0063名無しで叶える物語(やわらか銀行)
2018/05/12(土) 00:48:44.84ID:W2PjMw5p『ネコは旅の途中でした』
『この村には、いつまでいるの?』
『いつまでだって構わないのです。旅のネコですから』
『だったら、その間はここにいるといいわ』
『それは少女の優しさであり、また、欲望でもありました』
『ずっと傍にいてくれとは言いません』
『ほんの数日間だけ、隣にいてほしいと願う少女を、誰が責めることができるでしょう』
『ネコは喜んで頷き、その日から、少女は一人ではなくなりました』
『共に野菜を売り歩き、共に牛小屋を掃除し、共に木を伐り』
『共に眠りに就いては、共に起き、朝の鐘を打ちます』
『少女にとってそれは、願ってやまなかった夢のような日々でした』
『隣にあなたがいるだけで、世界はこんなにも変わるのね』
『ネコは微笑み、少女の手を取りました』
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