本来ならば、装飾刀でダイヤちゃんのトゲを斬り落とし、それを次の棘刀式まで保管することで、棘人と人との向こう七年間の融和を示すものだったのだ。

それを私は盛大に無視した。

長年受け継がれてきた刀を放り投げて、トゲだらけのダイヤちゃんの手を取って、そのまま二人で会場から脱走した。

別に村から逃げ出そうという気があったわけでもない。

というか本当に、なんの企みもなければ、なんの思惑もない。

ただ、私が私の意思で「やろう」と決めたことをやっただけ。

お互いにごてごてとした格好、すぐに走り疲れてへたり込んでいるところに村の大人たちが駆け付けてきて、私たちは天の川よろしく引き離されーー

朝までたっぷりお説教コースと相成った。