鞠莉「今日は船が出ないみたい」
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果南「これだけ風が強いからね」
鞠莉「今日の練習はどうする?」
果南「船が出ないと私と鞠莉は島から出れないから……」
果南「向こうは向こうで練習してもらって私達は二人で練習かな?」
鞠莉「船が出ないっていうとあの時の事思い出すね」
果南「あの時って?」
鞠莉「もっちろん、数年前のマリーの誕生日のことでーす」
果南「あ〜、あったねそういえば」
鞠莉「そういえばって……」 ─────────────
鞠莉ママ「とっても嬉しそうね鞠莉」
鞠莉「明日はマリーの誕生パーティーだからね」
鞠莉「クラスのみんなを招待したし色んな催しも考えてるの」
鞠莉「明日はきっと人生最高の誕生日になるに違いないわ」
鞠莉ママ(こんなにウキウキな鞠莉を見るのは始めてかもしれません)
鞠莉ママ(でも、予報だと明日は……) ダイヤ『船が出ない?』
果南「風が強くて安全が確保出来ないから島への船は運休だって」
ダイヤ『では今日の鞠莉さんのお誕生会は中止ですか?』
果南「まだ鞠莉からは何も聞いてないけどきっと中止だろうね」
果南「船が出ないと参加者が私だけになっちゃうし」
ダイヤ『鞠莉さんあんなに楽しみにしていましたのに』
ダイヤ『クラスの皆さんにも早めに連絡しておいた方がいいのでしょうか?』
果南「この程度の風なら無理すれば船も出せそうな気がするんだけどね……」
果南「ちょっと船を出せないか聞いてみるからみんなへの連絡は待ってて」
ダイヤ『聞くって誰にですか?』
果南「鞠莉のお母さん」 果南(とりあえずホテルの近くまで来たけど)
果南(あのバルコニーにいるのって)
果南(やっぱり鞠莉だ……)
果南(陸側の船着場を見てる……)
果南(こっからじゃ表情は見えないけどきっと……)
果南(鞠莉のためにも何とかしてみんなを連れて来なきゃ!) 果南「あの……」
鞠莉ママ「何でしょうか?」
果南「鞠莉の誕生会のために船を出してもらえませんか?」
鞠莉ママ「全く何をいうかと思えば……」
鞠莉ママ「話になりません」
果南「これくらいの波なら何とかなると思うんですけど」 鞠莉ママ「何とかなる?」
鞠莉ママ「もし何とかならなかったらどうするつもりなのですか?」
果南「それは……」
鞠莉ママ「問題が起きたら鞠莉のクラスメイトのご家族に何と説明すればいいのですか?」
鞠莉ママ「ホテルの評判が落ちたら従業員や株主に何と説明するのです?」
果南「……」
鞠莉ママ「娘の誕生会のために危険かもしれないけど船を出した、と?」 果南「ダメだった……」
ダイヤ『まあこうなるだろうと思ってましたわ』
ダイヤ『鞠莉さんのお母様のおっしゃる事も尤もですし』
果南「ダイヤはあっちの肩を持つの?」
ダイヤ『そういう訳ではありませんわ』
ダイヤ『人にはそれぞれ立場という物がありますから……』
ダイヤ『鞠莉さんのお母様はホテルの支配人として判断を下されたのでしょう』
ダイヤ『きっと母親としては無理にでも船を動かしてあげたいと思っている筈ですわ』
果南「大人って面倒なんだね」 ダイヤ『やはり今日の誕生会は中止になりそうですわね』
果南「……」
ダイヤ『果南さん?』
果南「ダイヤ、逆転の発想だよ!」
ダイヤ『どういうことですか?』
果南「みんなを島に連れて行くんじゃなくて、私と鞠莉がそっちへ行けばいいんだよ!」
果南「大勢は難しくても二人なら行けるんじゃないかな?」
ダイヤ『成る程!それなら……』
ダイヤ『と、言うわけにはいきませんわ』
ダイヤ『結局船が出ない事には変わりませんし』
果南「二人なら出せないかもう一度お願いしてみるよ」
ダイヤ『あなたも粘り強いですわね……』 果南「あの……」
鞠莉ママ「またですか」
鞠莉「何度言われても船は出さないと……」
果南「鞠莉と私だけ陸側に連れていって貰えませんか?」
鞠莉ママ「人数の問題ではありません」
鞠莉ママ「今日は安全のために人は乗せない……」
鞠莉ママ「私がそう判断しました」 果南「鞠莉の……」
果南「楽しみにしてた鞠莉の気持ちは考えないんですか?」
鞠莉ママ「そんな訳ないでしょう!」
果南「……」ビクッ
鞠莉ママ「ただ、個人の感情より優先されることがあるという事です」
鞠莉ママ「鞠莉も将来小原家を継ぐのですから、きっとその事も理解してくれている筈です」
果南「言い過ぎました、ごめんなさい」ペコリ
鞠莉ママ「……」
鞠莉ママ「話は終わりですか?」
果南「……」
鞠莉ママ「とにかく今日一日連絡船に人は一切乗せるつもりはありません」 果南(ほとんど言い返せなかった)
果南(何か他に手は……)
果南(泳いで渡る?私が船を操縦する?ロープウェイのワイヤーを伝う?)
果南(ダメ、どれも現実的じゃない)
果南(ん?)
果南(ホテルの人達が集まって何か話してる……) 果南「ダイヤ!陸に渡る目星がついたよ!」
ダイヤ『本当ですか?』
果南「陸に着いたら遊びに行くつもりだからみんなに連絡しておいて」
ダイヤ『大丈夫なのですか?』
果南「私に任せて」
果南「きっと鞠莉を連れて行くから!」 コンコン
果南「鞠莉、開けて」
鞠莉「果南?」
ガチャ
鞠莉「果南……」
鞠莉「ゴメンね果南、今日の誕生会は中止に……」
果南「鞠莉、行くよ」
鞠莉「え?どこに?」
果南「みんなの所だよ!」 鞠莉「つまりみんなが島に来るんじゃなく私達が陸側に行くって事ね?」
果南「そういう事」
鞠莉「でもどうやって?」
鞠莉「まさか泳いで?」
果南「流石に鞠莉を連れては無理だよ……」
鞠莉「じゃあ……」
果南「アレだよ」
鞠莉「アレって、連絡船じゃない」
鞠莉「船は動かないって……」
果南「ホテルの人聞いたら物資を運ぶために1回だけ往復するんだって」
果南「そこに私達が忍びこむの」
果南「陸に着けば後はどうにでもなる筈」
果南「とりあえず乗り込むチャンスを窺うよ」 果南「……」
鞠莉「なかなかチャンスが来ないね」
果南「……」
鞠莉「そもそも操縦士の人ずっと運転席から動いてないし」
果南「……」
鞠莉「荷物も積み終わったみたいね」
果南「……」
鞠莉「果南?」
果南「……」
鞠莉「何か手は……」
果南「……」
鞠莉「無さそうね」 鞠莉「ありがとう果南、もう充分よ」
果南「……!」
鞠莉「ママだ……」
果南「操縦士さんと何か話してる……」
果南 鞠莉「……!」
鞠莉「ママが操縦士を呼び寄せた!」
果南「落ち着いて……もうちょっと船と離れてから……」
果南「今!」
ダッ
鞠莉(あっ!)
鞠莉(ママが一瞬こっちを見た?)
鞠莉(気づかれた!?) 鞠莉「気付かれずに中に入れたみたいね」
果南「この荷物の陰に隠れてよっか?」
鞠莉「ちょっと二人で隠れるには狭いね」
果南「ギュッとくっ付けば何とかなるって」
果南「そろそろ船が動きそうだよ」
果南「揺れるからしっかり私に掴まっててね」 果南「思ったより揺れるね……」
果南「さっきから黙ってるけど大丈夫?鞠莉?」
鞠莉(揺れと狭さのせいで果南と色んなところが密着しすぎてヤバイ……)
果南「ひょっとして揺れるの怖い?」
果南「怖いならもっとギュッとしようか?」
鞠莉「お、お願い」
果南「わかった」ギュッ
鞠莉「……///」 鞠莉「着いたみたいね」
果南「後は隙を見て船から脱出するだけだね」
鞠莉「その後は?」
果南「ダイヤ達との待ち合わせ場所まで走る!」
果南「そこから先はみんなで考えよう」
鞠莉「うん!」
───────────── 果南「確かその後沼津で夜まで遊んで……」
果南「島には帰れないからダイヤの家に泊まったんだっけ?」
鞠莉「そうそう」
果南「で、次の日の朝学校の荷物を取りに島に帰ったらこっ酷く叱られたんだよね」
鞠莉「今だから言うけど多分ママは全部気づいてたと思うよ」
果南「え?そうなんだ」
果南「でも、気づいてたなら止めようとしたんじゃない?」
鞠莉「きっと果南は止めても無駄だと思ったのかもね」
鞠莉「無理に止めて勝手に泳いで行かれるよりは連絡船に忍び込ませた方がマシだと思ったんじゃない?」
鞠莉「それに許可は出せないけど子供が勝手にやっちゃったなら仕方ないって言い訳出来るしね」 鞠莉「でもあの日の果南カッコ良かったな〜」
鞠莉「まるでおとぎ話のprincessになった気分だったよ」
果南「じゃあ私が王子様?」
鞠莉「Yes!そういう事ね」
果南「私も女の子なんだけど」
鞠莉「ふ〜ん、果南もそういうのに憧れるんだ〜」
果南「そういう訳じゃないけど……」
果南「まあ、多少は?」
鞠莉「じゃあいつかマリーが白馬に乗って果南を迎えに行ってあげるね!」
果南「白馬には別に乗ってなくていいかな……」 プルルルルル
果南「あ、ダイヤから電話だ」
鞠莉「きっと『私を仲間外れにするなんて許せませんわ』って電話だと思うよ」
果南「いや、今日の練習の話でしょ」
果南「もしもし、ダイヤ?」
鞠莉(果南?気づいてる?)
鞠莉(出会ってからずっと果南は私の王子様なんだよ?)
鞠莉(いつだって私を素敵な世界に連れ出してくれる)
鞠莉(だから……)
鞠莉(いつかまた私を連れ出してね♡) 日曜に鞠莉ちゃんバースデーイベントにために淡島に行ったら臨時休業でその日の帰りの高速道路で思いついたSS これは素晴らしい鞠莉誕ssでありかなまりss
仕事の前にいいもの見せてもらった乙 仕事の前になんてものを読ませてくれるんだありがとうございます頑張ります >>24
丁度同じ日に鞠莉誕祝いに行って渡れなかったから、感慨深いな r''´ ̄`ヽ
. (^ヽ,,l *f!!!i_i!!」´^)
(:::..ゝ|ゞ1^.-^ノ|.::::)
'(_ノ|と`)` )う、_)
;*~/'ヽノゝ ;°
。;;* ~し'゙J ;;*。
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。;;*' 。;;*’ http://i.imgur.com/pLCXzt5.jpg
´ ̄ ̄ミヽ、_
/ ` 、_rx-―-、
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. / / 'l「 | l` | } i | ) ノ もうすっかり静岡名物として有名になった朝ラーメンで頼むメニューといえば
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lハ { rュ\ , 、、、ソ/ / l l
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\ト込,_ 、 ノ 人ノi /
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「~ ̄¨^''ヽ、」三i ´ィノ ク }-- 、
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く ヽ、 )、 { , 仁{ ,イ }
)´ \/ ハ f―‐‐''´ 人
( | / /‐.} L____,,.イ )
. } |: / / | V { 鞠莉ちゃんの為なら無茶しちゃう果南ちゃんなんだよな〜ん ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています