『嘘をかさねて』

 丘の上に建てられた家に向かっていた。少しよれてしまった地図のしわを伸ばしながら、目の前の家と地図の端に描かれているイラストを見比べ、確信を持った私はノックをした。
 この家には、ブラック・ジャック先生という医者がいる。治療費はうんと高いらしいけど……それで彼女が治るなら、私は一生かけてでも払ってみせる。また“あの頃の私たち”に戻るために。そのためならなんだってするよ。