曜「人魚な彼女」
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ギコギコギコ
「船長、こんな時間に小舟を出してどこ行くんですかい?」
曜「えっと…ちょっとね」
「はぁ…」
ギコギコギコ
船は女、海は男
女を船に乗せてはならない
嫉妬で悪いことがおきるから 曜「ここまで来たらいいかな」
すうううう
曜「おーい、果南ちゃーん!!いるー!?」
・・・
バシャバシャバシャ
ざっぽーん
ドスン
果南「久しぶり、曜!」
曜「久しぶり、果南ちゃん」 果南「また下から見てたよ!」
曜「また見てたの?あんまり近くに来てない?他の人に見られてないよね?」
果南「当たり前だよ、私を誰だと思ってるの?」
曜「果南ちゃんだから心配してるんだよ?」
果南「おっ、言ったなー!!この前までこっんな!小さかった癖に!」
果南「それにこっちだって航海の度に心配してるんだよ!昔みたいに溺れたりしてないかって」
曜「もう大丈夫だよ!」
ワイワイ 曜「そうだ、これ約束のお土産」
果南「いいの?」
曜「うん、開けてみて」
ガサガサ
果南「すごい綺麗な髪飾り…」
曜「つけてみて」
果南「うん…」 果南「えへへ、どうかな?」
曜「似合ってるよ!」
果南「ありがと」ニッ
果南「でも不思議だなぁ、こんなに綺麗な物よりいつも曜が運んでる粉の方が高いんでしょ?」
曜「何倍もね、だから危ない目にあいながら海を渡るんだよ」
果南「何がいいのかなん?」 ・・・・・
果南「今度はいつ会いに来てくれるの?」
曜「ごめん、またすぐに出なきゃ行けないんだ」
果南「そうなんだ…」
曜「・・・」
曜「少し、泳ごうかな?」
果南「え?」
曜「そんな気分なんだ」
果南「うん…分かった、また泳ぎ方を教えてあげるよ!」
曜「だからそんな歳じゃないって!」
ザッボーン!! 果南「ほらこっちこっちー!」
曜「待ってよ!果南ちゃん!」
果南「まだまだ遅いね」
曜「人が人魚に勝てる訳ないじゃん!」
果南「…そうだね」
人と…人魚か…
果南「それじゃあ、今度は手を繋いでて」
曜「うん」 こうやって二人で泳ぐ度に頭によぎる
曜「ゴポゴポ」
もしも曜をこのまま海の底まで引きずり込んでしまったら…
会えない悲しい時間が不安でなくなるのにって ぷはぁ!
曜「はぁはぁ…やっぱり果南ちゃんは速いなぁ」
果南「当然!なんたってお姉さんだからね!」
果南「いくつになっても曜には負けないから!」ニッ
曜「言ったなー!」ニッ
バシャバシャ あははは! 曜「そろそろ、時間だ…」
果南「もう?まだ一緒に居たいよ」
曜「私もなんだけど…ごめんね」
果南「こっちこそごめん…わがまま言って」
果南「最後に、キスして」
曜「うん」
ちゅっ…
……
ぷはぁ 曜「今度はさ、中国に立ち寄ろうと思うんだ」
果南「中国?」
曜「うん、ここからはすごい遠い国」
曜「そこは不思議な国だから、もしかして人になれる方法も見つかるかもしれない」
果南「うん…」
曜「大丈夫絶対に二人、一緒になろうね」
果南「うん…」 「じゃあねー!」
果南「無事に帰って来てねー!」フリフリ
ギコギコ
「あの方が件の?」
果南「!?」
果南「ダイヤ…聞いてたの?」
ダイヤ「失礼ながら…」
果南「みんなに言うつもり?」
ダイヤ「そんなことはありませんわ」 ダイヤ「あなたこそ、あの事は言いましたの?」
果南「…なにが?」
ダイヤ「あくまでとぼけるつもりですのね、ならハッキリ言いましょう」
ダイヤ「人魚が人になることはない、しかし人が人魚になる事はそう、難しい事ではない」
ダイヤ「あの方を人魚にしてさしあげては?」
果南「っ…」 果南「言える訳ないよ…曜は船長なんだよ?」
果南「知ってる?船長、みんなを引っ張っていく大切な役割なんだよ」
ダイヤ「それくらい知っていますわ」
果南「それなら」
ダイヤ「それで、そんな事で結婚を、子を成す事を諦めるのですか?」
果南「・・・」
ダイヤ「それに、人なら掃いて捨てるほどそこらにいます」 ダイヤ「なんにせよ、決断は早いに越した事はありません」
ダイヤ「人は私達と違って寿命が短いのですから」
果南「うん…」
ダイヤ「それに、いつ他の人に目移りするかわかりませんし」
果南「なっ!?曜はそんな事しない!」
ダイヤ「そう言い切れますか?あなたはこんな小さな海域の中で暮らして来たのです」
ダイヤ「遠くまで行き、その目でいろんな目を見て、様々な人と会うあの人と同じ結果になると言い切れますか?」
果南「・・・」 ダイヤ「はぁ…早めに決めてください、後で後悔しても知りませんわ」
ザブン
果南「・・・」
本当は、他の人の心配なんてこれっぽっちもしてなかったのかもしれない
ただ…ただ
断られるのが怖かった
人をやめてと言われて、拒絶されるのが怖かったんだ その日、私は決心した
曜にその事を言う決心でも、全てを無かった事にする為に突き放す事でもない
曜たちに着いていく、それでいろんな物や人を見る
それで、いろんなものを知ってからケリをつけるらそんな決心 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています