雪穂「友達でも、仲間でも、家族でもなければ…それはきっと――」
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亜里沙「雪穂ー! 今日も部活だよー! 練習しよーっ!」
――――思えば、いつも近くに亜里沙がいた。 亜里沙「雪穂雪穂ー! 大丈夫ー? 疲れてないー?」
――――どんな時でも、傍で声を聴かせてくれた。 亜里沙「ゆーきほー! この虫なんていうのー?」
――――亜里沙には教えることも沢山あるけれど。 亜里沙「雪穂は穂乃果さんのことが好きなんでしょー…?」
私が気がつかないことを、教えてくれる――――
亜里沙「雪穂雪穂ー?」
きっとこの先も、未来永劫、亜里沙は私の大切な友人であり…。
亜里沙「雪穂ってばー?」
私の生涯にとって一番の親友――……。
亜里沙「あははっ! 雪穂のほっぺむにむにー♪(ほっぺを摘まみながら)」
雪穂「ちょっ、何してんの!///」
亜里沙「だって雪穂、さっきから返事してくれないんだもん!」
雪穂「だからって人のほっぺ触んない!」
亜里沙「雪穂のほっぺはほむまんみたいにもちもち♪ お父さん、雪穂のほっぺたを想像して作ったのかなぁ?」
雪穂「人のお父さんをヘンタイにしないでくれる?」
亜里沙「えー、こんなにもちもちなのに…(摘まみながら)」
雪穂「だから触るな!///」
亜里沙「雪穂、さっきから何してるのー?」
雪穂「宿題」
亜里沙「宿題? 何の?」
雪穂「作文なんだけどさ。亜里沙のとこは出てない?」
亜里沙「亜里沙のクラスはないかもー」
雪穂「いいなぁ…。作文とか、私超苦手なんですけど…(紙をくしゃくしゃに丸めながら捨てる)」
亜里沙「わ、勿体ないよー!(拾って)」
雪穂「あ、こら!」
亜里沙「えっとー、なになにー?(広げながら)」
雪穂「ちょっと、人が捨てた失敗作勝手に読まないでよ…!」
亜里沙「テーマは…『私の大切な友人』?」
雪穂「ぅー…」
亜里沙「あ、私のこと書いてある! 私、大切な友人!」
雪穂「どうかなー…(恥ずかしそうにそっぽ向く)」
亜里沙「えへへ…♪」
雪穂「めっちゃ嬉しそう」
亜里沙「だって、雪穂に大切って思われてて嬉しいから♪」
雪穂「べ、別にー」
亜里沙「えへへー♪」
雪穂「さ、作文のテーマが友人についてだから、一番よく遊んでる亜里沙を題材に使わせて貰ってるだけだし。そんな特別大切とか、ないし…」
亜里沙「照れてるー!」
雪穂「照れてない!///」
亜里沙「えー、こんなに素敵な作文なのになんでまるめちゃうのー?」
雪穂「素敵って…」
亜里沙「亜里沙は好きだよ! 何がダメなの?」
雪穂「うーん。なんか、こう、さすがに美化しすぎたかなって」
亜里沙「そうかなぁ…(読み直してる)」
雪穂「っていうかよくそんな恥ずかしげも無く自分に当てられた文章読めるね…」
亜里沙「例えばどういうとこー?」
雪穂「えっ」
亜里沙「どこどこー?」
雪穂「えぇ…」
亜里沙「どこがダメー? ねぇねぇ、教えて雪穂ー」
雪穂「なんで私は友人に宛てた文章をその友人に指摘させられてるの…」
亜里沙「〜〜!(キラキラした目で見つめてる)」
雪穂「あー…(恥ずかしそうに読み直して)」
雪穂「…彼女はどんな時も怒らず、私の話を優しく受け止めてくれます…の件とか」
亜里沙「怒らないよ!」
雪穂「まぁ、そうなんだけど」
亜里沙「いつも雪穂の話を聞いてる!」
雪穂「それもまぁ、合ってるんだけど」
亜里沙「何がいけないの!(顔近付けて)」
雪穂「圧が強い…」
雪穂「うーん…」
雪穂「強いて言えば、面白みにかけるのかなぁ」
亜里沙「亜里沙、ボケはできないかも…」
雪穂「あ、いや、そういうんじゃなくてね?」
亜里沙「な、なんでやねーん!(ツッコミながら)」
雪穂「なんでやねん! それはツッコミ!」
亜里沙「ほっぺたがほむまんだよー!(ほっぺつんつんしながら)」
雪穂「はぁ?(亜里沙の腕を掴みながら)」
亜里沙「雪穂がこわい…」
でも、本当に何が行けないのか。何が私は不満なのか。
作文のテーマに沿った友人についての内容は、きっと亜里沙のことを書けばなんの問題もなく仕上がるだろう。
だけれど、書いてて何かが…小骨が喉に引っ掛かるぐらいの僅かな違和感があった。
亜里沙との付き合いは本当に長い。
確かあれは、小学校五年の頃に亜里沙が転校してきてからだから…もう五年にもなる。
小学からの友人も、中学時代の友人も、高校入学と同時に大部分は別れてしまった。
今でも少なからず携帯でのやりとりはあるけれど、現状の友人との繋がりの方が多いのは当たり前だ。
昔の友人と次第に疎遠になっていくのもやむを得ない話だろう。
しかし、亜里沙だけは違った。
ずっと一緒だった。
亜里沙だけが、私の傍からずっと離れずにいた。
一緒にいた理由は勿論、スクールアイドル――。
スクールアイドルを目指したいという目標が、亜里沙を突き動かし、私をも動かした。
だから、その夢を叶えるため――お姉ちゃん、高坂穂乃果のいる音ノ木坂学院を二人で選んで受験したのだ。
ありさ「ユキホーユキホー!」
亜里沙「雪穂ー雪穂ー♪」
亜里沙は間違いなく、一番長くいる私の友人だ。それだけは揺るぎない事実だ。
けれど――――私の"大切な"友人かどうかは、よく分からなかった。
穂乃果「――穂乃果の大切な友人?」
雪穂「うん」
穂乃果「む、難ひい質問ふぁね…(アイス食べながら)」モグモグ
雪穂「食べ終えてから喋って。っていうかそのアイス何?」
穂乃果「ことりちゃんがくれたー♪」モグモグ
雪穂「餌付けされてる…」
穂乃果「んー、大切な友人かぁ…」
宇雪穂「…いる? お姉ちゃんには大切な友人って」
穂乃果「それは勿論いるよー。友達はみんな大切だもん!」
雪穂「あー、そういうんじゃなくて」
穂乃果「そういうのじゃない? どういうの?」
雪穂「お姉ちゃんは人付き合い良いし、友達多そうなのは分かるけどさ」
穂乃果「あれ? 穂乃果褒められてる? 褒められてる?」エヘヘ
雪穂「(無視して)その中でも、すごーくこの人だけはっていう特別が知りたいの」
穂乃果「難しいなぁ…」
雪穂(悩むぐらい友人いるってのも困りものなんだな…。それはそれで羨ましい)
穂乃果「んー、それならμ'sのみんなってことになるかなぁ?」
雪穂「やっぱり、そうなっちゃう…?」
穂乃果「まぁねー。だって、穂乃果がやりたいって勝手言って作ったグループで、しかもあのラブライブで優勝して、学校の廃校を止めたぐらいの仲間だしね。大切だよー」
雪穂「あ、それ――」
穂乃果「それ? …穂乃果のアイス食べる?」
雪穂「お姉ちゃんの食べかけなんていらないから」
穂乃果「ひどい…」
雪穂「そうじゃなくて」
穂乃果「じゃなくて?」
雪穂「…仲間かぁ」
穂乃果「仲間?」
雪穂「今、お姉ちゃんが言ったじゃん。大切な仲間って…」
穂乃果「あー…言ったっけ?」
雪穂「言ったし! なにそれ、無意識…?」
穂乃果「うーん、そうかも」
雪穂「こわ…」
――――仲間。
そう。お姉ちゃんにとって、μ'sのみんなは仲間。
友人じゃなくて、仲間。
それはそうだ。
キッカケはそれぞれに複雑にあったかもしれないけれど、結局は学校の廃校を止めるべくして集まった…言わば仲間な訳だ。
友人とは、少し違う。
穂乃果「うーん、そんな風に難しく考えたこと無いからわかんないなぁ…」
雪穂「でもさ、違くない? 友達と仲間ってさ」
穂乃果「一緒じゃない?」
雪穂「違うよ。全然違う」
穂乃果「今日の雪穂は頑固だねぇ…。ほっぺたはこんなにやわやわなのに♪(ほっぺつんつんしながら)」
雪穂「あぁ?(穂乃果の腕を掴みながら)」
穂乃果「い、いつもと違う反応…こわい…」
雪穂「仲間っていうのはさ、目的の夢に向かって突き進む為の集まりな訳でしょ?」
穂乃果「まぁ…そうなのかな?」
雪穂「だから、気軽に遊んだり、話したりするのとは違う関係なわけじゃない?」
穂乃果「まぁ…先輩とか後輩もいるしねぇ」
雪穂「気を使ったり、気を使われたり…それって、友達とは違うよね?」
穂乃果「穂乃果はあんまり気を使わないけど…」
雪穂「それはお姉ちゃんが特殊なだけ」
穂乃果「あれ? けなされてる? 穂乃果けなされてる…?」
雪穂「(スルーして)やっぱり違うよ…」
穂乃果「でもそう言う話なら、ことりちゃんや海未ちゃんは大切な友人かも」
雪穂「あー…」
穂乃果「二人とも、子供の頃から一緒だし。よく遊びに行くし、話もするし」
雪穂「んー…」
穂乃果「ことりちゃんはいつもお菓子くれるし♪」
雪穂「それは餌付けされてるだけじゃん」
穂乃果「穂乃果はペットじゃないよ!」
雪穂「海未ちゃんには叱られてるし。世話のかかるペットみたいなもんじゃん」
穂乃果「それは…!」
穂乃果「あ、あれ? 穂乃果、ペット…?」
雪穂「…」
長く一緒にいて、遊んで、話もしていれば大切な友人…。
本当に、そうなのかな…?
それだったら、私にとってずっと一緒にいる亜里沙も、勿論大切な友人ってことになるけれど。
穂乃果「うーんと。穂乃果、雪穂が何で悩んでるのかがわかんないな」
雪穂「何でって…」
穂乃果「だって、仮に雪穂の言うように、友達と仲間が違う物だったとしてもさ」
雪穂「うん」
穂乃果「そんなの、どっちでも良くない?」
雪穂「…」
穂乃果「だって、両方大切なのは変わらないよ?」
雪穂「それは…そうだけど」
穂乃果「違いがあったとしても、穂乃果はどっちかを蔑ろにすることはないし」
雪穂「そう…だよね」
確かに、お姉ちゃんの言う通りだ。
そのどちらに違いがあったとしても、差別するものでは無いはずだ。
仲間であり、友人であり、それは凄く大切なものに間違いないのではないか…。
亜里沙はきっと、私にとって、夢を一緒に追う仲間であり、大切な友人…。
それ以上でも、それ以下でもない。
大事にしなければいけないのは、何ら変わりない。
雪穂「…」
――――それなのに、ほんの僅かに引っかかりを憶えるこの気持ちは何なのか。
穂乃果「えいっ(アイスを雪穂の口に入れる)」
雪穂「むぐ!?」
雪穂「つ、冷たぁ…。何するのお姉ちゃん!!」
穂乃果「いやぁ、難しそうな顔してたからつい♪」
雪穂「だからって、何で人の口に食べかけのアイス突っ込むの!!」
穂乃果「それ食べて、少し頭冷やした方が良いよー」
雪穂「なにそれ…」モグモグ
穂乃果「あんまり考えすぎると身体に悪いしー、何か食べながらの方がいいよ」
雪穂「ぅー…」モグモグ
穂乃果「美味しい?」
雪穂「美味しい…」
穂乃果「ねー♪」
***
キーンコーンカーンコーン
亜里沙「雪穂雪穂ーっ!」
雪穂「…」
授業が終われば、まず私の名前を呼ばれる。
これも出会った時からずっと変わらない日常だ。
亜里沙「…? 雪穂、今日体調悪いー?」
雪穂「え? 何で?」
亜里沙「はいはいって、いつもみたいな返事がなかったから…」
雪穂「…」
恐ろしいことに、返事の仕方一つで亜里沙には何でも気付かれてしまう。
悩んでいることも、不満に思っていることも、なんでもだ。
お姉ちゃんも、姉妹である故に同じくらい私の変化に敏感ではあるけれど…。
亜里沙はまた別だ。
多分、日本人とは違う感性の持ち主だからなのかもしれないけれど、遠慮というものを知らない。
亜里沙「困ったことがあったら亜里沙が何でも聞くよ! 話して雪穂!」
きっと普通の人なら、聞かないという選択肢をとることも、平気で、ズケズケと、人の心に割って入ろうとしてくる。
決してそれが嫌では無い。最初こそ面食らったけど、今ではもうそれが当たり前だから。
なんなら、はっきりとしない物言い自体を私自身が嫌うようになってしまった。
雪穂「うんー…まぁ、ね」
私自身がこんなにもはっきりしないヤツなのに。
それでも亜里沙はお得意のセリフで続きを促す。
亜里沙「雪穂! 悩んだら相談! 雪穂が教えてくれたことだよ!」
私はなんて無責任なことをこの子に教えているのだろうか。
こういう弱ってる時、自分のいい加減さを恨めしく思うのである。
しかし、亜里沙の言う私の言葉はその通りで。
一人で悩んでいたって何の解決にはならない。
だから私は、どれだけ言葉に詰まらせても最終的には亜里沙に悩みを打ち明けることになる。
雪穂「とは言っても、悩みの種が相談相手にあるんじゃなぁ…」
亜里沙「私?」
雪穂「…(頷く)」
亜里沙「私? 困ったこと? 原因?」
雪穂「何で片言なの…」
亜里沙の片言の日本語を聞くと、転校してきたばかりの、日本のことをまだあまり分かっていなかった頃の亜里沙を彷彿とさせる。
あの頃の亜里沙は可愛かったなぁ。お人形さんみたいで。
まぁ今も可愛いんだけどさ。
亜里沙「???」
雪穂「亜里沙…?」
亜里沙「〜〜〜〜???(目回してる)」
雪穂「ちょ、ちょっと…」
亜里沙「私、原因、雪穂、元気、無い、私、原因、雪穂…(低音)」
雪穂「え、なにそれこわいんだけど!」
亜里沙「雪穂、ほっぺ、ほむまん、もちもち、雪穂、ほっぺ、ほむまん、もちもち…(早口)」
雪穂「はぁ…?」
亜里沙「雪穂っ!」
雪穂「は、はい?」
亜里沙「ウチに来て!」
雪穂「え、急にどうしたの…?」
亜里沙「雪穂の元気がないのが亜里沙のせいなら…」
雪穂「あ、いや、厳密に言うと亜里沙のせいって訳じゃ――」
亜里沙「(遮って)亜里沙が!!」
亜里沙「介抱します!」
雪穂「……は、はい」
――――この時の亜里沙の目を、私は一生忘れないだろう。
***
ガチャ
亜里沙「ただいまー!」
絵里「お帰りなさい、亜里沙」
亜里沙「あれ? お姉ちゃん、今日は早いんだね!」
絵里「ええ。授業が午前中だけだったからね。その後は特に予定も無かったから、家で勉強しようと思って」
亜里沙「えへへー、今日はいつもより一緒にいられるね♪」
絵里「そうね。…あら?」
雪穂「お、お邪魔します…」
絵里「雪穂ちゃん。いらっしゃい♪」
雪穂「どうも…」
絵里「いつも亜里沙と一緒に遊んでくれてありがとう。ゆっくりしていってね?」
雪穂「は、はぁ…。あ、い、いえ。久しぶりの姉妹水入らずを邪魔しちゃうようなら、すぐにお暇しようかな――」
亜里沙「ダメだよっ!」
雪穂「うぇぇ!?」
絵里「亜里沙?」
亜里沙「雪穂は私が元気にするんだから! 帰っちゃダメ!」
雪穂「はぁ…」
絵里「元気にするって…何かあったの?」
雪穂「あ、いえ…」
絵里「もしかして…また穂乃果絡みかしら? 全く困ったお姉ちゃんね」
雪穂「今回はお姉ちゃんは別に関係は…」
絵里「え、そうなの? ふふ、私ったらやぁね。なんでも穂乃果のせいにしちゃって」
そんな話の流れでお姉ちゃんが攻撃対象に選ばれる辺り、普段のお姉ちゃんが窺い知れた。
μ'sの仲間としてお姉ちゃんと接してきている絵里さんは、きっと私よりお姉ちゃんのことを知ってるのかもしれない。
特に絵里さんは生徒会長を務めていたこともあるし、リーダーではなかったかもしれないけど、人のことを沢山気にかけてきてたはずだ。
雪穂「…」チラ
絵里「?」
…そうか。それならば妹である亜里沙のことも、きっと私なんかより知れることが沢山あるのではないだろうか。
何しろ実の姉な訳だしね。
亜里沙「お姉ちゃん! 雪穂が元気が無いのは私のせいなの!」
絵里「亜里沙のせい?」
雪穂「いや、ちが…」
亜里沙「だから私がなんとかしなくちゃいけないの!」
絵里「もう、一体何をしたの? どうせまた無茶なこと言って雪穂ちゃんを困らせたんでしょ?」
亜里沙「してないよ!」
亜里沙「してない…! して――…」
亜里沙「なく…ない…かも…」
雪穂「あー…うーん…」
今日に関しては本当に何かされた訳じゃ無いからフォローしてもいいのだが、いつも困ってないかと言われればそうでもないから何となく言葉に詰まってしまう。
このリアクションは良くなかったなと、後々になって後悔した。
亜里沙「やっぱり亜里沙のせい…」ガーン
雪穂「へ?」
亜里沙「〜〜(考えてる)」
雪穂「亜里沙…?」
亜里沙「雪穂、ちょっと待ってて!」
亜里沙「亜里沙が…! 雪穂を元気づけるためにご飯を作ってあげるから!」
雪穂「ご飯って…」
絵里「今日の当番は私なんだけれど…」
亜里沙「〜〜!(目配せしてる)」
絵里「…ふふ、亜里沙の手料理楽しみにしてるわね♪」
亜里沙「うん! 亜里沙、がんばるっ!」ダッ
絵里「あ、気をつけないと危ないわ――」
ガッ
タンスノカドニコユビガアタッチャッター!!
絵里「はぁ…。全く、そそっかしいんだから」
雪穂「…亜里沙、料理なんて出来るんですか?」
絵里「やっぱり意外?」
雪穂「え、ええ、まぁ…。今までしてるとこなんて見たことないですし」
絵里「つい最近なのよ、覚え始めたのは」
雪穂「へぇ…」
絵里「私が大学で遅くなることが多くなっちゃってね。作れない日が続いちゃったりしたんだけど…」
絵里「それで、私の負担を少しでも減らせればって亜里沙が言ってくれてね」
絵里「それ以降、亜里沙も料理を覚えるようになって、それから夕飯は当番制にしようって話になったの」
雪穂「そうだったんですね…」
絵里「…」
雪穂「そっか…。そんなこと、私に一言もなかったなぁ」
雪穂「練習で大変な日もあるし、言ってくれれば良いのに…」
絵里「ふふ、雪穂ちゃんに気を使ってたみたいよ?」
雪穂「気を使う…ですか?」
絵里「雪穂ちゃんはただでさえ、穂乃果の面倒を見るので忙しいでしょ?」
雪穂「面倒…。ええ、まぁ…そうですね。面倒見てますね」
絵里「そんな雪穂ちゃんに料理をすることなんて言ったら、きっと自分のことも面倒見なくちゃならなくっちゃうって思ったみたい」
雪穂「それは…まぁ、確かに…」
亜里沙が料理を作る姿を想像してみる。
正直な話をすれば、それはまるで絵にならない。
包丁捌きとか下ごしらえとか、そういう当たり前のスキル以前の問題が孕んでる気がするからだ。
砂糖と塩を間違えるとか、そんな漫画のような失敗をしてしまう危なっかしさしか思い描けない。
だとしたら、私は亜里沙の心配の通り世話を焼いてしまうのでは無いだろうか。
…お姉ちゃんと一緒で、世話のかかる子だもんね。
比較されてるお姉ちゃんは憤慨するかもだけど。
絵里「…だから、亜里沙も多少は料理できるようになったから安心して?」
絵里「なんていったって、私が直々に教えてる訳だしね♪」
雪穂「あはは、それなら安心…ですね」
絵里「ふふ♪」
雪穂「…」
でも、そんなことよりも私は――…。
絵里「…それで?」
雪穂「えっ?」
絵里「そんなことより、私に何が聞きたいのかしら?」
雪穂「え、あ、え? 私、声に出ちゃってましたか…?」
絵里「いいえ? 雪穂ちゃんはなんにも喋ってないわよ?」クスクス
絵里「ただ、そういう顔をしていたってだけよ」
雪穂「顔…」
絵里「どうしたの? 元気が無いって話だけど」
絵里「私で良ければ相談に乗るわよ? それとも、穂乃果の方が良かったかしら?」
雪穂「いえ、お姉ちゃんはあんまり役に立たなかったので…」
絵里「ふふ♪ 雪穂ちゃんは辛口ねぇ」
雪穂「…///」
雪穂「…」
雪穂「えっと…」
雪穂「その」
雪穂「…亜里沙のこと、なんですけど」
絵里「亜里沙…?」
雪穂「…」
絵里「なるほど、ね」
事の顛末を話し終えると、絵里さんは何度か頷いて私のことを見据えた。
絵里「雪穂ちゃん」
雪穂「はい?」
絵里「…亜里沙と仲良くしてくれて、本当にありがとう」
雪穂「へ!? あ、そ、そんな深々とお辞儀してまで感謝されることなんて何も…!」
絵里「ううん。思えば、今まで言葉にしなかったのが申し訳ないくらいだわ」
雪穂「そんな…」
絵里「小さい頃の亜里沙にとって、日本は見知らぬ言葉、環境が取り巻く、別の世界だったのよ」
絵里「そんな中で、真っ先に雪穂ちゃんが優しくしてくれて、今も変わらずに仲良くしてくれてるんだもの」
絵里「もしそれが別の人だったらどうなっていたか…」
雪穂「い、いえ、別の人の方が優しかったりする可能性だってありますし、そもそも私、そんなに亜里沙に対して優しくないですよ?」
絵里「その言葉がもう優しいのよ」
絵里「雪穂ちゃんが優しく道を正してくれたから、亜里沙はあんなに素直に、真っ直ぐに育ったんだと思うわ」
雪穂「素直…」
絵里「本当はもっと反抗期があってもいいとは思っていたんだけど、あの様子じゃそれもなさそう」
雪穂「絵里さんに刃向かう亜里沙は、あんまり想像できないですね…」
絵里「でしょう? ふふ、雪穂ちゃんのおかげでもあるけど、雪穂ちゃんのせいでもあるのかもね?」
雪穂「そ、それは、その…」
絵里「亜里沙が反抗期を迎えて、それに手を焼かされるという姉の立場も経験してみたかったんだけど。それこそ、雪穂ちゃんのようなね?」
雪穂「あぅ…」
絵里「うふふ、まぁそれはともかく」
絵里「亜里沙にとって、雪穂ちゃんは本当に大切な友人の筈よ?」
絵里「特にあの子は私なんかと違って感情をストレートに表現するから、それを嫌って離れる子も多かったと思うの」
雪穂「そう…ですね」
絵里さんの言う通り、亜里沙の良い意味でも悪い意味でも日本の子とは違う感情表現を快く思わない子は少なくない。
小、中と一緒の学校生活を送ってきた訳だけれど、その長い過程の中で亜里沙が原因のトラブルはいくつかあった。
小さいものから大きなものまで。様々だ。
その度に私は、亜里沙の味方になり、守ってきたつもりだ。
勿論亜里沙が悪いことも無かった訳じゃ無いけれど、そのほとんどが謂われの無い差別的な物がほとんどだったからだ。
私はそういう少数を大勢で攻撃する人間たちが許せなかった。
絵里「そんな中でも、雪穂ちゃんはいつでも亜里沙の傍にいてくれたんだもの」
絵里「雪穂ちゃんだって、亜里沙の言葉の一つ一つに苛つかされることもあったでしょう?」
雪穂「それは…えっと…」
無いと言えば嘘になる。
私だって、人間だ。直接感情をぶつけられれば嫌になることもある。
亜里沙はその加減が少し曖昧だ。
勿論、悪気が無いのは分かっているのだけれど。
絵里「あって当然よ。誰だってね」
絵里「その度に、雪穂ちゃんは優しく諭してくれた」
雪穂「そう…でしたかね」
絵里「いつも亜里沙が言っていたわ」
雪穂「亜里沙が…?」
絵里「今日は雪穂に怒られちゃった。今日は雪穂を怒らせちゃった」
絵里「雪穂にどうしたら許して貰えるか。雪穂に嫌われないかな」
絵里「毎日毎日、雪穂ちゃんのことばっかり」
雪穂「…///」
絵里「姉としては、嫉妬しちゃうくらいだったわ」
雪穂「そ、それは…ごめんなさい…」
絵里「冗談よ♪」
言葉では冗談と言うけれど、実際の所は冗談ではない気がする。
私から見ても、二人は本当に中のいい姉妹だ。だからこそ、私に会話のほとんどを奪われたら嫉妬してしまうのではないだろうか。
…多分。私なら嫉妬する。
お姉ちゃんが、誰か別の人のことばかり話すのならば。
絵里「雪穂ちゃんが亜里沙のことが大切かどうか――…」
絵里「それは私にも、亜里沙にも分からないわ」
絵里「…けど少なくとも、亜里沙は…雪穂ちゃんのことが大切の筈よ」
雪穂「大切…」
絵里「そしてその大切が、どういうことなのかは…」
絵里「雪穂ちゃんも自分で考えなくちゃね?」
亜里沙「さぁ二人とも、召し上がれっ!!」ドーン
雪穂「これは…また…」
絵里「随分色々作ったのね…」
絵里さんと亜里沙が二人暮らしで使ってるそこまで広くないテーブルに、所狭しと料理が並んでいた。
大皿で取り分けて食べるタイプの物ではあるのだけど、それだけで場所を占拠しているものだから肝心の取り皿が用意できない。
三人で食べるには量が多すぎることは、誰の目にも明白だった。
亜里沙「えへへ、作り過ぎちゃった!」
当の本人は悪びれる様子も無く、舌を出して笑っていた。
亜里沙「さぁ雪穂! 美味しく作ったから食べて!」
雪穂「…」
それ以上に亜里沙からは、私に元気を出して貰いたいという純粋無垢な気持ちが先行した故の結果なのだろう。
私はそんなテーブルの光景と亜里沙の表情を交互に見て、苦笑いするしか無かった。
絵里「…ふふ♪ それじゃあ冷めないうちに頂きましょうか、雪穂ちゃん?」
雪穂「…そうですね」
そう言って目配せをしてくる絵里さん。
そんな絵里さんに、私はなんと返せばいいのだろう…。
亜里沙のご飯はとても美味しかった。
こんなこと言ってしまうと失礼だけど、余りまともな料理を期待していなかった分余計そう思う。
そんな感想を直接伝えたら、亜里沙は笑いながら膨れていた。
…でも、凄いよね。やっぱり。絵里さんのことを思って、そこまで努力する亜里沙は。
それだけ絵里さんのことが好きなんだと思う。愛されてるなぁ…絵里さんは。
ウチの場合は…姉のことが好きだからというよりは、仕方なく面倒見てる部分が強いし…。
こんなこと言ったら、本当は好きなクセにー! と煽られるけど。
好きじゃないし!
…好きじゃない…けど。
まぁ…それでも、大切では…ある、かも。
曲がりなりにも、たった一人のお姉ちゃんだからね。
あんなのでも大切ではあるよ。
……。
この言葉に心底悩まされる日々が続く。
亜里沙は私のことが、大切。
大切な友人。
…そのことは疑わない。
今日のことだってそうだ。
亜里沙は本当に純粋な気持ちで、私のことを元気をづけようとしてくれる。
それがどんな不器用な形だとしても、真っ直ぐに、はっきりとそれを伝えてくる。
でも私は…。
亜里沙のその純粋さが、今ごろになって分からなくなっていた。
なんでそんなに私へ好きを伝えられるのだろう。
何故、私のことが好きなんだろう。
絵里『亜里沙に優しくしてくれてありがとう』
…私が優しくしたから?
よく分からない。
私には大切がなんなのか、分からない。
きっと、私が悩んでいる表情が表に出ていたのだろう。
食事の最中、寂しそうに私を見つめる亜里沙の表情が頭から離れなかった――……。
「もしもし、穂乃果?」
『やっほー絵里ちゃん♪ 久しぶりー』
「ふふ、久しぶり。元気そうね?」
『うん、元気だよー♪ 絵里ちゃんはー? 大学は相変わらず忙しい?』
「程々にね。でも最近は慣れてきて少し余裕が出てきたから、こうやって電話かけたりしてるのよ」
『そうなんだー。絵里ちゃん、頑張りすぎる癖があるからあんまり無茶しちゃダメだよー?』
「あら、言うようになったじゃない穂乃果?」
『えへへ…これでももう三年生だからね! 人のことを心配できるくらいに成長してるんだよ!』
「良いことね。でも大丈夫よ、ありがとう。亜里沙が色々と助けてくれるから、無茶なことはしてないわ」
『そっかぁ。亜里沙ちゃん頑張ってるんだねぇ。最近疲れてるみたいだったから心配してたんだけど、絵里ちゃんの為に頑張ってるからなのかぁ』
「へぇ…」
『いいなぁ。お姉ちゃん想いで。いいなぁ…。雪穂もなぁ…』
「雪穂ちゃんはいつでも穂乃果のこと面倒見てくれてるじゃない」
『そんなことないよぉ! いっつも穂乃果のことゴミをみるような目で…うぅ…』
「雪穂ちゃんなりの愛情表現なんでしょ」
『あれに愛を感じるのは難しいよぉ…』
「お姉ちゃんなんだから、そこは頑張らなくちゃね?」クスクス
『亜里沙ちゃんの爪の垢を煎じて飲ませたいよ…』
「私的には、雪穂ちゃんのそういう強気なところも羨ましくはあるんだけどね」
『え゛』
「良い子なだけだと、それはそれで刺激がなくて物足りなくもあるのよ」
『そうかなぁ…』
「それに純粋なだけじゃ、将来的に不安という面もあるしね。その点、雪穂ちゃんは自分自身で生きていける強い力があるんじゃないかしら?」
『あー…でもどうなのかなぁ。雪穂、案外脆いところあるから…』
「あら」
『最近もなんか凄い悩んでるみたいだし。雪穂って、たまに周りが見えなくなるぐらい落ち込んだり、悩んだりするから心配なんだよね…』
「…」
『いつもは穂乃果が原因だったりするから、穂乃果が謝ればそれで済む場合も沢山あるんだけれど…今回は違うみたい。心配だなぁ…』
「…ふふ。安心した」
『え?』
「本当に周りが見えるようになったのね穂乃果。偉いわ」
『え、えへへ♪ あれ? 褒められてるでいいんだよね?』
「今日はその雪穂ちゃんのことで電話したのよ」
『そうなの? 雪穂、絵里ちゃんのところにまで行ってたの…?』
「結果的にね。家で亜里沙と遊んでいる時に、私に相談するみたいな形になって」
『えー…穂乃果に相談してくれればいいのに…』
「お姉ちゃんは役立たずって言ってたわね」クスクス
『ひ、ひっどーい!! 雪穂ったら絵里ちゃんにまでそんなこと−! 帰ってきたらお尻ぺんぺんだよー!!』
「雪穂ちゃんなりに気を使ってる部分もあると思うわよ?」
『どこに!?』
「雪穂ちゃんの悩みは亜里沙のことらしいのよ」
『亜里沙ちゃん…?』
「亜里沙とのことで何かあったと知ったら、穂乃果ならどうする?」
『それは、まぁ…亜里沙ちゃんに話を聞きに行くかなぁ』
「でしょ? そうやって穂乃果が動くことを知ってるから、敢えて言わなかったんじゃないかしら」
『で、でも…二人がケンカしてるなら、なんとかしないと…』
「ケンカとかじゃないのよ。だから難しいんだけど…」
『ケンカじゃないの? そっかぁ…それなら良かったよ…』
「でも、ケンカより深刻な問題かもしれないわよ?」
『うぅ…あんまり聞きたくない…』
「実はね――――」
***
キーンコーンカーンコーン
トテトテ
亜里沙「雪穂ー…」
雪穂「〜〜」(机に突っ伏してる)
亜里沙「今日も元気ない…」
亜里沙「雪穂…」
亜里沙「私のせい…」
亜里沙「昨日、無理矢理うちに連れてきちゃったからかな…」
亜里沙「ご飯、美味しくなかったのかな…」
亜里沙「雪穂…」
亜里沙「〜〜」
亜里沙「っ…!(教室を飛び出す)」
雪穂(…)
雪穂(…うぅ)
雪穂(お尻痛い…)
雪穂(お姉ちゃんのバカ…手加減無しに叩くんだもん、腫れちゃったよ…)
雪穂(いい年になって、お尻ぺんぺんとか…何考えてるのあの人は…)
雪穂(まぁ、自業自得なんだけどさ…)
雪穂(まさか絵里さん、お姉ちゃんにそのまま伝えるとは思わなかったな…)
雪穂(やっぱり人の悪口は身を滅ぼすよ…うん…)
雪穂(…)
雪穂(…あれ?)
雪穂(いつもならすぐに、雪穂雪穂! って亜里沙が呼びに来るんだけど…)
雪穂(来ない…)
雪穂(…雪でも降るんじゃ)
雪穂(って、亜里沙が呼びに来ないだけで雪が降るって…)
雪穂(どんだけ日常化してるの…)
雪穂(うーん…)
雪穂(先に部室向かったのかなぁ)
雪穂(仕方ない…一人で向かおうっと)
コンコン
ガチャ
雪穂「おはよーございまーす…」
花陽「あ、雪穂ちゃん。おはよう」
凛「おっはよー!! …って、雪穂ちゃん前屈みになってどーしたのー?」
雪穂「あー、これは…」
花陽「もしかしてお腹痛い? 大丈夫? 部活、無理しないで良いからね?」オロオロ
雪穂「あ、いえいえ」
真姫「花陽、心配しすぎ…」
花陽「だ、だって! 女の子なんだから無理させる訳にはいかないし…」
雪穂「大丈夫、大丈夫ですから。昨日、お姉ちゃんにお仕置きされちゃっただけなので…」
花陽&真姫『お仕置き…?』
花陽「…(想像中)」
真姫「…(妄想中)」
雪穂「あ、あの、花陽さん? 真姫さん?」
花陽「(真っ赤)」
真姫「(ピンク)」
凛「かよちんと真姫ちゃん、なんで赤くなってるにゃ?」
花陽「ふぇぇ!? な、なんでもないよなんでもない!!///」
真姫「も、もう! 妹になんてことしてるのよ穂乃果は!///」
凛「???」
雪穂(何を想像したんだろう)
雪穂(言い方悪かったかな…)
雪穂「あ…ところで、亜里沙は…?」
花陽「亜里沙ちゃん? まだ来てないけど…」
雪穂「え、来てないんですか? あれ…?」
真姫「珍しいわね。一緒じゃないなんて」
凛「ケンカでもしたのー?」
雪穂「そういう訳じゃないんですけど…」
真姫「けどってことは、何かはあったのね」
雪穂「ぅ…まぁ、はい…」
花陽「亜里沙ちゃん、最近忙しそうだし心配だね…」
雪穂「忙しそう…?」
花陽「うん。絵里ちゃんの為なのかな? 料理始めたみたいだし、練習も無理しないよう言ってるんだけど…」
真姫「へぇ。亜里沙から直接聞いたの?」
花陽「ううん。亜里沙ちゃんの手をね、見てたら絆創膏が沢山着いてたから…」
雪穂「…」
凛「それだけで分かるなんて、さすがかよちんだにゃー!」
花陽「えへへ、私も料理憶えたての頃はよくやっちゃってたから…」
雪穂(全然気がつかなかった)
雪穂(花陽さんは部長だし、さすがよく見てるって感じだけど…)
雪穂(でもそれより…)
雪穂(いつも一緒にいる私が気がつかないなんて…)
雪穂(……)
雪穂(…言ってくれれば良いのに)
雪穂(ううん。そうじゃないよね)
雪穂(私が、気が付いてあげなきゃダメだよね…)
真姫「雪穂」
雪穂「ぇ……は、はい?」
真姫「亜里沙のこと、探しに行ったら?」
雪穂「探す…」
真姫「何があったかは分からないけど、まずは直接話してみないといけないんじゃない?」
雪穂「ぁ…」
凛「うん、そうだね! それがいいよ! 悩んでたらまずは相談だよ!」
凛「真姫ちゃんたまにはいいこと言うにゃ!」
真姫「た、たまにってなによ凛!///」
凛「真姫ちゃんが怒ったにゃー!(逃げ出す)」
花陽「ふふ…♪ うん…それがいいね」
花陽「いつも二人とも一緒だから、あんまり話さないこと、話し辛いこともあるんじゃないかな…?」
雪穂「そう、です…ね」
花陽「いい機会だし、じっくりお話してみたら…?」
雪穂「ぁ…でも、部活は…」
花陽「二人とも今日は体調不良でお休みです! 部長の私が許可します♪」
凛「さっすがかよちん!」
真姫「職権濫用ね…」
花陽「えへへ…♪」
雪穂「…」
凛「ほーら! すぐに探しに行くにゃ!(肩を押して)」
雪穂「…はい」
雪穂「皆さん、ありがとうございます」
雪穂「それじゃ、行ってきます」
花陽「行ってらっしゃい…♪」
真姫「ちゃんと仲直りして帰ってきなさいよ」
雪穂「…はい!」
ガチャ
バタン
凛「…心配だなぁ。あの二人がケンカなんて」
花陽「ふふ、心配することなんてないよ」
凛「かよちん?」
花陽「多分ケンカ…とは違うと思うから」
真姫「へぇ。部長さんにはどんな風にあの二人が映ってるのかしら?」
花陽「も、もう、真姫ちゃん…」
真姫「いいじゃない、事実なんだし」
花陽「…きっと」
花陽「あの二人は友達というよりは、それよりもっと近い…」
花陽「えっと…」
花陽「…私と凛ちゃんみたいな、そんな関係なんじゃないかな」
凛「凛とかよちん?」
花陽「うん…♪」
凛「…そっかぁ。それなら、安心…だね!」
花陽「うん…!」
真姫「…ふふ、お熱いわね」
花陽「ちょ、ちょっと真姫ちゃん勘違いしてない…!?」アワアワ
真姫「はいはい、ご馳走様」
花陽「〜〜!」ワタワタ
凛「???」
***
ガチャ
ビュゥゥ
雪穂「わっ…」
雪穂「風つよ…スカートめくれちゃう…」
雪穂「…(見渡して)」
雪穂「いない…」
雪穂「屋上だと思ったんだけどな…」
雪穂「…」
雪穂「ふー…」
雪穂「(携帯の画面見て)」
雪穂「…」カタカタ
雪穂「『亜里沙、どこにいるの?』」
雪穂「『話がしたいんだけど』…っと」
雪穂「…」
雪穂「さすがに既読になら…」
雪穂「あ、なった」
雪穂「見てはいるのね」
雪穂「…」
雪穂「…でも返信はない、か――」
雪穂「やっぱ、傷付けちゃってたのかなぁ…」
雪穂「……」
雪穂「ヘンに悩んで、勘違いされるような態度取ったり」
雪穂「そりゃ怒るよね」
雪穂「――亜里沙だから」
雪穂「亜里沙だから何やっても許されるというか、遠慮がなくなっちゃってるというか…」
雪穂「そんなんじゃダメだよね」
雪穂「大切な友人なんて言われる資格、私にはないよ…」
雪穂「…」
雪穂「…ん?」ヴヴヴ
雪穂「…亜里沙からだ」
雪穂「『そんなことないよ』」
雪穂「…?」
雪穂「…っ(辺りを見回す)」
雪穂「え…? やっぱり屋上にいるの…?」
雪穂「…ん」ヴヴヴ
雪穂「『いないよ』…?」
雪穂「えぇ…めっちゃ私のセリフ聴いてた上での返信じゃん…」
雪穂「何がしたいのもう…」
雪穂「…」ヴヴヴ
雪穂「…」
雪穂「…はぁ(肩すくめて)」
雪穂「このまま一人言呟いてたら痛い子じゃん…」
雪穂「…」
雪穂「…ま、いいけどさ」
雪穂「亜里沙がそうしたいなら…いいよ」
雪穂「いーえ」
雪穂「…」
雪穂「で、何の話する――?」
『……』
雪穂「…」クス
雪穂「そういうのは別に打たなくていいよ。小説じゃないんだから」
『ごめん』
雪穂「あははっ」
ビュゥゥゥゥ
雪穂「わっ…(スカートを手で抑えて)」
『――――亜里沙のせいだよね』
雪穂「全くもう…!」
雪穂「やな風だなぁ…。えーっと?(携帯見て)」
『やっぱり怒ってる』
雪穂「怒ってる…って、何によ。別に怒ってないよ」
『だって、もう! って声聞こえた』
雪穂「もう…って、あ、いや別に亜里沙に怒ったんじゃなくて…」
『雪穂を怒らせてばっかり』
『亜里沙こそ、雪穂の大切な友人になれないよ』
『ごめんね』
雪穂「ちょ、何言ってんの…! だから違うって言ってるじゃん!」
『ほら、やっぱり怒ってる』
『ごめん』
『ごめんなさい』
『sorry』
雪穂「…なんで英語」
雪穂「…」
雪穂「…はぁーっ」
雪穂「…」
雪穂「〜〜」
雪穂「ん〜〜〜〜!(頭を掻く)」
雪穂「……」
雪穂「――――ごめん」
『なんで謝るの?』
『雪穂はなにも悪くないのに』
『悪いのは亜里沙のほう』
『ごめん』
『Извини』
雪穂「ロシア語はさすがにわかんないなぁ」
雪穂「多分ごめんなさいだと思うけど」
『当たり』
雪穂「やっぱり」
雪穂「って、そんなことはどうでもいいし。そうじゃなくて」
雪穂「…」
雪穂「…なんか、色々と勘違いさせちゃってごめん」
『そんなことない』
『私の方こそ』
雪穂「――いいから!」
雪穂「いいから、私の話を聞いて?」
雪穂「どこでどんな体勢で聴いてるか知らないけど、一旦スマホから手離そ?」
雪穂「…(携帯見てる)」
雪穂「…うん」
雪穂「…」
ビュゥゥゥゥ…
雪穂「なんていうか、その」
雪穂「大切な友人…なんて難しいテーマの宿題出されたから、なんかこう色々と悩んじゃってさ」
雪穂「亜里沙や、お姉ちゃんや、絵里さんとかにも相談したりして…」
雪穂「改めて、大切な友人って何なのかってすっごく考えちゃったんだ」
雪穂「…ね?」
雪穂「大切な友人って難しいよね」
雪穂「あ、でも、亜里沙にとっては難しくないのかな…?」
雪穂「もしかしたら、亜里沙は大切な友人を何の迷いもなく答えられるのかも知れない」
雪穂「それって凄いことだよね」
雪穂「少なくとも、私は凄いって思う」
雪穂「…だって、私は色んな人に相談して」
雪穂「考えて、考えて考えて、ようやく分かったことなんだもん」
雪穂「ううん。本当は分かってないのかも」
雪穂「結局は、自然とそうなってるから大切なだけかも知れない」
雪穂「何がどうで大切かなんて、私には分からないよ」
雪穂「…それでも」
雪穂「悩んで辿り着いた答えが、これだった」
雪穂「私にとっての大切な友人、それは――――」
雪穂「…」カタカタ
ビュウゥゥゥ…!
雪穂「――――そんなの、考えるまでもなかったんだと思うけどね」
雪穂「転校してきた最初の時からずっと一緒で…」
雪穂「言葉もあやふやな時代の亜里沙を見てきて、それこそ保護者のような立場でずっと一緒にいて」
雪穂「何か問題があれば私が庇ってあげて…」
雪穂「でも、そんな私が困った時はいつでも話を聞いてくれて助けてくれたりもして…」
雪穂「そんな日常が当たり前だったから」
雪穂「なんか…特別とは思えなくなって」
雪穂「亜里沙が隣りにいるのは当たり前…みたいになっちゃって」
雪穂「だから、余計に大切な友人っていうテーマにするのかどうか、凄い悩んじゃったんだ」
雪穂「…だってさ」
雪穂「そんなの当たり前じゃんって」
雪穂「改めて言葉になんか、文字になんかしなくたってさ――」
雪穂「大切なんだもん」
雪穂「逆にさ、言っちゃったらなんだか嘘くさくなるっていうか、安っぽくなるって言うか」
雪穂「…それぐらい、特別なものなんじゃないかなって」
雪穂「思ったんだ。私たちの関係って」
雪穂「…」
雪穂「友達でも仲間でもない…」
雪穂「それって、なんなんだろう?」
雪穂「最初は手の掛かる妹を見てるみたいで、家族かな? なんて思ったけど」
雪穂「私にも、亜里沙にもお姉ちゃんはいるから、なんか違うんだ」
雪穂「家族も大切だけど、やっぱりその大切とこの大切は別」
雪穂「難しいよね」
雪穂「同じ言葉なのに、全然違う気持ちが流れててさ」
雪穂「だから…」
雪穂「笑わないで聞いてね?」
雪穂「もしかしたらこれは…」
雪穂「…………なんじゃないかなって」
雪穂「思って…」
雪穂「…」
雪穂「友達でも、仲間でも、家族でもなければ…それはきっと――」
雪穂「恋人、が一番近いのかなぁって…」
雪穂「〜〜(赤い)」
雪穂「…」
雪穂「あ、あはは!」
雪穂「飛躍しすぎかな…!」
雪穂「そうだよね! さすがに恋人とか…!」
雪穂「大体私たち、女の子同士だし?」
雪穂「根本的に無理だよね、うん」
雪穂「いやぁ、私としたことがバカなこと言ったよ…」
雪穂「だからね? 私が言いたいことはさ」
雪穂「恋人みたいに大切ってことを――――」
「雪穂っ!!」
雪穂「へ?」
頭上から声がしたと思って振り向いてみたら、屋上の更に上。入り口の建物の上に亜里沙は立っていた。
亜里沙「〜〜」
雪穂「あ、亜里沙?」
その足は遠目からでも震えているのが分かり、今にも落ちて来そうだった。
亜里沙「っ!!(飛び降りる)」
雪穂「えぇぇぇぇ!?」
というか、飛び降りてきた。
私の胸目がけて、一直線に。
高さこそそれ程ある訳では無かったけど、急に飛び降りられたら私もどうすることもできない。
せめて亜里沙が床に叩き付けられないようにと、精一杯受け止めようと手を広げた。
全身で亜里沙の体重全てを受け止めようとするが、私の小さな身体で支えきれるはずがない。
そうしてそのまま、私と亜里沙は屋上の床に仲良く倒れ込むことになる。
あはは…ホント、昔からこういう子だよ、亜里沙は…。
思ったことはなんでも口に出して、やろうとしたことは何の躊躇いもなく実行する。
きっと、私のところへすぐにでも駆けつけたかったんだよね。
ちょっと高低差があったから勢いよく飛び降りちゃっただけのことなんだよ。
全く、困った子だよ亜里沙は――…。
雪穂「って、マジで危ないし! 下手したら死ぬし!」
雪穂「何考えてんの亜里沙!」
亜里沙「〜〜っ!」
雪穂「…亜里沙?」
亜里沙「ひっく…ひっく…」
雪穂「…」
亜里沙「…雪穂…にぃ…」
亜里沙「嫌われて…なくて…よかったよぉ…!」
亜里沙「えぐ…えぐ…!」
雪穂「…」
雪穂「…はぁっ」
雪穂「…もう。嫌うわけないじゃん(背中をポンポンする)」
亜里沙「あーーん!!」
雪穂「泣かない泣かない」
亜里沙「うっ…うっ…!」
亜里沙「…それ…にぃ…!」
亜里沙「恋人…って…!」
亜里沙「そんなに大切に思ってくれてた…なんて…!」
亜里沙「嬉しいよぉ…!!」
雪穂「へ? あー、それは…」
雪穂「あれ? 最後、聞いてなかった…?」
雪穂「恋人"みたい"に大切ってことを言いたくて――」
亜里沙「なるっ!」
雪穂「はい!?」
亜里沙「私、雪穂の恋人になるよ!!」
亜里沙「雪穂と結婚するっ!!(抱き締める)」
雪穂「えぇぇぇぇぇぇ――――!!?」
あっれぇ…? おかしいなぁ。
恋人みたいに大切な友人だよって言って、これまでも変わらない友情を築けて行けたらなぁって思ってたんだけど。
なんか一足飛びに告白されちゃったんですけど。
あははー…。
お姉ちゃん、私、踏み外しそうになっちゃってるよ。
屋上から足を踏み外しそうになっちゃってるよ。
むしろ亜里沙は既に飛んじゃったよ。
うっかり私はそれを受け止めちゃったよ。
これは恐らく、返事をしちゃったことになるんじゃないかなぁ。
私の胸の中で泣きじゃくる亜里沙を見ていたら、とてもじゃないけど断ることはできそうにないんだよこれが。
亜里沙「雪穂〜…雪穂〜…!」
雪穂「あはは…は…」
雪穂(…亜里沙と長いこと一緒にいる訳だけど)
雪穂(こんなに強く抱きしめられるのは初めてだなぁ)
雪穂(そりゃそうなんだけどさ)
雪穂(こんなに強くスキンシップしてくるのなんてお姉ちゃんくらい…)
雪穂(それもおかしいんだけど)
雪穂(ああ、もうこんな時に何考えてんだか…)
雪穂(…)
雪穂(とはいえ)
雪穂(これはこれで…)
雪穂(ちょっと気持ちいい、かも)
雪穂(なんて――――)
***
エピローグ
穂乃果「付き合うことになったの!?」
雪穂「ちょ、ちょっと! お姉ちゃん声大きい!!」
穂乃果「い、いや、だって、亜里沙ちゃんが恋人って…そんな…」
雪穂「私だって困惑してるんだよ…」
穂乃果「で、でも! 雪穂はOKしたんでしょ!?」
雪穂「う、うん。まぁ…」
雪穂「…せざる負えなかったというか(小声)」
穂乃果「はぁ〜…」
穂乃果「なんというか、最近の子は進んでるというか…」
雪穂「なにそれ…」
穂乃果「だって、女の子同士で恋人って…ねぇ…?」
雪穂「言葉にして言わないでよ…私が一番複雑なんだから…」
穂乃果「…本当に絵里ちゃんの言うとおりになるなんて、びっくりだよぉ」
雪穂「え? 絵里さん?」
穂乃果「うん…。この間、絵里ちゃんに電話で話してた時に聞いたんだ」
雪穂「な、何を…?」
穂乃果「雪穂が恋で悩んでるって…」
雪穂「恋!?」
雪穂(え…? 私、絵里さんにそんな相談した覚え…)
雪穂(え、嘘。まさか、私が悩んでるのを恋と勘違いして…?)
雪穂(ちょっと待って、それじゃ私がヘンタイみたいじゃん…!)
雪穂(違うし! 決してそんなこと考えてなかったし!)
雪穂(いやでも、実際に付き合うことになっちゃったわけだから…)
雪穂(今更何言っても、信じてもらえるわけ…)
雪穂(〜〜)
雪穂(あー…何がどうしてこんなことにー…)
穂乃果「…でも、良かったね♪」
雪穂「良かった!?」
穂乃果「え」
雪穂「本当に!? 本当にそう思う!?(肩掴んで)」
穂乃果「う、うん」
雪穂「えぇぇぇ…(崩れ落ちる)」
穂乃果「…だって」
穂乃果「雪穂、この前と違ってスッキリした顔してるから」
雪穂「ぁ…」
穂乃果「二人の関係は長いし、友達というだけで済ませるには特殊だったもんね」
穂乃果「だから、亜里沙ちゃんと一歩関係が進んで…結果的に良かったんじゃないかなぁ?」
穂乃果「恋人がどうとかは、ちょっと穂乃果にはよくわかんないけど」
雪穂「…(ジト目)」
穂乃果「あ、あはは」
雪穂(…まぁ、でも)
雪穂(変に悩まなくなったのは本当だもんね)
雪穂(恋人、かぁ…)
雪穂(…)
雪穂(え、マジで何すればいいんだろ)
雪穂(恋人って、何するの…?)
雪穂(セックス…?(直球))
穂乃果「バカじゃないの…もう///」
雪穂「へ!? え、私口に出してた…!?」
穂乃果「雪穂にはそういうのはまだ早い!」
雪穂「うぅ…(真っ赤)」
穂乃果「全く…」
穂乃果「まずは電話、じゃない?」
雪穂「電話…?」
〜♪(コール音)
ピ!
『もしもし! 雪穂!』
「は、早いね…ワンコール…」
『遅い!』
「えぇ?」
『電話してくるの! 遅いよ雪穂!』
「え…私、電話する約束、してたっけ…?」
『ううん、してないよ?』
「じゃあ遅いって…」
『恋人なら電話だよ!』
「そ、そうなんだ…ごめん…」
『ううん、いいよ! 電話してきてくれたし!』
「あ、あはは…」
(お姉ちゃんに言われたからなのは黙っておこ…)
『なんか、不思議だね』
「うん…」
「不思議っていうか、実感ないっていうか」
『そうだね』
『雪穂とはずーっと一緒だったから』
『恋人になっても、あんまり変わらないかも』
「…やっぱり?」
『うん』
『何すればいいのか、亜里沙全然思いつかなかったし』
「あはは、私も」
『おんなじー♪』
「あははっ、おんなじだね♪」
『…』
「…」
『それでも…雪穂の恋人は…』
『雪穂に大切だと思われてる証みたいなものだから』
『亜里沙は嬉しいよ♪』
「…恥ずかしいなぁ」
『恥ずかしがること無いよ! だって、恋人なんだもん!』
「…そっかぁ」
「今まで恥ずかしいって思ってた亜里沙のダイレクトアタックが、全部受け止められるようになったってことかぁ…」
『ダイレクトアタックー?』
「亜里沙みたいに、はっきり言葉を伝えること」
『…えへへ』
『雪穂、大好き!』
「…はいはい」
『ダメだよ!』
「え?」
『今までだったら、照れてるー! って言って怒ってただけだけど』
『恋人なんだから、それじゃダメ!』
「どういうこと…?」
『…考えて!』
「えぇ…」
『亜里沙のことが本当に大切なら、分かるでしょ!』
「あー…」
雪穂「――――あ、切れた(キスタップ)」
雪穂「あ、あっはは…(真っ赤)」
雪穂「なーにやってるんだか…」
雪穂「…」カタカタ
割と真面目なゆきあり書こうとしたらこんなことになりました…。
難しかったです…。やはりほのゆきが…。
亜里沙の幼少期の頃は別のほのゆきで描いていますので、もしよろしければー。
ゆきほ「おねーちゃんなんか、だいっきらいっ!!」
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1505623711/ 二人とも最高に可愛いな
絵里と穂乃果もいいお姉ちゃんだ
もし気が向いたら後日譚もぜひ 読み終えた
レス数が多い割にとても読みやすかったよ
個人的に、ト書きがなんか可愛くて好き
他のも読んでみます、お疲れ様! 引き込まれて一気に読んでしまった
過去作も読みに行ってきます
次回作にも出会えると良いな〜 とてもいいゆきありだった
穂乃果たち周囲の人間が真剣に耳を傾けて支える様子もすごく素敵 やっと読めた
これぞ百合って感じで本当良かった!
スレタイ回収する所の流れが最高に好きだわ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています