曜「拝啓、〇〇様」
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2枚目
高校2年の頃、私はスクールアイドル部に所属していました
もちろん、水泳部の掛け持ちもしていましたが、部員は私だけでした(数少ない部員である先輩方も夏には引退してしまっていたのです)
あなたは意外に思うかもしれませんが、
私がより時間と労力と青春を費やしたのは水泳部ではなくて、スクールアイドル部の方でした
私たちはAqours(あくあ)という名で活動していました、
1年生から3年生までいる、総勢9名のグループでした
かのμ'sのように輝きたい、と部活動に勤しんでいたものでした
特に、私たちはラブライブに力を入れてました
そして、8月中ごろにはラブライブ予備予選も突破し、
晴れて地区予選に進出することになったのです
さて、この頃、Aqoursはスクールアイドル界では珍しい活動展開を行っていました
その活動の甲斐あってかは分かりませんが、Aqoursの知名度が上がり出したのもこの頃でした
しかし、その活動の影響を受けて、私の生活は大きく変わってしまったのです。
いえ、生活だけではありません。私の人生までもが変わってしまったのです。
この手紙では、そのAqoursの活動をきっかけに私に起きた事の顛末を語ろうと思います。
この手紙で私は絶対に嘘をつきません。八方美人な私ですが、あなたにだけは真実を伝えたいのです。
そして、この手紙をあなたの未来の選択の参考にしてほしいのです。
それに、Aqoursのみんなは、この手紙に何を書かれたとしても訂正の仕様がないのですから。
私は決して嘘をついてはいけない。 はじまりは3月の修学旅行でした。
千歌「私、スクールアイドルになる」
曜「ぅん?」
千歌ちゃんの視線の先には、街頭の巨大モニターに映ったμ'sの姿がありました
曜「…ちなみにそれはいつ決めたの?」
千歌「今だよ」
曜「ふぅん」
千歌ちゃんが突拍子もないことを言い出すのは珍しくないですから、その時は『また千歌ちゃんの思いつきが始まった』と思いました。
そしてその思いつきは始まる前に終わるだろうと思いました。
その頃の千歌ちゃんは最初の一歩を踏み出すのが苦手な子でしたから。 しかし、予想外にも千歌ちゃんの思いつきは長続きするのでした。
千歌「よく見ててよ〜?もう一度!」
千歌「ふっはぁ!どう?」
曜「うぅーん…たぶん…できてると思う!」
私は千歌ちゃんに呼び出されてダンスのフォーム確認をしていました。
そのダンスは全部μ'sのコピーでした。
どれも、出来ているとはとても言えない出来でした。
私は適当に「出来ている」と調子のいいことを言っていましたが、
それを聞いて満足そうにしている千歌ちゃんを見ていると、
自分がとても酷いことをしているように思えてきました
なので
曜「……本当に始めるつもり?」
千歌「うん!新学期始まったら、すぐに部活を立ち上げる!」
曜「あはは……他に部員は?」
千歌「ううん、まだ。曜ちゃんが水泳部じゃなければ、誘ってたんだけど」 『曜ちゃんが水泳部じゃなかったら誘ってた』
家に帰ってからも、その言葉が私の頭の中でグルグル回っていました。
あなたも知ってるでしょうが
私は小学生の頃から千歌ちゃんと一緒になにかをしたいと思い続けていました。
切な願いでした。
『千歌ちゃんが私と一緒にスクールアイドルをやりたがってる』
『本当なの?それは本当?こんなことがあっていいの?』
『私が何度いろんなことに誘っても断り続けた千歌ちゃんが?』
曜「千歌ちゃんが、私と、スクールアイドルをやりたがってる…?」
曜「ぃぃぃやったあああああ!!!!」
曜「やった!やった!やった!」 曜「やった!神様!ありがとう!μ'sありがとう!!」
「ようーうるさい〜!!!」
曜「ごめんなさ〜い!!」
お母さんにいくら怒られても転げ回りつづけました。
家の部屋という部屋を駆け回りました。
夜ご飯のお刺身も残さずに食べました。
嬉しかったのです、生まれてこの方ないくらいに嬉しかったのです 千歌「みかん箱よし!メガホンよし!ハチマキよし!完璧だよ!」
曜「チラシも用意したよ!」
千歌「じゃあ勧誘の練習だね、よ〜し…」スゥ
千歌「スクールアイドル部でーす!春から始まる、スクールアイドル部!」
千歌「よろしくお願いしまーす!あなたも!あなたも!スクールアイドルやってみませんか!?」
千歌「どう?いい感じじゃな…「はい!スクールアイドルやります!」
千歌「へ?」
曜「…私ね、小学校の頃からずーっと思ってたんだ。千歌ちゃんと一緒に夢中で、何かやりたいなーって」
千歌「…曜ちゃん?」
曜「だから、水泳部と掛け持ち、だけど!」
曜「はい!」
私は千歌ちゃんの持ってる入部届けを奪い、素早く自分の名前を書いて渡しました。
千歌「曜ちゃん…!ううっ、ようちゃーん!!よーちゃーん!!」
曜「千歌ちゃん苦しいよぉ」
千歌「よーし!絶対すっごいスクールアイドルになろうね!!」
こうして私はスクールアイドルを始めたのです 結局、入学式の勧誘では一人も入部希望者は集まりませんでしたし
挙げ句の果てには、生徒会長にこっぴどく叱られてしまいました
けれど、千歌ちゃんは「目星がついた」と言って上機嫌でした ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています