アナウンサー『“ラブライブは我々がいただいた!”』

アナウンサー『えー、以上が、東京ドームを4時間に渡って占拠している武装集団からの声明です』

アナウンサー『現在も日本国政府による懸命な交渉が続けられていますが、その他の社会的主張や要求などはなく、武装集団側は沈黙を貫いているようです。「ラブライブは我々がいただいた」……この言葉が示す意味とは、真意とは一体なんなのでしょうか』

アナウンサー『では、ここで現場上空の映像と共に、ラブライブというものがそもそも何なのかを振り返っていきたいと思います。スクールアイドル専門家の京極さん。よろしくお願いします』

京極『よろしくお願いします』

京極『そうですね、えーまず、ラブライブを知るにはスクールアイドルを知る必要があります』

アナウンサー『スクールアイドルですか』

京極『はい。スクールアイドルというのは、いわゆるローカルアイドルです。運動部のように母校の名を背負って地域密着型で活動を展開するアイドル化された女子高校生たちなんですね』

京極『元々は国内の少子化に伴って、高校の生徒数が減少し、廃校の波が広まったことへの危機感から発足した、生徒による学校保全活動の一環で…海外ではあまり見られない日本固有の新たな文化として定着しています』

京極『それで、全国にいる何百、何千ものスクールアイドルを運営上まとめているのがラブライブ大会運営委員会なんです。その大会運営委員会が大々的に開催しているのが…』

アナウンサー『ラブライブ、なんですか』

京極『そうです。これにより、大会運営委員会は女子高校生たちの間で自活的に始まったスクールアイドルを本格的に事業化・商業化させることに成功したのです。今ではグッズ関連の権利は全て彼等のもので、凄まじい利益や経済効果が生まれています』

アナウンサー『しかし、最近では大会運営委員会への不満が各地で噴出しているそうですが…』

京極『えぇ。先程も言ったように、利益は全て運営委員会のものとなり、スクールアイドル側へ還元されていないからです。それなりの人気が出たグループは即座にグッズ化されて販売されますが、本人達への事前相談もまともな契約も存在しません』

京極『しかもこれを拒否すれば、大会運営委員会からの公式な認定が受けられないので、委員会の運営するラブライブをはじめとした主要なスクールアイドルイベントに一切参加出来なくなります』

京極『そうなれば、自分たちの高校を宣伝に支障をきたし、廃校の阻止が難しくなる……こういった現状が悪い方向に手伝って、スクールアイドルたちは非営利で行動しているのに、外部から搾取されてしまっています』

アナウンサー『なるほど……では、京極さんは今回の東京ドーム占拠事件とラブライブはどのように関係していると思いますか?』

京極『自分はテロ関連の専門家ではないので上手く言えませんが……やはり、ラブライブやスクールアイドルを良く思っていない勢力による犯行かと』

京極『または、知名度の高いそれら二つを自分たちは完全に手中に収めた、とアピールして、これから本当の目的を果たそうとする過激な反政府的な組織によるものだと考えています』