海未「おや、梨子も一緒でしたか」

梨子「ええ、偶然会ったからご一緒してたところよ」

聖良「どうかしましたか? 海未」

海未「ああ、そうでした。忘れ物があったので届けにきたのですよ」ハイ

聖良「それは…すみません、わざわざ。明日でもよかったのに…とは、届けてくれたのに失礼ですね。ありがとうございます」

海未「私も、少し息抜きをしたかったところなので」

聖良「お母様の傍では、なかなか肩肘が張ってしまいますもんね」

海未「はい…正直なところ」

梨子「じゃあ、海未ちゃんも一緒に歩きましょうよ」

海未「そうします。この暗い中、聖良だけ送り出したことを不安にも思っていましたので」

聖良「ふふ。海未がいればどんな悪漢も怖くありませんね」

梨子「なにも起こらないって言ったばかりじゃないですか」

聖良「そうでしたっけ?」

梨子「ふふふ」

海未「聖良と梨子も、すっかり打ち解けましたね」

梨子「聖良さん優しいから。海未ちゃんもいるし」

聖良「初めは私のほうが棘人だったかと錯覚するほどでしたけどね」

梨子「む、昔の話はいいですから!」

海未「ふふ…」


海未「…誰もが、こんな風に笑い合えるようになればよいのに」

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