千歌「そっか!梨子ちゃんは転校してきたばかりだから知らないんだね!」曜「鞠莉ちゃんは日本で唯一の霊能力理事長なんだよ!」
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梨子(沼津、内浦……ここが私の暮らす、新しい世界……)
梨子(海の音……ここでなら、きっと、私はもう一度ピアノを……) 鞠莉「桜内、梨子……あら、もしかして梨子ちゃんじゃない!?」
梨子「え、ええ、私の名前は梨子ですが……」
鞠莉「ノンノン!違うわよ、昔、この辺りに暮らしていたことがあったでしょ?」
梨子「えっ?私がですか?」
鞠莉「そんなぁ、覚えてないの……?私、マリーよ、淡島も案内してあげたことがあるじゃない」
梨子「……すみません、全然記憶に無くて」
鞠莉「うーん、まあ仕方ないわね、ここで暮らすうちに思い出してくれるかもしれないし、どちらにせよ理事長としてあなたの入学を歓迎するわ!」 梨子「……と言いますか、鞠莉、さん?」
鞠莉「マリーでいいわ!」
梨子「鞠莉さんは、その、高校生ですよね……?」
鞠莉「もう!つれないわねぇ!マリーと呼んでくれなきゃ答える気はありませーん!」
梨子「……マリーは高校生なのに、理事長?」
鞠莉「そうよ、この学校、今年で廃校になるのよ」
梨子「えっ!?」
鞠莉「でも安心して、それを食い止めるために私は理事長の職に就いたの、それと、Aqoursのメンバーにもね」 梨子「アクア……?」
鞠莉「浦女の知名度をグーンとアップさせるために、スクールアイドル部を設立したのよ!梨子ちゃんの家の裏手に住む、高海千歌っていう子がね!」
梨子「それがアクア……」
鞠莉「梨子ちゃんも入るわよね?そんなにかわいいお顔をしてるんだもの!」
梨子「えっ!?いえ、いえいえいえいえ!そんな急に言われても、スクールアイドル?それって歌って踊ったり?」
鞠莉「もちろん!衣装も音楽も自分達で手作りよ!?梨子ちゃんは音ノ木坂から来たのよね?音楽の名門校じゃない!」
梨子「……」
鞠莉「向こうから届いた調査書には……ピアノも弾ける、えっ!?ワンダホー!コンテストの上位入賞常連なの!?」
梨子「……」
鞠莉「そんな子がAqoursに入ってくれたらラブライブ優勝間違いなしよ!ね、入るわよね!?」
梨子「……あ、あの!失礼します!」
鞠莉「ワッツ!?……行っちゃった」
ダイヤ「……どうですの?」
鞠莉「あれは中々に厄介なものを背負ってるわね……」 千歌「梨子ちゃんおはよー!」
梨子「えっ?」
千歌「梨子ちゃん、だよね?名前、もしかして間違えちゃった……?」
梨子「いえ、ごめんなさい、突然名前を呼ばれたもので驚いてしまって」
千歌「だよねだよねー!梨子ちゃん!初めまして!私、高海千歌、家はお隣さんだよ!知ってた?」
梨子「さっき理事長からそれとはなしに……ね!」
千歌「理事長に会ったんだ!?左手の黒手袋気にならなかった!?」
梨子「そう言えばそんなのはめてたような……」
千歌「あの手袋の下にはね、鬼の手が封印されてるんだよ……!」
梨子「はぁ……」 千歌「あ〜、信じてないって顔〜」
梨子「鬼の手って……小学生の作り話でもそんなに雑なことってないわよ」
千歌「本当なのにな〜」
曜「まあまあ、千歌ちゃん、信じる信じないは人それぞれだからさ!」
梨子「あなたは……?」
曜「はじめましてだね!私、渡辺曜、Aqoursのメンバーでもあるんだ!」
梨子「アクア……確か、高海さんも?」
千歌「千歌でいいよお!私が作ったグループだよ、梨子ちゃんも入る!?」
梨子「いえ、私は遠慮しておきます……」
千歌「ええー!入ってよぉ!絶対楽しいからさあ!」 果南「……梨子、だっけ?転入生」
鞠莉「昔、内浦に住んでいたのがまずかったね……きっと彼女、ウミノネに取り付かれているわ」
ダイヤ「ウミノネ?」
鞠莉「海ノ音と書いて、ウミノネ、土着神の一種よ」
果南「待って!神様なんて相手にしてただで済むの……?」
鞠莉「……普通なら無理、でも、私のこの鬼の手なら」
ダイヤ(……日増しに鬼の手と腕との継ぎ目が肘に近寄っているような……まあ、気のせいですわね)
果南「あまり無茶しないでよ?」
鞠莉「分かってるってー!」 梨子(学校には馴染めそう……みんな個性が強いけど、根はいい人そう……ここへ来て良かった)
梨子(でも私にはまだやることが……やらなくてはならないことが……)
梨子(海の音……ピアノをもう一度弾くためには、海の音をきちんと体に覚え込ませなくては……)
千歌「梨子ちゃんあぶなーい!」
梨子「えぇっ!?」
千歌「……ふっ、ぁあ、いたたた!」
梨子「もっ、何するのよ!痛いのはこっちよ!もう!」
千歌「ごめんね、梨子ちゃん!怪我はなかった!?」
梨子「なんなのよ、急に……」
千歌「ごめんね、梨子ちゃんがこんな夜更けに砂浜にいるのが見えたからさ、もしものことがあったらって!」
梨子「無いわよ!転校初日で入水なんて!」 曜「へえ、昨日そんなことがあったんだ」
千歌「梨子ちゃんが飛び込むことを危惧した訳じゃないよ……見えたんだ、海から白い手が伸びて、梨子ちゃんの足を掴もうとしてるところがさ……」
曜「私たちも鞠莉ちゃんと付き合い長いせいで、そういうの見えるようになっちゃってるからね……」
千歌「梨子ちゃん、幼い頃に内浦にいたみたいでね、お母さんから聞いたんだけど……海で溺れかけたときに少し記憶喪失みたいになって、東京の病院で療養することになってたみたい」
曜「だからここで暮らしてたこと覚えてないんだね、もしかしたら、その溺れたときに悪霊が……」
鞠莉「ううん、違うわ」
千歌「鞠莉ちゃん!」
鞠莉「悪霊じゃないの、梨子ちゃんに憑いてるのは……」 曜「でも千歌ちゃんが見たんだよ!?梨子ちゃんを海の亡霊が掴もうとするところを!」
鞠莉「神よ」
曜「神……?」
鞠莉「そう、神様……ウミノネと言って、波音や海鳴りを司る神様」
千歌「神様が梨子ちゃんを苦しめてるの!?」
鞠莉「一言で言えばそうね、ウミノネはとっても執念深い神様、海鳴りの強く響く音は、ウミノネが激しく怒っている合図なの」
曜「どうしてウミノネは梨子ちゃんのことを?」
鞠莉「幼い頃の彼女を取り逃したからよ、もう一度内浦の海へおびき寄せて、次こそは自らの贄にしようと目論んでいるのでしょうね」 梨子(……弾けない!どうして弾けないの……!?)
梨子(ピアノの前に座ると、耳鳴りが、まるで海鳴りのような轟音で鳴り響く……)
梨子(海……やっぱり、海に行って、海の音を聞かないと……)
梨子(海の音を聞けば、この耳鳴りは同調して収まってくれる……そんな予感がする……) 曜「来たよ、梨子ちゃん」
千歌「絶対に梨子ちゃんを海に近付けちゃダメだよ!?」
曜「オーケー!……今だ!」
梨子「キャッ!?」
千歌「梨子ちゃん!海に近寄っちゃダメ!」
梨子「なっ、離して!離してよ!私は海に行かないといけないの!海に!あっ!痛っ!痛い!離して!」
曜「梨子ちゃん!?」
梨子「頭が痛い!痛いよぉおお!!!あぁああああああああ!!」
鞠莉「二人とも!梨子ちゃんを離しなさい!ウミノネが怒って、梨子ちゃんの耳鳴りを強めているわ!」
千歌「えっ!?」 梨子「海!海に入れば耳鳴りは収まるの!邪魔しないで!」
曜「鞠莉ちゃん!梨子ちゃん、海に入っちゃうよ!?」
鞠莉「まあ見てなさい」
千歌「ダメだ!また白い手が伸びてる!私、行ってくる!」
鞠莉「あ、ちょっと!ちかっちー!」
千歌「この!梨子ちゃんを離せ!連れてくなら千歌も一緒に連れてけー!」
曜「千歌ちゃん!二人とも海に入っていっちゃう!いや、引きずり込まれてる!」
梨子「あぁ、耳鳴りが収まる……これが海の音……ウミノネ……私の居場所……」
鞠莉「違うわ、ここは梨子ちゃんの居場所じゃない」
梨子「えっ……?」 鞠莉「南無大慈大悲救苦救難……白衣観音により封じられし鬼よ、その力を示せ!」 梨子「……あれ、私は」
鞠莉「気がついた?」
梨子「あれ、マリー……どうして東京に……」
鞠莉「梨子ちゃんが内浦へ帰ってきたのよ」
梨子「内……浦……?」
千歌「おかえり、梨子ちゃん!」
梨子「耳鳴りが、しない……そっか、マリーが助けてくれたのね、ありがとう」
鞠莉「今日は疲れているでしょうし、ゆっくり休みなさい、また起きてから話しましょう、これまでのこと、これからのことを……」 ・鞠莉が鬼の手の力でAqoursメンバーに取り付く妖怪を祓って悩みを解決する
・その度に鞠莉の体は鬼の手に侵食されていく
・悩みが解決したのに、Aqoursの人気は下がっていく
・スクールアイドルのファンだという郷子や広が、Aqoursに何かが取りついていないかぬーべーに相談する
・実は鞠莉の左手に寄生していたのは、若く活発な女に嫉妬した醜い女たちの怨念が鬼の姿となって発現した、鬼女の手であった
・Aqoursから妖怪退治の振りをして個性を奪い、アイドルとして活動できないようにすることが目的
・それをぬーべーに看破され、鞠莉から鬼女の手は除霊され、晴れて元の普通のスクールアイドルになる
・しかし一度消えた個性は簡単には戻らない
・ぬーべー「でもアイドルには、一人一人の個性よりも大切なものがあるんじゃないか?彼女たちなら、きっとそれを見付けられるさ」
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