【SS】千歌日記
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──2035年6月12日
雨は止まなかった。
各地で洪水警報が発表され、堤防が決壊する程に酷く強い雨だった。
かの詩人達は雨に幾度となく想いと言葉を馳せたが、そんなものは被害のない範囲でのみ生まれる余裕あるいは暇つぶしに過ぎない。
とにかく、ざあざあと耳にうるさい。何も和まない。
聴く者を圧迫する……そんな雨だった。
命が巡るものならば、水もまた命である。
この地表に生まれ落ちて、いずれは空へと還される儚い命だ。
では、巡らない命とは何の意味があるのか。
地を這い続ける事でしか生を得られない人間は、一体何者なのだろうか。
暗闇の中、与えられる汚物を咥えて舐めるでしか自己の存在を認識できない自分とは……?
彼女の頭には、そんな退屈な疑問が生じた。
数匹の中年男性に囲まれ、犯される渦中にありながらも、そんな退屈な疑問だけが彼女を生かし、遂には殺し続けた。 ──2035年12月24日
街を銀世界に包む雪模様とは裏腹に、千歌の心情は濁った色をしていた。
喋る度に出る白い息に、彼女は苛立ちを募らせた。
夜明けだ。付近の街灯がぽつぽつと消え始める。
柔らかな陽の光に照らされて、千歌の華奢な手に握られたカッターナイフは真紅を帯びて鈍く呻いた。
滴る血が足元の世界を赤く染めあげる。
おじさん「千歌ちゃん…」
千歌と対峙する彼は悲しかった。目の前の少女が早まってしまっては元も子もない。何とか阻止しなくては…そんな冷たい使命感に襲われていた。そして、焦っていない自分がいることに落胆していた。
千歌「馬鹿っ!馬鹿っ!!私だけって…私だけって約束したのに!」
千歌「どうしておじさんも私を裏切るの!?私、おじさんの為に頑張ってきたのにっ!辛いことにも耐えてきたのに!それを……それをっ!ふざけないでよ!!」
おじさん「千歌ちゃん、カッターの握り方間違ってるよ」
千歌「うるさい!私はみんなが馬鹿にした普通怪獣なんかじゃないっ。今ここで……ここで…それを証明することだって出来る!」
おじさん「やめんかーい」
彼は千歌に掴みかかった。せめて刃物だけでも放棄させなければ──抵抗する彼女と取っ組み合いになる。
千歌「っ!離してよっ!」
おじさん「だからね千歌ちゃん、カッターの持ち方…」
千歌「そもそもあなたが私のことだけしか見てくれないのが悪いの!」
おじさん「持ち方…」
千歌「やっぱり!あなたもどーせ本当は私の事なんてどうでもいいんでしょ!?」
おじさん「人の話は聞こうよ…」
千歌「こうなったらおじさんと一緒に死んでや──」
おじさん「黙って刃物捨てんかバカぁ!おじさん怒るぞ!」
キツく叱れば、いつも通りに戻る。
その時の彼は、そうとばかり楽観的に考えていた。
だが、次の瞬間、少女のいたいけな意思が彼の心を貫いた。 ──2035年7月21日
おじさん「次の診療相手は……」
彼は全国から送られてきた報告書に目を通していた。名古屋区にある事務所の一室で、次の案件を探す真っ最中だ。 おじさん「コーヒー…」
おじさん「……はぁ」
彼は引きこもりの学生をターゲットに、心理療法による登校援助を請け負う“民間心療会社”サンカの契約社員だ。
民間心療会社とは、病院等の公的機関とは連携せず、独自で医療を配分するビジネスを行って利益を得ている組織だ。
助けを本当に必要としている者にのみ、医療と、その術を持っている社員を派遣させる。言わば従来の医療体制を打ち砕くバランス・クラッシャーである。 日本ではまだまだ反対の声も残っているが、15年前の東京五輪の時に話題となった「やりがい搾取」に比べれば、病院なんかよりもよっぽど健全に患者と向き合えるシステムだと大抵の国民が無言の称賛を送っている。
事実、都市部と地方の垣根が消えつつある現代においても、胡座をかき地元に居着く病院ではなく、細かく対応可能な民間心療会社の方が依頼者からは好まれる傾向にあった。
少子化の日本だが、不登校生徒に関しては海外よりも近年はその率を色濃く増加している為、中々依頼数は減らないのが現状だった。 何がそれを加速させているのか。これまで長きにわたり続いた経済不振、労働問題なのだろうか。それとも、学校や県の合併による地方民の郊外都市部への大規模移住なのか。
それは分からない。
世の中、他人からすればどうでもいいような事で悩む人も一定数存在する。要は人それぞれに尽きてしまうのだ。
だから、彼は今もこうして報告書のひとつひとつに神経を使ってじっくり選別する。 何に心を蝕んで、何を恐れて社会の檻から逃げようともがき苦しんでいるのか。AIによる自動選別のネットワークはとっくの昔に誕生しているが、どうしても最後の優先選別だけは手作業でやるのが彼の癖だ。
彼自身のこれまでの実績は51件。
不登校解消49件、中途委託1件、中断1件。
初めからこの業界に居た訳では無いが、彼はそれなりに仕事はこなせていた。けれど、心残りはあった。
救えなかった子がいる。
それだけが足枷になっていた。 だが同時に、目の前の未来ある若者を一人でも多く救い出したい彼の気持ちは変わらなかった。
ふと、山積みの資料から数枚のプリントが落ちた。拾い上げて見てみる。 おじさん「…沼津区からの案件か珍しい。静岡からなんて」
おじさん「…あぁ、今は静岡じゃないか。全く紛らわしい」
軽く咳払いして再度目を落とす。
おじさん「沼津区第1高校の女子学生…学年は二年」
おじさん「名前は……高海千歌。千歌ちゃんか」
おじさん「精神状態は険悪で、自室に塞ぎ込んでいる……と」
付属の写真資料にはそんな書き込みとは真逆の、輝かしい笑顔でカメラに手を振る童顔の少女が写っていた。
恐る恐る、備考欄に視線を動かす。 調べるうちに彼は、高海千歌がスクールアイドル「Aqours」に所属していた過去を知った。
スクールアイドル。
若年層が減少する日本国内においての、学校側の保有する切り札。またの名を、客寄せパンダ。
おじさん「今どきいたんだな…そんなの」
現代日本では無用の長物に等しい。 と言うのも、スクールアイドル産業が発達したのは、あくまでも少子化と人口の集中が捗らない数年前の日本のみにその需要を開花させたものであるからだ。
しかし現代は、過疎化する地方から孤立する住民達を郊外都市部へと移住させ、インフラ整備と経済発展の効率化を目的とした“地方自治区画整理計画”によって、あらゆる県が統一され、著しく県数は削減されている。
これにより国内から少子化の問題は消えなくとも、限界集落は消滅し、人口集中地区が計画的に生まれた。
既存の田舎は非居住区となって消え、そこに住んでいた人々が流れてきたので、郊外都市部の学校は次世代の生徒調達に一時的にではあるが困らなくなったのだ。 また、運営面でも問題があった。
登録制をいち早く敷いた事により、殆どのスクールアイドルを統率していたラブライブ大会運営委員会の台頭が前々から各地で良く思われてなかったのだ。
アイドルの酷使やグッズ利潤を巡る裁判が危険視され、フェミニストによる抗議デモとLGBT支援団体への配慮もあってか、女子学生が学校を基盤にアイドルをすること自体が悪とされる風潮が徐々に形成されていったのである。 最も問題となったのは、スクールアイドルのファン層の中核たるラブライバーの犯罪・迷惑行為である。
母校を応援するアイドルユニットとあってか、身元や自宅特定が容易となり、ステージ外での接触が急増。観客とアイドルの「距離」が性質上、どうしても元々近くになりがちだったのだ。
結果、ラブライバーによるアイドルへの暴行事件が多発し、必要を迫られた警備費や特設ステージの莫大な維持費の負担を背負った大会運営委員会は、足早に市場から完全撤退を表明した。
以上、この数年の劇的な国内情勢変化に揉み消されて、スクールアイドルはその必要性を完璧に喪失してしまったのだ。 2035年現在、スクールアイドル総数は僅かに22組。
その中にAqoursの文字はない。 おじさん(…アクオスって読むのかな)
おじさん(いや、アクアか。水ってことか)
おじさん(そういや東京五輪の開会式にスクールアイドルが出てたけど、海外から女児を売り物にしてるってJOCに批判が殺到していたよーな)
おじさん「…」
おじさん「生きづらい世の中になったこと」 案件受理の手続きを済ませ、高海千歌の自宅へ電話を入れた。どうやら高海家は旅館業を営んでおり、地元でも有名な家らしい。
民間心療会社の者です、と告げた時、彼女の家族はとても安堵しているようだった。資料によれば、引きこもってからあまり月日は過ぎていないのだが…よほど酷い状況みたいだ。
だから尚のこと、地元に居場所がなくなってしまったのだろう。頭の中でそうチラつきながらも、彼は荷物をまとめて事務所を飛び出た。 おじさん「沼津までの奴、空席あります?」
従業員「えぇ。あと一席」
おじさん「じゃあそれください」
名古屋から約3時間の道のり。着く頃には、もう夕方頃だろう。
それでも、幸い滞在中は高海家が旅館の一室を提供してくれるようなので不安要素はない。
これから最低でも数週間というケアが始まる。長期間の出張まがいものだが、家族がいない彼には好都合だった。彼は自宅にいる時間がこの上ない苦痛なのである。 暴行された女子高生を担当した事は、彼にはない。まさに未知の敵なのである。これは今後に生かせる体験だ。彼は意気込んでいた。
千歌を救うことがもちろん先決ではあるが、彼女を助けた経験値を次に生かすことも、それによって飯を食う彼にとっては重要は判断基準なのだ。 おじさん(けど最悪なことに、千歌ちゃんに乱暴をはたらいた加害者が俺と同年代ぐらいとのこと…)
おじさん(まぁ今は俺以外誰も担当できなそうだし、千歌ちゃんの出方次第かなぁ)
それだけぼんやりと思って、彼は窓から外を眺めた。人口集中地区となった名古屋周辺は、目まぐるしい建設ラッシュの波に浸かっていた。ビルにアパート、商業施設……。
その間を辛うじてすり抜けるような形で佇んでいる毛細血管の手本と化している緻密な交通網。
ビル街を往く人々の顔はうつむきがちだ。スマートフォンや、もっと小型の携帯端末機器に視線を落として、周りへの関心は一切ない。
百年前の人間が思い描いた究極の理想都市が広がっているのに、人々の心は決して満たされてはいなかった。
なんて傲慢で浅はかな動物なのだろう、人間は。
おじさん(…ホント、住みにくいったらありゃしない。この国は…)
そうしている間にも、彼を乗せたバスは名古屋区を後に、沼津区へと急いでいく。 おじさん(こっちは割と涼しいなぁ)
駅前は人でごった返しているが、例によって皆不満そうな表情で各々の道を往くだけ。そこに地方の活気はない。この区も県外からの移民が多いのだ。
おじさん(千歌ちゃん家…十千万に向かうとするか)
タクシーを拾おうと思っていたが、古い軽トラからこちらへ手を振る人影に気づく。 キョロキョロと周囲を確認するが、軽トラに反応する人はいない。まさか高海家からの出迎えか、と思った彼は運動不足の身体に鞭打って小走りした。
運転席を覗き込むと、おっとりとした雰囲気の若い女性が乗っていた。
おじさん「あのー…人違いだったらすみません。もしかして、お宅が高海千歌さんの?」
美渡「あぁ、よかった。もういらしてたんですね。はい、私があの子の姉の…高海美渡です」
おじさん「そうですか。まーこれからよろしくお願いします」
美渡「こちらこそ…では行きましょうか。助手席にお乗り下さい」 旅館への道中、美渡から話を聞くなり彼は予想よりも厳しい案件だと認識した。
どうも千歌は日常的に自傷行為を繰り返すらしく、時折、衝動に任せて暴れてしまうらしい。食事も用意されたものも以前より食べない上に会話もしない。人との関わりを徹底的に断絶しているのだ。
そのせいで旅館業も一時控えているとの事だった。 おじさん「…」
美渡「…」
おじさん「あ。そうそう、まだ名乗ってませんでした。これ名刺です」
美渡「ありがとうございます」
美渡「…民間心療会社サンカの…ごめんなさい、この苗字…」
おじさん「難しくてすみませんね。まぁ、名前は好きじゃないんで適当に呼んでください」
美渡「はぁ…そうですか」 十千万に到着。
美渡に旅館内を軽く紹介される。だが、人気のなくだだっ広い旅館は物寂しかった。
最後に今後の私用スペースの自室に案内された。
美渡「滞在中はこちらの部屋をご自由に…」
おじさん「どうも」
美渡「…今日から、もう?」
おじさん「えぇ。挨拶ぐらいは」
美渡「あの子を、どうかよろしくお願いします…」
おじさん「…はい」 荷物の整理を終えた彼は、早速仕事に着手した。資料作成用の簡易アンケート用紙と名刺を手に、千歌の部屋に足を運んだ。
自室と聞いていたが、本当のところは旅館からは離れた従業員寮の空き部屋に彼女は籠城しているらしい。
開かずの間と化している部屋を前に、ネクタイを締め直す。
静かにノックする。
だが反応はなかった。 おじさん「高海千歌さん」
おじさん「私は本日より派遣されました、民間心療会社サンカの──」
名乗りながら、彼は扉の下の隙間から名刺を入れ込んだ。
おじさん「そちらは名刺です。難しい名前でしょう?ですから、適当に呼んでもらって結構です」
おじさん「…貴方のような不登校の生徒を相手に、登校援助をするのが私達サンカの仕事です。そのためのメンタルヘルスケアも兼ねます」
相変わらず返事はない。 おじさん「…ご心配なく。行政機関の者ではありませんし、学校からの差し金でもありません。あなたのご家族に依頼されて私は今、ここにいます」
おじさん「ずっと1人では些か寂しいでしょう。周りの皆さんは心配していますよ」
おじさん「私があなたに危害を加える敵ではないことをご理解して頂ければ助かるのですが…」
向こうからドンッと扉を叩く音がした。威嚇のつもりだろう。
おじさん「ごめんなさいね。ではまた明日、ゆっくりお話ししましょう」 初日の挨拶を終えて、彼は付近のコンビニまで缶コーヒーを調達しに向かった。
おじさん(……)
無人レジにカードを通して、淡々とこなす無機質なやり取りに息を吐く。安堵の息だ。 おじさん(誰かといると息が詰まる…)
おじさん(そーいや昔の上司は無人レジ見て怒ってたなぁ)
おじさん(“接客の基本はレジだ!お客様には真心を持って〜”なんて、馬鹿馬鹿しい…)
不意に幼少期が脳裏をよぎった。まだレジが有人だった時代だ。
だが、その頃には既にリーマンショックの波が──。
当時の街ゆく人々の顔色は、今日、彼がバスから眺めたあの人々のものと変わりはなかった。皆、疲れていた。
だからこそ民間心療会社だなんてくだらない商売が成り立った。国民に精神病者が増えすぎたのだ。
おじさん「はぁ……」 日本が真の経済大国だったのは半世紀前の話。そして、その時代を謳歌した大人達は、こぞって子供たちに夏の蜃気楼のような昔話に脚色を塗っては歪にして吹き込み、教育する。
「日本はいい国だった」
「昔は良かった」
「メイド・イン・ジャパンは素晴らしい」
それはいい。事実、昔の日本は米国と肩を並べて世界を席巻していたからだ。
だが、行き過ぎた脚色は次第に若者を縛り上げる鎖となった。
「俺が若い頃は足を棒にして…」
「飲むのも仕事のうちだ」
「礼儀がなっとらん」
子供たちは、昔の日本という名の虚構を再現する為に、強い日本を維持する為に心を喰われる。自分の時間を奪われ、仕事に、社会奉仕に奔走する。
果たしてこれが本当に先進国なのだろうか。 おじさん「……」
彼は、袋詰めをしながらもそんな事を考え込んで、再度ため息を吐いた。
仕事をしなければ。
日本の為なんかではなく、助けを乞う者の為に。 十千万前の砂浜。
巨像に変貌した、夜に沈む防波堤の群れを眺めながら、彼は明日からの出方を悩んだ。
おじさん(初日で無視はよくあるけど、何とか会話は最低限のリハビリをさせんとな…)
おじさん(スクールアイドルの話題は…まだ厳しそうだ。もっと他の……女の子らしい事を──)
おじさん(……)
おじさん(…女の子の大事なものを陵辱された千歌ちゃんには重い話題か…)
おじさん(…取り敢えず、俺は味方って認めてもらえるようにしないと) 治療1日目。
備考:対人関係では深刻なダメージを確認。遮断状態。意思疎通能力は見られる。 ◇◇◇
千歌(……)
彼女は何も考えたくなかった。
救いなんていらない。そんなものがあるのなら初めから用意して欲しかった。今はただ、拗ねた子供と同様に脆く傷つきやすい心がロウソクの灯火のように揺らぐだけ。
千歌(……)
千歌は、壊れていた。 そして、この薄暗い部屋で細々と生存し、やがては死んでいく。それで良かったのだ。
「高海千歌さん」
なのにある日、外から救いの手が差し伸べられて、彼女は困惑した。もう今更戻る気なんてなかったのに。
千歌(……)
けれどその救いの手は、男の声だった。
千歌(……!嫌!嫌だっ!!)
自分を辱めた者達と似た声調に、千歌は拒否した。 千歌(……っ!)
扉を強く叩いた。
すると、外の男は諦めたのか去って行った。
「ではまた明日、ゆっくりお話ししましょう」
怖い。何をされるのだろうか。千歌は身震いした。夏なのに震えが全身を駆け巡った。
千歌「……っ」
恐る恐る電気をつける。目を細めながら、千歌は男から差し出された名刺を拾った。 千歌(民間心療会社…サンカの……うぅ…分かんないや)
千歌(どうせお母さんか美渡ねぇの回し者でしょ。私なんて救っても何の解決にもならないのに…)
千歌(私は普通怪獣ですらなかったのに…)
千歌は名刺をその辺に投げ捨てる。
千歌(そうだ。どーせあの人も私に酷いことをするに違いないし…記録として日記をとっておこ) 千歌には覚えがあった。日記(記録)は、裁判における判断材料として充分役立つ事を。
千歌(あの人が何日までいるか分からないけど…なるべく外に出ちゃダメみたい。じきゅーせんってやつだね、頑張らなきゃ)
落ちている薄汚れたノートとペンで、彼女は日記を書き始めた。
千歌(えーと…日時は…?)
古い携帯端末を起動する。充電残量の警告表示を無視して日時を確認すると、引きこもってからそれなりの時間が流れていたのに気づく。
世間ではもう、夏休みだ。
千歌(……)
千歌(2035年7月21日……) 久々のペンに手元が安定しない。
そもそも人間工学的に俯瞰して見ると、ペンを握る姿勢は不自然で歪な形だ(キーボードによる両手全指を使った入力作業の方が理にかなっている)。
使わなければ案外すぐに身体は使い方を忘れてしまうものだと千歌は苦笑した。
千歌(笑ったの…というか、頭使って考えたのも…何日ぶりだろ) 7月21日
今日は民間心りょう会社の人が私の元にやって来ました。私をおそった男の人と声がにていて怖かったです。苦しかったです。
せいしんてき苦痛をうけました。 千歌(こんなのでいいかな…?)
これで勝てる。対抗出来る。
そう安心した千歌は、布団に潜って眠りに落ちた。 冒頭から読む気が起きないからお前らのレスだけ見るからよろしく こういうタイプは最後に臭いコピペ作ってくれるから楽しみ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています