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あなた「余命1年?」菜々「……」
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0001名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/03/02(月) 23:20:28.24ID:uEzlyd0M
※速報のSSと同一の作者です
0162名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/03(金) 22:27:47.27ID:klEwH8BR
あなた「編集長……そうですね。類希な程に速筆ですよ、彼女」

せつ菜「はっ、初めまして!なか……優木せつ菜と申します!」


せつ菜ちゃんは、いかにも健康体であるかのように、元気にお辞儀した。


編集長「1週間で1本書ける作家は、プロでもほとんどいないのよ。優木さんは将来有望ね」


将来……

せつ菜ちゃんの将来は、あとどのくらい残されているんだろう。
0163名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/03(金) 22:29:53.00ID:klEwH8BR
せつ菜「あ……ありがとうございます!!……ですが、出版できるレベルに達していないのなら、意味ないですよね」

編集長「そうね。でも、あなたの原稿はいつも読ませてもらっているけど」

せつ菜「えっ」

編集長「あなたの作品、面白いと思う。自信を持っていいわ」

せつ菜「本当ですか!?」

編集長「フフッ、元気な子ね。……じゃあ、後は頼むわね」

あなた「了解です」


編集長は、そのまま自分のデスクへと去っていった。
0165名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/03(金) 22:47:13.37ID:klEwH8BR
せつ菜「……あの」


遠慮気味に話題を切り出す彼女をみて、言わんとすることはすぐに分かった。


あなた「うん、編集長には言ってない」

せつ菜「やっぱり、そうでしたか」

あなた「言う必要ないかと思って」

せつ菜「……そうですね。確かに不要だと思います。余命で売れても、全然嬉しくないですし」

あなた「ごめん、そんなつもりなかったんだけど。気を悪くしたなら謝るよ」

せつ菜「いえ、気にしないでください。本当に、何とも思っていないので」
0166名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/03(金) 22:47:56.14ID:klEwH8BR
編集者としては、小説が売れるためなら、手段を選ばないことが正しいのだろうか。

中身なんて関係なしに売り出す方法は山ほどあるし、実際、そうやって売り出した本は数知れない。

でも、そんな手段を使ってせつ菜ちゃんの作品を売り出すことは、私にはできない。

――いや何を考えているんだろう。

せつ菜ちゃんに残された時間は、あと僅かっていう前提を忘れてる。
0167名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/03(金) 22:49:55.23ID:klEwH8BR
少しでも早く売り出すのが、正解なんじゃないのか。

私だけじゃなくて、たくさんの人に読んでもらって、ファンレターをもらって、笑顔と元気をもらう。

もしもそれで、彼女の病状が、少しでも良くなってくれるのだとしたら。

もしもこのまま、彼女の作品に日の目を当てることができず、彼女が力尽きてしまったとしたら。

優木せつ菜を、この世界で生き返らせようとした私自身が、その可能性を潰すことになるんじゃないだろうか。

そうなったとしたら、私は。

優木せつ菜を、2度殺すことになる。
0174名無しで叶える物語(たこやき)
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2020/04/06(月) 00:58:24.06ID:+4+96tnd
以前完結させたSSを同じ作者があなたとせつ菜でリメイクしてるってこと
上でもそう書いてるだろ、読め
0178名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/06(月) 02:04:08.04ID:uLvmTZCj
>>43 でも言った通りいざ書き始めてみるとほとんど別物になってるんですよね
自分の中ではほとんど新作みたいなものですが気に触ったのなら申し訳ない
0179名無しで叶える物語(光)
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2020/04/06(月) 09:37:02.43ID:6A0is8X0
どうもこうも無いだろ
別に金取ってる訳でもないし嫌なら読まなきゃ良いだろ
俺は期待してるぞ
0180名無しで叶える物語(たこやき)
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2020/04/06(月) 10:38:16.16ID:+4+96tnd
どうなのって言われてもな
漫画家だって過去作のネタを使ってリメイクすることはあるし、他人からネタをパクってるわけじゃないんだから何も問題はないだろうよ
0182名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/06(月) 14:32:41.13ID:RIRPLRCf
俺も楽しませてもらってるよ
頑張って
0184名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/06(月) 15:41:37.38ID:uLvmTZCj
せつ菜「もしもし……もしもーし」

あなた「……うん?どうかした?」

せつ菜「大丈夫ですか。少し、怖い顔してました」

あなた「え、そうかな。ごめん、何でもないよ。持ってきてくれた原稿見せてもらえる?」

せつ菜「……!えと、その」

あなた「うん?」
0185名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/06(月) 15:42:19.63ID:uLvmTZCj
なんか、緊張してる。

どうしたんだろう。

口をワナワナさせて、渡そうか渡さないか逡巡してるみたい。

自信ないのかな?

でも、今までは自信なくても渡してくれてたよね。

手が、少し震えてるように見える。
0186名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/06(月) 15:43:03.92ID:uLvmTZCj
せつ菜「どっ、どうぞ!!!」

あなた「あっ、うん」


ようやく渡してくれた原稿は、少なく見積もっても百枚はあろうかという、分厚い紙の束だった。

文庫本一冊分である。


あなた「ありがとう。読んでもいいかな?」

せつ菜「えぇっ!?い、今……ですか?あの、自宅に帰ってからの方が……!」

あなた「え?駄目だった?」

せつ菜「……いえ!あなたがそこまで言うのなら、やぶさかではないというか……!!」
0187名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/06(月) 15:44:12.21ID:uLvmTZCj
そりゃあ編集者なんだから、作家の前で読んでそのまま批評するのが一番だと思うけど。


あなた「じゃあ、読ませてもらうね」


いつかせつ菜ちゃんに、本当に読んでるんですか?と聞かれたことがある。

編集者の文字を読む速度は、異常だ。

傍から見ると、この人本当にちゃんと読んでるの?と怪しむくらいには。

でも実際、毎日原稿を何百枚も読んでいると、自然と読むスピードが速くなっていく。

というか、そうならないと仕事が終わらない。
0188名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/06(月) 15:44:33.23ID:uLvmTZCj
そんな強迫観念も含まれているのかもしれないけれど。

編集部に勤めてから、1年半が経った。

私の読書速度はどんどん速くなって、今ではプロのそれに達していると自負している。

せつ菜ちゃんに疑問視されてすぐ、私が作品の長所と短所を事細かに説明すると、次から彼女は、読む速度については何も言わなくなった。

その時と同じように、ペラペラと原稿を捲りながら読み進めていく。
0189名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/06(月) 15:44:53.82ID:uLvmTZCj
……が。

次第にその速度が落ちていくのが、自分でもわかった。

ふと、違和感を覚えたんだ。


あなた「ね、ねえ……これ」


尋ねても、彼女はじっと俯いたまま。

けれど少しだけ、私に聞こえるかどうかという声量で呟いた。


せつ菜「……だから、お家に帰ってからって言ったのに」
0190名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/06(月) 15:45:23.22ID:uLvmTZCj
登場人物は、入院中の主人公と、日々お見舞いに訪れる同級生。

その同級生は、主人公が在籍する部活動のマネージャーで、いつも、選手の自分を的確にサポートしてくれて、頼りがいもあって。

主人公は次第に、彼女を好きになっていく。

それは恋愛感情で、決して抱いてはいけないものだった。

なぜなら、主人公もまた、女の子なのだから。

禁断の恋だった。
0191名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/06(月) 15:48:02.59ID:uLvmTZCj
主人公は、この感情を心に秘めたまま高校を卒業することを決めた。

卒業して物理的に離れれば、きっとこの想いも消えていくだろう。

そう思っていた。

でもある日、主人公は、部活中に持病の発作で倒れ、救急車で病院に運ばれてしまう。

同級生は、管理に不手際があったからだと自責の念に駆られている。

全て自分のせいなのに、本気で自分のことを心配してくれる彼女に、ますます心惹かれてしまう主人公。

主人公は、彼女に一つ、ワガママを伝えた。


『漫画家になりたい』
0192名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/06(月) 15:48:16.82ID:uLvmTZCj
彼女の性格、加えて今の状況でそれを言えば、彼女はきっとそうするのだろうとわかっていた。

要するにそのワガママは、彼女を自分の傍に縛り付けるための、口実だったのだ。

思った通り、彼女は、主人公の望む言葉を口にしてくれた。


『……それ、私も手伝っていいかな?』

『私に手伝わせて欲しい。何ができるかわからないけど、私にできることなら』
0193名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/06(月) 15:49:16.93ID:uLvmTZCj
そこまで読んで、私はめくる手を止めた。

原稿を裏返して、文字が見えないようにする。


あなた「ふ……ぅ……うぅ……」

せつ菜「ご、ごめんなさい……でも、どうしても書きたくて……」


その物語は、私とせつ菜ちゃんが共に過ごした時間と、そっくりだったんだ。

違うのは、私の知りえない感情が書き綴られているということ。
0194名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/06(月) 15:50:00.46ID:uLvmTZCj
これが彼女自身の想いだと決まったわけじゃない。

けれど……仮に感じたことのない感情を文字にしたならば、それは安っぽくみえてしまうものだ。

せつ菜ちゃんが持ってきた原稿からは、そんな安っぽさは微塵も感じられない。

つまり、この主人公の"大好き"は……


あなた「うぅ……///」

せつ菜「あの……どうでしょうか……///」

あなた「どうって……」
0195名無しで叶える物語(りんご)
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2020/04/06(月) 15:50:28.07ID:uLvmTZCj
羞恥心で死んでしまいたいと思ったのは、生まれて初めてだよ。

なんて、本人には言えないけれど。

だって、要するにこれ、小説の体をなしてはいても……そういうことでしょ?


――私宛のラブレター(大長編)。


こんなの出版されてたまるか!!

恥ずかしくて死んじゃうよ!!
0196読みづらいので直しました(りんご)
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2020/04/06(月) 16:24:55.50ID:uLvmTZCj
>>192
彼女の性格、加えて今の状況で夢を語ったとき、彼女がどうするのかはわかっていた。

主人公の"夢"は、彼女を自分の傍に縛り付けるための、口実だった。

思った通り彼女は、主人公の望む言葉を口にしてくれた。


『……それ、私も手伝っていいかな?』

『私に手伝わせて欲しい。何ができるかわからないけど、私にできることなら』
0200名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/08(水) 00:31:15.69ID:yG5ceuZY
せつ菜「どうですか……!?実は自信作なんですよ!!」

あなた「なるほど!だからこんなに描写が細かいんだね!」

あなた「って、そうじゃないよ!!」

せつ菜「えぇ!??」


もしこれが出版されちゃったら、せつ菜ちゃんの公開告白を全世界に公開することになっちゃう。

すっごい恥ずかしいし、何より……

そんなの、やだよ。

この気持ちは、私だけのものなんだから。
0201自宅に戻りました(もんじゃ)
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2020/04/08(水) 00:31:48.75ID:yG5ceuZY
せつ菜「やっぱり、ダメなのでしょうか……?」

あなた「だって、こんなの……」


こんなの出版できるわけないよ。

そう言おうとしたけど、表情を暗くするせつ菜ちゃんを見て、やめた。

それは、絶対に言っちゃいけないことだと思ったから。

私の気持ちのために、せつ菜ちゃんの夢を邪魔していいはずがない。
0202名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/08(水) 00:32:31.27ID:yG5ceuZY
夢……か。

もしこの小説の主人公が、せつ菜ちゃんの自己投影だとしたら。

ライトノベル作家という"夢"は、私を縛り付けるための道具ということになる。

……せつ菜ちゃんって、束縛強い方なのかな。

やばい。

すっごい、嬉しいかも。
0203名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/08(水) 00:33:06.44ID:yG5ceuZY
……って、そうじゃなくて!!

しっかりしろ、私。

今の私は、編集者なんだから。

仕事に私情を持ち込んだら、プロとして失格だよ。


せつ菜「こんなの……なんでしょうか?」

あなた「……こんなの、人気出るに決まってるよ!」

あなた「だって、すっごく面白いもん!読んでて惹き込まれちゃったよ!」
0204名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/08(水) 00:33:31.49ID:yG5ceuZY
せつ菜「本当ですか!!?」

せつ菜「この原稿は、絶対に通したいって……そう思ってたので!!!」

せつ菜「そう言ってもらえて、とっても嬉しいです!!!」

あなた「編集長に通してからだから、私だけじゃ確定できないんだけどさ」

あなた「それでもこの小説は、今までのどの作品よりも面白いよ!」
0205名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/08(水) 00:33:55.53ID:yG5ceuZY
その時。

せつ菜ちゃんの目尻から、一筋の涙が零れた。


あなた「え?せ、せつ菜ちゃん……?」

せつ菜「すみません……悲しいわけではないんです」

せつ菜「ただ、こんなに嬉しいって思ったの、すっごく久しぶりで……!」

あなた「そっか……それならよかったよ」
0206名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/08(水) 00:34:39.17ID:yG5ceuZY
本格的に泣いちゃいそうだから、そのまま来客用のソファーで休んでもらおう。


あなた「お茶ならいくらでも出せるから。ゆっくりくつろいでね」

せつ菜「はい……!ありがとうございます!」


涙を拭いて落ち着いてから、せつ菜ちゃんはしばらく編集長と話していた。

彼女が編集部を後にすると、やがて勤務時間が過ぎて、家に帰る人もいれば、担当作家のところに出向する人もいた。

フロアには、私一人が残った。
0207名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/08(水) 00:35:01.01ID:yG5ceuZY
どうして私だけ残っているかって、仕事が遅いとかじゃなくて、ちゃんとした理由がある。

それは、とても単純なこと。

好きな人からのラブレターを、他人の目の前で読めるわけないじゃん……!!

恥ずかしくて死んじゃうよ……原稿も持ち出し禁止だし……

残業申請は出さないから、それで許してほしい。
0208名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/08(水) 00:35:20.07ID:yG5ceuZY
あなた「よし。読むぞ」

あなた「……………………」

あなた「うぅ……うぅぅ……///」


顔から火が出そう。

やばい。

これを正気で読めるとしたら、逆説的だけど、その人は正気を失ってるんじゃないかな。

全身がうずうずして、オフィスチェアをグルグル回して、酔いそうになったからやめた。
0209名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/08(水) 00:35:49.72ID:yG5ceuZY
あなた「はぁぁぁぁ…………」

あなた「これ、一種の拷問だよぉ……」


主人公『大好きです!!』

主人公『大大大大、だーいすきです!!!』

主人公『結婚してください!!!』

マネ『すっごい嬉しいよ……私、死んでもいいかも』
0210名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/08(水) 00:36:15.08ID:yG5ceuZY
マネ『でも、本当に私なんかでいいの?』

主人公『あなたがいいんです』

マネ『だって、君に残された時間はあと僅かで……そんな貴重なものを、私なんかがもらっていいのかな……?』


へ?


主人公『人生の最後は、あなたの隣で過ごしたいんです』

マネ『わかった……私なんかでいいなら』


まって、やだよ。

お別れなんて。
0211名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/08(水) 00:36:37.16ID:yG5ceuZY
主人公『わた、し……幸せ……です』

マネ『うん……』

主人公『まるで……夢のなか……に、いるみたい……でした……』


やだ。やだよぉ……

いかないで、せつ菜ちゃん。


マネ『ねえ。ねえってば』

マネ『……置いていかないで』


あなた「グスッ……うぅっ……えぐ……」

あなた「せつ菜ちゃん……ぜづな゙ぢゃあ゙あ゙あ゙ん……」
0212名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/08(水) 00:37:06.34ID:yG5ceuZY
みっともなく、顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにして、泣き喚いて。

泣き疲れて。

気がついたら、私の肩を揺り動かす編集長が、目の前に立っていた。


あなた「ふぇ?」

編集長「あまり根を詰め過ぎないことね」
0213名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/08(水) 00:38:49.22ID:yG5ceuZY
あなた「あれ、私……眠ってました?」

編集長「顔、酷いことになってるわよ」

あなた「え、ホントですか?」

あなた「化粧崩れてます?」

編集長「あなたは元々化粧薄いから、大して目立ってはないけれど……何にせよ落とさないとね」

編集長「シャワーがあるから、そこで温まってきなさい」

あなた「すみません……失礼しました」
0214名無しで叶える物語(えびふりゃー)
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2020/04/08(水) 02:20:12.81ID:vduEAyZe
切ない…
せつ菜だけに…
0221名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/13(月) 00:01:41.59ID:YtglCrH9
シャワーを終えてデスクに戻ると、編集長が私の顔をジロジロ眺めてくるので、何かあったのかと聞いてみた。


編集長「あなた、クマが酷いわよ」

あなた「へ?」


言われてみれば、さっき洗面台で顔を見た時、クマがあったような。

スッピンだから余計目立つのだろうか。
0222名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/13(月) 00:02:25.88ID:YtglCrH9
編集長「一度も有給消化してないみたいだし、今日は休んだらどうかしら」

あなた「え、でも」

編集長「休むことも仕事の内よ」

あなた「……了解しました」


今日はせつ菜ちゃんも来れないって言ってたし、他の作家さんたちもまだ進んでないだろうし……

眠いのは確かだし、編集長がそう言ってくれるなら、今日はこのまま帰って休もうかな。
0223名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/13(月) 00:03:01.86ID:YtglCrH9
あなた「あ、編集長」

編集長「何かしら」

あなた「これ、せつ菜ちゃんの原稿です」

編集長「昨日の……そう。いいものができたのね」

あなた「面白さは保証します」

編集長「ありがとう。確かに受け取ったわ」

あなた「よろしくお願いします。では、失礼します」
0224名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/04/13(月) 00:03:28.89ID:YtglCrH9
編集部を後にして、電車に乗ると、緊張の糸が切れたみたいで、そのまま眠ってしまった。

最寄り駅で目が覚めて、慌ててホームに降りる。

それにしても、身体中の節々が痛い。

デスクに突っ伏して寝ちゃったからだよね。

駅から家までは徒歩20分弱だけど、体中が痛いのに加えて目眩がしたから、近くの公園で少しだけ休むことにしよう。
0225名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/04/13(月) 00:04:07.28ID:YtglCrH9
ベンチに座ると、この間の子どもたちが反対側のベンチでスマホを弄っているのが目に入った。

私が小さかった頃は、まだスマホなんてなくて、公園に来たら鬼ごっことか、砂遊びとかしてたものだけど。

今の子どもの遊びはスマホに向いているのか。

外で遊んでいる子どもが減っていくのは、少し寂しく思う。

……でも、家の中で遊べない子にとっては、いい時代になったのかな。

そう、例えば、せつ菜ちゃんみたいに。
0226名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/04/13(月) 00:04:37.05ID:YtglCrH9
あなた「……せつ菜ちゃん、今頃何してるかな」

せつ菜「呼びましたか?」

あなた「わあっ!!?」


突然右耳の近くで声がして、びっくりして振り向くと、白いワンピースを着たせつ菜ちゃんが隣に座っていた。

座った途端に気を失いかけてたから、気付かなかったみたい。
0227名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/13(月) 00:05:03.91ID:YtglCrH9
せつ菜「丁度近くを通りかかったので」

あなた「せつ菜ちゃんって、家この辺だっけ?」

せつ菜「いえ、たまたまこの辺を歩いていたんです」

あなた「たまたまって、なんでまた……」

せつ菜「それは……前に家出した時、あなたに泊めてもらったことを思い出したので」

あなた「それで、ここまで来たんだ。流石の行動力だね」

せつ菜「えへへ……ありがとうございます!」
0228名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/04/13(月) 00:05:39.62ID:YtglCrH9
褒められたみたいに嬉しそうにしてるけど……

これって、褒めたことになるのかな。


あなた「ところで、家出したことを思い出したからって、随分突然だね?」

せつ菜「え、ええ……まあ」


ん?なんか、引っかかる反応だな。

ひょっとして……
0229名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2020/04/13(月) 00:06:31.22ID:YtglCrH9
あなた「せつ菜ちゃん、何か隠してる?」

せつ菜「ええっ!??そ、そんなことないですよ……」

あなた「怪しいな〜、まさかまた家出しちゃったとか?」

せつ菜「……」

あなた「なーんて、流石にこの年になって家出はないよね〜」

せつ菜「……クシュンッ」
0230名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/04/13(月) 00:07:16.20ID:YtglCrH9
あなた「あれ、風邪でも引いた?」

せつ菜「ただの花粉症です。あなたはアレルギー持ってますか?」

あなた「実はね、私もスギ花粉で薬を飲んでて……ってそうじゃなくて!また家出しちゃったの!!?」

せつ菜「ふぇぇ……ごめんなさい……」

あなた「もう……だからこの辺歩いてたんだね」

せつ菜「その、またあなたに泊めてもらおうだなんて、都合のいい事は考えてなくて……」

せつ菜「あなたに、何か相談できたらいいなって思ったんです」

あなた「泊まるくらいだったら、全然いつでも大丈夫だけどさ」

せつ菜「ほっ、本当ですか!?」
0231名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/04/13(月) 00:10:47.91ID:YtglCrH9
寧ろ、大歓迎だよ。

前にせつ菜ちゃんがうちに泊まった時も、心の中ではとっても嬉しかったのを覚えてる。

ベッドはひとつしかないから、一緒のベッドで寝て、せつ菜ちゃんの吐息が間近で聞こえて。

眠れなくて、せつ菜ちゃんの寝顔を見つめていたら、小さな桜色の唇に目線が吸い寄せられて。

起きないように、そっと人差し指で触れて。

その指で自分の唇に触れたら、間接キスになるんだよね、なんて考えてたんだ。
0232名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/04/13(月) 00:12:40.87ID:YtglCrH9
……って、ダメダメ。

せつ菜ちゃんの前で、理性を失うわけにはいかないよ。


せつ菜「そういえば、今日はお仕事なのでは?スーツも着ていますし……もしかして、お仕事中でしたか?」

あなた「あー、これはまあ、今日はわけあって朝帰りなんだよね」

あなた「それよりもさ。今回は、どうして家出しちゃったの?」

せつ菜「……それは」


言い辛そうにしていたけど、何度も聞いて、ようやく白状してくれる気になったみたい。
0233名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/04/13(月) 00:16:39.72ID:YtglCrH9
せつ菜「出版……できないかもしれません」

あなた「……どういうこと?」

せつ菜「私がライトノベル作品を執筆していることが、父にバレてしまいまして」

せつ菜「アイドルは許しても、ライトノベル作家は別問題だそうです」

あなた「……いやいや、ちょっと待って」


仮にも、余命幾ばくもない娘の夢なんだからさ。

それくらい、許してくれてもいいじゃない。

何がそんなに気にくわないっていうの?

もう、わけがわからないよ。
0235名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/04/13(月) 00:46:29.61ID:YtglCrH9
あなた「つまり、それが理由で家出したんだね」

せつ菜「すみません……この歳になって家出なんて、子供じみてますよね」

あなた「ううん。そんなことないよ」

せつ菜「……そもそも、私はもう成人しているのです」

せつ菜「本を出版するのに、親の許可なんて要りませんよね」

あなた「確かにそうだけど……」
0236名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2020/04/13(月) 00:46:41.34ID:YtglCrH9
せつ菜「決めました。私、優木せつ菜は、ライトノベル作家としてデビューした暁には、一人暮らしを決行します!」

あなた「えぇっ!?そ、そんなの……ダメだよ!危ないよ!」

せつ菜「な、何故です?てっきり、あなたは賛成してくれるものだと思っていたのですが……」

あなた「だって、せつ菜ちゃんが一人暮らししちゃったら、もしせつ菜ちゃんが倒れちゃったとして、誰も救急車を呼んでくれないんだよ!?そんなのダメだよ!」

せつ菜「なら……どうすれば……」

あなた「だったら、私が、せつ菜ちゃんと一緒に住むよ!」

せつ菜「え……えぇ!??///」
0245名無しで叶える物語(関東地方)
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2020/04/18(土) 00:42:40.98ID:0Aki80NV
今日はないのかな
0250名無しで叶える物語(SB-Android)
垢版 |
2020/04/21(火) 21:08:00.37ID:aLeA4QqR
//*イ`σヮσリ
0254名無しで叶える物語(SB-Android)
垢版 |
2020/04/22(水) 10:14:26.17ID:7XkpRO0g
ふぁいとだよ!
0257名無しで叶える物語(SB-Android)
垢版 |
2020/04/24(金) 03:23:40.12ID:m50DpPfS
保守助かる
0259名無しで叶える物語(SB-Android)
垢版 |
2020/04/25(土) 03:13:09.94ID:VOPhQl/E
保守助かる
0260名無しで叶える物語(SB-Android)
垢版 |
2020/04/25(土) 22:34:11.68ID:VOPhQl/E
保守しときます
0261名無しで叶える物語(SB-Android)
垢版 |
2020/04/26(日) 18:58:12.70ID:F9y33q88
保守助ける
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