希「影踏み」
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ーー私は今日も彼女の影を踏む……。
夕焼け空の放課後の帰り道。
目の前にいる彼女と私に茜色の夕日が射し、二人に影を作ってる。
ーー私は今日も彼女の後ろを歩く……。
ーー私は今日も彼女の影を踏む……。
振り向いてほしくて、立ち止まってほしくて……。
ーー恋心に気づいてほしくて……。 でもそんなこと素直に言えないし、今は伝える勇気もない……。
だから代わりに影を踏んで彼女に密かなアピールを送る。
けれど彼女は鈍感さんだから私の気持ちには気づかないんだろうな……。
絵里「の…のぞ……ぞみ…のぞ…み…希!」
希「えっ⁉な、なに⁉」
絵里「何じゃないわ。ずっと呼んでたのに希ったらボーっとしてるんだもの」
彼女のことを考えている内に、私はどうやら心ここに在らずといった感じだったようだ。 希「あ〜ごめんな。ちょっと考え事してて……」
絵里「本当心配したわ。希が呼ばれても返事しないなんて珍しいから余計にね。……何かあったの?」
希「べ、別に何もあらへんよ〜。さっ、そんなことより日が暮れてまうから早く帰ろ?」
あなたのことを考えてたなんて素直に言える勇気がない私は、気づいてほしいのにそうやってつい誤魔化してしまった。
絵里「そう、分かったわ。……でもボーっとしてて危ないし、心配だから今日は手を繋いで帰りましょう?」
絵里「ほら……」
希「えっ……?」 断る間も無く絵里は私の手を取り、そのまま一緒に並んで歩いていく。
隣に絵里がいる……。
しかも手を繋いで……。
嬉しいけれど……けれど恥ずかしくって顔が赤くなり、私の心臓は早鐘を打っている
このドキドキが彼女に聞かれないか心配だ……。
絵里「ふふ、希はいつも私の少し後ろに歩いてるから隣に居るのって不思議で新鮮な気分ね」
希「そ、そうやね」 絵里「たまにはこうやって隣り合って、手を繋いで帰るのも悪くないわね」
希「う、うん」
この状態が続くのは悪くないけれど、私の心臓には悪いと思う……。
それに大好きな彼女と手を繋ぐという行為は嬉しいけれど恥ずかしくて顔が真っ赤になり熱くなる。
私はそれを彼女に見られたくないからつい目を下の方へとやると……2つの影があった。
ーーいつもと違う2人寄り添い合うような影が……。 これで終わりです
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