0001名無しで叶える物語(庭)
2018/11/27(火) 01:14:18.59ID:8gmXOuqq歌もダンスも冴えがなく、得票にも勢いを見せられず惨敗だった
会場に響くファンのため息、どこからか聞こえる「やっぱりμ'sにはなれなかったな」の声
無言で帰り始めるメンバー達の中、当時のエース高坂穂乃果の妹・高坂雪穂は独り控え室で泣いていた
二年前、姉たちが手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今の音ノ木のメンバーで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいのよ・・・」雪穂は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、雪穂ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たい椅子の感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰って練習をしなくちゃね」雪穂は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、雪穂はふと気付いた
「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」
ベンチから飛び出した雪穂が目にしたのは、観客席一杯まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどにサイリウムが振られ、地鳴りのようにメンバー達へのコールが響いていた
どういうことか分からずに呆然とする雪穂の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「雪穂、最後のリハだよ、早く行こ」声の方に振り返った雪穂は目を疑った
「お・・・お姉ちゃん?」 「どうしたの雪穂ちゃん、居眠りでもしてたの?」
「こ・・・ことりさん?アメリカに渡ったはずじゃ?」 「なんですか雪穂、かってにことりを留学させて」
「海未さん・・・」 雪穂は半分パニックになりながら掲示板を見上げた
1番:穂乃果 2番:海未 3番:ことり 4番:凛 5番:花陽 6番:真姫 7番:にこ 8番:希 9番:絵里 10番:雪穂 11番:亜里沙
暫時、唖然としていた雪穂だったが、全てを理解した時、もはや彼女の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
ヒデコからヘッドマイクを受け取り、舞台へ全力疾走する雪穂、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・
翌日、控え室で冷たくなっている雪穂が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った