せつ菜「お疲れ様会です」
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かすみ「先輩と歩夢せんぱーい」
あなた「かすみちゃん!」
歩夢「こんにちは、かすみちゃん」
かすみ「むむむ……先輩達は今日も一緒に来たんですね……」
あなた「家が隣同士だしね」
かすみ「あ〜ん、かすみんも先輩と一緒に登校したいです〜」 かすみ「それで今日は何の集まりですか?かすみん何も聞いてませんけど」
歩夢「私もせつ菜ちゃんから呼び出されただけで内容は分かんない」
かすみ「先輩は何か聞いてませんか?」
あなた「…………」ソワソワ
歩夢 かすみ「…………!」
歩夢「何か聞いてるの?」
かすみ「これは絶対何か知っていますね」
あなた「あ、あはは」
かすみ「今日は何があるんですか?かすみんに教えてくださ〜い」 歩夢「せつ菜ちゃんから私達へのお疲れ様会?」
あなた「うん、この前のライブで皆んなに支えらてヘッドライナーを務めさせてもらったからそのお礼って事で」
あなた「何かみんなにお礼がしたいってせつ菜ちゃんから相談を受けてたんだ……」
かすみ「そんな、全然お礼なんて必要ありませんのに」
かすみ「むしろこっちが色々助けられたくらいですよ」
歩夢「ヘッドライナーのプレッシャーも大変だっただろうし……」
あなた「私もそう言ったんだけどどうしてもやりたいって」 あなた「サプライズって事になってるから私が話ちゃった事は内緒ね」
歩夢「うん、知らないフリをすれば良いんだよね?」
かすみ「任せてください!」
かすみ「因みになんですけど〜、お疲れ様会って一体何をするんですか〜?」
あなた「それは部室に着いてからのお楽しみって事で」 〜部室〜
ガラララ
愛「部長に歩夢にかすかすじゃん、ちっ〜っす!」
かすみ「だからかすかすって言わないでください愛先輩!」
かすみ「ってか何で部室に炬燵があるんですか?」
しずく「…………」
璃奈「えっと……それはね……」
せつ菜「それについては私から説明させて頂きます!」
せつ菜「本日みなさんにお集まり頂いたのは……」 せつ菜「と言う訳で今日は私が皆さんへの感謝を込めてお鍋を用意しました」
愛「いぇ〜い!鍋パ!」
璃奈「鍋パ!璃奈ちゃんボード『ウキウキ』」
しずく「…………」
歩夢「鍋パーティーなんてあなたらしいね」ヒソヒソ
かすみ「先輩の案なんですか?」ヒソヒソ
あなた「うん、歩夢ちゃんの家と一緒によく鍋をやるから」ヒソヒソ
かすみ(うぅ〜、歩夢先輩羨ましい)
かすみ(かすみんも先輩と一緒に鍋パーティーがしたいです……)
かすみ(ん?鍋?)
かすみ(…………………)
かすみ「…………!」 かすみ「ひょっ……ひょっとしてこの鍋はせつ菜先輩が作ったんですか!?」
せつ菜「勿論です!」
せつ菜「皆さんへの感謝の想いを込めて一から全部準備させて頂きました!」
かすみ「だ、大丈夫なんですか?」
せつ菜「学校に事前に許可は取ってありますし、IHの電磁調理器ですから火災の心配もありません!」
せつ菜「土鍋もちゃんとIHに対応してる物を購入していますし、飲み物や使い捨ての食器も用意してあります」
せつ菜「あっ、お金の心配はしないで下さい!今回は私からの皆さんへの感謝の気持ちという事で!」 かすみ「え……えっと……」
せつ菜「…………」ニコニコ
かすみ「…………」
愛「みんな心配性だなぁ、しずくもさっき同じ様な質問してたよ」
かすみ(しず子………さっきから黙っているのは……)
愛「いざとなったら愛さんが助っ人に入るから大丈夫だって」
璃奈「愛さん頼もしい」
愛「これでも愛さん飲食屋の娘だから、せっつーも大船に乗ったつもりでやっちゃってよ」
せつ菜「はい!でも愛さんの出番が無い様に今日はきっちりみなさんをおもてなしするつもりです!」 かすみ(うぅぅ………どうしてこんな事に……)
あなた「かすみちゃん」
かすみ「先輩?」
あなた「どうしたの?顔色悪いよ?」
あなた「調子悪い?それともひょっとしてお鍋は嫌いだった?」
かすみ「いえ……実はかくかくしかじかで」 あなた「えぇっ!?実は料理センスがかいめ……」
かすみ「先輩!声が大きい!」
かすみ「先輩達が入部する前に同好会のメンバーで自分達で作ったお弁当を持ち寄る機会があったんですけど……」
かすみ「せつ菜先輩の持ってきた物は………」
あなた(物………)
かすみ「見た目からなんと形容したらいいのか当時のかすみん達では……」
かすみ「味もただ不味いの一言だけでは言い表せない不思議な不味さでした……」 あなた「もしかして以前の同好会が潰れかけた原因って」
かすみ「いえ、それとは関係ないです」
あなた「あ、そうなんだ」
かすみ「でももしかしたら影響はあったのかもしれませんね」
かすみ「その時何より一番異様だったのが……」
あなた「だったのが?」
かすみ「後で確認したらしず子も彼方先輩もエマ先輩もみんな不味いって評価で一致したんですけど……」
かすみ「皆さんが不味いと評した料理をせつ菜先輩は美味しそうに食べてたんですよ……」
あなた「えっ………」 かすみ「その後せつ菜先輩は笑顔でこう言いました……」
かすみ「『またやりましょう』って……」
あなた「…………」
かすみ「勿論、もう一度やる事は無かったんですが……」
かすみ「あの時ばかりは流石のかすみんでもこう思ってしまいました……」
かすみ「優木せつ菜は狂っている、と」
あなた「もしかしてしずくちゃんずっと俯いてるのも……」
かすみ「しず子もせつ菜先輩の料理を体験してますから……」 ガラララ
エマ「ああっ!コタツ!」
彼方「本当だ〜、部室に炬燵なんてあったら気持ち良すぎて彼方ちゃん絶対寝ちゃうよ〜」
愛「おおっ!3年生の3人も到着したね」
果林「せつ菜、これは?」
せつ菜「実はですね………」 (・8・) いいチーズケーキ(消費期限12/25 半額値引き)ありますよ? エマ「コタツでお鍋なんて日本文化の極みみたいでエモいよ〜」
彼方「別にエモくはないと思うけど、炬燵もお鍋も彼方ちゃん大好き〜」
果林「これ全部せつ菜一人で準備したの?」
せつ菜「はい!サプライズも兼ねていたので全部私が……」
彼方「え?全部?」
せつ菜「はい!全部です!」
エマ「ひょっとしてお鍋も?」
せつ菜「はい!食材の買い出しから味付けまで全部です!」
彼方 エマ「え“っ………」
あなた(彼方さんとエマさんの表情が………)
あなた(せつ菜ちゃんの料理はそんなに……) 愛「じゃあ、みんな揃ったしジュース注いでいこうか」
せつ菜「色々買ってあるので好きなのを選んで下さいね」
果林「そうね、何にしようかしら」
愛「愛さんはやっぱりオレンジジュースかな?イメージカラー的に」
璃奈「私はカルピスで」
せつ菜「くっ、トマトジュースも用意してくるべきでした……」
歩夢「私はピーチにしようかな?あなたも一緒でいい?」
あなた「え?うん、お願い……」
あなた(こっちのみんなはとっても楽しそう……)
あなた(それと比べて……)
かすみ しずく 彼方 エマ「…………」
あなた(こっちは完全にお通夜ムード……) 果林「エマと彼方は何にする?って……」
果林「二人とも何をしてるの?」
エマ「ちょっと神様に祈りを……」
彼方「彼方ちゃんも……」
果林「何で!?」
璃奈「しずくちゃん、さっきからずっと喋ってないけどひょっとして調子悪い?」
しずく「もう大丈夫です璃奈さん」
しずく「現実と向き合う覚悟はできました」
璃奈「何の話!?璃奈ちゃんボード『ハテナ』」 せつ菜「ではお待ちかねの鍋を取り分けていきますよ」
愛「いよっ!待ってました!」
かすみ(ついにこの時が……)
かすみ(でももしかしたらせつ菜先輩の料理の腕が上達してまともな料理になってるかも)
かすみ(そうです!希望を捨ててはいけません!あの時とは違うんです)
かすみ(あの蓋の下にはきっとまともなお鍋が……)
せつ菜「ではオープン!」
カパッ
かすみ「……………」チラッ
かすみ「……………」
かすみ(まるで成長していません……) 璃奈「しずくちゃんあれは……何?」
しずく「璃奈さんは何に見える?」
璃奈「えっと……ドラクエの毒の沼地、かな?」
しずく「私には童話に出てくる魔女の釜に見えるよ」
璃奈「しずくちゃんの覚悟ってこの事だったんだね」
しずく「璃奈さんも覚悟はしておいたほうがいいかと」
璃奈「うん、璃奈ちゃんボード『ゴクリ』」 せつ菜「はい!かすみさんの分です」
かすみ「あ、ありがとうございます」
かすみ(近くで見るとさらにグロいですね……)
かすみ(匂いはそんなに悪くはないんですけど……)
かすみ(ん……)
かすみ(なにこれ!目が痛っ)
かすみ(湯気が目に入っただけで染みるんですけど!?)
かすみ(一体何をすればこんな事になるんですか?) 愛「ちょっとりなりー!」
かすみ(ん……何かあったんでしょうか?)
璃奈「ど、どうしたの愛さん?」
愛「璃奈ちゃんボードが大変な事になってるって」
璃奈「え?」スッ
璃奈「本当だ、インクが溶けたみたいになっちゃってる……」
璃奈「おかしいな……油性で紙に書いてる筈なのに」
かすみ(えぇっ?この鍋、酸とか入ってませんよね!?) 果林「二人が祈ってたのはこの事だったのね」
果林「因みに二人は今何を祈ってるの?」
エマ「何事もなくこの会が終わります様に」
彼方「もう一度無事に遥ちゃんに逢えます様に」
果林「一応聞くけど味はどうなの?」
彼方 エマ「…………」フルフル
果林「そう……」
果林「私も祈るわ」 せつ菜「それでは乾杯の前に僭越ながらホスト役の私から挨拶をさせて頂きます」
せつ菜「皆さん、先日のライブお疲れ様でした」
せつ菜「今回のライブではヘッドライナーという大役を務めさせて頂いたにも関わらずパフォーマンスもまだまだでみなさんに助けられっぱなしでした」
せつ菜「みなさんに助けられて、改めてこの同好会のメンバーは9人で一つなんだって感じる事ができました」
せつ菜「こんな素敵な仲間に恵まれて私は本当に……」
9人「…………」
せつ菜「…………」ハッ
せつ菜(せっかくの楽しい会なのに私の挨拶で湿っぽい雰囲気に……) かすみ(なんかせつ菜先輩が挨拶してるんですけど全然頭に入ってきません)
かすみ(あと物理的に目が痛い……)
せつ菜「今日は私からの感謝の気持ちを込めてこのお疲れ様会を開催させていただきました!」
せつ菜「あ、あとなんですけど、前々からこういう会に参加してみたかったんです……」
せつ菜「また一つ夢が叶っちゃいましたね……えへへ」
せつ菜「これからもみんなで一緒に夢を叶えていきましょう!」 せつ菜「では乾杯の音頭は部長!よろしくお願いします」
あなた「え……私?」
せつ菜「はい!是非!」
あなた(鍋のことが気になって全然聞いてなかった……)
あなた「じゃあ簡単に」
あなた「みんな、ライブお疲れ様!」
あなた「それと、スクールアイドルを一番近くで応援するっていう私の夢を叶えてくれてありがとう」
あなた「あの日はみんな最高に輝いてたよ」
あなた「これからもみんなを一番近くで応援させてね」
あなた「じゃあ、乾杯」
せつ菜「乾杯!」
8人「かんぱーい……」 あなた「…………」ゴクゴク
あなた「…………」キョロキョロ
せつ菜「飲み物もお鍋もお代わりありますからどんどん食べちゃってくださいね」
せつ菜「では、いただきます」
せつ菜「…………」モグモグ
9人(食べた!)
せつ菜「やっぱりみんなで食べるとさらに美味しいですね!」
せつ菜「みなさんも遠慮せずにどうぞ!」
9人「…………」
歩夢(えっ?見た目が悪いだけで実は美味しいの?) 愛「じゃあ、せっつーの自信作いただきますか」
璃奈「あ、愛さん」
愛「りなりー心配しなさんな」
愛「見た目が全てじゃないってこの鍋から学べ、なんてね♪」ニコッ
璃奈(さすが愛さん、こんな時でもダジャレを言う余裕があるなんて……)
璃奈(やっぱりカッコイイ………)
愛「いっただっきま〜す」パクッ 愛「…………」モグモグ
愛「…………」
愛「あ〜、うん……」
璃奈「あ、愛さん?」
愛「…………」ズズッ
愛「…………」
愛「うん……」
愛「…………」
愛「うん」
璃奈「愛さん!?」
愛「うん……」
歩夢(あんな無表情な愛ちゃん初めてみた……)
歩夢(しかも『うん』しか言わなくなっちゃったし……) 「ジョユウワタシハジョユウワタシハジョユウ……」
歩夢「!?」
しずく「ワタシハジョユウワタシハジョユウワタシハジョユウ」
歩夢「し、しずくちゃん?一体どう……」
あなた「しずくちゃんは今からとても難しい演技に挑むんだよ」
あなた「あれはきっと自己暗示する事で役に入り込もうとしているんだよ……」 あなた「ほら、あっちを見て」
彼方「コレハハルカチャンガカナタチャンノタメニツクッテクレタモノコレハハルカチャンガカナタチャンノタメニツクッテクレタモノ……」
歩夢「か、彼方さん?」
エマ「────────」
歩夢「エマさんは母国語で何か呟いてる………」
あなた「それ程までの相手って事なんだよこのお鍋は……」
歩夢「じゃあ私も……」
あなた「歩夢ちゃん?」
歩夢「コノオナベハアナタガワタシノタメニツクッタモノ……」
あなた「…………」 璃奈「愛さん!愛さん!」
愛「うん……」
愛「…………」モグモグ
璃奈(愛さん……みんなのために……)
璃奈(私もみんなのために頑張らないと!)
璃奈「い、いただきます」
璃奈「…………」モグモグ
璃奈「うっ………」
璃奈「お、おおお……」
璃奈「美味……しい、璃奈ちゃんボード『にっこりん』」
璃奈「…………」ゼェゼェ
かすみ(今チラッとりな子の横顔が見えましたけどすごい表情してましたよ!?) しずく「うん、これはなかなか………」
しずく「やっぱりみんなで食べる鍋はいいですね」ニコッ
かすみ(し、しず子……)
かすみ(せつ菜先輩の料理でなければ本当に美味しいんじゃないかって勘違いしてしまう程の演技ですよ……)
かすみ(りな子もしず子も我慢して食べてるんです……)
かすみ(かすみんだって負けるわけにはいきません)
かすみ「い、いただきます……」
かすみ「…………」パクッ かすみ(う……)
かすみ(やっぱり不味い……)
かすみ(まず、味が濃すぎますね……)
かすみ(カルピスの原液とかインスタントコーヒーの溶けなかった部分みたいな気持ち悪くなる様な濃さですね)
かすみ(それといろんな調味料を入れすぎです……)
かすみ(色んな味を入れすぎて味が喧嘩っていうか交通事故を起こしちゃってます……)
かすみ(具材は悪くないんですがこの不味すぎるつゆ?が完全に味を殺してますね)
かすみ(何より見た目が最悪で何故かドロッとしてて気持ち悪いですし)
かすみ(まあギリギリ我慢できなくはありませんけどこの量を食べろって言われると……)
かすみ(でもかすみんはアイドルですから辛い時でも笑顔でいる練習だと思えば……)
かすみ(よし!)
かすみ「せつ菜先輩の料理が食べられて、かすみん感激です!」ニコッ
せつ菜「まだまだありますからどんどんおかわりしてくださいね!」
かすみ「え……」 果林(この状況は……)
果林(みんなせつ菜の事を気遣って本当の事を言わないけど、このままじゃせつ菜の為にならないわ)
果林(ここは私がはっきり言わないと!)
果林「ねえせつ菜?このお鍋なんだけど……」
せつ菜「はい!どうしました?」ニコニコ
果林(うっ………)
せつ菜「お代わりですか?果林さん」キラキラ
果林(ううぅ………)
果林「お、おかわりを………」
せつ菜「はいっ!!」キラキラ
果林(私には無理ッッ!!) せつ菜「はいどうぞ!」スッ
せつ菜「どうしました?果林さん?」
果林「…………」グスッ
果林「みんなごめんね、肝心な時に頼りにならない先輩で……」
果林「私自分が情けなくて」
果林「うぅっ………」
エマ「そんな事ないよ果林ちゃん」
彼方「果林ちゃんが頼りにならいって言うなら彼方ちゃんも同罪だよ」
せつ菜「そうですよ3人ともとっても頼りになる先輩です」
果林「でも……でも……」
エマ「果林ちゃん泣かないで」
彼方「果林ちゃんが泣いちゃたらこっちまで泣きたくなっちゃうよ……」 あなた(じ、地獄絵図……)
あなた(私が「鍋パーティーなんていいんじゃないかな」ってせつ菜ちゃんに言ったせいで……)
あなた(一体どうしたらいいの……)
あなた(この状況をなんとかする方法は……)
コンコン
ガラララ
あなた「……!?」 栞子「失礼します」
あなた「み、三船さん?」
せつ菜「な、なんの用ですか?コタツも鍋もちゃんと学校の許可をとっていますよ」
栞子「ええ知っています」
栞子「ですがスクールアイドル同好会が何かおかしな事をしていないか一応生徒会として様子を見に……」
栞子「って、あれは何ですか?」
せつ菜「何って、鍋に決まってるじゃないですか」
栞子「鍋?これが?とても食べ物の風貌には見えませんが」
あなた(そうだよね……) せつ菜「な……いくらなんでも失礼じゃないですか?」
栞子「いや、流石にこれは……」
せつ菜「確かにちょっと見た目は変わってるかもしれませんけど味はちゃんとしています!」
かすみ(してませんけどね……)
栞子「これで?冗談ですよね?」
せつ菜「冗談じゃありません!三船さんも食べてみればわかりますよ」
しずく(食べない方がいいと思うんですけど……)
せつ菜「どうぞ」スッ
栞子「お断りします」
せつ菜「どうしてあなたはそうやって実際にやってみないうちから決めつけるんですか!?」 栞子「そうは言われても……これはどう見ても食べられないでしょう……」
栞子「中川さんが私を騙して無理やり食べさせようとしてるとしか思えません」
せつ菜「じゃあ私が食べたら三船さんも食べてみてくれますか?」
栞子「…………」
栞子「そこまで言うなら」
璃奈(食べるの!?)
せつ菜「じゃあ私から」
せつ菜「…………」モグモグ
栞子(本当に食べましたね……)
せつ菜「どうぞ」スッ かすみ「先輩!これはまずいですよ」
あなた「え?不味いのは知ってるけど……」
かすみ「愛先輩みたいなこと言わないで下さい!」
かすみ「危機的状況だって意味です!」
あなた「もう既にかなり前から危機的状況だったと思うんだけど」
かすみ「そうなんですけど違うんです!」
かすみ「もしこのまま三船栞子があの鍋を食べて『毒を盛られた』なんて騒がれたら今度こそ同好会はお終いです」
あなた「毒だなんて………」
あなた「…………」チラッ
愛「うん……」
愛「…………」モグモグ
あなた(毒かも……) 栞子(まさか本当に味は普通?)
栞子「…………」
栞子「…………」パクッ
あなた(食べちゃった……)
栞子「えっ?なにこれ?まずっ……」
せつ菜「……ッッッ!!」
果林(誰も言えなかった事をこうもあっさりと……)
栞子「…………」パクッ
栞子「やっぱり不味い……どうしたらこんな?え?」
せつ菜「…………」ワナワナ せつ菜「いくら私の事が嫌いだからってこんな事までしなくていいじゃないですか!」
栞子「別にあなたの事は嫌いではありませんが」
せつ菜「突然入ってきて料理にケチをつけて雰囲気をぶち壊しにして」
栞子「しかしこの鍋の味はどう考えても最悪です」
せつ菜「本当にそう思ってるのなら三船さんの味覚がおかしいんですよ!」
栞子「私の方が?」
栞子「これは間違いなく味覚がどうというレベルを超えてると思いますが……」
せつ菜「同好会のみんなは美味しいって言ってます」
栞子「これを?冗談でしょう?」
栞子「スクールアイドルをしていると味覚までおかしくなるんですか?」
せつ菜「またあなたはそうやってひどい事を……」 栞子「しかしこの料理は……」
栞子「…………」
栞子「はぁ……そう言う事ですか」
栞子「中川さん、この鍋が美味しいと思っているのはこの中であなただけです」
せつ菜「え?」
栞子「他の方が美味しいと言ったのは嘘をついているだけです」
せつ菜「そんな、どうして?」
栞子「恐らく本当の事を言えばあなたが傷つくと思ったのでしょう」
せつ菜「嘘……ですよね?」
9人「…………」
せつ菜「そんな……」
せつ菜「私……また一人で勝手に……」
栞子「走り出すとすぐに周りが見えなくなるのがあなたの悪いところです」 栞子「それと……」
栞子「あなた達はどうして中川さんに本当の事を指摘してあげなかったんですか?」
栞子「確かに言わずに我慢すればこの場は切り抜けられたかもれません」
栞子「でもそれが本当に彼女自身のためになると思うのですか?」
栞子「間違いがあったら正してあげるのが本当の仲間というものでは無いのですか?」
栞子「あなた達がした事は表面的には中川さんを思いやっているように見えるかもしれません」
栞子「しかし、結局は雰囲気を壊して中川さんが悲しむ姿を自分の前では見たくないという自己中心的な考えです」
栞子「これでは完全に問題を先送りにしてるだけでしょう」
9人「…………」 あなた「せつ菜ちゃん……」
あなた「三船さんの言う通りだった」
あなた「本当はこのお鍋は物凄く不味かったよ……」
せつ菜「…………」ガーン
あなた「でも………」
あなた「せつ菜ちゃんの大好きやみんなへの気持ちが詰まったいいお鍋だったよ」
栞子(いい鍋ではないでしょう……)
せつ菜「みなさん、ごめんなさい」
せつ菜「私はまた一人で暴走して……迷惑をかけて……」
せつ菜「今度は味でも皆さんに満足していただけるようにリベンジします!」
9人「えっ………」 栞子「いいえ、あなたは料理禁止です」
せつ菜「えぇっ!?」
栞子「寧ろまだ作るつもりがある事に驚きです」
せつ菜「生徒会に個人が料理することまで禁止できる権限があるとは思えないのですが!」
栞子「確かに生徒会にそんな権限はありませんが、あなたは料理を作ってはいけない人間です!」
エマ「果林ちゃん……私達はどっちに味方すればいいのかな」
果林「えぇっと……」
栞子「…………」
栞子「そうですね、どうしてもと言うなら一つ条件をつけましょう」 せつ菜「ど、どうですか?」ドキドキ
栞子「…………」モグモグ
栞子「こちらの卵焼きは及第点と言ったところですね」
せつ菜「それじゃあ!」
栞子「ですが、こちらの唐揚げは完全に欠点です」
栞子「また勝手なアレンジを加えましたね?」
せつ菜「うっ……」
栞子「これではまだ許可を出すわけにはいきません」 栞子「レシピ通りに作ればそれなりの物が作れるのにどうしてそんな事をするのですか?」
せつ菜「やはり料理にも自分らしさを出していかないと……」
栞子「そういう事は基本をマスターしてから少しずつしていくものです」
栞子「しかし中川さんの味覚センスではそれも難しいかもしれませんね」
せつ菜「うぅっ……」 栞子「中川さんは一度味覚鍛え直した方がいいかれません」
栞子「今度の日曜日の予定は空いていますか?私のおすすめの料理店をいくつか紹介したいと思うのですが」
せつ菜「日曜はちょっと………」
せつ菜「あ、土曜なら1日空いてます!」
栞子「私も土曜日の予定は空いていますね」
栞子「では土曜日にしましょう」 せつ菜「そろそろ教室に戻らないと」
栞子「場所と時間の詳細は追って連絡します」
せつ菜「それでは!」
ガラララ
栞子「…………」スッ
プルルルル
栞子「もしもし、今週の土曜日に予約を取っていた三船です」
栞子「誠に申し訳ありませんが予約を翌日の日曜日に変更していただく事は可能でしょうか?」
栞子「はい、ありがとうございます」
栞子「では、日曜日に変更でお願いします」 栞子「…………」
栞子「ふふっ」
栞子(遂に………)
栞子(遂に菜々先輩とデートです!)
栞子(ここ数日で一気に二人の中が進展したのではないでしょうか)
栞子(毎日料理を作ってきてくれるなんて、もう殆ど恋人同士ですよね)
栞子(もしかしたら菜々先輩の手料理が食べられるかもと思ってスクールアイドル同好会からの申請を許可して正解でした)
栞子(料理の味は最悪でしたけど間接キスまで出来ましたし)
栞子(このままいけば土曜日はもっと?)
栞子(あぁ土曜日が待ち遠しくて仕方がありません……)
栞子(菜々先輩……) 〜土曜日〜
栞子「どうしてあなたはいつもそうなのですか……」
せつ菜「え?え?」
栞子「何故この場にスクールアイドル同好会のメンバーが全員揃っているんですか!」
あなた「せつ菜ちゃんから美味しいものを食べに行くって聞いて……」
せつ菜「絶対みんな一緒の方が楽しいと思いますよ!」
栞子「はぁ………」
栞子「あなたは何も分かっていないのですね」
せつ菜「えっ?」
栞子「しかしこれでよく分かりました」
栞子「やはりスクールアイドル同好会は廃部にすべきです!」
せつ菜「えぇ〜!?」 とても面白かったです!是非今後とも頑張って下さい! アスペだからか店の予約をなぜ土曜から日曜に変更したのか分からない サンキュー栞子
初めてこの子の存在に感謝したわ。面白かった 不味い料理は忖度なしにちゃんと不味いって言うべきだと勉強になった しおせつ追ってたやつがほぼエタってたからありがたい 栞子様のイメージがせつ菜大好きで固定されつつあるな
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