穂乃果「廃校は異能で阻止するんだよっ!」
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深夜の秋葉原,大通りから2,3本外れた裏路地。
───ザアァ
その上空では不自然に雨雲が集まり、
ビルの間では雨が音を立てて激しく降っていた。
「このっ…」キィンッ
単調に降り続ける雨の中で、暗闇に紛れ不規則に動く二つの人影。そこからは刃物がぶつかり合うような音が聞こえる。
「当たらないわぁ」ザッ
「はあぁっ!」
夜道のアスファルトは雨水に濡れ、
道端に出来た水溜まりの波紋は、微かな街頭の光によって広がっていく様を照らし出される。
「…その程度なの?」シュッ
「こいつっ…」バシャッ
暴力的な雨音に混じり、水場を踏む足音がかすかに聞こえる。
「…そろそろ良いかしら」
「は…何が?」
そう問う、雨水にぬれた猫耳を付けた女と対峙しているのは、水色の仮面をつけたブロンドの少女。
離れては近づき何度も切り合う。
一息もつけない攻防の中で、
「…終わらせてあげる」ピチャ…
仮面をつけた少女はしびれを切らしたのか、腰をかがめて水たまりへと手をついた。
コオォォ…──────
地面についた手を中心にし、一瞬にして地表が冷気で包まれていく。 穂乃果が勢い良く扉を開ける!すると部室の天井と壁一面にアルミホイルが貼り付けられており、光が反射してギラギラと光っていた。
銀色のそれは隙間なく敷き詰められて部屋は異様な雰囲気をまとっている。
そして、この部屋の主はというと、このような内装に相応しく?頭全体を覆うようにアルミホイルを被っており、ご丁寧に後頭部には二つ穴が開いてそこから黒い髪が二房垂れ下がっていた。ツインテールである。
穂乃果「あれ、どこかで会いましたか?」 ??「いくら世界を支配しているからって、いきなり部屋を開けるのはどうなのかしら?」
穂乃果「え?」
海未「すみません、なんのことですか?」
真姫「イミワカンナイ」 ??「とぼけてんじゃないわよ!あんたたちのやり口はわかってるんだからねっ!?」バンッ
ことり「えーっと、やり口?」
花陽「」ビクッ
凛「かよちんがびっくりしちゃったじゃん!」
穂乃果「あの、ぶし_____
??「ああ、そう。でもね…私はまだやるべきことがあるのっ」ダッ
そう言った後に座っていた椅子の後ろの窓を手慣れた様子で開け、窓の外へ出、走って逃走! 『にこっ』
花陽「行っちゃいました…」
ことり「とりあえず話した方がいいとは思うけど」
穂乃果「おいかけようっ!」
凛「凛に任せるにゃー」
凛は女が走り去った方向へと駆け出し、
校舎の中庭へと出て左右を見たあとに加速。 『まてー』タッタッ
『待たないわよ』
『……はいっ、つーかまーえたっ』
『はなしなさいよっ』
『離すわけないにゃー』
『くっ、…あんたやっぱり組織のヤツね!』
『何のこと?』 『知ったかぶりしても無駄なんだから!』
凛「つかまえたよっ」
逃走女子を羽交い締めにして穂乃果たちの前へと持ってくる凛。
穂乃果「さすが凛ちゃんっ」ナデナデ
凛「えへへ」 ??「でもね、あんたたち甘いわよ」
その瞬間。
拘束していた身体は外側からドロッと形が崩れていき、白い煙のようなものを放出しながら蒸発?した。
凛「うえぇっ?」
穂乃果「能力者!?」
しかし、その問いに答えるべき存在はいない。
海未「…そうとしか判断するしかありませんね」
ことり「能力者さんだったのかな〜」 真姫「ここら辺は能力者多いわね」
花陽「すこし怖いです」
穂乃果「!…能力者だったんだね、もっと入部したくなっちゃったよ!」メラメラ
海未「まぁほどほどにアプローチしましょう」
ことり「そうだね」 花陽「あの〜」
一同の比較的後ろにいた花陽がなにかに気付いたのか、部屋にある棚の上に位置する壁についたアルミホイルを見つめている。
その先には僅かにアルミホイルの膨らみができていた。
花陽「周りも見てください」
良く見ると所々にアルミホイル壁の凹凸が他とは違うところがある。
穂乃果「これ、なんだろうね」
穂乃果が該当箇所のアルミホイルをペリリとめくると。 ことり「ポスター?」
真姫「もうすこし剥がしてみて」
穂乃果「うん」ペラッ
海未「これは?」
花陽「!…とあるアイドルグループのポスターです!」
穂乃果「アイドルグループ?」
花陽「そうですっ、ここら辺では割りと知られていると思います」 真姫「アイドル好きなの?」
花陽「うんっアイドルグッズとかは持ってたりするよ」
凛「凛は知ってたにゃー」
海未「しかし、なぜアイドル?」
ことり「うーん…」
穂乃果「他も調べてみない?机の中とか…」ニヒヒ
海未「それはダメですよ、穂乃果」 穂乃果「固いよ〜海未ちゃん」
穂乃果「まずはー、…おおっ日誌?これはいいかも?」
海未「固いとか言う事じゃありません、ダメなものはダメです」
ことり「おねんがぁいっ♪」
海未「…しょうがないですね。今回だけですよ、全く」
穂乃果、ことり「はぁーい」
穂乃果「見るよっ」 ____
____
真姫「それで…何か分かった?」
穂乃果「これ、途中で途切れてる」
ことり「そこで終わっちゃったのかな?」
穂乃果「あっまた再開してる」
凛「その時なにかあったのかな?」 穂乃果「読んで見たけど、途切れた前日はアイドルのライブ行ってたっぽいね」
凛「見せて見せてっ」
×月5日
今日は某アイドルのフリーライブに行ってきたわ。
思っていたより出来が良かったにこ。
諸々____
_______
______
明日はA-RISEの出待ちをしようかな。♥
_______________________ 花陽「なるほど、アライズですか分かります!」
真姫「良くこんなに書けるわね」
穂乃果「で、これがまた再開した一年前のやつだよっ」
海未「少し背徳的ですね」ワクワク
ことり(うみちゃん…) ×月13日
やはりUTXには何かがあると思う世間には公表できない何かが。
きっとフリーメイソンという組織の傘下にあるのは間違いない。
AーRISEのAはまさしく、あのマークだ。この世界を牛耳らせる訳にはいかない。
諸々____
_______
______
結果、電磁攻撃あるいは思考を読み取られないようにアルミホイルを頭に被ることにした。
_______________________ 真姫「ぶっ…」プルプル
花陽「ひっ!怖いです…」
凛「大丈夫だよ。かよちん」サスリサスリ
ことり「妄想?」
海未「なんですかこれは」キラキラ
希「今どんな感じ〜?」ガラッ
穂乃果「あ、希先輩っ見に来てくれたんですか?」
希「まぁな、ちょっと心配やったし」
ことり(大丈夫って言ってたけど心配だったんだね…) 海未「あの、恐れながら日誌を拝見させて頂いていたのですが、にこ先輩に何が?」
希「…ちょっと見せてな」
ことり「どうぞ」
希「ふむふむ…」
希「まぁやっぱりこの時期になんかあったんやろな」ペラ
真姫「アイドル関係で何か?」 希「せやな、…昔にこっちは、ここにも書いてあるようにアイドルを目指したり、追っかけをしてたんや」
凛「へーっ」
希「でもある時にパタンと学校に来なくなって、どんくらいかな。一週間くらいでまた学校に来たんやけど、様子が変でな…」
ことり「それでどうしたんですか?」
希「今までと違って、それからはアイドルの話なんて一切しなくなったんよ。まるでアイドルに不信感を抱いてるような感じで…と言ったらいいんやろか」 花陽「そんな事が…」
真姫「その時期になにかがあったのは間違いないわね」
海未「アイドル関係でしょうね…」
希「あ、あとそれから段々と違う方向にも、おかしくなってきたんや」
希「…組織とか、アルミホイルとか…」 真姫「……うーん、それ軽度の統合失調症になっちゃってるのかも…」
穂乃果「なにそれ?」
真姫「精神病の一つよ」
真姫「この記録のない期間によほどショックな事があったのかもしれないわね」
穂乃果「そうかもしれないけど、戻すにはどうしたら良いの?」
真姫「うーん……統合失調症確定ではないけど、違うとしてもその不安材料?を取り除けばなんとかなるかも…」
花陽「アイドルが好きそうでしたし、それ関係かも…」
希「その線はあるやろな」 ことり「たしかに色々アイドルの追っかけとか、出待ちもしてたみたいだし」
凛「それで決まりにゃ!」
穂乃果「それだね!理由はほぼ確定っ!…でもさ。どうやる?」
花陽「アイドル関係かぁ…」
海未「おそらくそうでしょう」
希「色々、不安とかも取っちゃえばいいんやない?」 穂乃果「おおっ、良いね!」
真姫「うーん…まぁ、とりあえずやってみれば?」
穂乃果「じゃあ明日、{にこ先輩}奪還計画開始っ!!」
希「よろしく頼んだで、」 ─────
穂乃果「にこせんぱーいっ!」
にこ「げっ昨日のヤツら、三年生のクラスまで来て何のつもりよ!」ダッ
穂乃果「私はあなたの仲間です」スッ
にこ「え?…」
にこ「いきなり仲間って言われ───
海未「見てください、皆のこの頭を!」
にこ「アルミホイル…」ハッ
にこ「ふーん、…わかってるわね。あんたたち」 凛「電磁攻撃から身を守るためにゃ」ビシッ
ことり「少し部活動について聞かせて貰えませんか〜?」
にこ「ふふ、いいわ少しだけ私の部室を案内してあげる。ついてきなさい」
穂乃果「気になったんですけど、UTXのアライズについて何かあったんですか?」
にこ「アライズ?!」
花陽「何か知ってるんですね?」 にこ「もちろんよっ悪の組織だったの、おそらく影でフリーメイソンと繋がっているわ」
真姫(アホね)
にこ「色々にこが調べて見たんだけど、とてつもなく強大な計画が動いているわ。ヤツラは陰謀を企てているの」
穂乃果「私もUTXの陰謀はあると思います、音ノ木坂学院と生徒数もほぼ似てましたし」
にこ「そうよね、他にも沢山あるの。知ってる?ARISEのAはあのピラミッドの形とも酷似しているのよ、」
穂乃果「おおっなるほどぉ!」
にこ「…でしょ?」ニヤ にこ「っとついたわね、あれ。あの扉に張ってたアルミホイルは?」
海未「剥がれちゃったんじゃないですかね」ハテ?
にこ「なら、また張らないとね」ガチャ
扉を開けると天井と壁一面に張ってあったアルミホイルはすべて剥がされており、元々張ってあったアイドルのポスターのみが壁に張り付いていた。 部室内は昨日のようなまがまがしさはなく、華やかな雰囲気を醸し出す。
今までアルミでおおわれていた棚の中のアイドル関連グッズも露になり、元々のアイドル研究部を取り戻したように見えたが。
にこ「うっ…これは………ねぇ、あんたたち何したのか分かってんの?」ギロッ
にこ「私の仲間なんじゃないの?…勝手に人の部室に入って勝手に防御壁剥がして!!、何のつもりよ!!出ていきなさい!!!」 穂乃果「…アイドル、好きなんですよね?」
にこ「っ…なんでそうなるのかしら」
花陽「こんなにグッズを並べるなんて嫌いじゃできませんっ」タナ ユビサシ
にこ「それは敵の情報を集めるためよ」
海未「ならグッズは必要ですか?」
にこ「証拠品よ…」 ことり「こんなにアイドルのポスターが張ってあって…」
にこ「…」
凛「アイドルかわいいにゃー」
にこ「…」
真姫「強情ね」
花陽「伝伝伝こんなに集めている人がアイドル嫌いなわけがありませんっ!」 にこ「…でもっ」
穂乃果「良いんだよっ!!」ダキッ
穂乃果「もし、何かあっても。私たちがいるんだ!私たちが守るっ!!アイドルを好きで良いんだよっ!!!アイドルが酷いことするわけないじゃないですかっ!なんでそんな事をしたのか、理由があるはずですっ!!信じて!もう一人じゃない、私たちは仲間なんだよっ!!!」
海未「私も能力持ちですから、」フッ 穂乃果「だから、私たちをアイドル研究部に入部させてくださいっ!!!!」
ことうみまきりんぱな「「「「「お願いしますっ!!!!!」」」」」
にこ「…」
にこ「……」ウル
にこ「…」ゲシゲシ
にこ「…ほんっと、しょーがないわねー。」
にこ「……私、…なんで頭にアルミホイルなんかつけてるのかしら」
穂乃果「なおった!?」
真姫「成功ね」 にこ「でも、本当にいいの?」
にこ「私の部活に入ったら、アイドルについて調べていく事になるわよ、あんたらの目的は廃校阻止らしいじゃない」
穂乃果「…それって、A-RISEの事ですよね。私達もA-RISE、UTXについて調べているんです」
にこ「UTX、A-RISEが廃校に関わってるって?」
穂乃果「そうですっ!」 にこ「………フッ…まぁ悪くないわね」
にこ「良いわ、あんたらの入部を認めてあげる。最後に言うけど、危険よ?」
穂乃果「はいっ!分かってます」
にこ「私はなんでアイドルの頂点に立つA-RISEがあんな事をしてたのか、分からない。でも…そんな事をしてたのには理由があるはず。」
にこ「にこはそう信じてる。……だから…その理由を知るためにはどんなことだってやるわ。…」
穂乃果「…なるほどっ」
にこ「あんた達に、その覚悟は…ある?」 【生徒会室】
絵里「えーっとここは…」カキカキ
希「…」
絵里「…ふむ」
希「えりち、見て…」
絵里「…何?」
希は生徒会室の窓から、立ったまま外へ視線を向ける。
絵里「希?」
希「雨、止んでる」
そしてその先では今までの天候をかき消すかのように、雨雲の割れ目から差し込まれた幾つかの陽光が煌めいていた。 次からは雑談も交えながらのバトル回に入ります。展開とか能力で質問あったら答えます。 第6話「相手は誰だ?」前編
海未「学校の廃校阻止について、かなりの暴論ですがとりあえずUTXを調べると…」
海未「で、方法についてですが。何かありますか?」
穂乃果「うーん…尾行とか?」
凛「…見つかりそうにゃ」 真姫「誰か捕まえちゃう?」パンサー
花陽「ええっ?」
ことり「止めた方がいいかも…」
真姫「…冗談よ」
にこ「そうね…UTXに乗り込むわけにもいかないし…。次にアライズのライブをやる場所で何か掴むとかしかないわね」
海未「それしか無いですか…」 にこ「…今、会場を調べるから待ってて」カタカタ
海未「すみません、にこ先輩」
にこ「なんか先輩って煩わしいから先輩禁止で」
穂乃果「雜っ」
にこ「あーここか、」
穂乃果「どこどこ?」
にこ「ビルの中に巨大なステージがある所よ、結構設備は揃ってるみたいね」 花陽「ビルの中ですね…」
にこ「アライズ…」
にこ「なにがあるかわからないし、行くとき護身具とか持ってったら?」
ことり「そんなに危険なの?」
にこ「一応よ、べつに持ってかなくてもいいけど」
真姫「私はパパにもらったムチを持ってくわ。あっ…そういえば前に言ってたグローブ使い方が分かったわよ」
海未「ほんとですか?」 真姫「そうよ、それと私にGPSのお守りもくれたの」フフン
真姫「なんでこんなにぶ厚いのか知らないけど…何か穴開いてるし。」
凛「早くグローブ出すにゃー」
真姫「……聞きなさいよ、で。例のグローブなんだけど…」ゴソ
凛「あーっこれミッションインポッシブルで見たことあるかも」
真姫「まぁ機能は違うけど、デザインは確かに似てるところはあるかもしれないわね」 真姫が取り出したそのグローブは下地が黒色の化学繊維で作られており、
手の甲についている正方形の薄い装置からは、指先一本一本にかけて細い半透明の青いラインが通っていた。
花陽「これ何?真姫ちゃん」
真姫「手の甲の機械で高周波を発生させる、名づけるなら高周波グローブね。」
海未「おぉ…」(カッコいいです…) 真姫「はいこれ、海未にあげる」
海未「ええ!?こんな高価そうな物もらっていいんですか?」
真姫「いいのよ、多分海未が一番活用できると思うから」
穂乃果「なんで?穂乃果もほしいよっ!」
真姫「あげないわよ。海未、前に家に日本刀があるって言ってたでしょ?そのグローブはめれば、かなり切れ味が上がるはずよ。」
海未「ありがとうございます真姫、あなたは最高ですっ!」
真姫「まぁ私じゃ使えないし、捨てようと思ってたぐらいだから気にしなくていいわよ」// 海未「恩に着ます、真姫」
凛「いいなー」
にこ「…はいっ、聞いて。じゃあ、ライブの日付は三日後よ。」
ことり「ちょうど午前授業の日だねっ」
にこ「にこも色々調べとくからあんたらも用意してなさい」
ことり「チケットはどうするの?」
真姫「無料の席と有料の優良席があるみたいだけど、行くだけだし必要ないでしょ」
海未「分かりました」 穂乃果「穂乃果、それまで何してよう?」
ことり「休憩とかかな?」
花陽「ライブを見る用意もしていいですかっ?」
にこ「…許可するわ」
花陽「了解しましたっ」
凛「凛は特にないにゃー」
真姫「三日後ね」 _____________
真姫「思っていたより立派な場所ね、ここ」
花陽「真姫ちゃん当たり前だよっ。あのARISEなんだから」
真姫「…確かにそうね」
アイドル研究部4名は秋葉原から少し離れたビルを訪れていた。 彼女らが制服のまま、たっている場所はロビー、そこはライブが始まるまでの待機場所である。
地上から7階程上がった所にあり、僅かにある窓からは他ビルの広告板が見えた。
そして、その真上はライブ会場として4階分ほどスペースをとり、その上は会場管理室、さらにその上からは事務所、オフィスが閉めているというのがビルの内部構成であった。 一同はロビー内の壁際にある、布で覆われた円柱状の椅子へと並んで腰をかける。
真姫「あれ?にこちゃん達はまだなの?」
花陽「にこちゃんと凛ちゃん今日、先生に職員室に呼ばれちゃったみたいで、待つって言ったんだけど…」
ことり「優しいよね、アイドル好きの花陽ちゃんのために皆に先に行ってていいよなんて」
花陽「聞いてたの〜?ことりちゃん」
ことり「聞いちゃいましたっ♪」
真姫「穂乃果は?」
ことり「穂乃果ちゃんも呼ばれてたみたい」 海未「…もしかしてこの前の定期試験の事ですかね?」
ことり「どうかなぁ?」
海未「全く…」
真姫「ねぇ、いつごろ始まるんだっけ?」
花陽「あと1時間位かな」
真姫「…長いわよ」
花陽「そう?以外と早かったりするよ」 真姫「そういう物なのかしらね」
海未「瞑想でもしてましょうか」
ことり「いつ頃みんなここに来れるかな?」
真姫「適当に待ってれば来るでしょ」
花陽「まぁ心配しなくても良いと思うよ?」
海未「」 海未「」👀
海未「…何か騒がしくありませんか?」
ことり「そう?」
花陽「準備してるんじゃないかな」
真姫「また事件とか勘弁してほしいわよ?」
海未「……五感をあげましたが、異常な騒がしさです」
真姫「はぁ…」 花陽「だんだん私にも聞こえて来ましたっ」
ことり「あっ」
ことりが向かいの壁へと視線を泳がせていると、横目にロビー端の階段から数人が焦った様子でかけ降りて行くのが見えた。
ことり「見てっ…本当に何かあったのかも…」
真姫「…ねぇ…どうする?」
花陽「何もないんじゃないかな…」
真姫「一応見てきた方がいいんじゃない?」 ことり「有事じゃないといいけど…」
海未「勘違いであることを祈りましょう…少し上の様子を見てきます」
花陽「…もし何かあったらどうするんですか?」
海未「どうするもなにも、元々は情報収集が目的でしたからしょうがないです」
ことり「そうだね…」 真姫「一人じゃ危ないわ、私も行ってあげる。待つのも疲れたし」
海未「有難うございます」
ことり「私も行きたいっ」
花陽「花陽もですっ」
海未「すみませんが、私たちだけで大丈夫だと思いますので二人で行かせて貰います」
真姫「大人数でいってもしょうがないし、後からにこちゃん達も来るから待っててあげて。」 花陽「わかった、皆が来るもんね」
ことり「じゃあ、花陽ちゃんとお話してるねっ」
海未「はい…待っててください。上まで見てきますから」
真姫「行ってくるわね」フリフリ
海未「では二人供ここで待っていてください。無いとは思いますが、もし避難指示のようなものが出た場合は早急に逃げてください」
ことり「海未ちゃん達がまだいるのにそんなこと出来ないよ」 花陽「私達の事は気にしなくてもいいよ」
海未「しかし…」
花陽「後から凛ちゃん達も来るし大丈夫」
ことり「そんな危ないことはしないし、それに何もないんじゃない?海未ちゃん」
海未「…」
真姫「私はそれでいいわよ。心配しなくても二人なら臨機応変に対応できるんじゃない?」
海未「…危険な事はしないで下さいね。では、」 ことり「気を付けてね」
花陽「また後で〜」
花陽「…行っちゃいましたね」
ことり「お話でもしてよっか」
ことり「かよちゃんはいつからアイドル好きなの?」
花陽「小さい頃からです、キラキラしててとっても素敵だから憧れちゃいます」 ことり「そうだよね、今はARISEかなり人気だしね」
花陽「はい、ここの有料入場券の倍率、凄かったらしいですよっ」
ことり「そうなんだぁ……。そういえばさ、能力者って数年前位かな?出てきたの」
花陽「はい…凛ちゃんのも中学生のころに気付きました。」
花陽「ある日一緒に走ってたらいつの間にかものすごく遠くへ行っちゃってて…」 ことり「そうなんだ〜海未ちゃんもn──────
「「>♪〜<」」
「ARISEの今回のイベントは誠に申し訳ありませんが、急遽中止とさせていただきます」
「払い戻し等については後程インターネット上に掲載する予定です」
「代替措置については必ずご用意させていただきますので、速やかにお帰りください。」 ザッ
ツバサ「当グループARISE一同からも謝罪させていただきます」
ツバサ「今回の件については必ず後で埋め合わせいたしますので今回はどうかお帰りください」
ツバサさ~ん キャー ダイテー
花陽「ツバサさんが出てきた?」
ことり「やっぱり、何かあったみたいだね…」
花陽「うん…」 ことり「海未ちゃんたち頑張ってるんだし、私たちもここで待ってないと」
花陽「そうだね」
「あちらのエレベーターか階段からお降りください」
キャー アクシュシテー
ツバサ「とりあえず避難してからと言うことでいいかしら」ウインク
コッチミタワ キャー ハイッ 花陽「見つかったら連れ出されちゃいますっ」
ことり「ここに隠れられるかも」ゴソゴソ
キャー
ツバサ「こっちに来てくれる?」
ドコマデモッ カッコイイー ツイテキマス
─────────────── 海未と真姫の二人は各階を確認し、歓談しながら階段を上へ上へと駆け上がっていく。
真姫「所で、海未は何か持ってきたりしたの?」
海未「はい。真剣というわけには行きませんでしたが」チラ
真姫「木刀ね、あのグローブは?」
海未「さすがに木刀では使えないと思いましたので」
真姫「…まぁそうね」 真姫「あれ、海未の能力ってなんだっけ?」
海未「身体感覚能力上昇ですよ」
真姫「早口言葉?それ。」
海未「ちがいますよ、五感と筋力反射神経もろもろが上がるんです」
真姫「そうなの」チラ「……この階も何もないわ」
海未「今のところ特に変わった場所はないですね」 真姫「いい調子だわ」
海未「何も無いといいのですが…」
海未「所で、凛と花陽とは仲がいいんですか?」
真姫「なんで?」
海未「一年生ですし、よく会うのではと思いまして」
真姫「…まぁそうね」
海未「ふむ……この階は…」
海未「ちょっと見てください」チョイチョイ 真姫「何?……ハァ…案の定、見つけちゃったわね、行きましょ」テクテク
海未「見つけて良かったと言った方が良いのか、悪いのか…」扉バタ
彼女らが踏み入れた先は一般的なオフィス。
パソコン等がのった長方形の白い机が適度な感覚を開け、碁盤目状に並んでいる。天井の散水機からは水が霧状に放出され、デスクの上に散乱していた書類は水でにじむ。
オフィスチェアは無造作に横へと倒れ、足のローラーがカラカラと音を立てていた。
海未「スプリンクラーが作動してるようですね」キョロ 真姫「結構ぬれるものね…これ、止まらないの?」ピチャ
海未「どうでしょうね、いつかは止まると思いますが」
真姫「あれ?誰もいない?」
────シン 海未「…いや、奥にいますよ」
奥、窓際では淡い青色の仮面をつけた女がこちらを向いていた。
その仮面は顔全体を隠し、どこか冷徹な印象を抱かせる。
「…」
真姫「かなりの不審者ね…」グッ
海未「目的は情報収集ですよ真姫」
真姫「…大丈夫よ」
海未「何をしてるんですか?」 「」
女は無言で濡れた手を二人に向けて振り払うと、親指ほどの氷塊が指先一本一本からとんだ。
真姫「氷?」ボッ
それらを真姫は能力による炎を放出して受け止め、白いもやが上がる。
真姫「いきなり、なによ」
海未「話す気は無いようですね。どうしましょうか」 真姫「やるしか無いんじゃない?」
真姫「……私と相性が良いと思うわ、行かせて」
仮面女は水を手にまとわせて氷塊を放つ。
海未「隙を見て私が攻撃します」サッ _______
オフィスの真ん中で対峙する二人の能力者。
様子見で真姫は相手へジャブとばかりに炎を放つが、仮面女が手をかざすとその火は消える。
真姫(手周囲の温度を下げたのかしら、連続してやってみる?)
今度は3回ほど連続して両手から交互に炎を撃つ、右手で胴、胴、最後に頭へと目がけて。 それに対して、仮面女は一撃目の炎を手で殺し、
二撃目は手のうちに氷を形成し炎へとぶつける、溶解熱を利用して消滅。
白い靄が上がる。
「…」ボワッ
「…」タタッ
徐々に真姫と距離を詰める仮面女は、最後の炎を左前へと上体をそらして回避、
「…」サッ
一歩進み踏み込んでから、右手で真姫の首をつかまんとするが
海未「真姫っ」
海未の木刀がそれを阻み、真姫はとっさに首へと微かな違和感を感じたために後ろへと下がる。 真姫「ごめん…ちょっと休ませて…」
首をおさえながら真姫は比較的離れたオフィスの椅子へと向かった。
海未「大丈夫です、任せてください」
海未「…さて、私に代わりましたが今だ話す気は?」
「……。」
その問いにもあくまで答えず。 海未「それは…?」
気が付くと仮面女の真っ直ぐに揃えられた両手の指先では、氷が半透明のパルチザン尖端を形成していた。
海未「…」
海未「…それでは行かせて頂きます」
窓際に不敵に立つ仮面女を見据え、両手で持った木剣を斜めに構えた。
海未「…」サ
※パルチザン
http://tinyangel.jog.client.jp/Arm/Partisan.html 海未「……」ブン
海未は木刀を振り上げ、大ぶりな軌道を描いて女へと正面から振るう。
もちろん女は討たれるわけもなく、片手で受け流し、
「…」サッ
もう片手の氷剣で海未に反撃。
「…」シュッ 海未はその行動を持ち前の反射神経を活かし、刀剣でいなす。
氷と木がぶつかるガギンという鈍い音が響く。
…
……
…
仮面女は氷の礫を徐々に戦術へと織り交ぜていった。 パソコンや書類が並ぶ中、
拮抗した実力の斬撃をお互いに繰り返し、切り合う。だが、やはり繰り返される氷塊による手数でのアドバンテージか、海未は力では多少勝っているものの押され気味である。
「…」ブンッ
海未(能力を使用する戦闘にかなり経験があるようですねッ)
海未「…ッ」ギリギリ
そのため戦闘の最中、海未は女の指先から氷が飛ぶたびに、後ろへと下がりながら戦うしかなかった。
海未(…このままでは不味い、) 海未「…」ブゥン
「…」ガギッ
「…」シュッ ヒュン
海未(また氷の礫…)サッ
海未「うっ」ゴン
後ろへと足を擦って移動するが気付けば背後にガラス壁が迫っており、海未はこれ以上下がることは叶わない状態に。。。 「…」ヒョイ
それを見て、仮面女は地面に落ちていたペットボトルをさっと拾い上げる。
そして手に持ち仮面女は、
海未へ、ペットボトルと氷塊とで左右に分けて同時に投げた。
海未(子供騙しですか?)ブン
それを海未はペットボトルの方向へと避けて、刀で分断。
(…かかったわね) 海未の木刀からの圧力に耐えきれず、ペットボトルが内容物を吹き出す。
海未「…」ビシャッ
そのため、中身の液体がこぼれ出て海未の顔にあたる。
「…」スッ
そこに女がすぐさま近より、顔にさっと手をかざすと、顔面の液体が凍り始めて海未の視界を奪う。 海未(冷、顔全体の感覚が有りませんっ)パキパキ
「」ニヤリ
防御力。諸々が下がった海未の身体へ、仮面女は半回転して渾身の後ろ回し蹴りを腹部へと食らわせる。
海未「うぐっ」ドスッ
腹への衝撃を受けた海未は、うめき声を上げて体をくの字に曲げる。
「ダスビダーニャ…」ググッ
海未「…このっ」ギロッ 海未は蹴られた勢いで、手足を前に向けながら、
「…」ズンッ
海未「…うぁっ」パリイイィィィン
背中からガラスを突き破って、外へ飛び出る!
真姫「…海未っ!?」
奥に下がっていた真姫は派手なガラスの割れる音に何事かと顔を上げ、この状況を確認するように叫ぶ
海未「…っ」
真姫の叫びとガラスの割れる音を聞きながらビル高層階より、中空へと放り出された海未は、
「……」フッ
重力に従ってガラスと水滴を伴って、なすすべもなく、回転するように地面へと落ちていった…
海未「」パラ…パラ…… 第7話「相手は誰だ?」中編
真姫が派手な音に何が起きたか、と面をあげると奥のガラス壁が大きく割れており、そばには仮面女。
真姫「海未はっ!?」
しかし、そこいたはずの海未の姿はなかった。 真姫「…」
真姫は少し首をさすったあとに女へと駆け、あえて使っていなかったムチを取り出してふるった。
真姫「…焼き切ってあげる」ブンッ
女は手の氷剣で受けとめたようとしたが、ムチによって溶け切れてしまう。しかし、それに気づいたのか女は運よくムチをかわしきる。
すぐさま下がってから氷を放つが、真姫はそれを溶かし切る。 そのあとすぐさま真姫のムチによる連撃。
真姫「効かないわよっ!」ビュンッ
「…」サッ
真姫「くらいなさいっ」シュルッ
「…っ」サ
真姫「…このっ」シュ
「…」サッ
真姫「ちょこまかと…」シュッ
「(鬱陶しいわね…)」サ 真姫「ふっ」ブンッ
「(アブなっ)」…サッ
真姫の攻撃を回避する以外の方法が見当たらない女は、段々とフロアにおいてあるいくつかの机を横目にしながら奥へ追い詰められていく。真姫にとっては良いことに、対処法が見つからない以上、仮面女はどこかのタイミングで鞭に焼切られてしまうのは明白だった
真姫「ふんッ」ビュ
「…」ゴンッ 真姫「何よそ見してんのよっ!」
「…」アブナッ
「…これは……」
(ゴルフクラブ……鉄製の棒ね…)
「…」ニヤ
真姫「…」シュッ
「…」ヒラリ 真姫「…は?」シュルッ
そして女は奥にあったゴルフバッグからクラブをとりだし、それを手のひらでしっかりと握りしめると────
真姫「無理よっ!」ビュッ
真姫のムチを受けた
「…」フ
そのクラブは溶ける事はなく、ムチはクラブにしっかり巻き付いてしまう
真姫「えっ!?」
「…」シュルル
女がクラブを引くとムチは真姫の手から離れていく
真姫「あっ…」 「…」ダッ
直ぐに女は剣を生成すると真姫へと迫って切り上げ
真姫「」サ
真姫はそれをすんでの所でかわす、
真姫(…鞭がなくなった今、近付いて戦ったら負けしかない。隠れるか距離をとらないと。でも、能力を使おうにも体力もなくなった。)
「…」ズ…
真姫(これは…厳しいわね……) ことり「私たち以外、お客さん全員避難したっぽいね」
花陽「良かったです〜」
避難指示にしたがわないために、ロビーの端の椅子がまとめて置いてある場所へと隠れたことぱな。
花陽「あっちの方から誰か来ましたっ」サッ
英玲奈「あんじゅ、我々も帰るぞ」カツカツ
あんじゅ「え〜、私たちはいいんじゃない?」コッコッ 英玲奈「本部に連絡はしたんだから、でしゃばる必要はない」
あんじゅ「でも直ぐ終わらせられると思うんだけど…」
ことり(終わらせる?)
英玲奈「そういう問題じゃないんだ、あんじゅ」
あんじゅ「行かないの?」
英玲奈「行って我々が能力を使っているところを写真にでも撮られたらどうするんだ」
あんじゅ「そんなこと無いわよ」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています