0001名無しで叶える物語(もんじゃ)
2019/12/01(日) 16:21:20.96ID:qCvpO8dK海未「熱いので気をつけてくださいね」
絵里「帰らないの?」
海未「絵里が私たちのために仕事をしているのを見て帰るわけにはいきません」
絵里「気を遣わなくてもいいのに。じゃあ何か話してくれる?」
海未「……ずっと言おうか迷っていたのですが、絵里って言われているほどポンコツじゃないですよね。そんなところ見たことありませんよ」
絵里「だって言われてるだけですもの。ちょっとしたミスをみんなが面白がってそう言ってるだけ。普段クラスで1番に登校する子が始業ギリギリに来たら驚かれるでしょ?」
海未「なるほど(すごい早口でしたが)」
絵里「後は、海未の前では普段に増して気をつけてるわ。変なことしないように」
海未「私の前で?……先輩禁止ですよ!」
絵里「先輩としての見栄も入ってないとは言えないけれど、海未に変なとこ見せちゃうと『アイドル部には変な人しかいない。私が面倒を見なければ!』ってなっちゃうでしょ」
海未「い、いつもの私はそんな感じで動いているのでしょうか……」
絵里「みんながお世話になってる海未の負担を少しでも軽くしてあげたいってこと。あなたはもう少し自分の好きなことをしていいんだから」
海未「ありがとうございます。そんな風に思っていてくれていたなんて、嬉しいです。絵里」
絵里「こういう話すると恥ずかしくなっちゃうから早く帰りましょ!ほら、海未のおかげでいつのまにか終わっちゃったわ」
海未「そうですね。コートどうぞ」
絵里「ありがとう。……ん!?」
海未「どうかしました?」
絵里「ちょっと待って。……」
絵里「電気は私が消す。戸締りも私がやる。鍵も私が職員室に返しにいく。海未は靴箱の前でただ私を待ってて。何もせずに!」
海未「どうしたのですか突然」
絵里「いいから。自分に関すること以外は今からしちゃダメよ」
海未「はぁ」
絵里(海未の前でポンコツを見せないってわけじゃなくて、出ないのかも)
絵里(思えばこの子は常に何か先にしてる気がするわね)
絵里(気を遣われてる?のかはわからないけど、やっぱり海未には想像以上にお世話になってる)
絵里「……海未、いつもありがとう!」
海未「……??」
おわり