花丸「善子ちゃん大好き」
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花丸「善子ちゃん、私ね、善子ちゃんの事が好き…なの」
善子「え?」
とある日の放課後。私は花丸に告白された。
部活前の2人きりの部室。他のみんなは掃除当番やら何やらでまだ来ていない。
善子「ごめん、今何て言ったの?」
嘘。ただ突然言われたのが、あまりにもあり得ない言葉だったから。
だから、きっと聞き間違いだろうと思った。そう思いたかった。 花丸「善子ちゃん、おら…じゃなくて…私ね、善子ちゃんの事が好きなの」
善子「…」
どうやら聞き間違いではなかったようだ。一字一句同じだ。
私は固まってしまった。きっと他の誰かが今の私を見たら、ザ・ワールドのスタンドでも発動しているのかと思うだろう。
花丸が私の事を好き?それは…どういう意味で? 普通に考えればもちろん友達同士の意味だろう。
いつも私の堕天使設定…もとい堕天使ヨハネをからかってるずら丸の事だから冗談って線が強いか。
ずら丸がすごいまじめな顔をしているような気がするがきっと気のせいだろう。
善子「ふ、ふふ…ずら丸もよーやく上級リトルデーモンとしての自覚が芽生えたようね。」
だから私もいつも通りのノリでかえした。
きっといつもの調子でツッコンでくれるはずだと 。恥ずかしいけどここは…
善子「堕天使ヨハネの名をもってリトルデーモン花丸に有償の愛を
花丸「ううん、違うんだよ善子ちゃん」 私の言葉を遮る花丸。相変わらずの真剣な雰囲気。
私の顔をまっすぐ見つめてくる花丸。
さすがの私も、花丸が何を言おうとしているのかがわかった。
善子「ど、どういう意味よ?ずら丸」
それでも私は気が付いていないふりをする。
信じたくなかったから。花丸が引き返してくれることを祈ったから。
花丸「善子ちゃんと一緒にいるとね、とっても楽しいずら。2人で子供みたいにふざけあったりして。
善子ちゃんと一緒にいるときは、すごい心が安らぐの」 やめてよ・・・花丸
花丸「それでね、いつからか、気がついたらいつも善子ちゃんの事考えるようになってた。
善子ちゃんに会うと、いつも胸がどきどきしてた」
それ以上は言わないで・・・
花丸「善子ちゃんはすごくかっこよくて。でもそれ以上に女の子らしくて。かわいくて」
花丸「善子ちゃん。私の好きはね、そういう好きなんだよ」
花丸・・・
花丸「好きです、善子ちゃん。私と付き合ってください」 再びザ・ワールド
善子「ふふ・・・冗談よね?」
ようやく口をでた言葉。
冗談ではないことなど分かっていたが、こう言わずにはいられなかった。
花丸「ううん、冗談じゃないよ」
善子「いや、けどおかしいわよ・・・私たち女同士だし」
花丸「恋愛に性別は関係ないよ」 恋愛に性別なんて関係ない・・・。漫画や小説などでよく聞くフレーズだ。
私も今の今までそう思っていた。
恋愛は自由。同性を好きになることがあっても仕方ないんじゃないかって。
でも、それはフィクションのお話の中の事で。
自分には関係のない世界のことだったから。
花丸「本気なの。本気で善子ちゃんの事が好きなの」
花丸「こんなこと言ったら善子ちゃんに嫌われるか もしれないと思った・・・でもどうしても我慢できなくなって」 どんどん小さくなっていく花丸の声。
心なしか涙声になっている気がする。
花丸「返事を・・・聞かせてほしいずら。駄目ならそう言ってくれていいから。
そしたら善子ちゃんの事、ちゃんと諦めるから・・・」
善子「・・・あの・・・その・・・」
私はさっきずら丸になんて答えたんだっけ・・・?
もう、思い出せなくなってしまった。 千歌「こんちかー」
私が返事をする前に、千歌が部室に入ってきた。すごいタイミングで入ってくる奴だ。
千歌「って、あれ?どうかしたの?」
この場の空気を感じたのか、千歌が聞いてきた。
善子「ううん!なんでもない!なんでもないわよ」
千歌「そっか…。ってどうしたの花丸ちゃん! なんで泣いてるの!?」
そう言って花丸に走り寄る千歌。心配そうな表情をしている。
千歌「善子ちゃんに何かされたの!?」
ひどい先輩である。 花丸「ううん。違うよ千歌ちゃん。ちょっと目にゴミが入っちゃったずら。心配させてごめんね」
涙目で笑いかける花丸。
今度は千歌は私のほうを見て言った。
千歌「善子ちゃん。本当?」
それは私を非難したり疑っている感じではなく、 純粋に花丸を心配しているようだった。
善子「・・・ホントよホント。いくらなんでも泣くことないのに。ずら丸も」
最低だ。私って。 花丸「ごめんね。千歌ちゃん」
千歌「あはは。ビックリしたよー。はい、ハンカチ」
花丸「ありがとうずら、千歌ちゃん……」スンスン
千歌「ウェェ?なんでハンカチの匂い嗅いでるの?もしかして変な匂いした?」
花丸「何だかみかんの匂いがするずらぁ」
千歌「?…ぁああ!そういえば今朝みかん食べたとき…ごめーん花丸ちゃん」
花丸「良い匂いずら♪」
目の前で繰り広げられるいつもの光景。
でも、それを見ている私の心の中は、いつもと違っていた。
私は、親友のことを、「気持ち悪い」と思ってしまっていた。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています