希「切符…?」


『東京ユキ』


日付指定のないそれは、村から遥か遠く離れた場所へ宛てるもの。

そもそも電車に乗るまでにも何本ものバスを乗り継がなくてはならないこの村で、そうそうお目に掛かることはない。

発行日は…


希「え? …七年前?!」

にこ「は?! 言いすぎでしょ!」

果南「確かに。七歳は下に見える。十一歳だよ、十一歳」

にこ「十八歳よ!! 日々成長してるし!!」

希「あ、ごめん、なんでもなくて…」


七年前の、村祭りくらいの日だ。

そんなにも昔の切符が、どうして…


希「…………。…あ」


ザアザアと唸る雨音の中、わずかに響く水の弾ける音。

ふと顔を上げると、水溜まりを蹴飛ばしながら一心に歩く姿。


希「…ダイヤちゃん?」


にこ「この村にいて、胸なんかなんに使うのっつー話よ。誰を欲情させたってしょうがないでしょーに」ハンッ

果南「洗い物が一つ減るのは羨ましいかもね」

にこ「ブラはしてるわ!! …って、あ? 希ィ?!」

果南「希?! 傘は?!」


私は、走り出していた。

占占占