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梨子「ペルソナ?」
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0001名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 02:16:32.29ID:xenYvSX8
ほう……これはまた、変わった定めをお持ちの方がいらしたようだ……フフ

私の名は、イゴール。
……お初にお目にかかります。

ここは夢と現実、精神と物質の狭間にある場所……

本来は、何かの形で"契約"を果たされた方のみが訪れる部屋……

貴方には、近くそうした未来が待ち受けているのやも知れませんな

どれ……まずは、お名前をうかがっておくと致しましょうか


「……桜内梨子、です」
0002名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 02:18:15.41ID:xenYvSX8
ラブライブ!サンシャイン!!によるペルソナ4ベースのペルソナパロディ

この物語はフィクションであり、実在の人物、団体、地名、事件などとは一切関係がありません。
0004OP♪ Guilty Eyes Fever(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 02:21:24.05ID:xenYvSX8
◇4月 秋葉原

電光掲示板『面倒なのも〜我慢するのも〜にこにはムリ!キライ!シンドスギ!この夏は爽やかにスリム、ケロリーマジック!』
『今もっともホットなスクールアイドル──』

梨子(この街とも、今日でお別れだね)
0007名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 02:25:21.99ID:xenYvSX8
「あなたみたいな可愛い子に、ぜひ!」ピト

「ぴ、ピギャアアアァ〜!!」

「……ルビィちゃんは究極の人見知りずら」
0008名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 02:27:00.83ID:xenYvSX8
『次は、沼津です』


【SNS】
お母さん>一人で来れる?

>大丈夫だよ


『まもなく、沼津、沼津。お出口は右側です』
0010名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 02:28:10.63ID:xenYvSX8
「どうしてです?」

「私が生徒会長でいるかぎり、スクールアイドル部は認めないからです!」

「そ、そんなぁ〜」
0015名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 02:34:31.55ID:xenYvSX8
『次は、伊豆・三津シーパラダイス』

ピンポーン

『次、停まります』


『ご乗車、ありがとうございました』

梨子「……やっと着いた」
0017名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 02:38:32.26ID:xenYvSX8
◇夕方 三津浜

梨子「わあ……!」

梨子(海、綺麗……それに、家からこんなに近いなんて)

梨子(ちょっとだけ入ってみよう、かな。靴を脱いでっと)ヌギヌギ

梨子「よし……冷たっ!」

「待って、だめー!死んじゃだめだよ!」

梨子「きゃあーっ!え?え!?何!?」

────────────────────
0019名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 02:41:13.36ID:xenYvSX8
────────────────────

「なんだ勘違いか〜、ごめんね」

梨子「いいえ。私こそ、何かごめんなさい……」

「まあ今の時期に海に入る女の子は、果南ちゃんくらいかなあ……」

「まだ4月だよ?沖縄じゃないんだから」

梨子「そうですね、すっごく冷たくて……」

「えっと、ここら辺の高校?それとも旅行?」

梨子「うーん、東京から……?」

「東京!?わざわざ!?」

梨子「わざわざっていうか、ちょうど引っ越して――」

「そうだ!じゃあ誰かスクールアイドル知ってる?」
0020名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 02:44:56.99ID:xenYvSX8
>知ってる
 知らない

梨子(知識が足りないみたい……)

 知ってる
>知らない

梨子「……知らないです」

「へ?まさか知らないの?スクールアイドルだよ!?」

梨子「えっと……ぅ」フラリ

「わわ、大丈夫?」

梨子「ごめんなさい、ちょっと目眩が……」

「うーん、東京から来たから疲れてるのかも」

梨子「そうかも……あ、それにそろそろ行かないと」

「そっかー、じゃあ気をつけて!」

梨子「はい、ありがとうございます」
0021名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2019/10/30(水) 02:46:42.80ID:TKLeE2Af
メノノリが出そう
0022名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 02:48:00.41ID:xenYvSX8
◇夜 自宅

梨子母「今日はごめんね、予定が会わないからって迎えにも行けなくて」

梨子「ううん、大丈夫。バスには慣れておきたかったから」

梨子母「それに、お父さんの仕事の都合で急に田舎に引っ越すことになっちゃって……」

梨子「もう、何度も言ってるよ?私は大丈夫だって」

梨子「明日から学校だし、今日はもう寝るね」

梨子母「わかったわ、お休みなさい」
0023名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 02:50:22.96ID:xenYvSX8
◇自室

梨子(今日会った子には、悪いことしちゃった)

梨子(それにもっと話を聞いてあげれば、お友達になれたかもしれないのに)


梨子(今日からこの町、内浦で暮らしていくことになる)

梨子「……上手くやっていけるかな」

梨子(明日から学校だし、早く寝よう)
0024名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 02:52:55.63ID:xenYvSX8
────────────────────

梨子(ここはどこ……?夢?)


辺りは暗闇に覆われている。
目を凝らすと、左右を壁のように鏡が囲っていた。


梨子(あれは……光?)


遥か遠くには、小さな一筋の光。
その輝きを目指して、歩き始める。
0025名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 02:56:15.34ID:xenYvSX8
梨子(歩いても、全然追いつけない……)

「なるほど、面白い素養ですね」


どこからともなく、声が語りかけてくる。


「ですが、あなたにたどり着けますか?」


光を追って、走り出す。
しかしどれだけ走っても、小さな光はより遠退いていく。
0026名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 02:58:45.33ID:xenYvSX8
輝きは消えかかり、視界が徐々に漆黒に飲み込まれる。


梨子「待って!!」

「……いつかまた会いましょう、こことは違う場所で。期待していますよ」

梨子「え、きゃあ──」


硬質な音をたてて、足元の鏡が砕け散る。
身体と意識が、深い闇の底へと落ちていった──

────────────────────
0027名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 03:00:19.62ID:xenYvSX8
◇朝

梨子母「梨子ちゃーん、朝ご飯できたわよー」

梨子「ぅーん……」

梨子(なんだか悪い夢を見た気がする……)

梨子(今日から学校だし、起きないと)
0028名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 03:03:19.53ID:xenYvSX8
◇通学路

梨子(バスに乗ったあと、さらにミカン山を上らないといけないなんて)

梨子(長い坂を上るのは慣れてるけど……ん?)

「〜♪、きゃっ」

梨子(ミカンの皮で滑って転んだ……)

「うぅ、いたたた」

梨子(……そっとしておいてあげよう)

「もう、これだからミカンは嫌いなのよ……ああっ!CDが……」
0029名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 03:06:51.24ID:xenYvSX8
◇浦の星女学院 校門前

梨子(ここが、これから過ごす学校……)

梨子(高校2年になってからの転校なんて……輪に入れるかな)

梨子(ううん、どうせ美術室に籠ってるだけだよ)

梨子(でも、ずっとひとりぼっちも嫌だな……)

梨子「はあ……」

梨子(ここで悩んでても仕方がない、行かなきゃ)
0030名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 03:09:29.04ID:xenYvSX8
◇教室

「作曲ができる人なんて、一人もいない……生徒会長が言う通りだ」

「大変なんだね、スクールアイドル始めるのも」

担任「はーい、皆さん、し・ず・か・に♡」

担任「不本意だけど転校生を紹介するわ」

担任「爛れた都会から辺鄙な田舎へやって来た、可哀想な子よ」

担任「謂わば都落ちレズね」

梨子(!?!?)

担任「じゃあ桜内さん、簡単に自己紹介して」
0031名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 03:12:04.00ID:xenYvSX8
 よろしくお願いします
>誰が都落ちレズですか

梨子(勇気が足りないよ……)

>よろしくお願いします
 誰が都落ちレズですか

梨子「桜内梨子です。よろしくお願いします」

「せんせー! 転校生の席、ここでいいですか!」

担任「空いているなら構わないわよ。どうぞ、桜内さん」
0033名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 03:21:06.36ID:xenYvSX8
「すごい、奇跡だよー!」ヒソヒソ

梨子「あなたは昨日の!」ヒソヒソ

「これからよろしくね!それと、あとでスクールアイドルのことたーっくさん教えてあげるから!」

梨子「う、うん、よろしくね」

担任「それじゃあ出席を取るわよー」

梨子(周りから噂話が聞こえる……)

「東京からだって〜確かにかわいいね」ヒソヒソ

「都落ち?とか言ってたけど、どんな子なんだろう」ヒソヒソ

梨子(上手くやっていけるのかな……)ナミダメ
0035名無しで叶える物語(茸)
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2019/10/30(水) 04:39:45.92ID:qVKWPDgc
今までのサンシャインのペルソナパロ全部エタってるよね
しかも超序盤でしかも大抵梨子主人公
0046>>44 被ってないっぽくてよかったありがとう(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 22:01:36.52ID:xenYvSX8
◇放課後

「梨子ちゃ〜ん!」

梨子「ごめんなさい、お名前が……」

千歌「ああそっか、私は高海千歌!で、こっちが幼馴染の曜ちゃん!」

曜「いきなりでごめんね?よろしく、梨子ちゃん」

梨子「ううん、よろしくね」

千歌「よーちゃん謝らないでよ〜千歌が失礼な人みたいじゃん」

曜「あはは、ごめんごめん。梨子ちゃんにちょっと話があって」


「あ、あのー高海さん」
0047名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 22:04:16.51ID:xenYvSX8
千歌「あ、善子ちゃん!もしかしてスクールアイドル始める気になってくれた!?」

善子「いいえ、この前借りたCDを返そうと思って」

善子「すごいよかった。魂を打ち震わす素晴らしい曲だったわ」

善子「」ペコリ

善子「ごめんなさい!事故だったの!お小遣い入るまで待って!!」

千歌「ああっ、特装限定版のCDにヒビがぁ〜!」

善子「本当にごめんなさい!何でもするから」

千歌「じゃあ一緒にスクールアイドルやって!」

善子「それとこれとは別よ!」

千歌「え〜」


※善子も2年生、同じクラスです
0048名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 22:07:18.00ID:xenYvSX8
梨子「スクールアイドル……高海さんって、いつもこんな感じなの?」

曜「千歌ちゃん、先月から急にスクールアイドル始めたいって」

曜「私も協力してあげたいんだけど、部として認めてもらうには人数が足らなくて」

梨子「もしかして話ってそういう……」

曜「そういうことであります!」

曜「特に作曲ができる人を探してて──」

千歌「くぅ〜また善子ちゃんに逃げられた、でも諦めないぞー」

千歌「そうだ梨子ちゃん!梨子ちゃんもスクールアイドル始めよう!」

梨子「私?私なんて地味で、踊ったりなんて全然……」

千歌「えー、梨子ちゃん大人っぽいし、そんなことないよ〜」

曜「まあまあ、転校してきていきなり言われても、梨子ちゃん困っちゃうだろうし」

千歌「ぐぬぬ、確かにそうかも」

曜「梨子ちゃんの話も聞きたいし、とりあえず今日は一緒に帰らない?」
0049名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 22:11:13.83ID:xenYvSX8
◇バス

千歌「東京と違ってこっちはなーんにもないでしょ」

曜「沼津のほうに出れば、一応いろいろ揃いはするんだけどね」

千歌「でもミカンとか、水族館とか、あとやっぱり海は自慢できるよ」

梨子「うん、海岸からの景色がほんと綺麗」

曜「それと、千歌ちゃんちの旅館も自慢の名所だよ!」

千歌「べ、別に、古いだけだよ〜」

曜「有名な作家さんにゆかりのある、立派な旅館なんだ」

曜「千歌ちゃんはそこの三姉妹の末っ子でさ、美人三姉妹なんだよ」

千歌「ちょっとよーちゃん、恥ずかしいからやめて……」

梨子「もしかして、お隣さん?」

千歌「最近隣に引っ越してきたのって、梨子ちゃん!?」

曜「え、ほんと!?」

梨子「すごい偶然だね」
0050名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 22:17:20.57ID:xenYvSX8
千歌「やったやった、お隣さんだー♪」

曜「そう言えば、梨子ちゃんは何で東京から転校してきたの?」

梨子「お父さんの仕事の都合で」

千歌「東京から来たってだけあって、おしゃれだよねー」

梨子「そうかな、同じ制服だよ?」

曜「うんうん、同じ制服なのにとっても可愛く見えるよ」

梨子「そ、そんなことないよ//」

曜「前の学校はなんて高校?東京のどのあたり?」

梨子「秋葉原の、音ノ木坂学院っていうところだよ」

千歌「音ノ木坂!?μ'sと一緒じゃん!!」

梨子「ミューズ……名前だけ聞いたことがある、かも」

千歌「すごいすごい、やっぱり奇跡だよ!」

曜「あ、千歌ちゃんたちそろそろ着くよ」

千歌「えー、話し足りないよ〜」
0051名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 22:20:35.85ID:xenYvSX8
梨子「渡辺さんは?」

曜「私が住んでるのは沼津のほうなんだ」

梨子「わざわざ向こうから、毎朝?」

曜「あはは、もう慣れちゃったけどね」

千歌「小さい頃はこっちに住んでたんだけど、引っ越しちゃったんだ」

曜「じゃあ二人とも、また明日!今日はありがとうね、梨子ちゃん」

梨子「こちらこそありがとう。また明日」

千歌「よーちゃんまたねー」
0053名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 22:27:15.37ID:xenYvSX8
◇十千万旅館前

千歌「ここがうちの旅館です!梨子ちゃんのおうちは?」

梨子「私の家はそっちだよ」

千歌「おー、本当にお隣さんなんだ!」

梨子「こんな立派な旅館がお家なんて、うらやましいな」

千歌「そんなことないよ〜、お手伝いとか結構頼まれるし」

梨子「お手伝い?」

千歌「お掃除とか、たまにお料理運んだりもするし」

千歌「時期によっては忙しくて困っちゃう」

梨子「そうなんだ、旅館がお家っていうのも大変なんだね」
0054名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 22:29:51.01ID:xenYvSX8
千歌「ただいましいたけ、いい子にしてた〜?」

梨子「え、わわ、ワンちゃん!?あの高海さん、このワンちゃんって」

千歌「うちで飼ってるしいたけだよ」

しいたけ「……」ジーッ

梨子「」ビクッ

しいたけ「ワンッ」

梨子「ひぃっ!!ごめんなさーい!また明日ー!」

千歌「あ、梨子ちゃーん……こらしいたけ、ビックリさせちゃだめだよ」

しいたけ「……」
0055名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 22:33:20.15ID:xenYvSX8
◇翌日 朝 通学路

梨子(あ、昨日の子……確か同じクラスだったよね)

善子「〜♪、わっ」

梨子(またミカンの皮で転んだ)

梨子(しかもポリバケツに頭から突っ込んでる)

善子「だ、ダレカタスケテ……」

梨子(……助けたほうが良さそう)
0056名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 22:36:26.88ID:xenYvSX8
────────────────────

善子「ふー助かったわ、ありがとう」

梨子「大丈夫?怪我はない?」

善子「ええ、問題ないわ」

善子「あなた転校生ね。桜内梨子さん」

善子「同じクラスの津島善子よ、よろしく」

梨子「うん、よろしく」

善子「やばっ、もうこんな時間!」

梨子「え、嘘!」

善子「急ぐわよ!!」
0057名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 22:41:21.62ID:xenYvSX8
◇放課後 教室

善子「朝はありがとう、桜内さん」

梨子「ううん、どういたしまして」

善子「どう?この町にはもう慣れたかしら?」

梨子「うーん、さすがにまだ慣れないかな」

善子「まあそうよね、来たばっかりで知り合いも少ないでしょうし。私も人のことは言えないけど」

梨子「津島さんも転校生?」

善子「別にそういうわけじゃないけど……近いものがあるというか」

梨子「そうなんだ……?」
0058名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 22:45:34.04ID:xenYvSX8
善子「内浦、何もない田舎なのよね〜。ミカンが名産だけど、不幸にも私の嫌いな食べ物だし」

梨子「ミカンの皮で転ぶ人は、私初めて見たかも」

善子「……沼津のほうには、美味しいケーキ屋とか喫茶店が結構あるのよ」

善子「よかったら一緒に行かない?奢るわよ、今朝助けてもらったお礼に」


千歌「お、二人が揃ってる!チャンスだよーちゃん!」

善子「うっ、出たわねミカンの化身」

曜「ごめん千歌ちゃん、今日はどうしても水泳部のほうに顔出さないといけなくて」

曜「千歌ちゃん、梨子ちゃん善子ちゃんも、また明日!」

千歌「あ、曜ちゃん……」
0059名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 22:48:04.33ID:xenYvSX8
梨子「渡辺さんって水泳もやってるの?」

善子「そうね、学校の有名人。飛び込みで全国レベルって話よ」

千歌「やっぱり曜ちゃんも忙しいのかな」シュン

善子「……仕方ないわね、あなたもケーキ食べに行くわよ」

千歌「え、いいの?」

善子「奢るわよ、CDのお詫び」
0060名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 22:51:30.79ID:xenYvSX8
◇沼津 Grandma

千歌「紅茶で乾杯するの?」カンパーイ

善子「別にいいじゃない、歓迎の印よ」カンパーイ

梨子「うん、ありがとう」カンパーイ

千歌「それでは早速。んっんー……」

千歌「善子ちゃん梨子ちゃん、スクールアイドルやりませんか?」

善子「またそれなの……」

千歌「だって人数足りないんだもん」

善子「だからって私じゃなくてもいいじゃない」

千歌「でも二人ともすっごく可愛いし」
0061名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 22:54:23.54ID:xenYvSX8
千歌「それに善子ちゃん前に堕天使を名乗ってて――」

善子「その話はやめてっ!」

梨子「」ビクッ

千歌「ご、ごめん……」

善子「……私こそ、ごめんなさい」

千歌「……」

善子「……」

梨子(堕天使?)

善子「桜内さんは?スクールアイドル」

梨子「えっ私?私も人前で踊ったりとかは……」

千歌「そこを何とか!やってみたら絶対楽しいと思うし、ライブの動画を見ればきっと好きに──」

「マジムカつくよね〜」
「そうだよね〜」

善子「!」
0062名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 22:56:56.15ID:xenYvSX8
梨子「どうかしたの?」

善子「ううん、何でも──」


「あ、中学のとき一緒だった」

「堕天使ヨハネちゃんだっけ」

「生放送まだやってるのかな?」


善子「っ」ガタン

千歌「善子ちゃん!?出ていっちゃった……」

梨子「お、追いかけよう?」
0063名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 23:00:19.89ID:xenYvSX8
善子「はあ、やってしまった……」

千歌「善子ちゃん、どうしたの?」

梨子「知り合い、みたいだったけれど」

善子「ごめんなさい……何でもないから」

梨子「でも……」

善子「大丈夫だってば。忘れてちょうだい」

千歌「そうだ、悩める善子ちゃんにイイコトを教えてしんぜよう」

善子「いいこと?」

千歌「スクールアイドルの間で話題のおまじないだよ」
0064名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 23:04:04.20ID:xenYvSX8
善子「何言い出すかと思えば……馬鹿馬鹿しい」

千歌「バカって言った!?人にバカって言う方がバカなんだよ?」

梨子「まあまあ……でも私も信じられないかも」

千歌「え〜そんなぁ、最近流行ってるんだよ?」

善子「はぁ〜……そもそも、あなたは試したの?」

千歌「そう言えば、やったことないかも……」

善子「自分もやったことないのに人に勧めたの……」

千歌「むー、じゃあ今夜それぞれやってみよう!梨子ちゃんもね!」

梨子「え、私も?」

千歌「にっこにっこに〜♪って、絶対だよ!」

善子「まったく……まあ一応覚えておくわ」
0065名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 23:05:23.48ID:xenYvSX8
>>64 ミス、こっちが先

千歌「まず大きめの鏡の前に一人で立ちます」

千歌「そしてμ'sの矢澤にこさんの真似をするんだって。にっこにっこに〜♪って」

千歌「するとなんと、その人にとって理想の自分の姿が鏡に映る」

千歌「しかも、見つめているとアドバイスをくれるんだって!」
0066名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 23:08:05.13ID:xenYvSX8
◇夜 自室

梨子「化粧台の鏡、あんまり大きくないけど大丈夫かな」

梨子「指はこうだっけ」

ニッコニッコニー!
ユビマチガエタカナ、モウイッカイ
ニッコニッコニー!ニッコニッコニー!!

ウッサイバカチカ!!!

梨子「……外に聞こないよう気をつけよう//」
0067名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 23:11:21.00ID:xenYvSX8
梨子(鏡の前で一人、スクールアイドルだったことで有名な矢澤にこさんの真似をする)

梨子(すると、なりたい自分の姿が鏡に映る)

梨子(なりたい自分……将来の夢ってことかな)

梨子(私の夢……うーん、何なんだろう?)

梨子「そもそも映るわけない、か」

梨子(でも約束したし、一応やらないとね)

梨子「よし──」
0068名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 23:13:05.79ID:xenYvSX8
梨子「にっこにっこに〜♪」

梨子「……」

鏡『メイσ_σリ』

梨子「やっぱり何も──」

鏡『メノ^ノ。^リ』

梨子「!?頭が、痛っ……!」


「我は汝……汝は我……汝、扉を開く者……」


梨子「はあ、はあ……何だったの、今の……」
0069名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 23:15:53.03ID:xenYvSX8
梨子(今はもう普通だけど……)


梨子は確かめるように、指先で鏡に触れる。
するとまるで水面のように、映る景色が波で歪む。


梨子(もしかして、入れる……?)


もう一度ゆっくりと手で触れると、鏡の中へ指先が飲み込まれて行く。
0070名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 23:17:19.60ID:xenYvSX8
梨子「どうなって……きゃあっ!?」


何かが梨子の手をつかみ、鏡の中へと引っ張る。


梨子「は、離して!」


引き込まれないように抵抗していると、掴まれていた手が急に離される。
バランスを崩した梨子は、後ろに大きく倒れ込む。
0071名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 23:19:31.14ID:xenYvSX8
ゴツンッ

梨子「いった〜〜っ!」


コンコン

梨子母「梨子ちゃん大丈夫?すごい音したけど」

梨子「へ、平気だよー……」

梨子(……さっきのは何だったんだろう)

梨子(鏡の中の私は、笑ってた。理想の姿かはわからないけど)

梨子(それでも十分不思議なのに、さらに、鏡の中に手が……)

梨子(鏡を見るのが、少し怖い……)

梨子(とりあえず、明日みんなに話してみよう)
0072名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/10/30(水) 23:22:56.69ID:xenYvSX8
今日はここまで
今更ですが戦闘描写などに地の文を使います

明日P5R発売おめでとうございます
0077>>75 ただのネタなので深い意味はないです(もんじゃ)
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2019/10/31(木) 23:59:13.81ID:cCmFVAbY
◇翌日 放課後

梨子「ねえ、二人とも」

曜「あ、梨子ちゃん。もしかして、スクールアイドルやる気になってくれた?」

梨子「ううん、そうじゃなくて──」

千歌「ごめん、今日は旅館の手伝いしないといけないから先に帰るね!」

曜「珍しいね、こんな時期に」

千歌「昨日の夜ちょーっぴりやらかしちゃって」

梨子「私の部屋にも聞こえたよ」

曜「聞こえた?」

梨子「うん、千歌ちゃんの物真似が」

曜「あはは、あのおまじない、千歌ちゃん試したんだ」

千歌「梨子ちゃんにも聞こえてたんだ、恥ずかしい……」

千歌「早く行かないとまた怒られる、じゃあね!」

梨子「うん、また明日」

曜「頑張ってねー」
0078名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 00:01:08.13ID:ZANJwrYd
梨子「うーん、また今度にしようかな」

曜「何の話?」

梨子「さっきのおまじないの話なんだけれど」

梨子「昨日津島さんと3人で、夜にそれぞれ試そうってことになってて」

曜「なるほど。善子ちゃーん!!」

善子「なによ、帰るとこだったんだけど」

曜「梨子ちゃんが話があるんだって」
0079名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 00:05:28.04ID:ZANJwrYd
曜「鏡に映っていた自分が笑って?」

善子「しかも鏡の中に手が入った?」

梨子「うん、そうなの」

曜「梨子ちゃん引っ越してきたばかりで、疲れすぎてるんじゃ」

善子「忠告よ、もうそういうオカルトからは卒業なさい」

梨子「嘘じゃないってば!」

善子「そんなこと言われても、信じられるわけないじゃない」

梨子「そうかもしれないけれど、本当なの」

曜「うーん、じゃあさ、もう1回試してみる?」
0080名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 00:08:43.91ID:ZANJwrYd
◇体育館

梨子「どうして体育館に?」

曜「こっちこっち、この部屋だよ」

善子「何なのよ、もう」

曜「この部屋今は倉庫として使われてるんだけど、大きな鏡があるんだ」

梨子「鍵はかかってないの?」

善子「……なんで貴方まで乗り気なのよ」

梨子「だって二人とも信じてくれないんだもの」

ガラガラ

梨子「開いてる……」

曜「ちっちゃな学校だからね、結構いい加減なんだよ」

善子「はあ……あの生徒会長とかに見つからないといいけど」

曜「大丈夫大丈夫、部活休みだし今日は誰も来ないって」
0081名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/11/01(金) 00:11:20.71ID:ZANJwrYd
曜「まあでも、万が一見つかる前に中に入ろっか」

梨子「お、お邪魔します」

善子「うう、汚いし、埃っぽい……」

梨子「えっと、鏡ってこれかな?」

曜「布を外してっと」

善子「大きな姿見……全身が映るわね」

曜「じゃあ早速試してみよっか!」
0082名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 00:15:44.24ID:ZANJwrYd
善子「試すって言っても、どうするの?」

曜「とりあえず梨子ちゃんが物真似してみればいいんじゃないかな」

梨子「私がやるの?そんな、恥ずかしいよ//」

善子「いや当然でしょ……」

梨子「考えてなかった……」

善子「はあ……そもそも例のおまじないって、こんな風に人集めてやるものじゃないわよ」

曜「あー、たしか一人でやらないとだめって聞いた気が」

梨子「そっか、じゃあやっぱり試せないね、うん」

曜「それなら私たち部屋の外で待ってるよ。梨子ちゃんの話気になるし!」

善子「それもそうね。ここまで来たんだから、一応やってもらわないと」

梨子「えー……//」

曜「終わったら呼んでねー」

ガラガラ
0083名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 00:18:45.44ID:ZANJwrYd
リコチャン、ダイジョウブカナ

ケッコウカワッタヒトネ

梨子(見られはしないけど、声聞こえてるよ//)

梨子「はあ……とりあえず、試してみないと」


梨子「にっこにっこに〜//」


鏡『メイσ_σリ』

梨子(何も起きない……)
0084名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 00:22:02.10ID:ZANJwrYd
ニッコニッコニ~

曜(かわいい)

善子(かわいい)

ガラガラ

曜「どうだった?梨子ちゃん」

梨子「ううん、何にも……」

善子「当然でしょ。そんなオカルトじみたこと、起こるわけないじゃない」
0085名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 00:25:09.34ID:ZANJwrYd
梨子「でも、昨日はこうやって手を──」

梨子は姿見にゆっくりと触れる。
すると像が揺れ、手首まで鏡の中に飲み込まれる。


善子「はあ!?」

曜「手がささってる!?!?」

梨子「ほら、ほら!」

善子「まじなの!?すごい、どんなイリュージョン!?タネは!?」

梨子「マジックじゃないよ、本当に中に入れるみたい」グイッ

曜「腕まで!?すごいすごい!」

善子「裏側突き抜けてないわよね!?どうなってるのよ!?」


「どなたかいらっしゃるのですか?」
0086名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 00:28:40.00ID:ZANJwrYd
善子「今の声って」

曜「生徒会長だよ、見つかったら怒られる!」

梨子「ど、どうしよう?」

善子「そんなことより、ここに腕が鏡に刺さった人いんのよ!?」

曜「ど、ど、どうしよ!?」

善子「こうなったら……ごめんなさい桜内さん!」グイッ

梨子「きゃっ、え、え!?押さないでよ!」
0087名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 00:31:50.21ID:ZANJwrYd
曜「善子ちゃん!?」

善子「早くしないと見つかるってば!」グイグイッ

梨子「うそ、ちょっと待って──」スッ

善子「いいから早く──」スッ

曜「二人とも、鏡に入っちゃった……私も、全速前進!」コツン

曜「あれ?」ツンツン

「一人で何をしていらっしゃるのですか?渡辺さん」

曜「あ、あはは……」
0088名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/11/01(金) 00:34:41.77ID:ZANJwrYd
梨子「きゃあっ」ドサ

善子「うわわ」ドサッ

梨子「いたた……もう、押し込まないでよ」

善子「あの状況じゃ仕方がないでしょ。それより、ここって」

梨子「同じ部屋?」

善子「いいえ、全部反対向きになってる……」

梨子「鏡に映っていたのと同じ向き、だね……」


善子「それじゃあ私たち!?」

梨子「本当に鏡の中に!?」
0089名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 00:37:40.96ID:ZANJwrYd
◇鏡の世界

善子「夢、かしら?」

梨子「ゆ、夢じゃないかな、こんなのあり得るわけ……」

善子「そうね、夢よね……ちょっとほっぺた貸して」ツネリ

梨子「いひゃ、ちょっと!」

善子「……どうやら現実みたいね」

梨子「うう、もう……でも、鏡の中に入れるって、どうなってるの?」

善子「私が聞きたいわよ。鏡の反対側にもうひとつ世界があるなんて、それこそおとぎ話じゃない」
0090名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 00:41:05.56ID:ZANJwrYd
善子「あなたは何か知らないの?手が入ってたわけだし」

梨子「ううん、私にも何にも……」

善子「はぁ、まあ反応を見る限りそうよね」

梨子「あの、私たち、戻れるよね……?」

善子「えっそれは……知らない……」

梨子「だ、大丈夫なの!?」

善子「入ってこれたんだから、出れるに決まってるでしょ!……多分」

梨子「うーん……入ってきた鏡は一応そこにあるけど」
0091名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 00:43:18.89ID:ZANJwrYd
曜『こ、こんにちは!』

『こんにちは。それで、この部屋で何をしていらっしゃるのですか?』

曜『ちょっと部で必要な用具を探しに』

『今日は水泳部も休みのはずですが』

曜『休みだからこそ、ですよ』

『そうですか……ところで、この部屋の鍵は──』

曜『!、えっと、それももちろん借りてきてて』

『……今、私が持っているのですが』

曜『うぇっ!?うう、ごめんなさい……』

『謝るなら最初からそうなさい』

『無断で入って、万一怪我をしたらどうするのですか?それに──』
0092名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 00:46:32.72ID:ZANJwrYd
梨子「渡辺さん、叱られてるね。あの人が生徒会長?」

善子「そう、生徒会長の黒澤ダイヤ。ここらじゃ有名よ」

梨子「珍しい名前だね……あ、渡辺さんこっち見てる」

善子「もしかして、私たち見えてる!?」

梨子「生徒会長は私たちに気づいてないみたいだよ」

善子「よかった、向こう側からこっちは見えないってことかしら」

梨子「でもどうしよう……出て行くわけにもいかないし」

善子「ふっふっふ、ならやるべきことは1つ、探索よ!」
0093名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 00:50:34.38ID:ZANJwrYd
善子「鏡の中に入れるなんて前代未聞だし、どうなってるか気になるじゃない」

梨子「あ、危なくないかな」

善子「でも今、生徒会長のお説教中でしょ?」

善子「うちの生徒会長のお説教は長いことで有名よ。その間暇じゃない」

梨子「そうかもしれないけど……」

善子「それに私一人でも行くわよ。こんな機会、またあるかわからないし」

梨子「え、津島さん!?待って、置いていかないで!」
0094名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 00:53:36.67ID:ZANJwrYd
◇鏡の世界 体育館

梨子「何なの、これ」

善子「すごいっ、なんて大きな魔方陣!」

梨子「体育館の床一面に書かれてる……誰が、何のために……?」

善子「現世から秘匿されし空間にて、悪魔を復活させんとする儀式を執り行ってる、とか」

梨子「あ、悪魔!?」

善子「ふふっ、冗談よ」

梨子「怖いんだから脅かさないでよ」
0095名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 00:57:14.92ID:ZANJwrYd
善子「異世界にこんなものがあるなんて、テンション上がるわね!」

梨子「私は不安でいっぱいだよ……」

善子「見なさい、魔法陣の蝋燭に火がついてる」

梨子「えっと、それがどうかしたの?」

善子「見た限り、あまり蝋は溶けていない。つまり、誰かが少し前に火を灯したってことよ!」

梨子「……まさか、その人を探すなんて言わないよね?」

善子「私たち以外に誰かいるのかもってだけよ」

善子「まあ鏡の中で、こんな推理に意味があるかはわからないけど」

梨子「そっか、じゃあこれ以上は行かないんだね」

善子「そうは言ってないでしょ」

梨子「もう……でも他に何があるかわからないし、本当に危ないんじゃ」

善子「所詮学校なんだし、危険なようならすぐ戻れば大丈夫よ」

善子「とりあえず校舎のほうまで行きましょ。嫌なら待ってていいわよ」テクテク

梨子「そんなぁ〜」ナミダメ

梨子「うぅ、一人はもっと嫌だよ……」テクテク
0096名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 01:00:52.78ID:ZANJwrYd
◇鏡の世界 渡り廊下

梨子「スマホは圏外……まあそうだよね」

善子「か、かっこいい!」

梨子「これは何?ハエの石像?」

善子「ベルゼブブね、悪魔の帝王よ」

梨子「悪魔!?元はマリア様の像があった場所なのに……」

善子「そしてこっちの絵はベリアルね!」

梨子「津島さん、こういうの詳しいの?」

善子「そ、そんなことないわ!一般教養よ、一般教養!」

梨子「そうなんだ……?」
0097名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 01:04:54.64ID:ZANJwrYd
善子「魔法陣に悪魔像。ほんとに悪魔復活の儀式でもしてるのかしら」

梨子「鏡の中に悪魔だなんて、不気味」

善子「鏡に手を入れた時点で相当気味悪いわよ」

梨子「そう言われると、確かにその通り……」

善子「とにかく、今のところは謎が深まるばかりね」

梨子「うーん、そもそも何で鏡の中に入れたんだろう?」

善子「そんなの考えたってわかりっこないわよ。さて、他には何があるかしらね〜」
0098名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/11/01(金) 01:09:41.17ID:ZANJwrYd
◇鏡の世界 校舎 1F

梨子「誰もいない……やっぱり気味が悪いよ……」

善子「クックックッ、静寂が心地よい」

梨子「津島さんは怖くないの?」

善子「そんなわけないでしょう、この堕天使……何でもない!」

梨子「……?」

善子「それにしても本当に静かね」

梨子「うん、教室の中にも誰もいないみたい。外に出たときも思ったけど、なんだか雰囲気もおかしいよ……」
0099名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/11/01(金) 01:12:36.40ID:ZANJwrYd
善子「せめて何かこの世界についての手がかりでもあればいいんだけど」

梨子「もしかして、教室全部回るの?」

善子「決まってるでしょ。まだ何もわかってないじゃない」

梨子「もう生徒会長もいないだろうし、とりあえず一旦戻ってもいいんじゃ」

善子「ここまで来たのよ?また来れるかわからないんだし、もうちょっとだけ──」


……サマ~、……ネサマ~


善子「!、ちょっと待って、声がしない?」
0100名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 01:14:53.91ID:ZANJwrYd
善子「上の階かしら?行ってみましょう!」

梨子「ちょっと!……ん?」

梨子(掲示板、変な掲示物ばかり……)


「天界堕天条例 その713──」
「堕天の儀 毎週金曜日 体育館にて」
「リトルデーモンの歌 リトリトリットーリットールー♪」


梨子(何これ、意味が分からない……)

善子「ほら、早くしないと置いて行っちゃうわよ!」

梨子「あ、待ってよ、津島さん!」
0101名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 01:20:53.97ID:ZANJwrYd
寝ます
凛ちゃん誕生日おめでとう
0106名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 23:24:09.53ID:ZANJwrYd
◇鏡の世界 校舎 2F

梨子「ここって、私たちの教室だよね?」

善子「反対向きだけど、そのはずね」

梨子「中に誰かいるみたいだけど……」


「ヨハネ様〜」
「ヨハネちゃん、占って〜!」
「ヨハネ様、一緒に儀式してください!」


善子「……」

梨子「……ヨハネ様?」
0107名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 23:27:19.70ID:ZANJwrYd
善子「っ……誰なの!」


善子は教室の扉に手をかけ、勢いよく開け放つ。
教室の中には、一人の少女を取り囲むように群がる、不気味な仮面をつけた少女たち。
その中心にいたのは、黒い衣装を纏った、善子と瓜二つの少女だった。


善子「なっ」

梨子「双子?」

善子「いないわよ!あんた誰!?」


善子?「クックックッ、よく来ましたね、“私”」
0108名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 23:29:31.00ID:ZANJwrYd
善子「わ、私?何言ってるの?」

善子?「我が名は堕天使ヨハネ」

善子?「ここで貴女を待っていたのです、リトルデーモン達と共に」


もう一人の善子は、仰々しく腕を広げる。
仮面の少女たちの感情のない視線が、一斉に善子へと向けられる。


善子「っ!?」

梨子(周りの子たち、血が通ってないというか……本物の人間じゃ、ない?)
0109名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/01(金) 23:35:38.39ID:ZANJwrYd
善子?「さあ、次は皆で占いをしましょうか」

「占ってヨハネ様〜」
「ヨハネちゃん、私も〜」

善子「な、何なのあんたたち、タチの悪いドッキリ?誰だか知らないけど、人のこと馬鹿にしないで!」

善子?「ドッキリ?何を言っているのかしら」


もう一人の善子の鈍い金色の瞳が、善子をギラリと捉える。


善子?「堕天使としてリトルデーモンを従える。それは貴女の望みでしょう、ヨハネ」

善子「な、なによ……そんなの、とっくの昔に……」

梨子(堕天使って、確かこの前高海さんも言ってた……)

善子?「いいえ、貴方は今でも望んでいる。この瞳はすべて見通しているのです」

善子「う、うっさい!あんたに何がわかるのよ!!」

善子?「はぁ〜……ノリが悪いわねえ、少し遊びましょうか」
0110名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/11/01(金) 23:41:10.27ID:ZANJwrYd
善子?「鬼ごっこでもしましょう?リトルデーモン!」

もう一人の善子は指をパチンと鳴らす。
その合図に応じて、少女の一人が一歩前へと踏み出した。
少女は一瞬震えると、ぐちゃりと音を立てながら、黒いヘドロへとその形を失っていく。


善子「ひっ」

梨子「!?」


ヘドロは梨子たちの背丈ほどの球体となり、宙へと浮き上がる。
球体がくるりと向きを変えると、そこには巨大な口と真っ黒な舌が形作られていた。
0111名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/11/01(金) 23:44:37.11ID:ZANJwrYd
善子?「さあ、リトルデーモン達と遊びましょう?」

善子「何なの、こいつら……」

梨子「に、逃げよう!」


善子の手を引いて、梨子は教室を飛び出す。
廊下を駆け出した二人を、数体の怪物が追いかけてくる。


善子「何なのよ、あの化け物!」

梨子「わからない!」

善子「それに、私そっくりのやつがもう一人!」

梨子「だからわからないってば!とにかく逃げるの!」
0112名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/11/01(金) 23:51:28.37ID:ZANJwrYd
◇鏡の世界 体育館

善子「はあ、はあ……」

梨子「あとちょっとだよ、早く鏡に……っ!」


何とか怪物を撒きつつ、体育館へと駆け込む。
しかし姿見のある倉庫の前には、すでに球体の怪物が待ち構えていた。


善子「なんでここにもいるのよ!」

梨子「待ち伏せされてたのかも……」
0113名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/11/01(金) 23:57:40.84ID:ZANJwrYd
背後からも、梨子たちを追いかけてきた怪物が現れる。
合わせて3体の怪物たちは舌舐めずりをしながら、二人を体育館の中央へと追い詰める。


善子「ここで、殺されるの?」

梨子「……っ」

善子「い、嫌……、誰か、たすけて……」

梨子(なんとかしないと……でも、どうすれば……っ!)


梨子(あ、頭が、痛いっ!?)

梨子(これって、あの時と同じ──)
0114名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/11/02(土) 00:00:51.56ID:yTbqQDzn
割れるような頭痛と耳鳴りが梨子を襲う。
今度ははっきりと、頭の中に少女の声が響く。


「我は汝……汝は我……」

「今こそ、扉を開くとき……」

梨子(──!)


いつの間にか、梨子の右手には一枚のカードが握られていた。

青く淡い光を放つカードと、カードに描かれた桜色の少女。
それを見た梨子はニヤリと笑みを浮かべ、そして呟いた。


梨子「ペ、ル、ソ、ナ……!」
0115♪ Strawberry Trapper(もんじゃ)
垢版 |
2019/11/02(土) 00:05:02.86ID:yTbqQDzn
カードは青い炎をまとい、より一層輝き出す。
梨子は力を込めて、カードを握りつぶした。


パリンッ!!

梨子「はぁーーーっ!!」


炎が全身を包み、旋風が巻き起こる。
青い炎の渦流の中から、少女が現れる。

赤いツインテールに、白い水玉模様があしらわれた桜色のドレス。
背中の不釣り合いに大きな斧と銀の靴が、冷たい輝きを放っている。


「我は汝……汝は我……」

「我は汝の心の海より出でし者……夢幻の旅人『ドロシー』」

梨子「行くよ、ドロシー!」
0116名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/11/02(土) 00:08:26.15ID:yTbqQDzn
怪物の1体が、梨子たちを噛み砕こうと向かってくる。

梨子はただ右手を前へと伸ばす。
ドロシーはその動きとシンクロするように、手を前へ突き出す。
すると背中の斧がひとりでに弧を描き、飛び掛かってきた怪物を叩き斬った。


梨子「ふふっ」

善子「な、何が起こってるの……」


真っ二つに斬られた怪物は、黒い塵となって消え去っていった。
0117名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/02(土) 00:11:36.45ID:yTbqQDzn
反撃とばかりに、2体の怪物がドロシーへと突撃する。
連続した攻撃を避けきれずに、怪物の突進がドロシーを突き飛ばす。
体当たりを受けたドロシーのダメージは、梨子へと伝わる。


梨子「うっ……このっ!」


怪物の1体を宙に浮いた斧が捉え、斬り裂く。
もう1体をドロシーが銀の靴で蹴り飛ばした。


梨子「ドロシー!!」カッ


ドロシーは右手から水の弾を放つ。
水弾は蹴りで怯んだ怪物に着弾すると、しぶきを上げて炸裂する。
水擊を喰らった怪物は破裂して消えていった。
0118名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/11/02(土) 00:15:58.70ID:yTbqQDzn
梨子「はあ、はあ……やった……!」

善子「す、すっご……」


役目を終えたドロシーは、青い光とともに姿を消した。


梨子「“ペルソナ”……これが私の、力……」
0122名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/02(土) 23:02:19.80ID:yTbqQDzn
すみません、今日ともしかしたら明日も更新できないです

現在梨子ちゃんの人間パラメータは次のようになってます
知識 1 芸術一筋
魅力 1 目立たない
勇気 1 はわわ
伝達力 1 ひかえめ
女子力 1 普通
0129名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/11/06(水) 00:31:52.28ID:35alNtz1
善子「すっごい……な、何なの、今の?」

善子「“ペルソナ”って言ってたわよね、あれってどういう」

善子「というか一体何したの?ねえ、私も出せたりしないの!?」

梨子「え、えっと、私にも何が何だか」

パチパチパチ

善子?「我が僕を退けるとは、誉めて遣わしましょう」

善子「あ、あんた!」

善子?「それに比べて私は、泣いて助けを乞うだけなんて。情けないわねえ」

善子「っ……」
0130名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/06(水) 00:35:23.35ID:35alNtz1
善子?「でも仕方がないわよね。黒魔術?悪魔召喚?そんなの貴方には使えっこないんだから」

梨子「あなた、何者なの?」

善子「そ、そうよ、さっきから“私”って、ふざけんじゃないわよ」

善子「それに黒魔術とか、私にはもう関係ない!」

善子?「自分を偽るのはやめなさい、堕天使ヨハネよ」

善子?「今の姿は人の世に溶け込むための仮初の姿」

善子?「自分のありたいように自由に振る舞って、特別な存在として皆に愛されたい」

善子?「それの何がいけないというの?」

善子「な、何言って……私はそんなこと……」

善子?「いいえ、貴女はそう願っている。私こそが、貴女の“理想”の姿なのだから」
0131名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/11/06(水) 00:38:27.88ID:35alNtz1
梨子「理想の姿……?」

善子?「現実では誰も私を受け入れてはくれなかった」

善子?「だからわざわざ田舎の学校に通って、自分を捻じ曲げて過ごしてる。そうでしょう?」

善子「っ、やめて……!」

善子?「でもね、私の“夢”は、ここでなら叶えられる」

善子?「さっきの子たちも、リトルデーモンとしていつでも皆私を慕ってくれる」

善子?「儀式だって誰も咎めはしない」

善子?「“こちら側”では、誰もあなたを否定したりしないのよ」
0132名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/06(水) 00:41:49.53ID:35alNtz1
梨子「そっか、だから学校に魔法陣や石像があったんだ……」

善子?「私を受け入れなさい、ヨハネ」

善子?「そうすればここで永遠に、ありのままの自分として過ごせるわ」

梨子「ちょっと待って、永遠にって、戻れないってこと?」

善子?「わざわざ退屈な現実に戻る意味などないでしょう?ここで楽しく暮らせるのだから」

梨子「そんな……」


善子「違う……」
0133名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/06(水) 00:51:09.20ID:35alNtz1
善子「私は……私はそんなこと、望んでない!」

善子「私はただ、普通の子として過ごせればそれでいいの」

善子「堕天使なんて、私はそんなものいらない!」

梨子「津島さん……」

善子?「クックックッ、あーはっはっはっ!!」

善子?「ええそうね、私にも貴女のようなか弱き存在は不要。だから──」


もう一人の善子は漆黒の闇を纏い、巨大な繭のように彼女を包み込む。
繭が弾けて消え去ると、巨大な黒と赤のドレスを着た、翼の生えた怪物へと変容していた。


善子の影「我は影、真なる我……」

影「理想の自分のために、死んでくれるかしら?」
0134♪ コワレヤスキ(もんじゃ)
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2019/11/06(水) 00:55:52.11ID:35alNtz1
女王のような出で立ちの影は、手にした王笏を善子に向かって振り抜く。
梨子はとっさに善子を抱えて転がり、なんとか攻撃を避ける。


梨子「大丈夫、津島さん?」

善子「なんなのよアイツ、好き勝手言って……」

梨子「あなたの本心、じゃないの?」

善子「違う、あんなの私じゃない!」

梨子「でも……」

梨子(きっとあの子は、津島さんの内面から生まれた、理想の姿……)
0135名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/06(水) 00:58:39.41ID:35alNtz1
梨子(とりあえず、どうにかして止めないと)

梨子(もう一度、ペルソナを……)


梨子が念じると、手のひらに再びカードが現れる。


梨子「来て、ドロシー!」パリンッ!!


梨子は念を込めて、カードを砕く。
すると青い光の中からドロシーが召喚される。
0136名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/06(水) 01:05:54.44ID:35alNtz1
ドロシーは宙に浮く斧を、影に向かって振り下ろす。
しかしその一撃は王笏によって防がれてしまう。

影は斧を弾き飛ばし、王笏をドロシーへと振り下ろす。
ドロシーは後ろへ飛び退いて攻撃を避ける。
そのまま振り抜かれた王笏は床を砕いて、穴を開けた。


影「堕天使なんていらない?どの口が言うのかしら」

影「未練がましくて、小物も飾りも、結局捨てられてないくせに」

善子「っ……」
0137名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/06(水) 01:11:32.14ID:35alNtz1
影「こちら側に来てから、楽しかったでしょう?」

影「魔法陣だって、人前では書けないけど、心の中ではいつも書きたがってるんだもの」

善子「違う、私は、もうそんなの……」


ドロシーは影に向かって数発水弾を撃ち出す。

影は背中の黒い翼をはためかせ、漆黒の風を作り出す。
風は水弾を打ち消し、黒い羽根と水しぶきがあたりに舞い散る。
0138名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/06(水) 01:14:12.05ID:35alNtz1
影「ここに来たのだって、退屈な日常にウンザリしてたから」

影「こんな摩訶不思議、普段味わえないものね!」


影は翼を大きく羽ばたかせる。
羽ばたきは黒い強烈な旋風となり、梨子と善子を吹き飛ばす。


善子「うあぁー!」

梨子「きゃあーっ!」
0139名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/06(水) 01:18:15.16ID:35alNtz1
梨子「うぅ……」

善子「いたた……」

梨子(ふらふら、する……)


梨子は立ち上がろうとするが、床へと崩れ落ちてしまう。
その姿を見て、影はニヤリと笑みを浮かべた。


影「無邪気だった頃は楽しかったわね」

影「堕天使、黒魔術……何をやっても、皆と楽しく過ごせてた」

影「だけどいつからか、周りの子は私を奇異の目で見てきた」

影「誰も私のことを理解してくれなかった」

影「その子だって、きっとそう」


影は梨子を指差して、金色の瞳で睨みつける。


影「本当の私を知ったら、どうせ気持ち悪がるに決まってる」

善子「やめて……」
0140名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/06(水) 01:26:51.49ID:35alNtz1
影は善子へと歩み寄りながら、言葉を続ける。


影「仕方ないわよね、一人は寂しくて怖いんだもの」

影「嫌われたくない、いつだって皆に囲まれていたい」

善子「私は、そんなこと思ってない……」

影「そのために、外面を取り繕って、適当に会話にうなずいて」

影「言いたいことも言えずに、ただ周りに溶け込もうと自分を殺すの」

善子「違う、もうやめて!」

影「そんなんだったら……いっそ消えちゃいなさい!」


影は杖を振り上げ、善子へ叩きつけようと構える。
0143昨日は寝落ちてすみません(もんじゃ)
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2019/11/07(木) 00:04:52.22ID:vtyBFr66
梨子「……だめっ、ドロシー!」


間一髪のところで、ドロシーの蹴りが影を捉えて退ける。


善子「私は、堕天使なんて……」

梨子「好きなんだよね?堕天使」

善子「……高校生にもなって、そんなの通じるわけないじゃない」

梨子「通じるかどうかじゃない、好きかどうかだよ」

善子「!、好きか、どうか……うん、好き。嫌いになんかなれない」

善子「……でも、いいの?変なこと言うかもしれないし、時々儀式とかするかもよ?」

梨子「こんなところに一緒に来てるんだもの、それくらい私は我慢するよ」

梨子「それが本当の津島さんなんでしょう?」

善子「……そうね」
0144名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/07(木) 00:08:06.70ID:vtyBFr66
善子「私は傷つくことが怖くて、逃げていただけ」

善子「誰かに否定されることを恐れて、自分自身を否定してた」

善子「でも、もうそんなのはやめる」

影「その言葉を待っていたわ……私を受け入れなさい?」

善子「でもね──やっぱりあんたは、私の理想の姿なんかじゃない!」

影「っ!?」

梨子「え!?」

善子「私の友達を……リトルデーモンを傷つけるようなやつは、堕天使失格よ!」
0145名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/07(木) 00:12:46.76ID:vtyBFr66
梨子「津島さん……」

影「っ、黙りなさい!」

梨子「させないっ!」


善子に向かって振り下ろされた杖を、ドロシーの斧が受け止める。


善子「夢が叶えられるとか言ってたけどね、リアルこそが正義なのよ」

善子「私にはリトルデーモンを増やし、地上にその名を轟かすという崇高なる使命があるの」

善子「使命を果たすためには、こんな世界に一人で引きこもってる暇はない!」
0146名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/07(木) 00:16:59.85ID:vtyBFr66
影「うるさい!黙れ!」


善子の言葉に、影は頭を抱えて苦しみだす。


梨子(様子がおかしい……今なら!)

梨子「ドロシー!」カッ!!


ドロシーは影へと一際大きな水弾を放つ。
炸裂した弾は巨大な水の奔流を作り出し、影を飲み込む。


影「きゃあーーーっ!」


水撃に影は倒れると、翼を散らしながら元の姿へと戻っていった。
0147名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/07(木) 00:25:08.56ID:vtyBFr66
善子はもう一人の自分の元へと歩み寄る。


影「……」

善子「……自分と向き合うって、恥ずかしいわね」

善子「ずっと忘れようとしてた。堕天使こそが私のアイデンティティだって」

善子「あなたも怖かったのよね、自分に否定されるのが」

善子「でも、もう見失わない」

影「」コクリ


善子の言葉に影が頷くと、その姿が青い光に包まれる。
影は姿を変え、紺色のドレスを纏った金髪の少女となった。


自分の夢を追いかける強い心が、“力”へと変わる……
善子は困難に立ち向かうための人格の鎧、ペルソナ“アリス”を手に入れた!
0148名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/07(木) 00:27:48.36ID:vtyBFr66
アリスは青いカードへと姿を変える。
くるくると回りながら善子の手の平へと収まると、淡い光を放ち消えていった。


善子「これが私の“ペルソナ”……」

善子「……疲れた」ヘナヘナ

梨子「大丈夫、津島さん?」

善子「……ヨハネ」

梨子「?」

善子「我が名は堕天使ヨハネ。だからヨハネと呼んで」

梨子「ええっ、急にそれは、ちょっと……」

善子「そこはOKするとこじゃないの!?」

梨子「でもいきなりは恥ずかしいよ……うーん、“よっちゃん”じゃだめかな?」
0149名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/07(木) 00:32:51.20ID:vtyBFr66
善子(渾名……悪くないわね//)

善子「し、仕方がないわね、特別よ」

梨子「ふふっ、ありがとう、よっちゃん」

善子「こちらこそ、貴女がいてくれて助かったわ。ありがとう……梨子」

梨子「うん!じゃあ帰ろっか」

善子「そうね、このままいたら何が出てくるかわかったもんじゃないし」
0150名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/07(木) 00:40:17.54ID:vtyBFr66
◇体育館

梨子「入った鏡から出られてよかったね」

善子「そうね……って、うわ、もうこんな時間!?」

曜「梨子ちゃん!善子ちゃん!」

梨子「渡辺さん、待っててくれたの?」

曜「当然だよ!全然戻ってこないし、すっごく心配したんだよ!」

梨子「ごめんなさい。えっと、色々あって」
0151名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/07(木) 00:45:05.44ID:vtyBFr66
梨子「渡辺さんは大丈夫だった?」

曜「あー、うん……叱られたけど、悪いことしてたのは事実だしね」

曜「それで、鏡の中ってどうなってた?」

梨子「えーっと……」

善子「そんなことより終バスよ、終バス!急ぎなさい!」

梨子「あ、待ってよ、よっちゃん!」

曜「よっちゃん……?」

曜「というか私も急がないと!よーし、全速前進、ヨーソロー!」
0152名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/07(木) 00:48:13.02ID:vtyBFr66
#1 Fin.

Next #2 If you love her...
0153名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/11/07(木) 00:51:11.51ID:vtyBFr66
保守していただいた方ありがとうございました
次の話はちゃんと書き溜めてから、#2としてスレ立てて書きます
0157名無しで叶える物語(みかん)
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2019/11/07(木) 04:15:09.70ID:iSpxxeDq
>>35
梨子主人公なのは大体ペルソナ主人公転校生だからじゃない?
特に梨子は4パターンかな
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