ルビィ「私のお姉ちゃんが」理亞「一番」千歌「すごい」
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土曜日 昼 部室
ルビィ「ルビィのお姉ちゃんの方がすごいもん! この前だって――」ワーワー
理亞「私の姉様に敵うわけないでしょ! 例えば学校でも――」ギャーギャー
善子「あの2人も飽きないわねえ」
曜「うん、暇さえあれば言い合ってるよね」
千歌「でも、仲良くなれないのかなって最初は心配したけど、そうじゃないよね?」
花丸「典型的な喧嘩するほど仲がいいってやつずら」
梨子「確かにルビィちゃんも理亞ちゃんも生き生きとしてるわね」 善子「険悪じゃないのはいいんだけど、さすがにしつこいのよ。昨日の夜とかずっとよ!」
梨子「1年生はルビィちゃんの家でお泊まり会したんだっけ?」
花丸「そうだよ。理亞ちゃんと聖良さんが、ルビィちゃんのとこに泊まるって聞いたから」
花丸「善子ちゃんと話して、マルたちもお泊まりすることにしたの」
曜「ルビィちゃんの家、大きいもんね」
千歌「聖良さんたち、十千万に泊まればよかったのに……。こっちの方が広いよ!」
梨子「いや、さすがに旅館と比べたらそうだけどね」
曜「十千万だと、タダってわけにはいかないでしょ? 飛行機代とか結構かかったみたいだし」
千歌「でもなあ」ブー
善子「飛行機代かあ、やっぱり北海道って遠いわよね」
花丸「だから今回みたいな連休じゃないと、なかなか来れないずら」 善子「ところでさ、この5連休って本当にずっと練習なの? 1日くらい休みたいんだけど」
梨子「せっかく聖良さんたちが来てくれたのに、そんなこと言っちゃダメでしょ」
善子「そうだけどさあ」
曜「まあでも、果南ちゃんが最後の日くらいは遊んでもいいんじゃないかって言ってたよ」
善子「やった! って言いたいところだけど、果南の言う遊びって練習よりハードそうなのよねえ」
曜「そう?」
花丸「確かに先週のユニット練習で、果南ちゃんが今日は遊ぼうって言い出したんだけど……」
梨子「だけど?」
花丸「なぜか追いかけっこをやることになって、一日ずっと走らされたんだ」
千歌「うわぁ」
花丸「明らかにマルよりバテてるのに、最後まで闘志を失わなかったダイヤさんに感動したずら」
曜「ダイヤさん根性あるよねえ」
花丸「まあ、いいように果南ちゃんに捕まりまくってたけどね」 善子「その2人が練習メニュー決めてるんでしょ? もう絶望じゃない」ハァ
梨子「3年生の4人で話し合ってるみたいだから、2人がってわけじゃないでしょ?」
千歌「前に聖良さんが普段やってる練習の内容を聞いたことあるけど、すごかったよ」
善子「マジ?」
千歌「理亞ちゃんが自慢するのも分かるって言うか、分かるを通り越してドン引きって言うか……」
善子「鞠莉がブレーキ役になるとは思えないし、これは終わったわね」
曜「でも、みんなで練習するのって楽しいから大丈夫だよ!」
善子「この中でそう言えるのは、体力おばけのあんただけよ」
曜「えー」
善子「よく考えると、午前中も軽くランニングとか言われて10kmは走ったのよね」ブツブツ 曜「まあ、お昼を食べながら3年生が話し合ってるから、戻ってきたらメニュー教えてもらお」
梨子「あっ、そうだ! 私たちもお昼ご飯にしないと!」
花丸「しまったずら。まさかマルが食事を忘れるなんて……」ガーン
千歌「疲れてると逆にお腹すかなかったりするよね」
善子「ルビィと理亞も止めないと。まだ時間はあるけど、ほっとくとずっとやってるでしょ」
千歌「……」ジー
曜「千歌ちゃん、どうしたの?」
千歌「なんか面白そうだし、チカも混ざってくるのだ」ダッ
梨子「千歌ちゃん!?」 ルビィ「そろそろ理亞ちゃんも、ルビィのお姉ちゃんが一番だって分かったんじゃないかなぁ?」ゥユゥユ
理亞「それはこっちの台詞よ! ルビィだって、私の姉様には勝てないって理解できたでしょ?」リアリア
千歌「あー、分かってないなあ」
ルビィ「千歌ちゃん?」
千歌「分かってない。2人とも、なーんにも分かってないよ」
理亞「分かってないって、何がよ!」
千歌「一番すごいお姉ちゃん? そんなの、志満姉とついでに美渡姉に決まってるのだ!」ドン!
梨子「千歌ちゃんって、あの2人と同じタイプの妹だっけ?」
曜「んー、千歌ちゃんも意外とシスコンだよ」
善子「それより、あの3人はお昼は食べないのかしら」
花丸「いただきまーす!」 ルビィ「千歌ちゃん、いきなり何なの!」
千歌「いやあ、なんか2人が間違ったこと言ってるからさあ」
千歌「ここはチカが上級生として、本当のことを教えてあげないとなって」
理亞「それで、あなたのお姉さんが一番だって言いたいわけ?」
千歌「そうだよ。分かってくれるよね?」
理亞「そんなの分かるわけないでしょ! 急に出てきて、勝手なこと言わないで!」
ルビィ「理亞ちゃんの言う通りだよ! 上級生とか関係ないよ!」
千歌「えー、でも志満姉と美渡姉の方がすごいのはホントだからなあ」
ルビィ「だから、そんなこと言われても納得できないの!」バンッ
理亞「そうよ! ちゃんと理由を言ってみなさい!」バンッ 千歌「逆に聞くけど、2人はダイヤさんと聖良さんのどんなとこをすごいと思ってるの?」
ルビィ「お姉ちゃんは生徒会長だし、お稽古もいっぱいやっててすごいんだから!」
理亞「姉様だってストイックに猛練習してるし、お店の手伝いもきちんとやってるのよ!」
千歌「生徒会長、お稽古、猛練習、それにお店の手伝いかあ」クスクス
ルビィ「……何が言いたいの?」
千歌「いやいや、すごいとは思うよ? でも、やっぱり高校生だなって」
千歌「志満姉は十千万の若女将なんだよ? お母さんがあれだから、ほとんど女将みたいなもんだし」
千歌「まだ高校生の2人とは違って、ちゃんと働いてお金を稼いでるってのはすごいよねえ」
理亞「いや、それはもう大人だから……」
千歌「美渡姉だって何の仕事かはよく知らないけど、一応は働いてるみたいだしさ」
千歌「バイトなら私もしたことあるけど、社会人っていうのはずっと重い責任があるよね」
千歌「働くってのはとってもすごいことなんだよ。分かるでしょ?」 ルビィ「確かにお姉ちゃんは今はまだ働いてないけど、将来は黒澤家を継いで立派に働くもん!」
理亞「姉様だって、大人になればもちろん働くわよ! お店を継ぐのかは分からないけど……」
理亞「ううん、どんな職業でも姉様に不可能なんてない! 姉様なら何にだってなれるわ!」
ルビィ「お姉ちゃんだって、将来は黒澤家の当主だよ。内浦の支配者だし、何だってできるよ!」
千歌「まあ、将来はそうかもね。……でもさ、つまり今は違うってことだよね?」
ルビィ「まだ高校生だし、それは仕方ないんじゃ……」
千歌「うんうん、仕方ないよね。今は志満姉と美渡姉よりすごくなくても仕方ないよ」
理亞「だから、それは年が違うだけで、将来は――」
千歌「じゃあさ、ダイヤさんと聖良さんが働き始めたら、また挑戦を受けてあげるよ」
千歌「というわけで、今回は志満姉と美渡姉の方がすごいってことでいいよね?」
曜「千歌ちゃんは勢いで押し切るつもりみたいだね」モグモグ
花丸「声が大きい方が勝つ。議論なんて、得てしてそういうものだよ」モグモグ
梨子「というか、私たちは何をおかずに食事をしてるのかしら」モグモグ
曜「まあ、スポーツ観戦しながらご飯を食べてるみたいなもんだと思えば……」モグモグ ルビィ「…………」
理亞「…………」
千歌「どうなのだ? 反論がないなら、チカの勝ちなのだ?」フンス
理亞「ルビィ、どうするのよ! あんたのとこのリーダー、無茶苦茶なこと言ってるわよ」コソコソ
ルビィ「ぅゅゅ、どうしたら……。ぉねぃちゃぁ……」コソコソ
善子「そもそも『一番すごい姉』だなんて曖昧なものを決めるってのに無理があるのよ」
花丸「それを言っちゃあ、お終いずら」
曜「実際に何が正しいかじゃなくて、みんなが納得できるかが大切なんじゃない?」
梨子「でも、あの3人全員が納得する答えがあるとは思えないけど……」 ルビィ「あっ、そうだ! ……千歌ちゃん、ひとつ聞いてもいいかなぁ?」
千歌「もちろんいいよ。何でも聞いてよ」
ルビィ「千歌ちゃんにとって、一番すごいお姉ちゃんは誰? もちろん『一番はひとり』だよ!」ドヤァ
理亞「ルビィ! その技は……」
ルビィ「知っているの? 理亞ちゃん」
理亞「ええ、当然よ。μ'sで妹大戦が起こったときに、あの絢瀬絵里が用いたという禁断の……」
ルビィ「そう、にこさんを倒した技だよ」
理亞「姉妹が複数いる相手には、抜群の効果を誇る必殺技!」
ルビィ「思い出せてよかったよ。これも、絵里さん推しのお姉ちゃんのおかげだね」
理亞「これで終わりよ、高海千歌!」
ルビィ「さあ、答えてよ! 千歌ちゃん!」 千歌「志満姉だよ」
ルビィ「……え?」
千歌「だから、一番すごいのは志満姉だよ」
理亞「……そんな、嘘でしょ!」
千歌「どっちかなんて、私には選べないと思った? 無理に選ばせれば、何も言えなくなると思った?」
千歌「甘いよ」
千歌「だけど、その甘さ、嫌いじゃないかな」フフン
梨子「なんで、ここでいい台詞を……」
善子「ああいう芝居がかった台詞を言うのって、ちょっと憧れるわよね」キラキラ
花丸「善子ちゃんは、しょっちゅう堕天使芸でやってるでしょ」
善子「芸って言わないでよ!」 理亞「なんで、そんなにあっさり選べるのよ」ギリィ
ルビィ「そうだよ! 美渡さんのことはどうでもいいの!?」
千歌「どうでもいいとは言わないけど、志満姉と比べちゃうとね」
千歌「志満姉はいっつも真面目に働いて、十千万を立派に支えてるけど……」
千歌「美渡姉は仕事で疲れたとか言って、なんかダラダラしてばっかでさあ」ハァ
千歌「今朝なんて、私が練習に行くときまだ寝てたんだよ」
ルビィ「千歌ちゃんは、ちゃんとお手伝いしてるの?」
千歌「わ、私!? ほら、私は学校とか練習とかあるから……」アセアセ
理亞「してないのね」
千歌「チカのことは関係ないでしょ! 今は美渡姉がダメだって話なんだから」
千歌「さっきは2人いた方が有利かなって思って、美渡姉のことも言ったけどさ」
千歌「志満姉と比べたら、美渡姉は別にすごくなんか――」
美渡「よお、千歌。面白そうなこと話してんじゃねえか」ガラッ 千歌「……………………え、なんで?」
ダイヤ「千歌さんの忘れ物を、持ってきてくださったそうですよ」
美渡「ほら、弁当! 作ってもらっといて忘れんなよな、バカチカ」
千歌「…………わあ、ありがとう! やっぱり美渡姉は優しいなあ。ごめんね、迷惑だったでしょ?」
美渡「志満姉に頼まれたんじゃ仕方ねえよ。妹ってのは姉には逆らえないもんだ」
美渡「ところで、そのお姉様に逆らえないはずのバカな妹が何か言ってたよなあ?」ギロッ
千歌「……え? ルビィちゃんと理亞ちゃんが何か言ってた? チカ、なーんにも聞いてないのだ」
美渡「それで誤魔化せるわけないだろうが! たっぷり反省しろ!」グリグリグリグリ
千歌「ぎいぃいいぃいやぁ〜〜!! 頭グリグリしないで〜!」ワーン 曜「もう話し合いは終わったんだね」
果南「うん、戻る途中で美渡姉に会ったから、部室まで案内したんだけど……」
鞠莉「ちょっとタイミングが悪かったみたいデース」
聖良「でも、どうして千歌さんは、美渡さんの悪口なんて言ってたんですか?」
理亞「ふん、調子に乗るからこういうことになるのよ」
聖良「理亞?」
理亞「いえ、姉様が気にするようなことじゃないわ」
ルビィ「お姉ちゃん、おかえりなさい」
ダイヤ「ええ、ただいま。ところで千歌さん以外にあなたの声も聞こえたけど、何を話していたの?」
ルビィ「ぅゅ、たいした話じゃないよ」
梨子「ダイヤさんと聖良さんには内緒なの?」コソコソ
善子「なんか恥ずかしいみたいなのよ。私らの前では、まったく遠慮しないくせに」コソコソ 美渡「おい、こいつちょっと連れてくぞ」ギュー
千歌「美渡姉、引っ張らないで! 痛い! 耳が痛い!」
果南「あー、午後も練習だから、手加減してやってね」
美渡「……練習がギリできるくらいにはしといてやる」
千歌「ひどい! 果南ちゃーん、助けてー! よーちゃんも助けてよぉ!」
曜「はは、頑張ってね。千歌ちゃんなら大丈夫だよ」
千歌「わーん! 幼馴染が薄情なのだー!」
美渡「ほら、行くぞ! きりきり歩け!」グイグイ
千歌「ごめんなさーい! 許してよー!」
梨子「助けなくてよかったの?」
曜「んー、美渡姉は私や果南ちゃんにとっても、お姉ちゃんみたいなもんだからねぇ」
梨子「ん? どういうこと?」
果南「美渡姉も言ってたでしょ。妹の私たちは、姉には逆らえないんだよ」
梨子「それって、つまり……」
曜「うん、助けないんじゃなくて、助けられない」 ダイヤ「あの、曜さん。いったいルビィたちは、どんな話をしていたんですか?」コソコソ
曜「え? ああ、かくかくしかじかで――」
ダイヤ「――あねあねいもいもというわけですか」フム
ダイヤ「んまーっ! ルビィったら、そんな可愛らしいことを話してましたの?」
果南「あれ、ダイヤ知らなかったの? ちょくちょくやってたじゃん」
鞠莉「あの子たち、お姉ちゃんたちには隠してたみたいだから」
ルビィ「曜ちゃん! お姉ちゃんに言っちゃったの!?」
曜「え、秘密だったの? ごめん、知らなかった」
ダイヤ「私も悪口を言われてやしないかと少し心配でしたが、やはり杞憂でしたわね」ニコニコ
花丸「ダイヤさん、すっごく嬉しそうだね」
善子「死ぬほど緩みきった顔してるわね」 聖良「ふふっ、ルビィさんとそんなことを話してたの?」
理亞「……まあ、そんな感じだけど」
曜「ごめんね、ルビィちゃん。内緒にしてるなんて思わなかったから……」
ルビィ「ううん、別に怒ってないですよ。ちょっと恥ずかしかったってだけだから」
ルビィ「理亞ちゃん、もう気にする必要もないし、今から続きしよっか」
理亞「そうね、まあ仕方ないわね」
ダイヤ「ルビィ、私も加勢しますわ! 黒澤家に敗北はありません!」
ルビィ「いや、これはルビィと理亞ちゃんの――」
ダイヤ「遠慮することはありませんわ! 私たちの絆を見せつけて――」
ルビィ「やめて、お姉ちゃん! お姉ちゃんは関係ないでしょ!」バンッ
ダイヤ「え、いや、関係ないってことは……」
ルビィ「私と理亞ちゃんの勝負に、お姉ちゃんが参加するのは違うでしょ!」バンッ バンッ バンッ
ダイヤ「あの、そんなに机を叩くと、手が痛くなりますわよ?」
ルビィ「ホント空気が読めないというか……。お姉ちゃん、そゆとこあるよね」ハァ
ルビィ「もういいから、ちょっと黙ってて」
ダイヤ「ル、ルビィ!?」ピギャ ルビィ「ごめんね、理亞ちゃん。邪魔が入っちゃったけど、もう大丈夫だから」
理亞「え、ええ、私は構わないけど……」
ルビィ「ルビィのお姉ちゃんがすごいとこはね、責任感が強くて――」
ダイヤ「うぅ、もう私にはルビィが分かりませんわ」ズーン
花丸「ダイヤさんを罵倒したその口で、次の瞬間にはダイヤさんの素晴らしさを語る……」
花丸「ある種の狂気を感じるずら」
善子「まさに光と闇の狂宴! はっ、まさかルビィにも堕天使たる素質が!?」ギラン
花丸「善子ちゃん、そういう話はしてないから」
善子「なんでよ! っていうか、善子じゃなくてヨハネよ!」 ダイヤ「あら、久々の地獄弁ですわね。昨日は一度も聞きませんでしたのに」
梨子「聖良さんがいるから、遠慮してたんですよ。善子ちゃん、人見知りするから」
聖良「そうなんですか? 私を気にする必要なんてありませんよ?」
善子「あぁ、えっと、いや、そういうわけじゃ……」
聖良「私としては、むしろ後学のために聞かせて欲しいくらいです」
聖良「そういった独自の設定は、スクールアイドルとしての武器になりますからね」
善子「設定って言うなー! ヨハネは真なる堕天使なんだから!」
聖良「なるほど、善子さんは普段からそのキャラを徹底しているわけですか」
聖良「そういうプロ意識が高いところは尊敬できますし、見習いたいですね」
善子「いや、だから、えーっと、そのね……」オロオロ
曜「もうやめたげてください」 理亞「姉様は学校の英雄って呼ばれてるんだから! そのプレッシャーがどれだけ――」ワーワー
ルビィ「お姉ちゃんだって、黒澤家の跡取りとして地元のみんなの期待を背負って――」ギャーギャー
聖良「少し気恥ずかしいですが、嬉しいものですね」
ダイヤ「ええ、私たちは実にいい妹を持ちましたわ」
鞠莉「なんか羨ましいわねぇ」ムー
果南「鞠莉も私も一人っ子だからね」
曜「私は従姉妹ならいるんだけどなあ」
善子「でも、あの妹2人も本当に飽きないわよね」
花丸「聞いてるマルまで、姉2人のことに詳しくなっちゃったかも」
聖良「おや、それは嬉しいですね。知られて恥ずかしいことなんて、私にはありませんし」 理亞「姉様は作詞も作曲もできるし、衣装のデザインやダンスの振り付けだってお手の物なんだから!」
理亞「それだけじゃないのよ。お話を創作したり設定を考えたりするのも得意なの」フフン
理亞「『滲み出す混濁の紋章 不遜なる狂気の器 結合せよ 反発せよ 地に満ち 己の無力を知れ』」
理亞「姉様が考案したオリジナルの呪文よ。おしゃれでしょ? これがスクールアイドルよ!」ドヤァ
聖良「やめてください、理亞! その呪文は私に効く!」
曜「聖良さんって、そんな趣味があったんだ……」
梨子「私はなんとなく気づいてたわ。楽曲にその片鱗があるし」
聖良「え? 私の作る曲って、そんな感じですか!?」ガーン
善子「あなたも私と同じ、翼を持つ者だったのね」ギラン
聖良「そのキャラは卒業したんです! 今の私はクールな――」
理亞「姉様はクールに呪文を詠唱するんだから!」
聖良「あああああああぁぁぁぁぁ!!!」 ルビィ「お姉ちゃんだって、スクールアイドルへの愛なら負けないもん!」
ルビィ「色んなことにすっごく詳しいし、特に絵里さんのことだったら何でも知ってるんだから」
ルビィ「住所も電話番号も家族構成も通学路も寝る時間もゴミ捨て場も使ってるシャンプーも……」
ルビィ「ツイッターへの書き込みとアップする自撮りの頻度から、生理周期だって特定したんだから!」
花丸「うわぁ、まさか同じグループにストーカーがいたなんて……」
ダイヤ「違いますわよ! 大好きなエリーチカ様への、純粋で真っ当な愛情です!」
鞠莉「あー、私もポニーテールにしましょうとか勧められたわねえ」
果南「中学の頃でしょ? 私は金髪に染めてみませんかとか言われた」
花丸「金髪でポニーテールだったら誰でもいいずらか? 節操のないストーカーずら」
ダイヤ「花丸さん!? なんか辛辣じゃありません!?」
ルビィ「夜中、お姉ちゃんの部屋から、絵里さんを呼ぶ切ない声が何度も――」
ダイヤ「ピギャァァァーーーッッッ!!!」 理亞「それに可愛いところもあるのよ! ブロッコリーがダメで、夕食に出てくると涙目なんだから!」
ルビィ「小さい頃に東京で迷子になったのがトラウマで、今でも電車に乗るとビクビクして可愛いの!」
理亞「孤高の姉様は高嶺の花だから友達が少ないんだけど、それを気にしてるとこも可愛いのよ!」
ルビィ「実は力が弱くって、『ルビィでも簡単に抑え込めるんだぁ』ってとこが可愛いんだもん!」
曜「あんまり知りたくない情報が、どんどん頭に入ってくるね」
花丸「『知識の多面性が最上である』とは言うけど、これは……」
梨子「これから2人を見る目が変わっちゃいそう」
ダイヤ「聖良さん、この状況は明らかにまずいですわ!」
聖良「ええ、このままだと取り返しのつかないことに――」
ルビィ「お姉ちゃんは白玉が100個――」
理亞「姉様なら熱々のが120個は――」 ダイヤ「せいっ!」ゴキュ
ルビィ「ピギィ!」
聖良「はあっ!」ズドンッ
理亞「ぐふっ!」
鞠莉「ダイヤ、何やってるの!?」
ダイヤ「安心してください。峰打ちです」
花丸「首を捻っておいて、峰打ちとはいったい……」
聖良「私も急所は外しましたから」
曜「思いっきりみぞおち殴ってましたよね?」 ダイヤ「さあ、そろそろ午後の練習を始めますわよ! みなさん、外に出てください」
聖良「この2人はしばらく起きないでしょうから、ここに寝かせておきましょう」
梨子「結局、千歌ちゃんは戻ってこなかったわね」
善子「初日の前半だけで3人がリタイア……。なんて過酷なのかしら」
果南「まだ始まってもないのに、何を言ってんのさ? 大変なのは今からだよ」
果南「聖良の練習メニューを参考にして、けっこうきついの考えたからね」
善子「なるほど、4人目は私ね」
花丸「あの果南ちゃんが、きついって言う練習かあ。マル、5人目を予約しとくね」
梨子「なら、私が6人目ね。2人だけを逝かせはしないわ」
善子「ずら丸! リリー!」ダキッ
曜「ほら、遊んでないで練習を始めるよー」 練習後 部室
善子「あー、疲れたー」グデー
花丸「最後の方は意識がほとんど飛んで、自分が何をやってるのか分かんなくなってたずら」
善子「これがあと4日かあ……。冗談じゃなく、私もリタイアしそうね」
梨子「あの3人も途中からは参加してたけど、なんかふらふらしてたよね」
善子「ダメージ食らった状態であの練習をすれば、そりゃあそうなるでしょ」
花丸「千歌ちゃん、終わったら急いで帰ってったね」
曜「美渡姉から早く帰ってこいって言われてたらしくてさ。お仕置きの続きがあるからって」
梨子「千歌ちゃん、大丈夫かしら?」
果南「まあ大丈夫でしょ。美渡姉も、なんだかんだ言って千歌に甘いからね」 曜「ダイヤさんたちも、すぐに帰っちゃったなあ」
果南「自分たちでやっておいてって言うとあれだけど、妹たちがふらついてたからね」
梨子「でも、ルビィちゃんと理亞ちゃんより、ダイヤさんの方がヤバそうだったわよね」
花丸「確かに今にも倒れそうだったけど、練習中も声はずっと出てたずら」
善子「あの状態でみんなを励ましたり自分は平気だって強がったり……。私もちょっと感動したわ」
曜「すごいよね。精神が肉体を凌駕するって、ああいうのを言うのかな」
果南「ルビィちゃんを背負って帰ろうとしてたけど、どこまで行けたんだろ?」
梨子「おんぶした時点でかなりプルプルしてたから、さすがに途中までだと思いますけど……」
花丸「けろっとした顔で理亞ちゃんを背負った聖良さんは、ダイヤさんの荷物までひょいと持ってたね」
善子「あれは北海道までだって歩いて帰れるわ」
曜「あながち冗談だと言えなそうなところが……」
梨子「姉は強しってところかしら」 鞠莉「やっぱりダイヤたちだけずるいわ! 私も妹が欲しい! 私も姉になりたいデース!」
果南「静かだと思ったら、そんなこと考えてたの?」
曜「妹が欲しいって、パパとママに頼むの?」
鞠莉「いや、さすがにそれはあれだから……。ねえ花丸、私の妹にならない?」
花丸「マルが?」
鞠莉「そう! Aqoursで最もヤングな花丸は、最もお姉さんな私の妹に相応しいわ!」シャイニー
花丸「んー、もし姉にするなら、マルはダイヤさんがいいかな」
花丸「昔からよく可愛がってもらってるし、何よりルビィちゃんと姉妹になれるしね」
鞠莉「くっ、花丸までダイヤが持ってっちゃうの……。果南、ダイヤばっかりずるいと思わない?」
果南「あー、私は別に思わないかな」
鞠莉「ホワイ!?」ガーン
果南「私には、千歌と曜っていう妹分がいるからね」
曜「確かに私と千歌ちゃんは、Aqoursだと果南ちゃんの妹だね」 鞠莉「そんなっ、果南まで裏切るなんて!」
鞠莉「残りのメンバーは……。そうよっ!」
鞠莉「ここに、Guilty Kiss3姉妹の結成を宣言するわ! 梨子と善子は、今日からマリーの妹よ!」
善子「イヤよ、そんな思いつきに巻き込まないで! っていうか今、残りって言ったわよね!?」
善子「残り物とか言われて、誰が妹になるのよ! ほら、リリーも言ってやりなさい」
梨子「……鞠莉さん、ギルキス3姉妹ですが、私は構いませんよ」
善子「なんで!?」ガーン
梨子「ただし、ひとつだけ条件があります」
鞠莉「何? 言ってみて」
梨子「妹は姉には逆らえないと聞きました。だから、善子ちゃんを私の言いなりにしてください」
鞠莉「オフコース! 好きにしなさい!」
善子「勝手に決めてんじゃないわよ! リリーも何を言っちゃってくれてんの!?」
梨子「リリーは禁止! お姉様と呼びなさい! 壁をドンッてしながらよ!」
鞠莉「善子、私は姉さんでも姉貴でもぉねぃちゃぁでもいいわ。好きなように呼んで甘えなさい!」
善子「だ、誰か助けてー!」
果南「どこの姉も、みんな無茶苦茶なこと言うもんだねえ」
曜「でも大好きなお姉ちゃんが相手だから、文句を言いつつも従っちゃうんだよね」 十千万
美渡「バカチカ、おまえちゃんと反省してるか?」
千歌「してるしてる! だから、もう正座は勘弁して欲しいのだ」
志満「美渡ちゃん、もう許してあげたら?」
美渡「んー、でもなー」
千歌「美渡姉、志満姉が言ってるんだよ? お姉ちゃんの言うことは聞かないとダメなんだよ?」
美渡「おまえ、やっぱ反省してないだろ!」グリグリ
千歌「ぎいぃいいぃいやぁ〜!」
志満「でも、千歌ちゃんもいけないわよ。美渡ちゃん、すっごく落ち込んでたんだから」
美渡「ちょ、ちょっと! 志満姉!」
志満「美渡ちゃんは千歌ちゃんが大好きなのに、悪口なんて言われたらそれはショックよ」
千歌「そうなの? 美渡姉?」
美渡「そんなわけないだろ! 千歌なんかにバカにされたのがショックだったってだけだ!」
志満「千歌ちゃんの初ライブのときも、会社の人たちに一生懸命に頼んだらしいわよ」
美渡「それは内緒にしてくれって言っただろ!?」 志満「それに、千歌ちゃんが生まれたときも、とっても嬉しそうだったんだから」
志満「『お姉ちゃんの私が、千歌を守ってやるんだ』って言ってる美渡ちゃんが可愛くってねえ」
美渡「志満姉、もう千歌のことは許すから勘弁してくれ!」
千歌「ねえ、美渡姉」
美渡「な、なんだよ?」
千歌「ごめんなさい、悪口なんて言っちゃって」ペコッ
美渡「いや、そんな真面目な顔で謝るなよ……」
千歌「ううん、本当に悪いって思ったから。……美渡姉、私も大好きだよ」
美渡「やめろ! 恥ずかしいだろ!」
千歌「ねえ、美渡姉。久しぶりに一緒に寝ない? 色々と話したいな」
美渡「いや、さすがに狭いだろ。おまえもいつの間にか大きくなったしさ」
志満「あら、いいじゃない。空いてるお部屋があるから、使っても構わないわよ?」
美渡「……じゃあ、志満姉も一緒なら。こいつと2人だけってのは、なんかあれだし」
志満「ふふっ、それは楽しそうね。お布団、3つ並べて敷かないとね」
千歌「やったー! チカが真ん中ね!」 黒澤邸
聖良「ダイヤさん、大丈夫ですか?」
ダイヤ「……ええ、大丈夫ですわ。何も問題はありません」ゼーゼーゼー
ルビィ「ごめんね、お姉ちゃん。ずっと背負わせちゃって……。重かったでしょ?」
ダイヤ「侮らないでください。妹の1人くらい、背負えなくて何が姉ですか」
ダイヤ「ルビィ、姉とは妹のすべてを背負うもの。あなたのことなど、とうの昔に背負っています」
理亞「かっこいいけど、脚はガックガクよ」チョン
ダイヤ「ピギャァーッ!」
ルビィ「お姉ちゃん!」 聖良「ダイヤさん、先にお風呂に入ってください。ゆっくりとお湯につかれば、疲れも取れますよ」
ダイヤ「客人であるあなたを差し置いて、私が一番風呂をいただくなど……」
聖良「こちらは泊めてもらっている立場です。昨日は私が最初でしたし、今日はダイヤさんがお先に」
ダイヤ「……分かりました。お言葉に甘えます」
ルビィ「ルビィも一緒に入る! 今のお姉ちゃん、ちょっと心配だから」
聖良「確かにそうですね。……でしたら、私も一緒に入りましょうか」
聖良「ルビィさんだけだと、万が一ダイヤさんが倒れでもしたときに大変でしょうから」
ダイヤ「いえ、さすがにそこまで心配されるほどではありませんわよ?」
聖良「だとしても、ご一緒させてもらえませんか? 裸の付き合いというものに憧れがありましてね」
ダイヤ「まあ、そういうことでしたら……」 理亞「姉様、私も入っていい?」
聖良「ええ、もちろんです。4人でも十分なくらいの広さがありましたしね」
ルビィ「理亞ちゃん、一緒にお風呂だよ! 楽しみだね」
理亞「まあ、そうね」
ルビィ「お姉ちゃんとお風呂も久しぶりだなぁ。理亞ちゃん、お姉ちゃんに見蕩れちゃダメだよ」
理亞「ルビィこそ、姉様の完璧な体に驚愕しなさい! 函館が育てたぱいぱいでかメロンに!」
ルビィ「お姉ちゃんもエッチな体してるもん! 胸だけじゃ決まらない色気を見せてあげる!」
聖良「あの子たちは、またやってますね」
ダイヤ「これくらいならいいかと思ってしまうのは、私の感覚が麻痺しているからでしょうか」
ルビィ「私のお姉ちゃんが」
理亞「私の姉様が」
ルビ理亞「「一番すごい!」」 これはルビィちゃんごっこで勝負をつける必要があるわね! ぁのね、りゅびぃぁしたからまたぉしごとなの
さざぇしゃんなんてはじまらなけれなぃぃのにぅゅ… ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています