えみつん「東京ドームでライブをしたければ……」あんちゃん「野球で勝負!?」 ★2
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
アアアアアアッ!?
ひなひな『鈴木、どこか力無いスイングで空振り!!』
ひなひな『あっという間に追い込まれてしまいました!!』
あいにゃ「っ……あっ……!!」
ズキズキ…!
ガクッ
りきゃこ「あいな!!」
あんちゃん「やっぱり、あいな、足首が……!!」
ひなひな『鈴木、またもふらつき、膝を落とした!! やはり、先ほどの負傷の影響なのか!?』
あさみん『鈴木選手は左打ちです。スイングの瞬間、軸足である左足から、前に出した右足に、体重を乗せて踏み込まなければいけない』
あさみん『先ほど痛めたのは、右の足首ですから……体重を乗せるたび、激痛が走っていても不思議ではありません……!!』
ひなひな『………!!』 しゅか「見てらんないよ……!!」
りきゃこ「あいな……!!」
きんぐ「………」
きんぐ「でも……」
きんぐ「今の、あいなに……やめてくれ、なんて……言えない」
りきゃこ「え……!?」
きんぐ「だって……あいなは、絶対、あきらめたくないはずだもの……」
きんぐ「あきらめかけた、私と違って……ずっと、Aqoursは勝つって、信じてたはずだもの……!」
きんぐ「だから……」
あんちゃん「………!!」
あいにゃ「く……ふぅ……!」
ズキ…ズキ…
スック…
ひなひな『それでも、鈴木、立ち上がります!! 最後まで、あきらめません!!』
ワアアアアアアッ!!
アイニャァァァァッ!!
ガンバレェェェェッ!! あいにゃ「………」
ハァ…ハァ…
あいにゃ(みんな……ありがとう)
あいにゃ(ほんとにね。みんなからは、救われることばっかり)
あいにゃ(昔の私は、自分のことで精一杯で……自分の殻に閉じこもって、どうにかしなきゃって必死で……)
あいにゃ(でも、そんな私に……Aqoursのみんなは、手を差し伸べてくれたよね)
あいにゃ(困ってる私を助けようとして、みんな、気にしてくれてたんだって、わかって――)
あいにゃ(今は、周りを見渡せば、みんながいるってわかるから。ひとりじゃない。孤独じゃない)
あいにゃ(そんな、みんなのこと――私、大好きなんだよ)
クス… あいにゃ(……幕張ファンミの時だって、迷惑をかけちゃった)
あいにゃ(だけど、あの時も、みんなは私を支えてくれた)
あいにゃ(だから、今度は――私の番)
グッ…
あいにゃ(選球眼も良くない。力も無い)
あいにゃ(そんな、私に出来る――精一杯は――!!)
キッ…!
えみつん「―――」
ザッ…
あいにゃ「――すわわ!!」
すわわ「!?」
あいにゃ「走って!!」
スッ! あさみん『あの構えは――!!』
ひなひな『バント!? スリーバントスクイズ!?』
ウオオオオオオッ!?
えみつん「――!!」
シュバッ!!
あいにゃ(お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん!!)
あいにゃ(私――頑張るから!!)
コツンッ!
あいにゃ(行くよ――)
あいにゃ(――みんな!!)
ダッ!!
あさみん『当てたっ!!』
ひなひな『走ったぁぁぁぁっ!!!』
ワアアアアアアッ!! すわわ「……!!」
ダダダダッ!!
みもりん(まさか、この局面で――!!)
みもりん(痛めたあの足で、セーフティスクイズ!?)
みもりん(駄目だ、私じゃ間に合わない!!)
みもりん「――くっすん!!」
くっすん「わかってる!!」
ダダダッ!!
ひなひな『サード楠田、反応が速い!!』
ひなひな『本塁は間に合わないか!! ファーストで刺せるか!?』
ウオオオオオッ!!
くっすん(今度こそ――!! 私が、刺す!!)
くっすん(終わらせてやるんだ――!!)
パシッ!!
くっすん「――なんちゃん!!」
シュビッ!! ダダダダッ!!
あいにゃ「……っ」
ズキズキッ!!
あいにゃ「っ!!」
りきゃこ「あいな!!」
あんちゃん「あいなぁぁぁぁっ!!!」
あいにゃ(運動神経も良くない、チビで力も無い私が、ちょっとでも、自慢できること――)
あいにゃ(それは、歌と――陸上で鍛えた、この足!!)
あいにゃ(そうゆう体に産んでくれて、ありがとう、お父さん、お母さん!!)
あいにゃ(絶対……立ち止まったり、しない……!!)
ズキズキ!!
ダダダダダッ!!
あいにゃ(私は、私たちは――みんなで、)
あいにゃ(前に、進むんだ――!!)
ズザザザザッ!!
パシィッ!!
ひなひな『滑り込んだぁぁーー!!!』 ひなひな『ファースト捕球のタイミングはほぼ同じ!!』
ひなひな『セーフか、アウトか!?』
\……/
\…セェェーフ!!/
ワアッッ!!
ひなひな『間に合ったぁぁぁぁっ!!! セーフ、セーフです!!』
ひなひな『間一髪、楠田の送球を、鈴木の執念の激走が上回りましたぁぁぁっ!!!』
ひなひな『三塁ランナー、諏訪がホームイン!! つないだ、またもつないだ、Aqours!!!』
ウオオオオオオッ!!
ふりりん「やっ、」
しゅか「たぁぁぁぁっ!!!」
りきゃこ「あいなぁぁぁっ!!」グスッ
【μ's 13―9 Aqours】 くっすん「……!!」
くっすん(間に合わなかった……!!)
くっすん(あと、ちょっとだったのに……!!)
ググッ…!
ひなひな『まさかの、意表を突いたセーフティスクイズ……!! μ's、完全に裏をかかれました……!!』
あさみん『ええ。ツーアウトで後が無いこの局面、しかも足を痛めている鈴木選手が、セーフティを仕掛けてくるなんて……!』
あさみん『しかし、その中でも、サードの楠田選手の反応は完璧でした』
あさみん『三塁線に転がされたボールに、真っ先に反応して飛び出し、すぐさま正確なスローイングで一塁に送球』
あさみん『先ほどのミスを挽回したい、という強い思いもあったのでしょう』
あさみん『バントシフトをとっていなかったとはいえ、楠田選手のプレーにミスはありません』
みもりん(そう……くっすんは、悪くない)
みもりん(予想外だったのは、あの子の想いの強さと、足……!!) あさみん『鈴木選手は、Aqoursいちの俊足の持ち主です。それでも、足首を痛めていますし、本当にタイミングとしては紙一重でした』
あさみん『ですが、鈴木選手が左打ちだったことも、功を奏しましたね』
ひなひな『左打ち?』
あさみん『右打ちと違って、左打ちの選手は一塁側のバッターボックスに立ちますから、右打者よりも僅かに、一塁ベースまでの距離が短くなる』
あさみん『時間にして、ほんのコンマ何秒という差ですが――今回は、正にその僅かな差が、明暗を分けた』
あさみん『自分の左打ちという特性を活かして、足の痛みも構わず、迷うことなく飛び出した』
あさみん『その、鈴木選手の迷いの無さが、Aqoursの未来をつないだんです』
みもりん(ほんと……えみつん、うっちー、なんじょさん……)
みもりん(そして、あの子……みんな、無茶ばっかりするんだから)
えみつん「………」
ハァハァ…
えみつん(だけど……!)
あさみん(だけど、その代償は……!!) あいにゃ「………」
あいにゃ「つ、う……!!」
ジョルノ「ちょ、ちょっと、大丈夫?」
ひなひな『ああー、鈴木、うずくまったまま立ち上がれない!!』
あさみん『やっぱり……!!』
あさみん(あんな無茶をしたら、足は……!!)
あんちゃん「あいな!!」
すわわ「あいなぁぁぁっ!!!」
ひなひな『こ、これは!?』
ひなひな『ホームインした諏訪、真っ先に、鈴木のもとに駆け寄りました!!』 すわわ「あいな!!」
ガバッ
ギュッ!!
あいにゃ「す、すわわ……?」
あいにゃ「もう、なにぃ、こんな所で……ハグ、なんて、恥ずかしいわぁ……」
すわわ「あんな無茶を……!!」
あいにゃ「………」
あいにゃ「……へっ。こちとら、必死よ……」
ハァハァ
あいにゃ「私が、つながなきゃ……みんな、終わっちゃうから」
あいにゃ「みんなのためなら、私――」
すわわ「……馬鹿っ!!!」
ギュウウッ
あいにゃ「へ? すわわ……?」 すわわ「だからって……自分は、どうなってもいいなんて……思わないで……!!」
すわわ「あいなが、足を怪我して……一緒に、ドームに立てなくなったりしたら、私……!!」
すわわ「……幕張の時、一緒に立てなくて、悲しかったのは、あいなだけじゃない」
すわわ「私たちだって……悲しかったんだから……!!」
あいにゃ「……!!」
ハッ
すわわ「………」グス
あいにゃ「すわわ……」
あいにゃ「泣いてる?」
すわわ「泣いてない」
あいにゃ「泣いてる?」
すわわ「泣いてないったら」 あんちゃん「……そうだよー、あいな」
あいにゃ「あんちゃん……!」
あんちゃん「私たちは、9人でAqoursなんだから。ひとりも欠けちゃいけないんだから」
あんちゃん「だから、無理しないで……って、無理して投げた私とか……」
あんちゃん「デッドボールを避けなかった、おすわが言うのもなんだけど」チラッ
すわわ「………」プイッ
あんちゃん「だけど、ありがと……あいな。あいなが、また、私たちをつないでくれた」
あんちゃん「9人で、東京ドーム、立てるように! 一旦、ベンチに退こう」
あいにゃ「……うん」
あいにゃ「ごめん。……ありがとう」
ひなひな『激走を見せた鈴木、一旦ベンチに退くようです!!』
ひなひな『負傷をものともせず、執念で希望をつないだ鈴木に対し、スタンドからは大きな拍手!!』
ワアアアアアッ!!
パチパチパチッ!! ひなひな『鈴木選手の足首の負傷のため、特例として、臨時代走が送られます』
ひなひな『臨時代走を務めるのは、6番の逢田!』
あさみん『本来の臨時代走では、打撃の終わった直後の選手が務めるため、本来なら諏訪選手ですが……』
あさみん『諏訪選手も、頭部にデッドボールを受けているため、今試合のみの特例として、その前の打順の逢田選手の代走が認められたようですね』
りきゃこ(あいなが、あれだけ頑張って、出塁したんだもの)
りきゃこ(あいなの分まで、絶対、ホームに還ってみせる……!)
ひなひな『一塁に逢田、二塁には小林を置いて、試合が再開されます!!』
ワアアアアアッ!! ありしゃ「あいなも、出て……」
ふりりん「一巡……したよ……!」
きんぐ「9点差、あったのに……」
あんちゃん「あと、4点……!!」
ひなひな『9点差が……4点差になりました!!』
ひなひな『しかも、この回……9回、ツーアウト、ランナー無しという状態から……!!』
あさみん『やっぱり、あきらめなければ、こんなことだって起こりうるんです』
あさみん『……そして、ここまで来たら、私も見たくなってきましたよ』
あさみん『“奇跡”が、起きるのを……!!』
あんちゃん「次は――!!」
しゅか「………」
ニッ
『1番、ショート、斉藤』 ワアアアアアアッ!!
シュカシュゥゥゥゥッ!!
ひなひな『アナウンスと同時に、スタンドからは大歓声!!』
ひなひな『打者一巡し、先頭の1番・斉藤を迎えます!!』
あんちゃん「しゅか……!!」
しゅか「………」
しゅか「だいじょーぶだよ。あんじゅ」
しゅか「絶対、つなぐから。Aqoursを、終わらせたりなんか、しないから」
ニッ
しゅか「このさいとーさんに、任せとけ!」 シュカシュゥゥゥゥッ!!
ガンバレェェェェッ!!
ウテェェェェェッ!!
ひなひな『スイッチヒッターの斉藤、左バッターボックスに入ります!!』
しゅか「……うしっ」
みもりん(……この子か。うっちーの球を、最初にヒットにしたのも、この子……)
みもりん(粗削りだけど、センスは抜群。運動神経も、ピカイチ……)
うっちー(この子に回る前に、終わらせたかったけど……仕方ない)
うっちー(えみつん、頑張って……!!)
えみつん(そうだ……)
えみつん(みんなが、まだ……信じて、くれるなら)
えみつん(私は……!!) グワッ…
シュバッ!!
しゅか「――!!」
ピクッ
ズバンッ!!
\ボール!!/
ひなひな『手が出かかりましたが、バット止めてボール!! 僅かに外れた球!!』
ひなひな『しかし、ここに来て……またも、球威が戻ってきたような……!?』
オオオオオオッ!!
しゅか「……!!」
しゅか(すごい……まだ、こんなスピードが……!)
しゅか(でも――)
キッ
しゅか(私だって。私たちだって――)
しゅか(負けられない! 負けられないから――!) きゃん「しゅか……!!」
りきゃこ「頼むよ……!」
えみつん「―――」
ザッ
シュバ!!
しゅか「!」
ピクッ
バシィッ!!
\ボール!!/
ひなひな『……よく見ています、斉藤!! これでツーボール!!』
あさみん『先ほどは、打ち気にはやって、三球三振に倒れてしまいました』
あさみん『落ち着いていますよ、斉藤選手……!!』
あんちゃん「あの、すぐ打ちに行っちゃうしゅかが、あんなにボールをよく見るなんて……!?」
すわわ「それだけ……しゅかも、真剣だし、冷静だってことだよ」
ふりりん「そだね。なんだかんだ、しゅかは、空気が読める子だから……!」 シュッ!!
しゅか「くっ!!」
キンッ!!
ひなひな『ファール!!』
ひなひな『くさい球は、器用にファールでカットします、斉藤!!』
ワアアアアアッ!!
シュカァァァァッ!!
しゅか(……周りから、要領いいね、器用だね、って……よく、言われてきた)
しゅか(でも、ほんとは違う。どんなことでも、練習して、なんとか身につけてるだけ)
キンッ!
あんちゃん「しゅかぁぁぁぁっ!!!」
あいにゃ「頑張れぇぇぇぇっ!!!」 しゅか(だから。本当は全然すごくない、私にとって――曜ちゃんは、私のすべて)
しゅか(曜ちゃんがいなかったら、今の私は無い)
キンッ!
しゅか(私の、憧れの女の子で)
しゅか(でも、悩みながら頑張ってるところとか、私とおんなじだな、と思うところもあって)
しゅか(そんな、曜ちゃんと――)
しゅか(そして、Aqoursを。守りたい。手放したくない!!)
ギンッ!
ひなひな『またもファール!!』
あさみん『決して、緩い球ではないはずなのに……!!』
ひなひな『……恐るべき集中力!! 紙一重で、新田の速球に喰らいついていく斉藤!!』
ひなひな『これが、Aqoursの斉藤朱夏の、本領ということなのでしょうか!?』
オオオオオオッ…!! しゅか「ふぅ、はぁ……!!」
えみつん「はぁ、はぁ……!!」
みもりん(なんて子……!? もう、7球も、ファールで粘ってる……!!)
みもりん(えみつん……!!)
しゅか(……声優としてのキャリアが、一番少ない私のことを、みんなはずっと助けてくれた)
しゅか(だから、私は。得意なダンスと――)
しゅか(今、この打席で、恩返ししたい――!!)
グッ…!
しゅか(そして、立つんだ。曜ちゃんに、見せてあげるんだ)
しゅか(東京ドームに広がる、青い海を――!!)
えみつん「っ!!」
シュバッ!!
ズバンッ!!
しゅか「……!!」
みもりん「……!!」 \ボール!! フォア!!/
ウオオオオオオッ!!
ワアアアアアアッ!!
ひなひな『外れたぁっ!!! フォアボール!!!』
ひなひな『なんと斉藤、新田の豪速球にファールで喰らいつき――』
ひなひな『実に8球粘って、フォアボールを選びましたぁ!!!』
しゅか「――うしっ!!」
しゅか(つないだよ――!! 希望!!)
ありしゃ「しゅか……!!」
あいにゃ「す、すごい……!!」
あんちゃん「しゅか――」
クスッ
あんちゃん「――しゅかは、自分でどう思ってるか、知らないけど」
あんちゃん「やっぱり――お前って、スゴい奴だよ!!」 あさみん『打ち気にはやる気持ちを抑えて、しっかりボールを見極めていました』
あさみん『斉藤選手の、長年のダンスの経験で磨き抜かれた、動体視力と反射神経のたまものだと思いますね』
あさみん『そして、冷静に、次につなげることを第一に考えた――』
あさみん『一見、お調子者に見えて――実は誰よりも空気を読み、冷静な、斉藤選手らしいプレーだったと思います』
えみつん「ふぅ……はぁ」
みもりん(えみつん……)
うっちー(……あの子の場合は、打ち気にはやってくれてた方が、打ち取りやすかった)
うっちー(最後の最後で、こんな冷静さを見せるなんて……!)
ジョルノ(……おいおい)
シカコ(マジか……この、状況……!!) ひなひな『――さぁ!! ついに!! 満塁になりましたぁ!!!』
ひなひな『点差は4点!! 一発出れば、一気に同点!!』
ひなひな『会場の熱気は、最高潮に達しています!!!』
ウオオオオオオッ!!!
ワアアアアアアッ!!!
アークーア!! アークーア!!
ひなひな『そして――この、局面』
ひなひな『打席に立つのは。Aqoursの、命運を、握るのは――!!』
『2番、セカンド、降幡』
ワアアアアアアッ!!
フリリィィィィン!!
ふりりん「………!!」
カタ…
ふりりん(ツーアウト……満塁……!!)
ふりりん(マジかよ……あーしに……)
ガタ…ガタ…!
ふりりん(Aqoursの、命運が……かかってる……!?) 密度が濃くて俺は好き
適当に進められるより作者の気の済むまで最後までやってほしい めっちゃ面白い
けど細かいこと言うとセーフティースクイズは
セーフティーバントでスクイズすることじゃない 更新されるたびに泣いてる。
あいなちゃんもしゅかもほんと…
でもμ'sに勝ってほしいのもある。やっぱり伝説は伝説のままであって欲しいというか。複雑な心境。 あんじゅがサヨナラのランナーか
どっちに倒れてもドラマチックな展開に >あいにゃ「泣いてる?」
>
>すわわ「泣いてない」
>
>あいにゃ「泣いてる?」
>
>すわわ「泣いてないったら」
かわいい ウオオオオオオッ!!
フリリィィィィン!!
ガンバレェェェッ!!
ふりりん「………っ」
フルフル…
ひなひな『大歓声を受けて、降幡が打席に入ります!!』
ひなひな『しかし、プレッシャーからか、いささか固い表情』
ひなひな『チームメイトの、そしてファンの期待に応えることが出来るか!? あいちゃん、正念場です!!』
きんぐ「あいあい……ガッチガチになってる」
ありしゃ「あいあいー!!」
あんちゃん「大丈夫だよ!! 肩の力、抜いてー!!」 ふりりん「………」
ドクンドクン…!
ふりりん(ツーアウト満塁……あーしが打てば……点が入って……)
ふりりん(ホームランなら、同点……? いやホームランとか無理……)
ふりりん(打つ? えみつんさんの球を? じゃあ待つ? フォアボール?)
ふりりん(いや、なに考えてんだあーし……! 頭ごちゃごちゃで……!)
ふりりん(落ち着け、落ち着け……!!)
えみつん「………」
フゥ…ハァ…
キッ!
ふりりん「!!」
ゾクッ
ふりりん(えみつんさん……体、ボロボロのはずなのに……疲れてるはずなのに……)
ふりりん(まだ……こんな、気迫が……!)
ブルッ…
ふりりん(怖い……怖い……!) ザッ…!
ひなひな『新田、足を上げた!!』
ふりりん(来る……来る……!!)
ドクンドクン!
シュバッ!!
ふりりん「――!!」
ズバン!!
\ストライク!!/
ひなひな『ど真ん中を見送ってしまった!!』
ひなひな『降幡、手が出ない!! ワンストライク!!』
ワアアアアアッ!! あいにゃ「あああ……!!」
きんぐ「今の、甘く入ったってやつじゃないの……!?」
あんちゃん(あいあい……!!)
みもりん(危ない……!! 真ん中に入ってきた……!)
みもりん(でも、初球でストライクが取れた。このまま……!)
ふりりん「……っ!!」
ドクンドクン…!
きゃん「あいあい!! 落ち着いて!!」
りきゃこ「深呼吸して!! 大丈夫だから!!」
しゅか「あいあい……」
グッ ふりりん(そうだ……振らなきゃ……打たなきゃ……!!)
ふりりん(振れ、振れ……!)
ドクンドクン…
えみつん「」
ザッ…
ふりりん(振れ!!)
シュバッ!
ブンッ!!
バシィッ!!
\ストライクツー!!/
ひなひな『ああっと、今度は大きく外れたボール球に手が出てしまった!!』
ひなひな『空振り!! これでツーストライク!!』
アアアアアアッ!! ふりりん「はぁ、はぁ……!!」
ふりりん(駄目だ……頭の中、真っ白だ……!!)
ふりりん(どうしよ……どうしたら……!!)
きんぐ「ふり……!!」
ありしゃ「プレッシャーで、テンパっちゃってる……!」
あんちゃん「あいあーい!! 落ち着いてー!!」
ふりりん「ふぅ、はぁ……」
ふりりん「………」
ふりりん(ああ……やっぱり、私……駄目だなぁ……)
ふりりん(こんな、大事な場面で……私を信じて、みんな、送り出してくれたのに……)
ふりりん(期待に……応えられない)
ジワ…
ふりりん(Aqoursの、他のみんなは……すごい人ばっかりで。私、ここにいていいのかって、いっつも悩んで……)
ふりりん(せめて、みんなを引き立てられればって思って、なんとか頑張ってきたけど……)
ふりりん(……引き立て役にすら、なれない)
ポロ…
ふりりん(私……結局、みんなの……お荷物、なんだ……)
しゅか「………!」 しゅか「――こらー、あいあい!!」
しゅか「顔上げろ!! びびってんなー!!」
しゅか「このセクシー家庭教師!!」
ふりりん「!」
ハッ
ジョルノ「……は? セクシー家庭教師?」
ジョルノ「なんで? セクシーなの?」
しゅか「………」
ニッ
ふりりん「………!」
ふりりん(しゅか……) 〜とある生放送収録後、楽屋〜
ふりりん「……もー、セクシー家庭教師ネタばっかやんなよー!」
ふりりん「ほんとしゅか、人のことディスってばっかいるよなー」
しゅか「えへへへ、ごめんってー。だってあいあいの家庭教師、ほんと面白くて好きなんだもーん」
ふりりん「………」
ふりりん「……ま、でもいいんだ。それで、みんなが面白がってくれるなら」
しゅか「へ?」
ふりりん「いやさ……あーしは、しゅかやみんなと違って、別にすごくもなんともないし……」
ふりりん「だったら、引き立て役っていうか……芸人ポジで、せめてみんなを盛り上げられたら、それでもいいかな、って……」
しゅか「………」
バシ!
ふりりん「あだ!? なんでいきなり、背中叩いて、」
しゅか「あいあいさあ」
しゅか「あたしは。あいあいがいないと、ヤだよ」
ふりりん「……え?」 しゅか「だって、あいあい、結構甘えさせてくれるしー」
ふりりん「おい」
しゅか「それにさ。あいあいには、あいあいにしか無い良さ、あると思うよ」
ふりりん「へ?」
しゅか「みんなを楽しくさせてくれるのも、なんだかんだ世話焼いてくれるのも」
しゅか「あいあいじゃなきゃ、できないってゆーかさ。今さら、あいあい抜きのAqoursなんて、考えられないし」
しゅか「あいあい、いいとこいっぱいあるんだからさ。自信持ちなって!」
ニッ
ふりりん「しゅか……」
しゅか「あ! 今、あたしのことイイ奴って、そう思ったっしょ?w」
ふりりん「う、うっせー!/// やっぱ馬鹿にしてるでしょー!!」
しゅか「だから、あいあいは、あいあいらしくでいいんだって!」
しゅか「セクシー家庭教師も、あいあいらしさだから!!w」
ふりりん「やめろー!!」 ワアアアアアッ!!
ふりりん(しゅか……)
ふりりん(私は……私らしく……)
しゅか(そうだよ。いけ、あいあい……!)
あんちゃん「見せてやれ……!」
ありしゃ「遠慮なんか、しなくていい」
きんぐ「あいあいの、すごいところ……!!」
あさみん(いつだって、遠慮がちに一歩引いて。周りを立たせようと、お笑い役になることも多くて)
あさみん(でも――3rdの時、一緒にAwaken the powerを歌った――私も、日向も、知っている)
あさみん(貴方には、目覚めの時を待つ、大きな力――パワーが、あるってことに――!) ふりりん「ふぅー……」
ふりりん「はぁー……」
キッ…
ひなひな『さあ、大きく深呼吸した降幡!!』
ひなひな『再びバッターボックスで、新田に向かい合います!!』
ひなひな(頑張れ……あいちゃん……!)
ワアアアアアッ!!
フリリィィィン!!
ガンバレェェェェッ!!
ふりりん(大丈夫……)
ふりりん(落ち着いて。逃げちゃ駄目だ)
ふりりん(たとえ、相手が……あの、憧れの、えみつんさんでも……!)
えみつん「ふぅ……はぁ」
えみつん「………」
ニコ…
ふりりん「――!!」
ハッ ……………
………
えみつん「……そうなんだ。ふりりん、自分に自信が無いんだね」
ふりりん「……はい。なんか、気が引けることが多くて」
ふりりん「ルビィのことも……大好きだし、追いつきたい、って、頑張ってるんですが……」
ふりりん「なんだか……私が、ルビィの足を引っ張ってるんじゃないか、って……」
えみつん「………」
えみつん「そっか。ふりりん、私とおんなじだねっ!」
ニコッ
ふりりん「……え?」
えみつん「私も、自分に自信が無いもの」
えみつん「私だって、いっつも悩んでた。穂乃果の魅力や想い、表現できてるかなって」
えみつん「ちゃんとみんなに、伝えられてるかなって」
ふりりん「そんな、えみつんさんが、まさか……!!」 えみつん「私の周りで、色んなことが、どんどん加速していって」
えみつん「穂乃果の背中を追うだけで、精一杯だったなあ」
ふりりん「……!」
ふりりん(私と、同じ……!)
えみつん「でもね。ファイナルが終わって、雑誌の企画で、穂乃果に手紙を書いたことがあったんだけど」
えみつん「その時に――ようやくね。穂乃果と、隣で肩を並べて話せてるような、そんな感じになったんだ」
ふりりん「隣で――」
えみつん「だからね。ふりりんも、きっと、大丈夫」
えみつん「自分と、ルビィちゃんを信じて、頑張れば――」
えみつん「きっと、ルビィちゃんの隣に立てる時が、来るよ」
ニコッ
えみつん「だから、ふりりんも――ファイトだよっ!」
……………
……… …ワアアアアアッ
ふりりん「………」
ふりりん(そうだ――いつだったか)
ふりりん(悩んでる私に、えみつんさんは、言ってくれた……)
グッ
ふりりん(――大好きな、ルビィ)
ふりりん(今までは、憧れの貴方に、追いつこうって必死だった)
ふりりん(だけど――いつか。貴方の、隣に立って)
ふりりん(今度は、ルビィのこと、支えてみせるって――絶対、約束するから!!)
えみつん(いくよ――)
えみつん(――ふりりん!)
ザッ…! ふりりん(今は、自分を信じて)
ふりりん(私らしく。私が、出来ることを――)
えみつん「」
グワッ
ふりりん(――やってみせる!!)
スッ…!
くっすん「!!」
ダッ!!
そらまる(バントの構え――!!)
ダダッ!!
えみつん「!」
シュバッ!! ふりりん(サードとセカンド、飛び出してきて――ショートは二塁ベースカバー)
ふりりん(――ここで!!)
スッ!
ひなひな『あっ!?』
あさみん(バットを、戻した――!!)
みもりん(――バスター!?)
ふりりん(力まないで――流せば、いい!!)
ふりりん(狙いは――“一・二塁間”!!)
ふりりん「うああああっ!!」
キィィンッ!! あんちゃん「打った!!」
しゅか(抜けろっ……!!)
ダダダッ
ふりりん(――抜けろ!!)
そらまる「しまっ……!!」
そらまる「くっ……ああっ!!」
ザンッ!
ひなひな『抜けたぁぁぁぁぁっ!!!』
ウオオオオオッ!!!
ワアアアアアッ!!!
ふりりん「……っ!!」
ポロッ…! ひなひな『打球は一・二塁間を抜けていく!!!』
ひなひな『好スタートを切っていた満塁のランナー!! まずは小林が還ってくる!!』
ひなひな『そして逢田も、三塁を回った、回ったぁ!!!』
ウオオオオオオッ!!!
うっちー「くっ……!!」
シュッ!!
ひなひな『ライトからボールが返ってくるが――間に合わないぃぃぃっ!!!』
ひなひな『逢田も、ホームイィィィン!!! 二者生還!! 斉藤は三塁へ!!』
ひなひな『つないだ、つないだ!! Aqoursのライブはまだ終わらなぁぁぁい!!!』
ひなひな『降幡、満塁の場面で、2点タイムリーヒットを放ちましたぁぁぁっ!!!』
ワアアアアアアアッ!!!
キャアアアアアアッ!!!
【μ's 13―11 Aqours】 あいにゃ「おっしゃあああああっ!!!」
ありしゃ「やった……!!」
すわわ「やった!!」
あんちゃん「あいあぁぁぁい!!!」
ひなひな『μ's守備陣の、完全に裏をかいた、降幡の見事なバスターヒット……!!』
あさみん『……降幡選手は、あの一瞬で、μ's守備陣の“穴”を計算したんです!』
あさみん『諏訪選手の打席で、諏訪選手がバントの構えを見せた時、前に飛び出してきたのはサードとセカンドだった。そのことを、覚えていた』
あさみん『負傷しているファーストの南條さん、ピッチャーの新田さんは動けない。そしてショートのPile選手は、ベースカバーに向かう』
あさみん『そうすると、必然的に、最も内野の中で隙が出来るのは、“一・二塁間”ということになる』
ひなひな『あいちゃんは、そこを狙って……!?』 あさみん『まず、降幡選手が、バントの構えを見せる』
あさみん『直前に鈴木選手がバントヒットを決めていること、また降幡選手自身もこの試合、犠牲バントとバントヒットを決めていることが伏線となり――』
あさみん『守備陣は、今回も降幡選手がセーフティバントを狙っていると咄嗟に判断し、バントシフトをとる』
あさみん『しかしそのバントシフトは、ピッチャーとファーストが動けない、不完全なもの』
あさみん『そして、バスターで打ち返す。無理にボールを引っ張らず、上手く流すことで、“穴”となる一・二塁間を狙った――』
あさみん『バスターにしたことで、結果としてバットをボールに当てやすくしたのも、功を奏しました』
ひなひな『あの一瞬で、そこまでのことを――!!』 あさみん『自らの、バントの技術に自信を持っていた――いや、自信が持てたからこその、ファインプレーでしょう』
あさみん『自分に出来ることは何か。自分にしか出来ないことは何か』
あさみん『それを考え――あきらめずに、自分の力を信じた』
あさみん『それが――Aqoursの未来を、つないだんです!』
ひなひな『あいちゃん……!!』
あさみん(彼女の中の――“眠る力”は)
あさみん(東京ドームに、立つことが出来れば。きっと、さらに大きく、開花するはず――!)
ふりりん「う、ひぐっ……!」
ふりりん(やった……やったよ……!)
ふりりん(私……ちょっとでも、ルビィに……近づけたかな……)
きゃん「ふりぃぃー!! サイコー!!」
きんぐ「泣くなー!!」
しゅか「……へへっ」
しゅか「引き立て役なんかじゃ、ないんだよ。あいあい」 ジョルノ(私とえみつんが、動けないことが、あだになっちゃったか……)
ジョルノ(しかし……咄嗟に、動けない私と、そらの間を狙って、流してくるとはね)
えみつん(ふりりん……)
ハァハァ…
えみつん(……頑張ったね)
クスッ
えみつん(……だけど……)
キッ…!
うっちー(だけど……)
りっぴー(ここまで……やるなんてね)
シカコ(何度、突き落とされても……)
くっすん(そのたびに……這い上がってきて)
ぱいちゃん(私たちの背中を――追いかけてきた)
そらまる(そして――いよいよ)
みもりん「」キッ…
みもりん(クライマックス――か) ひなひな『9点差がっ……2点差になりました!!!』
ひなひな『9回裏、ツーアウトランナーなし!! 誰もが勝負あったと思った、絶望的な状態からの、Aqoursの猛反撃!!』
ひなひな『そしてついに、ついに、μ'sの背中が、見えるところまでやって来たのです!!!』
ワアアアアアアアッ!!!
ウオオオオオオオッ!!!
りきゃこ「来た……ここまで……!!」
すわわ「ここまで……つながった……!!」
きんぐ「勝てる……!! 勝てるよ!!」
ひなひな『ランナーは、一塁・三塁!!』
ひなひな『全て還れば同点!! そして、一発が出れば、逆転サヨナラという場面です!!』
ひなひな『そして――この、クライマックスの舞台』
ひなひな『そこに、立つのは――!!』
あんちゃん「―――」
ザッ
『3番、ピッチャー、伊波』
えみつん「………」
えみつん「……あんちゃん」
フッ
えみつん「また――戻ってきて、くれたんだね」
あんちゃん「えみつんさん――」
あんちゃん「これが――正真、正銘」
あんちゃん「最後の、勝負です――!」
👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:1341adc37120578f18dba9451e6c8c3b) ふりりん…(´;ω;`)
ふりは4thで一皮も二皮もむけたと思う ワアアアアアアアッ!!!
キャアアアアアアッ!!!
アンチャアアアアアンッ!!!
ひなひな『9回裏、長きに渡る激闘のクライマックス!!』
ひなひな『この局面、全てを賭けて打席に立つのは、Aqoursのリーダー、伊波杏樹!!!』
ひなひな『Aqoursの全てを背負って立つのに、彼女ほど相応しい人物はいないでしょう!!!』
すわわ「あんちゃん……!!」
りきゃこ「お願い!! 頑張って!!」
あいにゃ「あんちゃんだったら、絶対打てるよ!!」
きんぐ「こうなったら、ホームラン狙ってけ!!」
きゃん「お願い……お願い……!!」
ありしゃ「――私たちの、想い。Aqoursの、未来」
ありしゃ「あんちゃんに、託すから」
あんちゃん「………」
あんちゃん「任せて。みんな」
クスッ
あんちゃん「打つよ。私!」
ザッ…! ウオオオオオオオッ!!!
ワアアアアアアアッ!!!
ひなひな『さあ、大歓声に迎えられながら、伊波が最後の打席に向かいます!!』
ひなひな『思えば、この9回のAqoursの、奇跡的な追い上げは、この伊波のヒットから始まりました』
ひなひな『小宮が鋭いヒットで続き、高槻が執念の内野安打で1点を返す』
ひなひな『トラウマを克服した逢田の2点タイムリー。諏訪は頭に死球を受けるも出塁、魔物を味方につけた小林も、ヒットを生みました』
ひなひな『足を痛めながらも、決死で駆け抜けた鈴木のバントヒット。粘る斉藤が、四球で望みをつなぎ――』
ひなひな『そして満塁から、降幡のバスターで、ついに2点差まで詰め寄ったのです!』
あさみん『……運よく、拾った点もあるかもしれません』
あさみん『しかし。あきらめない、伊波選手や鈴木選手の想いが、再びAqoursをひとつにし、一丸となって立ち向かったからこそ――』
あさみん『この、奇跡的な反撃を生んだのでしょう』
ひなひな『さあ果たして、“奇跡”は実を結ぶのか!?』
ひなひな『はたまた、厳しい現実が、Aqoursの前に立ちふさがるのか!?』
ひなひな『全ては、この新田と伊波、最後の対決にかかっています!!』 えみつん「………」
えみつん(最後の……勝負、か……)
フゥ…
えみつん(こうして、みんなと、一緒にいられるのも……あと、少し)
クス…
えみつん(最後は……勝ちたいな)
えみつん(あんちゃん……貴方たちに)
みもりん「………」
みもりん「……すみません。タイム、お願いします」
ザッ…
みもりん「……えみつん」
えみつん「!」
えみつん「すず……」
ひなひな『おや……これは?』
ひなひな『マウンドの、新田のもとに……キャッチャーの三森、そして内野陣のみならず』
ひなひな『外野も含めた――全員が、集まります』
ザワザワ…!!
8人「………」
えみつん「……みんな……」 えみつん「………」
えみつん「ごめん……ね」
えみつん「わがまま言って、投げさせてもらってるのに……点、取られちゃって……」
えみつん「みんなの、想いを……μ'sの名前を、背負ってるのに……」
8人「………」
シカコ「……なに言ってんだよ、えみつん!」
えみつん「……え?」
ぱいちゃん「さっきも言ったじゃん。えみつんがいたから、ここまで来れたんだって!」
りっぴー「この試合だけじゃないよ。ファイナルまで、ずっとウチらのこと、引っ張ってくれた」
うっちー「最後のマウンドを、任せられるのは……えみつん以外、いないよ」
えみつん「……!!」
ジョルノ「無茶すんな……とは、言ったけど。いいよ、ここまで来たら、気の済むまでやりなって」
くっすん「そうだよ!! μ'sに勝つなんて100まんねん早いって、見せつけてやれー!!」
そらまる「リーダーの、μ'sのカッコいいとこ、見せてやろうって!」
みもりん「……えみつん」
ニコ…
みもりん「最後は、思いっきり。えみつんの、好きな球を投げなよ」
えみつん「………」
えみつん「みんな……」 えみつん「ありがとう……みんな」
えみつん「………」
えみつん「もうすぐ……この試合も、終わりなんだね」
みもりん「うん……」
えみつん「……久しぶりに、9人でこうやって集まって、思いっきり頑張って……」
えみつん「それも、もうすぐ終わりだって、思うと……」
えみつん「ちょっとだけ……さびしいね」
うっちー「………」
うっちー「――それは違うよ、えみつん」
うっちー「私たちは――μ'sは、ずっと終わらない」
うっちー「離れてても……みんな、つながってるもの」
りっぴー「……さっすが、うっちー、いいこと言う!」
ぱいちゃん「でも……そうだよね。忘れられるはず、ない」
くっすん「離れてたって……ずっと、一緒!」
えみつん「うん……うん……!」
えみつん「………」
えみつん「……ね、みんな」
えみつん「手、つながない?」 グッ…
りっぴー「昔は、ライブの前。みんなで、こうして、手をつないでたっけ」
くっすん「こうやって、ずぅっと一緒に、頑張ってたよね。私たち」
ぱいちゃん「嬉しかったことも、楽しかったことも……」
ジョルノ「つらかったことも。泣いちゃったことも」
シカコ「毎日が、ドキドキで。冒険みたいだったよね、いつも」
そらまる「最初は、こんなにたくさんの人たちに応援されるなんて、夢のまた夢だったけど」
みもりん「そんな、無謀な夢から始まって……」
うっちー「奇跡のように、すべてがつながって……」
えみつん「また、この9人で」
えみつん「ううん。穂乃果たちも入れた、18人で――」
えみつん「こうやって、一緒のステージに立てたのは――」
えみつん「夢みたい、だね」
9人「―――……」
ひなひな『マウンドを囲み、手をつないだμ's――』
ひなひな『9人が――天を、見上げました』
ひなひな『その――見上げた、視線の先には』
ひなひな『天井越しに。どこまでも澄んだ青空が、広がっているのかもしれません――』
うっちー「ずっと――こうしていたいけど」
ジョルノ「だけど、ね。限られた時間の中で、輝くのが――」
りっぴー「スクールアイドル、だからね」
みもりん「そだね。そろそろ、今日のライブも、終わりだし」
シカコ「決着――つけて、やろーぜ」
えみつん「よし……!」
えみつん「行こう。9人で!!」 ワアアアアアアアアッ!!!
ひなひな『さあ、μ's守備陣、元のポジションに戻り――』
ひなひな『マウンド上には、新田!! ピッチャーの変更はありません!!』
ひなひな『μ's、最後まで、リーダーにその命運を託します!!』
えみつん「………」
あんちゃん(えみつんさん……!)
ひなひな『そして、その新田に挑むのも、リーダーの伊波!!』
ひなひな『こちらも、Aqoursの9人の想いを背負って、最後の打席に臨みます!!』
ひなひな『最後に迎えるのが、やはりこのリーダー同士の対決とは――もはや、運命と呼んで差支えないでしょう!!』 \プレイ!!/
ウオオオオオオオオッ!!!
ひなひな『審判の手が上がりました!!』
ひなひな『果たして勝つのは、新田か、伊波か!?』
ひなひな『μ'sか、Aqoursか!?』
あさみん『――おそらく、決まります』
あさみん『この対決で、全てが――!』
うっちー「えみつん……!」
ジョルノ「……いけ!!」
みもりん(思いっきり――ぶちかませ!!)
えみつん「」
ザッ…!
グワッ!!
ひなひな『ランナーがいるのに、振りかぶったぁぁぁ!!!』
ワアアアアアッ!!!
シュバッ!! あんちゃん「――!!」
ブンッ!!
ズバァン!!
\ストライク!!/
ウオオオオオオオッ!!!
ひなひな『新田、振りかぶっての、渾身のトルネードから、全力のストレート!!』
ひなひな『対する伊波も、初球からフルスイング!!』
ひなひな『正に、真っ向勝負です!!!』
ひなひな『そして、新田の球速は――』
ひなひな『――138キロを計測!!!』
オオオオオオッ!!!
あさみん『ここに来て、またしても、球威を取り戻した――!!』
ひなひな『新田も、μ'sとしてのプライド、想い、全てを賭けて臨みます!!!』 きゃん「ああ……あんちゃん、あんちゃん……!!」
りきゃこ「きっと大丈夫……あんちゃんなら……!!」
あいにゃ「だって、私たちの……リーダーだもの!!」
シュバ!!
バシィッ!!
\ボール!!/
ひなひな『これはよく見た!! ボール!!』
すわわ「そうだ、しっかり狙って……!!」
きんぐ「いいぞー、あんちゃん!!」
ありしゃ「絶対、いける!!」
キィンッ!!
\ファール!!/
しゅか「そうだー!! こうなったらどんどん打ってけー!!」
ふりりん「あんちゃぁぁぁん!!!」 みもりん(コースとかっ……駆け引きとか、もういいっ!!)
みもりん(えみつんの、全力の球を! 気持ちを乗せた球に、勝るものなんて無い――!!)
くっすん「そうだよ!! 全力の、えみつんは――!!」
ぱいちゃん「絶対、無敵だから!!」
そらまる「声優界最強、舐めんなよ!!」
ジョルノ「えみつん……!!」
バシィッ!!
\ボール!!/
シカコ「がむしゃらにぶつかってやれ!! それがμ'sだし!!」
りっぴー「えみつんなら、きっとやってくれる!!」
うっちー「頑張れぇぇぇぇっ!! えみつぅぅぅん!!!」
ガキィッ!!
\ファール!!/ ウオオオオオオオオッ!!!
ワアアアアアアアアッ!!!
ミューズ!!! ミューズ!!!
アークーア!!! アークーア!!!
ひなひな『全力でぶつかり合う、両者の姿に――』
ひなひな『スタンドからは、μ'sコールと、Aqoursコールの、大合唱!!!』
えみつん(――ふふっ)
えみつん(体も、痛くて。全身、クタクタの、はずなのに――)
えみつん(――なんだか)
あんちゃん(――はい。えみつんさん)
あんちゃん(なんだか――)
あんちゃん(すごく、楽しいです)
シュバッ!!
キィン!!
\ファール!!/
ひなひな『新田の渾身のストレートに、全力のバッティングで喰らいついていきます、伊波!!!』
ワアアアアアアアアッ!!! えみつん「はっ、はぁ……!!」
クスッ…
あんちゃん「はぁ、ぜぇ……!!」
ニコ…
あさみん『……!?』
あさみん(ふたりとも……笑ってる……?)
あんちゃん(楽しいのは――きっと)
あんちゃん(憧れの、えみつんさんと。憧れの、μ'sと)
あんちゃん(こうして、真正面から、力をぶつけあえるからなのかな、って――)
あんちゃん(私は――千歌と同じ。ただ、μ'sが大好きなだけの、普通の女の子で)
あんちゃん(μ'sは――ライブに行くたび、元気と、勇気をもらえる、憧れの存在で)
あんちゃん(ずっと、μ'sみたいになりたくて――)
あんちゃん(くじけそうになったことも、たくさんあったけど)
あんちゃん(9人で、必死に、頑張ってきて)
あんちゃん(そして今、こうして、全力でぶつかりあえるのが――すごく、嬉しい!!) えみつん(それは、私たちも、同じ――)
えみつん(ファイナルが決まった時は、悲しくて)
えみつん(2代目のグループが出来るって聞いた時も、正直、複雑な想いもあった)
えみつん(だけど――あんちゃんたちに会って。実際に、ライブを観て。確信できた)
えみつん(この子たちなら――私たちの、想いを)
えみつん(ラブライブを――きっと、受け継いでいって、くれるって)
えみつん(最初は、あんなに頼りなかった、貴方たちと――)
えみつん(こうして、全力でぶつかり合えるようになれたことが――)
えみつん(また、私たちが、全力のステージに立てたことが)
えみつん(すごく――嬉しい!!)
シュバ!!
ズバン!!
\ボール!!/
オオオオオオオオッ!!! りきゃこ「ツーストライク……」
ありしゃ「スリーボール……!」
みもりん(フルカウント……!!)
えみつん「………」
フゥ…ハァ…
あんちゃん「………」
ゼェ…ハァ…
ザワザワ…
ザワ…
シィィィ……ン
あさみん『……!!』
ひなひな『フルカウント……!』
ひなひな『大歓声から、一転……場内、水を打ったように、静まり返ります……!』 えみつん「ふぅ、はぁ……」
ニコッ…
あんちゃん「……!」
えみつん「あんちゃん――」
えみつん「次の、球」
えみつん「全力の、全力で――いくね」
あんちゃん「――はい!」
あんちゃん「望むところです。私も――」
あんちゃん「思いっきり――!!」
うっちー「えみつん……!」
しゅか「あんじゅ……!」 ザッ!!
えみつん(――ありがとう)
えみつん(あきらめないでいてくれて。全力で、ぶつかってきてくれて)
グワッ…!!
えみつん(貴方たちとの、ライブ――)
シュバッ!!
えみつん(――楽しかった!!)
あんちゃん「――!!」
ブンッ
カッッ
キンッ
あんちゃん(――Dear えみつんさん)
あんちゃん(私は――μ'sが)
あんちゃん(ラブライブが、大好きです)
あんちゃん(色んなステージで、まぶしいくらい輝いていたμ'sを見て)
あんちゃん(どうしたら、そうなれるのか)
あんちゃん(えみつんさんみたいなリーダーになれるのか)
あんちゃん(ずっと、考えてきました)
ワアアアアアアアッ!!!
ひなひな『打球が大きく上がったぁぁぁーー!!!』
ひなひな『右中間、伸びる、伸びる!!!』
あんちゃん(――やっと、わかりました)
あんちゃん(“私”で。“私たち”で、いいんですよね)
ドカッ!!
ひなひな『フェンス直撃ぃぃぃぃ!!!』
ひなひな『塁上のランナー、全力で走る!!!』
あんちゃん(大切な、仲間たちと一緒に)
あんちゃん(目の前の、景色を見て)
あんちゃん(まっすぐに、走り続ける)
ひなひな『三塁ランナー、ホームイン!!!』
ひなひな『一塁ランナーも、還ってくる!!!』
あんちゃん(それが、μ'sなんですよね)
あんちゃん(それが、輝くってことなんですよね)
ウオオオオオオオオッ!!!
ひなひな『ライト内田、ボールをとって――』
ひなひな『投げたぁぁぁっ!!!』
あんちゃん(だから、私たちは。私たちの、景色を見つけます)
あんちゃん(あなたの背中ではなく――)
あんちゃん(自分だけの景色を探して、走ります)
ひなひな『そして、打った伊波も、三塁を――』
ひなひな『回った、回ったぁぁぁっ!!!』
ひなひな『ピッチャー新田、ボールを中継して――』
ひなひな『バックホォォォォム!!!』
あんちゃん(みんなと――)
あんちゃん(大切な、仲間と、一緒に)
ズザザザザッ!!
バシィッ!!
ドカッ!!!
あんちゃん(――いつか)
あんちゃん(いつか――)
審判「アウトォ!!!」
審判「ゲーム――セット!!!」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています