曜「クレーンゲーム」
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曜「大切なのは過程であって結果じゃない」
曜「梨子ちゃんならこの意味分かるでしょ?」カチャカチャ
梨子「うん…」
ポスッ 曜「はい」スッ
梨子「…」(イカのぬいぐるみ)
梨子「…だからって毎回クレーンゲームで取った景品私に押し付けないでよ」
曜「千歌ちゃんにでもあげたらいいじゃん」
梨子「喜ばないよこんなの」 梨子「大体いらないならこんなに大きいの取らなきゃいいのに」
梨子(かわいいけど)
曜「獲物はデカイ方が燃えるのであります」
梨子「知ったこっちゃないよ」 帰り道
曜「いやぁ梨子ちゃんに喜んでもらえてなによりだねー」
梨子「渡辺曜さんの視神経は断線してるみたいね」
曜「そんな怒んないでよー」
梨子「別に怒ってないもん」 曜「あ、ちょっとコンビニ寄っていい?」
梨子「別にいいけど」
曜「アイス買ってくるけど梨子ちゃんいる?」
梨子「いらない」
曜「つれないなー」タタタッ
梨子「…」
曜「おいひー」モグモグ
梨子「…なにそれ」
曜「フライドチキン」
梨子「アイス食べたいんじゃなかったの?」
曜「梨子ちゃんみてたら食べる気失せた」モグモグ
梨子「なにその言いがかり」 梨子「あっ、バス来てる」
梨子「じゃあ私このバスだから」
梨子「見送りありがとね」
曜「ほーい」モグモグ
曜「…ねぇ、梨子ちゃん」
梨子「?」
曜「また今度一緒に行きませんか、ゲーセン」 梨子「…」
曜「…」
梨子「…仕方ないわねぇ」
梨子「優しい梨子ちゃんが付き合ってあげるわ」
曜「さすが梨子ちゃん、チョロい」
梨子「あなた人の好意を何だと…」
梨子「ああ!バス行っちゃう!」ダッ
ヨウチャンノバカー! バスマッテー!
曜「…」 梨子「近所にゲーセンある人ってイイよね」
曜「イイかな?私あんまり一人じゃ来ないけど」
梨子「あはは、そりゃそうだよね」
梨子「誰かと来た方が楽しいもん」
梨子「まぁこの際だから言うけど、私スクールアイドル部に入った頃よく一人で来てたよ」
曜「…知ってる」
梨子「あ、そっか一回曜ちゃんに見つかったんだっけ」 梨子「あの頃は作曲するの本当にプレッシャーでさー」
梨子「頼られるのは嬉しいんだけど」
梨子「まぁ現実逃避っていうのかな」カチャカチャ
曜「梨子ちゃんそんなにクレーンゲーム好きだったっけ」
梨子「そんなに好きって訳でもないけど…たまに見るとやりたくならない?」カチャカチャ
梨子「ガラス一枚越しに欲しいものがあるっていうのが燃えるというか」パシッ チャラチャラチャララン♪
梨子「…」
曜「…」
ズルッ
梨子「あっ」
曜「本当もどかしいよね梨子ちゃん」
曜「これで何回目?」
梨子「あ、あと一回だけ…」チャリン 梨子「んー、やっぱり空間認知能力が大事なのかなぁ」
曜「いや、関係ないよ運と…」
曜「あとは、自分ならやれるっていう思いだね」
曜「知ってる?思いが強いほどアームの掴む力は強くなるんだって」
梨子「あはは、なにそれ」 梨子「それならどーりで曜ちゃん上手い訳だ」
曜「意気込みがぬるいのかも、もっと自分を信じなよ梨子ちゃん」
梨子「うーん、努力してみるよ…」カチャカチャ
梨子「あー!イライラする!!」バンバン
梨子「これ壊れてるんじゃないの!?」
曜「あとはまぁ、忍耐力かな」 半年前…
千歌「ごめんね梨子ちゃんこんな遅くまで…」
梨子「い、いえとんでもないです」
梨子「では明日また学校で」
梨子「お邪魔しました」パタン
千歌「おつかれさまー!」
千歌「梨子ちゃんってさ」
曜「うん」
千歌「千歌たちにめちゃめちゃ気使ってるよね」
曜「そうかな」
千歌「そーだよ、いっつもニコニコしてるしさー」
千歌「無茶言っても絶対嫌な顔しないじゃんか」
千歌「無理してなきゃいいんだけど」
千歌「ねぇ、私たちちゃんと友達になれるのかな?」
曜「…」 アリガトウゴザイマシター
曜「ふぅ…」
曜(衣装の材料探しに町まで来たらこんな遅くなっちゃったな)
曜(まぁバスには間に合いそうだし良かった)
曜「…」テクテク
私たち、ちゃんと友達になれるかな?
曜(何だよ千歌ちゃんの奴)
曜(桜内さんが入ってから梨子ちゃん梨子ちゃんって)
曜(別に友達になるために呼んだ訳じゃないでしょ)
曜(桜内さんも桜内さんだ)
曜(いっつもいっつもヘラヘラして)
曜(誘ったことは後悔してないけど)
曜(正直何考えてるのか…) バス停
曜(あれ、まだ時間大分あるや)
曜(どうしよう、そこのゲーセンでも寄って行こうかな)テクテク
曜(久しぶりにクレーンゲームでも…)チラッ
梨子「…」カチャカチャ
曜(はぁ!?) 曜(桜内さん!?)
曜(一人で何やって…)
梨子「…」ポロポロ
曜「え…」 曜(びっくりした…)
曜(あの人あんな顔するんだ…)
曜(…)
曜(死にそうな顔してたな…)
別に逃げた訳じゃない
あの人だって一人になりたいのかもしれないし
もう夜も遅いし
バス早く来るかもだし
曜(あぁ、でもせめて)
曜(せめて一声くらいかければよかった)
たったのガラス一枚越しだったのに 梨子「ではまた明日」
梨子「お邪魔しました」パタン
千歌「おつかれさまー!」
曜(…また一人でゲーセン行くのかな)
曜(まぁ、私には関係ないか)
千歌「曜ちゃんは行かないの?」
曜「はいぃ!?」
千歌「うわっびっくりした!」
千歌「だ、だから夏祭り行かないの?」
曜「あ、あぁ夏祭りね!」 曜(そっちか、びっくりしたぁ…)
千歌「ああ、今年は梨子ちゃんも誘おうか」
千歌「もっと仲良くなりたいしね!」
曜「…そうだね」
千歌「いやぁでも梨子ちゃんを誘ったときのことが昨日みたい」
千歌「曜ちゃんが一生懸命勧誘してさぁ、覚えてる?」
曜「…」 梨子『あ、あのやっぱり』
梨子『私スクールアイドル部入るのは止めとこうかなって…』
千歌『ええー!何でー!?』
梨子『わ、私じゃ正直役に立てないというか…』
曜『…そんなことないですよ』
梨子『!』
曜『無理を言ってるのは分かってます』
曜『でも、それでもアナタを誘うのは』
曜『アナタが作ってくれる曲なら私たちだけじゃ行けない所に行けると思うんです』
曜『それはアナタにとっても楽しいはず』
曜『…いや、楽しくなければ意味がない』
梨子『…』
曜『お願いします、もう一回考えてもらえませんか』 ゲーセン
梨子「え…」
曜「」フーッ フーッ
曜(くそ…千歌ちゃんめ)
曜(変なこと思い出させないでよ!) 梨子「わ、渡辺さん!?なんでっ…」
曜「あ、いや!」
曜「たまたま!たまたま見かけたんで!!」
梨子「そ、そうですか…偶然、ですね…」
曜「…」
曜(あ、しまった)
曜(何話すか全然考えてなかった)
曜(この前はすみません、とか?)
曜(いやいきなり意味分かんないでしょ)
梨子「…???」
曜(あ〜めっちゃ困惑されてる〜)
曜(も、もう何でもいいや適当に話題を…)
曜「あ、あのっ」
梨子「は、はい!」
曜「えっと…」
曜「わ、私も一緒にやっていいですか」
曜(いや何言ってんの私!) ポスッ
梨子「あ!や、やった!」
曜「あ、良かったら、どうぞ…」スッ
梨子「え!い、いいんですか?」
曜「あ、はい」
曜「いらなかったら誰かにあげてもらっても…」
梨子「い、いえ!大事にします!」
曜「すみません、もっとマシなの取ればよかった…」(イカのぬいぐるみ) 梨子「えへへ、こういうのは過程が楽しいものなんですよ」
梨子「渡辺さんとも話せましたしね」ニコニコ
曜「はぁ…」
曜(あ、笑った…)
梨子「つ、次はあれ!あれやりませんか?」
曜「いいですよ」
曜(はぁ…)
曜(タイミング、逃したなぁ…) 千歌「ぬわあああああああ疲れたああああああああ」
善子「うるさいわね…」
花丸「今日もハードだったずらぁ〜」
曜「梨子ちゃん、この後ヒマ?」
梨子「特に何も無いけど…どうしたの?」
曜「そ。じゃあゲーセン行かない?」
梨子「いいよ。千歌ちゃんたちも誘う?」
曜「私と二人じゃ嫌なんだね…」ウルウル
梨子「そ、そんなこと言ってないじゃない…」
曜「よし!じゃあ決まりね!」
曜「千歌ちゃん!ちょっと私この後用事あるから先に帰ってて!」
千歌「え!そうなの!?」
梨子「私も用事が…」
千歌「えー!なになに二人してぇ!」
千歌「いいよもう!ルビィちゃんたちと帰るもん!」
梨子「あはは、また明日ね」 これは推測だけど
曜ちゃんは私に何か言いたいことがあるんだと思う
梨子(月に一回あるかないかくらいの確率で発生するこのイベント)
梨子(儀式みたいにゲーセン行って)
梨子(最後に必ずこう言うんでしょ)
曜「ねぇ、梨子ちゃん」
曜「また一緒に行きませんか、ゲーセン」 梨子「あーあ、」
今日も失敗
ねぇ、曜ちゃんが言いたいのはさ
本当はそんなことじゃないんでしょ
何を不安がってるの
梨子「仕方ないわねぇ」
梨子「優しい梨子ちゃんが付き合ってあげるわ」 梨子(なーんて言っておきながら)
梨子(これで何回目なんだろうね)
梨子「あー!バス待ってー!!」 元ネタ知らんけどこれで終わりなのか…
なんか勿体ないな 距離感のある子たちが少しずつ仲良くなっていく過程っていいものだな
乙 乙です、きっとこういう微妙な距離感のときもあったんだなと思わせるよねようりこは
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