愛香「ヨハネの声が聞こえなくなった」
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かなこ「ふぅー、リハーサル終わったねぇ」
降幡「もうすぐ本番かぁ、早いもんだね」
かなこ「んんー…私アンコールの1年生のところ、まだちょっと不安なんだよね」
降幡「うん、じゃあ最終確認ってことで残ってやるか!ね、きゃん!」
愛香「…………」ズゥゥゥン…
かなこ「あいきゃん?」
愛香「はぁ……」 降幡「どうした?顔色悪いけど…」
かなこ「体調悪いんだったら早く帰った方がいいよ?」
愛香「ヨハネ…」
かなこ「善子?善子がどうかした?」
愛香「どうして…」ハァ…
降幡「これ大丈夫じゃなさそうだね」
かなこ「悩み事だったら相談乗るよ」
愛香「うぅっ…誰にも言わない?他のメンバーに心配掛けたくなくて」
ふりきん「もちろん」 愛香「…聞こえないの」
かなこ「なにが?」
愛香「ヨハネの、声が……」
愛香「ヨハネの声が聞こえなくなっちゃった…」
ふりきん「(あっっっっっっっ……)」
愛香「いつも声掛けてくれるのに…なにも聞こえなくて…」
降幡「えっと…いつから聞こえなくなったの?」
愛香「3日前から…」
愛香「忙しいのかなって思ったりはしたんだけど…」グスッ 降幡「どーすんのこれ…」ヒソヒソ
かなこ「1人で善子も演じながら話してるなんて言えないしなぁ…」ヒソヒソ
愛香「ううっ…ヨハネ…」グスッグスッ
杏樹「あれ、あいきゃんどーしたの?!」
朱夏「泣いてる…?」
ふりきん「(ヤバい!!!!)」
降幡「大丈夫!うちらでなんとかするから!」アセアセ
かなこ「みんなこの後仕事あるんでしょ?」 朱夏「まあ、相談するんだったらふりとかなこの方が話しやすいと思うしね」
杏樹「じゃあ二人共よろしくね。何かあったら連絡して!」
降幡「うん!あ、ありがと〜」
かなこ「…さて、どうしようか」
降幡「う〜ん…」
愛香「ヨハネ…ヨハネ…」
ヌッ……
降幡「ん?」クルッ
梨香子「あいきゃんどーしたのw」
降幡「うおっ?!?!」 かなこ「びっくりした…愛奈と有紗も」
梨香子「なんで泣いてるのw」
愛奈「あいきゃん…?」
有紗「何があったのこれ」
降幡「えーっと…ちょ、ちょっと色々あって…」
かなこ「心配しないで。私とふりがなんとかするから」
愛香「っ、ぅ、うわぁぁぁん!!!」ダッ
ふりきん「あいきゃん?!」 ドンッ
すわわ「おい!こっちは次のアフレコしに行こうとしt「うわぁぁぁん!!!」ダッ
すわわ「……えっ」ポカーン
降幡「すわわ、気にしないで!」
かなこ「ふり、追いかける?」
降幡「無理に話聞くのもなんだか…」
かなこ「今のあいきゃんだとなにするかわからないよ?」 降幡「今はそっとしておいてあげた方がいいんじゃないかな。一人になりたくて逃げたんだと思うし…」
かなこ「…そうだね」
降幡「んー…でもやっぱり心配だよなぁ」
かなこ「ふりはこの後用事ある?」
降幡「ないけど…」
かなこ「この後二人でお茶でもしながらどうしたらいいか考えない?」
降幡「…わかった、そうしよう」 〜小林家〜
ガチャ
愛香「ただいま……」
シーン…
愛香「ぁ…ぁ……」
愛香「やっぱり、聞こえ、ない……」
愛香「いつもなら、おかえりって、言ってくれるのに…」
愛香「どうして…?ヨハちゃん、何処に行っちゃったの…?」
愛香「私、嫌われるようなことした…?」 〜善子部屋〜
ガチャ
愛香「…ヨハちゃん、ただいま。何処にいるの?出ておいで?」
シーン…
愛香「ねぇ、いちごとチョコ、買ってきてるから、さ……」
愛香「苦いチョコレートはあまり好きじゃないんだよね。大丈夫、苦いのじゃないしホワイトチョコもあるから…」
愛香「いちごはね?有紗が勧めてくれたとちおとめだよ…?」
愛香「お願い、何処にいるの…?私を1人にしないで…」グスッ
愛香「私を置いて行かないで…」ポロポロ
愛香「っ、返事してよ!!!いるんでしょ?!?!」 キィィィィィィィン!!!!
愛香「み、耳の奥がっ……!!」
ピカァァァ!!!!!
愛香「え…?ヨハネの、フィギュアが、光って…」
善子『こば、やし…』
愛香「ヨハちゃん?!ヨハちゃん、どうしたの?!」
善子『…て…』
愛香「え?!なに?!』
善子『す、けて…』
善子『た、すけて…』
愛香「え……?!」
ピカァァァァァァアアアアアア!!!!!!!
愛香「ぎゃああああああああああっ?!?!?!!?!」 〜沼津駅前〜
愛香「……ん…」パチ…
愛香「んはっ!え、ここ、沼津?!」
愛香「(うわ、これ何時くらい?絶対夜遅いよね…スマホ…)」
愛香「10時って…」
「っ、グスッ、───ちゃん、」
愛香「?」
「ねぇ、またり…、って呼んでよっ…」
「お願いっ………こ…ちゃん」
「もう怒ったりしないからぁっ…!!」ポロポロ
愛香「あの…?」
「あ……」ハッ 愛香「(暗くて顔が見えない…)」
愛香「高校生…かな?こんな時間にどうしたの?」
「ご、ごめんなさいっ!」ダッ
愛香「ええっ?!ちょ、待って!」
愛香「(行っちゃった…)」
愛香「(あの綺麗な髪、どこかで見たような…)」
警察「すみませーーん!」
愛香「えっ?」
警察「ガラス飛んでて危ないんで退いてくださーい!」
愛香「ガラス…?あ、ほんとだ」
愛香「(嫌な予感がする…)」
愛香「あ、あの…何かあったんですか?」
警察「あの倒れてるトラックですよ、事故があったんです」
愛香「事故……?」 愛香「え、あのトラックですか?随分酷い事になってますね…」
警察「お母さんとお子さんの方は助かったんですけどね…」
愛香「(ほんとだベビーカーある…)」
愛香「(お父さんの方が…かな)」
愛香「すみません。お邪魔しました〜」
愛香「(これからどうしよう…)」
愛香「(お金どころかバッグすらない、スマホだけだ…)」
愛香「(夜遅いし…泊まる所探さないと…)」 愛香「んー、どうしよ…」
愛香「……ん?」
「なんで───ちゃんは平気でいられるの?!」
「えっ……」
「だってあんな酷い目に遭ったんだよ?!なにも思わないの?!」
「ちが、違うよ───ちゃん!!」
「───ちゃんて、そういう人だったんだ」
「っ…前を向こうって、みんなで頑張ろうって言ったのは───ちゃんだよ?!」
愛香「(また高校生くらいの子…?なにしてるのこんな時間に…)」 「もう、───ちゃんなんて知らない」ダッ
「ま、待って、待ってよ…!」
愛香「(え、なにあれ、喧嘩してる…?)」
タッタッタッ……
愛香「(うわ、こっち向かってくる…!)」
ダダダダダ……………
ビッターーーーーーーン!!!!
「いっったたたた……」
愛香「え……」 千歌「あっちゃー…血出ちゃったぁ…絆創膏持ってないよぉ…」
愛香「ん?!」
千歌「ほえ?」パッ
愛香「(ち、千歌ちゃん…?!)」
千歌「あはは…ごめんなさい、恥ずかしいところ見せちゃった。失礼しますっ」タッ
愛香「……あ」
愛香「ば、絆創膏、あるよ!」
千歌「え……」クルッ 愛香「よ、よかったら…」スッ
愛香「(そうだ、このスカートポケットに絆創膏入れっぱなしだったんだ…)」
千歌「え、いいですよそんな…」フルフル
愛香「家、ここからちょっと遠いでしょ?そのままでいたら…」
千歌「…?私の家、知ってるんですか?」
愛香「(しまった……!)」
愛香「う、うーん、な、なんとなく!」
千歌「すみません。じゃあ、ありがたく…」 ペタッ
愛香「はい、できたよ」
千歌「ありがとうございます」
千歌「…あ、あの…観光の方ですか?」
愛香「え、う、うん!まあそんなとこ…かな」
千歌「こんな時間まで出歩いて…どうしたんですか?」
愛香「(それはあなたの方だよ…!!)」
愛香「えっと…と、泊まる場所がなくて…」 千歌「…うちの旅館、来ます?」
愛香「えっ」
千歌「平日はお客さんあんまり来なくて…ガラガラなんですよ」エヘヘ…
愛香「でも、でも私お金持ってないよ!」
千歌「大丈夫ですよ、きっとみんな許してくれると思うし…」
愛香「……いいの?」
千歌「はい!じゃあお母さんに電話してきます!」 プルルルル
千歌「あ。もしもしお母さん?終わったから…うん、迎えに来て?…ありがと」
千歌「それとね、泊まる場所ないって言ってる人がいて…女の人!」
千歌「本当?!よかったぁ…うん!じゃあ待ってるね」
ピッ
千歌「大丈夫でしたよ。これからお母さんが車で迎えに来るんで」ニコッ
愛香「なんか…ごめんね」
千歌「いえいえ、最初に助けてもらったのはこっちですし」 〜車〜
愛香「すみません、よろしくお願いします」
千歌母「はーい、あら若いのね」
愛香「えっ、いやいやそんな…もうアラサーですしw」
千歌母「でも20代なんだから全然若い方よ?」
愛香「あはは…」
千歌「このお姉さんね、絆創膏くれたんだ」
千歌母「えっ、そうなの?ごめんなさいね、迷惑掛けちゃったみたいで」
千歌「とーっても優しくれたんだ!」
愛香「そ、そんな…///」 津島善子の人気を落とした元凶
在日コリアン小林チョン香さん!? 千歌母「……ところで千歌、曜ちゃんはどうしたの?」
千歌「……あ、えっと…曜ちゃんのお母さんが迎えに来てくれるって」
千歌母「…嘘は良くないって昔から言ってるよね?」
千歌「う、嘘なんかついてないもん…」シュン…
愛香「(…あ、もしかしてさっき千歌ちゃんが喧嘩してた相手って…)」
愛香「(なにがあったんだろ…)」 〜十千万〜
千歌「ここがうちの旅館です!」
愛香「おおー!アニメでm…ゴホッゴホッ、すごいね!」
千歌母「どうぞ上がって」
愛香「お邪魔します」
千歌「私、部屋の準備してくるね!」ダッ
愛香「え、いいよそこまでしなくて…!」
千歌母「あらあら、珍しく今日は張り切ってるわね」クスッ 千歌「ここのお部屋でいい?」
愛香「わあっ…一人じゃ広すぎるくらいだよ、ありがとう!」
千歌「ゆっくりしていってね!後でご飯持ってくるから!うちのお父さんの料理、すごいんだよ〜!」
愛香「わかった、待ってるね」
千歌「あ、ご飯まで時間あるから温泉入っていてもいいよ!張り紙を見てその通りに進めば辿り着くから!」
愛香「うん!何から何までありがとう!」 〜翌朝〜
愛香「んん……」パチ
愛香「(寝たら帰れるのかなって思いはしたんだけど…)」
愛香「(とりあえず、私が千歌ちゃん達の世界に来ちゃったことは理解した)」
愛香「(そういえばヨハちゃん、『助けて』って…どういう意味なんだろ、あれ…)」
愛香「(今日は何か手掛かりを探そう…)」
愛香「昨日のご飯、美味しかったな…」ムクリ ピコン
愛香「スマホ…?」パッ
愛香「(ラインの通知…?こっちでも使えるんだ…)」
愛香「………ライン、ニュース……?」
【最新情報】
沼津駅前大型トラック事故
16歳女子高校生意識不明の重体か
愛香「へ………?」
『善子『た、すけて…』』
愛香「…………まさか」ハッ 愛香「………」ピッ
【最新情報】
昨日12時頃、沼津駅前の信号無視した大型トラックが青信号の横断歩道を横切り、16歳の女子高校生津島善子さんが轢かれ搬送先の病院で意識不明の重体。
現場近くの目撃情報によると津島さんは轢かれそうになった前を歩いている親子を庇ったという。尚、親子は共に軽症で済んだとのこと。
警察はトラックの運転手を現行犯逮捕した。
愛香「な……なんで……」 愛香「搬送先の病院って、どこ…?!」
愛香「っ……!!!」ダッ
千歌「あ、おはようございま…」
愛香「千歌ちゃん、沼津で一番大きい病院って、何処か知ってる?」
千歌「へ……」
愛香「今まで黙っててごめん、私…観光しに沼津に来たわけじゃないの」
愛香「ヨハネを、津島善子を、助けに来たの」
千歌「………!!」 千歌「…善子ちゃんとなにか繋がりがあるんですか?」
愛香「っ…ごめん、それはちょっと言えない、かな」
千歌「………」
愛香「なんていうか、私の身体の一部っていうのかな。私の中で多分、一番大きい存在だと思うんだ」
千歌「本当は千歌達も行きたいけど、学校があるし…」
千歌「…わかりました。お姉さんに任せます」
愛香「…ありがとう」
千歌「病院の場所は───────」 〜病院〜
愛香「っ、はっ、はっ、はぁっ……」
愛香「つ、着いたぁっ…」ハァハァ
ウィーン…
ダッ
愛香「あの!ヨハちゃん…じゃなかった、津島善子さんの病室ってどこですか?!」
看護師「親族の方ですか?」
愛香「えっ…と…」
愛香「し、親戚…善子ちゃんの叔母です!」
看護師「でしたら、病棟でバッチを受け取ってからお願いします」
愛香「わかりました!」ダッ 〜病室〜
ガラッ
愛香「ヨハネっ!!!」
善子「…………」
スタスタスタ…
ギュッ…
愛香「痛いよね、怖かったよね…」
愛香「庇って自分が犠牲になるなんて…ほんと、どこまで善い子なの…?」ポロポロ
愛香「早く、起きて?」グスッ
善子「…………」
愛香「私だけじゃない。Aqoursのみんなだって、ファンのみんなだって、ヨハネのこと待ってるんだよ?」 愛香「お願い、目を覚して…?」
愛香「好きなものいっぱい買ってあげる。儀式だって、いくらでも付き合うよ?」
愛香「なんでも、するからぁっ…戻ってきて…やだ、私、ヨハネがいないと…」ポロポロ
愛香「ねぇ、ねぇってば…!」グスングスン
ギュゥゥゥッ…
善子「……ん…」パチ…
愛香「…あ……!!」 善子「こ…こ、は…?」
愛香「ヨハちゃん、わかる?!私、愛香だよ?!小林だよ?!」
善子「よ、は、ちゃん……?」
善子「………よはちゃん、て、だれ…?」
愛香「へ………?」
ガラッ
医者「あ、お見舞いですか?」
愛香「せ、先生!ヨハネ、善子ちゃんが目覚しました!!」
医者「!!今すぐ検査します!」 バタバタバタ…
愛香「行っちゃった…」
愛香「(よかった…助かった…)
愛香「(名残惜しいけど向こうでの仕事もあるし、早く帰らないとだよね)」
愛香「(……あれ…?助かった、助けたのに…帰れない…?)」
愛香「(漫画である展開なら身体が消えて…ってなる、よね…?)」
愛香「(それに……)」
『よはちゃん、て、だれ…?』
愛香「……聞き間違い、だよね…」 ガラッ
医者「検査の結果が出ました、お話があるので診察室まで来ていただけませんか?」
愛香「え、あの…私、叔母なんで…ご両親の方がいいかと…」
医者「善子さんのご両親、忙しいそうで。親戚の方だったらどなたでも良いと」
愛香「(えぇぇ……?!)」
愛香「わ、わかりました…」 〜診察室〜
医者「どうぞお座り下さい」
愛香「は、はい…」
医者「検査の結果ですが…」
医者「大変重い話、今回の事故によって善子さんは記憶喪失という形になりまして」
愛香「記憶、喪失……?」
医者「基本的な言葉は話せますが、今までの記憶は綺麗さっぱり消えていました。自分の名前、通っている学校、両親、勿論叔母であるあなたのことも」
医者「記憶喪失は極めて稀な例でして、治療法は…残念ながら」
愛香「……そ、んな……」 愛香「私は、どうしたらいいですか…?」
医者「もしかしたら少しずつ思い出していくかもしれません。今は善子さんとお話していくことが大事かと」
愛香「…わかりました」
医者「ご両親には電話を通してこちらから連絡させていただきますね」
愛香「はい、よろしくお願いします…」
医者「では」
愛香「…失礼します」
バタン 愛香「(そっか…こんなの…)」
愛香「ぜんっ、ぜん、助けたことになんてならないんだ…」ポロポロ
愛香「(何を、どうやって話せば…)」
愛香「(ヨハネは、私のことも、Aqoursのことも、自分自身のことも、何も知らない)」
愛香「そんなの、あまりにも酷い話だよ…!」
愛香「私が代わってあげたいよ…!」 〜病室〜
ガラッ
愛香「ただい、ま…」
善子「…ごめんなさい。私、本当になにも覚えていなくて」
愛香「うん、いいよ。これから思い出していこう?」
善子「叔母さん、はじめまして」
愛香「…はじめ、まして」
善子「…若いのに"おばさん"なんて呼んだら失礼ね」クスッ
善子「お名前を教えて欲しいです」
愛香「小林、愛香…だよ」
善子「愛香さんね。わかったわ」 愛香「っ……」ウルッ
善子「…愛香さん?」
愛香「ご、ごめんっ、善子ちゃん、帰るね!」ダッ
バタン
愛香「っ、はあっ、はぁ……」
愛香「……」ポロポロ
愛香「一番辛いのは、ヨハネなのに…」
愛香「(私が逃げて、泣いて…どーすんの…)」 〜十千万〜
ガラッ
千歌「あ、お姉さん…」
愛香「千歌ちゃん、ごめんね。しばらくここに帰って来てもいいかな?」
千歌「…もちろん」
愛香「…あのね、ヨハネ、目覚したよ」
千歌「え…本当?!」
愛香「っ、でも、記憶、喪失、なんだ…」
千歌「…き、きおく、そうし…つ……?そんな…」
愛香「何もかも忘れてた。自分のこと、浦女のこと、多分、Aqoursのことも」 千歌「もう、どうしようもないのかな」
愛香「そんなことない!話せば思い出してくれるかもって、お医者さん言ってた!」
千歌「…そう、だよね。わかった、下向いてばっかりじゃ、駄目だよね」
愛香「うん、きっと思い出してくれるよ」
千歌「頑張ろ、一緒に」 〜翌日〜
果南「…どうするの、千歌」
千歌「やるよ、私は。善子ちゃんが思い出してくれるまで。善子ちゃんがいなかったらAqoursはAqoursじゃない」
ルビィ「でも、全部思い出してくれるのかな…」
花丸「もし思い出してくれなかったら、どうなるずら?」
梨子「やめよ?弱音吐いても良いことないわ」
ダイヤ「そろそろ御見舞い、行きますか?」 千歌「うん、行こう。少しでも早く、少しでも思い出してほしい。私達のこと、Aqoursのこと」
鞠莉「そうね、何か持って行く?」
曜「…これ、この前部室に善子ちゃんが忘れて行った本」スッ
千歌「…………ありがと」パッ
曜「…………」
ルビィ「さっきね、教室で善子ちゃんが作った歌詞ノート、ルビィ見つけたよ!」
千歌「うん、ルビィちゃんもありがとね」 〜病室〜
コンコンコン
善子「(愛香さんかしら…?)」
善子「はい、どうぞ」
ガラッ
千歌「…久しぶり、はじめまして、善子ちゃん」
善子「だ、誰…?!来ないで…!!」バッ
梨子「…浦の星女学院スクールアイドルAqours、だよ」
ダイヤ「目を覚してくれたのですね、善子さん」
善子「あ、アクア…?」 スタスタスタ…
愛香「(いちごとチョコ…記憶喪失の状態で食べても気に入ってくれるのかな…)」
愛香「(…あ、このチョコ苦かったらどうしよ…)」
愛香「(失敗した…)」ショボン…
愛香「善子ちゃ…」
ルビィ「はい、これ。歌詞ノート」
善子「歌詞、ノート?」
花丸「スクールアイドルはね、曲も衣装も全部自分たちで作ってるの」
善子「自分たち、で…?」
ルビィ「うん!これは善子ちゃんが書いた歌詞だよ」
愛香「(みんな来てる…)」 善子「そうなんですね…」ペラ…
鞠莉「善子が書く歌詞はね、とっても個性的でクールなのよ」
果南「評判も凄くいいんだ」
曜「…これ、この前部室に忘れて行った本」
善子「これは…?」
梨子「黒魔術…ってやつ?魔法陣とかいっぱい書いてあるの。私達も未だに良くわからないけどね」
ダイヤ「儀式の話をする時の善子さんが一番善子さんらしかったですわ」
善子「………」 千歌「善子ちゃん」
善子「はい…」
千歌「私達は、善子ちゃんに帰ってきてほしい、Aqoursに」
千歌「全部思い出せなくてもいい。私達には善子ちゃんが必要なの」
梨子「今じゃなくていいから、答えが聞きたいな」
善子「…わかり、ました」
曜「…帰ろっか」
……バタン 千歌「あ、お姉さん…」
愛香「ごめんね、聞いちゃった」ヘヘ…
千歌「ううん。いいよ」
梨子「この前の…」
愛香「え…?あ、沼津駅前で泣いてたのって…」
梨子「すみません、逃げちゃって」
愛香「ううん」
ダイヤ「お知り合いなのですか?」
愛香「えっと…津島善子の、叔母…です」 千歌「え、そうだったんですか?!」
愛香「あはは…ご、ごめんね隠してて…」
花丸「善子ちゃんの御見舞いに来られたんですか?」
愛香「…うん。毎日行こうと思って」
果南「そうなんですね…」
鞠莉「邪魔しちゃ悪いわ。みんな帰りましょ?」
千歌「そうだね。じゃあお姉さん、また後で」
愛香「うん、また後でね」 コンコンコン
ガラッ
愛香「ごめんね、午前中に行きたかったんだけど遅くなっちゃった。おやつ買ってきたよ」
善子「………」
愛香「あ、あー!歌詞ノートだ!これ、善子ちゃんが書いたの?そう、黒魔術も好きだったよね!」
善子「………」
愛香「善子…ちゃん…?」
善子「っ……」ポロポロ 善子「こんなの、こんなの…急に見せられたってわからないわよ!!!」
善子「ねぇ、津島善子…津島善子って誰?何者?誰?誰よその人……!!!」
愛香「よ、善子ちゃ…」
善子「なに?私は津島善子になればいいわけ?みんなが求めてる津島善子に戻ればいいわけ?!記憶もないのに?!無理よそんなの!!できっこないわ!!」
愛香「っ……もうやめて!!!」
善子「………ごめんなさい」 善子「…でも、ならなきゃらいけないことはわかってる。元の津島善子に」
善子「愛香さんから見た津島善子って、どんな人だった?」
善子「お願い、教えて」
愛香「…無理に、無理に戻らなくていいよ」
善子「え…?」
愛香「私は今の津島善子でも、好きだよ。事故に遭う前から、気持ちは一ミリも変わってない」スッ…
善子「あ、あいかさ…///」
愛香「四六時中あなたのことを考えちゃうくらい、愛おしくて仕方ないの…」
愛香「好きだよ、何年も前から」ギュッ
善子「……!!///」 感動SSなんだけど小林が転生
してるだけで申し訳ないけど草 転生ものはあいきゃん主役が当たり前になってきたな
昔はいろんな人が転生してた気がするけど 善子「あ、愛香さん…あの…///」
愛香「ん?」
善子「あんまり、その、強く抱きしめられると…く、苦しいし……///」
愛香「あ、あぁあごめんね!」パッ
善子「っ〜〜〜〜///」カァァァ…
愛香「…顔真っ赤だよ?」
善子「えっ…み、見ないでくだ、さい…///」
愛香「あはは!善子ちゃんかわいー!」
〜♪〜♪
愛香「え、もう面会時間終わり?!」
愛香「じゃあ明日また来るね!バイバイ!」
バタンッ
善子「………な、」
善子「なによ、あれ…恥ずかしいじゃない…///」カァァァ… 〜十千万〜
ガラッ
千歌「あ…おかえりなさい」
愛香「千歌ちゃん、これ食べる?」
千歌「?」
愛香「ごめんね。みかんじゃなくて、チョコといちごなんだけど」
千歌「それ…善子ちゃんに…」
愛香「うん。あのね、話があるの」
千歌「は、はい…」
愛香「これでも食べながら、ね?」 千歌「………」ムシャムシャ
愛香「美味しい?」
千歌「はい!美味しいです!」
愛香「それね、有s…友達が勧めてくれたいちごで」
千歌「そうなんですねー!」パクッ
愛香「(まさかこっちの世界にもとちおとめあるとは思わなかったな…)」
愛香「……ヨハネにあげられなかったんだ」
千歌「え…?」 愛香「早く記憶を取り戻してほしい気持ちはわかる。でもね…この状況、ヨハネは私達よりも理解しきれてないし、苦しいと思うんだ」
愛香「無理に思い出してもらおうとしても、お互いが辛くなるだけなんじゃないかな」
千歌「そしたら…そしたら、スクールアイドルは?」
愛香「…待っててあげてほしい」
千歌「いつまで?」
愛香「ヨハネが、ステージに立ちたいって思うまで」
千歌「……」
愛香「絶対ヨハネは戻ってくるよ。リトルデーモンを置き去りにするわけがない」 梨子「……そうですね」
千歌&愛香「!!」パッ
梨子「ごめんなさい、窓が開いてたから…聞いちゃいました」クスッ
千歌「もー!最初から言ってよ梨子ちゃーん!」
愛香「うん、梨子ちゃんもありがとう」
梨子「…はい」
千歌「梨子ちゃんもいちご食べる?」
梨子「え?!どうやって…」
千歌「またあの時みたいに届くかもよ!」
梨子「えぇ〜?!?!」
アハハハハハハ……! 〜翌日〜
愛香「(ヨハネの記憶を取り戻すまで、私は帰れない…いや、帰らない)」
愛香「(でも、どうやって?)」
愛香「(無理やり思い出させるはやっぱりよくないし…)」
善子「…愛香さん?」
愛香「え?ごめん、考え事してた!」
善子「昨日ね、ようやくお母さんに会えたのよ」
愛香「そうなんだ!」 善子「学校の先生だったのね。驚いたわ」
愛香「何を話したの?」
善子「もちろん、愛香さんのことよ」
愛香「えっ」
善子「叔母にはしばらく会えてなかったみたいだから信じられなさそうにしてたけど」
愛香「あ、あはは…」
愛香「(よかった…何とかなってるみたい…)」
善子「あと、どうして私が事故に遭ったのかも知ったわ」 愛香「…うん」
善子「とにかく、親子が助かってよかったわ。私の記憶は無くなっちゃったけどね」
愛香「…今日、雲一つないね」
善子「えぇ。本当にいい天気」
愛香「外、出てみる?」
善子「ごめんなさい。先生が外には出るなって」
愛香「そっか…」
善子「でも、不思議ね。初めて見た感覚がしないの」
愛香「え?」 善子「いつだったのかしら。とても大きな虹が掛かってたの」
善子「汗だくになって走って、走って…何の為にだったかは覚えてないけど…」
愛香「(それって…)」
善子「そこだけ、すごく鮮明に覚えてる。最近のことなのかも」
善子「大切な思い出も、全部忘れてしまったわ。身体だけで済むはずなのに、記憶喪失なんて…本当、笑っちゃうわ。不幸なのかも、私って」 愛香「……だてん、し…」
善子「え?」
愛香「はっ、ご、ごめん、な、なんでもない…」
善子「堕天使…か、確かにそうかも」
愛香「っ……」
善子「私は神様に嫌われた天使、堕天使ね」
愛香「ちがっ、そうじゃなくて」
善子「いいですよ別に。傷ついてないから」
善子「嫌いじゃないわよ堕天使。むしろ好きかも。格好良いじゃない」
愛香「(だったらなんでそんな悲しい顔するの…)」 〜数時間後〜
善子「毎日ありがとう、愛香さん」
愛香「ううん、じゃあまた明日───」
千歌『曜ちゃんは、どうしてそう思うの?』
曜『この状態だと厳しいと思うんだ、私』
愛香「(…ん?ドアの向こう側、曜ちゃんと千歌ちゃんがいる…?)」
千歌『もうすぐラブライブ決勝なんだよ?なんでそんな…』 曜『だからだよ』
千歌『は…?』
曜『今までのスクールアイドル活動の記憶を失った状態で歌って踊って…優勝できると思う?今の善子ちゃんにとっては決勝が初めてのライブなんだよ?』
千歌『…そんなの、やってみなきゃわかんないじゃん』
曜『私は無理だと思う』
愛香「っ………」
ガラッ
ようちか「!!!」ビクッ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています