かすみ「あなた先輩の本名」
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かすみ「こーんにっちわー! 私の名前は中須かすみ!」
かすみ「私立虹ヶ咲学園の1年生で、スクールアイドル同好会に所属しています!」
かすみ「目標はもちろん、日本一のスクールアイドル!」
かすみ「みんな、『かすみん』って呼んでね♪」
かすみ「……よっし」
かすみ「今日もかすみんはバッチリ可愛いですねぇ〜」
かすみ「鏡に反転して映る姿すらもがカワイイ!」
かすみ「日課のライブMCの練習で体もあったまったから、自主練でも始めようかなー」
かすみ「今日は同好会の活動がお休みの日だから部室には誰もいないし、広々と練習しよっと」 かすみ「……あれ?」
かすみ「これは……先輩のスマホと、明日提出しなきゃいけないって言っていた同好会の申請書!」
かすみ「全く先輩はどこか抜けてるところがあるんですから……私が今日部室に来ていなかったらどうしたんですかね」
かすみ「先輩のスマホ……ロック番号は……」
かすみ「かすみんの誕生日……0123」ポチポチ
|c||^.-^|| ブブ
かすみ「ってそんなわけないか」 かすみ「とにかく! 先輩を見つけてこれを渡さないと、絶対困ってるし!」
かすみ「申請書も部長である先輩の名前がまだ空欄だし」
かすみ「…………そういえば、先輩の本名ってなんだったっけ?」
かすみ「いやいやいや、可愛い後輩のかすみんが尊敬する先輩の名前を忘れるはずないですし!」
かすみ「……うーん」
かすみ「ま、まあこの申請書に名前を書いてもらって、その時にこっそり覗き見れば良いよね」
かすみ「スマホで連絡はできないけど、この時間ならまだ校内のどこかに居るはず!」
かすみ「先輩待っててくださーい! かすみんが困ってる先輩を助けてあげますからねー!」 *
かすみ「先輩に書類を渡すと言っても、どこを探したら良いのやら……」
かすみ「あ! あんな変な所で寝ている人は……」
かすみ「かなた先輩! 起きてください!」ユサユサ
彼方「Zzz……」
かすみ「もーかなた先輩! こんなちょっとしたベンチで爆睡してるのはかなた先輩しかいないですよ!」ユサユサ
彼方「……んぁ」
彼方「……お〜かすみちゃん、おはよ〜」
かすみ「はい、おはようございます」 彼方「今日は〜……練習休みじゃなかった〜?」
かすみ「休みですけど……なんでこんなところで寝てたんですか?」
彼方「ここはね〜午後は西日が入ってきていいかんじにポカポカなんだ〜」
彼方「だから予定がなくて天気が良い日には〜、ここでお昼寝してるの〜」
彼方「かなたちゃんのベストお昼寝スポット〜」
かすみ「確かに良い感じの陽気ですけど、もうお昼寝っていう時間じゃないんじゃ……」
彼方「かなたちゃん的には、いつでもお昼寝なんだよ〜」
彼方「そういえば〜、何か用があって起こしたんじゃないの〜? それともかすみちゃんも一緒にお昼寝する〜?」
かすみ「そうでした! かすみんは今、先輩を探しているんでした! かなた先輩はどこに居るか知ってますか?」 彼方「ん〜かなたちゃんは今日ずっとここで寝てたからわかんないかも」
かすみ「うーん、やっぱりそうですよね……」
彼方「ごめんねぇ〜力になれなくて」
かすみ「あ、そういえば確認なんですけど、先輩の本名って……覚えてます?」
彼方「え〜かなたちゃんそこまでばかじゃないよ〜」
彼方「えっとね〜……」 彼方「宿須田 亞方(すくすた あなた)ちゃんだったと思うよ〜」
かすみ「あー、あぁ……?そんな名前でしたっけ……?」
彼方「かなたちゃんと名前が似てるから、親近感沸くよね〜」
かすみ(正直まったくピンと来ない……)
かすみ(そんな感じだった気がするし、全然違った気もする) 彼方「あ〜!もしかしてかすみちゃん、愛しの先輩の名前を忘れちゃったの〜?」
かすみ「そそそそんなことあるわけないじゃないですか!しかもかすみんが先輩を好きなんじゃなくて、先輩がかすみんを好きなんですー!」
彼方「かすみちゃんはわかりやすいねぇ」
かすみ「いや///あ!かなた先輩お昼寝の邪魔してすみませんでしたかすみんは行きますねお疲れさまでしたー!」ダッシュ
彼方「かすみちゃんはかわいいなぁ」
彼方「まだお日様の光があったかいし、もう一眠りしよ〜……」 *
かすみ「どこに居るんですか先輩、図書室にも居ないんですかー」
かすみ「彼方せんぱいの言っていたあなた先輩の名前はあんまり信ぴょう性ないし、ここは同好会の中でもしっかりした人に聞いてみないと……あ!」
かすみ「こんなクソ広い図書館なのにアイドル衣装のまま読書してるせいでめちゃくちゃ浮いている人は!」
かすみ「せつ菜せんぱい!」
せつ菜「かすみさん!お疲れ様です!珍しいですね、かすみさんが図書館に来るなんて」
かすみ「ちょっと!かすみんだって書を嗜んだり自習学習くらいしますー!」
せつ菜「今日は特に勉強道具などは持ってないように見えますけど……」
かすみ「今日はたまたま別の用でせつ菜せんぱいを探していたんですよ」 せつ菜「私を? どういった要件でしょうか」
かすみ「あなた先輩を探していまして、どこに居るのか知ってるかなーって」
せつ菜「うーん……すみません、私は今日は見かけていないですね」
かすみ「まぁ薄々わかってはいましたけど、アクティブなあなた先輩が図書室に居るわけ無いですよね」
かすみ「あ!あと、あなた先輩のフルネームって覚えてますか?」
せつ菜「フルネームですか? 確か……」 せつ菜「アリサ・ナッシュ・ターナーさんです!」
かすみ「え!?外国人!?」
せつ菜「はい!アメリカから留学しているって言ってました!」
せつ菜「ファースト、ミドル、ラストネームの頭を取って親しみを込めて『アナタ』と呼んでほしいそうです」
かすみ「いやいやいや、あなた先輩は日本人でしたよね?」
せつ菜「???」
せつ菜「確かに日本語は完璧でしたけど、あのアメリカ譲りのロングのブロンドヘアとメリハリのあるスタイルはとってもcoolです! 漫画のキャラみたいで憧れます!」
かすみ「???」
かすみ(彼方せんぱいと言っていることに齟齬がありますね……) せつ菜「あの……なにか同好会の事で問題でもあったのですか?例えば部長のサインが要る書類の事とか」
かすみ「そんな感じですー……それであなた先輩を探し回っているんです」
せつ菜「私も手伝いましょうか?」
かすみ「いやいや!それくらいかすみん一人でできますから、せつ菜せんぱいは読書を続けてください」
せつ菜「そうですか?では何かありましたら連絡してくださいね!」
かすみ「ありがとうございます!それじゃあ、お邪魔しましたー」
せつ菜「頑張ってくださいねー!」
せつ菜「……どこまで読んだんでしたっけ?」 *
かすみ「次は被服室ですかね……」
かすみ(まあこんなところに居るとは思えないんですけど、先輩は以前ちょっとジュースを買ってくると出て行き、そのままグラウンドで野球部の代打をやっていた前科があるのでどこにでも存在する可能性があるんです)
かすみ「しつれいしまーす」
愛「あれ?かすかすじゃーん!どしたのー?」
かすみ「かすみんです!実は今あなた先輩を探していてですね……そういう愛せんぱいは何故ソロ曲の衣装を着てるんですか?」
愛「まぁライブに向けてちょっと衣装の手直しをね〜、愛さん日々成長してるからあんな所やこんな所がキツくなったり?みたいな?」
かすみ「ぐぬぬ……何故愛せんぱいや果林せんぱいばかり成長してかすみんは……」
愛「でも成長が早いとGrowthる(苦労する)んだよ〜?成長だけに!」
かすみ「あぁはいはい……お上手ですね……」
愛「もー適当な返しだなー、あの子なら大笑いしてくれるのにー」 愛「ちなみにあの子の居場所はわかんないかな〜」
かすみ「じゃあ他を当たってみるとしますね」
愛「そうするといいかもね〜」
かすみ「ああ、忘れるところだった。愛せんぱいはあなた先輩のフルネームって覚えてますか?」
愛「あの子は愛さん謹製ダジャレのお得意様だからもちろん覚えてるよ!あの子はね〜……」 愛「張 娜湯(チャン・ナータン)だよ!」
かすみ「また外国人!しかも中国人!?」
愛「中国から留学してるんだってー」
愛「小さいときは愛称で阿 娜湯(アー・ナータン)って呼ばれてたからそれにちなんで『アナタ』って呼んでほしいんだって!」
かすみ「はぇ〜だからみなさん『あなた』ってよく呼んでいるんですね〜」
かすみ(かすみんはどういうきっかけで『あなた先輩』って言っているんでしたっけ……?)
かすみ「ちなみに先輩はどんな容姿でしたっけ?」 愛「ちょっと身長低めで〜ちょっとツリ目で、両サイドにシニヨンがあってそれがキュートだよね〜」
かすみ「そ、そうでしたよね〜」
かすみ(やばい!聞けば聞くほど情報が錯綜していく!)
かすみ「あ、ありがとうございました、次に行ってみます……」
愛「おっつ〜見つかるといいね〜」フリフリ
かすみ「……ところでなんでその衣装ブラ丸見えなんですか?」
愛「いやこれはブラじゃなくて大胸筋矯正サポーターだよ!!!」 *
かすみ「……っづあ〜、どうして誰も彼も違う供述をするんでしょうか……」
かすみ(皆で口裏を合わせている……? いや、良くも悪くもまとまりのない同好会メンバーはそんなことしないはず……)
かすみ(……あ!あそこで窓の外を物憂げに見つめている美人さんは!)
かすみ「果林せんぱーい」
果林「…………あっ、かすみちゃん」クルッ
かすみ(流石に読モ経験者なだけありますね、振り向くだけでもその一挙手一投足が流麗です……大人の魅力が溢れています)
かすみ「果林せんぱいはどうしてこんな校舎の端っこに?」
果林「それがね、エマを探していたら道に迷っちゃったのよ」
かすみ(えぇ……) かすみ「果林せんぱい3年生ですよね?どうして迷うんですか……」
果林「だってこの学校無駄に広いし、逆三角形の変な形の校舎なんだもの。とっても覚えにくいわ」
かすみ「(変な形だからこそ覚えやすいのでは……?)ところで、今あなた先輩を探しているんですけど、居場所知ってますか?」
果林「自分の居場所もよくわかっていないのに、あの子の場所なんかわかるわけないじゃない……」
かすみ(迷子になって呆然と立っていただけであんなに様になっていたんですか……流石虹ヶ咲のセクシー担当大臣。恐ろしいですね……) 果林「ねぇかすみちゃん、エマの居場所知っているかしら?エマがいないと私、なんだか心細くって……」
かすみ(果林せんぱいは昔、ウォーズマンのベアクローを胸元に受けたせいでこんなにポンコツになってしまったとエマせんぱいに聞きました)
かすみ「あー……わかりました。かすみんがエマせんぱいの所まで連れて行ってあげますよ」
果林「本当?良かった……」
かすみ「あと、同好会の書類に書かないといけないので確認したいんですけど、あなた先輩のフルネームって覚えてますか?」
果林「え?あの子の?えっと……」 果林「多門 阿難(たもん あなん)ちゃんだったわよね、たしか」
かすみ「阿難ってたしかお釈迦様のお弟子さんでしたよね!?すごい名前だぁ……」
果林「そう?私はその名前可愛くて好きよ、それに『あなた』っていう愛称で呼んであげるとすごくうれしそうにするんだもの」
かすみ(今までの傾向からすると見た目は坊主なのかな……)
かすみ「あのぅ……ちなみになんですけど、先輩の髪形とかって……」
果林「黒髪のショートボブだけど?というか、かすみちゃんあんなにあの子に懐いてるのに、先輩のこと忘れちゃったの?」
かすみ「い、いやだなぁ〜!かすみんが先輩のこと忘れるわけないじゃあないですか!ただの確認ですってば!それよりもほら、エマ先輩探しに行きますよ!」
果林「あ、そうだった。案内お願いね、かすみちゃん」 *
かすみ「あ!エマ先輩やっと見つけました!」グイグイ
果林「ちょっとかすみちゃん……そんなに強く引っ張らないで……」
かすみ「果林せんぱいが壊滅的に方向音痴なのが悪いんですからね!」
エマ「あれ?かすみちゃんに果林ちゃんだ、手をつないで仲良しさんだね!」
かすみ「果林せんぱいが校内で迷子になってたので連れてきたんですよ。果林せんぱいったら、突然立ち止まって景色に気を取られるわ他所見して歩くわ……出発した時にかすみんと逆方向に歩きだしたときはもう置いていこうかと思いました」
果林「その件に関しては本当に申し訳ないと思っているわ」
エマ「あはは……だからはぐれないように手をつないできたんだね……かすみちゃん、お疲れ様〜」 かすみ「はぁ……あとはエマせんぱいにバトンタッチですぅ」
エマ「バトンタッチされたよ〜、ありがとうね」
果林「かすみちゃん、ありがとう」
かすみ「いえいえ、それじゃあかすみんは行きますね〜」
かすみ「……って!本来の目的を忘れてた!」
エマ「?」
かすみ「今同好会の書類の関係であなた先輩を探していたんですよ!エマせんぱい知ってますか?」
エマ「う〜ん……今日は見かけてないかなぁ……」
かすみ「そうですか……それじゃあ、書類に名前を書かないといけないんですけど先輩のフルネームって覚えていますか?」
エマ「あの子の名前?あの子の名前はね……」 エマ「アナンタ・ナーガラジャ、だよ」
かすみ「また外国人ネームだっ!!!!」
エマ「それはそうだよ、だってあの子はインドからの留学生だからね」
果林「え?」
エマ「え?」
かすみ「えぇ!?」
かすみ(アメリカに中国にインド!?どうなってるの!?)
エマ「母国は違うけど同じ留学生同士、よくいろんなことをお話するんだ〜」
かすみ「いろんなこと?」
エマ「うん、在留資格とか外国人の社会保障とか」
かすみ「そ……そうですか……」 その後も……
しずく「あなた先輩のお名前ですか?確か……」
しずく「百合CP 大好き侍、だったと記憶してますけど」
かすみ「なにその変な名前!?」
しずく「かすみさん、人の名前を変だなんて言ってはいけませんよ」
かすみ「いや限度があるでしょ!?」
しずく「それに『百合』や『侍』などの日本風な名前に、長くて綺麗な黒髪。あなた先輩はまさに大和撫子といった風体じゃないですか」
かすみ「そもそも名前としての体を成していないっていうか……」 *
璃奈「あなた先輩の名前?えっと……」
璃奈「evielvlo、だよ」
かすみ「どうやって発音してるのそれ!?」
璃奈「普段は『この人機械かな?』ってくらい喋らないけど、μ’sのにこ先輩に憧れていていつもツインテールなのがかわいい」
かすみ「先輩ってそんな変な性格の人だったっけ……」
璃奈「うん。イベントの時にはすごく熱心にいろいろしてくれるけど、ロボットみたいにひたすら淡々としてるのが怖い。璃奈ちゃんボード『ぶるぶる』」 かすみ「あぁーどこに居るんですか先輩!どこにもいないし!」
かすみ(ちょっと名前を確認するだけだったのになんでこんなことに……)
かすみ(全員名前も見た目も全然違うこと言うし、みんなに聞けば聞くほど分からなくなってくるよぉ!)
かすみ(というか国籍が違うのは何!?先輩は普通の日本人じゃなかったの!?)
かすみ「こうなったら……」
かすみ(ライバルとしてあまり頼りたくなかったけど、あの人を頼るしかありませんね……) *
歩夢「おまたせ〜、遅れてごめんねかすみちゃん」
かすみ「いえいえ、かすみんこそ急に呼び出してすみません」
歩夢「それで、何かあったの?なんだか重要なお話なんだよね?」
かすみ「はい…………歩夢せんぱいはあなた先輩と幼馴染ですよね」
歩夢「うん、そうだよ」
かすみ「小さい頃からの付き合いで、あなた先輩の事を誰よりも知っている」
歩夢「えへへ、そうだね」
かすみ「そんな歩夢せんぱいにしか聞けない重要なことがあります……」
歩夢「……うん」 かすみ「あなた先輩のフルネームを言ってください!」
歩夢「……かすみちゃん、それは冗談じゃなくて真剣に言っているの?」
かすみ「かすみんは……わたしは今本気で聞いています」
歩夢「私があの子の名前を忘れるわけないよ。あの子の名前は……」 歩夢「………………あれ?」
かすみ「どうしました?」
歩夢「え、えっと……あ、どうして?」
歩夢「う、嘘、ああ……そんなはずない……」
歩夢「うぅ……あの子は……」フラッ
かすみ「大丈夫ですか歩夢せんぱい!?どうしたんですか!」
歩夢「思い出せない……あの子の名前が……」
かすみ「!」
歩夢「そんなはずないよ……だって誰よりも一緒に過ごしてきたんだよ?」
かすみ「落ち着いてください歩夢せんぱい!」 歩夢「ねぇ?どうして?生まれた時からずっと一緒で幼稚園小学校中学校高校全部同じだったのに
いつも朝は寝坊しがちなあの子の名前を呼んで起こしてあげるのが習慣だったのにあの子の好きな
物も嫌いな物も趣味も好きなスポーツもご飯のおかずを食べる順番もお風呂で体を洗う順番も見て
るTVのチャンネルもカラオケの十八番も好きなタレントもいつもコンビニで買うお菓子も靴を履く順番
もハマってる漫画も今日の下着の色もよく聞くアーティストも考え事してるときにする仕草も何もかも
知ってるはずなのにスクールアイドルも最初に誘ってくれたのは私なのに誰よりも誰よりも仲良しだ
ったのにあの子の一番は私なのに」
かすみ「あゆむせんぱい!!!」
歩夢「っ!!」
かすみ「いったん座って、呼吸を整えましょう」 *
歩夢「はぁ……ふぅ……取り乱しちゃってごめんね……」
かすみ「落ち着いて良かったです。どうやら歩夢せんぱいもかすみんと同じであなた先輩の名前を思い出せない……というより忘れてしまってるようですね」
かすみ「かすみんはさっきまで、かくかくしかじかというわけで先輩を探していました」
歩夢「あの子よくスマホとか置きっぱなしで遊んだりするから、連絡つかないことはよくあるね」
かすみ「それで、もう一つ質問なんですけど、先輩の容姿は覚えていますか?」
歩夢「それは覚えてる……私より少しだけ背が小さくて、瞳は綺麗な緑色で、髪はセミロングの黒髪をツインテールにして毛先を瞳と同じ緑にグラデーションかけていて、胸が小さいのをちょっと気にしてて、ちょっと小柄だけど小動物みたいにちょこちょこ動くのがかわいいの」
かすみ「あ!そんな感じです!かすみんの覚えてる先輩もそんな感じでした!」
歩夢「良かった、それは忘れてなかったみたい……」 かすみ「今まであなた先輩を探す過程で同好会のメンバーに聞いてみても、全員バラバラの回答が返ってきたんです」
歩夢「それってどういうこと?みんなでドッキリか何かかな?」
かすみ「かすみんも落ち着いて少し考えてみましたけど、やっぱりみんなの様子が少しおかしかったんです」
かすみ「……ちょっと突拍子もない事を言ってもいいですか」
歩夢「なに?」
かすみ「今、みんなの中の”あなた先輩”という概念が何らかの理由によって書き換えられているような気がするんです」
歩夢「えっと……よくわからない……」 かすみ「かすみんも正直よくわかっていません。でも、かすみんと歩夢せんぱいが同時にあなた先輩の名前を忘れるなんてことありえますか?」
歩夢「ありえない、と思う……」
かすみ「とにかくどうにかしてあなた先輩の名前を思い出さないと」
歩夢「やっぱり名前を知るにはあの子が直筆で名前を書いた何かがあればいいよね」
かすみ「職員室なら宿題とかテストがありそうですけど、先生が生徒のプリントを他の人に見せてくれるとは思えませんし……」 歩夢「生徒会室はどうかな?かすみちゃんが今持っているような同好会の申請の書類に、部長の署名欄があるんじゃないかな」
かすみ「それです!ナイスアイディアですあゆむせんぱい!」
歩夢「ふふっ、ありがとう。それじゃあ早速行こうか」
かすみ「でも、大丈夫ですか?もう少し休憩してからでも……」
歩夢「ううん、あの子の名前がわからないなんて胸の奥がなんだか嫌な感じ……それに早く解決した方が良いと思うの」
かすみ「歩夢せんぱいがそういうなら……わかりました、行きましょう」 *
生徒会室
コンコン
「どうぞ」
ガチャ
歩夢・かすみ「「失礼します……」」
栞子「貴女たちは、スクールアイドル同好会の……何か御用ですか?」
かすみ「あ、えっと……」
かすみ(やっぱりかすみんこの人苦手ですぅ!)
歩夢「あの、同好会の申請書類を提出しにきました」
栞子「そうですか、お疲れ様です。ただ期限ギリギリなのは褒められたものではありませんね」
かすみ「す、すいません……」 栞子「では受領しますので、プリントをください」
かすみ「えっと、持っては来たんですけど、まだ完成してないっていうか……」
栞子「?未完成の書類を提出しようとしていたと?」
歩夢「そういう訳じゃなくて、過去に提出した書類と違いがないか確認したくて」
かすみ「そ、そうなんです!大事な書類に不備があってはいけないので、以前のものと比較したいんです!」
栞子「それくらいならこちらでやっておきますが」
かすみ「いえいえ!多忙な生徒会長の手を煩わせる訳にはいきませんし、今後の資料提出の時の参考にもなるので!」
歩夢「そうそう!渡してもらったらわたしたちで勝手に見ておくので!」 栞子「…………はぁ、わかりました。何か企んでいるようですが、貴女たちは重要な書類を悪用するような真似はしないでしょうし。以前少し意地悪をしたお詫びとして、特別ですよ」
かすみ「え?」
栞子「なにか?」
かすみ「いや、わたし達の事嫌いなわりに、ずいぶんすんなりと見せてくれるなと思って」
栞子「勘違いしている様ですが、私はスクールアイドル同好会はいずれ廃部にするつもりですが、別にあなたたちを嫌っているわけではありませんよ。みなさんはそれぞれ特筆した能力をお持ちなので、それを正しい方向へ活かしてほしいだけです」
栞子「はい、このファイルの中身がスクールアイドル同好会の過去の申請書です。どうぞ」
かすみ「ありがとうございます、歩夢せんぱい、いきますよ」
歩夢「うん……」
ペラッ 部長署名:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
歩夢「ひっ……」
かすみ「え」
かすみ(名前が、真っ黒に塗りつぶされてる……)
歩夢「嫌、なんで……」
栞子「どうかしましたか?」
かすみ「こ、これ……」
栞子「これ?あなた方の部長さんの名前ではないですか」
歩夢「これ、読めるの……?」
栞子「読めるもなにも、皆さんの名前は把握していますよ。スクールアイドル同好会の部長の名前は……」 栞子「繝ゥ繝悶Λ繧、繝・繧ケ繧ッ繝シ繝ォ繧「繧、繝峨Ν繝輔ぉ繧ケ繝?ぅ繝舌Ν・縺ソ繧薙↑縺ァ縺九↑縺医k繧ゅ?縺後◆繧さんですよね」
ズキン
かすみ「っ!ぅぅ……」
歩夢「かすみちゃん!?どうしたの!?」
栞子「な、中須さん!大丈夫ですか!?」
かすみ「あたま……いたい……」
栞子「頭痛ですか!?今すぐ保健室へ……」
歩夢「わ、私が保健室に連れていきます!」
栞子「わかりました。申請の書類は明日でかまいませんので今は中須さんを保健室へお願いします」
歩夢「はい、失礼しました!」 *
かすみ「歩夢せんぱい、もう大丈夫です。ありがとうございます」
歩夢「ほんとうに?もう痛くない?」
かすみ「はい、さっきの痛みが嘘のように無くなりました」
かすみ「それよりも、プリントに書かれてた先輩の名前……」
歩夢「うん、真っ黒……だったね……」
かすみ「それに生徒会長が言った先輩の名前、あれを聞いたら突然頭が痛くなったんです」
歩夢「やっぱりあの子に関する事が変になっちゃったのかな」
かすみ「その線が真実味を帯びてきましたね……ただどうやって先輩の名前を調べればいいのか……」 歩夢「もうあの子の家に行くしかないんじゃないかな」
かすみ「先輩のお家ですか?」
歩夢「うん、あの子の部屋のどこかに、あの子の名前が書いてある書類がしまってあるから」
かすみ「でもあなた先輩がいないなら入れないんじゃ……」
歩夢「あの子は家の鍵を失くした時のために、玄関の植木鉢の下にスペアのカギを隠してるんだ」
かすみ「……なんでそんな事知ってるんですか」
歩夢「あの子が私になら……って教えてくれたの。だからそれを使って確かめに行こう」
かすみ「いろいろ言いたいことはありますがとりあえずわかりました……」 かすみ「それじゃあ行きましょうか」
歩夢「うん」
歩夢「………………あ」
かすみ「……?歩夢せんぱい?」
歩夢「かすみちゃん?どこ行くの?」
かすみ「どこって、あなた先輩の家に名前を調べに行くんですよね?」
歩夢「名前?あの子の名前は……」 歩夢「七篠 ?(ななしの あなた)だよ?」
かすみ「えっ」
歩夢「かすみちゃん、まさかあの子の名前を忘れちゃったの?」
かすみ「歩夢せんぱい……?」
歩夢「大好きな先輩の名前を忘れるわけないよね?何かおかしいこと言ってる?ねえ、ねえ、ねえ」
ガシッ
かすみ「ひっ、いやっ!……」
バッ
歩夢「あっ、ちょっとかすみちゃん」
かすみ(よくわからないけど、逃げないと!) かすみ「はぁっ……はぁっ……」
かすみ(少し前まで私と同じくあなた先輩の名前を忘れていた歩夢せんぱいが、突然人が変わったようにかすみんの知らないあなた先輩の名前を口にした……)
かすみ(もう誰も信用できない。もう手掛かりは先輩の家にしかない!)
かすみ(駅からずっと走って、ようやく先輩の家に到着しました……)
かすみ「……ほんとに植木鉢の下に鍵がある」 ガチャ
かすみ「おじゃましまー……す」
バタン
かすみ(玄関に靴が一足も無い……)
かすみ(……)
かすみ(何かおかしい、この家にはあなた先輩とご両親が住んでいるはずなのに……)
かすみ(確かに家具や生活感はあるけど、ここに人が住んでいる感じが微塵もしない……)
かすみ(この家の中だけ、時が止まっているような……) かすみ(ここが先輩の部屋……)
ガチャ
かすみ「失礼します……」
かすみ(この部屋のどこかに先輩の名前の手掛かりがある……)
かすみ「……」
かすみ「これ……」
かすみ(机の上に置いてある重要そうなファイル……きっとこの中に先輩の名前が……)
かすみ「っ……」
かすみ(さっきみたいに名前が変になってたらどうしよう……)
かすみ(…………いやいや!ここでかすみんが答えを見つけないと!)
かすみ「いきます…………」 「かすみちゃん」
かすみ「ひいぃっ!!!!!!」
「ちょっと、驚きすぎだって〜」
かすみ「せ、先輩……」
「もう、乙女の部屋を漁るなんて、感心しないなぁ」
かすみ「あっ、その、すいません、これは……」
「私の名前が知りたいんでしょ?」
かすみ「なんで、それを……」
「いいよ、教えてあげる。私の名前は……」 「11100011100000011011111111100011100000101001001111100011100000011010101011
100101101001001010011111100101101001011011110111100011100000011000110111100
011100000011000001011100011100000011010101011100011100000011001111111100011
1000000110100001111000111000001010000011111000111000001010010011、だよ」
かすみ「…………あ」
パタリ
「あ、気絶しちゃった」
「まだ決まってないのかぁ」 乙
果林先輩がポンコツになっているのもあなた先輩のせいだな 乙、久々に力作SSを見た
こういうメタな描写を踏まえてのホラー展開大好きなんや ギャグかと思って開いたら中々の怪作で僕満足
乙です おつおつ
ギャグかと思ったのに終盤の展開怖すぎだろ…眠れねーじゃねーか… まさか文字化けの羅列を使って恐怖心を煽ってくるとはな…発想力がすげぇ… おつー
金髪ロングでジェニファー、中国人で蘭花、黒髪ショートで白木凪、インド人でラクシャータが出てきてしまった…スクフェスモブの怨念とかじゃなくてよかった まあ今現在の虹の子たちの心境ってこんななのかもなあ
あなたちゃんの存在に振り回されてる感じというか それはお前が大袈裟に受け取ったのを投影してるだけでは 歩夢が名前決まった時、大西亜玖璃って言い出すのかと思ったw 乙、面白かった
かすみがこの後どうなるのかちょっと気になる ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています