「──好きにしていいよ、私のこと」
 
ブラジャーとパンティだけの下着姿になった梨子ちゃんが、顔を赤らめながらも宣言した

部活の練習や体育の授業で彼女の下着姿なんて何度も見てきたというのに、「好きにしていい」と告げられるだけでこうもわたしの中のケダモノが昂るものか
 
「黒って……嫌味かよ」
 
「今でも私は善子ちゃんのモノです」という当て付けとしか感じられなかった

まるで真紅のマントを見せられた闘牛のように頭に血が上ってくる
 
「そんなつもりじゃ──」

「わたしは未だに梨子ちゃんのこと忘れられないでいるのにっ!」
 
こちらからは弱みを見せなくなかったのに、つい本音が零れてしまった
 
「千歌ちゃん……」
 
梨子ちゃんが両目を細め、わたしを憂うような表情を見せる
 
「わたしの時間は、あの時止まったままなのに」