曜「代替品」
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花丸「だ、駄目だよ」
花丸「そんなこと、簡単に言ったら」
花丸「簡単に放棄したら駄目」
花丸「絶対に後悔する、それをしたら」
善子「そんなこと――」
花丸「あるよ」
花丸「確かに善子ちゃんの話は、関係を絶ってしまうに値するかもしれない」
花丸「でもせっかく繋がれた好きな人との関係をそんな風に切り捨てたら、辛いよ」
善子「……」 花丸「それにさ、別にいいんじゃないかな」
花丸「千歌ちゃんの代わりでも、好きな人と居られれば」
花丸「善子ちゃんは曜さんが好きだったんでしょ」
花丸「少なくとも、曜さんも善子ちゃんの事をある程度は好いているはず」
花丸「例え形は悪くても、好きな人と一緒にいられるなら――
善子「そんな風には、割り切れない」
善子「私はあんたみたいに、強くないのよ」
花丸「それでも―――― ルビィ「待って、マルちゃん」
花丸「ルビィちゃん?」
ルビィ「ねえ、善子ちゃん」
善子「なによ」
ルビィ「善子ちゃんの話を聞く限り、曜ちゃんはそれを認めたわけじゃないんだよね」
善子「それは、そうだけど」
ルビィ「そして善子ちゃんはまだ、曜ちゃんのことが好き」
善子「…………」 ルビィ「実際、善子ちゃんの言うことは間違いないようにも聞こえる」
ルビィ「そしてルビィは当事者じゃないから、適当なことは言えない」
ルビィ「けどね、マルちゃんの言うとおり簡単に捨てちゃ駄目」
ルビィ「恋って、そんな簡単に割り切れるものじゃないの」
ルビィ「成就したら天国にも昇る気持ちになる」
ルビィ「逆なら辛くて、とっても落ち込んで」
ルビィ「善子ちゃんだって、だからここ数日は休んでたんでしょ」
善子「それは……」 ルビィ「代わりであることを受け入れろとも、曜ちゃんを信じてあげろともいわない」
ルビィ「でももう一度、考えて見た方がいいとは思うよ」
ルビィ「ルビィ達の愛は、大多数の人とは違う特別なもの」
ルビィ「いくら周囲が受け入れてくれてる世界でも、子どもはできない、不自由なこともたくさんある」
ルビィ「その分、普通より深い愛がなければ成立がしないもの」
ルビィ「善子ちゃんは、それを簡単に切り捨てられるのかな」
ルビィ「言葉に出しているように、諦められているのかな」
善子「………………」 とりあえずこの辺で
何事もなければ次かその次の投稿で完結です 深い愛無くても成立するゾ(ビアン向け出会い系並感) レズ同士の身体だけの関係は不毛だからヤメロォ!(建前)ナイスゥ!(本音) どうかハッピーエンドをお願いします!なんでもしますから ―数か月後・バス車内―
曜「うぅ」ブルッ
曜(冬が顔を覗かせるようになり、寒い日が増えてきた)
曜(寒がりの私には、辛い季節)
曜(誰かが傍にいれば、抱きついたりして暖を取れるのに)
曜(そんな人は、どこにもいない) 曜(あれから数週間後、私も善子ちゃんも学校へ復帰した)
曜(けど、一度たりとも一緒に帰ったことはない)
曜(練習がない日は互いに避けるように)
曜(練習があっても、場所が沼津に変わってしまったので一緒にはならない)
曜(そもそも、会話すら一度もしていない状態)
曜(事務的な話ですら声をかけあうこともない)
曜(必要なときは、誰かが間に入って仲介して)
曜(おかげで部の空気もあまりよくない状態が続いているので、申し訳なさが募る) 曜(でも幸い、大会は勝ち進んでいる)
曜(廃校は決まってしまったけど、みんなで決勝へ向けて一直線)
曜(もうすっかり慣れた)
曜(一人きりのバス)
曜(善子ちゃんとの距離感)
曜(ラブライブに集中することで、余計な感情からは目を逸らして)
曜(きっとこれが日常になっていくんだろうな) 曜(でも、本当は認めたくない)
曜(善子ちゃんの事を諦めたくない)
曜(私はいつまでも未練たらたらで)
曜(それを周囲に気づかれていて)
曜(特に梨子ちゃんずっと私たちの仲を取り持とうとしてくれている)
曜(でもそれも意味はなくて)
曜(善子ちゃんはそれぐらい傷ついている)
曜(悪いのは私だから、どうすることもできないんだ) ※
曜「ただいま〜」
曜母「あら、おかえり」
曜「あれ、どうしたのその荷物」
曜母「千歌ちゃんのお母さんに借りていた物があってね」
曜母「今日はこっちに帰ってるみたいだから、返しに行こうと思って」
曜「それなら、私が行こうか?」
曜母「曜が?」
曜「うん」 曜母「でも流石に悪いわよ、帰ってきたばかりなのに」
曜「いいって、私だったら定期もあるからお得だし」
曜母「でも……」
曜「ついでに千歌ちゃんと遊んでくるからさ」
曜母「そう?」
曜「帰り、少し遅くなってもいいでしょ」
曜母「そうね、それならお願いしようかしら」
曜「ヨ―ソロー!」 ※
曜「じゃあね、千歌ちゃん」
千歌「ばいばーい」
曜(想像より話し込んじゃったな)
曜(最近練習で忙しかったから、遊ぶのも久しぶりだったもんね)
曜(もう日が暮れそうだし、早く帰らないとお母さん心配するかも) 曜(懐かしいな、昔はこうやっていつも千歌ちゃんの家に来てた)
曜(結局、元の日常に戻ったのかな)
曜(善子ちゃんとの時間は、一時的な夢みたいなもので――)
曜「…………」
曜(バス、少し遅れてるのかな)
曜(もう少し時間がかかるなら、中で待たせてもらった方が――
少女3「……」トコトコ
曜「あれ?」
曜(あの子、確か夏の……)
曜(こんな時間に一人でどうしたんだろう) 曜「ねえ、君――」
少女3「あっ、うちっちーのお姉ちゃん!」
曜「久しぶりだね」
少女3「うん!」
曜「こんな時間にどうしたの?」
曜「何か用事があるとか?」
少女3「ううん、私この辺に住んでるから」
曜「へぇ、そうだったんだ」 少女3「お姉ちゃんはなんでここに?」
曜「あー、ここの旅館に遊びに来てたんだよ」
少女3「あっ、もしかして千歌ちゃんとお友達なの」
曜「知ってるの?」
少女3「うん、いつもみかんばっかり食べてる千歌ちゃん」
曜「あはは、面白い覚え方だね」
少女3「でも間違ってないでしょ」
曜「うん、確かに」 少女3「そういえば、団子ちゃんもこの辺りに住んでるんだよね」
曜「へっ、善子ちゃんは沼津駅の方だよ」
少女3「でもいつも海岸にいるよ」
曜「そうなの?」
少女3「一人でぼんやり、海を眺めてるんだ〜」
曜(善子ちゃんが……)
少女3「でもこの辺の子じゃないんだね」
少女3「それならなんで――」
曜「ねえ」
少女3「なぁに?」
曜「私を善子ちゃんが居るところまで案内してくれないかな」 ―海岸沿い―
善子「…………」
曜(本当にいる……)
善子「はぁ」
曜(久しぶりに見た、善子ちゃんの顔)
曜(整った、綺麗な顔)
曜(私が大好きな彼女の姿は変わっていない)
曜(ずっと会話すらしていないはずなのに、自然と引き寄せられて―― 曜「おーい」
善子「……えっ」
曜「なにしてるの」
善子「……曜さん?」
曜「やあ」
善子「……久しぶりね」
曜「うん」 善子「どうしたの、こんなところに」
曜「千歌ちゃんの家へのお使いのついで」
曜「善子ちゃんこそ、何でここに」
善子「少し、海を見たかったのよ」
曜「この時期、海には入れないよ」
善子「知ってるわよ、いくら私でもそれぐらい」
曜「横、いいかな」
善子「……ええ」 曜「寒いね」
善子「そうね」
曜「少し震えてるよ、上着貸そうか?」
善子「貴女は大丈夫なの?」
曜「寒さぐらいは平気だよ」
善子「強がらなくてもいいのよ」
善子「本当は寒さ弱いくせに」
曜「よく知ってたね」
善子「リリーから聞いたのよ、貴女のことは色々と」 善子「なんで、ここにいるって分かったの?」
曜「教えてもらったんだよ」
曜「夏に善子ちゃんとも一緒に海で遊んだ女の子にさ」
善子「……見られてたのね」
曜「いつもここにいるんだって?」
善子「否定はしないわ」
曜「どうしてこんなところに?」
善子「色々、考えたいからよ」 曜「色々?」
善子「主に貴女のことよ」
曜「私のこと」
善子「そう、曜さんについて」
善子「どうやって弄ばれた恨みを晴らすか」
善子「自分の事を正当化するか」
善子「そして、貴女のことを忘れられるか」 曜「……ごめん」
善子「謝られても困るのよ」
善子「私の時間も、想いも、初恋ももう帰ってこない」
善子「しかも、その恋は消えてくれないのよ」
善子「最悪よ、本当に」
善子「貴女は私のことなんて、微塵も好いてないのに――」
曜「違うよ」
曜「それだけは、絶対に違う」 曜「善子ちゃんの気持ちは分かるよ」
曜「話さなかったのは悪かったと思う」
曜「後ろめたい気持ちも確かにあったかもしれない」
曜「善子ちゃんがそう見えたなら、否定しないよ」
善子「だったら、なにが違うのよ」
曜「私は善子ちゃんが好きなの」
曜「世界の誰よりも、千歌ちゃんや梨子ちゃんよりも」
曜「この気持ちは、本当なの」
曜「それだけは、信じてほしい」 善子「……無理よ」
善子「無理よ、そんなの」
曜「……」
善子「私だって、貴女の言葉を信じたい」
善子「でもそんなの、できるわけないじゃない!」
曜「……そうだよね」
曜「それじゃ、虫が良すぎるよね」 曜「善子ちゃん」
善子「……なに」
曜「私のこと、好き?」
善子「ええ」
曜「じゃあ、嫌いじゃないのかな」
善子「大嫌いよ」
曜「複雑なんだね」
善子「貴方のせいでね」
曜「そうだね、ごめん」 曜「私はね、善子ちゃんが好き」
曜「例え嫌われたとしても」
曜「誰よりも、善子ちゃんが好きだよ」
善子「……嘘つき」
曜「嘘じゃないよ」
善子「どんな甘言を並べても、私は騙されないわよ」
曜「どうすれば信じてくれるの?」 善子「……海へ入ってみてよ」
曜「海へ?」
善子「証明したかったら、今から海にでも飛び込んで泳いでみなさいよ」
善子「得意でしょ、飛び込みも泳ぎも」
曜「それが、信じるための条件?」
善子「まあできるわけないでしょ、口先だけの貴女に」
善子「ただでさえ寒がりだもんね」
善子「この時期の海に飛び込むなんて馬鹿なこと―― バシャン
善子「えっ」
曜「……さむ」
善子「な、なんで本当にやってるのよ!?」
曜「こうすれば、信じてくれるんでしょ」
善子「な、なに本気にしてるのよ」
善子「そんな馬鹿なことで、信じられるわけないでしょ」
曜「……そっか、まだ泳いでないもんね」 善子「ち、違うでしょ」
善子「止めてよ、本当に泳ぐとか」
曜「どうして?」
善子「どうしてって……」
曜「私は泳ぐよ、善子ちゃんが信じてくれるまで」
善子「……ああもう、付き合ってられないわ」
善子「私も帰るから、あなたも早く帰りなさい」
曜「……分かった」 ―高海家―
『ワンワン!』
千歌「なんかさっきから騒がしいなぁ、しいたけ」
志満「何かあったのかしらねぇ」
美渡「千歌、ちょっと落ち着かせてきて」
千歌「はーい」
――
― 千歌「しいたけ」
しいたけ「わふっ」ダッ
千歌「ちょ、ちょっと落ち着いて」
千歌「どうしたの、誰か不審者でもいたの?」
しいたけ「ワンワン!」
千歌(変だなぁ、梨子ちゃん絡み以外は大人しい方なのに)
千歌(鳴いてるのは、海の方?) 少女3「千歌ちゃん!」
千歌「あ、近所の――」
千歌「千歌ちゃんじゃなくて千歌お姉さんだっていつも言ってるでしょ」
少女3「そ、そんなことより、大変なの!」
千歌「へっ」
少女3「そこの海にね、うちっちーのお姉ちゃんがずっと入ってるの」
少女3「時々泳いだり、海に還っちゃうのかな?」
千歌「曜ちゃん!?」 ※
千歌「曜ちゃん!」
曜「……ち……か……ちゃ……」
千歌「な、なんでこんな時期に海に入ってるの!?」
曜「…………」
千歌「と、とにかく出よう」
曜「だ、駄目っ」
千歌「な、なんで」
曜「泳がないと、泳がないといけないの」 千歌「駄目だよ、早く出ないと死んじゃうよっ」
曜「……」
千歌「いいから、早くこっちに――」
曜「いや、だ」
曜「ここで止めたら、善子ちゃんに――」
ボチャン
千歌「あ、曜ちゃん!」
千歌「た、助けなきゃ――って冷たっ」
千歌「え、えっと、救急車、とにかく救急車!」 ―病院―
曜「……あれ、私」
善子「目、覚めたのね」
曜「……善子ちゃん」
善子「ちょっと待って、お医者さん呼ぶから」
曜「ここは?」
善子「病院よ」
善子「貴女、海に入って救急車で運ばれてきたの」 曜「……そうだったね」
善子「意識が戻って、安心したわ」
善子「お医者さんは心配ないとは言ってたけどね」
善子「思ったより眠っていたから、ハラハラしてたのよ」
曜「あぁ、善子ちゃんがお見舞いに来たタイミングで目が覚めたのかな」
善子「泊まり込んでたから、当たり前でしょ」
曜「えっ」
善子「話は後よ、そろそろ先生が来るから」 ※
善子「検査はどうだった?」
曜「様子見であと一日ぐらい入院するけど、特に問題はなさそうだって」
善子「そう、よかった……」
曜「日ごろから鍛えてるおかげかな」
曜「今度は冬の海でも問題なく入れるかも――なんてね」
善子「……馬鹿ね、貴女は」
曜「うん、馬鹿だよ」 善子「信じられない、救急車で運ばれる状態になるまで海に入り続けるなんて」
善子「本当に、どうしようもないわね」
曜「……ごめんね、迷惑かけて」
善子「謝らないでよ、元はといえば私の所為なんだから」
曜「そんなことないよ、飛び込んだのは私なんだから」
善子「……違うわよ、貴女みたい面倒なことを言った私が悪いわ」
曜「そんなこと――
善子「もういいわよ、何も言わなくても」
善子「こんな重くて面倒な人、私じゃないと面倒をみられないもの」 曜「えっ」
善子「信じるわよ、貴女のこと」
善子「ここまでされたら、信じるしかないでしょ」
善子「貴女と――あとリリーの言葉も」
曜「梨子ちゃん?」
善子「何度も私のところに来たのよ」
善子「『曜ちゃんを信じてあげて』って」
善子「『私は信じられなくても、曜ちゃんの事は信じて』」
善子「そんな風に、何度も何度も」
曜「梨子ちゃんが……」 ガチャ
梨子「善子ちゃん、曜ちゃんの様子は――」
曜「あっ」
善子「あら、噂をすれば」
梨子「よ、曜ちゃん」
曜「や、やあ」
梨子「目、覚めたねの」
曜「う、うん」 梨子「馬鹿っ!」ダキッ
曜「り、梨子ちゃん」
梨子「馬鹿よ、曜ちゃんは本当に大馬鹿よ!」
梨子「怖かったんだから、私」
梨子「曜ちゃんが目を覚まさないんじゃないかって」グスッ
曜「……ごめん、心配かけて」
善子「リリー、曜さんを責めないであげて」
善子「全部私の所為だから」 梨子「……よかった」ギュッ
梨子「無事で、本当に」
梨子「ちゃんと、仲直りできたのよね」
曜「うん」
梨子「もう、別れるとかいわないよね」
善子「ええ、もちろんよ」
善子「曜さんが寝てる間に、散々話したでしょ」
梨子「そうだけど、そうだけど……」グスグス 善子「というか、いつまで抱きついてるのよっ」
善子「曜さんは私のなんだから!」
梨子「ふふっ、そうだったね」
曜「私、善子ちゃんの物だったの?」
善子「そうよ」
善子「私の大切な恋人なんだから」
曜「……あんな冷たい態度取ってたのに」
善子「そ、それは――反省してるわよ」 善子「その証拠に、平手打ちぐらいされてもいいわよ」
梨子「ひ、平手打ち?」
善子「私もそれぐらいされないと、気持ちが収まらないから」
善子「ちょうどAqoursのすれ違い解決方でしょ」
梨子「ちょっと、変なことを言い出さないで――」
曜「分かった」
梨子「曜ちゃん!?」
曜「目、瞑って」
善子「……ええ」 曜「善子ちゃん――」
善子「っ――」
チュッ
善子「ふぇ」
曜「これでいいよ、私は」
曜「暴力とかは、ちょっと苦手だからさ」
曜「ずっとしたかった、キスで充分」
善子「よ、曜さん……」 梨子「な、ななっ」
善子「リリーも見てる前で」
曜「あっ」
梨子「ゆ、百合の迷路……」バタン
曜「た、倒れちゃった」
善子「お医者さん、呼んだ方がいいかしら」
曜「いいんじゃないかな、まあ」
梨子「えへっ、えへへっ」
善子「……そうね、なんだか幸せそうだし」 曜「それよりもさ、お願いがあるんだけど」
善子「お願い?」
曜「もう一度さ、キスしてもいい?」
善子「……それ、わざわざ聞くことかしら」
曜「駄目なの?」
善子「そんなわけないわよ」
善子「いくらでもしましょう、貴女が望むなら」
曜「……うん!」 ―四月・沼津―
曜(今日から新しい学校)
曜(いつもどおり、善子ちゃんより先に待ち合わせ場所で待つ)
曜(バスじゃなくて彼女の家の前なのは、少し新鮮な気分)
善子「曜さん」
曜「善子ちゃん、おはよう」
善子「ごめんなさい、遅くなって」
曜「大丈夫だよ――じゃあ行こうか」
善子「ええ」 善子「新鮮な気分ね」
善子「バスじゃなくて、二人で歩いて登校なんて」
曜「確かに、今まではずっとバスだったもんね」
善子「乗らなくなると、少し寂しいわね」
曜「私はそんなに気にならないかな」
曜「善子ちゃんと登校できるのは変わらないしさ」
善子「……そうね」 曜「楽しみだね、新しい学校」
善子「私は不安よ、色々と」
善子「花丸とルビィとは別にクラスになっちゃう気がするし……」
曜「なんで?」
善子「私の不運は知ってるでしょ」
善子「きっと、別々どころか端と端のクラスに……」
曜「あはは、大丈夫だって!」ドンッ
善子「いっ、な、なによ」 曜「今、私の運を注入しておいたから」
曜「これでも私は運はいい方だから、善子ちゃんの不運を消し去ってあげるよ」
善子「でも逆に、私の不運が移るかもしれないわよ」
善子「千歌さんやリリーと離れ離れのクラスになるかも……」
曜「その時はその時だよ」
曜「友達じゃなくなるわけじゃないし、新しい友達を作る楽しみも増えるもん」
善子「いいわねぇ、コミュ力の高い人は」 曜「善子ちゃんだって最悪二人と別れても、あと一年間は私がいるよ」
善子「でも、学年違うじゃない」
曜「そんなの些細な問題だって」
曜「登下校は一緒だし、同じ学校内で過ごすんだから」
曜「善子ちゃんが寂しがってたら、いつでも駆けつけてあげる」
善子「……心強いわね、それは」
曜「だから心配しないで、ドーンと構えてればいいんだよ」
善子「ふふっ、ありがとう」 曜「そうだ、今日の放課後空いてない?」
善子「ええ、空いてるわよ」
曜「それならさ、うちに来ない?」
曜「ちょうど両親がいないんだよね」
善子「……その手には乗らないわよ」
善子「また過剰に反応する私をからかおうとしてるんでしょ」
曜「うーん、どうだろう」
善子「へっ」 曜「今回は前とは違うかなー」
善子「そ、それどういう意味よ」
曜「えへへ、内緒だよ」
善子「や、やめてよ、気になるじゃない」
曜「まあまあ、あとでのお楽しみってことでさ」
善子「そ、そんなこと言われるとますます――
ギュッ
善子「にゃっ」
曜「ふふっ、今はこれで我慢してよ」
善子「う、うん」 曜「じゃあ行こうか、一緒に」ギュッ
善子「な、なんで手を繋ぐの」
曜「繋ぎたかったから、駄目かな」
善子「べ、別に構わないわよ、もちろん」
曜「よかった――ゆっくり話し過ぎて、時間がなくなってたからさ」
善子「へっ、それはどういう」
曜「よし、じゃあ学校へ向かって――――全速前進ヨ―ソロー!」
善子「ちょ、引っ張らないでよ〜〜〜〜〜」
完 以上になります
ひとまず完結できてほっとしています
長期間の保守、応援ありがとうございました お疲れ様!良いもの見せて貰った
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