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梨子「……これが海」

母方の親戚を頼りに私は生まれ育ったらしい東京を離れ
、母と共に静岡県の片田舎へやってきた

梨子「……」

私の知らない私を知ってる街に居続ける事は精神的に良くないと考えた母の計らいである

梨子「……春の海って寒いのね」

私の事を知らない町なら私はきっと自然体でいられるだろうと

梨子「……」


「だめーーー!!」


梨子「えっ!?」ビクッ

「わっ!?わわわわ……わーー!?」

ザバーン

大きな声と共に、何かが私のすぐ側をすり抜けーー桟橋から海に落ちた