【SS】 AZALEA : DIVE TO PLANET
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─ とある星 ─
ザザッ… ザザザッ…
……至急…応答せよ……こちら、○○…
…こちら、○星……応答…
フッ
“…………着いたな”
“……ほう、ここには文明があるのか…これが……ん?”
“…アレは、なんだ……? 他とは明らかに異質だな……”
“………成程、面白い……少し、興味が出てきた…”
“…決めた……【核】はこれにしよう……それと”
“…よし、これでここにもう用はない”
“次の星に、向かうとしましょうか”
ヒュンッ
ゴーッ ゴーッ …… ─
ダイヤ「ふわぁ〜……」
果南「あっ、おはようダイヤ、よく眠れた?」ガチャ
ダイヤ「ええまあ、それなりには……果南さんは?」
果南「私? えーっと、早く起きすぎちゃったからちょっとそこら辺走ってた」
ダイヤ「はあ!?」ガタッ
果南「えっ、なに?」
ダイヤ「なに? じゃありません! あれほど単独行動はやめてくださいと言ったじゃありませんか!」 果南「いやあ…そう言われてもさ、日課みたいなものだし」
ダイヤ「ここは! 私たちがよく知っている内浦ではないのですよ! 先日それを貴女も実感したはずでしょう!?」ズイッ
ダイヤ「それなのによくもまあ翌朝から……!」
果南「わかったわかったよ! 控えるから! あー…ほら、朝ごはん食べようよ? ちょっとは落ち着けるかもよ」
ダイヤ「誰のせいだと…はぁ……花丸さんからも何か言ってあげてください」
花丸「……」サラサラ
ダイヤ「…花丸さん?」
花丸「え? ああ、朝ごはんだよね? うん、マルもすぐ行くから少し待ってて」 ダイヤ「いえ、そっちの話ではなく…」
果南「わかった、じゃあ先行ってるね、行こダイヤ」グイ
ダイヤ「はい!? いやあの、お二人ともお願いですから私の話を……ああぁぁぁ……」ズルズル
花丸「…こう、かな? うーん、本を読むのは好きだけどいざ自分が書くとなると難しいなあ……」トントン
花丸「うん、とりあえずこのくらいにして…マルもそろそろ行かなくちゃ」パタン
ガチャ ─
皆さんはじめまして、国木田花丸です
最初のあの出来事から早くも二日が経って、少しだけ今の状況に慣れてきたけど
やっぱりまだ不安は残っていて、これから先の生活がちょっと心配です
頼りになる先輩はいるけど、ここは分からないことばかりだし…どうしようって …あ、ごめんなさい、マルたちのことをまだ教えていなかったね
さっきも言ったけどマルの名前は国木田花丸
それと、マルの他に一緒に行動している仲間が二人いるんだ
その人たちが黒澤ダイヤさんと松浦果南さん
とっても頼りになるマルの先輩ずら えっとね、マルたちは三人とも浦の星女学院って学校の生徒で、スクールアイドルをやっているの
これを今読んでいる人はもしかしたら、スクールアイドルってなに? って思っているかもしれないけど
そこを話すと長くなっちゃうから、説明は割愛させてもらうずら
ただ、それ自体は少なくともマルたちの間では、さほど珍しくもないし特別でもないってことだけは一応伝えておくね
そして最後に、マルたちの出身地は地球です …あの、多分これを見て驚いてるよね
うん、分かるよ、形は違うけどその気持ちはマルたちも同じだから
だけど、これは本当のお話
そう、マルたちはこの星に住んでいる人じゃありません
もっと遠くの、別のところから、やってきたんです
【 第1話 】 Welcome To Planet! 事の始まりは、遡ること三日前
その日、マルたちはスクールアイドルAqoursのみんなと一緒に天体観測へ
つまり星を観に行ってたの
いつもと変わらない日常、みんなで過ごす時間
この一日もそうなるはずだった…でも ─
千歌・曜「着いたーっ!!」タンッ
梨子「わあ…綺麗な場所だね」
果南「都会と違って何もないかもしれないけど、こういういいところだってあるんだよ」
果南「東京じゃ中々見れない景色でしょ?」ニコ
梨子「はい…本当に」 ダイヤ「しかし見事に晴れましたわね…満月まで出て」
鞠莉「うーん! 絶好の観測日和ね!」
花丸「善子ちゃん、晴れてよかったね」
善子「な、何がよ」
ルビィ「クスッ、一生懸命てるてる坊主作ってたもんね」
善子「いや、あれは別にそういうのじゃないし…」
花丸「相変わらず素直じゃないずら」ニヤニヤ
善子「うっさいわねもう!」 ダイヤ「─それでは各自観測ポイントを探してみましょうか、とは言ってもあまり離れすぎないように」
「「はーい!!」」
─
梨子「どこにしよう……あっちかな…それともこっち?」ウロウロ
善子「リリーがあんなにそわそわしてるの初めてみたかも…」
鞠莉「そうね、たださっき果南も言ってたけど都会のほうじゃあまり経験出来ないことだもの、浮かれるのも分かるわ」
鞠莉「まあそれを取ってもあの楽しみよう…フフッ、梨子ったら可愛いわね」
梨子「善子ちゃん、鞠莉さん、どうしたの? 早くいきましょうよ」
鞠莉「ほら善子、リトルデーモンが呼んでるわよ? 私たちもあっちへ行きましょう」クスクス
善子「…ま、いいけど? たまにはこういう関係も悪くないしね」フッ ─
千歌「いやあ今日は星が綺麗だね−!」
曜「うんうん! すごい開放感だよ−! ね、ルビィちゃんもそう思うでしょ?」
ルビィ「えっと、それは分かるんだけど…」
千歌・曜「?」
ルビィ「どうして二人はそんなところで寝転がってるのかなぁって…」
千歌「え? 一回やってみたかったから」
曜「右に同じであります!」 ルビィ「でも、せっかく望遠鏡とか持ってきてるのに」
曜「そうかもだけど、これはこれで気持ちがいいよ!」
千歌「そうそう! ルビィちゃんもこっちにおいでー! やってみたら分かるから!」ポンポン
ルビィ「えっと…じゃあ」ポフッ
キラッ
ルビィ「……あっ…」
曜「ね? いいでしょこういうのも」
ルビィ「はい…すごく、綺麗です…」ニコ
千歌「えへへ、よかった!」 ─
ダイヤ「果南さん、いい場所はありましたか?」
果南「うーん、全部」
ダイヤ「またそんな当てにならないようなことを…」ハァ
果南「いやいや本当だって、でも強いて言うならあっちのほうかな?」ユビサシ
ダイヤ「ふむ、ではそちらに移動しましょうか」
ダイヤ「花丸さんを呼んできますから少し待っててください」
果南「まってダイヤ、私も一緒にいくよ」 スタスタ…
果南「あのさあダイヤ」
ダイヤ「なんですか?」
果南「ん、いや、大したことじゃないんだけど」
果南「なんか、懐かしいなあって」
ダイヤ「果南さん、お願いですから主語を入れてください」ハァ
果南「あはは、ごめんごめん…えーと、この時間が…かな?」 ダイヤ「時間?」
果南「ほら、今まで結構忙しかったからさ、中々こういった形でみんなが集まることなんてなかったじゃん」
ダイヤ「確かにそうですわね」
果南「だから懐かしいなあって、星を観にいったのなんて子供の頃以来だし」
果南「久々になんか、こう、うずうずするっていうか…」
果南「凄く楽しいんだよね!」ニコッ
ダイヤ「…そうですか」クス ダイヤ「─あっ、見えてきましたわね」
果南「ほんとだ、おーい花丸ちゃーん!」
花丸「……」
果南「あれ? 聞こえていないのかな?」
ダイヤ「もっと近いところで呼んでみたらどうですか?」
果南「そうだね」タッ 花丸「……うーん」
果南「花丸ちゃん、花丸ちゃんってば」
花丸「……」
果南「……」
果南「よっ」ガシッ
花丸「わあぁっ!? な、なんずらあ!? ……って、あれ?」
果南「あ、やっと気づいた」
ダイヤ「とはいえ、少々驚かせすぎでは?」スタスタ
果南「えー、だってさあ」
花丸「果南さん、ダイヤさんも……ごめんなさい、気づかなくて」 果南「いいよ別に気にしてないから、ねえダイヤ?」ナデナデ
ダイヤ「ええ、特には」
花丸「そっか…それで二人はマルに何か用があったの?」
果南「ん、いい観測場所が見つかったからそっちに移動しようと思ってね」
果南「それで花丸ちゃんを呼びに来たわけ」
花丸「そうだったんだ、ありがとう」ニコ
ダイヤ「しかし、随分と考え込んでいたようですが…何かあったんですか?」
花丸「うん、ちょっとね…望遠鏡が落ちてあって」 ダイヤ「望遠鏡?」
花丸「ほら、これ」ハイ
果南「ホントだ、誰かの忘れ物かな?」
ダイヤ「三脚や台も見当たりませんし、その可能性はありますわね」
花丸「この望遠鏡をどうしようかなあって、さっきまで考えていたの」
ダイヤ「成る程、そういうことでしたの」
果南「うーん…でもこれだけ忘れて帰るなんてことあるのかな?」
ダイヤ「忘れ物かと言ったのは果南さんでしょう…」
果南「いや、そうだけどさ」
花丸「……」スッ ダイヤ「花丸さん?」
花丸「あ、えっとね」
花丸「やっぱり、せっかくだからちょっとだけ覗いてみようかなあって」エヘヘ
ダイヤ「それを?」
花丸「うん」
花丸(どうしてか、すごい気になって……)
果南「あっ私も見たい、あとで貸してよ」
花丸「うん、いいよ」
ダイヤ「果南さんまで…」
果南「いいじゃん減るもんじゃないし、ダイヤもどう?」 ダイヤ「結構です、私はそれが使えるとは思っていませんし」
果南「なんで?」
ダイヤ「だってよく見たらその望遠鏡、ファインダーがついてませんもの」
果南「え? …本当だ、やけに真っ直ぐだなー何か足りないなあって思ってたけどそれか、どおりで」
ダイヤ「…果南さん、あなたの趣味は天体観測だったのでは…?」
果南「ほ、ほら観察力の問題だから」アセッ
ダイヤ「余計におかしいと思うのですが……」
花丸「……ん?」 ダイヤ「はあ…まあいいですわ、話を戻しますけど」
ダイヤ「状態から察するに…大方、壊れてしまったからここに置いて去って行ったのでしょう」
果南「なるほどね、それなら落ちているのも納得いくけど」
果南「でも、もしそうだとしたらあんまり気分のいい話じゃないかな」
ダイヤ「そうですわね…ともあれこのまま放置するのもよくありませんし、これは一先ず私たちが回収して─」
花丸「……ダイヤさん、それは違うずら」スッ
ダイヤ・果南「え?」 花丸「だってこれ、望遠鏡じゃないもん」
ダイヤ「はい?」
果南「ちょっと見せて………ん? 何これ?」
ダイヤ「? あの、いったい何が…」
果南「ねえ、ダイヤもちょっと見てみてよ、なんか変だよ」ハイ
ダイヤ「なんかって何ですか全く…………? これは・・・もしかして」
花丸「うん、形が似てたから勘違いしてたけど…」
花丸「万華鏡だよ、それ」
ダイヤ「ですわね……しかし、どうしてそんなものがここに─」
ピカッ ダイヤ「…? 何でしょうか今の光は」
花丸「……え……?」
果南「!? ダイヤっ!」
ダイヤ「果南さん? どうしたのですか突然…」クル
ダイヤ「っ!?」
果南「は、花丸ちゃんの体が急に……っ!」
花丸「な、なにこれ…」スゥー
花丸「どうしてマルの中から光が、湧いてきてるの…?」
ダイヤ「これは、一体何が…起きて……」 果南「分かんない…分かんないけど…っ…!」
果南「花丸ちゃん! 花丸ちゃんは大丈夫なの!?」
花丸「え…う、うん、特に痛いところはない─」
フッ
果南・ダイヤ「!!」
果南「え……嘘…」
ダイヤ「花丸さんが、消えた……」
果南「そんな……っ! 花丸ちゃん! 花丸ちゃんってば!!」
果南「返事してよ! ねえ!」
ダイヤ「果南さん! とりあえず落ち着いて…」
果南「そんなこと言ったって! だっていきなり消え──」
ピカッ ピカッ 果南「!? な、なんで…」
ダイヤ「私たちまで……光って」
果南「ち、ちょっと待ってよ…それってつまり」
ダイヤ「先程の花丸さんと同じように私たちも……」
果南「ここから─」シュンッ
ダイヤ「っ! 果南さんっ! ……そんな、嘘でしょう……? こんな…」
ダイヤ「こんなことって……どうして─」スウーッ
…… タッタッタ
「こっちだよ、確かこっちのほうから光が!」
「千歌ちゃん、それ本当なの?」
「本当だって! 丁度このあたりからって…………あれ?」
「…何もないわね」
「えーっと…おかしいなあ、私の見間違いだったかな…」
「ねえちかっち、それも気になるけど、ダイヤたちは一体どこに行ったのかしら?」
「それが…まだ連絡がなくて」
「本当に? …あのダイヤさんが集合時間に遅れるなんて珍しいわね」
「何よもう、集まろうって決めたのはダイヤのくせに…」
「まあまあ、とりあえずもう少し探してみようよ」
「…ええ、そうね」
スタスタ
……
… それから…
─???
「……どうですか、様子は」
「ん、全員特に問題なし、ただ一つだけ気がかりがあるとすれば」
「一体いつ目を覚ますのかってところだけど…」
「そうですか、まあ今回は初の試みで予測が立てづらいものでしたからね」
「全くよ…“情報”はともかくとして、人そのものでしょ? 必要とはいえ随分大掛かりな─」
花丸「……うぅん…」パチ
「! っと、このタイミングでか…」
「ええ、お目覚めみたいですね」 花丸「……あれ…ここは……?」
「おはよ、やっと目が覚めた?」
花丸「…え……」ボー
「丸一日眠ってたのよ貴女」
花丸「……善子ちゃん?」
善子?「いや違うけど、私はその善子ちゃんって人じゃないわよ?」 善子?「私の名前はねイチゴっていうの、で・・・こっちが」
レム「レムです、初めまして」
花丸「……イチゴ? ……レム?」
花丸(……善子ちゃん、何言ってるんだろう…? マルをからかっているのかな…)
花丸(それに、初めましてって言ってた…善子ちゃんの隣にいる人)
花丸(被り物のせいで、顔がよく見えない……本当に誰?) 花丸「…! そうだ、みんなは!?」
善子?「みんな? ああ、それなら」
レム「貴女の隣で眠っていますが」
花丸「え?」フリムキ
果南「ふわぁ〜……ん…あれ? 花丸ちゃん?」ポケーーッ
花丸「果南さん!」
果南「良かったあ無事だったんだ、あっ善子ちゃんも一緒なんだね」ニコ 善子?「いや、だから善子じゃなくて私はイチゴだって……」
果南「え? 何それ、どういうこと」
花丸「善子ちゃん、まだそんなこと言ってるの?」
善子?「はあ!? 何よ! あんたこそまだ疑っているわけ!?」
果南「え? 善子ちゃんじゃないのこの子?」 善子?「そうよ! 別人よ!」
花丸「ううん、どう見ても善子ちゃんずら」
善子?「そこ! あんたはちょっと黙ってなさい!」
果南「だよねー」アハハ
善子?「そっちもあっさり信じるなあっ!!」
ダイヤ「……」パチ
ダイヤ「……ふぁ……なんですか…騒々しいですわねぇ……」ゴシゴシ
花丸「あっ、ダイヤさん!」
果南「ダイヤー、おはようー」テヲアゲ
ダイヤ「! 花丸さん! 果南さんも……無事でしたのね」 果南「うん、そうみたい、特に体におかしなところも無いし」
ダイヤ「そうですか、一先ず安心しましたわ……あら?」チラッ
善子?「…いや、もういいわよ、もう十分」
ダイヤ「善子さん、いつの間に私たちのところへ?」
善子?「…………はぁ〜っ…」
善子?「……だ、か、ら…さっきから何回も紹介してるわよね…」
「「???」」
善子?「私の名前はっ!」
イチゴ「イチゴだって言ってるでしょうがああああああああああああ!!」 ……
…
果南「…えーっとつまり」
ダイヤ「貴女は外見こそ善子さんにそっくりですが、彼女とは全くの別人であると?」
イチゴ「……そうよ」ムスッ
花丸「でもそれにしては性格も似ているような…」
果南「うん、確かに」
イチゴ「あのねえ! 説明したんだからいい加減納得しなさいよ!!」
レム「まあまあイチゴさん、落ち着いて」
イチゴ「レム! もう嫌なんだけどこの人たち!! 特にあの天然二人!!」ユビサシ
イチゴ「あんたからも何か言ってやってよ!」
レム「うーん、イチゴさんの気持ちは分かりますけど」
イチゴ「嘘つけ! 今まで静観してたくせによくそんなこと言えるわね!?」 レム「まあ事情がありますから」
イチゴ「それは知ってるわよ!」
ダイヤ「あの、よし…ではなく、えっと…イチゴさん」
イチゴ「…何よ」
ダイヤ「ごめんなさい、私たちまだこの事態に慣れていないもので…それに、ついそっくりだったものですから」
ダイヤ「お二人も別に悪気があるわけじゃなかったんです、ほら」
果南・花丸「……」
花丸「あの…ごめんなさい…イチゴちゃん」ペコリ
果南「そうだよね、名前間違われたら誰だって怒るよね…少し無神経だったよ、ごめんね」
イチゴ「……はあ…いいわよ別に、私も気にしすぎたわ」 ダイヤ「ありがとうございます、お二人も今度からは気をつけてくださいね」
果南・花丸「…はい」シュン
イチゴ(…保護者かっ!)
レム(……ふむ、なるほど)
レム「さてと、どうやらもめ事は解決したみたいですね」
イチゴ「いや、元はといえばあんたのせいで起きたことでしょうが」
「「???」」
レム「イチゴさん」
イチゴ「あ……っと、続けて」 レム「…では本題に入りましょうか…まあ、立て続けにこんなことを言うのも…なんですけどね」
ダイヤ「? それはどういう…」
レム「どうもなにも─」
レム「こういうことですよ」パチン
ブワッ
ダイヤ「なっ!?」
果南「け…景色が…」
花丸「変わった……?」 イチゴ「何てことないわ別に、私たちが場所を移しただけよ」
ダイヤ「……何者ですか、貴女たちは」
レム「何者かあ……うーん、そうですね…」
レム「あなた方の呼び名で例えるなら、異世界人といったところでしょうか」
果南「は……? 異世界…?」
花丸「…じゃあ、あなた達は…違う世界の人だっていうの?」
レム「ええ、そのとおり」
レム「ダイヤさん、果南さん、そして花丸さん」
レム「もう薄々感づいてるとは思いますが」
レム「簡潔に述べましょう…ここは、貴女たちの住んでいる星ではありません」 「─!!」
ダイヤ「…地球では……ない…」
花丸「別の星…」
レム「そう、貴女たちは“偶然にも”この星へ迷い込んでしまったんです」
レム「つい先日の出来事ですがね」
イチゴ「……」 果南「ちょ、ちょっと待ってよ…まだ、何がなんだか……」
レム「そうでしょうね、ですが説明の前に一つだけ、言っておくべきことがあります」
花丸「えっ……」
レム「……」スッ
レム「皆さん、ようこそ私たちの星へ」
レム「─我ら一同はあなたたちを心より、歓迎いたします」 そう、これがマルたちと彼女の最初の出会い─
地球ではないどこか…違う星にやってきたという
そんな衝撃的な事実から始まったこの物語
でも、このときはまだ知らなかった、分かるはずもなかった
自分たちの置かれている状況も、ここに来た意味も
マルたちAZALEAと彼女との邂逅、その先に待つものが
やがて、星一つの運命を変える、とても大きな出来事になるということも…全て
─このときのマルたちはまだ、知らなかったのです。 こういうSF方面じゃ正直こたろうリザードシリーズの方が面白さやワクワク感は断然上 【 第2話 】 ピース・オブ・メモリー
「………………」
果南「……本当に…」
花丸(そうだっていうの…)
花丸「…………」
ダイヤ「……」
ダイヤ「……あの、レムさん」
レム「はい」
ダイヤ「時間を、くださいませんか? 一日で構いません」
果南「ダイヤ…?」
ダイヤ「確かに、ここは私たちが元いた場所とは異なるところですし、別の星ということも肯定できなくはありません……しかし」
ダイヤ「仮にそうだとしても……今の私たちでは貴女の言葉を全て、理解することは出来ないでしょうから…」 レム「成る程、だから落ち着くための時間がほしいと」
ダイヤ「はい、お願いします」
イチゴ「…レム」
レム「分かっていますよ、では寝床を用意しておきます」
レム「場所はそこの扉から出て廊下を右に真っ直ぐ…その突き当たりに確か、空き部屋があったはずです」
レム「みなさまはそこを使ってください、必要なものは後でそちらに持って行きますので」 ダイヤ「…ありがとうございます、それでは……」ペコリ
レム「はい、ではまた明日に」
ダイヤ「…果南さん、花丸さんを」
果南「う、うん…わかった」
果南「ほら、花丸ちゃん」スッ
花丸「……うん」ギュ
ダイヤ「失礼します…」バタンッ イチゴ「……ふぅ、先送りにはなったけど」
イチゴ「一先ず、無事に済んだってことでいいのかしら?」
レム「ええ、見事な対応力です」
レム「彼女の言うとおり、混乱している頭では本来ならば理解できる範疇のものですら受け入れがたいものになる」
レム「この状況では、尚更そうでしょう」
レム「それでも、即座にこの判断を下せたということは…相当“慣れて”いるんでしょうね」 イチゴ「よくもまあ、そんなに賞賛の言葉が出てくるもんだわ…白々しいわね、ほんと」
レム「ごめんなさい、そういうつもりでは」
レム「私自身も半信半疑でしたので、ほら、聞くのと見るのとでは違うと言うでしょう?」
レム「実際にその目で確かめて、心からそう感じただけです、他意はありません」
イチゴ「ふーん、そういうもの」
イチゴ「……で? どうなのよ、実際に見て、関わった結果は」
イチゴ「いけそうなの?」
レム「ああ、それも彼女…ダイヤさんが仰ってた言葉どおりになりそうですよ」
イチゴ「は?」
レム「つまり、その答えは明日次第ということです─」 ─数時間後
ダイヤ「で、どうでしたか?」
果南「駄目だね、全部圏外になってる」ハイ
ダイヤ「やはり、ですか…」
果南「ねえ、ここだけ電波が通ってないっていうのは?」
ダイヤ「それはないでしょう、ここに来る途中、電子機器の類をいくつか見ました」
ダイヤ「電波が通っていないのであれば、それらがここに置かれることはないはずですわ」
ダイヤ「あるだけ無駄ですもの」
果南「…じゃあやっぱり私たちのスマホだけ“対象外”ってことかあ…」ボフンッ 花丸「元からある機能は使えるみたいだけどね、メモとか電卓とか」
ダイヤ「ええ、バッテリーも充電さえ出来れば保ちはしますし」
ダイヤ「ただ、電波の傍受を必要とする通信機能が使えないというだけで」
果南「電話もマップも無理ってことだよね、それ」ゴロン
ダイヤ「本当に異世界だというのなら、あっても意味のない代物だと思いますが…」
ダイヤ「ここでも普及しているなら、話は別ですけどね」
果南「そっかあ……成る程ね」 果南「……うん、よし」
果南「決めた」
ダイヤ「決めたって…」
花丸「何を?」
果南「寝る」
ダイヤ・花丸「…は?」
果南「だってこれ以上はいくら考えても無理そうだし、だから今日のところはもう大人しく眠ることにするよ」
花丸「え? ……ええ!?」
花丸「ち、ちょっと待って果南さん…! まだ何か分かることがあるかもしれないし…!」
ダイヤ「花丸さんの言うとおりですわ! まだ考える時間はあります!」 果南「いや、やめておく、無理だもん」
ダイヤ「だから何故無理だと…っ」
果南「うーん、あのさダイヤ、さっき時間はあるって言ったじゃん?」
ダイヤ「…言いましたがそれが何か」
果南「でもその時間ってそもそも、私たちが落ち着いて、冷静になるための時間でしょ?」
果南「それなのに焦ってどうするの?」
ダイヤ「─! それは…そうかもしれませんが」 果南「別に何も考えていないわけじゃないよ、むしろダイヤが作ってくれた時間のおかげで大分落ち着いてる」
果南「だからこそ言ってるんだよ、これ以上進展の無さそうなこんな空き部屋で時間を使ったところで」
果南「何か手がかりを見つけられるほど、私は頭がよくないし、そんなの疲れるだけ」
果南「だったら何があるか分からない明日のために、体力を残しておくほうがいいんじゃないかなって」
果南「そう思っただけ」
果南「それにこれが夢なら夢で、寝て目が覚めたらそれで全部終わりだしね、つまりこの方法が今の私にとってはベストってこと!」ニコッ
ダイヤ・花丸「……」
果南「まあそういうわけだから、おやすみ二人とも、また明日ね」ヒラヒラ ダイヤ・花丸「……」ジーッ
果南「…………」スースー
ダイヤ「…本当に寝てしまいましたわ」
花丸「なんていうか…果南さんらしい考えだったね」
ダイヤ「ええ、そうですわね…全く、マイペースにも程があります」
ダイヤ「しかし……果南さんの考えは、正しいですわ」
ダイヤ「確かに、今ここであれこれ考えを巡らせたところで、そこから出る答えなどたかが知れています」
ダイヤ「ですが、遅かれ早かれ明日には彼女たちの口から何らかの情報を聞き出せる」 花丸「だからそのために早く休む、かあ」
ダイヤ「フフッ…意外と気をつけるべきなのは、私たちの方かもしれませんわね」
ダイヤ「私と花丸さんは少し、深く考えすぎてしまうきらいがあるので」
花丸「…そうだね、でもダイヤさん」
花丸「マルね、実はあと一つだけ気になっていることがあるんだ」
ダイヤ「なんです?」 花丸「……」チラッ
ガヤガヤ
花丸「確かにここには見たことのないものが色々あったけど……」
花丸「それ以上に、マルたちが知っているものもたくさんあった」
花丸「そのせいか、ここは…何か、地球にすごく似ている気がする…」
ダイヤ「……」
花丸「あとはえっと、雰囲気とかかな? あまりよく分からないんだけど…」
ダイヤ「…………偶然ですわね、花丸さん」
ダイヤ「私もいま、全く同じことを考えていたところです──」
……
… ─翌日
花丸「……」
ダイヤ「……」
果南「……」
イチゴ(…神妙、私こういう空気苦手なのよね……)ハァ
レム「……さて、どこから話せばいいか」
レム「うーん、そうだなあ…ではこうなった経緯から説明しましょうか」 レム「今から二日前のことです、いつものように生活をしていた私たちですが」
レム「夜もだいぶ慣れてきた頃、突然、私の行く先にまばゆい光が放たれたのです」
レム「何事かと思い近くまで駆け寄ってみると、そこには私たちとちょうど同じくらいの女性が三人倒れて眠っていました」
果南「それって私たちのこと?」
レム「はい、目が覚めたらここへ来た事情を伺おうと思っていたのですが」
レム「なかなか起きないもので…結局そこから丸一日かかってしまいました」
花丸「それが昨日のお話?」
レム「ええ、そのとおりです」 ダイヤ「…話を聞く限りでは、貴女方のほうでも私たちがここへ来たことは」
ダイヤ「不意を食った事故のようなものに聞こえましたが」
レム「そうですね、少なくとも」
レム「私の知る限りではこんな現象は初めてです」
イチゴ「…レムはこの星でもかなりの古株なの、そのレムがここまで言うとなると」
イチゴ「こっちでも相当、異例の事態ってことになるわね」
ダイヤ「…成る程」 レム「ただ、何もなしに特異な事象が起こるということはまずありません」
レム「つまり皆さんの世界に、この星へ来るきっかけのようなものがあったと思われます」
ダイヤ「確かに、筋は通っていますわね」
レム「そこで話は戻るのですが」
レム「ここへ来る前になにか不思議な出来事を体験したとか、そういう」
レム「心当たりというか、思い当たる節はないでしょうか?」
ダイヤ「と、言われましても…」
果南「そんなのあったっけ? だって私たちここにくるまでは」
果南「普通に生活してたわけだし、何か特別なことって言っても」
果南「久しぶりに天体観測に行ったってことくらいだよ」
花丸「…………あれ?」 ダイヤ「それにそのことだって、私たちの中ではという話ですし…そこまで変わったことでは……」
花丸「ちょっと待って二人とも」
果南「どうしたの花丸ちゃん?」
花丸「もしかしたら…あるかもしれないよ、ほら」
花丸「あの万華鏡が…」
イチゴ「……」
果南「! …そっか、そういえば確かに」
果南「花丸ちゃんが急に光り出したのも、あの万華鏡を覗いたあとだったよね」 ダイヤ「今思い返せば、消えた順番も先に覗いた人からと、発生した時間差も含めて一致しています…」
ダイヤ「きっかけの可能性としては、十分にあり得ますわね」
レム「万華鏡…ですか?」
ダイヤ「ええ、見た目と天体観測の場所という環境も相まってか…途中まで望遠鏡だと勘違いをしていたのですが」
果南「実際に見てみたら景色が全然違ったからさ、おかしいと思って、ね? 花丸ちゃん」
花丸「うん、それにやっぱり─」
花丸「あんなところに落ちていたっていうのも、奇妙な話だと思うずら…まるでマルたちが来るのを分かってたみたいで」 イチゴ(ふーん…ポケーッとした顔の天然とばかり思ってたけど、なかなか鋭いわねあの子)
イチゴ(融通も利きそうだし…) 「レム、どう思う?」
レム「…………事情は大体分かりました」
レム「そして、今の話で気づいたこともいくつか」
ダイヤ「本当ですか?」
レム「ええ、みなさん私に付いてきてください」
レム「外にお見せしたいものがありますので」 ─
カツン…カツン…
レム「時にみなさん、月の魔力…というのはご存知でしょうか?」
果南「まあ…なんとなくは」
ダイヤ「月の満ち欠けに比例して、人体に影響が出たり…などというのは有名な話ですわよね」
花丸「創作物でもお月様を不思議な力として扱っている作品は数え切れないくらいあるずら」
花丸「それ以外でも、愛情の表現やモノの喩えとして、使われたりするよね」
花丸「著名なところから選ぶと、夏目漱石の“月が綺麗ですね”が一番分かりやすいかな」
果南「ほえ〜…物知りだねえ」 ダイヤ「それがどうかしたのですか?」
レム「先ほど申されましたように、人は古来から月には魔力があると信じ、言い伝えられてきました」
レム「それは私たちの星も同様で、そこに我々には想像もつかない程の神秘の力が宿っているとも」
ダイヤ(……? 今の言葉、なにか違和感が……)
レム「なので、もしかしたらと思いましてね」
果南「何が?」
レム「皆さんの身に何かが起きたあの日、そこには満月が浮かんでいたのではないかと」 ダイヤ「満月……」
果南「確かに、出ていたような…」
レム「月の力が最も強いとされているのが満月、若しくは新月だと言われています」ガチャッ
キイィッ……
ダイヤ「なっ……!」
レム「ならばもし、月の神秘的な力が本当にあったと仮定して」
レム「貴女たちが覗いたその万華鏡というのが、これと同じものだとしたら─」 花丸「なに…これ……」
レム「少しは、私たちと貴女たちの星を通しての繋がりが」
レム「見えてきたかもしれないと考えましてね、どうでしょうか?」
果南「…いやいや、でも流石にこれは、いくらなんでも」
果南「ちょっと大きすぎじゃないかなん……?」
ダイヤ「…同感ですわね果南さん…少なくとも私にはこれが」
ダイヤ「ある種の巨大兵器にしか見えません……」 レムの容姿ってどんな感じ?
リゼロのレムイメージすればいい? >>84
容姿のイメージとしてはこんな感じです
フードを深く被っていて、あまり顔が見えないようになっています
https://i.imgur.com/VvhnkTk.jpg >>85
わざわざ絵まで描いて説明してくれてありがとう 果南「東京にラブライブの会場があったよね? あれと同じくらいあるんじゃないかな…」
花丸「でも確かに、見た目は似ているかも」
ダイヤ「…しかし何故、これほどの大きさにする必要が?」
レム「理由はあります、万華鏡の原理を知っていますか?」
ダイヤ「精巧なものになるとまた話は違ってきますが、簡単な仕組みなら」
ダイヤ「大雑把に言うと万華鏡の構造はミラー部分、鏡のところと…」
ダイヤ「オブジェクト、つまりは模様を作るための小物を入れる先端部分の二つに分かれています」
ダイヤ「この先端部分というのが万華鏡を覗くときに見えるものですが、ただ映るのではなく」
ダイヤ「先に筒に組み立てておいた鏡がそれを繰り返し反射することで、元の素材とはかけ離れた幻想的な模様が目の前に映し出されるわけです」
ダイヤ「それが大まかな万華鏡の仕組みだと、私は記憶していますが」 レム「ええ、それで合っていますよ、その上で先ほどの質問に答えますと」
レム「この万華鏡がここまで大きなものに仕上がっているのは、さっきダイヤさんが説明してくれた」
レム「先端部分…これに合わせる必要があったからです」
ダイヤ「合わせる…?」
果南「…あっ、分かった」
花丸「果南さん?」
果南「小物だよ、多分だけどその先のところに入れるための道具が普通の万華鏡じゃ入りきらない大きさなんだ」
ダイヤ「そんな単純な…」
レム「正解です」
ダイヤ「ええっ!?」 果南「ほらやっぱり」
花丸「でも、そのためにわざわざ大きさを合わせたっていうことは、その入れるものじゃないとこの万華鏡が意味をなさないってことでもあるよね」
花丸「それに、普通じゃ入りきらないほどの大きなものって一体何なんだろう……」
イチゴ「へえ…いいところに気がついたわね、それじゃあ私がその疑問に答えようかしら」
イチゴ「貴女が気になった先端に嵌め込むもの…それはね」
イチゴ「ピース・オブ・メモリー、星の結晶と呼ばれているものよ」 ダイヤ「ピース・オブ・メモリー……」
果南「星の結晶? なにそれ?」
イチゴ「“ある惑星”の力が凝縮されたエネルギーの塊よ、宝石のような色や形をしていて」
イチゴ「この星の多くのものはそのエネルギーが動力源になっているの」
果南「それ一つだけで!?」
花丸「そんなに凄いものがあるなんて…未来ずらあ……」
ダイヤ「しかし腑に落ちる点もあります、確かに今の話が本当なら」
ダイヤ「私たちのスマホだけ電波を傍受しないというのも頷けますわ」
ダイヤ「地球とこの星では、元々の資源とそこから変換して得られるものにかなりの違いがあるようですし…」 イチゴ「ま、そういうことね、ついでにもう一つ補足しておくと」
イチゴ「さっき言ったピース・オブ・メモリー…長いからメモリーでいいか」
イチゴ「それがあるのは一個だけじゃないの」
花丸「複数あるってこと?」
イチゴ「ええ、元の万華鏡も小物をいくつか入れたりするでしょ?」
ダイヤ「それでその数は?」
イチゴ「ここを含めて7つあるわ」 果南「ん? ちょっと待って、ここを含めてっていうことは」
果南「他の6つはそれ以外の場所に置いてあるってこと?」
レム「はい、そのメモリーがそれぞれ置かれている場所のことを」
レム「私たちは“エリア”と呼んでいます」
ダイヤ「エリア……」
レム「ええ、起点となる第一エリアから時計回りに第二、第三……とほぼ均一的に」
レム「合計七つのエリアに、この星は分けられているのです」 果南「へえ〜、なんかパワースポットみたい」
ダイヤ「例えとしては間違っていないと思いますけど…ああ、すみません続きを」
レム「私も昨日の間に色々考えてみたのですが、不思議なものには不思議なもので対抗するのが最も有効なのではと思い至りました」
イチゴ「それがこの万華鏡…星の力が詰め込まれたメモリー全てを埋めてこれを完成させれば」
花丸「もしかしたら、元いた場所に帰ることが出来るかもしれないってこと?」
レム「可能性としては、ですがね」 ダイヤ「確証はありませんか…」
果南「でもやってみる価値はあるんじゃない?」
果南「今のところ、それ以外に何か方法があるわけでもないだろうし」
ダイヤ「…ええ、そうかもしれませんわね」
レム「ただし、これには一つだけ条件があります」
「「条件?」」
レム「ええ、期限です」
レム「我々は年に一度、月の力が強くなる日にこの万華鏡を完成させ、それを写し込ませるという」
レム「いわば儀式のようなものを執り行ってきました…いや儀式というよりは、祭りに近いかもしれませんが」 レム「そしてそれは今年も同様なのですが」
レム「今年は特にその力が強くなる日が来るのですよ、そう最大規模の月の魔力がね」
レム「それがXDay〈エックスデイ〉……私たちが待ち焦がれていた日でもあります」
ダイヤ「……今まで以上に力が強くなる日、エックスデイ……」ボソッ
ダイヤ(……何でしょう、どこか、引っかかりますわ…)
ダイヤ(何というか、話がうまく出来過ぎているような……そんな)
レム「私が提示する条件、それは今から48日後にやってくるその“XDay”までに」
レム「7つのピース・オブ・メモリーを集めてこの万華鏡を完成させること」 果南「…期限はおよそ一ヶ月半…それまでに」
花丸「これを、完成させる……」
レム「月の力と万華鏡…貴女たちがここに来た原因はこの二つです」
レム「ならば必ず、この条件が揃えば何かが起きるはずだと」
レム「私はそう思っています、皆さんはどうですか?」
レム「この話……伸るか反るか」
ダイヤ「……」
レム「信じるか、信じないか」
果南「……」
レム「それを決めるのは……貴女たち次第です」
花丸「……マルたちは──」 ─
イチゴ「……ふう、ようやく一段落ついたわね」
レム「お疲れ様でした」
イチゴ「あんたもね」
レム「ありがとうございます、ですが本番はここからですよ」
イチゴ「分かってるわよ、面倒くさいけどそれが私の仕事だし」
レム「ええ…すみませんが私も色々やらなくてはいけないことがありますので」
レム「後の件についてはよろしくお願いします」
イチゴ「はいはい、任せておきなさいって」
イチゴ「この本を渡す相手も、もう決まってるしね」
レム「そうでしたか、それなら安心です」 イチゴ「……」
イチゴ「ねえ、一つ聞いていいかしら」
レム「なんですか?」
イチゴ「私“たち”の姿を彼女たちの知り合いと同じにしたのも何か意味があってのことなの?」
レム「はい、そちらのほうが馴染みがあって彼女たちもやりやすいでしょう?」
イチゴ「それにしたってちょっと出来過ぎじゃない」
レム「というと?」 イチゴ「二年前……いや、向こうからすると大体二ヶ月くらい前か…」
イチゴ「そう、その日…ちょうど満月が浮かび上がった頃」
イチゴ「私たちはこの姿に生まれ変わった、そして名前と人格、役割を与えられ」
イチゴ「今ではそれぞれが個を確立するまでになった、そうなることも全部…分かってたの?」
レム「うーん…全てとは言えませんが、前々から関わるなら彼女たちにしようとは決めていました」
イチゴ(前から…?)
レム「そして二年経った今、ようやく全ての条件が揃ったのでここに呼び出したんです」
レム「私と彼女たち…どちらの目標も為し得ることができる、この瞬間にね」
レム「貴女が今話したそれは、そのための下準備のようなものです」
イチゴ「……」 イチゴ「そう……大変ね、あの子たちも……あなたも」
レム「目的に向けて費やす労力のことを指すならば、そうかもしれませんね」
レム「ですがまあ…側だけですよ、そこにある本質は違う…彼女たちと私ではその何もかもが」
レム「だからこそ、知りたいんです」
イチゴ「……」
レム「フフッ…いくら小難しい言葉を並べようとも、最終的に行き着く答えは」クルッ
レム「たったそれだけなんですよ、本当に──」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています