだし、向こうのギルドと話を付けて、ちゃっかり遊んで帰って来るよ」
ダイヤ「…そうだといいのですが」 【数日後】
鞠莉「ただいま!!!」
千歌「お帰り鞠莉ちゃん! お土産ある!?」
鞠莉「あるわよ〜はい!都名物、角王剣アーティラートのキーホールダー!」
千歌「……これ、割とどこでも売ってるやつだよね」
鞠莉「あら、そう?」
千歌「でも、かっこいい!!」
鞠莉「オーケー! 気に入ってくれたみたいで何よりよ!」
ダイヤ「何やってるんですか……」 鞠莉「あら、ダイヤ……と、ルビィ!」
ルビィ「おかえりなさい、鞠莉ちゃん」
鞠莉「ただいま〜ルビィ、しばらく空けてたけど相変わらず、キュートね! そーれよしよしよしよし!!」
ルビィ「わわっ、鞠莉ちゃんくすぐったいよ……」
千歌「あ、ずるい! わたしも!」
ルビィ「うひゃっ、千歌ちゃんまで……」
ダイヤ「二人共!人の妹に勝手に要らないちょっかいかけないで下さい!」
鞠莉「もーダイヤのケチ……」
千歌「けちんぼ……」
ダイヤ「全く……ここしばらく貴方が居ないから静かだと思っていたのに、帰って来た途端これですか」
鞠莉「まあまあ、いいじゃない……あ、そうだダイヤ」
鞠莉「みんなを集めて頂戴、話があるわ」
ダイヤ「……わかりました」
千歌「……」
ルビィ「……」 【島の集会所】
鞠莉「皆集まったわね、話を始めるわ」
善子「帰って来て早々に全員集めて、何の話よ」
鞠莉「私が都に行って来た理由、皆は知ってるわよね?」
梨子「え、ええ……」
花丸「最近オラ達の島まで行商人の人が来てくれなくなったから、不足した資材の買い付けと……」
果南「それと『火竜』の話でしょ」
鞠莉「ええ、そうよ」
鞠莉「このあたり一帯で『火竜』、リオレウスが度々現れている、現に梨子、善子、花丸は見たそうだし、果南に至っては一度交戦してる」 果南「ありゃあ相当老成した奴だね……追い払うのが精一杯だった」
千歌「果南ちゃん、それで怪我したんだっけ」
果南「うん、ちょっと引き際ミスっちゃってね」
花丸「オラは島に居る時、海岸に居るのを見たずら……もし島まで飛んで来たら」
鞠莉「『火竜』が居る以上、私達は安心して暮らせない、そもそも行商人が減ったのも、この『火竜』が徘徊しているって情報が流れた所為だし……」
善子「どうにかするしかない、って訳よね」
ルビィ「でも、鞠莉ちゃんは都で頼んできてくれたんだよね? リオレウスを討伐してくれるように、っておっきなギルドに!」 鞠莉「ごめんなさい、それは断られちゃったわ……数回モンスターを見た、なんて小娘の話を聞くほど、ハンターは暇じゃないってね」
曜「そんな……!」
梨子「リオレウス程の危険度なら、ある程度の大きさのギルドが動いてもおかしくない……なのに」
善子「だったら、今度はみんなで乗り込んで!!」
ダイヤ「おやめなさい……小娘が九人来ても、とまた追い返されるのが関の山ですわ」
鞠莉「結局、なんとかの沙汰も金次第って事なのよ。報酬金も払えないような人はお呼びでは無いって事」
花丸「実際、リオレウスの討伐優先度は低いずら。色々な地域を渡り歩くから、一地域に留まって被害を出す事は少ないから……って」
梨子「でも……実際問題、交易に頼ってる私達の生活は人が来ないと、もう……どうしたら」
鞠莉「最初から準備してたように、やるしかないのよ……私達で」 曜「リオレウスを……狩る?」
善子「そんな! 果南でさえ勝てなかったのに!」
梨子「でも、じゃないと私達は……」
ダイヤ「……やはり、そうなってしまいますか」
鞠莉「このままだと、私達の生活は壊れていくばかり……私達の命は私達で守らなきゃ、そうでしょう?」
千歌「……!」
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果南『……千歌?』
千歌『もっと、私達が強ければ、こうはならなかったのかな』
千歌『もっと早く生まれてて、大きかったら……あんな化け物も退治できたのかな』
果南『千歌……』 千歌「うん……うん! そうだよね!鞠莉ちゃん!やろう!私達で!」
鞠莉「幸い、リオレウスの素材は高値で取引されているわ……ある程度の資材ならつぎ込んでも大丈夫よ」
千歌「うんうん、この先の生活も考えないとね」
鞠莉「それに、今のままでは勝てないわハンターとしての熟練度も、アイテムも、私達には何一つ足りて無いわ」
千歌「あーなるほど、やっぱり準備が必要かあ……」
鞠莉「だから、ちかっち! あなたに頑張ってもらうわ!」
千歌「うんうん……え? ええええええええええ!?!?」 【後日 島】
梨子「はあっ! せいっ! やあっ!!」
果南「腰の入れ方が甘いよ〜! もっと腰入れて、引き絞って撃たないと。ちょっと怪我させた位じゃモンスターは死なないんだから」
梨子「……もう、限界……」
梨子「……ぱたり」
果南「だらしないなあ……」
鞠莉「梨子、どう? 練習の方は……って倒れてる」
梨子「あ、鞠莉さん……聞いて下さい!果南さんがスパルタなんです!まずは千回空撃ちやれって!」
鞠莉「まあ! 果南ったら鬼ね!」
果南「鞠莉が言ったんでしょ! 『皆を戦力として数えられるようにする』って」
鞠莉「まあ、それは……そうだけど」
ダイヤ「皆のスキルアップをして、来るべき『火竜』退治に備える、その為には多少の無茶は仕方がありません」
果南「あ、ダイヤ。練習は終わり?」
ダイヤ「しばし休憩、ですわ」
梨子「そういえば、なんでこの前の会議で急に千歌ちゃんを育てよう、って話になったんですか?」
鞠莉「ああ……それはね、少し前から決めていた事なの」 鞠莉「この村でハンターをやっているのは、果南、ダイヤ、梨子、善子、そして時々私……それと、千歌っちね」
果南「で、リオレウス程の大物を狩る時、私とダイヤじゃ前衛が足りないの」
梨子「……」
鞠莉「私達の財政上、防具は殆ど用意出来ない。武器だって、曜が自前で何とかしてくれてるから高性能なのが使えているだけで……本当にカツカツなの」
果南「そんな状態で大型モンスター相手に薄い装備、さらに人数の薄くてターゲットになりやすい前衛が前に出たら……って話」
梨子「だから千歌ちゃんに前衛になれ、って事?」
鞠莉「YES!」 梨子「話は分かりましたけど、千歌ちゃんハンター始めてそんな経って無いですし……」
鞠莉「もちろん、そのまま行けなんて言う程私達も鬼じゃないわ、いくらか鍛錬を重ねての話よ。実際、今日も狩りに行っているわ」
果南「むしろ、私達の準備も必要だしね」
梨子「……? 果南さん達は十分強いんじゃ……」
果南「いやいや、火竜と向き合うとなるとぜんぜん足りないよ……あれそういえば、今日花丸達の姿を島で見ないけど……」
鞠莉「花丸には、島の裏で素材を取って来て貰っているわ、ネンチャク草やら雷光虫ね。ルビィと曜は……わかんないけど」
梨子「それって……」
鞠莉「ええ……罠だったり、閃光玉の素材よ」 鞠莉「私はね、一人も死んでほしくないの。絶対に誰も欠けずに火竜を倒して、また平和に九人で暮らしたいの」
「鞠莉ちゃん……」
鞠莉「みんな、自分の出来る事をやってるの。使えるべきものは全部使って、私達は絶対に勝つのよ」
梨子「……そうですね、私もがんばらないと」
梨子「……? 岸の向こうに誰かいませんか?」
鞠莉「あら……ああ!行商人のお婆さんね! ちょっと私、船で迎えに行ってくるわね!」
梨子「あ、はい……行ってらっしゃい」
果南「船、ひっくり返さないでよ。拾うの大変なんだから」
鞠莉「わかってるわよ!」 梨子「果南さん、行商人の人って来て貰えなくなったんじゃなかったんですか?」
果南「ほとんど、ね。でもあのお婆さんだけは毎回欠かさずこっちを通って来てくれるみたい」
梨子「へえー……よく来てくれるお婆さんだと思ってたけど、そうだったんですね」
果南「もうずっと、来てくれてるからね。それこそあの人がいなかったら私達本当に野垂れ死ぬ所まで行ってもおかしくない、ってくらいお世話になってるよ」
鞠莉「……毎度来て頂き、ありがとう御座います」
行商人「やだねえ鞠莉ちゃん、そんな堅苦しい言葉遣いなんて……そっちがお客さんなのに」
鞠莉「でも『火竜』が出る様になってこの辺りは危険だって事、きっと貴方だって知ってる筈……」
行商人「なあに、競争相手が居ない方が、商売は儲かるもんさ……さて、どんなのがある? 仕入れてからまだそんなに回って無いから現金でも物々交換でも予算はそこそこあるよ?」
鞠莉「……ありがとうございます」 鞠莉「はい、ではこれが……今回の作品です!」
行商人「このモンスターの皮で作った小物、作ってくれてるの、ルビィちゃん、だったっけ? あのちっちゃい子。この小物が向こうでは良く売れてね」
鞠莉「ふふっ……あの子が聞いたらきっと顔を真っ赤にして喜びますよ」
行商人「そうかい? こりゃあ綺麗に作ってあるし、皮の模様もしっかりしている……これは、解体する時に処理が上手にしてあるんだろうね」
鞠莉「お気に召しました?」
行商人「ああ、全部しっかりと、この私が買い取らせて貰うよ」 行商人「武器マニアのお姉ちゃん様に武器用の素材をいくつか仕入れといたよ。それと、ボウガンの子が使うだろうと思って、弾を少し多めに。なんだっけ……あのだ、だて……」
鞠莉「ふふっ、堕天使ヨハネ、です」
行商人「うーん、最近の言葉は良くわかんなくてねえ……いい子だって事は仕草から分かるんだけど……こないだなんか私の腰まで揉んでくれたし」
鞠莉「そうでしょう?……あ、それじゃあ、火炎弾と雷撃弾下さいな」
行商人「あら、属性弾なんて……大物でも狩るのかい」
鞠莉「ええ……狩るんです、リオレウス」 行商人「まあ……そんな、危なくないのかい?」
鞠莉「危険です……でも、生活の為にやらないと。それに……」チラッ
行商人「……?」
鞠莉「お婆さんに、もっと安全に来て欲しいですから」
行商人「まあ……あらあら!」
鞠莉「ふふっ……その為に私達、頑張っちゃいます!」 行商人「でも本当に、気を付けなくちゃダメよ? 命あっての物種、なんだから」
鞠莉「ええ、その為に皆で準備しています」
行商人「そう……貴方みたいなしっかりした子が纏めているんだから、きっと大丈夫なんだろうけど……本当に、気を付けるのよ?」
鞠莉「お婆さんも……この先の道、お気をつけて」
行商人「ああ、ありがとうね。また沢山仕入れたらここに寄るからね」
鞠莉「ありがとうございます、また買わせて頂きます」 鞠莉「私はね、一人も死んでほしくないの。絶対に誰も欠けずに火竜を倒して、また平和に九人で暮らしたいの」
鞠莉「みんな、自分の出来る事をやって、使えるべきものは全部使って、私達は絶対に勝つのよ」
梨子「……そうですね、私もがんばらないと」
梨子「……? 岸の向こうに誰かいませんか?」
鞠莉「あら……ああ!行商人のお婆さんね! ちょっと私、船で迎えに行ってくるわね!」
梨子「あ、はい……行ってらっしゃい」
果南「船、ひっくり返さないでよ。拾うの大変なんだから」
鞠莉「わかってるわよ!」 鞠莉「ルビィの作品はバッチリ買い取って貰えたわ!、これで暫くは困らなさそうね」
梨子「素材に弾がいっぱい……」
果南「これ、曜のとこに持っていくよ。ずっと武器弄ってるようなヤツだから、きっと喜ぶよ」
鞠莉「ああ、うん。お願いね」
梨子「そういえば、千歌ちゃんは一人で狩りへ? しばらく帰って来てないけど……」
鞠莉「千歌っちは、善子と一緒に狩りに行って貰ってるわ。とにかく、時間が無いから実践経験を積まないと。大型モンスターへの対処と、他のハンターとの連携を覚えて貰わないと」
梨子「大丈夫かなあ、千歌ちゃんもだけど、善子ちゃんも危なっかしい所あるし……」
鞠莉「きっと大丈夫よ。なんだかんだ言ってあの子は……果南の次に強いから」 ダイヤ「そういえば、思い出したのですが。ルビィはさっき島の頂上、白き竜の祠に行きましたわ」
鞠莉「またー!?あそこまで行くの結構大変なのに、よく行くわね」
ダイヤ「つい先程ルビィと曜さんが一緒にどっか行くの見ました。たぶん一緒に登ったのでしょう」
梨子「またって……ルビィちゃん、よく島の頂上に行くんですか?」
鞠莉「あー……いつも狩りに行ってる梨子達は知らないか」
ダイヤ「ルビィは貴方たちが狩りに出掛ける度、その都度毎回島の頂上までお祈りに行ってるのですわ」 【島 山頂】
曜「ふう…やっとついた!」
ルビィ「す、すごいね曜ちゃん、ルビィ毎日登ってても結構疲れるのに、息も切れてない……」
曜「武器を弄るのって結構体力勝負な所あるしね〜」
ルビィ「それでもすごいよ、ルビィなんか最初の頃なんて半分も登れなくて……泣いちゃったりしたんだ」
曜「あはは、でも……そんなに大変だったのにどうしてここまで登るようになったの?」
ルビィ「うーん……外で頑張ってるハンターのみんなの役に立ちたかったから、かな」
曜「ハンターのみんな?」
ルビィ「うん……私達島に残る組みはハンターのみんなのお手伝いは出来るけど……外から無事に帰って来てくれるかは、祈るしかないから……」
ルビィ「だから、少しでも力になれる様に、って白き竜神さまにお祈りしてるんだ」
曜「そっか、そうだったんだね」 曜「ここが、白き竜の祠……」
ルビィ「この祠自体はずっと昔からあるらしくて……ほら、ルビィ達元々は陸地の方で暮らしてたでしょ?」
曜「うん、村が燃えちゃうまでね……」
ルビィ「離れ島にあるこの祠にはあんまり人が訪れなかったみたいで……ルビィが初めて登ったころは結構草や苔で覆われてたんだ」
曜「ってことは、このあたりルビィちゃんが全部丁寧に整えたの?大変じゃない!?」
ルビィ「……うん、でも折角ルビィ達の住む島に神様が居てくれるんだからって思ったらなんだか綺麗にしたくなっちゃって」
曜「そっか、偉いねルビィちゃんは!」
ルビィ「そんな…ルビィが出来る事なんて、みんなに比べたら全然……」
曜「いやいや、ルビィちゃんがモンスターの皮から作ってくれる小物とかの収入なかったら私達とっくに食いっぱぐれてるって!自信もちなよ!」
ルビィ「そう……かな、ありがとう、曜ちゃん」 ルビィ「曜ちゃんは、今日なんで一緒に来てくれたの?」
曜「それは……」
ルビィ「それは?」
曜「最近、自分で言うのも何だけど、私達料理に慣れてきて、前より美味しい物食べられるようになってきたじゃん?」
ルビィ「うんうん」
曜「それでね、いっぱい食べすぎて……少々お腹の方が……」
ルビィ「だから、ダイエットになるかなって?」
曜「不純な動機でごめんなさい!」
ルビィ「う、ううん!ルビィも最初の方はダイエットになるかなって思ったし!」
曜「でも、その生活が出来るのも、外で頑張ってくれてる果南ちゃん達がいるからなんだよね」
ルビィ「……お祈り、しよっか?」
曜「うん、そうだね!」 【同刻 森の中】
善子「おりゃおりゃおりゃ!!!!!!!」
「ゴギャッ!!!」
「ガギャッ!!!!」
狙いを定めない乱雑な、しかし薙ぎ払う様な連射が小竜達を蹴散らしていく
善子が放っていたのは『散弾』火薬の爆発によって弾頭を破壊し、その破片を広範囲にばら撒く掃討様の銃弾だ。
善子「ははっ……!!この堕天使ヨハネの魔眼に捉えられたこと、あの世で後悔するがいいわ!!!」
銃の引き金に指を押し込むたび、銃口から火が噴き出す度、数匹のジャギィ達が炸裂した弾丸を受け吹き飛んで宙を舞う
善子の持つ軽量のボウガン、ド級弩・アルデバランから銃弾を撃てば、飛ぶ。撃てば、飛ぶ。まさにその様子はまさしく「狩り」だった。
アルデバランは、渓流に住む超大型モンスター、ドボルベルクの角を利用して作られたボウガンだ。角による銃口の締め付け、銃弾の衝撃に耐えられるだけの尾槌竜の皮。その全てが散弾に特化して作られている事も、その威力に拍車をかけていた
善子「散れ!……灰と化せ!魔の軍勢よ!!!!」
そんな中弾丸の雨の中でも怯まず、怒り狂って突進する巨影が一つ、あった
「グガラァァァァァァァ!!!!!!!!」 善子「千歌、ドスジャギイ来たわ! 周りはあらかた片付いたから後は任せた!」
千歌「う、うん! 分かった!」
善子はバックアップでドスジャギィのタックルを避けると、ドスジャギィの射程外ギリギリへと入った
善子「(被弾しないこと、誤射しないこと、弾を正確に選ぶ事、弾を当てること。それが私の四か条。この順番に必ず守れば、いつだって大丈夫……)」
善子「にしても……」
千歌「たりゃあ!てりゃ!!」
「ゴァッ!! ガアァァァッ!!!!!」
千歌「うわっ…!あぶねっ!!」
善子「なんで私が子守り役なのよーーー!!」 千歌「善子ちゃんひどい! 千歌それなりに大人だからね! それに善子ちゃんより年上だし!」
善子「いいから! あんたよそ見してられる程楽勝じゃないでしょ!」
千歌「おっと……そうだった」
千歌は向き直り、目の前の獲物に集中する
狗竜、ドスジャギィ。ジャギィ達群れのボスであり人の体躯を優に超える大型モンスターだ
その攻撃の威力は、ジャギィの物とは文字通り格が違う。鞭の如き尻尾の一撃が直撃すれば、大の大人の首の骨程度なら簡単に吹き飛ばすだろう。
「グルル…………」
千歌「怒ってるなぁ……ちょっと怖いかも」
群れのジャギィを殺され、ドスジャギィは殺気立っていた。群れの長の証たる巨大なエリマキを逆立て、一撃が届く間合いを入念に計っている
千歌「(でも、やらなくちゃ……強くならないといけないから、鞠莉ちゃんと約束したんだ!)」 千歌「いくぞ……せやぁ!!!!!」
先に動いたのは、千歌だった
盾を構えながら飛びのき、左前に向けて前転しながら接近する
千歌が左へ進んだ理由は、二つあった
一つは正面を空けることで、後方の善子の射線と被らない様にする為
そして二つ目は、ドスジャギィ自身の特性を利用しての事だった
「グガァ!!!」
飛び出した千歌を見て、ドスジャギィも牽制の一撃を放つ。尻尾による薙ぎ払いは空を切り、風切り音をあげて千歌へと襲い掛かる!! しかし、その攻撃は千歌に届かない。
千歌「へへん!その攻撃はもう読めてるよ!」
千歌は攻撃を読み切っていた、それは何故か
人間のみならず、自然界の生きる獣にも利き手、利き足が存在する。遺伝子に組み込まれた、癖が野生の獣にも存在するのだ
そして、このドスジャギィにも尻尾を武器にする際、高確率で時計回りに旋回しながら振り回すという特性がある事を千歌は知っていた
千歌「(まあ、昨日花丸ちゃんに教えて貰ったんだけどね)」
「ゴアァ……!!」
危険な一撃も、軌道が読めてしまえば恐れるに足らない
千歌の一手は確実に不意を突いた。尻尾の薙ぎ払いを繰り出していたドスジャギィに、一瞬の隙が生まれた
尻尾のリーチの関係上、鞭の様にしなるその一撃は時計回りに旋回すると自身の正面までにしか届かない
僅かな隙、しかし千歌はその隙を生かすことが出来る間合いへともう既に入っている!!!
千歌「はぁっ、チカの…一撃を食らえッ!!!」
「ゴギャッ……!!!!」 千歌「当てたらすぐ、逃げる!」
片手剣の一撃がドスジャギィの首元に入った。薄い得物とはいえ、生物の急所である場所に突き立てられた刃のダメージは、計り知れない。
「ゴ……ガァッ!!!!」
千歌「おっと……危ない!!!」
千歌の一撃は回避に意識を向けていた所為で、骨まで届くことの無い浅い一撃だった。浅い傷に狼狽える事無くドスジャギィはすぐさま攻勢に転じた
赤い血を毛皮に滴らせたまま、半狂乱の形相で牙を振るう。群れの王者と呼ばれるだけの威力が、繰り出されるその一撃一撃に込められている
ドスジャギィ「ガアッ!!! グガァッ!!!!」
千歌「ちょっ……こんな追われた時の対処法聞いてない……善子ちゃん助けて、うわあ!!!」 数秒まで千歌が居た場所に、圧倒的な質量が鋭い暴力となって襲い掛かる
牙での一撃、直ぐに体を捻って全身を使ってのタックル。まだまだ新米ハンターの千歌にとって、回避するのが精一杯の重い一撃が休むことなく繰り出される!!
善子「もう!!そんなちょこまか動かれたら当たるものも当たらないわよ!!!」
千歌「そんなこと言ったって追いかけて来るだもん、善子ちゃん!」
善子「目つぶしでも何でもして、とにかく距離を離して一度正面から向き直りなさい!」
千歌「正面!? 何言ってるの善子ちゃん!?」
善子「いいから! 背中を晒す方が危ないわよ!!」
千歌「でも……そんな……」
善子「いいから!!私を信じて!!!」
千歌「……!」 千歌「くっ、せやッ!!!!」
走る最中姿勢を落として足元の土を攫い、拾い狗竜の顔に向けて投げつける
目くらましの様に投げられた土塊はドスジャギィの視界を一瞬の間、遮る
「ガッ……!」
千歌「今だ! うおおおおおおおおおお!!!!!」
視界が奪われ、ドスジャギィが晒した一瞬の隙に千歌は全力疾走で距離を取る
足を回し、地面を蹴る。草木を踏みしめ、前を見たまま全力で速度を上げていく!!!
十メートル程の距離を取った後、くるりと振り向きドスジャギィと向き直る
怒り狂った狗竜は追撃の速度そのままにその巨大な躰を叩きつけようと速度を上げ、森に響き渡る咆哮を挙げる
「グアォォォォォォォ!!!!!」
千歌「ひぃっ!!!」
盾を構え、足を踏み込む。左足に力を込め、いつでも飛退けるように態勢を固める
千歌「(善子ちゃんはああ言ってたけど、避けれる様にしないと怖い!!)」
「ゴアォォォォ!!!!」
千歌「ッ……!!」
眼前に迫るモンスターの迫力に千歌は一瞬、目を逸らした。初めて相対する大型モンスターの迫力に、丸腰になってしまっていた。
何度も訓練はした、どのサイズのモンスターと戦うのか花丸からレクチャーも何度も受けた。行動のクセ、パターンを耳がタコになる程聞いた
しかし、目の前に存在する“個”としての迫力に、千歌は圧倒されていた。極度の緊張が、恐れが、体を泥の様に固めてしまっていた
千歌「(あ……やば…死……)」
捕食者の一撃が、恐怖に立ちすくんでしまった千歌へと真っ直ぐに襲い掛かる!!! 「ァ……ガ…ッ…」
千歌「……?」
逸らした目線を正面に戻すと、ドスジャギィの脳天に銀弾が撃ち込まれていた。肉を裂き、骨に食い込み埋め込まれた鋼の銃弾が日の光を浴びて照る様に光っている
その鉛玉が、今、巨大な炸裂音を立てて爆発する!!!!
「ゴァァァ!! ォ……ァ……」
巨大な破裂音、脳を揺さぶる爆発の衝撃。ドスジャギィはその場に立ち尽くしたまま、一歩も動けなくなっていた。
徹甲榴弾
弾丸の内部に炸薬を詰め込み、モンスターの頭部に当てることで行動を阻害、昏倒などを引き起こす小型の時限爆弾の様な弾丸だ 善子「何ボサっとしてるのよ! 動き止めたんだから首でも腹でもいいから止め刺しなさいよ!!」
千歌「あ……う、うん! 」
片手剣の切っ先を首に向け、真っ直ぐに突き刺す
千歌「せりゃああああああ!!!!」
頭に強い衝撃を受け動きの止まったドスジャギィはその攻撃に抵抗することは出来ず、首の骨までをその刃で貫かれる
「ゴォッ…!…ホォッ……ゴッ……」
「……ォォ…………」
ドサッ
そのまま、砂煙を大きく巻き上げながら巨体を投げ出し、ドスジャギィは大地へと伏した 千歌「はぁっ……はぁっ……」
善子「お疲れ、まあ初見にしては上出来よ」
千歌「……ありがと」
善子「どう?初めて大型モンスターを狩った感想は?」
千歌「どうって……私、ほとんど善子ちゃんに助けてもらったし……」
善子「バカね、それがガンナーの役割よ。遠距離だから出来る動きの把握、牽制が私の役割、で、最前線で突っ張るのが近接の役割よ」
善子「特に私達なんて防具がほぼ無いんだから……近接が居なかったら、ガンナーはおちおちスコープも覗けない、全く使い物にならないわ」
千歌「……」
善子「だから、最初の内はおんぶにだっこでいいのよ。私達が介護出来るくらい、攻撃を引き付けられて……る……」
千歌「……善子ちゃん?」
善子「千歌!!下がって!!!」 二人が居る地に、立っているのが困難な程の暴風が巻きあがる
砂塵が舞い、木々が軋み、折れ曲がる。平地のど真ん中に、突如竜巻が発生したかの様な突発的な荒風だった。
飛び交う砂や石で、瞼を開くことすらできない。「何か、強大な物がそこに飛来している」事しか分からない
巨影が大地を覆った。
体は赤熱色の甲殻に覆われていた。翼には鋭利な爪が生えており、翼膜には燃え盛る炎の様な紋様が浮かび上がっていた
「グルル………」
来訪者は狗竜の上に降り立った。上に乗っただけで、その鋭い足の爪が狗竜の体を貫き、肉を裂いた
それは、竜だった。体を弓なりにして息を吸い込み、雄叫びを上げる。
体の中から迸る炎が、口から絶えず、吹き出している
「ガァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」
空の王者が、天空より舞い降りた 千歌「……ぁ」
善子「火竜……チッ……こんな時に」
「グルル…………」
善子「いい、千歌?そのまま、振り返らずに聞きなさい」
千歌「……うん」
善子「あいつは正面に火球を飛ばしてくる。だから、正面に立ったり、背中を向けちゃダメ、必ず角度をずらして、少しずつ後ろに下がりなさい」
千歌「……分かった」
善子「距離が取れたら私が合図して残りの徹甲榴弾撃つから、その合図で全力で逃げなさい良いわね!?」
千歌「……善子ちゃんは?」
善子「今は自分の身だけ心配しなさい!全滅したいの!?」 「グ……ルル………」
火竜の双眸が二人を捕えた。敵対者か値踏みする様に、鱗に覆われた瞼の奥の瞳で射抜く。
善子「(残りの徹甲榴弾で昏倒されられるか、分からない……正真正銘、一発も無駄に出来ない)」
善子「行くわよ……3……2……」
千歌「…………」
善子「………1……」
善子「(ええい!!ままよ!!!!!)」
「ゴアアアアァァァァァァァァァ!!!!!!!」 空の王者の巨大な咆哮に、大地が揺れる。空気が振るえ、肌にビリビリとした感触が伝わる。鼓膜が割れんばかりの衝撃が体の中を貫いた
善子は、腕利きのガンナーだ。視認できる範囲なら、その銃弾の殆どを外すこと無い優秀なスナイパーだった。
特に、頭部など小さい範囲に当てる技術は群を抜いていた
しかし、生態系の頂点たる竜の「圧」に善子は、自らの銃のトリガーから指を離してしまう。
善子「……ッ!」
千歌「ヒッ……!!」
「グルル…………ガアッッ…!!!!!!!」
次の瞬間リオレウスは巨大な咆哮と共に狗竜の体に巨大な爪をめり込ませた。
骨が砕け、肉が裂けたドスジャギィの躰に、大鎌の様な爪が突き刺さる!! 次の瞬間、半分肉塊と化したドスジャギイを掴んだリオレウスは、叫び声と共に空へ飛び立った。
自らの胴体程の大きさの狗竜も物ともせず、軽々と大空へと持ち上げ、その巨体を空に浮かばせ、森の奥へと消え去って行った。
千歌「はぁっ……はあっ……」
善子「…………」
開けた森の一角には、火竜の羽ばたきが残した強風と言葉を失った二人が取り残された ゲームじゃヘタレとか言われてるけど、流石生態系の頂点って感じするゾ 【その日の夜】
パタン
善子「……はぁ」
鞠莉「どうだった?千歌の様子は」
善子「結構参ってるみたい……あんな大きい怪物といきなり対峙したからね」
ダイヤ「モンスター狩り始めて、ちょっとずつ慣れて行こうって時にこれですものね……」
善子「ドスジャギィを可能な限り弱らせて、千歌に倒させて自信つけようって話だったけどそれがをかっさらわれるなんて……完全に裏目に出たわね」
善子「私が手早く撃てれば良かったんだけど、咆哮に負けてトリガーを、離した……私のせいね……」
鞠莉「(……こっちもそれなりに堪えてるみたいね……)」 鞠莉「でも!とにかく良かったわよ、二人共怪我無く帰って来れて!」
果南「そうそう!善子がちゃんと居て指示出したから二人共無事で帰ってこれたんだよ」
ダイヤ「とりあえず、今は千歌さんはそっとしておきましょう、無理に励ましたりするのは逆効果ですわ」
善子「……そうかもね」
鞠莉「よーし!なら、そろそろご飯の時間だから炊事場に行きましょう、今日の当番は確か梨子よね!私、梨子の料理都風なのが多くて好きなのよ!」 【その日 深夜】
コンコン
鞠莉「ん?……はーい、入っていいわよ」
千歌「あ……鞠莉ちゃん、本読んでたんだ……邪魔しちゃった?」
鞠莉「ううん、まだ開いたところよ。どうちかっち、元気出た?」
千歌「うん……ちょっとだけね」
鞠莉「座ってお話しましょうか、よいしょっと……」
千歌「……?なにしてるの、鞠莉ちゃん?」
鞠莉「夜更かしして本読むとお腹が空くから梨子が作ったポトフ、ちょっと拝借してきちゃったの……今お皿に盛るから、これでちかっちも共犯よ?」
千歌「……もう、鞠莉ちゃんったら」 千歌「……おいし」
鞠莉「ちかっち、あんまり食べてなかったでしょ。お肉もいらないからって曜にあげてたし」
千歌「あはは、鞠莉ちゃんにはなんでもお見通しだね」
鞠莉「もちろん!なんてったって村長ですから!」
千歌「ふふっ、そっか……鞠莉ちゃんは私達が大きくなる前から村長さんだもんね」
鞠莉「そうね、と言っても、らしい事が出来てるのはここ最近だけどね」
千歌「そういえば、ちゃんと聞いたこと無かったかも鞠莉ちゃんが村長になった……私達がこっちの島に移り住んだ頃の事」
千歌「ほら、あのころ私達はみんな、泣いて引きこもってばっかりだったから、あんま覚えて無くて……思えばいつもダイヤさんや果南ちゃん、鞠莉ちゃんに助けられてた」
鞠莉「そうね、でも面白い話じゃないわよ?……今のちかっちには、特に」
千歌「……聞きたいな、その頃の話。鞠莉ちゃんが村長になった頃の話」
鞠莉「……わかったわ」 鞠莉「私達の元居た村がリオレウスに襲われて焼けたってのは……知ってるわよね?」
千歌「うん……」
鞠莉「本来リオレウスはこの辺りに居ないモンスターなの。それが、突如現れた……それも人里に突然だから大パニックよ」
鞠莉「結果、村の大人は殆ど亡くなったわ……僅かながら生き残った大人も恐ろしさからか行方を暗ました」
千歌「……」
鞠莉「結果、その時残ったのは当時の子供だけ、私とダイヤ、果南、曜、善子、ルビィ、花丸……そして、あなたよ」 鞠莉「年長者の私達は必死で考えたわ、なんせ皆を食べさせなきゃいけない。でも、そんな余裕も資源も食料もどこにもない」
鞠莉「果南は『島からいちいち狩りするのに漕がなきゃいけないのめんどくさい!』って言いながらも……毎日、みんなの分の食糧を得る為狩りに行って……あ、そのころは私とダイヤも時々出て三人でハンターやってたのよ?」
千歌「え、鞠莉ちゃんってハンターだったの!?」
鞠莉「ええ、あそこの窓辺に銃あるでしょ?その時使ってた木製のボウガンよ、それは二代目だけど」
千歌「あ、ほんとだ……置物だと思ってた……」
鞠莉「まあ、ほぼインテリアみたいな物ね。余った素材で出来てる簡素な銃だからね!作ったの私だし」
千歌「……鞠莉ちゃんって何でもできるんだね」
鞠莉「ううん、そんなこと無いわ……出来ることだけ、よ」 鞠莉「それで二年、三年経った頃かしら。都の方から訪ねて来る人が居て、それが梨子よ」
千歌「ああ、それくらいだっけ……梨子ちゃんって、元々都の方でギルドのハンターやってたんだよね?」
鞠莉「ええ、そうよ……でも、どうしても怖くなって、書置きだけおいて出てきたみたい」
鞠莉「しばらく道中のモンスターを狩ったりして野宿の旅を繰り返してたみたいだけど……流石に限界、ってところで私達の村に辿り着いたみたい」
千歌「意外と……ワイルドなんだね、梨子ちゃん」 鞠莉「行商人のお婆さんが来てくれる様になったのは、私達三人が狩りをして少し経った頃かしら。私達が小さい頃、遠出できない私達に代わってモンスターの上質な素材を仕入れてきてくれて……何とか私達の手が届く金額までおまけしてくれて……」
鞠莉「その頃は、曜が武器作成の勉強をしてまだちょっと経ったくらいの頃だったから……貴重な素材を端から端まで使おうって躍起になっててね」
鞠莉「ちかっちもおかしいと思ったこと無い?果南のアーティラート、ダイヤのバゼルミニアド、梨子のファーレンフリード……それぞれ素材はディアブロス、バゼルギウス、ベリオロス亜種……いくらなんでも砂漠地帯のモンスター素材のが多すぎない?」
千歌「確かに……言われてみれば!」
鞠莉「その時お婆さんが行ってきたのが砂漠でね、何とかして買い付けてくれたのよ」
鞠莉「個人的なおつかいも頼まれたりしてくれて……花丸のモンスター図鑑やら、ルビィのハンドメイドの本やらも都で仕入れてきて貰った物よ」
鞠莉「で、そんなこんなで皆大きくしっかり育ってくれて……家事やらなんやら分けられるようになって、今の暮らしがある、って話よ」
千歌「……鞠莉ちゃん達は、ずっと私達を守ってくれていたんだね。私と一つしか違わないのに」
鞠莉「“私達”は一番お姉さんだから、一番頑張らないといけないの……それだけよ!」
千歌「でも、すごいや」 鞠莉「ねえ、ちかっち……これはね、今まで言ってなかった事なんだけど」
千歌「……なあに?」
鞠莉「最近この辺りを飛び回ってる火竜、ちかっち達が出会った奴……それと、昔、私達の村を滅ぼした火竜はおそらく……同一個体だわ」
千歌「……!」
鞠莉「私とダイヤはね、逃げる事も考えたわ。怪我しないように貯えをして凌ぐことも私達は考えたの」
鞠莉「でもね、そうしたらあいつはまたきっと、十年後やってくる。野生のモンスターは、同じスパンで現れることが良くあるの。それが大型の飛竜なら、何年ってスパンでもおかしくない」
鞠莉「だから、ここで倒さなくちゃいけない……じゃないとまた十年後この村は危険に晒される」
鞠莉「でもね、それじゃだめなの。私はこの島でずっと生きていたい。もしかしたらこれから出て行ったり旅に行ったりする子が居るかもしれない、でも、そんな子に『おかえり』っていってあげられる場所はこの場所と私達しかいないの。だから、守らないと」
鞠莉「でもまだ、私達の力だけじゃ守ってあげられない。まだまだ、私達の力は足りないから、あなたの力を貸して欲しい。ちかっちだけじゃない、曜も、梨子も、ルビィも、善子も、花丸も、みんなの出来る事で力を貸して欲しいの」
千歌「鞠莉ちゃん……もちろんだよ」 千歌「これが…鞠莉ちゃんが使ってたライトボウガン、だっけ?なんて言うの?」
鞠莉「ユクモ霊弩、って呼んでるわ」
千歌「ユクモ…?ユクモってあの温泉地のユクモ?」
鞠莉「ええ。それはね、家を作るときに余った木を使って作ったのよ。知ってる? ここの家の木、結構いい素材で出来てるのよ。あのお婆さんが『潮風が吹くんだから建物はしっかりした素材で作らなきゃ』って言って、まけてくれたの」
千歌「へぇー、木製の銃なんて初めて見た……」
鞠莉「一応定期的に磨いたり手入れはしてるから撃てると思うけど……そうだ、ちかっちにあげようか?」
千歌「うえっ!?い、いいよ……私にライトボウガンなんて扱えないよ」
鞠莉「ふふっ……そうね、まずは片手剣から覚えないとね」
鞠莉「片手剣は、初心者が最初に握らされる武器。守りと回避のバランスが取れている『生き残る』のにはうってつけだからね」
鞠莉「でも、味方を『生き残らせる』となると……考えることは無数に増えるの。善子があなたにしてくれた以上の事を、あなたが皆にしなくちゃいけないの」
千歌「わたしが……みんなに?」 鞠莉「次の狩りはね、あなたの武器の素材集めをしようと思っているの」
千歌「私の……武器?」
鞠莉「ええ、金属だけの刃じゃ、リオレウスにはちょっと力不足だわ。
鞠莉「でも、武器を作って、狩りの練習をして……って時間はもうないの。火竜は、もうすぐそこまで迫っている。だから、ちかっちには……これからの戦闘、火竜との戦闘準備の中、実戦経験を養って貰いたいんだけど……」
千歌「私……やるよ、鞠莉ちゃんやダイヤさん、果南ちゃんがしてくれたみたいに、私だって力になりたい」
鞠莉「……ふふっ、大変よ?」
ギュッ 千歌「わっ……鞠莉ちゃん!?」
鞠莉「ちかっちは良い子ね、きっとみんなを守れる強い子になれるわ」
千歌「うん……私、がんばるね」
鞠莉「さ、もうそろそろ寝ましょう?ポトフでお腹も温まったでしょう?」
千歌「うん、そうするね」
千歌「おやすみ、鞠莉ちゃん」
鞠莉「おやすみなさい、ちかっち」 【後日】
花丸「これが、次の討伐目標のデータ……を、あらかじめ纏めておいた物ずら」
千歌「おおー!流石花丸ちゃん頼りになる!」
善子「水獣、ロアルドロス……どうしてこいつなの?リオレウスに向けて千歌の武器の素材を集めるんじゃないの?」
梨子「リオレウスの弱点の雷属性のモンスター、この辺に住んでないのよね……ましてや竜属性の武器なんて滅多に拝めるもんじゃないし」
果南「という訳で、次に弱点の水属性。それも手頃な獲物って訳でロアルドロスって事らしいよ」
ダイヤ「手頃、と言っても普段狩ってる中型モンスターやドスジャギイとは、比べ物にならない戦闘力を持ってますから、気を抜かない様に」
花丸「一番の弱点は横のタテガミ、次いでお腹、尻尾、頭……割と全身弱点ずら。それと、群れのボスだけあって大量のルドロスを引き連れてる可能性が高いずら」
花丸「それと、腕の力は強靭。爪の引っ掻きはもちろん、横に居ると巨体を転がして押し潰して来るからとても危険、かな……必ず、前か後ろ、横から狙うとしても十分な距離を取る事……こんなところずら」
ダイヤ「大型モンスターなので人数多めで、私、梨子さん、善子さん、千歌さん、それと……」
鞠莉「ハーイ!私が参戦するわ!」
千歌「鞠莉ちゃん!?」
鞠莉「ちかっちと話してたら懐かしくなっちゃってね、どちらにしろ人手は足りてないから私が出てきたって訳!」 ロアルは走りよってきてからのローリングアタックがウザかったな >>98
triG
3DS一番最初のやつで水中戦が特徴的
チャチャとカヤンバがお供になる 千歌「鞠莉ちゃんの武器、部屋に置いてあった銃じゃないんだね」
鞠莉「ええ、あれはもうインテリアみたいなものだからね。こっちのはちょっとしたものよ〜!」
果南「あれっ、というか私は?」
ダイヤ「あなたは別の仕事がありますから、そこに行って貰います」
果南「……ふーん、まあいいけど」
ダイヤ「私と梨子さんで、しばらくの間ルドロスの素材集めも兼ねて狩りをしてきました、おそらく逃げ出した数匹の伝令が伝わって、ボスが出る頃合いかと」
鞠莉「後は狩るだけって訳ね!早速行きましょう!!」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています