【SS】にこ「炭酸の抜けないプレゼント」
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穂乃果ちゃんが、にこちゃんの誕生日パーティーをしよう!と部室でいったとき、
ちょうどニコはなにか炭酸飲料が飲みたいなぁと思っていた。
でもニコの家じゃちょっと小さすぎて無理かもっていったら
真姫ちゃんが例の知性あふれる調子で、じゃあ私の家でしたらいいじゃないの、と提案したんだよね。
なんだかちょっと悔しくて、すこしだけ爪を噛んだ。 ニコの誕生日はいつも夏休みに入るか入らないかの季節だった。
それで、今年はもう夏休みだった。
暑い季節。
夏生まれなのに、夏については愛憎入り混じった感情がニコの中にはあった。
暑いし。
長袖着ないと日焼けするし。
水着はキラキラしていて大好きだけど、
体のラインがバレバレになるし。 高校生になって、
テレビにはニコと同じくらいの年齢の有名人がたくさん出演するようになって。
ニコは昔からアイドルになる、なれるって思ってたけれど
その信念をますます強く信じなければ正気を保っていられなかったんだと思う。
たとえその行為自体が正気じゃないとしても。 十八才––––前厄だし、性の解放だってニコにはほとんど関係ないし––––になったところで突然ポケモンみたいに進化するわけじゃないってことはずっとわかっていた。
それに、高校二年生の一月くらいから、こころとここあの笑顔をみると切なくなることが多くなったの。
幼稚園の卒業アルバムをみて懐かしむと同時に、無邪気に書かれた将来の夢の欄をみて胸がしめつけられる、みたいな感じ。 そんなとき、夏の息苦しさはニコを助けてくれた。
ほら、マイナスとマイナスをかければプラスになるみたいなノリで。
やけにうるさいくせにすぐに死んで道端でグロテスクな腹をみせるセミたちも、
永遠に続くようだったのに風のように過ぎていく夏休みの虚しさも、
なんだか愛くるしく思えてきたんだよね。 真姫ちゃんの家は豪邸だった。
インド人もびっくりの煌びやかなシャンデリアをニコは見た。
たぶんニコの胸ですらあのテレビよりは薄くないと思うよ?
クーラーがいくらか効きすぎてるのが気になった。
その寒さはなんだか眠気を誘ったし、きっと業務用の大きなエアコンだったんだと思う。 穂乃果ちゃんと凛ちゃんは家の広さをパイ投げで堪能していた。
さすがに家具を汚すようなことはしなかったけれど、
真姫ちゃんのママが炭酸が飲めない子はいないかきくために部屋に入ってきたときには
二人とも血の気が引いたような顔をしていた。
真姫ちゃんの家では水道から炭酸飲料がでる。
最近はコカコーラ・クリアにしたらしい。
真姫ちゃんが無理やり頼みこんで変えてもらったんだって。
海未ちゃんが炭酸苦手だとしったときはニコも驚いた。
なぜかはわからないけれど花陽ちゃんが一番驚いていた。
穂乃果ちゃんとことりちゃんは二人して気まずそうな、だけど、ほかのメンバーよりも海未ちゃんを知っていることに対する誇らしさを顔に浮かべていた。 ニコが真姫ちゃんを好きになったのは、
見た目がμ'sのなかで一番アイドルらしい見た目をしていたからとか、そういうことじゃない。
こころとここあにちょっと似てるとか、そういうのでもない。
そもそも、愛か性欲かなんて、どうでもよかったのっ!
一方通行ならば、どっちともふしだらなものには変わりないし。
よく少女漫画とかの両思いはいかにも御都合主義だなんていうけど。
そういうことを言う人たちに限って、御都合主義て呼ばれてるものが実現されたらどれだけステキなのかわかってないくせにね。 この前真姫ちゃんと二人でお買い物にいった帰りの夜に誰もいない公園でしゃべったとき、
好きだって気づいた。
昔の映画で雪のなかブランコに乗ってるおじさんをみたことあるけれど、あの時は、そんなことをしてみたい気分だったの。
周りに舞っているのははかない雪じゃなくてうるさい音を出しながら飛びまわる蚊。
ニコはA型だからそこまで吸われないかったし、安心して夜のブランコを楽しめた。
もちろん、マッキーと二人乗りはしなかったよ?
だってアイドルは危険なことをしてはならないから。
アイドルはかわいくかっこよくなければならない。
アイドルは傲慢で謙虚でなければならない。
アイドルは一番脚光を浴びていなければならない。
アイドルは一番モテモテでなければならない。
アイドルは歯が欠けていてはならない。 真姫ちゃんが隣でメロディを口ずさみ始めた。
ニコはちょっとしたイタズラとしてeAst heArtの2ndシングルを歌ってみた。
すると真姫ちゃんは怒り始めた。
ニコはちゃんと謝ったの。
まるで彼女に別れ話を切り出されたみたいに。
ニコはこそばゆい気持ちがして、
なにを話したらいいのかわからなくなってた。
真姫ちゃんの横顔を見つめてるだけじゃ変人だと思われそうだったんだよね。
別にそう思われたところでなんてことはないけど。
最近どう、なにかあった? なんていったっけ。
自分でも下手な質問だと思った。 真姫ちゃんは、最近R・A・ラファティの『昔には帰れない」を読んでるの、といった。
真姫ちゃんは本を読むときには1ページずつ破っていく。
その快楽主義的な読書への姿勢は、練習も読書もストイックを貫く海未ちゃんのそれとときどき対立した。
このまえニコがおすすめのアイドルの自伝を貸したときにも全部のページを破いちゃって
アマゾンで新しく買ったものを代わりに返してくれたし、
図書館で本を借りたときには、
全ページ原稿用紙に写してからそれらを破っていた。
だからみんな本を汚しちゃったときには真姫ちゃんに貸して、
新しいものをもらう習慣ができていた。
絶版本は誰も貸さなくなった。 そっか、とニコはこたえた。
「にこちゃん」
「なあに?」
「学校は楽しい?」
「えーなにそのスクールカウンセラーみたいな言い方」
「……」
「楽しいよ」 のどがかわいたから自動販売機でコカコーラ・クリアを買った。
喉を通ればすぐになくなる作りものの甘い味、
それをごまかすように激しく弾ける炭酸。
真姫ちゃんも何か買いたかったみたいだけど、
小銭を一円玉が六つと十円玉が七つしかもっていないらしかった。
「これ、よかったら飲んでニコ♡」
「……ありがとう。これから大金を持ち歩くのはやめたほうがいいかしら」
自嘲っぽく真姫ちゃんはいった。
もしかして嫌味だったかもしれないけどね。
公園の灯に照らされた紅しょうがみたいな髪。
口部に唇をつけて、
長く伸びた睫毛に縁取られた目をつぶりペットボトルをおもむろに傾けて。
ちょっと脇のしたをくすぐると、
真姫ちゃんはむせるのを必死に堪えながら無理やり飲みこんだ。 吐き出すことはなかったけれど、
ペットボトルからは半分以上が飛び散ってニコの顔や服にもかかっちゃった。
「あーあ、べとべとになっちゃったニコ……」
「色のついたジュースを買わなくてよかったわね」
「それはそうだけどね」
「自業自得、って言葉はこういうときに使うって小学生のころ習ったの」
「……ごめん、調子乗りすぎたバツだよね」
「……」
「……」
「ねえ」
「……なあに」
「拭いてあげる」
そういって、真姫ちゃんは自分の唇でニコの口をふさいできたの。
お互いの歯が当たって、ガチっと音がした。
どんな味かはもう忘れちゃったけどね。 もうちょっとだけニコの話をきいてね?
真姫ちゃんの家ではケーキは食べないって決めてた。
だって家で家族が待っていたから。
アイドルは家族を大事にする。
みんなプレゼントボックスをもってきていた。
とくに気になったのは希ちゃんのモノ。
たくさんの目玉のような模様がついた、ニコの腰くらいの大きさの壺だった。
覗いてみると、銀色の液体が蒸気を吐きだしながらぶくぶくと音を立てていた。
どうやら中にプレゼントが入っているらしかった。 「先週にこのプレゼントを一緒に探しに行った帰りから怪しいと思ってたのよ」
絵里は呆れ顔でいった。
「希ったら、思いついたかのようにスーパーにいこ!っていいだして。
牛豚ひき肉、ナス二本、黄色いパプリカ一つ、たくさんのししとう、たまねぎ一つ、トマト一つを大急ぎで買っていったのよ」 >>17
修正
「先週ニコのプレゼントを一緒に探しに行った帰りから怪しいと思ってたのよ」
絵里ちゃんは呆れ顔でいった。
「希ったら、思いついたかのようにスーパーにいこ!っていいだして。
牛豚ひき肉、ナス二本、黄色いパプリカ一つ、たくさんのししとう、たまねぎ一つ、トマト一つを大急ぎで買っていったのよ」 「そろそろ、みんなでニコにプレゼントを渡しましょう」
落ちついた声で海未ちゃんはいった。
だけど、
部屋には真姫ちゃんがいなかったの。
「ねえ海未ちゃん、真姫ちゃんがいないからもうちょっと待とう?」
「……そうですね」
「トイレにでもいってるんじゃないかにゃ?」
「やだなぁー凛ちゃん、アイドルはトイレなんていかないニコ♡」 三十分待っても真姫ちゃんは現れなかった。もしかして、プレゼントをなくして部屋で探してるとか?
まさかニコとキスをしたことを思い出して今更罪悪感に押しつぶされてるとか?
LINEでスタンプ連打しても既読はつかない。
いろんな推測が頭の中に浮かんだの、
逡巡のすえにニコは決めた、
部屋まで呼び出してくる! これは別に信じてくれなくてもいいんだけど、
真姫ちゃんの家の廊下は本当にどこまでも続くようだったの。
みたことのない絵がところどころ壁にかけてあって、
風景画がほとんどだった。
決して古いヨーロッパを描いたようなものだけじゃなくて、
現代の学校のような風景の絵もあったけれど、
詳しいことはわからなかった。
昼間だから電気ついているわけないし、
かといって窓があるわけでもないから妙に薄暗くて。
真姫ちゃんのママは、真姫の部屋はまっすぐ進んだ先の行き止まりにある、私は部屋に入らないようにしてるから、なんていってた。
なんども同じ絵をみたような気がした。
ううん、実際何度も同じものを見たんだと思う。 こんな奥までいくとクーラーもついていないらしくて、
背中に汗の膜がうすくべっとりとできていることにきづいた。
スマホをみても圏外。
なによりもニコを悩ませたのは、
最初は広いと思っていた廊下が、
だんだん狭くて苦しい場所のように思えてきたことだったんだよね。
ううん、
あれは本当に『廊下が狭くなっていた』!
そしたらね、前のほうに何かがうずくまっていたの。
真姫ちゃんだった。 「……にこちゃん?」
「真姫ちゃんっ!? こんなところでなに……」
「それはこっちのセリフよ。早くみんなのところへ戻って」
「何言ってるの真姫ちゃん? 今日はニコが主役ニコ♡ だから、マッキーはニコニーから離れちゃだめなの♡」
「私はこれから、この階段の下へいかなきゃならないの」
真姫ちゃんの後ろには扉があった。
中は暗くてみえない。
「いかなきゃって、いったい何が……?」
「そんなことはどうでもいいじゃない」 「じゃあ泣いてたの」
「……」
「下にいくのが怖かったんでしょ?」
「……」
「じゃあニコといこう? ニコはアイドルだから、きっと一緒にいれば明るくなれるニコ」
「……にこちゃん、急いで!」
「え?」
廊下が更に狭くなっていた!
いや、ニコがいくらスレンダーな体型だからって流石に通れないってくらい。 壁にかかっている絵は近くで見ると
抽象的に描かれているけれど
全部ニコがいったことがあるような景色だって気づいた。
「にこちゃんっ!」
真姫ちゃんは叫んで、ニコの手をぐいっと掴んだ。
重心が一瞬ずれて
ふわっと宙に浮いた感覚がして
そのまま階段から落ちていったの。 階段から落ちたさきには洞窟の道が続いていた。
壁に触るとボロボロと砂が崩れていった。
一本の太い管が壁に沿って伸びていて、
真姫ちゃんのいうところによると水道管らしかった。
サイリウムがランプのようにかかっていて、キッチュな色をピカピカと放っていた。
オレンジ、白、水色、緑、赤、紫、青、イエロー、ピンク。
「真姫ちゃん、こわい?」
「……にこちゃんこそこわがってるでしょ。手、震えてない?」
ぎゅって手を握った。
さっきまで暑かったのに急に体が冷えてきて。
真姫ちゃんの手はニコの手以上に冷たかったから温かさは感じられなかった。
靴下をはいていただけだったから、
足にときどき石が食いこみそうになるのが心地よかった。
色々なことを思い出していたんだよね。
こころと、ここあのこと。
ママのこと。
パパのこと。
μ'sのこと。 「遅かったじゃない」
ひどく底冷えした、どこかで聞いたことのある声が前から聞こえた。
真姫ちゃんはきゅうにビクってした。
「……誰なの?」
「あなたが一番誰かしってるでしょ?」
暗くてよくみえない。
「にこちゃん、今、目の前にいるのが……」
「こいつのこと知ってるの?」
「私、知ってる。知りすぎているほど知ってる」
真姫ちゃんはペタンとお尻を落として座りこんでしまった。
スマホを取り出してライトの光を向ける。 そこには、歯がいた。
生クリームのように白く、大きさはニコと同じくらい。
「そうよ、真姫。あんたは知りすぎた」
歯はニコたちの方を睨みつけながらいった。
「……あんたは私が抜けたあと、床下へ投げ棄てた。
永久歯がちゃんと生えてきますように、って願いながらね。
もう一個の歯もいたけれど、今はどこにあるのかわからないわ。
私は、あらゆるあんたから抜けた歯なのよ。だから、私はどの世界の『矢澤にこ』の集成なのよ」
「……そういう話は真姫ちゃんが好きそうニコ」 「だけど『矢澤にこ』は増えすぎた。
あんたが知らない場所で『矢澤にこ』は有名になったからよ。
『矢澤にこ』を知ってるひとたちは、
この状況なら『矢澤にこ』はどう行動するか。
この状況なら『矢澤にこ』はどんな言葉をいうか。
それらを思い描けてしまうほどにそれぞれの『矢澤にこ』を持っているのよ。
いってしまえば、その人のなかにそれぞれの『矢澤にこ』が歌って踊って、スクールアイドルをやっている。
その『矢澤にこ』は少しずつ違う」
「当たり前ニコ。
だってえー、ニコはみんなのアイドルだから♡」
「ええ、そうよ。
だから今ここですべての『矢澤にこ』を『みんなのアイドル』にするのよ。
例えばあんた、そのアイドルとしてのキャラだって、アイドルのことを馬鹿にされたりしたときには途端に止めて怒るわよね?」
「そりゃあ、どうしても聞き流せないときはね」
「だからといって、怒ったニコが本物だとか、普段のニコがニセモノだとか、そういうことではないでしょ?
だとしたら––––例えば普段はむっつり顔の『矢澤にこ』とか、あんたとは全然違う『矢澤にこ』がいても別におかしくはないんじゃないの?
すべての『矢澤にこ』を正当化して、全人類に『矢澤にこ』をデフォルト化させる。
それが『みんなのアイドル』になるってことよ」 「……それで、ニコはなにをしたらいいの?」
「簡単よ。そこの水道管を破裂させると炭酸飲料がでてくるでしょう?
私を炭酸飲料で漬けて溶かしてくれればいいのよ。
私は『矢澤にこ』の集成だから、私自身がなくなれば『矢澤にこ』は『みんなのアイドル』になる」
「そんな馬鹿みたいことできないよ……!」
「そうよね、こんな歯にいきなり頼みごとをされたって困るわよね」
「……」
「ところで、私、昔から清涼飲料水のCMとかやってみたかったのよね」
「……え」
「炭酸飲料に漬かるイメージとか、そういう類のCMにありそうね、なんて思ってたのよ」
「……」
「……」
「……るニコ」
「え?」
「あなたの話はよくわからなかったけどね。
あなたを漬けて、溶かしてあげるニコ」
「……ありがとう、ニコ」 転がっていた拳くらいの大きさの石を手に取り
水道管に何度も打ちつけるけれどなかなか破裂しない。
「にこちゃん。私も手伝うわよ」
さっきまで震えていた真姫ちゃんは立ち上がり、ニコが握る石のうえに手を乗せた。
せーのっ!
メキッという間抜けな音がして、
折れ曲がった部分からちょろちょろと雫がこぼれ落ちて、
一瞬止まったとおもったら
動脈が切れたようにコカコーラ・クリアが吹き出して、
サイリウムの光に照らされ九色に輝いた。 「早く行きなさいよ」
「……ねえ、あなたも『矢澤にこ』なんだよね?」
「……私は『矢澤にこ』の集成でしかないわよ」
「じゃあ、やっぱりニコなんだよね。
誕生日、おめでとうニコ♡」
「……ありがとう。あんたもおめでとう」
歯は照れながらいった。
「そうだ、ほら、一緒にアレをやろうよ!
ほら、マッキーも♡」
「ええぇ!?」
「……そうね、アレ、やってみようかしら」
「「「にっこにっこにいぃぃっ!!!」」」
「……」
「……」
「……クスクス」
「ぷぷっ」
「って、あんたたち微妙にずれてたわよっ!」 「……そういえば一つ言い忘れてたけれど、『みんなのアイドル』になる––––つまり私が溶けきった瞬間––––すべての『矢澤にこ』が、全人類に流れこむのよ。
もちろん普通の人は気づかないだろうけれど、
あんたたち二人はことの顛末を知ってるから、
きっと気づいてしまうでしょうね」
「もし住んでいることに気づいたらどうなるニコ?」
「その人の中に忘れるまで『矢澤にこ』が住みつくことになる。
もともとこの世界の『矢澤にこ』であるあんたには関係ないでしょうけれど。
ていうか、最初からあんたはこれが狙いだったんでしょう?真姫」
「……バレてたみたいね」
「……そうすればあんたの中の自分好みの『矢澤にこ』が正当化されるのよね。『矢澤にこ』はみんなのアイドルだからいいけれど」
「……」
「……そろそろ本気で行った方がいいわよ。あんたたちまで溺れ死したくないでしょう」 階段についたころはもうすでに膝のあたりまでコカコーラ・クリアがきていた。
廊下はもとの広さに戻っていた。
「ねえマッキー、ニコたちまた部屋に戻れるの?」
「もちろんよ」
なんて話してたけれど、実際には二時間くらい歩き続けてたと思う。 「あ、マッキーみて!あれ、部屋の扉じゃない?」
「ほら、ちゃんと私の言う通り着いたでしょ?
みんなが待ってるわよ、主役の登場を」
「ふふっ、知ってるニコ♡」
ドアノブを握ったその時だった。
––––あんた達が成仏できることを、心から祈ってるわもしかしたら部長の器には相応しくないのかもしれないって学校に来れないのはあんたが国外連行してるせいでもあるのよこれで12連敗……?13連敗……?
私がアイドルになれても、救われない人間もいるんだなってねあっ♥あっ♥あっ♥あっ♥生まれ変わっちゃったんだ……前世が遠いわ
主人公がいる限り世界はずっと続くのよ!戦いの時間よ!!!
アンタらに、何がわかるってのよ………私は通りすがりのお姉さんにこお♪
ため息なんてついちゃってどうしたのよー
ていうか私たちはアイドルなんだから恋人なんか作っちゃだめよ!あっ・・・(´・Д・)それより早いところ着替えて帰るわよスーパーハラショーって何語なのよ……
まあそれはいいわ。 出てきなさい!いるんでしょ!?…だれだ今寒いって言った奴は
というか、存在しない駅に穂乃果はいる、ってこと? まったく……せっかくの戦利品が台無しになったらどうすんだかでもあんたってむしろ、清純派キャラじゃない
これはあくまで、私の仮の姿である。 ☆にこにーは一人3回までニコ♪ この9人の中でにこしかないじゃない!抱きしめてるとこ見られなくて良かった…
ひぃいいいぃいぃぃいいぃいいいぃいんっ///
ざまぁみろ〜! いい気味だわ〜!
やっぱりあんた私のストーカーなの……?げっけっけんっ…ちゅ、ちぅちぅ…んちゅぅぅぅっっ…ま、一週間も一緒にご飯食べてればね。さすがに馴染みもするでしょ
ああ、確かに、ことりの言うとおり、それまでの私達は良い関係とは言えなかったわでもね穂乃果、やっぱり私にはあなたが遥か遠くに見える
にこは皆のアイドルにこにー……頼まれたら断れないニコ!声が裏返ってるわよにこ達は、真姫ちゃんが心配なのよこれは、私が答えをいうべき……なのよね……?
トラブルはなに?!うちはね、そんな軽々しく入れる部じゃないの。もう我慢ならないのよ!あんた達と一緒にされるのは!『愛がなければ、にこにーを呼べばいいじゃない』……にこっ!–––
ニコは泣いていたの。
その場にしゃがみ込んで。
目をこすって。
自分でも意味がわからなくって。
扉にゆっくり手をあてると、向こう側からμ'sのみんなの声が聞こえてきた。
「真姫ちゃん。コカコーラ・クリア、あとでみんなで飲もうよ」
「……ええ。もちろん」
ゆっくりとニコは立ち上がった。
これから、やっと誕生日パーティーが始まる。
ここまでニコのお話をきいてくれて、ありがとう。
ニコのことをよく知ってるあなたの中にも
きっとあなたの『矢澤にこ』がいるはずだから。
これからもずっと、ニコはみんなのアイドルるだから。
あなたはニコに、どんなプレゼントをくれるのかな?
ふふ、ニコニーわくわくしてきちゃった♡
おわり。 >>37の他人の中の矢澤にこの部分でしょ
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