誰。

誰が弾いているの。


私は駆け出す。

その存在を確認するために。


梨子「わぁ……」

ピアノの近くに辿りついたのに。


周りには人垣。

私の演奏をつまらなそうに見る子どもも、普段素通りする大人も。

立ち止まって、静かに演奏に耳を傾けている。