千歌「好きにも種類があるんだよ」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
私は渡辺曜。幼馴染の千歌ちゃんとお付き合いしています。
千歌「曜ちゃんおはよう!」ニコッ
曜「千歌ちゃん、おはよう」
千歌ちゃんは本当に可愛くて、私の一番大好きな人でした。
それは逆も同じで、千歌ちゃんにとってわたしは一番大好きな人だったんです。あの時までは…
っていうの書いていい? 千歌「曜ちゃん!今日も学校楽しかったね!」
曜「そうだね〜」
千歌「どうしたの曜ちゃん、魂抜けた顔してるよ?」
曜「ふふ、千歌ちゃんと並んで歩けるのは幸せだなぁって」
千歌「あはは!何言ってんの曜ちゃんってば!」クスクス
曜「ごめんごめん、おかしかったよね…千歌ちゃん、大好きだよ」
千歌「うん!千歌も曜ちゃんの事大好きだよ!」ニコッ
あの時までは…千歌ちゃんは私に大好きって言ってくれてたのに…
私に笑顔を向けてくれてたのに… ちなみにハッピーエンドでもないけど別に悲しいエンドでもない 千歌『もしもし曜ちゃん?』
曜「もしもし?千歌ちゃんどうしたの?」
千歌『えぇ!?曜ちゃんが言ったんじゃん!寝る前に恋人にラブコールだよ!!』
曜「ごめんごめん、ちょっと意地悪しちゃった」
千歌『もう!今度やったら怒るよ?』
あの時までは、千歌ちゃんは私の事を1番に見ていたはずなのに… それは普段通りのある日の朝の事でした。
千歌ちゃんと笑いあって話しながら登校してすぐ、朝のホームルームの時間。
「今日からこのクラスの仲間になる転校生の桜内梨子さんです。」
梨子「さっ…桜内梨子です!よろしくお願いします!」
「はい、それじゃあ桜内さんは高海さんの隣の席について」
曜「へぇ〜転校生かぁ、千歌ちゃんの隣の席だって」
千歌「…」
曜「千歌ちゃん?どうしたの?」
千歌「へっ?あーごめん!寝惚けてた!」
思えばこの時もう…千歌ちゃんは… 梨子「あ、あの…桜内梨子です、よろしくお願いします」ペコ
千歌「あわわ…わ、私は高海千歌!この子は幼馴染の渡辺曜ちゃん!」アタフタ
曜「ちょ、千歌ちゃん!私の自己紹介までしなくていいから!」
千歌「だっ、だって!転校生だよ!?緊張しちゃうよ!」
梨子「…くすっ…高海さん、渡辺さん、よろしくね」ニコッ
曜「ほら!笑われちゃったじゃん!」
千歌「だってぇ〜!!」
曜「もう、千歌ちゃんは変な所でテンパるんだから…よろしくね、桜内さん…じゃなくて梨子ちゃん!」
梨子「わぁ…私も、渡辺さんのこと曜ちゃんって呼んでもいい!?」
こうして私と梨子ちゃんは仲良くなった。 曜「…で、ここが音楽室ね!以上が浦の星女学院だよ!何か質問あるかな?」
梨子「ううん、完璧な説明だった…ありがとう曜ちゃん」
曜「いえいえ…じゃあそろそろ帰ろっか!」
梨子「うん、曜ちゃん今日は本当にありがとう」ペコ
曜「いいってば!私も先生に頼まれたんだし!…あ、千歌ちゃんからメールだ」
梨子「高海さんから?本当に仲良しなんだね」
曜「ふふ〜ん、まぁね〜」
千歌『曜ちゃん、梨子ちゃんに説明終わった?校門で待ってるね』
曜「…よし、梨子ちゃんも一緒に帰ろっか!」
梨子「いいの?」
曜「いいんだよ!お近付きの印に…はちょっと変かな」
梨子「…ありがとう、今度絶対お返しするね」 千歌「あっ、千歌ちゃん曜ちゃん!こっちだよ!」
曜「おまたせ〜」
梨子「高海さん、ごめんねお邪魔して」
千歌「いいのいいの!…ていうか高海さんじゃなくて千歌って呼んで!」
梨子「えっ、で、でも…」
千歌「むぅ〜、曜ちゃんの事はすぐ曜ちゃんって呼んだくせに〜」
梨子「ご、ごめんなさい!千歌…ちゃん」
千歌「ふふふ、よろしい!じゃあ帰ろっか!」
曜「出発進行〜」 曜「へえ〜じゃあ梨子ちゃんは東京からはるばる来たんだ」
梨子「そんな、はるばるって程じゃないよ」
千歌「いいなぁ東京…ここなんて何にもないから東京に比べたら退屈じゃないかな?大丈夫かな?」
梨子「どうだろう…海の景色が綺麗で、私は東京より好きかも」
千歌「海!いいよね!私も大好き!」
曜「私も海好きだなぁ、千歌ちゃんと毎年泳ぎに行くよね」
梨子「そうなんだ、本当に仲良しなんだね」 曜「ふふふ…何を隠そう私たちはむぐっ」
千歌「幼馴染だからね!!」バッ
梨子「?…そ、そうなんだ」
曜「ちょっと千歌ちゃん!」コソコソ
千歌「ダメだよ曜ちゃん!梨子ちゃんがそういうのに悪いイメージ持ってる人かもしれないじゃん!」コソコソ
梨子「あの…やっぱり私お邪魔だったかな?もしアレだったら2人で」
千歌「いやいやそんな事ないよ!?」
曜「大丈夫大丈夫!ちょっと色々あって…」
梨子「そっかぁ、よかったぁ」
千歌「…ホッ」
曜「……?」 初手過去形な時点でハッピーエンドは望めないのでは…… 曜「それじゃあ私ここからバスだから」
梨子「曜ちゃん、今日は本当にありがとう。友達ができてすごく嬉しいわ」
曜「もう!何回お礼言うのさ!」
千歌「そうだよ〜?千歌はまだ1回もお礼言われてないのに!」プンスカ
梨子「ふふっ、千歌ちゃんも!友達になってくれてありがとう」ニコッ
千歌「えっ//あ、うん…//」ニコッ
曜「……千歌ちゃん?」
私はバスに乗って普通に帰ったけど、あの時千歌ちゃんの中ではもう普通じゃない気持ちが芽生えてたのかな?
あの時の千歌ちゃんの笑顔、10年以上一緒にいたのに私は初めて見たよ。
でも梨子ちゃんは会って1日でその笑顔を向けられたんだよね。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
梨子「……寒いね〜」
千歌「そっ、そうだね!」
あの時初めて梨子ちゃんと2人きりになって、私自身がわかる程、私がいつもと違うのに困惑しました。
千歌(なんか話題…話題…!)
千歌「りっ、梨子ちゃんはさ!」
梨子「ん?なぁに?」チラッ
千歌「っ//…えっと…家!おうちはどの辺なの?」
梨子「えっと…多分このまま海沿いをまっすぐ歩いて…しばらくしたら着くかな、ごめんね、まだ地理がよくわからなくて…」
千歌「そんなそんな!謝らなくてもいいんだよ!!…あっ!ていうかそれなら千歌と同じ方向だ!あははは〜」
今まで誰と話しても緊張なんてした事なかったのに、むしろ私が緊張してる相手に優しく話しかける側だったのに…。
この時の私は必死に何を話すかを考えて、初対面の人と話すのが上手な曜ちゃんを思い出して、みっともなく震えた声で梨子ちゃんに話しかけ続けました。
梨子ちゃんはその度に優しい顔で微笑みながら私の目を見て答えてくるので、その度に梨子ちゃんの靴を見ていました。 梨子「あっ!あそこだよ、私の家」
千歌「えっ?その隣が私の家だよ!?」
梨子「えぇ!?」
千歌「ぅえっ…と…」
この時の興奮を忘れる事はないでしょう。明日からずっと梨子ちゃんと登校できる。帰りも一緒。休みの日だってお隣さんなら会えるかもしれない。
そう思うと私の中で、今までに経験した事のない重い気持ちが渦巻きました。
梨子「じゃあ明日から一緒に登校できるね!私楽しみ」ニコッ
千歌「そう!そうだよね!明日から一緒に…えへへ」
梨子「それじゃあまた明日ね、千歌ちゃん」
千歌「うん!また明日!」ニコッ
千歌「……」ボーッ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
千歌『もしもし〜』
曜「もしもし千歌ちゃん?あの後大丈夫だった?」
千歌『へっ?あの後??』
曜「梨子ちゃんと2人で帰ったんじゃないの?」
千歌『あぁ〜!その事!なんだか緊張しちゃって上手く話せなかったかも』
曜「めずらしいね、千歌ちゃんでも緊張するんだ」クスクス
千歌『…するよ…千歌なんて、いつも強がって曜ちゃんの真似してるだけだし…』
曜「もう何言ってんの?千歌ちゃんは強がってなくてもいつも元気じゃん」
千歌『そうなのかなぁ……ん?ちょっと待ってて』
曜「…??」
千歌『…なんか…ピアノの音が聞こえる』 曜「ピアノ?こんな夜中に??」
千歌『ほんとに微妙に聞こえるだけなんだけど…あっ』
曜「何かあった?」
千歌『…ううん、聞き間違えてたみたい。じゃあそろそろ寝るね!』
曜「えぇ?うん…おやすみ」
千歌『おやすみっ!』プツン
慌てて電話を切った千歌ちゃんに少し不信感があったけど、疲れてたのかなと思って私もすぐに寝ました。
でもあの日千歌ちゃんはもっと遅くまで起きてたんだよね。
それにこの日は千歌ちゃんに大好きと言われませんでした。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ポロロロン
梨子「……ふぅ」
梨子「…ダメだなぁ、やっぱりまだ完璧じゃない…ん?千歌ちゃんから電話…もしかして」ピッ
千歌『梨子ちゃん!ピアノ弾けるの!?』
梨子「あ、やっぱり…ごめんなさい、うるさかったよね」
千歌『うるさくないよ!!凄く上手だった!!』
梨子「そう…ありがとう」
千歌『梨子ちゃん!窓見て!』
梨子「え?…あ、千歌ちゃん」
千歌『電話切るね!』プツン
千歌「梨子ちゃん!電話じゃなくてもこうやって話せるね」
梨子「窓を開けてお話なんて…ドラマみたいだね」
千歌「ふふっ、そうかも」クス 千歌「梨子ちゃんのピアノ、すっごく上手だったよ!」
梨子「ありがとう、でも何度も言わないで…恥ずかしいから…」
千歌「えぇー!だってほんとに上手だったんだもん!」
梨子「もう!わかったってばぁ!」テレテレ
千歌「//…な、なんかさ!えっと…ごめん…ね?」
梨子「そ、そんなに怒ってないよ?謝らなくても…」
千歌「えっと、違くて…あー…」
梨子ちゃんのピアノを褒めたくて、それだけの為に窓を開けさせて話を始めてしまったことを謝ろうと思ったけれど、話題が切れて気まずくなるのは嫌で…だから咄嗟の言葉で、私は梨子ちゃんにまた迷惑をかけてしまいました。
千歌「…も、もしよかったら!1曲何か聞きたいなって…」
梨子「えぇ!?でも……」チラッ
梨子「……わかった。弾いてみるね。」
この時梨子ちゃんは躊躇しながら私の目を見て、本気の目をしていたから弾いたと言っていました。
私は顔に出る程必死になってたんだと思うと恥ずかしくて胸が引き裂かれそうです。 その光景はずっと心に残っています。
梨子ちゃんが優しく、力強く鍵盤を叩くと、美しい音が鳴り響く。
神様は不平等だなと思いました。梨子ちゃんは曜ちゃんみたいな天才で、千歌に比べれば雲の上の存在なんだって。今日初めて会った女の子は、まるでバレエを踊るように繊細で、かつ大胆に音を奏でていて…私は生まれて初めて「憧れ」という気持ちを知りました。
それはこうなりたいという意味ではなく、これが欲しいという意味での…
そして一瞬、梨子ちゃんと目が合いました。私がどんな間抜けな顔をしていたのかわからないけれど、手元に目線を落としながら梨子ちゃんはクスッと笑ったのを見て私はドキッとしました。
演奏を終えた梨子ちゃんに、私は梨子ちゃんのピアノ大好きだよ、と伝えて、私は胸の高鳴りを抑える為にすぐベッドに入って眠りました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
曜「なんだか千歌ちゃん元気ないね」
千歌「えっ?そうかな?…普通だよ?」
曜「なんか悩み事があったら言いなよ?」
千歌「ん…そうする…」
「それじゃあ桜内さんはあのμ'sのいた学校にいたんだ!」
梨子「うん…私はあんまりμ'sは知らないんだけどね?」
ワーワー
曜「梨子ちゃん大人気だねぇ」
千歌「…そうだね」
曜「…?」 千歌ちゃんの様子がおかしい事、梨子ちゃんの事を話題に出すと暗くなる事、昨日電話でうまく話せなかったと言っていた事。
私は千歌ちゃんと梨子ちゃんが口喧嘩でもしてしまったんじゃないかと心配していました。
梨子「千歌ちゃんと?私が?…うーん…むしろ仲良くなれたと思うんだけどなぁ」
曜「そっかぁ…なんだか千歌ちゃんの様子がおかしくて」
梨子「…もしかしたら寝不足かも」
曜「千歌ちゃんが?でも千歌ちゃん、昨日は夜更かしせずに寝たと思うんだけど…」
梨子「…実はね、夜中にピアノを弾いてて…千歌ちゃんを起こしちゃったのかも。」
曜「ピアノ…?えっと…梨子ちゃんの?」
梨子「うん、千歌ちゃんとは家がお隣さんで…」
梨子ちゃんが千歌ちゃんの隣の家に引越してきたことは千歌ちゃんから聞いていました。
でも昨日の電話の後、窓を開けて話したこと、梨子ちゃんが千歌ちゃんの為にピアノを弾いたことは初耳で…別に千歌ちゃんはいけない事をしている訳ではないし嘘をついている訳でもないので、私には何も咎められることはありませんでした。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
千歌「ごちそうさま!」
曜「早いね千歌ちゃん…お弁当そんなに早く食べると太るよ〜?」
千歌「もう!そんな事ないってば!!…私ちょっと職員室行ってくるね」
曜「え?呼び出し?」
千歌「うーん、ちょっとね〜」スタスタ
お昼休み、梨子ちゃんは教室にいませんでした。4時間目の授業中はずっと梨子ちゃんに一緒にお弁当食べよう!と誘うシュミレーションをしてたのに…
でも不思議なことに大体どこにいるか検討がつきました。
千歌「失礼しま〜す…あっ、いた!」
梨子「千歌ちゃん?どうしてここに…」
千歌「梨子ちゃんなら音楽室にいるんじゃないかなって…えへへ」 梨子「ごめんね、教室にいると色んな人から話しかけられて…なんだか疲れちゃって」
千歌「そうだったんだ、大変だった…え、もしかして私も疲れの原因になってる?」
梨子ちゃんは1人になりたくて音楽室でお弁当を食べていたなら、もしかたら私が来たのは邪魔だったかも…
梨子「ううん、千歌ちゃんはいいの。友達だから」ニコッ
千歌「えぅ!?//」
思わず変な声が出ました。梨子ちゃんは千歌を他の人より特別扱いしてくれている。ただ友達と言われただけでこんなに幸せなのは何故だろう。
梨子「私が転校生で、物珍しいのかな…なんだか意地悪な質問されたりもして…彼氏はいるのかとか…すごい聞かれるし…いないのに…」ズーン
梨子ちゃんは恋人がいないんだ、それを聞いた時心拍数が上がるのを感じました。
でもどうして?千歌には曜ちゃんがいるんじゃなかったの?
でもそんな疑問はすぐに消えて、私の口は勝手に動いていました。
千歌「…私も!!私もいないよ!!」グイ
梨子「わっ、びっくりした…あはは、女子校だし仕方ないよ」
千歌「…そうだよね、女子高…だもんね」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
曜「今日は梨子ちゃん先に帰っちゃったんだね」
千歌「うん、引越しがまだ終わってなくて手伝うんだって」
曜「そっかぁ…なんだか2人で帰るの久々に感じるね」
千歌「そうだね〜、梨子ちゃんもいて、楽しかったし…」
曜「…私と2人だと楽しくない?」
千歌「えぇ!?そんな事ないよ!!…曜ちゃんの事…好きだし…」
曜「えぇ?照れるなぁ」
千歌「…ね、ねぇ曜ちゃん、千歌達っていつ付き合い始めたんだっけ」
曜「えーっと…小5の時かな、私が好きって告白したら千歌ちゃんも好きって言ってくれて…もうあれから6年なんだね」
千歌「…あのさ?曜ちゃん…その、好きってさ」
千歌「色んな意味があると思うんだよね」 突然今まで見た事の無いくらい真面目な顔で語り始めた千歌ちゃんに、私は少し恐怖を感じました。
曜「…どういうこと?」
千歌「曜ちゃんは私がどう好きなの?」
曜「それは…小さい頃からずっと一緒でお互いの事がわかってて…」
千歌「…それ、幼馴染ってだけじゃん」
曜「えっ、そうだけど…ほら、幼馴染だからこその好きというか…」
千歌「曜ちゃん、あのね?私は曜ちゃんの事大好きだよ」
曜「えっ//あ、ありがと…私も…」
千歌「勉強ができて友達がたくさんいて、スポーツもできて…曜ちゃんみたいになりたいなって憧れたの。」
曜「ち…千歌ちゃん…」
千歌「でもさ、その憧れって…こうなりたいっていう憧れで…曜ちゃんと付き合いたいっていう憧れじゃなかった」
私はそれを聞いた時、それまで歩いていた足を止めました。千歌ちゃんは少し前に止まっていたようで、そんな事は別にどうでもいいんだけど。
私は何も言えずその場で千歌ちゃんの言葉を聞いていました。 千歌「好きにも種類があるの」
曜「…わ、私は千歌ちゃんの事好きだよ!」
千歌「うん、千歌も曜ちゃんの事は好きだよ。でもね…それって友達として、幼馴染として好きなの」
曜「…わ、私は…」
千歌「ずっと勘違いして…同じだと思ってた、けど最近わかったんだ。曜ちゃんの事は大好き、だけどお付き合いするとか、そういう好きとは違うの」
薄々気付いてた。千歌ちゃんは友達の延長で私の事を好きだと言っている事。
でも言えなかったし、信じたくなかった。
言わなければ、気づかせなければ…千歌ちゃんは私の千歌ちゃんだった。
だからここで言っておかないと、つなぎ止めないと…
曜「私は…私は千歌ちゃんの事好きだよ!!」
千歌「…ありがとう」
曜「じゃあ…」
千歌「じゃあ曜ちゃんは片思いだね」
私の中で何かが崩れた。 千歌「…ごめんね、千歌は曜ちゃんの事大好きだけど、そういう意味じゃないの」
言わないで
曜「……」
千歌「ねぇ曜ちゃん、戻れないかな?幼馴染に…」
やめて
曜「……」
千歌「私達は恋人じゃなくて親友だよ」
曜「………そうだね」
千歌「曜ちゃん…」
曜「明日からは久しぶりに幼馴染、だよね?」
千歌「…うん、わかってくれてありがとう、曜ちゃん」
覚悟はしていた、というより気付いてた。
千歌「大好きだよ、それじゃあまた明日ね」
なのにずっと逃げていて、立場に甘えていた私が卑怯だった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
梨子「どうしたの?急にお泊まりしたいなんて」
千歌「えへへ、梨子ちゃんともっと仲良くなりたいなって」
梨子「そっか…ありがとう、嬉しいな」
千歌「それに梨子ちゃんとピアノも聞きたいし!」
梨子「もう!恥ずかしいからダメ!」
千歌「えぇ〜なんでぇ!」
梨子「それに今日だって…私と夜遅くまで話したりピアノ聞いたりで寝不足だったんでしょ?」
千歌「えぇ?そんな事ないよ??」
梨子「嘘!千歌ちゃんがぼーっとしてるって曜ちゃんが心配してたもん!」
千歌「ぼーっと?…曜ちゃんが…?…そっか、曜ちゃんもやっぱり…」
梨子「…千歌ちゃん?どうしたの?」
やっぱり私と同じで曜ちゃんも、誰かを好きになった事がなかったんだ。
ずっと梨子ちゃんの事を考えて、目で追って、どんな会話をするか、どんな表情をするか考えて…恋をしている女の子は、恋した事ない人にはぼーっとしているように見えてしまう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
曜「…はぁ」
帰宅してからずっと、千歌ちゃんの言葉を考えていた。
友達としての好き、恋人としての好き、その違いはなんだろう。
私は千歌ちゃんの事が好きだったけど…恋人として好きだったのか、友達として好きだったのか…それとも
曜「…一緒にいたかっただけ…」
アルバムの中で笑い合う2人を見て、私は千歌ちゃんが好きだという事を再確認した。
私は千歌ちゃんと一緒にいたかった。それだけだったんだ。
千歌ちゃんは1番の友達で、ずっと一緒にいたから…これからも一緒にいたい。だから好きだと言った。
千歌ちゃんは私の事が好きだから、私も好きだと答えてくれた。
私が千歌ちゃんを恋人にして、それで今まで一緒にいたのは、千歌ちゃんを縛っていただけなんじゃないか。
ある種の呪いのような…2人を離れられなくする鎖のような… ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
千歌「ねぇ梨子ちゃん」
梨子「…千歌ちゃん、さっきおやすみって言ったでしょ…」
千歌「わかってるよぉ…ちょっとだけ聞いて欲しいことがあって…」
梨子「…んん??」
千歌「…初めて見た時梨子ちゃんに見とれちゃってさ」
梨子「…って、えぇ!?//何!?急にどうしたの!?//」
千歌「まぁまぁ落ち着いて…あのね、それで…一緒に帰って、夜もお話して、ピアノ聞かせてもらって…また出会ってちょっとしか経ってないけど…私」
千歌「梨子ちゃんの事好き」
梨子「…あ…えっと…えぇ…っと…」アワアワ
梨子「ご、ごめんなさい!!まだ私、千歌ちゃんの事詳しく知らないし!それに人を好きになるってどんな事かわかんないし!千歌ちゃんも一時の気の迷いかもしれないし!!」
フラれた。 ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーー
ーー
曜「おはよ〜」
千歌「おはよう曜ちゃん!」
梨子「曜ちゃん、おはよう」
曜「昨日はよく眠れなくてさぁ…遅刻ギリギリだったよ…」
梨子「どうしたの?寝不足?」
曜「んー、なんか愛憎ドロドロの夢っていうか…私達3人が出てくる夢だったんだけど…」
千歌「…私達がドロドロなの??」
曜「えぇ〜っと、ドロドロだったかな…言われてみるといざこざって感じだった気も…うーん」
千歌「変な曜ちゃん」
梨子「曜ちゃん、疲れてるんじゃない?」
曜「そうなのかなぁ…大会近いからなぁ…」
あははは…
千歌「あそうだ梨子ちゃん、今日も梨子ちゃんのおうちに泊まりに行くね!」ギュッ
梨子「千歌ちゃん…昨日フラれたのになんてメンタルしてるの…!?」
曜「……あれ?」
おわり 長いんで要約します
『でも千歌ちゃんの見てる先には』 あまりにも千歌ちゃんが曜ちゃんの気持ちを考慮してないなぁ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています