花丸「心中」
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鞠莉「でも、希望は捨てちゃ駄目よ」
鞠莉「もう二度と、ルビィと一緒に居られないと決まったわけではないもの」
花丸「そんな根拠のない慰め、いらないよ」
鞠莉「根拠ならあるわ」
花丸「えっ」
鞠莉「貴女はまだルビィに会いたい?」
花丸「そりゃ、もちろん」
鞠莉「それなら、私が力になろうか」 とりあえず時間ないのでここまで
投稿遅れてすみません、安いホテル回っていたら予想外にネット環境がない状態が続きました
続きは投稿できれば今日の夕方以降に 理解力ないんだけど梨子ちゃんもレズだけど過去の経験から注意してるってことかな? 過去の経験もそうだし、
今はヨハネの事が好きであると
ずら ――黒澤家――
ルビィ「……ごちそうさま」
ダイヤ「あら、もういいのですか」
ルビィ「うん、食欲がなくて……」
ダイヤ「やはり私の作った料理は口に合わなかったでしょうか」
ルビィ「そんなことない、美味しかったよ」
ルビィ「むしろ、お母さんがいなくて二人で作りべきなのに、任せちゃってごめんね」
ダイヤ「私から言い出したことなので、それは構いませんが……」
ルビィ「…………」 ダイヤ「ルビィ?」
ルビィ「あっ、ごめんね」
ルビィ「ちょっとだけ、考え事」
ダイヤ「まだ忘れられないのですか、花丸さんのことを」
ルビィ「……うん」
ダイヤ「難しい問題、ですね」
ダイヤ「私も愛する人と引き離されたら、堪えるでしょう」
ダイヤ「貴女がそれを引き起こした私とこうして話をしてくれている事すら、驚きです」 ダイヤ「しかしこれはあなたの為なのです」
ダイヤ「申し訳ないと思っています」
ダイヤ「私だって貴女の気持ちを考えれば反対はしたくない」
ダイヤ「だけどこのままでは、あなたの人生に大きく関わります」
ダイヤ「姉として、そのような事態を見過ごすことはできません」
ルビィ「うん、分かってるよ」
ルビィ「お姉ちゃんがルビィのことを考えて行動してくれてる事は」
ルビィ「だから気にしないで、本当に」 ダイヤ「……いいのですよ、私を責めても」
ルビィ「しないよ、そんなこと」
ルビィ「お姉ちゃんは悪くないもん」
ルビィ「馬鹿なルビィが何も考えずに築いた関係の責任を背負ってくれた」
ルビィ「感謝してるよ、ルビィは」
ダイヤ「……ルビィ」
ルビィ「ちょっと作らなきゃいけない衣装があるから、部屋に戻るね」
ダイヤ「大丈夫ですか? 何か私にも――
ルビィ「大丈夫――今日は1人にさせて」
ダイヤ「……分かりました」 ※
ルビィ「…………」
ルビィ(無心で裁縫をしていると、少しだけ落ち着ける)
ルビィ(大好きな事を、大好きなアイドルの為にやる)
ルビィ(ある意味、一番好きなはず時間)
ルビィ(それなのに、楽しくない)
ルビィ(どんな物を作り上げても達成感を感じない、作業自体が億劫にさえ感じる)
ルビィ(その原因は明白で、自分にとって彼女がどれだけ大きな存在だったかを、思い知らされる) ルビィ「マルちゃん……」
ルビィ(いったいどれだけの時間、あの子に会えていないのだろう)
ルビィ(これからの人生、会うこともできずに過ごす時間は、どれほど続くのだろう)
ルビィ(大きくなって、お互いに結婚して、互いの人生を確立して――)
ルビィ(果てしない時間、まるで想像もできないような)
ルビィ(耐えられないよ、そんなの)
ルビィ「会いたい」
ルビィ「会いたいよ、マルちゃんに」
ルビィ「また二人で一緒に―― 花丸「ルビィちゃん」
ルビィ「えっ」
ルビィ(マルちゃんの声?)
花丸「ルビィちゃん」
ルビィ(でも、おかしいよ。こんなところに居るわけない)
ルビィ(もしかして、幻聴かな)
ルビィ(会いたい気持ちが強くなりすぎて、そこまで――
花丸「ルビィちゃん!」 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:1341adc37120578f18dba9451e6c8c3b) ルビィ「マル、ちゃん」
ルビィ(窓の外から、確かに聞こえる声)
ルビィ(幻聴じゃ、ない)
ルビィ(聞き慣れた、大好きな人の声)
ルビィ(想い焦がれていた、本物の)
ルビィ(早く、早く窓を開けて――
ガラッ
ルビィ「マルちゃん!」 花丸「ルビィちゃん!」
ギュッ
花丸「会いたかった、会いたかったよ」
ルビィ「うん、ルビィも」
花丸「少し痩せた?」
ルビィ「マルちゃんと会えなくなってから、食欲がなかったからかな」
花丸「ルビィちゃんは元々痩せてるんだから、心配だよ」
ルビィ「でもマルちゃんも、そうでしょ」
花丸「あはは、マルはちょうどいいダイエットになったから」 ルビィ「どうやって、ここまできたの?」
花丸「鞠莉ちゃんが助けてくれたんだ」
花丸「こっそりここまで送って、監視の目も潜り抜けられるようにしてくれて」
ルビィ「鞠莉ちゃんが……」
花丸「あっ、話してる場合じゃなかった」
ルビィ「ど、どうしたの」
花丸「急いでこっちに来て!」
ルビィ「えっと、どこか行くの?」 花丸「一緒に逃げよう、ルビィちゃん」
ルビィ「へっ」
花丸「駆け落ちしよう、お互いの家族の手が届かないところまで」
ルビィ「駆け落ち? でも、そんな――」
花丸「いいから、マルに付いてきて」
花丸「マルを愛してるなら、お願いだから」
ルビィ「でも、ルビィ達だけじゃ……」
花丸「大丈夫、鞠莉ちゃんが助けてくれるから」 ルビィ「助けてくれる?」
花丸「マルたちの関係に反対する人のいない所へ連れて行ってくれるって」
ルビィ「反対する人に、いない所……」
花丸「ルビィちゃん?」
ルビィ「それは、駄目だよ」
花丸「どうして」
ルビィ「だってお姉ちゃんと離れ離れになっちゃう」
ルビィ「そうなったら、お姉ちゃんは絶対自分を責める。それは――」
花丸「ルビィちゃん!」 ルビィ「ピギッ」
花丸「前に言ったよね、ダイヤさんよりマルが好きだって」
ルビィ「い、言ったね」
花丸「もうどちらかしか選べないの」
花丸「マルか、ダイヤさんか」
花丸「選ばれなかった方とは、会えなくなる」
花丸「選ばれなかったことに深く傷つく」
花丸「でも決めて、ルビィちゃんが望む方を」 ルビィ「…………分かった」
ルビィ「ルビィは、マルちゃんと行くよ」
花丸「ルビィちゃんっ」
ルビィ「でも、少し待って」
花丸「へっ」
ルビィ「この書き置きを――」
『鞠莉ちゃんの家へ遊びに行っています』
ルビィ「こうすれば、しばらく時間を稼げるでしょ」
花丸「おぉ、流石ルビィちゃんずら」 ルビィ「本当は嘘をつきたくないけど、仕方ないよね」
ルビィ「お姉ちゃんもルビィが消えた後、嘘つきの酷い妹だって思っていた方が、傷つかずに済むだろうし」
花丸「……ごめんね、マルの所為で」
ルビィ「気にしないで、決めたのはルビィだから」
ルビィ「早く行こう」
ルビィ「一緒に居るところを見られるわけにはいかないから」
花丸「う、うん!」 いったんここまで
夜と言いながら朝投稿が続いているので、この感じだと次は明日の朝かなと笑 ―沼津駅―
鞠莉「着いたわよ」
花丸「ありがとう、鞠莉ちゃん」
鞠莉「悪いわね、ここまでしか送れなくて」
花丸「気にしないで。本当にありがとう」
鞠莉「じゃあ私は戻るわね。後は計画通りに」
花丸「うん」
鞠莉「困ったことがあったら連絡するのよ」
ブロロッ
. ルビィ「鞠莉ちゃん、車の運転なんてできたんだね」
花丸「こっそり免許を取ってたらしいよ」
ルビィ「凄いねぇ、やっぱり大人だなぁ」
花丸「ルビィちゃんは、運転ができる人が好きなのかな」
ルビィ「どうして?」
花丸「駆け落ちしたら、きっと免許を取れないから、嫌かなって」
ルビィ「あはは、そんなの気にしないよぉ」
ルビィ「ルビィはマルちゃんが居れば、それでいいんだよ」
花丸「……ありがとう」 ルビィ「それで、この後はどうする予定なの?」
花丸「北海道の方に鞠莉ちゃんの家があるらしいから、そこへ行く予定」
ルビィ「北海道かぁ」
花丸「うん、出来るだけ遠くへ逃げた方がいいだろうって」
ルビィ「なら、今からどこへ向かうの」
花丸「とりあえず東京へ行って、そこから飛行機に乗る予定」
ルビィ「へぇ、じゃあ新幹線?」
花丸「うん――あれ」 ルビィ「どうしたの」
花丸「切符、どこにやったかな」
ルビィ「もしかして無くしちゃった?」
花丸「そ、そんなことはないはずなんだけど」
花丸「あれ、あれ、おかしいな」
ルビィ「お、落ち着いて、それならちゃんと探せばあるはずだよ」
花丸「う、うん――あっ、あった」
ルビィ「よかったぁ」 花丸「あ、安心したら腰が……」
ルビィ「大丈夫?」
花丸「ごめんね、段取り悪くて」
花丸「こんな格好悪いところばかりみせて、不安になっちゃうかな」
ルビィ「そんなことないよ」
花丸「でも」
ルビィ「格好いいよ、花丸ちゃん」
ルビィ「一刻も早く、ルビィの元に来てくれようとしてくれたんだよね」
ルビィ「嬉しいよ、本当に」
花丸「ルビィちゃん……」 ルビィ「ルビィね、諦めてた」
ルビィ「もう花丸ちゃんに会えないって、お姉ちゃんの言うことを受け入れようって」
ルビィ「でも、こんな風に来てくれて、連れ出してくれて」
ルビィ「マルちゃんは、最高の恋人だよ」
花丸「ありがとう」
花丸「そう言ってくれて、すごく嬉しい」
花丸「不安だったんだ、拒絶されないか」 花丸「本当に辛かった、会えない日々は」
花丸「だから鞠莉ちゃんが協力を申し出てくれた時、すぐにそれを受け入れた」
花丸「でもね、怖かった」
花丸「ルビィちゃんはもう、マルの事なんてどうでもいいと思っているんじゃないかって」
花丸「何の抵抗もできずに、あっさりと関係を断ち切られてしまったマルを、見損なっているんじゃないかって」
花丸「もう、マルの事を好きじゃなくなったかもしれない、そんな考えが頭をよぎってたの」
花丸「でも、それは杞憂だった」
花丸「ルビィちゃんはマルの事を想っていてくれた、大切なお姉ちゃんよりも」
花丸「それがただ、嬉しい」 ルビィ「酷いなぁ、マルちゃん」
ルビィ「マルちゃんの事を好きじゃなくなるなんて、あるわけないのに」
花丸「えへへ、ごめんね」
ルビィ「いいよ、気持ちは分かるもん」
ルビィ「ルビィだって、全く考えないわけじゃなかった」
ルビィ「バレた原因はルビィだし、マルちゃんが見損なわれてもおかしくない」
ルビィ「でも信じてた」
ルビィ「そうしたらこうやって、迎えに来てくれた」
ルビィ「だからね、どんなことがあってもルビィはマルちゃんを信じるよ」
ルビィ「どんなことがあっても、好きでいるよ」 花丸「ルビィちゃん……ありがとう」
ルビィ「それじゃあ、行こうか」
花丸「うん」
ルビィ「もう、戻ってくることはないのかな」
花丸「そうかもしれない」
ルビィ「マルちゃんは、寂しくない?」
花丸「寂しくないといえば嘘になるよ」
花丸「でもルビィちゃんと一緒に居られない以上に、寂しいことはないから」
ルビィ「そうだね、ルビィも一緒」
花丸「……今度こそ、ずっと一緒に居ようね」
ルビィ「うん」
ルビィ「絶対に、ルビィの元から離れないでね」
花丸「うん、今度は絶対に離れない」
花丸(それに、もし離されそうになったら、その時は――――) ―小原家―
ダイヤ「鞠莉さん!」
鞠莉「あら、どうしたのダイヤ」
鞠莉「せっかくの可愛い顔に皺が寄ってるわよ」
ダイヤ「それどころではありません!」
鞠莉「へぇ、何事かしら」
ダイヤ「とぼけないでください」
ダイヤ「ルビィが家から消えました」
ダイヤ「そして花丸さんも行方不明になったそうです」
ダイヤ「二人を、どこへやったのですか」 鞠莉「何のことか分からないわね」
鞠莉「私がルビィと花丸の事なんて知るがないでしょ」
ダイヤ「ルビィが残した書き置きに、貴女の名前がありました」
ダイヤ「それに二人には監視をつけていたはずです」
ダイヤ「それを破って、どこかへ逃がす」
ダイヤ「こんな大掛かりな事ができるのは貴女しかいません」
鞠莉「あらあら、ずいぶんと高く評価してくれるのね」
ダイヤ「この期に及んで、よくそんなことを……」
鞠莉「きっと二人で上手く逃げただけよ」
鞠莉「どこかの硬度10のお姉さんから逃れるために」 ダイヤ「無事なのですか、あの子たちは」
鞠莉「さあ」
鞠莉「でもきっと、元気だとは思うわ」
ダイヤ「……そうですか」
鞠莉「もし場所が分かったら、どうするつもりなの」
ダイヤ「当然、連れ戻します」
ダイヤ「それが私の、姉として、先輩としての義務ですから」
鞠莉「そう……」
鞠莉「それならきっと、二人の居場所は不明なままね」 ダイヤ「貴女は何もわかっていない、何も考えていない」
ダイヤ「この行為は、自己満足の為でしょう」
ダイヤ「叶わない気持ちを持った自分とあの子たちを重ねて、自らの望みを託しているだけ」
ダイヤ「信じられないほどに、自分勝手な行為です」
鞠莉「……そうね、否定しないわ」
鞠莉「だけどね、少なくともあの子たちは喜んでいる」
鞠莉「貴女ではなく、私を肯定している」
鞠莉「その時点で、間違っているのは貴女の方よ」 ダイヤ「……なるほど、よく分かりました」
ダイヤ「貴女の事は、問題が解決するまで友人とは思いません」
ダイヤ「世界一大切な妹を貶める敵として考えることにします」
ダイヤ「内浦で黒澤家を、私を敵に回す」
ダイヤ「それ相応の報いを受けることを覚悟しておいてください」
鞠莉「……残念ね、それは」
ダイヤ「では、私は失礼します」
ダイヤ「また友人として再会できる日が来ることを、期待していますよ」
鞠莉「そうね」
鞠莉「でもその日は来ない」
鞠莉「来させないわ、絶対に」 とりあえずここまでです
明日の朝に更新がなかったら、続きは明後日以降になると思います んー同性愛が特殊といいながらこのグループはレズの割合が多すぎませんかねぇ…
はやく書くずら!待ってるずら 最初から読み返したらまるちゃんがいきなりクライマックスだった これからの展開を思うとキツいけどこの鞠莉とダイヤのやりとり好きだわ… >>371
そうですね、ご指摘ありがとうございます
では再開します ――函館――
ルビィ「凄いなぁ、海」
ルビィ(北海道へ来て少しの時間が経った)
ルビィ(今のところ、追っては来ていない)
ルビィ(二人で鞠莉ちゃんの知り合いのお世話になりながら、ひっそり暮らす日々)
ルビィ(外出する時も髪型を変えて、目立たないように行動する)
ルビィ(下手な行動を取ることはできない、見つかったら終わり)
ルビィ(でも、幸せな日々) ルビィ(だって横には常にマルちゃんが居るから)
ルビィ(一緒に寄り添って暮らしている)
ルビィ(一度離れ離れになる前よりも、近い距離)
ルビィ(まるで本当に駆け落ちした夫婦みたい)
ルビィ(鞠莉さんの家の人たちは、みんな理解があってやさしい人)
ルビィ(外国の人だからなのかな、それとも立場が作る余裕?)
ルビィ(立場、はあると思う) ルビィ(少なくともお姉ちゃんの立場で、ルビィ達の関係に賛成できない)
ルビィ(例え本心では理解があるとしても)
ルビィ(そこの事に気づいたのは、最近の事で)
ルビィ(もっと早く気付いていれば、何か変わったのかな)
ルビィ(相いれない事は不変だから、変化なんてないかな)
ルビィ(でも結果は変わらなくても、もっとお姉ちゃんにやさしくできたかもしれない)
ルビィ(後悔をしても、もう遅いけどね)
ルビィ(だってもう、会うことはないんだから) ルビィ(……あそこのハンバーガー、マルちゃん好きそうだな)
ルビィ(今度、教えてあげよう)
ルビィ(せっかく駆け落ちしたのに、残念なのは一緒に外出できない事)
ルビィ(二人でいたら目立つから、変装して別々に出かけるだけ)
ルビィ(今日は前から気になっていた赤レンガ倉庫に来てみた)
ルビィ(お洒落で可愛いお店もたくさんあって素敵)
ルビィ(多分、デートにピッタリな場所)
ルビィ(カップルみたいな人、たくさん見かけたもん) ルビィ(どこかで海外に連れていくからその時までの我慢だって、鞠莉ちゃんが電話で言ってた)
ルビィ(もう少し、本当に自由な立場までもう少しだ)
ルビィ(だから今の寂しさぐらい、我慢しないと)
ルビィ(でも、外で一緒に話ができる友達ぐらい欲しいなぁ)
ルビィ(ルビィ達の事を理解して、存在を外部に話したりしない、理想的な友達――)
??(……)
ルビィ(例えばそこに座っているような、同い年ぐらいの子なんて――)
??「ん?」
ルビィ(あれ、こっち観た) ??「……」
ルビィ「ピギッ」
ルビィ(こ、こっちに来る)
??「ねえ、そこのあなた」
ルビィ「な、何ですか」
??「あなた、黒澤ルビィ」
ルビィ「えっと」
ルビィ(もしかして、黒澤家の人?)
ルビィ(ば、ばれたの、どうしよう、逃げなきゃ――) ??「その反応、私のこと覚えてないの?」
ルビィ「えっ?」
理亞「鹿角理亞、Saint Snowの」
ルビィ「あっ……」
理亞「思い出した?」
ルビィ「東京で会った、あのバク宙の」
理亞「……何か微妙な覚えられ方ね」
ルビィ「あ、あはは、インパクト強かったから」 理亞「なにしてるの、こんなところで」
ルビィ「え、えっと」
理亞「観光?」
ルビィ「う、うん」
理亞「でも今は普通に学校のある期間でしょ」
ルビィ「まあ、そうなんだけど……」
理亞「もしかして、訳ありな感じ?」
ルビィ「そ、そうなんだよね」 理亞「まあ、詳しいことは聞かないでおくわ」
ルビィ「ありがとう、理亞――さん?」
理亞「同い年なんだから呼び捨てとかでいいわよ」
ルビィ「そう?」
理亞「そ、そうよ」
ルビィ「じゃあ――理亞ちゃん?」
理亞「『ちゃん』は付いてくるのね……、まあいいけど」 ルビィ「でもよくルビィだって分かったね」
ルビィ「髪型とか、普段と変えてるのに」
理亞「まあ、貴女は特に気になっていたから」
ルビィ「気になってた?」
理亞「少し前にね、あなた達のライブの動画を姉さまにみせられたの」
理亞「凄くいい動きをして、みんなイキイキしてた」
理亞「その中でも特に、貴女は輝いてた」
理亞「本当に楽しそうに歌って、踊って……」
理亞「その時確信したの、この子は私と決勝で戦うライバルになると」 ルビィ「……そうだね」
理亞「なによその反応」
理亞「自信がないの?」
ルビィ「そういうわけじゃないんだけど……」
理亞「じゃあなに? 私たちが予選で負けるとか考えてるの?」
ルビィ「それも、違うんだけど」
理亞「……煮え切らないわね」
ルビィ「ごめんね」
理亞「もう、まさかアイドルを辞めたからとかじゃないでしょ」
ルビィ「…………」 理亞「えっ、本当に?」
コクリ
理亞「本当にアイドル、辞めたの?」
ルビィ「……うん」
理亞「もしかして、私の所為?」
ルビィ「へっ、なんで?」
理亞「だって、初対面で攻撃的な態度を取って、あなた達を否定して――」
ルビィ「ち、違うよ。それ以外の理由」 理亞「グループ内の誰かと喧嘩したとか?」
ルビィ「えっと……」
理亞「定番だけど、方向性の違いみたいな?」
理亞「人間関係が原因で脱退するのはよくあるし」
ルビィ「まあ、それに近いかな」
理亞「……勿体ない」
理亞「せっかく、ライバルになれると思ったのに」
ルビィ「……仕方なかったんだよ」 理亞「理由はなによ」
理亞「恋愛関係のもつれとか?」
ルビィ「っ」
理亞「ほ、本当にそうなの?」
理亞「アイドルに恋愛はタブーでしょ」
ルビィ「す、スクールアイドルはそこまで厳しくないもん」
理亞「でも人間関係の崩壊の原因になるから、普通は避けるじゃない」
ルビィ「そうだけど……」 理亞「相手はアイドルに関係ある人なの?」
ルビィ「まあ……」
理亞「何よそれ、理解した上で付き合ってるなんて、ろくでもない奴ね」
ルビィ「ま、マルちゃんはろくでもない奴なんかじゃないもん!」
理亞「マル、ちゃん?」
ルビィ「あっ……」
理亞「マル『ちゃん』って言ったわよね、今」
ルビィ「ち、違くて――
理亞「確かAqoursに居たわね、貴女と仲良しの、国木田花『丸』って子が」 理亞「もしかして貴女、メンバーと、女と付き合ってるの?」
ルビィ「…………」
理亞「別にいいわよ、話さなくても」
理亞「言いにくいことだろうし」
理亞「でも口に出すことで、少しは楽になれるんじゃない」
理亞「私は誰にも言わないし」
理亞「そもそも友達いないから言う相手もいないし」
ルビィ「理亞ちゃん……」 ルビィ(いいのかな、話しちゃっても)
ルビィ(ほとんど初対面の相手に、こんな大事なことを漏らす)
ルビィ(人に聞いたら、絶対に止められそうな行為)
ルビィ(けどどうしてかな、不思議と大丈夫な気がする)
ルビィ(この子なら大丈夫って安心感がある)
ルビィ(実際、抱え込むのもつらい)
ルビィ(味方が欲しい、自分を肯定してくれる味方が)
ルビィ(もしかしたら、理亞ちゃんはそれになってくれるかもしれない) ルビィ「じゃあ、話すよ」
理亞「う、うん」
ルビィ「最初にね、出会ったときの事から――――
―――
――
―
ルビィ「――とまあ、そんな感じで駆け落ちしてきたの」 理亞「はぁ……」
ルビィ「や、やっぱり変かな」
理亞「そんなことない」
理亞「凄いわ、あなたたち」
ルビィ「気持ち悪いとか思わないの?」
理亞「思わないわよ、そんなこと」
理亞「尊敬するわ、あなたたちの事」 ルビィ「尊敬って、そんな」
理亞「そこまで相手の事を想える、素敵じゃない」
理亞「私は恋をしたことがないけど、憧れるし、格好いい」
ルビィ「そ、そんなに立派なものじゃないよ」
理亞「でも実際、全てを投げ捨ててでも駆け落ちをしてきた」
理亞「大好きだったアイドルさえ捨てて」
ルビィ「よく分かったね、ルビィがアイドル好きだって」
理亞「見てれば分かるわよ、演じている時の雰囲気を」
理亞「それに、私と貴女はどこか似てるもの」 理亞「私ね、本当は凄い人見知りなの」
ルビィ「理亞ちゃんが?」
理亞「ええ」
理亞「東京に居た時にそっけない態度をとったのも、どう話していいのか分からなかったから」
理亞「だから、普段の私なら今日も話しかけられなかったと思う」
理亞「でも今日、貴女に話しかけられたのは、どこか放っておけない雰囲気を感じたから」
ルビィ「そうなんだ……」
理亞「実際話してみても、正直心配よ、貴女の事」
理亞「危うい状態にいるようにしかみえないもの」 ルビィ「……理亞ちゃんは反対なの」
ルビィ「ルビィがマルちゃんと今の状態を続けること」
理亞「ううん、さっきの話を聞いて反対なんてしないわよ」
理亞「助けにはなりたいけどね」
ルビィ「理亞ちゃん……」
理亞「何かできることがあったら言ってね」
理亞「できる限り、協力するから」
ルビィ「うん、ありがとう」 ルビィ「あっ、私そろそろ行かないと」
理亞「時間?」
ルビィ「うん、そろそろ帰らないと心配されちゃう」
理亞「ねえ、しばらくはこっちにいるのよね」
ルビィ「うん」
理亞「じゃあ、明日も会える?」
ルビィ「うーんと、明後日なら」
理亞「じゃあ明後日、またここで待ち合わせしない?」
ルビィ「うん、いいよ」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています