X



花丸「前日譚」ルビィ「後日譚」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0001名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:05:14.91ID:Mx35aiI0
遅れましたがルビィちゃん誕生日短編


以前書いた
花丸「心中」https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1529492968/l50
というSSの外伝的な要素がありますが、未読でも特に問題はありません。
0002名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:05:42.46ID:Mx35aiI0
 これはまだ二人だった頃のお話。
0003名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:06:30.43ID:Mx35aiI0
花丸(いつもの待ち合わせ場所)

花丸(少し雨が心配になる、曇り空の下)

花丸(のんびりと本を読んで、相手を待つ)


花丸(九月二十一日)

花丸(今日は、ルビィちゃんの誕生日)

花丸(運命的な出会いの後)

花丸(初めての、特別な日)
0004名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:07:31.66ID:Mx35aiI0
花丸(こっそり、心に決めていることがある)

花丸(今日ここで)

花丸(ルビィちゃんに、告白するということ)


花丸(悩んだ)

花丸(関係を壊してしまいたくなかったから)

花丸(断られたときの想像をしたくなかったから)

花丸(だけどそれ以上に――)
0005名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:08:51.93ID:Mx35aiI0
ルビィ「マルちゃん!」

花丸(いつもと同じように、オラの顔を見ると小走りで駆け寄ってくる女の子)


花丸「ルビィちゃん」

ルビィ「ごめんね、遅れちゃって」

花丸「ううん、マルが早く来ちゃっただけだよ」

花丸「ルビィちゃんに会うのが、待ちきれなくて」

ルビィ「えへへ」
0006名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:09:19.94ID:Mx35aiI0
ルビィ「じゃあ行こうか」

花丸「あっ、その前に」

ルビィ「うゅ?」

花丸「お誕生日おめでとう」

ルビィ「ありがとう!」


花丸「はー、緊張したずら」

ルビィ「お祝いを言うのに?」

花丸「うん、ドキドキだったよ」
0007名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:10:07.95ID:Mx35aiI0
ルビィ「それならルビィも、マルちゃんの誕生日の時はドキドキなのかな」

花丸「そうだと嬉しいかな」

ルビィ「じゃあドキドキしておくね」

花丸「だけど、意識してできるものかな?」

ルビィ「できるよ、きっと」

花丸「そうなのかな」

ルビィ「うん!」
0008名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:11:37.04ID:Mx35aiI0
花丸「そういえば」

花丸「今日はいつもと違うリボンだね」

ルビィ「うん、お姉ちゃんがくれたの。誕生日プレゼントに」

花丸「へえー」

花丸(ルビィちゃんのお話の中にしょっちゅう登場する『お姉ちゃん』)

花丸(顔も知らないけど、やさしい人だってことは分かる)

花丸(いつか会ってみたいな、なんて思っているけど)
0009名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:12:18.68ID:Mx35aiI0
ルビィ「ちなみに」

花丸「ちなみに?」

ルビィ「……マルちゃんは何かくれたり、するのかな?」

花丸「もちろん」

花丸「だけど、放課後になってからだよ」

ルビィ「えー、そんなぁ」

花丸「お楽しみずら〜」

ルビィ「気になるよぉ」
0010名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:13:01.04ID:Mx35aiI0
花丸(実は内心、焦ってる)

花丸(理由は単純)

花丸(用意したプレゼントは、髪留め)

花丸(ルビィちゃんのお姉さんと、被っちゃったんだよね)

花丸(今さら、変えるなんて無理だし)

花丸(どうしようかな、これ……)
0011名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:13:49.31ID:Mx35aiI0
   ※


花丸(だけど代替案なんて思い浮かぶわけもなく)

花丸(気づけば放課後)


花丸(遊びに行こうか、なんて話もしたけど)

花丸(『いつもどおりがいいな』と)

花丸(ルビィちゃんが希望したから、普段と変わらない図書室で過ごす時間)

花丸(二人きりの空間で、過ごす時間)
0012名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:14:39.61ID:Mx35aiI0
花丸(ああ)

花丸(今はまだ、静かに本を読んでいるからいいけど)

花丸(帰るまでには、考えないと)


花丸(【お楽しみ】は失敗だったかな)

花丸(いっそ、プレゼントは忘れたことにしておいた方が、よかったかも)

花丸(だけど、大切な人の大切な日を忘れる人間だと思われるのは嫌だし)

花丸(もう、素直に渡しちゃった方がいいかな)
0013名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:15:40.82ID:Mx35aiI0
花丸「ルビィちゃん」

ルビィ「ん?」

花丸「プレゼント、なんだけどね」

ルビィ「あっ、ついにお楽しみの」

花丸(嬉しそうな笑顔)

花丸(少し、罪悪感)
0014名無しで叶える物語(たまごやき)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:18:29.24ID:ZbjAMJcS
ドキドキ…。
0015名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:19:34.08ID:Mx35aiI0
花丸「これ」

花丸(鞄から小さな袋を取り出し、渡す)


ルビィ「これは?」

花丸「髪留め、なんだけど」

ルビィ「髪留め――わっ、可愛い」

花丸「その、お姉さんと被っちゃって、ごめんね」

ルビィ「そんなの気にならないよ」

ルビィ「ありがとう、マルちゃん」
0016名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:24:14.09ID:Mx35aiI0
花丸(よかった)

花丸(ちゃんと喜んでくれている)

花丸(ルビィちゃん、マルの前では素直で分かりやすいから)

花丸(分かる、心の中も)


ルビィ「ねえねえ」

花丸「ずら?」

花丸(ルビィちゃんは突然、自分の頭に付いていたリボンを解く)
0017名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:25:58.17ID:Mx35aiI0
ルビィ「これ、マルちゃんがルビィに付けてみてくれない」

花丸「えっ、あっ、うん」


花丸(手元に戻ってきた、あげたばかりの髪留め)

花丸(マルがやる意味、あるのかな)

花丸(自分では髪型とかいじらないし、不安というか)

花丸(ルビィちゃんの髪に触れるなんて、緊張するし)

花丸(だけどルビィちゃんの希望なら、断るのももう分けないかな)
0018名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:28:29.35ID:Mx35aiI0
花丸(後ろからそっと、髪に触れる)

花丸(柔らかい)


ルビィ「うーん、なんか違う」

花丸「えっ?」

ルビィ「マルちゃん、正面から付けてくれない?」

花丸「で、でも」

花丸(それじゃあ、やりにくい)

ルビィ「いいから、お願い」

花丸「う、うん」
0019名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:30:21.96ID:Mx35aiI0
>>17修正

ルビィ「これ、マルちゃんがルビィに付けてみてくれない」

花丸「えっ、あっ、うん」


花丸(手元に戻ってきた、あげたばかりの髪留め)

花丸(マルがやる意味、あるのかな)

花丸(自分では髪型とかいじらないし、不安というか)

花丸(ルビィちゃんの髪に触れるなんて、緊張するし)

花丸(だけどルビィちゃんの希望なら、断るのも申し訳ないかな)
0020名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:32:24.24ID:Mx35aiI0
花丸(椅子ごと身体をこちら側に向けるルビィちゃん)

花丸(髪おろした姿)

花丸(いつもの幼い可愛らしさとは違う)

花丸(どこか、煽情的な姿)


花丸(心が揺れる)

花丸(お祝いの言葉を伝えた時とは比べ物にならないほど)

花丸(胸がドキドキと、弾んでいる)
0021名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:33:47.64ID:Mx35aiI0
花丸(髪の毛に触れる)

花丸(顔が近づく)

花丸(不自然なほどに)

花丸(顔が近づく)


花丸(不器用に鼻がぶつかる)

花丸(目の前に、互いの瞳)

花丸(少しだけ)

花丸(少しだけ、顔をずらした)
0022名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:36:06.09ID:Mx35aiI0
花丸(触れ合う)

花丸(たどたどしい)

花丸(キス)

花丸(どちらからともなく)

花丸(自然に)

花丸(ごく自然に)
0023名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:36:55.02ID:Mx35aiI0
ルビィ「マル、ちゃん」

花丸「ルビィ、ちゃん」


花丸(上気した表情)

花丸(スイッチが、入った)


花丸(何かが溢れ出して)

花丸(止められなくなる)

花丸(止まらなくなる)
0024名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:38:02.28ID:Mx35aiI0
花丸(最初に比べて荒々しく)

花丸(唇を重ねる)


花丸(互いの服に手をかけ)

花丸(大切な部分に触れて)

花丸(無知で無垢な二人の)

花丸(たどたどしい行為)


花丸(二人きりの図書室を)

花丸(自分たちの荒い息遣いだけが支配していた)
0025名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:38:35.77ID:Mx35aiI0
   ※


花丸(気づいたときには)

花丸(下校時刻なんて、とっくに過ぎていて)

花丸(外は真っ暗)

花丸(マルとルビィちゃんは横たわりながら)

花丸(一緒に、暗闇を眺める)
0026名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:40:36.60ID:Mx35aiI0
花丸「……凄かったね」

ルビィ「……うん」


花丸(薄暗い部屋だから確認できないけど)

花丸(たぶん二人とも、顔が真っ赤)

花丸(恥ずかしい)

花丸(獣のような自分の姿)

花丸(思い出すと、本当に)
0027名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:42:41.36ID:Mx35aiI0
ルビィ「いけないこと、だよね」

ルビィ「こんなの」

花丸「そうかな」

ルビィ「だって」

ルビィ「友達同士ですることじゃないよね」

ルビィ「本当は」


花丸(そうだね)

花丸(友達同士じゃ、変だよね)
0028名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:43:33.06ID:Mx35aiI0
花丸「ルビィちゃん」

ルビィ「うん」

花丸(タイミングは、ここしかない)


花丸「今さら、かもしれないけどね」

花丸「マルの恋人になって、ほしいの」

花丸(口に出した)

花丸(もう引き返せない)
0029名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:48:56.27ID:Mx35aiI0
ルビィ「……酷いよ」

花丸「えっ」

花丸(頭が、身体が、凍り付く)


ルビィ「ルビィから告白、するつもりだったのに」

花丸(だけど一瞬で、溶けて)

花丸(心が、温かくなっていく)

花丸(満たされていく)
0030名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:51:08.97ID:Mx35aiI0
花丸「駄目だよ、ルビィちゃんはお姫さまなんだから」

花丸「求愛される側なんだから」

ルビィ「それなら、マルちゃんは王子様かな」

花丸「そんなの、ガラじゃないよ」


ルビィ「ううん」

ルビィ「ルビィにとって、マルちゃんは王子様」

ルビィ「格好いいもん、今も」

花丸「王子様……」

花丸(お姫様を守る、王子様)
0031名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:51:39.00ID:Mx35aiI0
ルビィ「ルビィね」

花丸「うん」

ルビィ「花丸ちゃんのこと、好きだよ」

花丸「マルも、ルビィちゃんが好き」

ルビィ「お揃いだね」

花丸「お揃いずら」
0032名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:52:22.48ID:Mx35aiI0
ルビィ「ずっと」

ルビィ「ずっと、一緒に居ようね」

花丸「うん」

花丸「ずっと、一緒」


花丸(幸せだな)

花丸(きっとマルたちは)

花丸(ずっと互いのことを愛して)

花丸(最後まで一緒に生きていける)

花丸(不思議とそんな確信が)

花丸(心の中に、宿っていた)
0033名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:56:10.23ID:Mx35aiI0
――――――――――――



 時は流れる。

 これは一人になった後のお話。
0034名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:56:58.57ID:Mx35aiI0
ルビィ「朝……」


ルビィ(鳥の鳴き声)

ルビィ(ちょっとうるさい?)

ルビィ(だけどちょうどいい目覚まし時計かな)

ルビィ(時間、ピッタリだもんね)
0035名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 17:57:45.70ID:Mx35aiI0
ルビィ(窓からは日差しが差し込む)

ルビィ(身体を起こし、ベッドから立ち上がる)

ルビィ(何となく、近くに会ったクッションを抱きしめながら、部屋のドアを開ける)


??「ルビィちゃん、お誕生日おめでとう!」

ルビィ「ピギッ!?」


ルビィ(それと同時に耳をつんざく、静かな朝には相応しくない声)

ルビィ(思わず、昔のような悲鳴を上げてしまう)
0036名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/09/22(日) 18:21:05.75ID:SJNEoqmd
いいじゃないですか
0037名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 18:33:41.74ID:Mx35aiI0
千歌「おー、驚いたね。サプライズ成功だ!」

ルビィ「千歌ちゃん……」


ルビィ(いつの間に来たんだろう)

ルビィ(内浦の実家の旅館で働いていて)

ルビィ(朝だって、忙しいっていつも愚痴ってて)

ルビィ(沼津に来る余裕なんて、そうそうないはずなのに)


曜「ごめんね、朝から急に押しかけてきちゃって」

ルビィ「曜ちゃんも」
0038名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 18:39:35.01ID:Mx35aiI0
千歌「えー、その言い方だと迷惑かけたみたいじゃない?」

曜「実際そうだよ、千歌ちゃん」

曜「ルビィちゃん、まだ目をパチクリさせてるもん」

千歌「あっ、本当だ。ごめん」

ルビィ「う、うん」

千歌「一応サプライズのお祝いのつもりでさ」

曜「そうそう、悪気はなかったんだよ」

ルビィ(知ってる)

ルビィ(空回りしているところまで、千歌ちゃんらしい)
0039名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 18:43:20.50ID:Mx35aiI0
千歌「待ちきれないじゃん、ルビィちゃんの誕生日なんだから!」

ルビィ「そんな大層な日じゃないよ」


曜「そんなことないって」

曜「パパとママもさ、ルビィちゃんが起きるのを待ってたんだよ」

ルビィ「そうなの?」

曜「うん、夜にお祝いの予定でしょ」

ルビィ「うん」

曜「だけど朝からもう、パーティーできそうな状態だったよ」

ルビィ「そ、そうなの?」
0040名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 18:45:33.57ID:Mx35aiI0
ルビィ(沼津に、内浦に戻ってから)

ルビィ(私は曜ちゃんの実家でお世話になっている)

ルビィ(寝泊まりしているのも、曜ちゃんの部屋)

ルビィ(曜ちゃんは沼津に部屋を借りて、善子ちゃんの面倒を見るようになったから空いた)

ルビィ(曜ちゃんのお父さんとお母さんは)

ルビィ(娘の大切な時間を奪い、長い間苦しめ続ける原因となった私のことを)

ルビィ(一人娘の代わりだって、笑顔で受け入れてくれて)

ルビィ(心の底から可愛がってくれる)
0041名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 18:46:33.13ID:Mx35aiI0
ルビィ「だけど朝は、黒澤家の予定だよ」

曜「あ、そうか」

曜「誕生日でも行くんだね」

ルビィ「うん」

ルビィ「お姉ちゃんにとって、今日は普通の日」

ルビィ「私の誕生日じゃ、ないから」

曜「……そうだね」
0042名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:34:12.71ID:Mx35aiI0
 ―黒澤家―


ルビィ「お邪魔します」

黒澤母「……ルビィ」

ルビィ「お母さん、おはよう」

黒澤母「ダイヤなら、いつもどおり部屋にいるわ」

ルビィ「うん、分かった」


ルビィ(時間がある日は毎日)

ルビィ(曜ちゃんに運転してもらって)

ルビィ(黒澤家、お姉ちゃんに会いに行っている)
0043名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:34:38.28ID:Mx35aiI0
ルビィ(襖を開けて入る)

ルビィ(お姉ちゃんの部屋)


ルビィ「ダイヤさん」

ルビィ(最初は違和感しかなかったこの呼び方)

ルビィ(今はすっかり、慣れてしまった)

ダイヤ「……ああ、花丸さん」

ルビィ「うん、そうだよ」
0044名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:35:28.06ID:Mx35aiI0
ルビィ(お姉ちゃんの中のルビィは)

ルビィ(もう善子ちゃんのものだから)

ルビィ(元々いた私の存在は、もう消えちゃったから)

ルビィ(空いた部分は)

ルビィ(もう花丸ちゃんの場所しか残っていなくて)

ルビィ(だからルビィは、花丸ちゃん)

ルビィ(お姉ちゃんの前だけ、昔の恋人になる)
0045名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:36:51.33ID:Mx35aiI0
ダイヤ「今日も遊びに来たのですか?」

ルビィ「うん」

ルビィ「相変わらず、暇なんだよね」

ダイヤ「駄目ですよ、あなたはしっかり者なんですから」

ダイヤ「私に構わず、ちゃんと働かないと」

ルビィ(髪を)

ルビィ(花丸ちゃんと同じように、伸ばした髪を撫でられる)


ルビィ「平気だよ、生活できる程度には仕事もしているから」

ダイヤ「それなら、いいのですが」
0046名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:37:24.01ID:Mx35aiI0
ダイヤ「私自身、偉そうなことを言える立場ではありませんし」

ダイヤ「ルビィが家を出てから、あまり連絡がなくて」

ダイヤ「情けないことに寂しいのです」

ダイヤ「花丸さんが来てくれるおかげで、ずいぶん助けられています」


ルビィ「マルも、ダイヤさんとお話できて楽しいよ」

ルビィ「嫌ならわざわざ来ないし」

ダイヤ「そうですか……」
0047名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:38:41.45ID:Mx35aiI0
ダイヤ「ルビィは、元気ですか?」

ルビィ「うん、結構充実した生活を送れているみたいだよ」

ルビィ(曜ちゃん二人、沼津に暮らしている)

ルビィ(今は善子ちゃんに戻る為の、リハビリ中)


ルビィ「メールやメッセージのやり取りは、しているんだよね」

ルビィ(それだけは続けてくれる約束だから)

ダイヤ「ええ」

ダイヤ「私も早く外に出て、あの子に会いたいですね……」
0048名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:39:54.66ID:Mx35aiI0
ルビィ(まだ虚構の世界にいて)

ルビィ(強い刺激を与えることを避けなければならないお姉ちゃんは)

ルビィ(外出さえ許されていない)

ルビィ(症状は改善に向かっているはず、だけど)

ルビィ(私やお母さんでさえ、共に過ごせる時間は限られている)

ルビィ(腕時計を眺めるとほら、もう時間)
0049名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:41:31.09ID:Mx35aiI0
ルビィ「ごめんね、ダイヤさん」

ルビィ「マル、そろそろ帰らないと」

ダイヤ「あら、今日は早いのですね」

ルビィ「うん、忙しいんだ」

ダイヤ「そうなのですか」


ルビィ「またすぐに来るから」

ルビィ「今度は、もう少し長くいられる予定だし」

ダイヤ「ええ……」


ルビィ(寂しそうな顔)

ルビィ(昔は知らなかった、お姉ちゃんの弱い部分)

ルビィ(この関係になってから、まざまざと見せつけられる部分)
0050名無しで叶える物語(もみじ饅頭)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:43:12.94ID:FoA3WEVy
最高ですわ!
0051名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:46:18.18ID:Mx35aiI0
ルビィ「じゃあね、また――」

ダイヤ「待って」

ルビィ(いたたまれなくなって部屋を出ようとすると、いつもより少し、強い言葉で引き留められる)


ダイヤ「お誕生日、おめでとう」


ルビィ「えっ?」

ルビィ(今、なんて)

ダイヤ「……なんでも、ありません」

ダイヤ「ただ、今日はルビィの誕生日ですので」

ルビィ「……そうだね」

ルビィ「今日は、ルビィちゃんの誕生日、だもんね」
0052名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:47:03.66ID:Mx35aiI0
   ※


曜「おかえり」

ルビィ「うん」

ルビィ(私がお姉ちゃんと話している間)

ルビィ(曜ちゃんはいつも家の前、車の中で待っていてくれる)
0053名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:47:54.09ID:Mx35aiI0
曜「ダイヤさん、どうだった」

ルビィ「いつもどおりだよ」

曜「そっか」


曜「周りの人に言わせればずいぶん良くなったみたいだけどね」

ルビィ「そうかな」

曜「うん」

曜「ルビィちゃんのおかげだって」

ルビィ「……」
0054名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:48:29.72ID:Mx35aiI0
曜「それは?」

ルビィ(曜ちゃんが目ざとく指摘したのは)

ルビィ(帰り際、渡された小さな包み紙)

ルビィ「お母さんから」

ルビィ「誕生日プレゼント、だって」

曜「……そっか」
0055名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:49:02.53ID:Mx35aiI0
曜「ルビィちゃん」

ルビィ「うん」

曜「今年も生きたね」

ルビィ「だね」


曜「私はさ、嬉しいんだよ」

曜「こうやって地元に帰って」

曜「君と昔みたいに、一緒に居られることが」

ルビィ「……」
0056名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:49:44.94ID:Mx35aiI0
曜「そろそろ行こうか」

ルビィ「うん」

曜「今日は天気がいいから、海も綺麗だね」

ルビィ「だねぇ」

曜「せっかくだし、どこか寄っていこうか」

曜「学生気分に戻って、寄り道とか」

ルビィ「寄り道……」
0057名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:50:11.17ID:Mx35aiI0
ルビィ「ねえ、曜ちゃん」

ルビィ「それならちょうど、行きたい場所があるの」


ルビィ(ひとつ)

ルビィ(一つだけ)

ルビィ(誕生日)

ルビィ(思い出の場所)
0058名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:51:19.96ID:Mx35aiI0
 ―某中学校跡・図書室―


ルビィ(曜ちゃんには少し経ったら迎えに来てくれるように頼んで)

ルビィ(やってきたのは、既に廃校になってしまったという母校)


ルビィ(あれから、ずいぶんと時間が経過して)

ルビィ(あらゆる場所が姿を変えている)

ルビィ(だけどその中でも変わらない)

ルビィ(誰にも利用されない図書室)
0059名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:52:03.33ID:Mx35aiI0
ルビィ(本はほとんど無くなってしまっていたけど)

ルビィ(懐かしい)

ルビィ(本棚)

ルビィ(椅子)

ルビィ(机)

ルビィ(そのまま放置されている)
0060名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:53:59.94ID:Mx35aiI0
ルビィ(取り残されてしまった僅かな本は、隅に積み重ねられている)

ルビィ(その中に懐かしい)

ルビィ(二人で一緒に読んだ本を見つけた)


ルビィ(ページをパラパラめくり、一番後ろ)

ルビィ(貸出カード)

ルビィ(ほとんど意味を持たないそれに書いた、二人の名前)

ルビィ(『国木田花丸』と『黒澤ルビィ』の文字)
0061名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:54:31.82ID:Mx35aiI0
ルビィ(ここには、色々な思い出が詰まっている)

ルビィ(出会ったのも)

ルビィ(運命に気づいたのも)

ルビィ(初めてキスをしたのも)

ルビィ(身体を重ねたのも)

ルビィ(恋人になったのも)

ルビィ(全部、この場所)
0062名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:55:01.61ID:Mx35aiI0
ルビィ「……マルちゃん」

ルビィ(彼女の定位置だった椅子に座る)

ルビィ(彼女がよく本を乗せていた机に突っ伏す)


ルビィ「私ね、頑張ってるよ」

ルビィ(頑張っている)

ルビィ(あの日、心の中のあなたに誓ったように)

ルビィ(だけどやっぱり)


ルビィ「寂しいよ……」
0063名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:55:37.37ID:Mx35aiI0
   ※


ルビィ「あ……」

ルビィ(気づいたころには、眠っていたのかな)

ルビィ(外はもう、真っ暗)


??「……おはよう」


ルビィ(だけどその中に、ぼんやりとした人影)

ルビィ(この声は、そう)


ルビィ「理亞ちゃん」
0064名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:56:05.07ID:Mx35aiI0
理亞「久しぶり」

ルビィ「……どうして、こんな場所に」


理亞「お祝いしようと思って、沼津まで来たんだけど」

理亞「家に居ないから困っていたら」

理亞「曜が、連れてきてくれたの」

ルビィ「……サプライズ失敗?」

理亞「うん、そうかも」
0065名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:56:32.93ID:Mx35aiI0
ルビィ「曜ちゃんは?」

理亞「外で待ってる」

理亞「お腹ペコペコだって、少し不機嫌だった」

ルビィ「ありゃ、悪いことしちゃったかな」

理亞「千歌も待ちきれなくなって、曜の家で暴れてるらしい」

ルビィ「あはは、それは大変だね」

理亞「お酒が入って、曜への愛を、曜のご両親の前で語り始めてるとか」

ルビィ「それは、本当に止めてあげないとかな」
0066名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:57:08.01ID:Mx35aiI0
理亞「うん、早く戻らないと」

理亞「だから帰ろう、ルビィ」


ルビィ(差し伸べられた手は)

ルビィ(私の手より小さい)

ルビィ(だけど、力強い)

ルビィ(そんな、手)


ルビィ(……バイバイ、マルちゃん)

ルビィ(また、いつかね)
0067名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:57:45.35ID:Mx35aiI0
終焉を迎えない限り、物語は続いていく。
0068名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:58:05.88ID:Mx35aiI0
以上です
0069名無しで叶える物語(たまごやき)
垢版 |
2019/09/22(日) 19:59:59.96ID:ZbjAMJcS
悲しい…。
0071名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 23:55:42.92ID:Mx35aiI0
おまけ
0072名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 23:56:16.56ID:Mx35aiI0
これは彼女が埋めてしまおうとしたお話の一部分
0073名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 23:57:03.64ID:Mx35aiI0
梨子(夏も終わって、だいぶ涼しくなってきた)

梨子(今日は私の誕生日)


梨子(もういい年になるのに)

梨子(周囲に人の影はなく)

梨子(一人、自分の部屋にこもって)

梨子(適当なワインを空けて、ピアノを弾いてみたりするだけ)
0074名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/22(日) 23:57:56.45ID:Mx35aiI0
梨子「あーあ、寂しい奴」


梨子(子どもが存在しない未来も)

梨子(結婚できない未来も想像できたけど)

梨子(ひとりぼっちの未来は、想像していなかったな)


梨子(まだ純粋だったあの頃は)

梨子(ずっと、傍に居続けると信じていた)

梨子(あの人の傍に)

梨子(永遠に)
0075名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 00:00:16.58ID:N8putuMK
梨子(一応、元同級生の友達二人は、お祝いのメッセージを送ってくれた)

梨子(だけど、直接来てはくれないのよね)

梨子(仕方ない)

梨子(曜ちゃんは善子ちゃんやルビィちゃん)

梨子(千歌ちゃんも果南ちゃんの面倒をみるのに忙しいから)


 ピーンポーン


梨子「あら」

梨子(愚痴の効果かしら)

梨子(来客、ただの宅配便かもしれないけど)
0076名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 00:01:46.91ID:N8putuMK
梨子「はーい、どなた――」


善子「リリー」

梨子「……何の用、ルビィちゃん」

善子「皮肉?」

梨子「リリーって呼んだ罰よ、ヨハネちゃん」

善子「ああ、禁止だっけ」

梨子「ええ」
0077名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 00:04:08.49ID:N8putuMK
梨子「久しぶりね」

善子「そうね、本当に」

梨子「来てくれた理由は?」

善子「誕生のお祝いよ、それ以外ないでしょ」

梨子「どうしたの、珍しい」

梨子「そんなこと今までなかったのに」

善子「仕方ないでしょ、私にはそんな余裕なんてなかったんだから」

梨子(ごもっとも)

善子「それに曜と千歌から頼まれたのよ、代理で祝ってきてほしいって」

梨子「ああ」
0078名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 00:05:43.12ID:N8putuMK
梨子「最近は、マシな生活を送れているわけね」

善子「それなりにね」

善子「少なくとも、梨子よりは」

梨子「……」


善子「久しぶりの再会なのに、変わっていないのね」

善子「相変わらず、冷たい瞳をしている」

梨子「元々よ、それは」
0079名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 00:07:40.73ID:N8putuMK
善子「そうね」

善子「出会った頃から、どこか狂っていた」


梨子「そう」

梨子「初めて内浦へ降りたった時の私は」

梨子「もう壊れてしまった後だった」


善子「だけど、そこからさらに変わったのも確か」

善子「悪い方向へ、傾いてしまった」
0080名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 00:10:24.71ID:N8putuMK
善子「責任を感じているんでしょう」

善子「自分が、あんなことをしなければ」

善子「そんな風に考えて」



梨子「……皮肉?」

善子「さあ」

善子「ただ、あなたの顔を見たらそう感じただけよ」

梨子「ずいぶん、生意気になったのね」
0081名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 00:11:07.27ID:N8putuMK
梨子「まあいいわ」

梨子「せっかく来てくれたんだから、上がって」

善子「あら、いいの?」

梨子「もちろん」

梨子「代わりに、少し付き合ってもらうけどね」

善子「なにに?」

梨子「昔話に」
0082名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 03:30:11.98ID:N8putuMK
  ※


梨子「昔、少しだけ話したよね」

梨子「東京で私と、愛し合っていた人の話」

善子「……ええ」


梨子「その人と出会ったのは、当時私が住んでいた場所の近くに会った商業施設の中」

梨子「その中に入っている楽器店の外には、ストリートピアノが置いてあって」

梨子「私はよく、度胸試しみたいにそれを弾いていた」
0083名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 03:30:52.91ID:N8putuMK
梨子「まだ中学生」

梨子「拙い私のピアノを聴いてくれる人なんて、ほとんどいなかった」

梨子「だけどね、一人だけ耳を傾けてくれる人がいたの」


梨子「静かに演奏に耳を傾けて」

梨子「終わったら拍手をしてくれて」

梨子「褒めてくれて」

梨子「私は純粋に、それが嬉しかった」

梨子「その人に聴いてもらう為だけに、その場所に通っていたのかもしれないぐらい」
0084名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 03:31:45.84ID:N8putuMK
梨子「そんな生活が続いたある日」

梨子「私がいつもみたいにそのピアノの前に行くと」

梨子「唯一の観客であるはずの人が、先に演奏をしていたの」

梨子「その人が奏でるピアノの音はね」

梨子「今まで聴いたどんな音よりも美しくて」

梨子「あっという間に引き込まれて」

梨子「その音色に、それを奏でる奏者に、心を奪われていた」
0085名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 03:32:24.33ID:N8putuMK
梨子「弾き終わってから観客の存在に気づいて」

梨子「私の大きすぎる拍手と称賛を受けると」

梨子「顔を髪の色と同じぐらい真っ赤にして」

梨子「その場を立ち去ろうとしちゃって」


梨子「必死に引き留めて」

梨子「名前を尋ねて」

梨子「連絡先を交換して」

梨子「無理やり、縁を繋げた」
0086名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 03:33:03.87ID:N8putuMK
梨子「最初は年の離れた友だちから」

梨子「だけど共通の趣味がある分、すぐに仲良くなって」

梨子「なにより、私たちは」

梨子「私とその人は、惹かれあっていた」

梨子「互いの音に」

梨子「互いの指使いに」

梨子「互いの魂に」
0087名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 03:33:38.36ID:N8putuMK
梨子「特に私の心は」

梨子「愛情、憧れ、尊敬」

梨子「完全に支配されて」

梨子「もうメロメロだったのよね」

梨子「その人とピアノ以外、全てが見えなくなるぐらい」

梨子「だからね、関係が深まるのに、そう時間はかからなかった」
0088名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 03:34:09.44ID:N8putuMK
梨子「気づけば常に二人で過ごして」

梨子「ピアノを弾いて、好きな演奏家のCDを聴いて」

梨子「セックスとかは、ほとんどしなかったかな」

梨子「そこは少し、恋人らしくなかったかも」


梨子「私が音ノ木坂を選んだのも、その人の母校だったから」

梨子「同じ道を歩んで」

梨子「いつか同じようになりたい」

梨子「同じような音を、並んで奏でたい」

梨子「そんな風に、考えていた」
0089名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 03:34:43.84ID:N8putuMK
梨子「だけどね」

梨子「その人は、大きなおうちの一人娘」

梨子「決められた相手と結婚しなければならない」

梨子「後継者を生んで、家を繁栄させて」

梨子「その為に同性愛なんてもってのほか」


梨子「息苦しい世界を、生きていたんだって」

梨子「大好きなピアノを、あれだけの才能を、親に否定されて」

梨子「高校に入ってまた大好きな音楽に触れられるようになったのに」

梨子「二年生になったら、受験を理由にまた音楽から切り離されて」
0090名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 03:35:18.16ID:N8putuMK
梨子「そうやって生きていたせいかな」

梨子「破滅的な思考を持っていた」

梨子「その後の人生に、絶望していたんだよね」

梨子「耐え続けなければならない、人生に」


梨子「私はずっと、一緒に居たかった」

梨子「その人と離れるなんて、考えられなかった」

梨子「だから」

梨子「彼女が世界に絶望して」

梨子「終わりを選択したとき」

梨子「それを、否定できなかった」
0091名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 03:36:09.89ID:N8putuMK
善子「……」

梨子(背中に、そっと置かれた手)

梨子「なに、この手」

善子「私なりの、慰めのつもり」


梨子「私からの求愛を否定した人に、慰められてもね」

善子「恋人になる必要はないでしょ」

善子「例え恋愛感情を抱かなくても、梨子は私にとって」

善子「この世界の中で、最も大切な人の一人」

善子「そんな相手が悲しんでいるのを慰めるのに、理由なんて必要かしら」
0092名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 03:37:02.30ID:N8putuMK
梨子「……格好いいよね、善子ちゃんは」

梨子「普段は変な子だし、ドジで、抜けてて、可哀想な子なのに」

善子「……えらい言われようね」


梨子「好きだよ」

梨子「私は善子ちゃんが、好き」

善子「……そう、ありがとう」

梨子「今夜は、付き合ってくれるのよね」

善子「ええ、満足が行くまでね」


善子「一年に一度の、特別な日だもの」
0093名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/09/23(月) 03:37:57.70ID:N8putuMK
今度こそ以上です

一応大遅刻の梨子ちゃんの誕生日記念ということで
0094名無しで叶える物語(たまごやき)
垢版 |
2019/09/23(月) 04:36:02.99ID:h6zah8gR
梨子ちゃんの元恋人はやっぱりあの方かな?
物悲しいけどこう言う話好きだわ
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています