0085名無しで叶える物語(やわらか銀行)
2018/05/12(土) 01:03:07.99ID:W2PjMw5p『湧き上がる悲鳴は、すぐに森にいたネコのもとへ届きました』
『駆け付けたネコが見たのは、信じられない光景でした』
『少女が全身から無数のトゲを生やして泣き崩れ、そして、それを囲う村人たち』
『悲しみを堪えきれずに大きな声で泣き続ける少女に、手を差し伸べる者は一人もいません』
『それどころか、まるで恐ろしいバケモノを見るような目を向け、遠巻きにひそひそと言葉を交わすだけ』
『旅先で聞いた、トゲ人間の噂が脳裏によぎります』
『そうか、だから少女は今までたった一人で生きていたのか』
『私が村を離れるつもりだと、誰かから聞いたのだ』
『全てに気付いたけれど、時すでに遅く』
『村人たちは、忘れ掛けていた棘人への恐怖を思い出してしまいました』