ルビィ「善子ちゃんルビィたち一線を越えちゃったね」善子「あー……」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
ルビィ「ルビィ初めてが善子ちゃんで良かった」
善子「んー」
ルビィ「善子ちゃんの初めてにもなれてルビィ嬉しい」
善子「そ……」
ルビィ「善子ちゃん獣みたいに腰振ってて実はちょっと怖かったんだけど善子ちゃんからキスたまーにしてくれてホッとしたんだぁ」
善子「……」
ルビィ「善子ちゃんって早いんだねっ」
善子「……」カァァ
ルビィ「善子ちゃーん?善子ちゃーん?」
善子「んー……?」
ルビィ「むぅぅ〜善子ちゃんさっきからそっけない」プクー
善子(疲れたのよ……もう寝かせてちょうだい……) 善子(ルビィのことを考えてた、昔ならそんなことを言ってたと思う)
善子(けど、今後のことを考えれば、そんなことを言う気にはなれなかった)
ルビィ「ね、ね、善子ちゃん、来週――」
キーンコーンカーンコーン
善子「ルビィ、授業始まるわ。後にしましょ」スッ
ルビィ「あ……うん」
花丸「……」 善子(勿論、その後なんてない。放課後先に部室へ向かって、着替えて曜たちと駄弁って)
善子(部活が始まればリリーやマリーとユニット練習に励んで)
善子(部活が終わればいの一番に部室を出た)
善子(もう、ルビィにどんな顔をして話せばいいのかわからなかった)
善子(ルビィの顔を見れば、ルビィの事が好きだという気持ちが止まらなくなる)
善子(一緒に居て、隣を歩いて、コンビニによってアイスを買い食いして、アイスを落としたルビィに自分のを渡したり)
善子(その時の私と今の私は、全くの別人だった)
善子(今の私じゃ、ルビィの未来や自由を潰してしまう)
善子(手を繋いだり、抱きしめたり、キスをしたり、カラダを重ねあったりするから、いけないんだ)
善子(……私がルビィの恋人でいるからいけないんだ)
一番見たくなかった事実が、私の目をこじ開けた。
ルビィのことが本当に大切なら、私はどうするべきなのか。 ――土曜日 ルビィの部屋
ルビィ「……善子ちゃん、ルビィの事避けてるよね」
花丸「……たぶん……そう、だと思う」
ルビィ(マルちゃんをおうちに呼んでお泊り。二人で並んで寝るベッドのなかはいつもウキウキするほど楽しいのに)
ルビィ(今日は善子ちゃんのことで暗い気持ちだった)
花丸「ルビィちゃん、善子ちゃんと喧嘩した?」
ルビィ「ううん、してないよ。日曜日のお泊りもゲームして楽しく遊んでたよ」
花丸「善子ちゃんの態度がおかしくなったのは、いつから? ダイヤさんに呼び出されてから?」
ルビィ「うん……その時にちょっと……」 花丸「……」
ルビィ「……ルビィ、何かしちゃったのかなぁ」
花丸「……そういえば、善子ちゃんだけ先に教室に戻ってきたよね?」
ルビィ「うん……ルビィだけもう少し、お姉ちゃんに怒られちゃって……」
花丸「その時、善子ちゃん、かなり落ち込んでてね……ルビィちゃんが怒られてるのは、私のせいだって」
ルビィ「! そんなことない! 悪いのルビィで、善子ちゃんは――!」
花丸「たぶん、二人とも悪くないんだよ」クスッ
ルビィ「?」
花丸「二人とも、勘違いしちゃってるだけ。ちょっとしたすれ違い」
ルビィ「すれ、ちがい……? 善子ちゃんのこと、ルビィは好きだよ? きっと善子ちゃんもルビィのこと……きっと……」
花丸「ううん。二人とも仲良しだけど、仲良しの中でも、お互いにお互いの事を考えすぎちゃって、きっとうまくかみ合ってないところがあるんだよ」
ルビィ「噛み合って、ない……」 ルビィ(ルビィは善子ちゃんのことが好き。だからいっぱい好きって言うけど……)
ルビィ(善子ちゃんに対して思ってることは、いろいろある……)
ルビィ(善子ちゃんの初めてになれなくて悔しいとか)
ルビィ(善子ちゃんのこと、ずうぅーっと前から、好きだって事とか)
花丸「ふふ……」クスッ
ルビィ「? どうしたのマルちゃん?」
花丸「ううん。ルビィちゃん、善子ちゃんのこと考えてるんだなぁって」
ルビィ「?? うん……そうだけど、えっと?」
花丸「善子ちゃんのことを考える時、ルビィちゃん顔が笑ってるんだ」
ルビィ「ええっ!? ほんと!?」ペチペチ
花丸「ふふふ、ほんとだよ」ニコニコ 花丸「だからね、ルビィちゃん。ルビィちゃんは幸せになって」
ルビィ「え……?」
花丸「ダイヤさんの様に、何もかもを背負い込まないで」
ルビィ「お姉ちゃんの様に……」
花丸「それにね、ルビィちゃんと善子ちゃんに、マルは同じ経験をしてほしくないの」
ルビィ「同じ経験……って、どういうこと?」
花丸「……さあ、どういうことだろうね? ふわぁ、少し喋りすぎちゃったかな?」
ルビィ「えっ? えーと、えーと?」
花丸「寝る前に、先人からアドバイス。ルビィちゃん。来週からは善子ちゃんと普通に会えるはずだよね?」
ルビィ「……うん。善子ちゃん言ってたよね。来週からは、いつも通りって」
花丸「だから、来週になったら――月曜日になったら、一番に、心の中を打ち明けてみて――」
ルビィ「心の中……」
花丸「じゃあ、お休みルビィちゃん」
ルビィ「……うん。善子ちゃんに、言ってみる」
ルビィ(マルちゃんから返事はなくて、いつも通り優しくてまあるい笑顔を浮かべていて)
ルビィ(ルビィの気持ちはいつの間にか明るくなってた……) ルビィがきちんと想いを打ち明けて、そして心が強張った善子がどうなるか……
祈るように読んでしまうな ――日曜日 深夜 善子の部屋
善子(……ルビィ)
善子(別れたくない、という気持ちがどうしようもなく満ちている)
善子(それでも答えは決まっている)
善子(私はルビィと別れる)
善子(月曜日の放課後に、私はルビィを呼び出して、別れる)
善子(好きで好きでどうしようもないけど、でも、私じゃ――)
善子(ルビィがもう一度人を信じられるようにはできない)
善子(ルビィを幸せにはできない)
善子(ルビィの自由を奪ってしまう――) 善子(何をする気にもなれない。一生月曜日が来なければいい)
善子(嫌だ。別れたくない)
善子「ルビィの自由を私が奪って良いの? 最善の選択肢は何?」
善子(私はどうすればいいの)
善子「ルビィの事が好きなら、自分の幸せよりルビィの幸せを祈るべきでしょうが」
善子(私は、それでも私は――)
善子(ルビィ……)
善子「ルビィ……」 善子(せめてもう一度だけ、抱きしめられたら――)ピロン
善子(ん……メッセージ……)
善子「あ……どうしよう、もう、月曜日、なんだ……」
善子(堂々巡りする思考回路を放置し続けて、気付けばもう月曜日で)
善子「……今日は眠れないかも……」ピロン
善子(そういえばさっきからメッセージ来てるんだっけ……)チラ
善子(……え)
善子「嘘でしょ」
善子(頭が真っ白になる。立ち上がってカーテンを引きちぎるように開ける)
善子(いた。あの子がいる。遠目でもわかる)
善子(月曜の零時に、ルビィがウチのマンションの前に居た)
善子「嘘でしょ……」 善子(ぶんぶんと手を振るルビィに、私の心の中に様々な感情が去来した)
善子(嬉しいとか、驚きとか、愛おしさとか、悲しいとか、色んな感情があふれ出てきた)
善子(そのまま部屋を飛び出して、私は階段を三つ飛ばしで駆け降りる)
善子(ルビィに会えばどうなるかなんて、ルビィに会ったらなんて言うか、そんなことはもう考えられなかった)
善子(ただ狂おしいほどに、ルビィと一つになりたかった)
善子(ルビィに心の奥から好きだと叫びたかった)
善子(階段を駆け下りて、最後の段を飛び降りるとそのままマンションを飛び出した)
善子(もう目の前に、ルビィはいる――)
善子「――ルビィッ!!!!」 今日明日と忙しいから月曜日まで更新はできない
すまん ――善子のマンション エントランス前
善子「ルビィ!!」
ルビィ(ああ、善子ちゃんがいる。学校では、目を露骨に反らされてしまったけれど)
ルビィ(ラインだと、すぐに会話を打ち切られたりスタンプだけで終わらせてしまったけれど)
ルビィ(いま、ここにいる善子ちゃんは――)
ルビィ「善子ちゃんッ!!」
ぎゅうっ
善子「ルビィっ!」ギュゥゥッ
ルビィ「善子ちゃん……!」ギュッ
ルビィ(善子ちゃんの腕の中に閉じ込められて、どうしようもなく好きが溢れてくる)
ルビィ(頭の中に直接幸せの感覚が注ぎ込まれるこの感覚――善子ちゃんにしかできないこと……)
善子「ルビィ……」ギュウッ
ルビィ(このまま幸せの中でずっといたいけど……でも、それじゃだめ)
ルビィ(ちゃんと、心の中を、ほんとに思っていることを、打ち明けないと――) ルビィ「……善子ちゃん、あのね……ルビィ、善子ちゃんに――んむっ!?」
ルビィ(開いた唇が、善子ちゃんの唇でふさがれて――ルビィの口の中に、善子ちゃんの舌が入ってくる)
ルビィ(善子ちゃんの舌に、前歯、歯茎、ほっぺの裏側、色んなところを蹂躙されて――)
ルビィ(ちがう、ちがうの。だめ、だめだよ、善子ちゃん。そうじゃないの、それじゃだめなの)
善子「――ぷぁ」
ルビィ「――あ」
ルビィ(身体が熱くなる。自分一人で慰めてたのと、ぜんぜんちがう。いつもルビィから求めていたことが――)
ルビィ(善子ちゃんから求められることの、幸福感――)
ルビィ(とろりとつながるルビィと善子ちゃんの糸が、あまりに愛おしくて、その糸を切らしてはいけないような気がして――)
善子「ルビィ……嫌、だった……?」
ルビィ(上気した頬。いつもきりっと吊り上げられた目が、不安げな表情を見せられて――)
ルビィ(そんな表情、してほしくなかった――善子ちゃんには、笑顔で居てほしい……) ルビィ「……そんなことないよ。ただちょっと、びっくりしただけで……」
善子「……ごめん。でも、どうしても、ルビィに……んむっ」
ルビィ「ん……ちゅ……」
ルビィ(お返し、というわけじゃないけれど……今度はルビィが善子ちゃんの口の中に舌をいれる)
善子「ふぁ……んっ……」
ルビィ(ルビィの舌を、善子ちゃんが絡めとる。舌先と舌先が触れ合うだけで、痺れるような快感がルビィの背筋を駆け巡る)
ルビィ「ふぁ……んっ、ぷぁ、はっ……んっ」
ルビィ(あ……善子ちゃんのが、ルビィに……当たってる……)
善子「んっ……ぷ、は……」
ルビィ「んっ……」
ルビィ(今度はルビィから離れてみる。やっぱりルビィ達を繋ぐ糸に、目が奪われて……垂れ下がる糸に目を走らせれば)
ルビィ「あ……」
善子「……」
ルビィ(善子ちゃんのソレはもう、ジャージの上からでもわかるくらいに、膨らんでいた) ルビィ「よし――」
善子ちゃんに、言わなきゃ――そう口を開いて、でも、言葉はつむげなくて。
今度は優しく、善子ちゃんの腕の中に閉じ込められる。
待ち焦がれていた、善子ちゃんのぬくもりが、ルビィが一番欲しかったものが、今与えられてる……。
善子「ルビィ。抱かせて。」
間近で、善子ちゃんに見つめられて。囁かれて。
もう、どうにかなりそうで、始まる前に、それを言わなきゃダメだって、ルビィ、わかってたんだけど。
真っ赤な瞳が、苦しそうに、悲しそうに燃えるから――。
ルビィ「いいよ、抱いて――」
とっさに出てしまったその言葉でルビィたちの運命は、決まってしまった――。 手を引かれて、エントランスを通り過ぎて、そのままエレベーターの中へ。
無言が続くエレベーターの中では、ごうんごうんと稼働音だけが響いていて。
ルビィは善子ちゃんの手を、絶対にはなれないように、強く握りしめました。
乗ってきた自転車を駐輪所に置かなきゃいけないってことに気付いたのは、もう善子ちゃんの部屋の前のことで。
「善子ちゃん、ルビィ、汗かいてるよ」
「……ごめん」
何に対するごめんなのかは、聞かないことにした。もう全部、終わってからにしよう。
善子ちゃんの右手とルビィの左手が繋がったままベッドに倒れ込む。善子ちゃんが上。ルビィが下。
「ルビィ、手、離して?」
「やだ」
「……わかった」
シャツの中に手がねじ込まれて、ブラのホックがぷちんと外れる。そのまま善子ちゃんの手がルビィの汗ばんだ肌に触れる。
「……すん」
「ちょっと、なんで匂い」
「いい香り」
「な、なにって――あっ」 汗ばんだルビィの肌を、善子ちゃんの指が走るだけで、ビリビリと痺れる背中。
いつもはルビィと善子ちゃんの二人で高めあうものだけど、今日は違う。
善子ちゃんがルビィに――何かを刻もうとしているような。何か大事なものを、伝えようとしているような。
片手だけで続く愛撫に、ルビィのカラダはもう善子ちゃんを受け入れる準備が出来上がった。
「ルビィ……」
「あ、まって――ルビィが、うえ――」
「え……」
手を繋いだまま、ルビィは熱い息を吐きながら善子ちゃんに跨って――。
「るび、ぃ」
善子ちゃんを見下ろす。つないだ手から、指を絡める。空いていたもう片方の手も、同じように善子ちゃんの指と絡める。
「善子ちゃん――んあ"ぁっ!」 とろとろに蕩けたルビィのナカは、一気に善子ちゃんのソレを咥え込む。
奥まで善子ちゃんのそれが挿入されて、息が詰まって視界が明滅する。
「あ"っ――は、るび、熱い――」
「はっ はっ……ん"ぅ……ぁっ」
練習の時と――一緒……。
善子ちゃんのを、離したくないっていうきもちで、ナカを締めて、腰を上げる――。
「――っは」
「ルビ、締まっ――」
先っぽだけを咥え込んだまま、腰を前後に振る――。
「ああああっ、ルビィっ、それっ――」
ぱた、ぱた、とルビィの汗が善子ちゃんの肌に落ちていく。
ぐちゅ、ぐちゅ、と善子ちゃんとルビィがつながっている所から、とろりとした音が響く。
善子ちゃんの感じている顔を見れば、更にルビィの頭の中に幸せが流れ込んでくる。
でも、その表情を、もっと感じさせたい。蕩けさせたい。
だから――。
「ふ――っぅ"」
「あ"っ……う"ぁっ」
息を吐いて、一気に善子ちゃんのソレをルビィの奥まで受け入れる。
お腹の中いっぱいに善子ちゃんが入ってきて、強烈な圧迫感とそれを容易く打ち払う快感が全身を駆け巡る。 腰を上げる。おろす。前後に腰を振る。そしてまた上げる。小刻みに素早く何度も上下させる。
ルビィの動きで善子ちゃんの表情が蕩けていく。
「よ しこ ちゃ きもち い ?」
「るび も イき そ う ?」
息も絶え絶えになった善子ちゃんの言葉は、ルビィを気遣うもので。
そういえばルビィ、いまどうなってるんだろう。善子ちゃんの上で腰を振ることで頭がいっぱいで。
ルビィ、いま、どんなひょうじょうしてるんだっけ?
「ごめ ん――も むり」
「え――ひゃっ」
腰をぐっと掴まれて。
あ、まずい。そう思うよりも先に。
善子ちゃんが腰をグンと浮かせて。
善子ちゃんの手でルビィの腰をぐっと引っ張られて。
「――」
息が詰まって、からだが仰け反って、意識が飛ぶ。
奥の奥まで、ルビィが動くだけじゃどうにもならないその場所まで、善子ちゃんのが挿入ってくる。
「か は」
「ごめん」
最後の善子ちゃんの謝罪の声の後は、よく覚えていない。 ――善子の部屋
ルビィ「……すぅ すぅ」
善子「……そういやいつも、終わった後は話したがってたっけ……」
考えることは、今となってはどうしようもないことだけ。
善子「最後の時だけ、私が起きててルビィが寝てるって、ヘンな話よね」
自嘲じみた笑みが浮かぶ。
自転車でルビィの家から私の家まで走破しようと思えば十五キロはある。
その後こんなに激しく動けばさすがのルビィも起きてはいられなかったんだろう。
どろどろになったルビィのカラダを拭くために、私はいつかそうやったように、濡れたタオルを洗面所から持ってこようと思った。
ベッドから起き上がると、くん、と引っかかりを覚えた。
目線を走らせれば、そこにはかたく絡められた指と指。眠っていても、この恋人は私を離したがらないらしい。
善子「……ごめんね」
今日何度謝罪を口にしたかはわからない。でも、それでもごめん、ごめんと繰り返しながらひとつひとつ、指を解いていく。
自分の手で、ルビィが絡めてくれた指を解いていく。
小指。薬指。中指。人差し指。親指。全部解いた時に、私は自分の頬が濡れていることに気づいた。
善子「……ごめん」
指を解き、もう一度ルビィの表情を眺めて――私は洗面所にタオルを取りに向かった。 善子「……さて、と」
ルビィの身体も拭いたし、私自身も体力は戻ってきた。
この後私は十五キロ……四時間かけてルビィを家まで送り返さなくてはならない。
まあ今から家を出れば六時には家に着くだろう。
着いたらダイヤを――生徒会長を呼び出してすべてを打ち明け、その日のうちに、ルビィとの関係を終わらせる。
十五キロの距離に不思議と不安はなかった。
四時間ルビィを背負って歩くことにも不思議と不安はなかった。
ただ、関係を終わらせた後だけが、不安だった。
善子「行くか……」
その不安から目を反らし、私は終わりに向けてその一歩を踏み出した。 まだだ……!まだだぁぁっ!!!
善子ォォ……
結末まで見届けるぞ ――黒澤家 門前
善子(不思議と汗は一滴も流れなかった。ルビィが起きる気配もなく、ただ私は静かに黙々と、立ち止まることなく歩き続けた)
善子(疲労感もなければ、たどり着いた達成感もない。ただ、気付けばそこに居た)
善子(そのまま私は携帯電話を取り出して、生徒会長を呼び出す)
善子(コール音が五回なった後、背筋の伸びる声が私の耳朶を打った)
ダイヤ『……おはよう。……今日は、随分と早い、のね』
善子(起き抜けでこの声の張り方は見事としか、言いようがなかった)
善子「おはよう。ちょっと出てこれる?」
ダイヤ『……何事?』
善子「妹を連れてきたの」
ダイヤ『……』
善子(ちょっとの無言の後、通話は切れた) ダイヤ「……一体何があったの」
善子(流石に寝起きで出来ることは無かった。きっちり制服を着こんでお出迎えしてくれた)
善子「日付が変わった瞬間、ルビィがウチの前に居たの」
ダイヤ「……は?」
善子「実際大事になる前におぶってきたんだけど、生徒会長」
ダイヤ「……り、理解が、追いつかない……」フラッ
善子「追いつかなくていいから。もうこれ以上は迷惑はかけない」
ダイヤ「……はい?」
善子「ほら、返すわよ」
善子(そう言って私は背中の、よくまあぐっすり眠り込んだルビィを、ダイヤに押し付ける)
ダイヤ「あ、ちょ、ちょっと、あっ」 ダイヤ「よ、善子、貴女一体……」
善子「違う、ヨハネよ。……会長言ってたわよね、庇いきれなくなるって」
ダイヤ「え、ええ……」
善子「これ以上私と付き合っていたら、会長が今一番望むルビィの自由を私が奪うことになる」
ダイヤ「よ、善子、待って――」
善子「安心して。ちょっとギスギスするかもだけど、すぐにきっと、元に戻れる」
ダイヤ「善子――!」
善子「……もう私は、ダイヤに呼び捨てで名前を呼ばれる人間じゃないの。もう、黒澤に近い人じゃない」ピシャリ
ダイヤ「――っ」
善子「大丈夫、今日にでも、きっちりケジメはつけるから」クルッ
善子(踵を返して、もう振り向かなかった)
善子(たった一度も、ルビィを見ることはしなかったことを、褒めてほしい、と思った) それでも、それでもルビィなら追いかけてくれる
お話するんでしょルビィちゃん! ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています