花丸「心中」
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花丸「ねえ、ルビィちゃん」
ルビィ「どうしたの、マルちゃん」
花丸「最も強い愛の証明方法って、なんだと思う」
ルビィ「証明方法?」
花丸「わかりやすくいえば、愛の示し方」
ルビィ「うーん、こういうのとか」
チュッ
花丸「ううん、違うよ」 ルビィ「えー、ほっぺただったから?」
花丸「口の方が嬉しいけど、それは関係ないかな」
ルビィ「じゃあこれ?」
ギュッ
ルビィ「えへへ、マルちゃん温かいよ」
花丸「ルビィちゃんもね〜」
ルビィ「じゃあこれが正解?」
花丸「ううん、残念だけど不正解」 ルビィ「えー、これも違うの?」
花丸「もちろん、ルビィちゃんの愛は伝わったけどね」
ルビィ「むぅ、分かんないよぉ」
花丸「ふふっ、それじゃあ教えてあげる」
花丸「一番強い愛の証明は、死だよ」
ルビィ「死? 生と死の?」
花丸「うん、それだよ」
ルビィ「うゅ、何か怖いよぉ」 花丸「そうだね、確かに怖い」
花丸「でもね、だからこそ強い愛を示すことができるんだよ」
ルビィ「それは、遺書で愛の言葉を残すとか」
花丸「まあ、それもありだね」
花丸「あとは相手をあやめて、強力な愛を伝える方法もある」
ルビィ「そ、それはちょっと嫌かも」
花丸「でもね、それらよりも素敵な愛があるんだ」
ルビィ「素敵な愛?」 花丸「それはね、心中だよ」
ルビィ「心中?」
花丸「自分たちの手で、一緒揃ってに死を迎えること」
ルビィ「それは何が違うの」
花丸「簡単に言えば、合意の上であるということかな」
花丸「無理心中って言葉もあるけど、それじゃ駄目」
花丸「お互いの意志で、共に最期を目指す」
花丸「世界に向かって主張するんだよ、私たちは愛し合っていると」 ルビィ「……うゅ」
花丸「ルビィちゃん?」
ルビィ「……マルちゃんは、ルビィにそういうことがしたいの?」
花丸「ううん、そんなことはないよ」
ルビィ「本当に?」
花丸「これはあくまでも強い愛の示し方の話をしただけだからね」
ルビィ「はぁ、良かったぁ」
花丸「怖がらせちゃったかな」
ルビィ「うん、怖かった」 花丸「ごめんね、お詫びに――ハグしよっ」
ギュー
ルビィ「く、苦しいよ」
花丸「変な話をしたから、少し怖くなったずら」
ルビィ「もう、言いだしたのはマルちゃんなのに」
花丸「ルビィちゃんなら、こんなマルでも受け入れてくれるよね」
ルビィ「もちろんだよ」
ルビィ「マルちゃんの事なら、どんなことでも受け入れるもん」
花丸「えへへ、ありがとう」 ――黒澤家――
ルビィ(でも本当に、話をしたかっただけなのかな)
ルビィ(マルちゃん、言ってたよね)
ルビィ(心中を、『素敵な愛』だって)
ルビィ(あれは、ルビィにそれを求めての行動?)
ルビィ(それは考え過ぎなのかな……)
ダイヤ「ルビィ」
ルビィ「うゅ?」
ダイヤ「もう遅い時間ですよ、早く休みなさい」
ルビィ「はぁい」 ルビィ(お姉ちゃん、この話を聞いたらどう思うかな)
ルビィ(頭の悪いルビィと違って、何か答えを出してくれるかも)
ルビィ(遠まわしに、質問してみようかな)
ルビィ「ねえ、お姉ちゃん」
ダイヤ「何ですか」
ルビィ「心中って、どう思う?」
ダイヤ「はい?」
ルビィ「だから、心中」 ダイヤ「……ルビィ、誰か悪い男でもできたのですか」
ルビィ「男?」
ダイヤ「最近流行りの情けない草食系男子にひっかかかり、そのような事を!?」
ルビィ「ピギッ」
ダイヤ「いけません! この辺りは太宰と縁のある地なので、それに惹かれてきた男ですか!?」
ルビィ「い、いや、そういうわけじゃ……」
ダイヤ「多少容姿が良くても中身はクズなのです!」
ダイヤ「心中などを持ちかけてくる時点で、どうしようもないクズなのです!」
ルビィ「お、落ち着いてよぉ」 ダイヤ「ルビィ、その男のところへ案内しなさい!」
ダイヤ「私がコンクリート詰めにして海の底へ沈めてやります!」
ルビィ「だ、だから、話を聞いてぇ――」
―――
――
―
ダイヤ「花丸さんが?」
ルビィ「うん、心中について話してたから」
ダイヤ「なるほど、確かに彼女が好みそうな話題ではありますね」 ルビィ「それで、お姉ちゃんは心中ってどう思う?」
ダイヤ「抽象的な質問で答えにくいですが……」
ダイヤ「確かに花丸さんの言うとおり、強い愛の形であることは確かでしょう」
ダイヤ「ただ私としては、先ほども言いましたが死への誘いという時点で、間違っても肯定はできませんね」
ルビィ「そっか……」
ダイヤ「一応確認ですが、本当に花丸さんにそれを持ちかけられたわけではないのですね」
ルビィ「それは、本当だよ」
ダイヤ「……分かりました、貴女は賢い子です、信じましょう」
ルビィ「ありがとう、お姉ちゃん」 ダイヤ「ただ、しばらくは花丸さんの様子にお互いに注意しましょう」
ダイヤ「そのような事を言い出す心理状態、少し心配です」
ルビィ「うん」
ダイヤ「しかし、『友人』であるルビィにそのような話をするとは」
ルビィ「変かな」
ダイヤ「ええ、心中は基本的に家族や恋人とする行為」
ダイヤ「それ以外の親しい間柄でおこないケースもありますが、稀ですから」
ルビィ「そうなんだ……」
ダイヤ「本当に仲良い『友達』なのですね、あなた達は」
ルビィ「そうだね」
ルビィ「仲の良い、『友達』」 ―部室―
善子「ずら丸、何か思いついた?」
花丸「う、ううん、ちょっと待って」
善子「ヤバいわよ、AqoursのSNS用の写真、まだ用意できてないは私たちだけよ」
花丸「……だからもっと早く準備しようって言ったのに」
善子「し、仕方ないでしょ、リトルデーモン達の相手をするのに忙しかったんだから」
花丸(『スクールアイドルはまず存在を知ってもらうところからですわ!』というダイヤさんの一言で少し前から始めたAqoursのSNS)
花丸(持ち回りで写真を撮り、投稿しているのだけど、今回はちょうどマルと善子ちゃんの番) 善子「ああもう、やっぱり大量に物を食べているあんたの写真じゃ駄目かしら」
花丸「それだとマルが馬鹿みたいだよ」
善子「いいじゃない、少し笑いを提供する感じで」
花丸「それだったら善子ちゃんの写真の方が良いよ」
花丸「普通にしていても痛々しくて、見た人から引き攣った笑いがこぼれるから」
善子「なんでそうなるのよ! 一部の人には需要があるんだから!」
花丸「痛々しいのは否定しないんだね……」
善子「まだまだヨハネの魅力を理解できない人間が多いのは事実だから、仕方ないわ」
花丸「まあねぇ」
花丸(個人的には嫌いじゃないけど) 善子「あー、こうなったら百合営業でもする?」
花丸「百合営業?」
善子「ほら、恋人みたいに演じた写真を撮ってアップするのよ」
花丸「……それは、嫌かな」
善子「まあ、そうよね」
花丸「それに善子ちゃんがやるなら、相手は梨子ちゃんでしょ」
善子「な、なんでリリーが出てくるのよ!?」
花丸「わかりやすいなぁ、その反応」
善子「……うっさい」 花丸「本当に仲良しだよね、梨子ちゃんと」
善子「そうかしら?」
花丸「この前もノリノリでそれっぽい写真アップしてたずら」
善子「あれはリリーがやりたがったから、仕方なく……」
花丸「いっそさ、本当に付き合っちゃえばいいのに」
善子「いやいや、流石に女同士でそれはないわよ」
花丸「……分かってるよ、冗談ずら」
善子「あら、アンタも冗談を言うようになったのね」 花丸「物心ついてからは今年一年だけとはいえ、善子ちゃんとの関係も長いしね」
善子「言われてみると、確かにね」
善子「そうだ、小さい頃の写真を探してきてアップするのはどう?」
花丸「あ、それ名案ずら」
善子「そ、そうかしら」
花丸「昔の写真、きっとファンの人も喜ぶよ。流石善子ちゃん」
善子「くっくっく、堕天使にかかればこの程度簡単なものよ」
花丸「はいはい、そうずらね〜」
善子「ちょ、何でそこで冷たくなるのよ!」 花丸(女の子同士が付き合うなんて冗談、か)
花丸(この前、家族で何気なくテレビを見ている時に映った、LGBTの特集)
花丸(そこで婆ちゃんが漏らした、何気ない『気持ち悪い』の一言)
花丸(厳格な家で過ごした老人の価値観で考えれば、仕方のない言葉)
花丸(それに同意する他のお父さんたちも、悪意なんてない)
花丸(年長者に話を合わせただけ、公的な場で話せば多少問題になるかもしれないけど、ここは身内だけの場)
花丸(誰かを傷つけることも、不快にさせることもないはずの場所)
花丸(あくまでも自分たちには関係ない世界の出来事)
花丸(誰も考えなかった、異端児が紛れているなんて) 花丸(ルビィちゃん、マルの恋人)
花丸(出会ってすぐに惹かれあった、まさに運命的な邂逅)
花丸(すぐに出来上がった、二人だけの秘密の関係)
花丸(でもその関係は、脆く、危ういもの)
花丸(誰にも話すことのできない、外に知られたら全てが終わってしまう)
花丸(ルビィちゃんの家も、マルの家も、絶対にそれを許してくれない)
花丸(どれだけ愛し合い、惹かれあっても、露見した時点で引き裂かれる、友達ですら居られなくなる)
花丸(そんなことになったら、耐えられる自信がない)
花丸(だからもし、そんな事が起こった時は―――― ひとまずここまで
続きはもう少し書き溜めてから投稿します こういう雰囲気も良いね
真綿で締める感じにじわじわ漂う不穏さ好き ――沼津・喫茶店――
花丸「うーん、雨止まないねぇ」
ルビィ「うゅ」
花丸「せっかくのデートなのに、何か残念だね」
ルビィ「そうかな? マルちゃんとこうしてゆっくりお話できるのも楽しいよ」
花丸「ルビィちゃん……」
ルビィ「それにここのケーキは凄く美味しいから、入れてちょうどよかったかもだし」
花丸「あはは、ルビィちゃんらしい可愛いずら」
ルビィ「もう一個食べちゃおうかなぁ――マルちゃんも食べる?」
花丸「ふふっ、そうだね―― ??「あ、あの」
花丸「ふぇ」
ルビィ「ピギッ」
ファン1「もしかして、Aqoursのルビィちゃんと花丸ちゃんですか」
花丸「はあ、そうですけど」
ファン2「私たちお二人のファンなんですけど、サインとかもらえますか!」
花丸「サイン?」
ルビィ「ルビィたちの?」
ファン1「はい!」 ―――
――
―
花丸「えっと、これでいいですか?」
ファン1「わー、ありがとうございます!」
花丸「でも、マルたちで良かったんですか。もっと他の人とか」
ファン1「いえ、私はずっと花丸ちゃんのファンなんですよ!」
花丸「マルの、ファン」
ファン1「で、相方はルビィちゃんのファンで――」 ファン2「うーん、本物のルビィちゃんはやっぱり可愛いなぁ」
ルビィ「そ、そんな……」
花丸「なるほど、それであんな感じに」
ファン1「あはは、すみません」
ファン2「うーん、こんな可愛い子を恋人にしたいなぁ」
花丸「!」
ルビィ「え、えっと、マルちゃんがいるから、それは」
花丸「そうですよ、ルビィちゃんはマルの物ずら」 ファン2「おぉ、大胆な言葉」
ファン1「お二人は本当に仲良しなんですね」
花丸「ルビィちゃんは大切な人ですから」
ルビィ「え、えへへ」
ファン1「でも少し安心しました」
花丸「安心?」
ファン1「ルビィちゃんと花丸ちゃん、凄く仲良しだなぁって」
ファン2「SNSの写真とか見てると感じるんですよね」
ファン1「プロフィールの記述とかに比べてそこまで距離が近くない感じがしたので」 花丸「あれは、何か恥ずかしくて」
ファン1「うんうん、それがルビィちゃんと花丸ちゃんらしさなんですよね」
ファン2「流石お互いが認める仲良しコンビですね」
花丸「仲良しコンビ……」
ファン1「あっ、では私たちはこれで、わざわざありがとうございました!」
花丸「い、いえ、これからも応援よろしくお願いします」
花丸「ビックリしたね」
ルビィ「ファンの人、ルビィ達にもいたんだね」
花丸「ルビィちゃんは嬉しかった?」
ルビィ「緊張したけど、少しは」
花丸「それなら良かったよ」 ルビィ「でも、マルちゃんと二人で過ごせる時間が少し減っちゃったのは残念かも」
花丸「あはは、それはアイドルが口に出しちゃ駄目だよ」
ルビィ「分かってるけどぉ」
ルビィ「でも違和感あったかな、写真」
花丸「どうなんだろう」
ルビィ「意識し過ぎて、一緒にいる写真アップしてなかったもんね」
花丸「変に思われてないといいけど」
ルビィ「じゃあ、今度は程よく仲良しの写真も使う?」
花丸「そうだね、程々にやろう――怪しまれないように注意しながら」
ルビィ「うん」 ―渡辺家―
曜「ふぅ、大体できたかな」
ルビィ「そうだね、あとは細かい部分をチェックすれば、完成」
曜「いやー、今回も結構重労働だったね」
ルビィ「お疲れ様、流石曜ちゃん」
曜「いやいや、ルビィちゃんと二人で作った衣装じゃん」
ルビィ「ううん、ルビィは曜ちゃんに比べれば仕事量が少ないから」 曜「そんなことないよ、私は体力が必要な部分を頑張っただけ」
曜「ルビィちゃんは私には無いアイディアをたくさん出してくれるし、細かい部分の作業はほぼ任せてたもの」
ルビィ「それは、ルビィがそれしかできないから――」
曜「もぅ、謙遜し過ぎだよ」
曜「実際、一人で作っていた時よりも評判いいんだよ」
ルビィ「そ、そうなの」
曜「うんうん、だから謙虚なのもいいけどもっと自信持っていいんだよ」
ルビィ「えへへ、ありがとう」 曜「やー、でもこうやって9人分の衣装が並ぶと壮観だね〜」
ルビィ「そうだね――ん?」
曜「どうしたの」
ルビィ「今回も曜ちゃんと千歌ちゃんだけ同じ服の色なんだね」
曜「あっ、ばれた?」
ルビィ(二人の衣装だけは、曜ちゃんが全部作業をしてたから気づかなかった)
ルビィ「結構あるよね、このパターン」
曜「あはは、そこは衣装係の役得かな」
ルビィ「本当に好きなんだよね、千歌ちゃんの事」
曜「そうだね、大切な幼馴染だもん」 曜「そういうルビィちゃんも、小物とか花丸ちゃんとお揃いにしてるでしょ」
ルビィ「ピッ」
曜「おっ、図星かな」
ルビィ「な、なんで気づいたの」
曜「これでも洞察力には自信があるし、一緒に衣装を作ってきた仲だもん」
ルビィ「普通気づかないよ、曜ちゃん」
曜「あはは、それじゃあ私は特別かな」
ルビィ(曜ちゃんは凄いなぁ、自分に自信を持ってる)
ルビィ(実際に能力もあって、格好いい)
ルビィ(この人なら、どんな偏見があっても、もしかしたら) ルビィ「ねえ、曜ちゃん」
曜「ん、どうしたの?」
ルビィ「曜ちゃんは、千歌ちゃんと恋人になりたいとか考えたことある?」
曜「千歌ちゃんと?」
ルビィ「うん」
曜「いやいや、流石にないかなぁ」
ルビィ「そう……」
曜「なんでそんな質問を?」
ルビィ「えっと、それぐらいの愛を感じたから、とか」
曜「あはは、時々疑われるぐらい好きではあることは否定しないけどね」 ルビィ「じゃあ、もし千歌ちゃんから告白されたらどうする?」
曜「千歌ちゃんから?」
ルビィ「好きだって、幼馴染の関係が崩れることを覚悟で告白されたら、どうする?」
曜「うーん、それは難しいね」
ルビィ「付き合う、のかな」
曜「どうだろう、その時になってみないと分からないや」
ルビィ「……何か煮え切らないね」
曜「難しい問題だしね、簡単には答えられないよ」
ルビィ「真面目だね、曜ちゃんは」
曜「そうかな、不器用なだけだよ」 曜「でもどうして、急にそんなことを?」
ルビィ「えっと、最近百合営業が流行ってるから、本気でそういう気持ちになる子もいるのかなって」
曜「あー、アイドルのやつとかだっけ」
ルビィ「詳しくないの?」
ルビィ「曜ちゃんたち、時々そんな感じの写真アップしてるよね」
曜「そうかな?」
ルビィ「うん、結構一部では話題になってるよ」
曜「ふーん、二人で撮る時の構図を決めてるのは千歌ちゃんだから、意識してなかったかも」
ルビィ「千歌ちゃん、アイドルに詳しいもんね」 曜「でもさ、ルビィちゃんはあんまりしないよね、百合営業」
ルビィ「言われてみると、そうかも」
曜「なんで?」
ルビィ「うーんとね、誤解されると色々と面倒な家だから」
曜「あー、黒澤家は確かに大変そう」
ルビィ「お姉ちゃんにも時々釘を刺されたりするんだ」
曜「そういえば、ダイヤさんもやらないもんね」
ルビィ「果南ちゃんや鞠莉ちゃんも仲良しなのに、勿体ない気もするよ」 曜「はぁ、苦労してるんだねぇ」
ルビィ「苦労って程じゃないよ」
曜「名家の生まれって事で、ちょっと羨ましく感じることあったけど、そういう話を聞くと普通の家に生まれてよかったって思うよ」
ルビィ「曜ちゃんのお父さんやお母さん、やさしそうだもんね」
曜「うん、お父さんたちには感謝してるよ」
ルビィ「もし千歌ちゃんと付き合っても、笑ってお祝いしてくれそうだよね」
曜「確かに、私が本当に女の子と付き合うことになっても、強くは反対されないと思う」
ルビィ「……羨ましいなぁ」
曜「……大変だろうけど私は応援してるよ、二人の仲」
ルビィ「!」
曜「これでも結構鋭いからね、大丈夫、もちろん誰にも言わないから」
ルビィ「……ありがとう、曜ちゃん」 一応出せる分投稿したので寝ます
続きは夜か明日にでも ―屋上―
果南「ほら、あと少しだよ」
花丸「……ちょっと……休ませて」
果南「駄目だよ、トレーニングは限界までやるからこそ意味があるんだから」
花丸「ずらぁ……」
果南「ほら、もうワンセット!」
花丸「あぁ――もうやけずら!」
果南「おっ、いい感じだね―――― ―――
――
―
果南「はい飲み物」
花丸「あ、ありがとう」
果南「お疲れ様、よく頑張ったね」
花丸「……毎回、果南ちゃんのトレーニングは厳しすぎるよ」
果南「いやー、でもマルとダイヤは非力すぎるからさぁ」
花丸「ユニット練の時だけハードにしないでほしいずら……」
果南「はいはい、考慮するよ」
花丸(絶対しなさそう……) 花丸「でもダイヤさん、戻ってこないね」
果南「生徒会の方も何かと忙しいみたいだからね」
花丸「……練習がきついから逃げたんじゃ」
果南「あはは、あり得る」
花丸「ダイヤさん、体力無いもんね」
果南「うーん、そうかな」
花丸「マルが知る限り、練習でもすぐにバテたりするもん」
果南「そこはさ、ダイヤも色々大変だから」
花丸「色々?」 果南「学校では生徒会長としての仕事、優等生でいるための勉強」
果南「それに加えて、習い事とか、家の事とか休む暇もなくこなしているでしょ」
花丸「あっ、そっか」
果南「体力を回復する暇もないから、疲れやすいのも仕方ないんじゃないかなって、私は思う」
花丸「その割に、ハードな練習メニューを課すんだね」
果南「ダイヤの希望もあるしさ」
果南「さっきは笑ったけど、例え参加できなくても、その後自主的に練習をするぐらいの事はするよ、あの子は」
花丸「……凄いね、ダイヤさん」
果南「まあ、あれは特殊だから。マルも一年生なのにちゃんと練習についてきて、頑張ってるね」 花丸「そうかな」
果南「うん、それは私が保証する」
花丸「ありがとう――」
ブブッ
果南「あ、鞠莉からメールだ」
花丸「鞠莉ちゃんから?」
果南「しょっちゅう連絡してくるんだよね、何かあると」
花丸「なになに、ラブコール?」
果南「いやいや、そんなんじゃないよ」 花丸「えー、でも二人は怪しいよ」
果南「そうかなぁ」
花丸「だっていつもハグとか、過剰にスキンシップしてるでしょ」
果南「言われてみると、まあね」
花丸「鞠莉ちゃん、どう見ても果南ちゃんにメロメロだもん」
果南「メロメロ、ねぇ」
花丸「傍から見ていると、恋する乙女みたいだよ」
果南「……やっぱり、そうなのかな」
花丸「気づいてなかったの?」 果南「そんなことはないけどさ、自分だといまいち確信が持てないんだよね」
花丸「あんな露骨に愛されているのに?」
果南「それでも、自意識過剰なんじゃないかとか考えたりね」
花丸「あぁ」
果南「よほど自信がない限り、思えないよ。自分が人から愛されているなんて」
花丸「うん、分かるよ」
花丸(マルだって不安になる事はある。大切な人からの愛について)
果南「それと、鞠莉の気持ちが私の応えられないものであることが怖くて」
花丸「なるほど、ね」 果南「実際、どうなんだろう」
花丸「………鞠莉ちゃん、果南ちゃんの事が恋愛的な意味で好きなのかな」
果南「難しいよね、本人に聞くわけにもいかないから」
花丸「果南ちゃんは、どんな風に考えてるの」
果南「可能性は、結構あるかもとは思ってる」
果南「ストーカー宣言されたり、スキンシップを過剰に要求してきたり、思い当たる節はいくらでもあるから」
花丸「そっか……」
果南「でも鞠莉は何を考えているのかよく分からないところがあるからね」
果南「はっきりと断言するのは難しいよ」 花丸「鞠莉ちゃん、変わってるもんね」
果南「ははっ、そこが鞠莉の魅力だけどね」
花丸「果南ちゃん、鞠莉ちゃんが好きなんだね」
果南「うん、友達としては本当に大切に想ってる」
花丸「ダイヤさんより?」
果南「比較できないよ、その二人は」
花丸「やさしいね、果南ちゃんは」
果南「マルだってきっとそうだよ」
花丸「マルも?」 果南「ルビィと善子、どっちも同じぐらい大切でしょ」
花丸「……そうだね」
果南「あれ、その反応だと違った?」
花丸「……わかる?」
果南「まあね、表情に出てるし」
花丸「果南ちゃん、なかなか鋭いね」
果南「これでも上級生だからね、人生経験の差だよ」
花丸「ふふっ、そっか」 果南「でも差があるとしたら、やっぱりルビィの方が好きなの?」
花丸「うん」
花丸「善子ちゃんも本当に大切な友達」
花丸「でもやっぱり、ルビィちゃんは『特別』だから」
果南「……そっか」
花丸「酷い人間かな、マルは」
果南「そんなことはないよ」
果南「それだけ、ルビィを大切に想っているんだよね」
花丸「うん、そうだね」 ダイヤ「やれやれ、何の話をしていますの」
花丸「あっ、ダイヤさん」
果南「聞いてたの、今の話」
ダイヤ「ええ、途中からですが、実にくだらない話です」
果南「くだらないって、それならダイヤはそういう事で悩んだりしないの?」
ダイヤ「無論ですわ」
果南「なんで?」
ダイヤ「決まっているでしょう」
ダイヤ「私には誰よりも大切な妹、ルビィがいるからです」
ダイヤ「どれだけ大切な友人や仲間がいても、あの子に勝てる者は存在しません」 果南「……ああ、安定の姉馬鹿ね」
花丸「……流石はダイヤさんずら」
ダイヤ「何ですか、その反応は」
果南「それよりも、来たからには練習しようか」
ダイヤ「もちろん、そのつもりですわ」
果南「これ、練習メニューね」
ダイヤ「どれどれ――って何ですかこれは!?」
果南「これを3セットね」
花丸「あれ、マルは1セットだけだったような」
果南「そこはほら、学年×1セットだからさ」 ダイヤ「馬鹿ですか貴女は。こんな量を普通の人間がこなせるわけがないでしょう」
果南「私はやったよ」
ダイヤ「自分を基準に考えないでください」
果南「えー、普通じゃん」
ダイヤ「……まあ、分かりました、おそらく話し合いは無駄でしょう」
果南「おっ、流石ダイヤ」
ダイヤ「しかし花丸さん、貴女は付き合いなさい」
花丸「えっ、でもマルはもう――」
ダイヤ「体力のない貴女には、もう1セットぐらいがちょうどいいでしょう」 花丸「いやいや、そんな馬鹿な――」
果南「確かに、ダイヤの言うとおりかも」
花丸「果南ちゃん!?」
果南「さっきから話していても余裕があるもんね」
果南「あと1セットぐらいなら、オーバーワークにならないだろうし」
ダイヤ「なるほど、では決まりですわね」
花丸「いや、ちょっと話を」
果南「ゆっくりでいいからね、とにかく頑張ってみよう」
ダイヤ「花丸さん、始めますわよ」
花丸「り、理不尽ずら〜〜〜〜〜〜」 とりあえずここまで
続きは夜に投稿できればと思っています ――遊園地――
ルビィ「晴れたねぇ」
花丸「うん、絶好のお出かけ日和」
ルビィ「大事な日にお天気がいいのは、マルちゃんが普段からいい子なおかげかな」
花丸「それならルビィちゃんのおかげだよ、きっと」
ルビィ「お姉ちゃんの目を欺いてマルちゃんと付き合ってるのに?」
花丸「それぐらい、ちょっとした愛嬌だよ」
ルビィ「あと、善子ちゃんに隠して、二人だけで遊びに来ちゃったよ」
花丸「神様も人間だから、ルビィちゃんみたいな可愛い子には贔屓したくなっちゃうのかも」 ルビィ「そっかぁ、じゃあマルちゃんも神様に愛されてるんだね」
花丸「マル、可愛いかな?」
ルビィ「凄く可愛いよ。ルビィの贔屓目かもだけど」
花丸「あはは、ルビィちゃんに可愛いって言ってもらうのが一番ずら」
ルビィ「でも今日は特に可愛いかも。普段より服もお洒落だし、お化粧もしっかりしてるもん」
花丸「大好きな人とのデートだもん、これぐらいはね」
ルビィ「うーん、ルビィももう少しちゃんとしてくればよかったかな」
花丸「ルビィちゃんは素で誰よりも可愛いんだから、いつもどおりでいいんだよ」
ルビィ「そう?」 花丸「それに今日のルビィちゃん、髪留めにリボンが付いていて素敵だよ」
ルビィ「あっ、気づいてくれたんだ!」
花丸「ルビィちゃんの事なら当然だよ」
ルビィ「凄いよぉ、お姉ちゃんは気づかなかったのに」
花丸「ふむ、マルはルビィちゃん力でダイヤさんを超えちゃったかな」
ルビィ「ルビィちゃん力?」
花丸「ルビィちゃんへの愛や理解度を数値化したものだよ」
ルビィ「うん、それならマルちゃんの勝ちかな」
花丸「ずいぶんとはっきり言うんだね」 ルビィ「だってお姉ちゃん、ルビィの一番大切な気持ち、理解してくれようとしないから」
花丸「それは……」
ルビィ「分かってるよ、仕方のないことだって」
ルビィ「だけど味方になって欲しいんだもん。大好きな人だからこそ」
花丸「……駄目だよ、ダイヤさんにマルたちの関係について話しちゃ」
ルビィ「分かってる、分かっているけど……」
花丸「ルビィちゃん……」
ルビィ「あっ、ごめんね、変な空気にしちゃって」
花丸「ううん、気にしないで」 花丸「今日は変なこと考えずに楽しもう。せっかく皆に内緒で、沼津から離れた遊園地に来たんだから」
ルビィ「そうだね――でも善子ちゃん、後で怒っちゃうかな」
花丸「確かに一人で置いて行かれたと思ってるかも」
ルビィ「でも今日はデートだから、仕方ないよね」
花丸「いくら善子ちゃんでも、マルたちの関係については話せないもん」
ルビィ「今度は三人一緒に来ようか」
花丸「そうだね、仲良し三人組として、一緒に」
ルビィ「ふふっ、楽しみだね、三人で来るのも」 花丸「ねえ、ルビィちゃん」
スッ
ルビィ「マルちゃん?」
花丸「手、繋がない」
ルビィ「……いいのかな」
花丸「大丈夫だよ、手を繋ぐぐらいなら」
花丸「ここには知り合いはいないはずだから」 ルビィ「そっかぁ、じゃあ――」
ギュッ
ルビィ「あれ?」
花丸「どうしたの」
ルビィ「マルちゃんの手、少ししっとりしてるね」
花丸「あっ、ごめん」
ルビィ「もしかして、緊張してる?」
花丸「うん、少し」
ルビィ「人目があるところで繋ぐの、滅多にないもんね」 花丸「ごめんね、嫌だったら離してもいいよ」
ルビィ「嫌じゃないよ、マルちゃんなら」
ルビィ「ずっと憧れていたから、こんな風に恋人みたいにデートするの」
花丸「…………」
ルビィ「それにきっとルビィも手汗かいちゃってるから」
花丸「マルもルビィちゃんのなら平気――というかむしろ嬉しいぐらい」
ルビィ「それじゃあ変態さんみたいだよ」
花丸「ルビィちゃんを前にすると理性を失っちゃうから、仕方ないね」
ルビィ「あはは、変なのぉ」 花丸「ルビィちゃん」
ルビィ「うゅ?」
花丸「今日は目一杯、楽しもうね」
ルビィ「うん!」
花丸「じゃあ早速、有名なジェットコースターに辺りに乗る?」
ルビィ「ルビィ、ちょっと怖いかも……」
花丸「でも楽しそうだよ、遊園地の定番だし」
ルビィ「そ、そうだよね、せっかくだし乗ってみないと」
花丸「よーし、ちょうど人も少なそうだし、行ってみよう!」 ―コースター―
ルビィ「ま、マルちゃん、手を離さないでね」
花丸「分かってるよ〜」
ルビィ「絶対、絶対だよっ」
花丸「大丈夫だって」
『それでは発車しまーす』
ルビィ「ピギィ!」
花丸「お、落ち着いて」
ルビィ「で、でもぉ」
花丸「ほら、意外と普通に走ってるだけだよ」
ルビィ「言われてみると、そうかも」 花丸「初めて乗ったけど、ジェットコースターって案外普通に楽しめるのかな」
ルビィ「そうだねぇ、叫んでる人は大袈裟なだけなのかも――」
ガタン
ルビィ「あれ」
花丸「止まったね」
ルビィ「どうしたんだろう」
花丸「うーん、トラブルじゃないよね」
ルビィ「そういう仕組みなのかなぁ」
花丸「そうだね――ずらっ!?」
ルビィ「ど、どうしたの、マルちゃん」 花丸「いや、前」
ルビィ「前?」
花丸「凄く急な坂になってる」
ルビィ「へっ」
花丸「これ、マルの予想が正しければ――――」
ギギッ
ルビィ「も、もしかして」
花丸「……手、離しちゃ駄目だよ」 花丸「これはたぶん、猛スピードで落下――」
ゴ―――――――
花丸「するずら―――――――――――――!」
ルビィ「ピギィ――――――――――――――!」
花丸「ずら――――――――――――」
ルビィ「ピィ――――――――――――」
花丸「み、未来ずら――――――――」
ルビィ「ま、マルちゃん―――――――」
花丸「これは未来ずら―――――――」
ルビィ「だ、誰か助けてぇ―――――――――― ――
―
『お疲れ様でした、お出口は右手になります』
花丸「ひ、酷い目にあったずら……」
ルビィ「うぅ」
花丸「ルビィちゃん、立てる?」
ルビィ「ピィ……、無理……」
花丸「ほら、手を貸してあげるから」
ヒシッ
花丸「る、ルビィちゃん!?」
ルビィ「……怖かったよぉ」 花丸「人が見てるから、一旦離して――」
ルビィ「嫌だ」
花丸「動けない?」
ルビィ「うん」
花丸(どうしよう、注目されてるし、このままだよくないよね)
花丸「ねえ、こっち向いて」
ルビィ「うゅ?」
チュッ
ルビィ「ま、マルちゃん!?」 花丸「ほ、ほっぺただけど、これで元気出して」
ルビィ「う、うん」
ザワザワ
花丸(しまったぁ、さらに注目されてる気が)
花丸(焦って変な選択しちゃったかも……)
ルビィ「ま、マルちゃん、恥ずかしいから行こっ」
花丸「う、うん」
花丸(でも動けたから、結果オーライかな) ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています